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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012844
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】台車搬送用パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/28 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
B65D19/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114602
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】594071583
【氏名又は名称】TSK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】亀山 大介
(72)【発明者】
【氏名】藤城 壮
(72)【発明者】
【氏名】長岡 克樹
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063BA02
3E063CA04
3E063CA05
3E063CA09
3E063DA05
3E063EE01
(57)【要約】
【課題】強度が高く、上下方向に撓むことがなく、荷物を積んだ台車をフォークリフトで安全に搬送することができる台車搬送用パレットを提供する。
【解決手段】荷物を積む台車50の上面板14は、床11に対して板面が略平行に位置する一方向に長い板体であり、長手方向に互いに略平行に並んで一対備える。上面板14の長手方向に交差する幅は、台車本体51よりも狭く、一対の上面板14の間は、台車50の片側のキャスター58が走行するキャスター走行空間26である。一対の上面板22のキャスター走行空間26側の側縁部14c近傍には、直角に下方へ突出する伸縮可能な支持部材30を備える。支持部材30の下端部は、使用状態で床11に接触するキャスター支持板40に連続する。一対の上面板14の側縁部14aには、上面板14の板面に対して直角に位置し上面板14とは反対側の下側縁部18aが使用状態で床11に接触する側面板18を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を積む台車本体と前記台車本体の下面の角部に取り付けられた複数のキャスターからなる台車を載せる台車搬送用パレットにおいて、
前記台車の前記台車本体を載せる上面板が設けられ、前記上面板は、前記台車搬送用パレットを使用する床に対して板面が略平行に位置する一方向に長い板体であり、長手方向に互いに略平行に並んで一対設けられ、前記上面板の長手方向に交差する幅は前記台車の前記台車本体よりも狭く、前記一対の上面板の間は前記台車の片側の前記キャスターが走行するキャスター走行空間であり、
前記一対の上面板の、長手方向の端部には、前記一対の上面板を、前記キャスター走行空間を空けて連結する当接部材が設けられ、前記当接部材は前記上面板の上方に突出し、突出した部分は前記台車が当接して止まり、
前記一対の上面板の、前記キャスター走行空間側の側縁部近傍には、下側の面から略直角に下方へ突出する伸縮可能な支持部材が取り付けられ、前記支持部材の下端部は、使用状態で前記床に接触するキャスター支持板に連続し、前記キャスター支持板は、前記台車の前記キャスターが乗り入れ可能な厚みの板体であり、前記支持部材は、前記一対の上面板の互いに対向する位置に各々設けられ、前記一対の上面板は、前記一対の支持部材と1つの前記キャスター支持板を介して連結され、
前記一対の上面板の、前記キャスター走行空間とは反対側の側縁部には、前記上面板の板面に対して略直角に位置し前記上面板とは反対側の下側縁部が使用状態で前記床に接触する側面板が連続して設けられ、
前記上面板の下の、前記側面板と前記支持部材の間の空間は、フォークリフトのフォークを差し込むフォーク差込部であり、
前記一対の上面板は、使用状態で前記キャスター支持板と前記側面板が前記床に接触した時、前記床からの高さは、前記台車の前記台車本体の下面までの高さより短く、
前記台車の前記台車本体に前記荷物を積み、前記台車搬送用パレットの一方の前記上面板を跨いで前記当接部材とは反対から、前記上面板の長手方向に沿って前記上面板に接触することなく走行させ、この時、前記複数のキャスターのうち、一部は前記キャスター走行空間を、前記キャスター支持板を乗り越えて走行し、その他は前記側面板の外側の前記床を走行し、前記台車本体が前記当接部材に当接して止まると、前記キャスター走行空間を走行する前記キャスターは前記キャスター支持板に載り、
前記フォーク差込部にフォークリフトのフォークを差し込んで前記床から持ち上げると、前記上面板が、前記台車の前記台車本体の下面と接触し、前記台車は前記上面板に載って上昇し、前記支持部材が前記キャスター支持板の自重で伸びて前記キャスターから下方に離れ、前記キャスターは前記床や前記キャスター支持板から浮いた状態となることを特徴とする台車搬送用パレット。
【請求項2】
前記一つの上面板の長手方向の長さは、複数の前記台車を載せる長さである請求項1記載の台車搬送用パレット。
【請求項3】
前記上面板には、着脱式の台車ストッパーが設けられている請求項1記載の台車搬送用パレット。
【請求項4】
前記上面板と前記側面板には補強部材が設けられている請求項1記載の台車搬送用パレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、荷物を積んだ台車をフォークリフトで搬送するための台車搬送用パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
荷物を積んだ台車をフォークリフトで持ち上げて搬送することがある。従来より、荷物を積んだ台車を安全にフォークリフトで搬送するための台車搬送用パレットがある。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている台車搬送用パレットは、床等に接する薄いプレート状のレグが一対設けられ、一対のレグの上面には、昇降機構を介して一対のサイドフレームが差し渡されて矩形の外形を形成する。一対のサイドフレームの間には、短い一対のセンターフレームと、短い一対のストッパーフレームが組み付けられて、台車支持部が形成されている。センターフレームとサイドフレーム、ストッパーフレームは互いに同じ高さであり、ストッパーフレームの上面には、上方に突出して積荷ストッパーが設けられている。一対のレグとサイドフレームとの上下高さ間隔は昇降機構によって設定され、その間隔は昇降機構によって可変であり、載せる台車の裏面とキャスターの接地部との間隔よりも、小さい間隔と大きい間隔に、必要に応じて設定される。一対のサイドフレームの各端部には、フォークリフトのフォークを差し込むフォーク挿入口が各々設けられ、計4か所設けられている。
【0004】
この台車搬送用パレットに載せる台車の積荷面は一方向に長い矩形であり、この台車搬送用パレットの台車支持部には、台車を長手方向に進行させて載せる2つの領域と、短手方向に進行させて載せる2つの領域が設けられ、4台の台車を載せることができる。この台車搬送用パレットの使用方法は、4台の台車を載せた後、フォーク挿入口にフォークリフトの一対のフォークを入れ、持ち上げると、台車支持部を形成する各フレーム上面が台車裏面と接触し、台車は各フレーム上面に載って上昇する。昇降機構が許容する最下端まではレグは接地しそれ以上持ち上げると地面から離れる。台車のキャスターは床やレグから浮いた状態となり、キャスターによる動きが発生することが無い。このため安定して4つの台車を載せて、フォークリフトで搬送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7047170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記背景技術の場合、4か所のフォーク挿入口に、一対のフォークの基端部と先端部が各々差し込まれた状態では、4か所で荷重を均等に受けて安定するが、例えばトラックの荷台の奥に台車搬送用パレットを降ろす時にフォークを浅く差し込むことがあり、この時はフォークの先端が先端側のフォーク挿入口に届かず、先端側の荷重をフォークで受けることができず、台車搬送用パレットが垂直方向に弾性変形し、不安定となるおそれがある。フォークの差込方向に沿って、レグの長手方向が位置するが、レグは台車のキャスターが走行できるように上下方向に薄いプレート状であるため、垂直方向に撓みやすい。
【0007】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、強度が高く、上下方向に撓むことがなく、荷物を積んだ台車をフォークリフトで安全に搬送することができる台車搬送用パレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、荷物を積む台車本体と前記台車本体の下面の角部に取り付けられた複数のキャスターからなる台車を載せる台車搬送用パレットにおいて、前記台車の前記台車本体を載せる上面板が設けられ、前記上面板は、前記台車搬送用パレットを使用する床に対して板面が略平行に位置する一方向に長い板体であり、長手方向に互いに略平行に並んで一対設けられ、前記上面板の長手方向に交差する幅は前記台車の前記台車本体よりも狭く、前記一対の上面板の間は前記台車の片側の前記キャスターが走行するキャスター走行空間であり、前記一対の上面板の、長手方向の端部には、前記一対の上面板を、前記キャスター走行空間を空けて連結する当接部材が設けられ、前記当接部材は前記上面板の上方に突出し、突出した部分は前記台車が当接して止まり、前記一対の上面板の、前記キャスター走行空間側の側縁部近傍には、下側の面から略直角に下方へ突出する伸縮可能な支持部材が取り付けられ、前記支持部材の下端部は、使用状態で前記床に接触するキャスター支持板に連続し、前記キャスター支持板は、前記台車の前記キャスターが乗り入れ可能な厚みの板体であり、前記支持部材は、前記一対の上面板の互いに対向する位置に各々設けられ、前記一対の上面板は、前記一対の支持部材と1つの前記キャスター支持板を介して連結され、
前記一対の上面板の、前記キャスター走行空間とは反対側の側縁部には、前記上面板の板面に対して略直角に位置し前記上面板とは反対側の下側縁部が使用状態で前記床に接触する側面板が連続して設けられ、前記上面板の下の、前記側面板と前記支持部材の間の空間は、フォークリフトのフォークを差し込むフォーク差込部であり、前記一対の上面板は、使用状態で前記キャスター支持板と前記側面板が前記床に接触した時、前記床からの高さは、前記台車の前記台車本体の下面までの高さより短い台車搬送用パレットである。
【0009】
前記台車搬送用パレットは、前記台車の前記台車本体に前記荷物を積み、前記台車搬送用パレットの一方の前記上面板を跨いで前記当接部材とは反対から、前記上面板の長手方向に沿って前記上面板に接触することなく走行させ、この時、前記複数のキャスターのうち、一部は前記キャスター走行空間を、前記キャスター支持板を乗り越えて走行し、その他は前記側面板の外側の前記床を走行し、前記台車本体が前記当接部材に当接して止まると、前記キャスター走行空間を走行する前記キャスターは前記キャスター支持板に載り、前記フォーク差込部にフォークリフトのフォークを差し込んで前記床から持ち上げると、前記上面板が、前記台車の前記台車本体の下面と接触し、前記台車は前記上面板に載って上昇し、前記支持部材が前記キャスター支持板の自重で伸びて前記キャスターから下方に離れ、前記キャスターは前記床や前記キャスター支持板から浮いた状態となるものである。
【0010】
前記一つの上面板の長手方向の長さは、複数の前記台車を載せる長さである。前記上面板には、着脱式の台車ストッパーが設けられている。前記上面板と前記側面板には補強部材が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の台車搬送用パレットは、強度が高く、上下方向に撓むことが無く、荷物を積んだ台車をフォークリフトで安全に搬送することができる。フォークリフトのフォークを浅く差し込んだ場合も撓みにくく、トラックの荷台の奥に台車搬送用パレットを降ろすことが容易に可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の一実施形態の台車搬送用パレットの台車を載せる動作を示す斜視図である。
図2】この実施形態の台車搬送用パレットの台車を載せた状態を示す斜視図である。
図3】この実施形態の台車搬送用パレットの台車を載せた状態を示す平面図である。
図4】この実施形態の台車搬送用パレットの台車を載せた状態を示す正面図である。
図5】この実施形態の台車搬送用パレットの台車を載せた状態を示す右側面図(a)と、右側面(a)の部分拡大図(b)である。
図6】この実施形態の台車搬送用パレットの斜視図である。
図7】この実施形態の台車搬送用パレットの平面図である。
図8】この実施形態の台車搬送用パレットの正面図である。
図9】この実施形態の台車搬送用パレットの右側面である。
図10】この実施形態の台車搬送用パレットの支持部材の、短い状態を示す斜視図(a)と、長い状態を示す斜視図(b)である。
図11】この実施形態の台車搬送用パレットの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1図10はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の台車搬送用パレット10は、例えば金属製であり、図6図9に示すように、一方向に長い矩形の板体である上面板14が一対設けられ、上面板14の板面は図5に示すように使用する床11等に対して略平行に位置している。一対の上面板14は、長手方向が互いに略平行に並んで設けられ、上面板14の長手方向に交差する幅は後述する台車50の台車本体51よりも狭い。一対の上面板14の間は所定間隔離れ、この空間は、後述する台車50の片側のキャスター58が走行するキャスター走行空間26となる。
【0014】
一対の上面板14の、長手方向の端部14bには、一対の上面板14を、キャスター走行空間26を空けて連結する1つの棒状の当接部材24が設けられている。当接部材24は、上面板14の長手方向に対して略直角に位置している。当接部材24は長手方向に交差する断面が中空の矩形であり、上面板14の上方に突出し、突出した部分は、後述する台車50が当接して止まる。
【0015】
各上面板14には、軽量化のために4つの小さい矩形の開口部16が長手方向に並んで板面を貫通して設けられている。一対の上面板14の、キャスター走行空間26とは反対側に位置する外側の長手方向に沿う一方の側縁部14aには、上面板14の板面に対して略直角に位置する側面板18が一体に連続して設けられている。側面板18は、一方向に長い矩形であり、長手方向は、上面板14の長手方向と同じ長さであり、長手方向に交差する上下方向である短手方向の長さAは、図5に示すように後述する台車50の、床11から台車本体51であるアルミ形材52の下面までの高さBよりもαだけ短い。側面板18には、軽量化のために長手方向に沿うスリット20が設けられ、スリット20は、上面板14の開口部16とほぼ同じ長さであり、4つの開口部16に対応して4か所に、2本が互いに平行に設けられている。
【0016】
上面板14の、下側の面には、開口部16を避けて梯子状の補強部材22が取り付けられている。補強部材22の、梯子状の横桟部分は、側面板18の裏面に沿って略直角に延出し、側面板18を補強する。台車搬送用パレット10は、上面板14から延長した側面板18及び補強部材22により、上下方向である垂直方向の断面2次モーメントが大きい構造に成り、上下方向の曲げに対して高い剛性を備える。
【0017】
各上面板14には、当接部材24と反対側の端部近傍に、後述する台車ストッパー60が取り付けられる取付孔部28が設けられている。取付孔部28は上面板14の長手方向に交差する幅方向に長い小さい矩形であり、同形の2つの取付孔部28が上面板14の幅方向に並んでいる。当接部材24側から2つ目と3つ目の開口部16の間にも、二つの取付孔部28が幅方向に並んで設けられている。
【0018】
一対の上面板14の、側縁部14aとは反対側の側縁部14c近傍には、下側の面から略直角に下方へ突出する短い棒状の支持部材30が取り付けられている。支持部材30は、図10に示すように、上下方向に挿通する外筒部32と、外筒部32の内側を少ない摩擦で上下に摺動可能な内筒部34からなり、内筒部34の上端部34aは外筒部32の上端部32aから突出している。外筒部32の側面には、上下方向に長い矩形であるガイド孔部36が設けられ、内筒部34の下端部34bには、ガイド孔部36に差し込まれるガイド突起38が設けられている。支持部材30は、ガイド孔部36をガイド突起38が摺動する範囲で、伸縮可能である。
【0019】
支持部材30の、内筒部34の上端部34aは、上面板14の側縁部14c近傍に位置する補強部材22側に連続している。外筒部32の下端部32bは、後述するキャスター支持板40側に連続する。
【0020】
キャスター支持板40は、台車50のキャスター58が乗り入れ可能な厚みの板体であり、上面板14に対して略平行である。キャスター支持板40の形状は、変形した六角形であり、対向する一対の角部の間隔が他の二対の角部の間隔より長い。間隔が長い角部の間隔は、キャスター走行空間26の幅よりも長く、互いの間隔が長いこの角部付近に、各々支持部材30の外筒部32下端部32bが取り付けられている。一対の上面板14は、互いに対向する位置に支持部材30が各々設けられ、一対の上面板14は、一対の支持部材30と1つのキャスター支持板40を介して連結される。1つの側縁部14cにつき、当接部材24の近傍と、当接部材24とは反対側の端部近傍と、その中間付近の3か所に、支持部材30が設けられ、左右6つの支持部材30と3つのキャスター支持板40により、上面板14の3か所が互いに連結されている。
【0021】
3つのキャスター支持板40の形状は、当接部材24に近いキャスター支持板40aと、反対側のキャスター支持板40cは同じ形状で同じ大きさであり、中央のキャスター支持板40bは、それよりもキャスター走行空間26の挿通方向に長い。各キャスター支持板40の下側面には、使用状態で床11に接した時に滑らないように滑り止め用のゴム板42が設けられている。
【0022】
上面板14の下の空間、つまり側面板18と支持部材30の間の空間は、フォークリフトのフォーク70を差し込むフォーク差込部44である。フォーク差込部44は、当接部材24とは反対側が開口し、当接部材24まで連通している。
【0023】
支持部材30の伸縮方向の長さは、図10(a)に示すように、内筒部34のガイド突起38が、ガイド孔部36の下端部36aに位置する時は、一番短い状態であり、側面板18の短手方向の高さAからキャスター支持板40の厚みを引いたものとなる。つまり台車搬送用パレット10の使用状態で、側面板18の上面板14とは反対の下側縁部18aで台車搬送用パレット10を床11に置いた時、キャスター支持板40も床11等に接触し、上面板14は、側面板18と支持部材30に支持されて床11に対して略平行となる。フォーク差込部44にフォーク70を差し込んで床11から持ち上げた時、図10(b)に示すように内筒部34は外筒部32の内側を摺動して引き上げられ、外筒部32とキャスター支持板40は自重で下がり、支持部材30は内筒部34のガイド突起38がガイド孔部36の上端部36bに位置し、伸びて一番長い状態となる。側面板18の下側縁部18aは床11から上がり、キャスター支持板40は、側面板18の下側縁部18aよりも所定長さ下方に位置する。さらに持ち上げると、キャスター支持板40も床11から離れる。
【0024】
次に、台車搬送用パレット10の使用方法について説明する。まず、台車搬送用パレット10に載せる台車50について図1図5に基づいて説明する。台車50は、荷物を載せる台車本体51が設けられ、台車本体51は、4つのアルミ形材52を矩形に、例えば正方形に組み立て、各角部に扇形の固定部材54が取り付けられ連結されている。各固定部材54には、角部に沿うL字形の荷物ガイド56が上方に突出して設けられている。各固定部材54の下面には、キャスター58が取り付けられている。互いに平行な一対のアルミ形材52には、一対の補強部材59が渡されて取り付けられている。アルミ形材52で組まれた台車本体51は、台車搬送用パレット10の上面板14の幅よりも少し大きく、上面板14の側縁部14a,14cから両側が張り出し、キャスター58がキャスター走行空間26と、上面板14の側縁部14cの外側を通過することができる。そして、台車本体51は、1つの上面板14の長手方向に、2個並ぶ大きさである。つまり、一つの台車搬送用パレット10に、4つの台車50を載せることができる。台車50の使用方法は、アルミ形材52の上面で、荷物ガイド56の内側に図示しない荷物を積み、荷物を押してキャスター58で移動させる。
【0025】
まず、図1に示すように、一つの台車50aに図示しない荷物を積み、台車搬送用パレット10の一方の上面板14を跨いで当接部材24とは反対から、上面板14の長手方向に沿って走行させる。この時、4つのキャスター58のうち、2つはキャスター走行空間26を、キャスター支持板40を乗り越えて走行し、残る2つは側面板18の外側の床11を走行する。そして、当接部材24に当接して止まる。キャスター走行空間26を走行する2つのキャスター58のうち、当接部材24に近い方は当接部材24に近いキャスター支持板40aに載り、残る1つは、中央のキャスター支持板40bに載る。側面板18の短手方向の長さAは、図5に示すように台車50の、床11から台車本体51であるアルミ形材52の下面までの高さBよりもαだけ短いため、台車50は上面板14に接触することなく走行する。
【0026】
台車搬送用パレット10に一つの台車50aを載せて搬送する場合は、台車50aを載せた上面板14の中央の取付孔部28に台車ストッパー60を取り付け、台車50aの移動を止める。ここで、台車ストッパー60について説明する。台車ストッパー60は、上面板14から上方に突出するストッパー板部62が設けられ、ストッパー板部62は一方向に長い矩形であり、長手方向に沿う一方の側縁部には、ストッパー板部62の板面に対して略直角に連続する3つの取付板64と、ストッパー板部62と面一に連続し一対の取付板64の間に連続する2つの差込板66が設けられている。2つの差込板66は、一対の取付板64の間に各々設けられている。差込板66の先端は、取付板64と同じ方向に小さく折り曲げられて突出している。ストッパー板部62の他方の側縁部には、取付板64が突出する方向に、鈍角に折れ曲がる傾斜板68が設けられている。ストッパー板部62には、色々な目的の孔部が設けられてもよい。台車ストッパー60は、一つの板体を折り曲げて作られてもよい。
【0027】
台車ストッパー60の取付方法は、ストッパー板部62の長手方向を、上面板14の長手方向に交差させ、取付板64の突出方向を当接部材24と反対側に向け、一対の差込板66を上面板14の取付孔部28に差し込む。取付板64が上面板14の上面に接触し、ストッパー板部62が上面板14に対して略直角に立設される。台車50aは、台車ストッパー60のストッパー板部62にアルミ形材52が当接し、走行すること防ぐ。なお、台車50を載せたり降ろしたりする際は、台車ストッパー60を外す。
【0028】
台車搬送用パレット10は、図1に示すように、台車搬送用パレット10に4つの台車50a,50b,50c,50dまでを載せることができる。当接部材24側に位置する台車50bも、2つのキャスター58は、キャスター支持板40a,40bに載り、他の2つのキャスター58は側面板18の外側の床11に接する。当接部材24とは反対側に位置する一対の台車50c,50dは、2つのキャスター58はキャスター支持板40b,40cに載り、他の2つのキャスター58は側面板18の外側の床11に接する。キャスター支持板40bは面積が大きいため、4つのキャスター58を載せることができる。そして台車ストッパー60は、当接部材24とは反対側に位置する取付孔部28に、それぞれ取り付け、台車50c,50dの動きを止める。台車ストッパー60の取り付け位置は、載せる台車50の数に合わせて選択する。
【0029】
次に、台車50を載せた台車搬送用パレット10の、フォーク差込部44にフォークリフトのフォーク70を差し込んで床11から持ち上げる。すると上面板14が、台車50の台車本体51であるアルミ形材52の下面と接触し、台車50は上面板14に載って上昇する。キャスター支持板40は、支持部材30が最も長くなるまでは床11に接地し、それ以上持ち上げると床11から離れる。キャスター支持板40が台車50のキャスター58から下方に離れ、キャスター58は床11やキャスター支持板40から浮いた状態となり、キャスター58による移動が発生することが無い。このため安定して台車50を載せて、フォークリフトで搬送する。台車50を載せた台車搬送用パレット10を、フォークリフトでトラックの荷台に載せて、トラックで長距離輸送をすることもできる。なお、台車搬送用パレット10をトラックの荷台の奥に降ろす時、トラックの荷台でフォーク70を浅く差し込み直して再び持ち上げることがあり、台車搬送用パレット10は、上面板14と側面板18が直角に連続し、また上面板14と側面板18は梯子状の補強部材22で補強されているため、垂直方向の撓みに対して強度が有り、垂直方向の荷重による撓みを防ぐ。
【0030】
トラックやフォークリフトで目的の場所に移動した後、荷物を積んだ台車搬送用パレット10を床11に下ろし、フォーク70をフォーク差込部44から抜く。台車搬送用パレット10を床11に降ろすと、支持部材30は、図10(a)に示す短い状態となり、側面板18の下側縁部18aと、キャスター支持板40が床11に接触し、台車50のキャスター58は、床11またはキャスター支持板40に接触し、台車50のアルミ形材52の下面は上面板14からαだけ離間し、再び走行可能となる。台車ストッパー60を取付孔部28から外し、荷物を押して台車50を上面板14の長手方向に沿って走行させ、台車搬送用パレット10から離し、搬送が完了する。
【0031】
この実施形態の台車搬送用パレット10によれば、強度が高く、上下方向に撓むことが無く、荷物を積んだ台車50を載せてフォークリフトで安全に、搬送することができる。台車50を載せた台車搬送用パレット10を、フォークリフトでトラックの荷台に載せて、トラックで長距離輸送をすることができる。なお、台車搬送用パレット10をトラックの荷台の奥に降ろす時、トラックの荷台でフォーク70を浅く差し込み直して再び持ち上げる事があるが、フォーク70の差込方向に沿って長い矩形の板体である上面板14と側面板18が設けられ、上面板14と側面板18は互いに直角に連続し、また上面板14と側面板18は梯子状の補強部材22で補強されているため、垂直方向の撓みに対して強度が有り、荷重による撓みを防ぐことができ、安全である。台車50を載せる際は、上面板14の長手方向に走行させるだけであり、簡単である。
【0032】
床11に置いた時は、上面板14が台車50の台車本体51の下面より低く、キャスター58が床11とキャスター支持板40を走行可能であり、フォークリフトで床11から持ち上げた時は支持部材30が長くなってキャスター支持板40がキャスター58から離れるため、キャスター58による移動が不可能となり、フォークリフトで持ち上げた時に安全である。支持部材30は簡単な構造で伸縮可能であり、上面板14を床11の上に支える十分な強度を有し、キャスター支持板40の自重により確実に伸びることができる。
【0033】
台車搬送用パレット10の、側面板18の外側に台車50のキャスター58が位置して載せる構造であり、台車50を4つ載せた面積よりも小さいものであり、コンパクトで軽量である。台車50を積んでいない空の状態で、コンパクトに効率よく移動や収納を行うことができる。上面板14には開口部16が設けられ、側面板18にはスリット20が設けられ、軽量化を図ることができる。着脱式の台車ストッパー60を有し、より安全に搬送することができる。載せる台車50の数に合わせて位置を変更して取り付けることができ、4つ以内の任意の数を安全に搬送することができる。キャスター支持板40にはゴム板42が設けられ、床11に接する時に滑ることが無い。
【0034】
なお台車搬送用パレット10は、4つの台車50を載せるもの以外でも良く、図11に示すように6つの台車50を載せるものでも良い。図11に示す台車搬送用パレット72は、一対の上面板14が長手方向に長く、3つの台車50を載せることができる。台車ストッパー60は、矩形の筒形状であり、台車ストッパー60を取り付ける一対の取付孔部28は、各上面板14に3か所設けられている。支持部材30は、1つの側縁部14cにつき、当接部材24の近傍と、当接部材24とは反対側の端部近傍と、その間の2か所の、6か所に設けられ、左右8つの支持部材30と4つのキャスター支持板40により、上面板14の4か所が互いに連結されている。キャスター支持板40の形状は、当接部材24に近いキャスター支持板40aと、反対側のキャスター支持板40cは同じ形状で同じ大きさであり、中央の2つのキャスター支持板40bは、それよりもキャスター走行空間26の挿通方向に長い。側面板18の外側面にも補強部材22が設けられている。
【0035】
この台車搬送用パレット72によれば、前記実施形態と同様の使用方法であり、同様の効果を有するものである。そして6つの台車50を載せる十分な強度を有し、6つの台車を載せて、効率よくフォークリフトで搬送することができる。
【0036】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上面板の大きさや垂直方向の高さ等、載せる台車の形状や数にあわせて、適宜変更可能である。キャスター支持板や当接部材、台車ストッパーの形状も上記以外でも良い。台車に載せる荷物はどんなものでも良い。載せる台車の最大数は、上記以外に設定しても良い。支持部材の構造は、上記以外でも良い。材料は金属以外でも良く、木や合成樹脂を使用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 台車搬送用パレット
11 床
14 上面板
14a,14c 側縁部
18 側面板
18a 下側縁部
22 補強部材
24 当接部材
26 キャスター走行空間
30 支持部材
40 キャスター支持板
44 フォーク差込部
50 台車
51 台車本体
58 キャスター
60 台車ストッパー
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11