(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128445
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】防塵服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
A41D13/002 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037423
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519429200
【氏名又は名称】シーズシー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】神澤 啓彰
(72)【発明者】
【氏名】松田 健作
(72)【発明者】
【氏名】畑中 孝文
(72)【発明者】
【氏名】阪本 雅宜
(72)【発明者】
【氏名】難波 重典
(72)【発明者】
【氏名】藤本 貴啓
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211AA02
3B211AB02
3B211AC02
3B211AC03
3B211AC18
3B211AC24
3B211AC26
(57)【要約】
【課題】防塵服内の空気を特定の箇所から排出することができる防塵服を提供する。
【解決手段】身体を覆う防塵服であって、第一の素材によって構成された第一部分と、第二の素材によって構成された第二部分と、前記第一部分に設けられた開口部から前記防塵服内に外気を取り込むファンと、を備え、前記第二部分は、前記防塵服の背面に配置されており、前記第一の素材は、第一の粒径を有する粒子に対する捕集性を有し、前記第二の素材は、第二の粒径を有する粒子に対する捕集性と、前記第一の素材よりも高い通気性とを有し、前記第一の粒径は前記第二の粒径よりも小さい、防塵服。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体を覆う防塵服であって、
第一の素材によって構成された第一部分と、
第二の素材によって構成された第二部分と、
前記第一部分に設けられた開口部から前記防塵服内に外気を取り込むファンと、を備え、
前記第二部分は、前記防塵服の背面に配置されており、
前記第一の素材は、第一の粒径を有する粒子に対する捕集性を有し、
前記第二の素材は、第二の粒径を有する粒子に対する捕集性と、前記第一の素材よりも高い通気性とを有し、
前記第一の粒径は前記第二の粒径よりも小さい、
防塵服。
【請求項2】
前記第二部分は、脇の後ろ及びふくらはぎの少なくとも一方に対応する部位である、請求項1に記載の防塵服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防塵服に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の塗装工場では、製品への粉塵の付着を防止するため、空気の清浄度が管理されたクリーンルーム内で作業が行われる。クリーンルーム内では、作業者は防塵服を着用する。防塵服は通常、作業着の上に着用する。一般に防塵服の素材は、気密性が高く、粉塵を通しにくい生地が採用されている。
【0003】
特許文献1には、衣服の内部に送風装置から空気を送り込むことで使用者の身体を冷却する冷却服が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
気密性が高い素材、即ち通気性が低い素材によって防塵服が構成されている場合、防塵服内の空気が袖口、裾口および襟口から漏れる。防塵服内に粉塵が存在する場合、防塵服内の空気と一緒に粉塵が袖口などから防塵服の外に排出される。防塵服内の粉塵は、例えば、作業着に付着していた粉塵、および作業着と防塵服とが擦れて発生した粉塵である。作業中、袖口および襟口から防塵服内の空気と一緒に粉塵が排出されると、粉塵が製品に付着するおそれがある。裾口から防塵服内の空気が排出されると、裾口から排出された空気による風の作用によって床に落ちている粉塵が舞い上がるおそれがある。
【0006】
本発明の目的の一つは、防塵服内の空気を特定の箇所から排出することができる防塵服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様に係る防塵服は、
身体を覆う防塵服であって、
第一の素材によって構成された第一部分と、
第二の素材によって構成された第二部分と、
前記第一部分に設けられた開口部から前記防塵服内に外気を取り込むファンと、を備え、
前記第二部分は、前記防塵服の背面に配置されており、
前記第一の素材は、第一の粒径を有する粒子に対する捕集性を有し、
前記第二の素材は、第二の粒径を有する粒子に対する捕集性と、前記第一の素材よりも高い通気性とを有し、
前記第一の粒径は前記第二の粒径よりも小さい。
【0008】
(2)上記(1)に記載の防塵服において、
前記第二部分は、脇の後ろ及びふくらはぎの少なくとも一方に対応する部位であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
上記(1)の防塵服は、ファンよって防塵服内に取り込まれた外気が防塵服の内部を流れることで、使用者の身体を冷却することが可能である。上記(1)の防塵服において、第二の素材によって構成された第二部分が防塵服の内部から外部に空気を排出する部分である。第二部分は、第一部分を構成する第一の素材よりも高い通気性を有する。上記(1)の防塵服によれば、第二部分が設けられた特定の箇所から防塵服内の空気が排出される。第二の素材は、第二の粒径を有する粒子に対する捕集性を有するため、防塵服内の空気が第二部分から防塵服の外に排出される際に、防塵服内の空気と一緒に、第二の粒径を有する粒子が第二部分から排出されることを抑制できる。
【0010】
上記(2)の防塵服によれば、脇の後ろ及びふくらはぎの少なくとも一方に対応する部位から防塵服内の空気が排出される。使用者の後方に向けて空気が排出されるため、排出された空気は使用者の前方の作業空間に届きにくい。作業空間内の製品にも排出された空気が届きにくいため、製品への粒子の付着を抑制しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る防塵服を模式的に示す正面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る防塵服を模式的に示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る防塵服の具体例を、図面を参照して説明する。各図において、同一又は相当する部分には同じ符号を付している。図中、方向を示す矢印は使用者を基準とした方向を示し、「LH」は防塵服の左側、「RH」は防塵服の右側、「UP」は防塵服の上側、「LWR」は防塵服の下側を示している。
【0013】
<防塵服>
図1および
図2を参照して、実施形態の防塵服1を説明する。防塵服1は、上衣と下衣とがつながったつなぎ服である。防塵服1は、図示しない使用者の身体を覆う。防塵服1は衣服の上から着用される。
【0014】
防塵服1は、第一部分11と第二部分12とを備える。第一部分11と第二部分12とは、異なる箇所であり、重なっていない。
図1および
図2では、わかりやすいように、第一部分11を白抜きで示し、第二部分12をハッチングで示している。防塵服1には、
図2に示すように、防塵服1内に外気を取り込むファン31が取り付けられている。防塵服1内に取り込まれた外気は、防塵服1の内部を流れることにより、使用者の身体を冷却する。実施形態の防塵服1の特徴の1つは、第一部分11と第二部分12とが互いに異なる素材によって構成されている点である。第二部分12を構成する第二の素材102は、第一部分11を構成する第一の素材101よりも高い通気性を有している。以下、防塵服1の構成を詳しく説明する。
【0015】
(第一部分)
第一部分11は、後述する第一の素材101によって構成されている。第一部分11は防塵服1の大部分を占める。第一部分11は、胴体、腕および脚の大部分を覆う。
【0016】
(第一の素材)
〈通気性〉
第一の素材101は、通気性が低い生地である。「通気性」とは、生地を構成している繊維の隙間を空気が通過する性質である。通気性が低いほど、空気が通過しにくい。通気性が高いほど、空気が通過しやすい。通気性が低い第一の素材101によって構成されている第一部分11は、気密性が高い。防塵服1内の空気は、第一部分11から防塵服1の外に排出されにくい。第一の素材101の具体例は、帝人株式会社製のT33990(品番)である。
【0017】
第一の素材101の通気度は、例えば、20cm3/cm2/sec以下である。「通気度」は、1秒間に1cm2の面積あたり生地を通過する空気量(cm3)を表す。ここでいう「通気度」とは、JIS L 1096(1999)8.27.1 A法に準拠した通気性試験によって測定されたものである。第一の素材101の通気度は、さらに10cm3/cm2/sec以下、5cm3/cm2/sec以下でもよい。
【0018】
〈捕集性〉
第一の素材101は、高い捕集性を有する。「捕集性」とは、マイクロメートルオーダーの粒子を捕集する性質である。捕集性が高いほど、微細な粒子を通しにくい。一般に、捕集性が高いほど、空気も通りにくくなるため、通気性が低くなる。
【0019】
第一の素材101は、第一の粒径を有する粒子に対する捕集性を有する。「第一の粒径を有する粒子に対する捕集性を有する」とは、第一の粒径を有する粒子を99%以上捕集することを意味する。つまり、第一の粒径を有する粒子に対する捕集率が99%以上100%以下である。以下、第一の粒径を有する粒子を「第一粒子」と呼ぶ場合がある。「捕集率」は、生地を通過する空気中の粉塵を捕集する割合を表す。捕集率の測定方法については後述する。
【0020】
第一の粒径は、防塵服1に要求される性能に応じて適宜設定される。第一の粒径は、例えば10μm以上50μm以下である。第一の粒径の一例は10μmである。第一の粒径は、例えば20μm、30μm、40μmまたは50μmでもよい。第一粒子に対する第一の素材101の捕集率は、例えば、粒径が10μmの粒子に対して99.0%以上、粒径が30μmの粒子に対して99.3%以上、粒径が50μmの粒子に対して99.5%以上である。ここでいう「粒径」は、光散乱法により測定されたものである。光散乱法は、粒子に光を照射し、粒子からの散乱光を受光素子で検知し、散乱光の大きさから球と仮定した粒子の粒径を判定する方法である。
【0021】
第一の粒径を有する粒子に対する捕集性を有するということは、第一の素材101は、第一の粒径よりも大きい粒子に対する捕集性を有しているといえる。第一の粒径は、後述する第二の粒径よりも小さい。第一の素材101は、後述する第二部分12を構成する第二の素材102よりも高い捕集性を有する。具体的には、第一粒子に対する捕集性が第二の素材102よりも高いだけでなく、後述する第二の粒径を有する粒子に対する捕集性も有している。第二の粒径を有する第二粒子に対する第一の素材101の捕集率は、99%以上100%以下である。第二粒子に対する第一の素材101の捕集率は、さらに99.5%以上、99.9%以上、または100%でもよい。
【0022】
防塵服1内の空気が第一部分11から防塵服1の外に排出されることがあっても、防塵服1内の空気中に浮遊する第一の粒径以上の粒子は第一の素材101によって99%以上捕集される。防塵服1内に粉塵が存在する場合であっても、防塵服1内の空気と一緒に、第一の粒径以上の粒子が第一部分11から防塵服1の外に排出されることはほぼない。防塵服1内の粉塵は、例えば、衣服に付着していた粉塵、および衣服と防塵服1とが擦れて発生した粉塵である。
【0023】
(第二部分)
第二部分12は、後述する第二の素材102によって構成されている。第二部分12は防塵服1の一部である。第二部分12の面積は第一部分11の面積よりも小さい。
【0024】
第二部分12は、防塵服1の内部から外部に空気を排出する部分である。即ち、防塵服1内の空気は、第二の素材102を通過することにより、防塵服1の外に排出される。ファン31によって防塵服1内に取り込まれた外気は、主に第二部分12から防塵服1の外に排出される。そのため、後述する袖口21、裾口22および襟口23から防塵服1内の空気が漏れることを抑制できる。
【0025】
第二部分12は、防塵服1の背面に配置されている。第二部分12の位置および範囲は適宜選択できる。第二部分12は、例えば、脇の後ろ及びふくらはぎの少なくとも一方に対応する部位である。「脇の後ろ」には、「脇の下」も含まれる。本例では、第二部分12は、脇の後ろ及びふくらはぎの両方に対応する部位である。具体的には、第二部分12は、左右の脇の後ろと左右のふくらはぎのそれぞれに対応する部位である。即ち、第二部分12は合計4箇所である。第二部分12が防塵服1の背面に配置されていることで、防塵服1内の空気が使用者の後方に向けて排出される。排出された空気が使用者の前方の作業空間に届きにくいため、作業空間内の製品への粒子の付着を抑制しやすい。特に、第二部分12が脇の後ろに対応する部位である場合、ファン31によって防塵服1内に取り込まれた外気が脇の下を通るように流れやすい。脇の下が効率よく冷却されるため、身体が効果的に冷却されやすい。防塵服1を着用したとき、脇に対応する部位は床から一定の高さがあり、ふくらはぎに対応する部位は使用者の後方に位置する。これらの部位から使用者の後方に向けて防塵服1内の空気が排出されるため、裾口22から下方に防塵服1内の空気が排出される場合に比べて、床上の粉塵を舞い上げにくい。
【0026】
防塵服1に占める第二部分12の割合は、防塵服1の面積を100%とした場合、例えば4%以上25%以下である。第二部分12の割合とは、防塵服1の面積に対する第二部分12の面積のことを意味する。防塵服1の面積は、第一部分11と第二部分12との合計面積である。つまり、第一部分11の割合は、例えば75%以上96%以下である。第二部分12が複数箇所ある場合、第二部分12の面積は、全ての第二部分12の合計面積である。第二部分12の割合が4%以上であることで、ファン31によって防塵服1内に取り込まれた外気が第二部分12から防塵服1の外に排出されやすい。第二部分12の割合が大きいほど、防塵服1内の空気が排出される箇所が増える。第二部分12の割合が25%以下であることで、防塵服1の内部に流れる外気の量が確保されやすい。第二部分12の割合は、さらに5%以上20%以下でもよい。
【0027】
第二部分12の面積は、例えば60cm2以上である。第二部分12の面積が60cm2以上であることで、ファン31によって防塵服1内に取り込まれた外気が第二部分12から防塵服1の外に緩やかに排出されやすい。第二部分12の面積は、さらに80cm2以上、100cm2以上でもよい。第二部分12の面積の上限は、例えば5000cm2以下である。第二部分12の面積は、さらに4000cm2以下、3500cm2以下でもよい。
【0028】
(第二の素材)
〈通気性〉
第二の素材102は、第一の素材101よりも高い通気性を有する生地である。つまり、第二部分12は、第一部分11よりも気密性が低い。第二の素材102の通気度は、例えば、40cm3/cm2/sec以上である。第二の素材102の通気度は、さらに40cm3/cm2/sec超、45cm3/cm2/sec以上でもよい。第二の素材102の具体例は、帝人株式会社製のTY2341(品番)である。
【0029】
〈捕集性〉
第二の素材102は、第二の粒径を有する粒子に対する捕集性を有する。つまり、第二の粒径を有する粒子に対する捕集率が99%以上100%以下である。以下、第二の粒径を有する粒子を「第二粒子」と呼ぶ場合がある。第二粒子に対する第二の素材102の捕集率は、さらに99.5%以上、99.9%以上、または100%でもよい。第二の粒径は、第一の粒径よりも大きい。第一の粒径が10μmである場合、第二の粒径は、例えば30μm、50μmまたは100μmでもよい。
【0030】
第二の粒径は、防塵服1に要求される性能に応じて適宜設定される。第二の素材102は、防塵服1に要求される最低限の捕集性を有する。第二の粒径の具体例は100μm以上の範囲である。第二の素材102は、第一の素材101よりも低い捕集性を有する。具体的には、第二の素材102は、上述した第一の粒径を有する粒子に対する捕集性が第一の素材101よりも低い。第一の粒径を有する第一粒子に対する第二の素材102の捕集率は、例えば95%以上99%未満である。第一粒子に対する第二の素材102の捕集率は、例えば、粒径が10μmの粒子に対して95.0%以上、粒径が30μmの粒子に対して96.0%以上、粒径が50μmの粒子に対して98.0%以上である。
【0031】
防塵服1内の空気が第二部分12から防塵服1の外に排出される際に、防塵服1内の空気中に浮遊する粒径が100μm以上の粒子が第二の素材102によって99%以上捕集される。防塵服1内に粉塵が存在する場合であっても、防塵服1内の空気と一緒に、粒径が100μm以上の粒子が第二部分12から防塵服1の外に排出されることを抑制できる。さらに、粒径が10μm以上50μm以下の微細な粒子も、第二の素材102によって95%以上捕集される。
【0032】
〈捕集率の測定方法〉
捕集率の測定は、タンブリング試験装置を用いて次のように行う。測定前にタンブリング試験装置の庫内に粉塵が存在しないことを確認する。粉塵の確認は、光散乱式気中パーティクルカウンタを用いる。タンブリング試験装置の庫内は一次側と二次側とに分かれている。一次側と二次側との間を仕切るように測定対象の生地をセットする。一次側に粉塵を入れる。粉塵は、粒径が10μm以上100μm以下の複数の粒子が含まれている。一次側から二次側に向けて風を発生させて、一次側の空気を生地に通過させる。風速は一定とする。風を発生させる時間は、例えば30秒以上600秒以下とする。空気を生地に通過させた後、一次側の空気中に浮遊する粒子の個数と二次側の空気中に浮遊する粒子の個数とをパーティクルカウンタを用いてそれぞれ計数する。一次側の粒子の個数および二次側の粒子の個数は、1立方フィートあたりの空気中に浮遊する個数(個/1cf)である。捕集率は、(二次側の粒子の個数P2/一次側の粒子の個数P1)×100%によって求められる。
【0033】
第一の素材101に用いられるT33990および第二の素材102に用いられるTY2341のそれぞれの生地について、捕集率を測定した。パーティクルカウンタには、リオン株式会社製のパーティクルカウンタKC-20Aを使用した。風速は、約0.15m/secとした。風を発生させる時間は60秒とした。風速の測定には、日本カノマックス株式会社製の風速計6113を使用した。一次側から二次側に風を発生させたとき、T33990を空気が通過する前と空気が通過した後のそれぞれの圧力は、通過前68Pa、通過後43Paであった。一次側から二次側に風を発生させたとき、TY2341を空気が通過する前と空気が通過した後のそれぞれの圧力は、通過前10Pa、通過後8Paであった。ここで測定した圧力は、風を発生させたときの生地表面の圧力である。通過前の圧力は、一次側に配置された生地表面の圧力を意味する。通過後の圧力は、二次側に配置された生地表面の圧力を意味する。
【0034】
空気を生地に通過させた後、粒径が10μm、20μm、30μm、50μmおよび100μmのそれぞれの粒子に対する捕集率を求めた。具体的には、一次側の各粒子の個数と二次側の各粒子の個数とをパーティクルカウンタを用いてそれぞれ計数し、各粒径の粒子に対する捕集率を算出した。各粒子の個数は、10μm以上、20μm以上、30μm以上、50μm以上および100μm以上の各粒径区分の粒子数である。つまり、表1に示す各粒径の粒子は、その粒径以上の全ての粒子を含む。例えば、粒径が10μmの粒子の場合、粒径が10μm以上の全ての粒子を含む。T33990の捕集率を表1に示す。TY2341の捕集率を表2に示す。
【0035】
【0036】
【0037】
(ファン)
ファン31は、
図2に示すように、第一部分11に設けられた開口部30に配置されている。ファン31は、開口部30から防塵服1内に外気を取り込む装置である。
【0038】
ファン31は、図示しないバッテリーから供給される電力によって駆動する。ファン31の数は、1でもよいし、2以上でもよい。ファン31の数は、例えば2以上6以下である。ファン31の数が多いほど、より多くの外気を防塵服1内に取り込むことができる。防塵服1の内部に流れる外気の量が増えるため、身体がより冷却されやすい。ファン31の数が多くなると、防塵服1の重量が増える。本例では、ファン31の数が2である。
【0039】
本例では、ファン31は、防塵服1の後ろ身頃に配置されている。「後ろ身頃」とは、背中を覆う部分である。本例とは異なり、ファン31は前身頃に配置されていてもよい。「前身頃」とは、胸および腹を覆う部分である。ファン31が外気を取り込むとき、ファン31から発生する風圧によってファン31が配置された部分が膨らむ。ファン31が後ろ身頃に配置されている場合は、ファン31が前身頃に配置されている場合に比較して、ファン31が作業の邪魔になりにくい。
【0040】
ファン31の位置、即ちファン31が取り付けられる開口部30の位置は、適宜選択できる。ファン31は、例えば、脇腹および肩甲骨の少なくとも一方に対応する部位に位置する。ファン31の位置が脇腹および肩甲骨の少なくとも一方に対応する部位である場合、ファン31によって取り込まれた外気が防塵服1内の全体に回りやすい。そのため、胴体だけでなく、腕および脚まで身体全体が冷却されやすい。特に、ファン31の位置が脇腹に対応する部位である場合、肩甲骨に対応する部位に比較して、ファン31が身体に密着しにくい。そのため、ファン31によって外気を取り込みやすい。加えて、ファン31が身体に密着しにくいため、使用者が不快を感じにくい。本例では、具体的には、ファン31の位置は脇腹の後ろに対応する部位である。
【0041】
防塵服1には、
図1に示すように、ファン31のバッテリーを収納するポケット32が設けられている。ポケット32の位置は適宜選択できる。本例では、ポケット32は、防塵服1の左前身頃の内側に縫い付けられている。ポケット32が左右の少なくとも一方の前身頃に設けられていれば、バッテリーが収納されていることを使用者が確認しやすい。
【0042】
(袖口、裾口、襟口)
防塵服1は、袖口21、裾口22および襟口23を有する。袖口21は手首が通される部分である。裾口22は足首が通される部分である。襟口23は首が通される部分である。袖口21、裾口22および襟口23は伸縮性を有する素材によって構成されている。伸縮性を有する素材は、例えば、ニット生地またはゴムが織り込まれた生地である。袖口21が伸縮性を有することで、袖口21と手首との間に隙間ができにくい。裾口22が伸縮性を有することで、裾口22と足首との間に隙間ができにくい。襟口23が伸縮性を有することで、襟口23と首との間に隙間ができにくい。そのため、袖口21、裾口22および襟口23から防塵服1内の空気が漏れにくい。
【0043】
(ファスナ)
防塵服1の前身頃には、
図1に示すように、ファスナ40が設けられている。ファスナ40はオープンファスナである。本例では、ファスナ40は、襟口23から股にかけて設けられている。ファスナ40を開くことで、防塵服1を着脱しやすい。ファスナ40の開き方向は上から下でもよいし、下から上でもでもよい。ファスナ40の開き方向が上から下の場合、ファスナ40を開け閉めする際に使用者がファスナ40を手で操作しやすい。ファスナ40の開き方向が下から上の場合、防塵服1を着用する際に襟口23がある上からファスナ40を閉める。そのため、防塵服1を着用したとき、襟口23が確実に閉じられる。
【0044】
本発明は、これらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
1 防塵服
11 第一部分
12 第二部分
21 袖口
22 裾口
23 襟口
30 開口部
31 ファン
32 ポケット
40 ファスナ
101 第一の素材
102 第二の素材