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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128455
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】空力制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 35/00 20060101AFI20240913BHJP
   B60S 1/62 20060101ALI20240913BHJP
   F15D 1/12 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B62D35/00 Z
B62D35/00 A
B60S1/62 110
B60S1/62 120C
F15D1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037439
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】益子 泰一郎
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA11
3D225AB01
3D225AB02
3D225AC06
3D225AD22
(57)【要約】
【課題】可動部品を使用せずに車両の空力制御を行うことができる空力制御装置を提供する。
【解決手段】空力制御装置1は、車両2に搭載された空力装置3を制御する。空力制御装置1は、空力装置3に対してマイナスに帯電した物質(マイナスイオン)を発生させる静電気発生器7と、空力装置3による空気の流れが切り換わるように静電気発生器7を制御する制御部12とを備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された空力装置を制御する空力制御装置であって、
前記空力装置に対してマイナスに帯電した物質を発生させる静電気発生部と、
前記空力装置による空気の流れが切り換わるように前記静電気発生部を制御する制御部とを備える空力制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、空気が対象物に向かう流れと空気が前記対象物を避ける流れ又は空気が前記対象物に向かう量を抑制する流れとが切り換わるように前記静電気発生部を制御する請求項1記載の空力制御装置。
【請求項3】
前記対象物に不要物が付着しているかどうかを判定する判定部を更に備え、
前記制御部は、前記判定部により前記対象物に前記不要物が付着していないと判定されたときは、前記空力装置により空気が前記対象物を避ける流れとなるように前記静電気発生部を制御し、前記判定部により前記対象物に前記不要物が付着していると判定されたときは、空気が前記対象物に向かう流れとなるように前記静電気発生部を制御する請求項2記載の空力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空力制御装置としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の空力制御装置は、車両のルーフパネルとリアウインドウとの接続部に配置され、車幅方向に延びる板状の可動部と、この可動部を駆動する駆動装置と、この駆動装置のアクチュエータを制御する制御部とを備えている。制御部は、車両の車速が高くなるに従ってルーフパネルの上面から上方への可動部の突出量が小さくなるようにアクチュエータを制御することで、可動部に導かれてリアウインドウに沿って流れる空気の量が減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-61836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、可動部品(可動部)と可動部品を駆動する駆動装置とを用いているため、コスト及び信頼性の面で不利となる。従って、可動部品を使用しないで車両の空力制御を行うことが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、可動部品を使用せずに車両の空力制御を行うことができる空力制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車両に搭載された空力装置を制御する空力制御装置であって、空力装置に対してマイナスに帯電した物質を発生させる静電気発生部と、空力装置による空気の流れが切り換わるように静電気発生部を制御する制御部とを備える。
【0007】
このような空力制御装置においては、静電気発生部が作動しない状態では、車両と空気との摩擦により空力装置の周辺がプラスに帯電することで、空力装置の周辺の空気が静電気力により反発し、空力装置に対して空気の流れ(気流)が偏向しやすくなる。静電気発生部が作動する状態では、静電気発生部から空力装置に対してマイナスに帯電した物質が発生することで、空力装置の周辺のプラス帯電が中和され、空力装置に対して気流が進入しやすくなる。そこで、空力装置による空気の流れが切り換わるように静電気発生部を制御することにより、可動部品を使用しなくても、車両の空力制御を行うことができる。
【0008】
制御部は、空気が対象物に向かう流れと空気が対象物を避ける流れ又は空気が対象物に向かう量を抑制する流れとが切り換わるように静電気発生部を制御してもよい。
【0009】
このような構成では、空気が対象物を避ける流れと空気が対象物に向かう流れとを切り換えることにより、必要に応じて対象物に対する防風機能を適切に発揮させることができる。空気が対象物に向かう流れと空気が対象物に向かう量を抑制する流れとを切り換えることにより、必要に応じて対象物に対する空気流入量の調整機能を適切に発揮させることができる。
【0010】
空力制御装置は、対象物に不要物が付着しているかどうかを判定する判定部を更に備え、制御部は、判定部により対象物に不要物が付着していないと判定されたときは、空力装置により空気が対象物を避ける流れとなるように静電気発生部を制御し、判定部により対象物に不要物が付着していると判定されたときは、空気が対象物に向かう流れとなるように静電気発生部を制御してもよい。
【0011】
このような構成では、対象物に不要物が付着していないときは、空力装置により空気が対象物を避ける流れとなるため、対象物に対する防風機能が発揮されると共に、対象物へ不要物が付着しにくくなる。対象物に不要物が付着しているときは、空気が対象物に向かう流れとなるため、風により対象物に付着した不要物が除去される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、可動部品を使用せずに車両の空力制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る空力制御装置の構成を示すブロック図である。
図2図1に示された静電気発生器のON/OFF時の空気の流れを示す概念図である。
図3図1に示されたECUにより実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。
図4】本発明の他の実施形態に係る空力制御装置の構成を示すブロック図である。
図5図4に示された静電気発生器のON/OFF時の空気の流れを示す概念図である。
図6図5中の範囲Gの拡大図である。
図7図4に示されたECUにより実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る空力制御装置の構成を示すブロック図である。図1において、本実施形態の空力制御装置1は、図2に示されるように、車両2に搭載された空力装置3を制御する装置である。空力制御装置1は、自動運転を行う車両2に搭載されている。空力装置3は、車体4に取り付けられている。
【0016】
本実施形態では、空力装置3は、図2に示されるように、車体4に取り付けられたセンサ5に対する防風機能を有している。つまり、センサ5は、空力装置3による防風の対象物である。センサ5は、例えば自動運転時に、車両2の自己位置の推定に使用される。このようなセンサ5としては、車両2の周囲を撮像するカメラや、車両2の周囲にレーザまたはレーダを照射する測距センサ等が挙げられる。センサ5は、撮像画像や反射点群データ等の検出信号を出力する。
【0017】
センサ5は、自身の不具合の有無を診断する自己診断機能を有している。センサ5に汚れ、ゴミ、雨滴または雪等の不要物が付着すると、センサ5の不具合が発生していると診断される。例えば、カメラでは、常に同じ画像が取得される場合、不要物が付着していると診断される。レーザ及びレーダでは、反射率が低下した場合、不要物が付着していると診断される。センサ5の出力信号は、検出信号に加え、自己診断信号を含んでいる。センサ5に不要物が付着すると、センサ5から自己診断信号として不要物付着信号が出力される。
【0018】
空力制御装置1は、上記のセンサ5と、車両2の速度(車速)を計測する速度計6と、静電気発生器7と、ECU(ElectronicControl Unit)10とを備えている。
【0019】
静電気発生器7は、空力装置3に対してマイナスイオンを発生させる静電気発生部である。マイナスイオンは、マイナスに帯電した物質である。静電気発生器7は、空力装置3に向けてマイナスイオンを放出する。
【0020】
走行中の車両2は、ゴム製のタイヤ8(図2参照)により地球と絶縁された状態で、高速で空気と接触し続けるため、プラスに帯電する。このため、車両2の表面近傍に存在する空気は、静電気力により反発して車両2の表面に沿って流れないことがある。静電気発生器7からマイナスイオンを発生させると、マイナスイオンによりプラス帯電が中和される。
【0021】
ECU10は、例えばCPU、ROM、RAM及び入出力インターフェース等から構成されている。ECU10は、判定部11と、制御部12とを有している。
【0022】
判定部11は、センサ5の自己診断信号と速度計6の計測値とに基づいて、車両2の走行中にセンサ5に汚れ等の不要物が付着しているかどうかを判定する。
【0023】
制御部12は、判定部11の判定結果に応じて、空力装置3によるセンサ5に対する空気の流れが切り換わるように静電気発生器7を制御する。制御部12は、空気がセンサ5を避ける流れと空気がセンサ5に向かう流れとが切り換わるように静電気発生器7を制御する。
【0024】
制御部12は、判定部11によりセンサ5に不要物が付着していないと判定されたときは、空力装置3により空気がセンサ5を避ける流れとなるように静電気発生器7を制御する。制御部12は、判定部11によりセンサ5に不要物が付着していると判定されたときは、空気がセンサ5に向かう流れとなるように静電気発生器7を制御する。
【0025】
図3は、ECU10により実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、車両2が始動されると、実行される。
【0026】
図3において、ECU10は、まず速度計6の計測値及びセンサ5の自己診断信号を取得する(手順S101)。続いて、ECU10は、速度計6の計測値に基づいて、車両2の車速が予め決められた規定速度以上であるかどうかを判断する(手順S102)。規定速度は、例えばゼロに近い低速値である。
【0027】
ECU10は、車両2の車速が規定速度以上であると判断したときは、センサ5の自己診断信号に基づいて、センサ5に不要物が付着していないかどうかを判断する(手順S103)。ECU10は、センサ5に不要物が付着していないと判断したときは、静電気発生器7をON制御する(手順S104)。
【0028】
静電気発生器7がON制御されると、静電気発生器7が作動し、静電気発生器7からマイナスイオンが発生する。すると、図2(a)に示されるように、静電気発生器7から発生したマイナスイオンにより空力装置3の周辺のプラス帯電が中和されるため、空力装置3に気流が進入しやすくなる(図中の矢印A参照)。これにより、センサ5に気流が直撃することが抑制されるため、空力装置3の本来の機能であるセンサ5に対する防風機能が発揮され、センサ5が保護される。
【0029】
ECU10は、手順S102で車両2の車速が規定速度よりも低いと判断したとき、または手順S103でセンサ5に不要物が付着していると判断したときは、静電気発生器7をOFF制御する(手順S105)。
【0030】
静電気発生器7がOFF制御されると、静電気発生器7が作動しない。このため、図2(b)に示されるように、空力装置3の周辺がプラスに帯電することで、静電気力による反発によって空力装置3の周辺の気流が偏向する(図中の矢印B参照)。これにより、空力装置3によるセンサ5の防風機能が抑制される。そして、車両2の走行時には、センサ5に高速の走行風が当たることで、センサ5に付着した汚れが洗浄されると共に、センサ5に付着したゴミ、雨滴または雪等が吹き飛ばされる。
【0031】
ECU10は、手順S104または手順S105が実行された後、上記の手順S101を再度実行する。
【0032】
ここで、判定部11は、手順S101~S103を実行する。制御部12は、手順S104,S105を実行する。
【0033】
ところで、一般に自動運転用の車両では、車体各部にセンサが搭載される。センサに汚れが付着すると、センサの性能が低下する。このため、従来においては、主にワイパ、圧縮空気または洗浄液噴射等によりセンサを洗浄する洗浄機を搭載する必要があった。しかし、洗浄機は、複数の可動部品を備えている。特に大型車では、死角を極力減らすため、乗用車以上に車体各部に分散してセンサを搭載する必要がある。従って、洗浄機を搭載することは、コスト及び信頼性の面で不利である。また、大型車では、センサ間の距離が長いため、洗浄液の供給が困難になる。可変式の空力装置を搭載すれば、そのような問題を解決することができる。ただし、この場合にも、可動部品を備えることとなるため、やはりコスト及び信頼性の面で不利となる。
【0034】
そのような課題に対し、本実施形態では、空力装置3に対してマイナスイオンを発生させる静電気発生器7を備え、空力装置3によるセンサ5に対する空気の流れが切り換わるように静電気発生器7を制御する。静電気発生器7が作動しないOFF状態では、車両2と空気との摩擦により空力装置3の周辺がプラスに帯電することで、空力装置3の周辺の空気が静電気力により反発し、空力装置3に対して空気の流れ(気流)が偏向しやすくなる。静電気発生器7が作動するON状態では、静電気発生器7から空力装置3に対してマイナスイオンが発生することで、空力装置3の周辺のプラス帯電が中和され、空力装置3に対して気流が進入しやすくなる。このように空力装置3による空気の流れが切り換わるように静電気発生器7を制御することにより、可動部品を使用しなくても、車両2の空力制御を行うことができる。その結果、コストを低減すると共に、信頼性を向上させることができる。
【0035】
また、本実施形態では、静電気発生器7を制御して、空気がセンサ5を避ける流れと空気がセンサ5に向かう流れとを切り換えることにより、必要に応じてセンサ5に対する防風機能を適切に発揮させることができる。
【0036】
また、本実施形態では、センサ5に不要物が付着していないときは、空力装置3により空気がセンサ5を避ける流れとなるように静電気発生器7が制御されるため、センサ5に対する防風機能が発揮されると共に、センサ5へ不要物が付着しにくくなる。センサ5に不要物が付着しているときは、空気がセンサ5に向かう流れとなるように静電気発生器7が制御されるため、風によりセンサ5に付着した不要物が除去される。
【0037】
また、本実施形態では、車両2が規定速度以上で走行しているときに、静電気発生器7が作動するので、高速の走行風が空力装置3に進入するようになる。従って、センサ5に対する防風機能を効果的に発揮させることができる。
【0038】
図4は、本発明の他の実施形態に係る空力制御装置の構成を示すブロック図である。図4において、本実施形態の空力制御装置1Aは、車両2に搭載された空力装置13を制御する装置である。
【0039】
本実施形態では、空力装置13は、図5及び図6に示されるように、ラジエータ15への空気の流入量を調整する機能を有している。つまり、ラジエータ15は、空力装置13による空気流入量の調整の対象物である。ラジエータ15は、例えば車体4のエンジンルーム(図示せず)内に配置されている。なお、図6は、図5中の範囲Gの拡大図である。
【0040】
空力装置13は、例えば車体4の上下方向に並ぶように配置され、ラジエータ15の前面を覆う複数のフィン部品13aを有している。静電気発生器7は、空力装置13に対してマイナスイオンを発生させる。静電気発生器7は、全てのフィン部品13aに向けてマイナスイオンを放出するように配置されている。
【0041】
空力制御装置1Aは、ラジエータ15の温度を計測する温度計17と、上記の速度計6と、上記の静電気発生器7と、ECU10Aとを備えている。ECU10Aは、判定部11Aと、制御部12Aとを有している。
【0042】
判定部11Aは、温度計17及び速度計6の計測値に基づいて、車両2の走行中にラジエータ15の温度が規定温度以下であるかどうかを判定する。
【0043】
制御部12Aは、判定部11Aの判定結果に応じて、空力装置13によるラジエータ15に対する空気の流れが切り換わるように静電気発生器7を制御する。制御部12Aは、空気がラジエータ15に向かう流れと空気がラジエータ15に向かう量を抑制する流れとが切り換わるように静電気発生器7を制御する。
【0044】
図7は、ECU10Aにより実行される制御処理の手順を示すフローチャートであり、図3に対応している。
【0045】
図7において、ECU10Aは、まず速度計6及び温度計17の計測値を取得する(手順S111)。続いて、ECU10Aは、速度計6の計測値に基づいて、車両2の車速が予め決められた規定速度以上であるかどうかを判断する(手順S112)。規定速度は、例えばゼロに近い低速値である。
【0046】
ECU10Aは、車両2の車速が規定速度以上であると判断したときは、温度計17の計測値に基づいて、ラジエータ15の温度が予め決められた規定温度以下であるかどうかを判断する(手順S113)。規定温度は、例えばラジエータ15がオーバークール状態となる手前の温度である。ECU10Aは、ラジエータ15の温度が規定温度以下であると判断したときは、静電気発生器7をON制御する(手順S114)。
【0047】
すると、図6(a)に示されるように、静電気発生器7から発生したマイナスイオンによりプラス帯電が中和されるため、空力装置13に気流が進入しやすくなる(図中の矢印P参照)。これにより、ラジエータ15に流入される空気の流量が増加するため、高速の走行風によりラジエータ15が冷却されやすくなる。
【0048】
ECU10Aは、手順S112で車両2の車速が規定速度よりも低いと判断したとき、または手順S113でラジエータ15の温度が規定温度よりも高いと判断したときは、静電気発生器7をOFF制御する(手順S115)。
【0049】
すると、図6(b)に示されるように、空力装置13の周辺がプラスに帯電することで、静電気力による反発によって空力装置13の周辺の気流が偏向し、空力装置13のフィン部品13aの近傍範囲Xに気流が進入しにくくなる(図中の矢印Q参照)。これにより、ラジエータ15に流入される空気の流量が減少するため、ラジエータ15が冷却されにくくなる。従って、例えば寒冷地において、ラジエータ15のオーバークールを抑制することができる。
【0050】
ECU10Aは、手順S114または手順S115が実行された後、上記の手順S111を再度実行する。
【0051】
ここで、判定部11Aは、手順S111~S113を実行する。制御部12Aは、手順S114,S115を実行する。
【0052】
以上のように本実施形態では、空力装置13による空気の流れが切り換わるように静電気発生器7を制御することにより、上述した実施形態と同様に、可動部品を使用しなくても、車両2の空力制御を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態では、静電気発生器7を制御して、空気がラジエータ15に向かう流れと空気がラジエータ15に向かう量を抑制する流れとを切り換えることにより、必要に応じてラジエータ15に対する空気流入量の調整機能を適切に発揮させることができる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、車両2の車速が規定速度よりも低い状態では、静電気発生器7がOFF制御されているが、特にそのような形態には限られない。車両2が規定速度よりも低い速度で走行または停止している状態でも、センサ5に汚れ等の不要物が付着していなければ、静電気発生器7をON制御してもよい。また、車両2が規定速度よりも低い速度で走行または停止している状態でも、ラジエータ15の温度が規定温度以下であれば、静電気発生器7をON制御してもよい。
【0055】
また、上記実施形態において、空力装置3は、センサ5に対する防風機能を有し、空力装置13は、ラジエータ15への空気の流入量を調整する機能を有しているが、空力装置の機能としては、特にそれらには限られない。空力装置は、例えば空気抵抗を低減することにより、車両2の空力性能を向上させる機能等を有していてもよい。この場合、静電気発生器7がOFF制御されると、空力装置により空気抵抗が低くなる。静電気発生器7がON制御されると、空力装置の周辺に乱流が発生し、空気抵抗が高くなる。
【0056】
また、上記実施形態では、静電気発生器7が直接ON/OFF制御されているが、特にその形態には限られず、例えばリレー等を介して静電気発生器7を制御してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、車両2の自動運転により空力装置の制御が行われているが、特にその形態には限られず、ドライバによる車両2の手動運転時に空力装置の制御を行ってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1,1A…空力制御装置、2…車両、3…空力装置、5…センサ(対象物)、7…静電気発生器(静電気発生部)、11,11A…判定部、12,12A…制御部、13…空力装置、15…ラジエータ(対象物)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7