(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128470
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20240913BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240913BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
A61B5/02 310F
A61B5/0245 B
A61B5/11 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037458
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 英明
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA09
4C017AA10
4C017AA20
4C017AB02
4C017AB10
4C017AC01
4C017AC26
4C017BC11
4C017BC23
4C017BD04
4C017BD06
4C017DD14
4C017FF19
4C038VA04
4C038VB12
4C038VB14
4C038VB31
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】電子機器の電力の無駄な消費を抑制する。
【解決手段】電子機器は、表示部と、表示部による表示を視認可能な表示面を有する筐体と、物体が表示面に接触又は近接していることを検出可能な検出部と、制御部と、を備え、制御部は、検出部による検出結果に基づいて、ユーザの身体が表示面に接触又は近接する態様で自装置がユーザの身体に装着された反転装着状態であるか、反転装着状態以外の通常状態であるかを判別し、反転装着状態であると判別した場合には、通常状態において実行可能な機能のうち少なくとも一部の機能の実行を制限する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部による表示を視認可能な表示面を有する筐体と、
物体が前記表示面に接触又は近接していることを検出可能な検出部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記検出部による検出結果に基づいて、ユーザの身体が前記表示面に接触又は近接する態様で自装置が前記ユーザの身体に装着された反転装着状態であるか、前記反転装着状態以外の通常状態であるかを判別し、
前記反転装着状態であると判別した場合には、前記通常状態において実行可能な機能のうち少なくとも一部の機能の実行を制限する、
電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記反転装着状態であると判別した場合には、前記表示部による表示を中止させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記反転装着状態であると判別した場合に、前記表示部を使用しない機能のうち所定の少なくとも一部の機能の実行を制限しない、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ユーザの身体が前記筐体における前記表示面とは反対側の裏面に接触している状態において、前記ユーザの生体データを検出可能な生体センサを備え、
前記制御部は、物体が前記表示面に接触又は近接していることが前記検出部により検出されており、かつ、前記生体センサにより前記生体データが検出されていない場合に、前記反転装着状態であると判別する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記検出部は、物体による前記表示面の押圧を感知することで前記接触を検出する感圧センサであり、
前記制御部は、前記検出部により前記接触が検出されている場合に前記反転装着状態であると判別する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記検出部は、前記表示面への物体の接触を検出可能な接触センサであり、
前記制御部は、前記検出部により前記接触が検出されている場合に前記反転装着状態であると判別する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記検出部は、前記表示面への入射光の強度を検出可能な光センサであり、
前記検出部は、前記表示面に接触又は近接した物体により前記表示面への入射光の少なくとも一部が遮られた場合に、前記検出部による入射光の検出強度が閾値以下となるように設けられており、
前記制御部は、前記検出部による入射光の検出強度が前記閾値以下である場合に前記反転装着状態であると判別する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記表示面の互いに異なる位置における物体の接触をそれぞれ検出する複数の前記検出部を備え、
前記制御部は、前記複数の検出部の各々により前記接触が検出されている場合に前記反転装着状態であると判別する、
請求項5又は6に記載の電子機器。
【請求項9】
前記表示面の互いに異なる位置における物体の接触をそれぞれ検出する複数の前記検出部を備え、
前記制御部は、
前記複数の検出部のうち少なくとも1つの検出部により前記接触が検出されている場合に前記反転装着状態であると判別し、
前記複数の検出部のうち一部の検出部により前記接触が検出されていない場合には、前記反転装着状態に緩みが生じていると判別して、報知部により所定の報知動作を行わせる、
請求項5又は6に記載の電子機器。
【請求項10】
前記表示面の互いに異なる位置における物体の接触をそれぞれ検出する複数の前記検出部を備え、
前記制御部は、
前記複数の検出部のうち一部の検出部により感知されている前記表示面を押圧する圧力の大きさが基準範囲内にない場合には、前記反転装着状態に緩みが生じていると判別して、報知部により所定の報知動作を行わせる、
請求項5に記載の電子機器。
【請求項11】
前記表示面の互いに異なる位置に設けられた複数の前記検出部を備え、
前記制御部は、前記複数の検出部の各々による入射光の検出強度が前記閾値以下である場合に前記反転装着状態であると判別する、
請求項7に記載の電子機器。
【請求項12】
前記表示面の互いに異なる位置に設けられた複数の前記検出部を備え、
前記制御部は、
前記複数の検出部のうち少なくとも1つの検出部による入射光の検出強度が前記閾値以下である場合に前記反転装着状態であると判別し、
前記複数の検出部のうち一部の検出部による入射光の検出強度が前記閾値よりも大きい場合に、前記反転装着状態に緩みが生じていると判別して、報知部により所定の報知動作を行わせる、
請求項7に記載の電子機器。
【請求項13】
表示部と、前記表示部による表示を視認可能な表示面を有する筐体と、物体が前記表示面に接触又は近接していることを検出可能な検出部と、を備える電子機器の制御方法であって、
前記検出部による検出結果に基づいて、ユーザの身体が前記表示面に接触又は近接する態様で自装置が前記ユーザの身体に装着された反転装着状態であるか、前記反転装着状態以外の通常状態であるかを判別し、
前記反転装着状態であると判別した場合には、前記通常状態において実行可能な機能のうち少なくとも一部の機能の実行を制限する、
電子機器の制御方法。
【請求項14】
表示部と、前記表示部による表示を視認可能な表示面を有する筐体と、物体が前記表示面に接触又は近接していることを検出可能な検出部と、を備える電子機器に設けられたコンピュータに、
前記検出部による検出結果に基づいて、ユーザの身体が前記表示面に接触又は近接する態様で自装置が前記ユーザの身体に装着された反転装着状態であるか、前記反転装着状態以外の通常状態であるかを判別する処理、
前記反転装着状態であると判別した場合に、前記通常状態において実行可能な機能のうち少なくとも一部の機能の実行を制限する処理、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、電子機器の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子腕時計等の身体に装着して用いる電子機器に、加速度センサ及びジャイロセンサ等のモーションセンサを搭載し、運動中のユーザの身体の動きをモーションセンサにより検出して運動状態を解析する技術が知られている(例えば、特許文献1)。運動状態の解析結果は、例えば電子機器が有する表示部に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子機器を装着する部位や装着態様によっては、ユーザに利用されない機能が生じる場合がある。例えば、脚などのユーザの視界に入りにくい部位に電子機器を装着して運動する場合には、通常、表示部による表示機能はユーザに利用されなくなる。上記の従来技術においては、このようにユーザに利用されなくなる機能の実行のために電力が無駄に消費されてしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、電子機器の電力の無駄な消費を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る電子機器は、
表示部と、
前記表示部による表示を視認可能な表示面を有する筐体と、
物体が前記表示面に接触又は近接していることを検出可能な検出部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記検出部による検出結果に基づいて、ユーザの身体が前記表示面に接触又は近接する態様で自装置が前記ユーザの身体に装着された反転装着状態であるか、前記反転装着状態以外の通常状態であるかを判別し、
前記反転装着状態であると判別した場合には、前記通常状態において実行可能な機能のうち少なくとも一部の機能の実行を制限する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子機器の電力の無駄な消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1に示す電子時計を側面から見た図である。
【
図4】
図3に示す電子時計を側面から見た図である。
【
図5】電子時計の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】蓋部の位置と、感圧センサが感知する圧力との関係を示す図である。
【
図7】機器制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図8】緩み判別処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図9】変形例2に係る電子時計を側面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
<電子機器の構成>
【0011】
図1は、手首に装着した電子時計1を示す図である。
図2は、
図1に示す電子時計1を側面から見た図である。
電子時計1は、ユーザの身体に装着して用いられる電子機器の一態様である。電子時計1は、筐体2と、筐体2に取り付けられたバンド3と、筐体2に格納された表示部14及び感圧センサ15等を備える。筐体2は、表示部14による表示を視認可能な表示面2aと、表示面2aとは反対側の裏面2bとを有する。
図1及び
図2においては、電子時計1は、バンド3をユーザの手首4に巻き回すことにより、裏面2bが手首4に接触した状態で手首4に装着されている。
以下では、電子時計1の筐体2に固定されたXYZ直交座標系を用いて電子時計1の構成を説明する。
図1のように表示部14に正対した状態で、表示面2aに平行な右方向を+X方向とし、表示面2aに平行な上方向を+Y方向とし、表示面2aに垂直かつ裏面2bから表示面2aに向かう方向を+Z方向とする。
【0012】
図2に示すように、筐体2は、+Z方向側の面が開口した略直方体形状の本体部21と、本体部21の開口を塞ぐように本体部21に取り付けられた蓋部22とを備える。蓋部22の下面(-Z方向側の面)には、-Z方向に延びる枠状部材222が、本体部21の側壁の内壁面に沿う位置に設けられている。枠状部材222は、+Z方向から見て本体部21の側壁の内壁面に沿う環状の形状を有する。枠状部材222が本体部21の内壁面に当接することで、蓋部22がZ方向以外に移動しないようになっている。蓋部22及び枠状部材222は、図示しない付勢部材により、本体部21に対して+Z方向に付勢されている。蓋部22は、
図2に示す位置より+Z方向に移動しないように、図示しない係止部材により+Z方向への移動可能範囲が制限されている。また、蓋部22を-Z方向に押圧することで、
図2に示す位置から、蓋部22の下面が本体部21の上端の縁部に当接する位置(
図4に示す蓋部22の位置)まで、付勢部材に抗して蓋部22を-Z方向に移動させることができる。以下では、
図2に示す蓋部22の位置を「上端位置」と記し、
図4に示す蓋部の位置を「下端位置」と記す。
図2に示すように、裏面2bが手首4に接触する態様で電子時計1が手首4に装着されている場合には、蓋部22に力が掛からないので、蓋部22の位置は上端位置となる。
【0013】
電子時計1は、自装置の動きを検出するモーションセンサ17(
図5参照)を備える。よって、ユーザの身体のうち電子時計1が装着された部位の動きを、モーションセンサ17により検出することができる。手首4以外の部位(例えば脚)に電子時計1を装着することで、当該部位の動きを検出することができる。
【0014】
図3は、脚5に装着した電子時計1を示す図である。
図4は、
図3に示す電子時計1を側面から見た図である。
バンド3を脚5に巻き回すことで、電子時計1を脚5(ここでは、足首)に装着することができる。バンド3は、手首4及び脚5のいずれにも巻き回すことが可能な長さとされていてもよいし、伸縮可能な素材とすることで、手首4及び脚5のいずれにも巻き回すことが可能とされてもよい。あるいは、手首4用のバンド3と、脚5用のバンド3とを付け替えることが可能であってもよい。
【0015】
電子時計1を脚5に装着する場合には、ユーザは表示部14の表示を視認しない。このため、ユーザは、表示面2aの保護等の目的で、
図3及び
図4に示すように、脚5が表示面2aに接触する態様(言い換えると、裏面2bが露出する態様)で電子時計1を装着するものとする。このためには、例えば、手首4への装着時とは逆側にバンド3を曲げて脚5に巻き回せばよい。電子時計1は裏返し装着が可能であり、バンド3は、表示面2aと、裏面2bのいずれかが露出するように部位に巻き回して固定可能に構成されている。バンド3は、いわゆるリバーシブル構造を有している。
以下では、
図3及び
図4のように、ユーザの身体が表示面2aに接触する態様で電子時計1がユーザの身体に装着されている状態を「反転装着状態」と記す。また、反転装着状態以外の状態を「通常状態」と記す。また、
図1及び
図2のように、ユーザの身体が裏面2bに接触する態様で電子時計1がユーザの身体に装着されている状態を「通常装着状態」と記す。通常状態は、通常装着状態と、電子時計1がユーザの身体に装着されていない状態とを含む。「ユーザの身体」は、ユーザの肌の他、衣服等の、ユーザが身に付けている物が含まれるものとする。
【0016】
反転装着状態においては、
図4に示すように、ユーザの身体(ここでは、脚5)により蓋部22が-Z方向に押圧されるので、蓋部22の位置は下端位置となる。この蓋部22の押圧が感圧センサ15により感知されることで、反転装着状態であると判別される。反転装着状態であるか否かの判別結果に応じて、電子時計1の動作が制御される。反転装着状態であるか否かの判別に係る動作については後に詳述する。
【0017】
図5は、電子時計1の機能構成を示すブロック図である。
電子時計1は、CPU11(Central Processing Unit)(制御部)と、RAM12(Random Access Memory)と、記憶部13と、表示部14と、感圧センサ15(検出部)と、脈波センサ16(生体センサ)と、モーションセンサ17と、音出力部18(報知部)と、操作部19と、を備える。電子時計1の各部は、バス1bを介して接続されている。電子時計1は、
図5に示されていない構成要素、例えば、時刻を算出して保持する計時部や、外部機器とデータ通信を行う通信部等を備えていてもよい。
【0018】
CPU11は、記憶部13に記憶されているプログラム131を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、電子時計1の動作を制御する制御部として機能するプロセッサである。なお、電子時計1は、複数のプロセッサ(例えば、複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU11が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合には、複数のプロセッサにより制御部が構成される。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0019】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0020】
記憶部13は、コンピュータとしてのCPU11により読み取り可能な非一時的な記録媒体である。記憶部13は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを有する。記憶部13は、プログラム131と、設定データ及び測定データ等の各種データとを記憶する。
【0021】
表示部14は、CPU11による制御に従ってデジタル表示を行う。本実施形態の表示部14は、液晶パネル141及びバックライト142を備える。ただし、表示部14の構成はこれに限られない。
液晶パネル141は、マトリクス状に配列された複数の画素の各々の透過率を、CPU11から供給される制御信号に従って制御する。これにより、バックライト142から液晶パネル141に入射した光の透過量が画素ごとに制御され、透過型の表示が行われる。
バックライト142は、CPU11による制御に従って発光するLED(Light Emitting Diode)等の光源を備え、光源から射出された光を面状に導いて液晶パネル141に向けて照射する。
【0022】
感圧センサ15は、物体による表示面2aの押圧を感知することで、物体が表示面2aに対して一定以上の圧力を及ぼす状態で表示面2aに接触していることを検出し、検出結果に係るデータをCPU11に出力する。
図1に示すように、感圧センサ15は、+Z方向から見て互いに異なる位置に4つ設けられている。また、
図2に示すように、蓋部22の内面(本体部21に対向する面)のうち、+Z方向から見て各感圧センサ15に重なる位置に、弾性部材221が設けられている。弾性部材221は、蓋部22が上端位置にある場合には感圧センサ15に接触しない高さで設けられている。蓋部22を上端位置から下端位置まで移動させると、その途中で弾性部材221が感圧センサ15に接触し、感圧センサ15は、弾性部材221から受ける圧力を感知する。
【0023】
図6は、蓋部22の位置と、感圧センサ15が感知する圧力との関係を示す図である。
蓋部22が上端位置Z2にある状態においては、弾性部材221は感圧センサ15に接触しないので、感知圧力は0となる。蓋部22を上端位置Z2から-Z方向(
図6において、横軸の左方向に相当)に移動させると、或る位置Z1において弾性部材221が感圧センサ15に接触し、感知圧力が0よりも大きくなる。さらに蓋部22を-Z方向に移動させると、弾性部材221がより偏平な形状に変形しつつ、蓋部22が下端位置Z0まで移動する。蓋部22が位置Z1から下端位置Z0まで移動する期間においては、弾性部材221の変形量の増大に伴って弾性部材221が感圧センサ15に及ぼす力(復元力)が増大するので、感圧センサ15による感知圧力が最小値0から最大値Pmaxまで単調増加する。0<Pth1<Pth2<Pmaxを満たす第1の閾値Pth1及び第2の閾値Pth2は、後述する反転装着状態及び緩みの判別に用いられる。4つの感圧センサ15は、別個独立に圧力を感知する。よって、感圧センサ15が設けられている4箇所に加わる圧力が均等でない場合には、各位置での圧力を別個に検出することができる。
なお、蓋部22が上端位置Z2にある状態において弾性部材221が感圧センサ15に接触するような配置としてもよい。この場合には、蓋部22が上端位置Z2にある状態において感圧センサ15は或る大きさの圧力を感知し、蓋部22が下端位置Z0に移動するに従って感知圧力が単調増加する。
【0024】
感圧センサ15の構成は、表示面2aを押圧する圧力に対応する物理量を検出可能であれば、本実施形態に例示したものに限られない。例えば、本実施形態のように蓋部22が付勢部材に抗して移動する構成においては、圧力に対応する物理量として、蓋部22のZ方向の位置を検出してもよい。また、蓋部22が固定された構成において、表示面2aを押圧する圧力に応じた表示面2aの微小な形状変化を検出してもよい。
【0025】
脈波センサ16は、ユーザの生体データとしての脈波を検出する。
図2及び
図4に示すように、脈波センサ16は、筐体2の裏面2bの近傍に設けられている。脈波センサ16は、発光部161及び受光部162を備えており、
図3に示すように、裏面2bの略中央において発光部161及び受光部162が露出している。発光部161は、血液中のヘモクロビンに吸収されやすい緑色の光、例えばピーク波長が520nm~530nmの光を射出するLEDを備え、裏面2bから筐体2の外部に向かって光を射出する。電子時計1が通常装着状態でユーザの手首4に装着されている場合には、発光部161から射出された光が手首4の肌により反射する。受光部162は、この反射光を受光可能な位置に設けられている。ユーザの肌に照射された光の一部は、血管内の血液により吸収される。このため、肌からの反射光の受光部162による受光量、すなわち受光部162による入射光の検出強度は、心臓の脈動に伴う血流量の変化に応じて経時変化する。脈波センサ16は、この受光量の変化に基づいて脈波を検出し、検出した脈波に応じた波形をCPU11に出力する。CPU11は、当該波形に基づいて心拍数(脈拍数)を計測する。心拍数の計測結果は、例えば表示部14に表示される。
【0026】
モーションセンサ17は、電子時計1の動きに応じて生じる加速度及び角速度を検出して検出結果をCPU11に出力する。モーションセンサ17は、例えば、3軸加速度センサ、及び3軸ジャイロセンサを備える。CPU11は、モーションセンサ17からの出力データに基づいて各種公知のデータ処理を行うことで、姿勢及び位置の少なくとも一方の変化を伴う電子時計1の動きを検出することができる。検出された電子時計1の動きに基づいて、例えば、ユーザが行っている運動に係る運動指標(例えば、腕や脚の振りの大きさ等)を解析することができる。
【0027】
音出力部18は、CPU11から送信された制御信号に従ってビープ音等の報知音を出力する。音出力部18が報知音を出力する動作は、ユーザに対して報知を行う報知動作に相当する。
【0028】
操作部19は、筐体2の側面等に設けられた操作ボタン191と、筐体2の表示面2aに設けられたタッチパネル192とを備える。タッチパネル192は、例えば静電容量方式であり、表示面2aへのユーザの指等の接触位置を検出する。操作部19は、操作ボタン191及びタッチパネル192に対するユーザの入力操作を受け付けて、入力操作を表す信号をCPU11に出力する。
【0029】
<電子時計の動作>
次に、電子時計1の動作について説明する。
上述のとおり、本実施形態の電子時計1は、手首4には通常装着状態で装着され、脚5には反転装着状態で装着される。ここで、電子時計1が反転装着状態で脚5に装着されている場合には、表示面2aが脚5に対向しているため、ユーザは表示部14による表示を視認することがない。そこで、本実施形態の電子時計1では、反転装着状態であるか否か(すなわち、反転装着状態であるか、反転装着状態以外の通常状態であるか)を判別する動作が繰り返し行われ、反転装着状態であると判別された場合には、表示部14による表示(表示を行う動作)が中止される。これにより、表示部14における電力の無駄な消費が抑制される。
【0030】
反転装着状態であるか否かの判別には、感圧センサ15による検出結果が用いられる。詳しくは、4つの感圧センサ15の各々により、表示面2aへの物体(本実施形態では、脚5)の接触が検出されている場合に反転装着状態であると判別される。本実施形態では、感圧センサ15が
図6の第1の閾値Pth1よりも大きい圧力を感知している場合に、当該感圧センサ15の位置で接触が検出されているものとされる。
なお、第1の閾値Pth1を用いずに、蓋部22が上端位置Z2にあるときに感圧センサ15が感知する圧力(
図6の例では、0)よりも大きい圧力を感圧センサ15が感知している場合に、当該感圧センサ15の位置で接触が検出されているものとしてもよい。
【0031】
反転装着状態においては、脈波センサ16の発光部161及び受光部162がユーザの肌に対向しないので、脈波センサ16により脈波が検出されることがない。このことを利用して、感圧センサ15による検出結果と、脈波センサ16による検出結果とを併用して反転装着状態であるか否かを判別してもよい。具体的には、4つの感圧センサ15の各々により接触が検出されており、かつ、脈波センサ16により脈波が検出されていない場合に、反転装着状態であると判別してもよい。
【0032】
上記では、4つの感圧センサ15の全てにより接触が検出されていることを、反転装着状態と判別する条件としたが、これに限られない。4つの感圧センサ15のうち少なくとも1つの感圧センサ15により接触が検出されていることを、反転装着状態であると判別する条件としてもよい。
【0033】
反転装着状態であると判別された場合の動作として、表示部14の表示を中止する動作を例示したが、これに限られない。反転装着状態であると判別された場合には、通常状態において実行可能な機能のうち少なくとも一部の機能の実行を制限してもよい。ここで、通常状態において実行可能な機能は、表示部14による表示機能のほか、脈波センサ16による脈波の検出、及びこれに伴う心拍数の計測に係る機能、モーションセンサ17による動きの検出に係る機能、音出力部18による報知音の出力機能、操作部19の操作ボタン191及びタッチパネル192によりユーザ操作を受け付ける機能などが含まれる。
機能の実行を制限することは、反転装着状態であると判別された時点において実行中であった機能を制限すること、及び、当該時点以降に開始される機能の実行が制限されるように、機能の実行に係る設定を変更することを含む。また、機能の実行を制限することは、機能全体を実行しないことを含む。また、機能の実行を制限することは、機能が複数の部分機能を含む場合に、一部の部分機能の実行を中止し、残りの部分機能は実行する態様を含む。例えば、表示部14の表示機能を制限することは、液晶パネル141及びバックライト142への電源供給を停止して表示部14の全体の動作を中止させる態様の他、電力消費量の大きいバックライト142を消灯させ、液晶パネル141の動作は維持する態様を含む。
【0034】
なお、電子時計1を脚5に装着する主な目的は、脚の動きの検出であるため、反転装着状態であると判別された場合において、モーションセンサ17の機能は制限しないことが好ましい。また、音出力部18は、表示部14に代えてユーザに対する報知を行うために用いられるため、音出力部18の機能も制限しないことが好ましい。このように、反転装着状態であると判別された場合に、表示部14を使用しない機能のうち所定の少なくとも一部の機能の実行を制限しないこととしてもよい。
【0035】
反転装着状態であると判別された場合において、電子時計1の装着状態に緩みが生じているか否かの判別を行ってもよい。
例えば、4つの感圧センサ15のうち一部の感圧センサ15により感知されている表示面2aを押圧する圧力の大きさが基準範囲内にない場合に、反転装着状態に緩みが生じていると判別してもよい。ここで、基準範囲は、例えば、
図6における第2の閾値Pth2よりも大きく最大値Pmax以下の範囲とすることができる。
あるいは、緩みの検出を行う場合には、4つの感圧センサ15のうち少なくとも1つの感圧センサ15により接触が検出されている場合(又は、さらに脈波センサ16により脈波が検出されていない場合)に反転装着状態であると判別し、いずれかの感圧センサ15により接触が検出されていない場合には、緩みが生じていると判別してもよい。この態様において、さらに上記の基準範囲内であるか否かに基づく緩みの判別を併用してもよい。
あるいは、全て(本実施形態では4つ)の感圧センサ15の感知圧力の平均値が上記基準範囲内にない場合に、反転装着状態に緩みが生じていると判別してもよい。
【0036】
緩みが生じていると判別された場合には、報知部としての音出力部18により、所定の報知音を出力する動作(報知動作)が行われる。報知動作は、音出力部18による報知音の出力に限られず、図示しない振動部による振動動作や、図示しない発光部による発光動作等であってもよい。
【0037】
<機器制御処理>
次に、上述した動作を実現するためにCPU11が実行する機器制御処理について説明する。
図7は、機器制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
ここでは、少なくとも1つの感圧センサ15により接触が検出され、かつ、感圧センサ15により脈波が検出されていない場合に反転装着状態であると判別する態様を例に挙げて説明する。
機器制御処理は、電源が投入されて電子時計1が起動した場合に開始される。
【0038】
電子時計1が起動して機器制御処理が開始されると、CPU11は、通常状態において実行されるように設定されている各種機能の実行を開始する(ステップS101)。例えば、CPU11は、表示部14による表示機能、脈波センサ16による脈波の検出機能、モーションセンサ17による動きの検出機能、操作部19によるユーザ操作の受け付け機能等の実行を開始する。
【0039】
CPU11は、少なくとも1つの感圧センサ15により、物体が表示面2aに接触していることが検出されているか否か(第1の閾値Pth1よりも大きな圧力が感知されているか否か)を判別する(ステップS102)。いずれかの感圧センサ15により接触が検出されている場合には(ステップS102で“YES”)、CPU11は、脈波センサ16により脈波が検出されているか否かを判別する(ステップS103)。脈波センサ16により脈波が検出されていないと判別された場合には(ステップS103で“NO”)、CPU11は、反転装着状態であると判別する(ステップS104)。
一方、いずれの感圧センサ15によっても接触が検出されていないと判別された場合(ステップS102で“NO”)、又は、脈波センサ16により脈波が検出されていると判別された場合には(ステップS103で“YES”)、CPU11は、通常状態(通常装着状態を含む)であると判別する(ステップS109)。
また、ステップS103を省略してもよい。すなわち、いずれかの感圧センサ15により接触が検出されている場合には(ステップS102で“YES”)、CPU11は、反転装着状態であると判別し(ステップS104)、いずれの感圧センサ15によっても接触が検出されていないと判別された場合には(ステップS102で“NO”)、CPU11は、通常状態(通常装着状態を含む)であると判別してもよい(ステップS109)。
【0040】
ステップS104が実行されて反転装着状態であると判別された場合には、CPU11は、前回の判別結果が通常状態であったか否か(すなわち、ステップS104、S109のうち最後に実行されたのがステップS109であったか否か)を判別する(ステップS105)。なお、機器制御処理の開始後、初めてステップS104が実行された場合には、前回の判別結果は通常状態であったとみなされる。前回の判別結果が通常状態であったと判別された場合には(ステップS105で“YES”)、CPU11は、表示部14の表示を中止させ(ステップS106)、その他の所定の機能(例えば、操作部19によるユーザ操作の入力受け付け機能)の実行を制限する(ステップS107)。ステップS107が終了した場合、又は、ステップS105において前回の判別結果が通常状態ではないと判別された場合には(ステップS105で“NO”)、CPU11は、緩み判別処理を実行する(ステップS108)。
【0041】
図8は、緩み判別処理の制御手順を示すフローチャートである。
緩み判別処理が呼び出されると、CPU11は、全ての感圧センサ15により接触が検出されているか否かを判別する(ステップS201)。全ての感圧センサ15により接触が検出されていると判別された場合には(ステップS201で“YES”)、CPU11は、全ての感圧センサ15が感知している圧力が上述の基準範囲内であるか否かを判別する(ステップS202)。全ての感圧センサ15が感知している圧力が基準範囲内であると判別された場合には(ステップS202で“YES”)、CPU11は、適正な反転装着状態であると判別する(ステップS203)。
【0042】
ステップS201において、いずれかの感圧センサ15により接触が検出されていないと判別された場合(ステップS201で“NO”)、又は、ステップS202においていずれかの感圧センサ15が感知している圧力が基準範囲外であると判別された場合には(ステップS202で“NO”)、CPU11は、装着状態に緩みが生じていると判別し(ステップS204)、所定の報知動作、ここでは音出力部18による報知音の出力動作を実行させる(ステップS205)。
上述のように、ステップS201~ステップS204では、ステップS202に代えて、全て(本実施形態では4つ)の感圧センサ15の感知圧力の平均値が上記基準範囲内であるか否かを判別し、上記平均値が基準範囲内であると判別された場合には、CPU11は、適正な反転装着状態であると判別し、上記平均値が基準範囲外であると判別された場合には、CPU11は、装着状態に緩みが生じていると判別してもよい。
ステップS203又はS205が終了すると、CPU11は、緩み判別処理を終了させて、処理を
図7の機器制御処理に戻す。
【0043】
図7の機器制御処理において、ステップS109が実行されて通常状態であると判別された場合には、CPU11は、前回の判別結果が反転装着状態であったか否か(すなわち、ステップS104、S109のうち最後に実行されたのがステップS104であったか否か)を判別する(ステップS110)。なお、機器制御処理の開始後、初めてステップS109が実行された場合であって、それまでにステップS104が一度も実行されていない場合には、前回の判別結果は通常状態であったとみなされる。前回の判別結果が反転装着状態であったと判別された場合には(ステップS110で“YES”)、CPU11は、表示部14の表示を再開させ(ステップS111)、その他の所定の機能の実行制限を解除する(ステップS112)。
【0044】
ステップS112が終了した場合、又は、ステップS108の緩み判別処理が終了した場合には、CPU11は、電子時計1の電源オフを指示する操作がなされたか否かを判別する(ステップS113)。CPU11は、当該操作がなされていないと判別された場合には(ステップS113で“NO”)、処理をステップS102に戻し、当該操作がなされていると判別された場合には(ステップS113で“YES”)、機器制御機能を終了させる。
【0045】
<変形例1>
続いて上記実施形態の変形例1について説明する。以下では、上記実施形態との相違点について説明し、上記実施形態と共通する点については説明を省略する。
本変形例では、感圧センサ15に代えて、タッチパネル192により、物体(脚5)が表示面2aに接触していることを検出する。本変形例のタッチパネル192は、「検出部」及び「接触センサ」に相当する。本変形例では、蓋部22がZ方向に移動する必要がないため、筐体2は、蓋部22及び本体部21が一体となった構成としてもよい。
【0046】
本変形例では、タッチパネル192による接触の検出結果(又は、さらにこれに加えて脈波センサ16による脈波の検出の有無)に基づいて反転装着状態であるか否かが判別される。タッチパネル192により、表示面2aの複数個所に対する接触を別個に検出してもよい。この場合において、複数個所の全てにおいて接触が検出されていることを、反転装着状態であると判別する条件としてもよいし、複数個所のうち少なくとも1箇所において接触が検出されていることを、反転装着状態であると判別する条件としてもよい。また、複数個所のうち一部の箇所において接触が検出されていない場合に、装着状態に緩みが生じていると判別して、音出力部18により報知音を出力させてもよい。
あるいは、タッチパネル192により、表示面2aにおける物体の接触面積を検出し、接触面積が基準面積以上であることを、反転装着状態であると判別する条件としてもよい。また、接触面積が基準面積よりも大きく、かつ所定の閾値以下である場合に、装着状態に緩みが生じていると判別してもよい。
【0047】
なお、電子時計1が、ユーザ操作の検出用のタッチパネル192を備えていない場合には、反転装着状態を検出するための接触センサを表示面2aに設けてもよい。この場合には、例えば、+Z方向から見て
図1における感圧センサ15と同一の位置に4つの接触センサを設け、各接触センサにより独立に接触を検出してもよい。
【0048】
<変形例2>
続いて上記実施形態の変形例2について説明する。以下では、上記実施形態との相違点について説明し、上記実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図9は、変形例2に係る電子時計1を側面から見た図である。
本変形例では、感圧センサ15に代えて、表示面2aへの入射光の強度を検出可能な光センサ15aを備える。光センサ15aは、物体が表示面2aに接触又は近接していることを検出可能な検出部に相当する。光センサ15aは、例えばフォトダイオード等の、光を電気信号に変換する受光素子を備える。光センサ15aは、表示面2aに接触した物体、又は表示面2aから所定の近傍距離範囲内に近接した物体により表示面2aへの入射光の少なくとも一部が遮られた場合に、光センサ15aによる入射光の検出強度が閾値以下となるように設けられている。光センサ15aの数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、+Z方向から見て
図1における感圧センサ15と同一の位置に4つの光センサ15aが設けられてもよい。本変形例においても、蓋部22がZ方向に移動する必要がないため、筐体2は、蓋部22及び本体部21が一体となった構成としてもよい。
【0049】
本変形例では、光センサ15aによる入射光の検出強度が閾値以下である場合に(又は、さらに脈波センサ16が脈波を検出していない場合に)反転装着状態であると判別される。光センサ15aによる入射光の検出強度は、物体(
図9では、脚5)が表示面2aに接触している場合の他、表示面2aに近接している場合にも閾値以下となる。よって、本変形例の反転装着状態は、ユーザの身体が表示面2aに近接した態様で電子時計1がユーザの身体に装着された状態を含む。ただし、ユーザの身体が表示面2aに接触した場合にのみ、光センサ15aによる入射光の検出強度が閾値以下となるように閾値を設定することで、上記実施形態と同様、反転装着状態を、ユーザの身体が表示面2aに接触した状態に限定してもよい。
【0050】
複数の光センサ15aを用いる場合には、全ての光センサ15aによる入射光の検出強度が閾値以下であることを、反転装着状態であると判別する条件としてもよいし、少なくとも1つの光センサ15aによる入射光の検出強度が閾値以下であることを、反転装着状態であると判別する条件としてもよい。また、一部の光センサ15aによる入射光の検出強度が閾値よりも大きい場合に、装着状態に緩みが生じていると判別して、音出力部18により報知音を出力させてもよい。
【0051】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る電子時計1は、表示部14と、表示部14による表示を視認可能な表示面2aを有する筐体2と、物体が表示面2aに接触していることを検出可能な感圧センサ15と、CPU11と、を備え、CPU11は、感圧センサ15による検出結果に基づいて、ユーザの身体が表示面2aに接触する態様で電子時計1がユーザの身体に装着された反転装着状態であるか、反転装着状態以外の通常状態であるかを判別し、反転装着状態であると判別した場合には、通常状態において実行可能な機能のうち少なくとも一部の機能の実行を制限する。これにより、反転装着状態においてユーザに利用されなくなる機能や、反転装着状態においては実行しないことが好ましい機能等の実行を制限して、電力の無駄な消費を抑制することができる。このような制御を実装することで、電子時計1を反転装着状態で使用する新たなニーズや、電子時計1の新たな用途を創出することができる。
【0052】
また、CPU11は、反転装着状態であると判別した場合には、表示部14による表示を中止させる。反転装着状態では表示部14がユーザに視認されることがないので、表示部14による表示を中止させることで、表示部14による電力の無駄な消費を抑制することができる。
【0053】
また、CPU11は、反転装着状態であると判別した場合に、表示部14を使用しない機能のうち所定の少なくとも一部の機能の実行を制限しない。これにより、電力の無駄な消費を抑制しつつ、反転装着状態において必要な機能や利便性を向上させる機能の実行を維持することができる。
【0054】
また、電子時計1は、ユーザの身体が筐体2における表示面2aとは反対側の裏面2bに接触している状態において、ユーザの脈波を検出可能な脈波センサ16を備え、CPU11は、物体が表示面2aに接触又は近接していることが感圧センサ15により検出されており、かつ、脈波センサ16により脈波が検出されていない場合に、反転装着状態であると判別する。これにより、通常装着状態において物体が表示面2aに接触している状態を反転装着状態と誤検出する不具合の発生を抑制することができる。
【0055】
また、物体による表示面2aの押圧を感知することで接触を検出する感圧センサ15を用いることで、ユーザの身体が表示面2aに接触していることをより確実に検出することができる。
【0056】
また、表示面2aへの物体の接触を検出可能なタッチパネル192を用いることで、より精度よく反転装着状態であるか否かを判別することができる。
【0057】
また、変形例2に係る電子時計1は、表示面2aへの入射光の強度を検出可能な光センサ15aを備え、光センサ15aは、表示面2aに接触又は近接した物体により表示面2aへの入射光の少なくとも一部が遮られた場合に、光センサ15aによる入射光の検出強度が閾値以下となるように設けられており、CPU11は、光センサ15aによる入射光の検出強度が閾値以下である場合に反転装着状態であると判別する。これにより、ユーザの身体の表面状態(素肌であるか、衣服であるか等)によらずに接触を検出することができる。例えば、柔らかい衣服を着ていて感圧センサ15では接触が検出できない場合や、汗で濡れていてタッチパネル192では接触を検出できない場合であっても、適切に接触を検出することができる。また、ユーザの身体が表示面2aに接触せずに近接している場合にも反転装着状態であると判別することができる。
【0058】
また、電子時計1は、表示面2aの互いに異なる位置における物体の接触をそれぞれ検出する複数の感圧センサ15を備え、CPU11は、複数の感圧センサ15の各々により接触が検出されている場合に反転装着状態であると判別する。これによれば、表示面2aの広い範囲にユーザの身体が接触している場合に反転装着状態であると判別することができるので、反転装着状態であるか否かの判別の精度を高めることができる。
【0059】
また、CPU11は、複数の感圧センサ15のうち少なくとも1つの感圧センサ15により接触が検出されている場合に反転装着状態であると判別し、複数の感圧センサ15のうち一部の接触センサにより接触が検出されていない場合には、反転装着状態に緩みが生じていると判別して、音出力部18により所定の報知音を出力させてもよい。これにより、電子時計1が適切に装着されていない場合にこれをユーザに報知して、適切な装着状態で装着するように促すことができる。よって、例えばモーションセンサ17によるユーザの運動状態の検出を所期の精度で行うことができる。
【0060】
また、CPU11は、一部の感圧センサ15により感知されている表示面2aを押圧する圧力の大きさが基準範囲内にない場合には、反転装着状態に緩みが生じていると判別して、音出力部18により所定の報知音を出力させてもよい。これによれば、緩みが生じていることをより高感度に判別することができる。
【0061】
また、変形例2に係る電子時計1は、表示面2aの互いに異なる位置に設けられた複数の光センサ15aを備え、CPU11は、複数の光センサ15aの各々による入射光の検出強度が閾値以下である場合に反転装着状態であると判別する。これによれば、表示面2aの広い範囲にユーザの身体が接触又は近接している場合に反転装着状態であると判別することができるので、反転装着状態であるか否かの判別の精度を高めることができる。
【0062】
また、変形例2において、CPU11は、複数の光センサ15aのうち少なくとも1つの光センサ15aによる入射光の検出強度が閾値以下である場合に反転装着状態であると判別し、複数の光センサ15aのうち一部の光センサ15aによる入射光の検出強度が閾値よりも大きい場合に、反転装着状態に緩みが生じていると判別して、報知部により所定の報知動作を行わせてもよい。これにより、電子時計1が適切に装着されていない場合にこれをユーザに報知して、適切な装着状態で装着するように促すことができる。
【0063】
また、本実施形態に係る電子時計1の制御方法は、感圧センサ15による検出結果に基づいて反転装着状態であるか通常状態であるかを判別し、反転装着状態であると判別した場合には、通常状態において実行可能な機能のうち少なくとも一部の機能の実行を制限する。これにより、反転装着状態において電力の無駄な消費を抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態に係るプログラム131は、電子時計1に設けられたCPU11に、感圧センサ15による検出結果に基づいて反転装着状態であるか通常状態であるかを判別する処理、反転装着状態であると判別した場合に、通常状態において実行可能な機能のうち少なくとも一部の機能の実行を制限する処理、を実行させる。これにより、反転装着状態において電力の無駄な消費を抑制することができる。
【0065】
<その他>
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、電子機器として電子時計1を例示したが、これに限られず、電子機器は、ユーザの身体に装着して用いる任意の機器であってもよい。例えば、電子機器は、ユーザの運動状態を検出するための専用のウェアラブルデバイスや、活動量計又は血圧計といったヘルスケア用デバイス等であってもよい。
【0066】
また、電子時計1が反転装着状態で装着される部位は、脚5に限られず、身体の任意の部位であってもよい。また、電子時計1を手首4に反転装着状態で装着してもよい。
【0067】
また、感圧センサ15の数は4つに限られず、3つ以下又は5つ以上であってもよい。感圧センサ15を1つのみ用いる場合には、当該感圧センサ15により表示面2aへの接触が検出されている場合に反転装着状態であると判別すればよい。感圧センサ15に代えて変形例1の接触センサ、又は変形例2の光センサ15aを用いる場合も同様である。
【0068】
また、上記実施形態では、生体センサとして、脈波を検出する脈波センサ16を例示したが、これに限られない。例えば、生体センサは、生体データとしての血圧を検出する血圧センサ、体温を検出する体温センサ、又は呼吸を検出する呼吸センサ等であってもよい。
【0069】
また、ユーザの身体が表示面2aに接触している状態において、ユーザの生体データを検出可能な生体センサを表示面2aの近傍に設け、当該生体センサにより生体データが検出されている場合に、ユーザの身体が表示面2aに接触していると判別してもよい。言い換えると、当該生体センサにより生体データが検出されていることを、反転装着状態であると判別する条件としてもよい。この場合において、表示面2aの近傍に設けられた生体センサは「検出部」に相当する。
【0070】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部13のフラッシュメモリを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD、SSD、CD-ROM等の情報記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0071】
また、上記実施形態における電子時計1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0072】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0073】
1 電子時計(電子機器)
2 筐体
2a 表示面
2b 裏面
21 本体部
22 蓋部
221 弾性部材
3 バンド
4 手首
5 脚
11 CPU(制御部)
14 表示部
15 感圧センサ(検出部)
15a 光センサ(検出部)
16 脈波センサ(生体センサ)
17 モーションセンサ
18 音出力部(報知部)
19 操作部
192 タッチパネル(検出部、接触センサ)