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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128475
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】熱延鋼板のブラスト処理方法
(51)【国際特許分類】
   B24C 1/00 20060101AFI20240913BHJP
   C21D 8/12 20060101ALI20240913BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20240913BHJP
   C22C 38/06 20060101ALI20240913BHJP
   B24C 11/00 20060101ALI20240913BHJP
   B24C 5/02 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B24C1/00 C
C21D8/12 A
C22C38/00 303U
C22C38/06
B24C11/00 G
B24C5/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037465
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】久保田 典禎
(72)【発明者】
【氏名】市江 毅
(72)【発明者】
【氏名】今井 武
(72)【発明者】
【氏名】山崎 修一
(72)【発明者】
【氏名】大栗 昭郎
【テーマコード(参考)】
4K033
【Fターム(参考)】
4K033AA01
4K033CA09
4K033FA11
4K033FA12
4K033FA13
4K033FA14
4K033GA00
4K033GA01
4K033HA00
4K033KA00
(57)【要約】
【課題】Si及びAlを多く含む熱延鋼板の酸洗性を改善することが可能な、新規かつ改良された熱延鋼板のブラスト処理方法を提供する。
【解決手段】Siを2.0~5.0質量%、Alを0.1~3.0質量%含む熱延鋼板のブラスト処理方法であって、研削材としてグリットを用いることを特徴とする。グリットを用いたウェットブラストを行ってもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Siを2.0~7.0質量%、Alを0.1~3.0質量%含む熱延鋼板のブラスト処理方法であって、
研削材としてグリットを用いることを特徴とする、熱延鋼板のブラスト処理方法。
【請求項2】
前記グリットの粒径が30~1000μmであることを特徴とする、請求項1に記載の熱延鋼板のブラスト処理方法。
【請求項3】
前記グリットを用いたウェットブラストを行うことを特徴とする、請求項1に記載の熱延鋼板のブラスト処理方法。
【請求項4】
前記グリットを用いたウェットブラストを行うことを特徴とする、請求項2に記載の熱延鋼板のブラスト処理方法。
【請求項5】
下記条件(A)~(C)のうち、少なくとも1つ以上を満たすことを特徴とする、請求項3または4に記載の熱延鋼板のブラスト処理方法。
(A)前記グリットの投射量が1×10-3/m以上である。
(B)前記グリットと水の合計量に対する前記グリットの体積比率が5体積%以上である。
(C)前記グリットの前記熱延鋼板の表面への投射速度が5m/s以上である。
【請求項6】
前記熱延鋼板を600℃以上で巻き取った後、前記熱延鋼板をブラスト処理することを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の熱延鋼板のブラスト処理方法。
【請求項7】
前記熱延鋼板を600℃以上で巻き取った後、前記熱延鋼板をブラスト処理することを特徴とする、請求項5に記載の熱延鋼板のブラスト処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱延鋼板のブラスト処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の省エネルギー化の要請に伴い電磁鋼板には、低鉄損化と高磁束密度化による磁気特性の向上が求められる。鉄損を低減する有効な方法として、Si及びAlの含有量を増加させる方法が知られている。
【0003】
このような電磁鋼板は、概略的には以下のプロセスで作製される。まず、Si及びAlを多く含む鋼材(スラブ等)を熱間圧延することで熱延鋼板を作製する。ついで、熱延鋼板を焼鈍(熱延板焼鈍、ともいう)する、もしくは熱延鋼板を巻き取ることで、熱延鋼板を軟質化させる。すなわち、Si及びAlを多く含む熱延鋼板は非常に強度が高いため、冷間圧延時に熱延鋼板に割れが発生する可能性がある。そこで、冷間圧延前に熱延鋼板を焼鈍する、もしくは高温で巻き取ることで、熱延鋼板を軟質化させる。その後、熱延鋼板を酸洗する。ついで、冷間圧延、仕上焼鈍を行う。以上の工程により電磁鋼板が作製される。なお、冷間圧延の前に、熱延板焼鈍を行ってもよいし、熱延板焼鈍の代わりに熱延鋼板の巻取を実施してもよい。また、仕上焼鈍後に、絶縁被膜形成用の塗布液の塗布および焼付け処理を行ってもよい。仕上焼鈍条件は電磁鋼板に求められる特性等に応じて適宜設定される。絶縁被膜は、例えば有機物や無機物、またはその混合物を含む被膜であり、要求される特性に応じた条件の下で設けられる。
【0004】
ここで、熱間圧延工程において、鋼材は大気中で高温にさらされる。このため、熱間圧延後の鋼材、すなわち熱延鋼板の表面には表層スケールが形成される。熱延鋼板にはSi及びAlが多く含まれるので、表層スケールにはSi系酸化物及びAl系酸化物が多く含まれる。具体的には、表層スケールは、表層スケールの最表面から順にA層(主にFe系酸化物で構成される)及びB層(主にSi系酸化物及びAl系酸化物で構成される)で構成される。さらに、その後の焼鈍もしくは巻取りによって、表層スケール中の酸素を酸素源として母材中のSi及びAlが酸化し、内部酸化層(C層)が形成される。内部酸化層は、母材の結晶粒子の内部または結晶粒界にSi系酸化物及びAl系酸化物が分布した構造を有している。このように、内部酸化層にも多くのSi系酸化物及びAl系酸化物が含まれる。
【0005】
そのため、冷間圧延前、つまり熱延板焼鈍後もしくは巻取後の熱延鋼板を酸洗することで、熱延鋼板の表面に形成された表層スケール及び内部酸化層を除去する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-168824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、熱間圧延及びその後の熱延板焼鈍によって熱延鋼板の表面には表層スケール及び内部酸化層が形成される。これらの表層スケール及び内部酸化層のうち、特にB層およびC層を構成するAl系酸化物は非常に安定しており、酸に溶けにくい。このため、Si及びAlを多く含む熱延鋼板は酸洗性が非常に悪く、酸洗に長時間を要するという問題があった。これは、B層を構成するAl系酸化物が除去されにくいため、B層の内側(母材側)に存在する内部酸化層まで酸洗液が行き届きにくいからでもある。
また、酸洗時間が不十分であると、表層スケール(特にB層)及び内部酸化層が残留した状態で冷間圧延を行うことになる。この場合、冷間圧延時に鋼板にクラックが入る等の問題が生じる可能性がある。さらに、B層およびC層を構成するAl系酸化物によって冷間圧延ロールが偏摩耗する可能性もある。したがって、酸洗によって表層スケール及び内部酸化層を十分に除去する必要がある。
【0008】
特に、近年では、電磁鋼板に求められる性能(特に、磁気特性)が向上しているため、Si及びAlの添加量は増加傾向にある。Si及びAlの含有量が増加すると、表層スケール中により多くのAl系酸化物が形成されるようになるため、熱延鋼板の酸洗性はさらに悪化する。熱延鋼板の酸洗性の低下によって最終製品板である電磁鋼板の生産性が低下するので、熱延鋼板の酸洗性の悪化は非常に顕著な問題であった。つまり、鋼中のSi及びAlの含有量を増加させると、磁気特性を高めることができるが、酸洗性は低下してしまう問題があり、磁気特性を高めつつ、良好な酸洗性を確保させうる技術が望まれていた。
【0009】
特許文献1には、熱延鋼板の酸洗性を改善するために、酸洗前の熱延鋼板にショットブラストを行う技術が記載されている。ショットブラストによってB層が破壊、除去されるため、内部酸化層に酸洗液が行き届きやすくなることが期待される。しかし、本発明者らがショットブラストについて検討したところ、この技術によっても熱延鋼板の酸洗性を十分に改善することができないことがわかった。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、Si及びAlを多く含む熱延鋼板の酸洗性を改善することが可能な、新規かつ改良された熱延鋼板のブラスト処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた本発明の要旨は以下の通りである。
[1]本発明の一態様に係る熱延鋼板のブラスト処理方法は、Siを2.0~7.0質量%、Alを0.1~3.0質量%含む熱延鋼板のブラスト処理方法であって、研削材としてグリットを用いる。
【0012】
[2]上記[1]に記載の熱延鋼板のブラスト処理方法は、前記グリットの粒径が30~1000μmであってもよい。
【0013】
[3]上記[1]に記載の熱延鋼板のブラスト処理方法は、前記グリットを用いたウェットブラストを行ってもよい。
[4]上記[2]に記載の熱延鋼板のブラスト処理方法は、前記グリットを用いたウェットブラストを行ってもよい。
【0014】
[5]上記[3]または[4]に記載の熱延鋼板のブラスト処理方法は、下記条件(A)~(C)のうち、少なくとも1つ以上を満たしてもよい。
(A)前記グリットの投射量が1×10-3/m以上である。
(B)前記グリットと水の体積比率が5体積%以上である。
(C)前記グリットの前記熱延鋼板の表面への投射速度が5m/s以上である。
【0015】
[6]上記[1]~[4]の何れかに記載の熱延鋼板のブラスト処理方法は、前記熱延鋼板を600℃以上で巻き取った後、前記熱延鋼板をブラスト処理してもよい。
[7]上記[5]に記載の熱延鋼板のブラスト処理方法は、前記熱延鋼板を600℃以上で巻き取った後、前記熱延鋼板をブラスト処理してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、Si及びAlを多く含む熱延鋼板の酸洗性を改善することが可能な、新規かつ改良された熱延鋼板のブラスト処理方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態に係る熱延鋼板のブラスト処理方法について詳細に説明する。
本実施形態に係る熱延鋼板のブラスト処理方法は、Siを2.0~7.0質量%、Alを0.1~3.0質量%含む熱延鋼板のブラスト処理方法であって、研削材としてグリットを用いることを特徴とする。
ここで、「グリット」とは、使用前の状態で、稜角をもつ角張った形状を有し、丸い部分が粒子の全表面積の1/2未満の粒子をいう。ここでいう「丸い部分」とは、稜角、破砕面または他の鋭い表面欠陥の無い丸みを帯びた部分(粒子表面が湾曲している部分)を意味する。一方、「ショット」とは、使用前の状態で、稜角、破砕面又は他の鋭い表面欠陥がなく、長径が短径の2倍以内の球形状の粒子をいう。また本実施形態において、「~」を挟んで記載される数値限定範囲には、下限値および上限値がその範囲に含まれる。「未満」、「超」と示す数値には、その値が数値範囲に含まれない。
【0018】
<1.本発明者らによる検討>
まず、本発明者らによる検討について説明する。本発明者らは、Si及びAlを多く含む熱延鋼板の酸洗性を向上させるために、ブラスト処理について検討した。従来行われているショットブラストでは、球形の研削材を用いているため、表層スケール、特にB層を十分に除去できていないと考えられる。そこで、本発明者らは、酸洗前の熱延鋼板の表面処理において、研削材として角ばった形状のグリットを用いることを着想した。そして、研削材としてグリットを用いてブラスト処理を行ったところ、その後の酸洗において、従来のショットを用いたブラスト処理に比べて短時間で表層スケール及び内部酸化層を除去できることを確認した。すなわち、酸洗前のブラスト処理において研削材としてグリットを用いることで熱延鋼板の酸洗性を改善することができた。このことから、グリットを用いたブラスト処理によって表層スケール、特にB層を従来よりも多く、かつ効率良く除去できることが分かった。さらに、本発明者らは、研削材としてグリットを用いることで、より少ない投射量でも十分に表層スケール及び内部酸化層を除去できる(つまり酸洗時間を短縮できる)こと、ブラスト処理をウェットブラストで行うことでブラスト処理をより円滑に(効率的に)行うことができることを見出した。本発明者らは、以上の知見に基づいて、本実施形態に係る熱延鋼板のブラスト処理方法に想到した。
以下、本実施形態について詳細に説明する。
【0019】
<2.ブラスト処理の対象となる熱延鋼板>
本実施形態に係るブラスト処理は、Siを2.0~7.0質量%、Alを0.1~3.0質量%含む熱延鋼板に対して行われる。ここで、各元素の質量%は、熱延鋼板の総質量に対する質量%である。Si及びAl以外の他の元素は要求される特性(例えば、最終製品である電磁鋼板に求められる各特性)を満たすために任意に含有されてもよい。このようなSi及びAlを含む熱延鋼板に形成される表層スケール及び内部酸化層には、Si系酸化物及びAl系酸化物が多く含まれる。
【0020】
Siは電磁鋼板の電気抵抗を高め、鉄損を低下させるために有効な元素である。Siの含有量を2.0質量%以上とすることで、電磁鋼板の電気抵抗が高くなり、鉄損を低減することができる。このため、Siの含有量の下限値は2.0質量%以上とする。好ましくは、Si含有量は、2.5質量%以上である。一方、Si含有量が過剰である場合、熱延鋼板の強度が過度に高くなり、冷間圧延時に割れが発生する可能性がある。したがって、冷間圧延時における鋼板の割れを抑制するという観点から、Siの含有量の上限値は7.0質量%以下とする。好ましくは5.0質量%以下である。
【0021】
AlはSiと同様に電気抵抗を高め,鉄損を低下させるために有効な元素である。Alの含有量を0.1質量%以上とすることで、電磁鋼板の電気抵抗が高くなり、鉄損を低減することができる。このため、Alの含有量の下限値は0.1質量%以上とする。好ましくは、Al含有量は、0.15質量%以上である。一方、Al含有量が過剰である場合、熱延鋼板の強度が過度に高くなり、冷間圧延時に割れが発生する可能性がある。したがって、冷間圧延時による鋼板の割れを抑制するという観点から、Alの含有量の上限値は3.0質量%以下とする。好ましくは2.5質量%以下である。
【0022】
上述の通り、鋼板に要求される特性に合わせ、Si及びAlを含有すればよい。つまり、Siが2.0質量%未満、Alが0.1質量%未満の場合、所望の特性を得ることが難しい。一方で、Si含有量およびAl含有量それぞれが各下限値以上となると、熱間圧延工程や焼鈍工程において、内部酸化層の生成が顕著となり、酸洗性の著しい低下の要因となる。すなわち、AlやSiは含有量が多い場合に酸性を難しくする元素であり、AlやSi含有量の下限は、酸性性に課題の生じてくる下限の含有量でもある。以上より、Siを2.0~7.0質量%、Alを0.1~3.0質量%とする。
【0023】
熱延鋼板を得るための熱間圧延の条件は特に制限されず、従来から行われる熱間圧延と同様の条件であればよい。熱間圧延の条件の一例として、熱間圧延は、微細な析出物の発生を抑制するために、950~1200℃の温度範囲で行われてもよい。また、熱間圧延後の熱延鋼板の厚さは0.8~3.0mmであってもよい。もちろん、熱間圧延の条件はこれらに限定されず、最終製品である電磁鋼板に求められる特性等に応じて適宜設定されればよい。
【0024】
熱延鋼板にブラスト処理を施す前に、熱延鋼板を焼鈍してもよい。上述したように、熱延鋼板には多量のSi及びAlが含まれているので、非常に強度が高い。このため、冷間圧延時に熱延鋼板に割れが発生する可能性がある。そこで、熱延鋼板を焼鈍することで、熱延鋼板を軟質化させる。なお、熱延板焼鈍の条件については特に制限されず、従来から行われる熱延板焼鈍と同様の条件であってよい。熱延板焼鈍の条件の一例として、焼鈍炉を用い、熱延鋼板を炉内で600~1000℃で1~500秒保持する条件が挙げられる。これにより、熱延鋼板の金属組織の再結晶を促しつつ、オーステナイトの粒径の粗大化を抑制することができる。炉内雰囲気は、Hを0~10体積%で含み、残部が不活性ガス(N等)で構成され、露点が-60~60℃である雰囲気であってよい。もちろん、熱延板焼鈍の条件は上記に限定されず、最終製品である電磁鋼板に求められる特性等に応じて適宜設定されればよい。
【0025】
上記熱延板焼鈍を行う代わりに、熱間圧延後の熱延鋼板を高温(例えば、600℃以上)で巻き取ってもよい。この場合、熱延鋼板の冷却速度を遅くできるので、熱延鋼板の金属組織が上記熱延板焼鈍を行った場合と同様の挙動を示す。この結果、熱延鋼板が軟質化される。したがって、熱間圧延後の熱延鋼板を高温で巻き取ることで、熱延板焼鈍工程を省略することができる。ただし、熱延鋼板を高温で巻き取る場合、熱延鋼板が高温で長時間保持されるため、熱延板焼鈍と同様に、表層スケール中の酸素を酸化源として母材中のSi及びAlが酸化し、内部酸化層(C層)が形成される。熱間圧延後の熱延鋼板を高温で巻き取る場合、巻取り温度が高いほど、高温で保持される時間が長くなり、熱延鋼板を軟質化できる。一方で、巻取温度が600℃未満であれば、内部酸化層(C層)の形成がほとんどなく、焼鈍を行わない場合、酸洗性の低下の要因とならない。そのため、熱間圧延後の熱延鋼板を高温で巻き取る場合、600℃以上が好ましく、さらに好ましくは700℃以上である。
【0026】
<3.ブラスト処理>
本実施形態に係るブラスト処理は、上記熱延板焼鈍がなされた熱延鋼板(または高温で巻き取られた後に引き出された熱延鋼板)に対して行われる。このような熱延鋼板の表面には、表層スケール(A層、B層)及び内部酸化層(C層)が形成されている。B層を構成するAl系酸化物は非常に安定性が高く、酸に溶けにくい。したがって、特にB層をブラスト処理によって十分に除去しておく必要がある。
【0027】
そこで、本実施形態のブラスト処理では、研削材としてグリットを用いてブラスト処理を行うことで表層スケールを除去する。具体的には、グリットを熱延鋼板の表面に投射する。このように、グリットを用いてブラスト処理を行うことで、多くの表層スケール、特にB層を除去することができ、結果、熱延鋼板の酸洗性を高めることができる。これは、酸に対して非常に安定なB層を多く除去できるため、後の酸洗工程において酸洗液が容易に内部酸化層まで浸透するからである。
【0028】
上記のような効果が得られた理由は、グリッドの粒子形状が角ばっているためと考えられる。すなわち、グリットは角ばった形状を有しているので、表層スケールに食い込みやすく、その結果、表層スケールを容易に破壊することができる。この時、A層のみならず、B層も容易に破壊できる。
【0029】
ここで、従来のブラスト処理においては、ブラスト処理後に熱延鋼板に残留したB層は、後の酸洗工程によって除去されるが、B層を構成するAl系酸化物は酸に対して非常に安定しているため、酸洗液中に分散して残留する可能性がある。そして、酸洗液中に分散したAl系酸化物が熱延鋼板に再付着する可能性がある。熱延鋼板に再付着したAl系酸化物は、冷間圧延ロールを偏摩耗させる可能性がある。一方、本実施形態に係るブラスト処理では、グリットによって多くのB層が除去されることから、酸洗工程によって酸に浸漬されるB層が少なくなる。すなわち、酸洗液中に分散するAl系酸化物が少なくなる。したがって、本実施形態に係るブラスト処理によればAl系酸化物の熱延鋼板への再付着が抑制される。以下、本実施形態に係るブラスト処理、すなわちグリットを用いたブラスト処理を「グリットブラスト処理」とも称する。
【0030】
グリットの粒径は30~1000μmであることが好ましい。ここで、本実施形態における研磨材粒径は平均粒径である。本実施形態におけるグリットの平均粒径は、Mie散乱理論に基づくレーザ回折散乱法(JIS Z 8825:2022)によって測定されるものとする。
【0031】
グリットの粒径を30μm以上とすることで、個々のグリットの衝突エネルギーを高めることができるので、グリットブラスト処理によるデスケーリング性をより一層高めることができる。一方、グリットの粒径を1000μm以下とすることで、設定された投射量(熱延鋼板の単位面積に対して投射されるグリットの積算体積)に対するグリットの個数を十分に確保することができるので、グリットブラスト処理によるデスケーリング性をより一層高めることができる。グリットの粒径の好ましい下限値は150μm以上であり、好ましい上限値は400μm以下である。
【0032】
このように、本実施形態では、研削材としてグリットを用いてグリットブラスト処理を行う。これにより、多くの表層スケール、特にB層を除去することができるため、熱延鋼板の酸洗性を高めることができる。なお、本実施形態では、グリットを用いてグリットブラスト処理を行えばよく、グリットブラスト処理の他の条件(投射量、投射速度等)は特に制限されず、従来のショットブラスト処理と同様であってもよい。この場合にも熱延鋼板の酸洗性を高めることができる。例えば、ある条件のもとでショットブラスト処理を行った場合と、グリットを用いる他は当該ショットブラスト処理と同条件で本実施形態のグリットブラスト処理を行った場合とを比較すると、本実施形態のグリットブラスト処理を行った熱延鋼板では、ショットブラスト処理を行った熱延鋼板よりも酸洗性が向上する。さらに、本実施形態によれば、より少ない投射量で熱延鋼板の酸洗性を高めることができる。
【0033】
(ウェットブラスト処理)
本実施形態のグリットブラスト処理は、上記グリットを用いたウェットブラスト処理であることが好ましい。つまり、本実施形態のグリットブラスト処理は、グリットのみを熱延鋼板に投射するドライブラスト処理であってもよいが、グリットが水中に分散したスラリーを熱延鋼板に投射するウェットブラスト処理であることが好ましい。その理由は以下の通りである。
【0034】
上述したように、本実施形態では、投射されたグリットが表層スケールに食い込むことによって表層スケールが除去される。表層スケールに食い込んだグリットは表層スケールから離脱し、除去される。しかしながら、ドライブラスト処理では、表層スケールに食い込んだグリットが稀に残留することがある。このような場合、後続のグリットが表層スケールに残留したグリットに衝突すると、その後続のグリットは表層スケールに直接に衝突しないため、表層スケールの剥離にほとんど寄与しない。なお、熱延鋼板表面にグリットが残留したままグリットブラスト処理が完了しても、後続の酸洗工程によってグリットは洗い流される。
【0035】
この点、ウェットブラスト処理では、グリットが熱延鋼板に衝突すると同時に比重を持った水でグリットを押し流すことができる。したがって、ウェットブラスト処理の場合は表層スケールにグリットが残留しにくくなるので、より多くのグリットを表層スケールに直接に衝突させることができ、結果、グリットブラスト処理をより効率的に行うことができる。すなわち、ウェットブラスト処理によれば、ドライブラスト処理に比べて、熱延鋼板に所望の酸洗性を付与するために必要なグリットの投射量を低下させることができる。あるいは、同程度の投射量によって熱延鋼板の酸洗性をより高めることができる。
【0036】
なお、ウェットブラスト処理では、上述したように、熱延鋼板表面上にはグリットがほとんど残留しない。さらに、ウェットブラスト処理の他の条件(後述の投射量等)によっては、酸洗工程が不要になる程度まで表層スケール及び内部酸化層(C層)を除去できる場合がある。この場合、酸洗工程は省略してもよい。
以下、ウェットブラスト処理の好ましい条件について説明する。これらの条件のうち、いずれか1つ以上が満たされることが好ましく、全て満たされることが最も好ましい。
【0037】
(グリットと水の合計量に対するグリットの体積比率)
グリットと水の合計量(総体積)に対するグリットの体積比率、すなわちスラリーのグリット濃度(以下、研磨材濃度とする)が高いほど、単位体積あたりのスラリーにおけるグリットの投射量が多くなり、経済性や作業効率の観点で好ましい。この効果を得るためには、スラリーの研磨材濃度は5体積%以上であることが好ましい。ここで、スラリーの研磨材濃度は、スラリー中の水及びグリットの総体積に対するグリットの体積の割合(%)を意味する。一方で、スラリーの研磨材濃度が過度に高いと、スラリーの流動性が低下し、グリットがスラリー搬送用の配管に詰まる可能性が高まる。このような観点から、スラリーの研磨材濃度は50体積%以下としてもよい。
【0038】
(グリットの材質)
グリットの材質は特に制限されないが、例えば、JIS Z 0311(2004)、JIS Z 0312(2016)、またはJIS G 5903(2018)等に規定されるグリットを使用してもよい。
【0039】
(投射速度)
グリットの熱延鋼板の表面(表層スケール)への投射速度が大きいほど、グリットブラスト処理によるデスケーリング性が向上する。したがって、投射速度は5m/秒以上であることが好ましい。ここで、「投射速度」とは、グリットが熱延鋼板に衝突する際の速度であり、高速度カメラ等を用い、単位時間当たりのグリットの平均移動距離(複数のグリットについて測定された移動距離の算術平均値)を測定することによって測定可能である。投射速度の上限値は特に制限されないが、投射速度を高めるためには設備能力を高める必要がある。つまり、投射速度を高めようとするほど経済性が低下するため、投射速度の上限値は150m/秒であってもよい。
【0040】
(投射量)
グリットの投射量は1×10-3/m以上であることが好ましい。ここで、「グリットの投射量」とは、熱延鋼板の表面に衝突する水などの液体を除くグリットのみの単位面積あたりの積算体積である。グリットの投射量を1×10-3/m以上とすることで、より多くの表層スケールを除去することができる。なお、グリットの投射量が多いほど表層スケールの除去量が増えるので投射量の上限値に特に制限はない。ただし、経済性の観点から、グリットの投射量は100×10-3/m以下であってもよい。後述する実施例で示される通り、本実施形態に係るブラスト処理によれば、投射量が10×10-3/m以下であっても表層スケールを十分に除去することができる。
【0041】
ここで、JIS Z 2504(2020)に規定される方法(金属粉-見掛密度測定方法)で測定される、かさ密度が7000kg/mのグリットを使用する場合、1×10-3/mの投射量を質量基準の投射量に換算すると、7kg/m(1×10-3(m/m)×7000(kg/m)=7(kg/m)となる。本実施形態においてグリットの投射量を体積基準で規定しているのは、グリットブラスト処理では熱延鋼板に投射するグリットの個数が重要になるからである。すなわち、本実施形態では、グリットの粒径は上述した所定範囲内の値であることが好ましいため、そうすればグリット粒子の体積も所定範囲に定まることとなる。したがって、体積基準で投射量を規定すれば、使用するグリットの材質が異なっても、熱延鋼板に投射するグリットの個数をある程度揃えることができる。一方で、投射量を質量基準で規定した場合、使用するグリットの材質(具体的にはかさ密度)によって熱延鋼板に投射するグリットの個数がばらつく可能性がある。
【0042】
(投射角度)
グリットの投射角度は30~90°であることが好ましい。ここで、「グリットの投射角度」とは、グリットが熱延鋼板の表面に衝突する際のグリットの進行方向と熱延鋼板の表面とのなす角度である。例えば、熱延鋼板の表面(表層スケールの表面)に対して垂直にグリットを投射する場合、投射角度は90°となる。なお、熱延鋼板の移動速度、方向は特に制限されない。投射角度をこの範囲内とすることで、より多くの表層スケールを除去することができ、結果、表層スケールの除去効果が向上する。投射角度が90°に近づくほど表層スケールの除去効果が向上するため、グリットの投射角度は60~90°であることがより好ましい。
【0043】
なお、上述したグリットの材質、投射速度、投射量、及び投射角度はウェットブラスト処理の好ましい態様として説明したが、ドライブラスト処理を行う場合に適用されてもよい。
【0044】
以上述べた通り、本実施形態によるグリットブラスト処理によれば、研削材として角ばった形状を有するグリットを使用するので、表層スケール、特にB層を多く除去することができる。このため、酸洗工程においてより多くの酸洗液が内部酸化層に浸透するので、熱延鋼板の酸洗効率を高めることができる。
【0045】
<4.酸洗工程>
グリットブラスト処理後の熱延鋼板に酸洗、冷間圧延を順次施すことで、電磁鋼板を作製することができる。酸洗の条件(酸の種類、濃度、温度、酸洗時間等)は特に制限されないが、グリットブラスト処理による表層スケールの除去量(研削量)によって調整されることが好ましい。つまり、グリットブラスト処理後の熱延鋼板に残存した表層スケール及び内部酸化層を除去できる程度の酸洗が行われればよい。したがって、予めグリットブラスト処理の条件と必要な酸洗の条件との対応関係を決定しておくことが好ましい。本実施形態によれば、グリットブラスト処理によって多くのB層を除去することができるため、酸洗時間を大幅に短縮することができる。
【0046】
酸洗に用いられる酸は、従来の酸洗で通常用いられる酸を用いればよく、例えば塩酸、硫酸、ふっ酸、及び硝酸等から選択されればよい。経済性や作業性の観点から、酸洗液として、塩酸濃度が1~20質量%の40~90℃の溶液を使用することが好ましい。酸洗液には、酸化物の溶解速度を向上させるために公知の酸洗促進剤が添加されてもよい。また、酸洗液には、母材の溶解を抑制する公知のインヒビター(酸洗抑制剤)が添加されてもよい。
【0047】
なお、上述したように、十分なグリットブラスト処理を実施することで、酸洗を省略することも可能である。つまり、グリットブラスト処理後の熱延鋼板を酸洗せずに冷間圧延してもよい。ただし、グリットブラスト処理後の熱延鋼板の表面には数μm程度のグリットの摩耗粉が残留する可能性がある。特に、ドライブラスト処理を行った場合、熱延鋼板の表面にグリットの摩耗粉が残留する可能性がより高い。これらの摩耗粉は酸洗によって除去されるため、グリットブラスト処理後に酸洗を行うことが好ましい。
【実施例0048】
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【0049】
<1.試験サンプルの準備>
本発明に係るグリットブラスト処理の効果を確認するために、以下の実験を行った。まず、熱延鋼板の試験サンプルを準備した。具体的には、Siを2.5質量%、Alを1.1質量%含む鋼片を連続鋳造した。次いで、この鋼片を1150℃で熱間圧延し、巻取温度が600℃未満で巻き取ることで、1.8mm厚の熱延コイルを作製した。次いで、熱延コイルから50×50mm角の熱延鋼板を切り出し、続いて、この熱延鋼板を焼鈍した。焼鈍温度(炉内温度)は950℃とし、炉内雰囲気は、Nガス、露点60℃とし、均熱時間を100秒とした。
なお、熱延板焼鈍の省略を目的として、一部の例(比較例3および実施例10)では、熱間圧延時に巻取り温度を750℃で巻取り、徐冷した熱延コイルから50×50mm角の熱延鋼板を作成した。
以上の工程により試験サンプルを作製した。
【0050】
<2.ブラスト処理>
試験サンプルに対し、表1に示す所定の条件でグリットブラスト処理(または比較としてショットブラスト処理)を施した。なお、表1に示すサンプルで、「焼鈍板」は熱延コイルから切り出したサンプルを焼鈍したもので、「熱延板」は熱延巻取り温度を750℃として、焼鈍は行っていないサンプルを意味し、「乾式」とは、ドライブラスト処理を意味し、「湿式」とはウェットブラスト処理を意味する。
表1以外の条件は以下の通りである。
【0051】
・研削材の材質 ショット:鋳鉄製、グリット:鋳鉄製
・投射角度:90°
・ウェットブラスト時の研磨材濃度(グリット/(グリット+水)):15体積%
【0052】
<3.酸洗>
グリットブラスト処理またはショットブラスト処理を施した各試験サンプルを、塩酸濃度9質量%、0.04質量%のインヒビター、及び0.03質量%の酸洗促進剤(いずれも酸洗液の総質量に対する質量%)を混合した85℃の酸洗液で酸洗した。酸洗時間は表1に示す通りとした。
【0053】
<4.酸化物残存量の計測>
酸洗後、酸洗性の指標として、試験サンプルの表面をXRF(蛍光X線分析、リガク社製ZSX Primus II)で分析することで試験サンプルの表面のAl強度を測定した。なお、酸洗性の指標として「Al強度」を採用した理由は以下の通りである。
Al系酸化物は塩酸に対し、Si系酸化物よりも安定(つまり溶けにくい)酸化物である。つまり、Al系酸化物はSi系酸化物より酸洗後に鋼板表面に残りやすく、Al強度が低いほど、酸洗による酸化物の除去が十分にできると判断できるためである。
【0054】
「Al強度」は試験サンプルの表面に残存するAl系酸化物の残存量に対応する値である。具体的には、試験サンプルの表層を約100μm機械研削することで母材を露出させ、この母材の表面をXRFで分析することで母材表面のAl強度を測定した。これをバックグラウンドとして試験サンプルの測定値から差し引くことで、試験サンプルのAl強度を測定した。Al強度が2.0kcps以下である場合に酸洗性に優れる(合格)レベルと評価した。
【0055】
【表1】
【0056】
実施例1~5では、本発明の範囲内であるグリットブラスト処理を行っているので、グリットの投射量が2×10-3/mと少なく、かつ酸洗時間が60秒と短時間であるにもかかわらず、Al強度は2.0kcps以下となった。これは、比較例1のショットブラスト処理に比較して、大きく低減できた。このことから、比較例1では酸洗時間が不足している(酸洗性が悪い)といえる。
【0057】
比較例2では、酸洗を200秒行った。この結果、Al強度は1.0kcpsと合格レベルになったものの、酸洗時間が非常に長くなった。したがって、比較例2では、電磁鋼板の生産性が低下することになる。
【0058】
さらに、実施例1~5において、グリットの粒度の影響を検討したところ、粒径が30~1000μmとなる実施例2~4でAl強度が1.0kcps以下となり、粒径が400μmとなる実施例3でAl強度が最も小さくなった。一方、実施例1では、グリットブラスト処理を行ったものの、グリットの粒径が比較的小さい20μmであった。このため、Al強度が1.0kcpsよりも大きい2.0kcpsとなった。実施例5では、グリットブラスト処理を行ったものの、グリットの粒径が比較的大きい1200μmであった。このため、Al強度が1.0kcpsよりも大きい1.5kcpsとなった。これらの結果から、グリットの粒径は30~1000μmが好ましいことがわかる。
【0059】
実施例6~9はグリットを用いたウェットブラストの実施例である。グリットの粒径が400μmとなるドライブラストとウェットブラストを比較すると、実施例3のグリットブラスト処理をウェットブラストで行った実施例6では、Al強度が最も小さくなった。さらに、ウェットブラストを採用することで、スケール除去効果が増すことが判った。実施例7は、ウェットブラストにおいて、グリットの粒径を150μmとした例である。実施例7では、粒径が400μmの実施例6と同等のAl強度が得られたことから、グリットの粒径のより好ましい下限値は150μm以上であり、より好ましい上限値は400μm以下であることがわかる。
【0060】
実施例8~9によれば、投射速度は5m/s以上であることが好ましく、投射量は1×10-3/m以上であることが好ましいことがわかる。また、実施例3と実施例8、9とを比較すると、実施例8、9では、より低い投射速度あるいは少ない投射量で実施例3と同等の結果が得られている。この点でもウェットブラストが好ましいことがわかる。
さらに実施例10では、熱間圧延工程で高温巻取りを行ったサンプルであり、Al強度が比較例3の18.0kcpsと比べ、0.5kcpsと大幅に低減できた。
【0061】
以上、実施例を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の上記態様によれば、酸洗性を改善することが可能な、熱延鋼板のブラスト処理方法の提供が可能となるので、産業上の利用可能性が高い。