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特開2024-12850送風機並びにこれを備えた洗濯乾燥機及び乾燥機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012850
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】送風機並びにこれを備えた洗濯乾燥機及び乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/20 20060101AFI20240124BHJP
   D06F 25/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
D06F58/20
D06F25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114611
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡凜
(72)【発明者】
【氏名】塚本 和寛
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸司
(72)【発明者】
【氏名】飛田 達成
(72)【発明者】
【氏名】額賀 晴樹
【テーマコード(参考)】
3B165
3B166
【Fターム(参考)】
3B165AA12
3B165AA15
3B165AB22
3B165AB30
3B165AE01
3B165AE02
3B165BA43
3B165BA55
3B165CA01
3B165CB01
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3B165CB31
3B165CB32
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3B165DW04
3B165DW05
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3B165EW03
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3B166AB22
3B166AB30
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3B166BA43
3B166BA55
3B166CA01
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3B166CB11
3B166CB12
3B166EA03
3B166EA12
3B166EB02
3B166EB17
3B166EC02
3B166EC12
3B166EC22
3B166ED01
3B166ED02
3B166ED05
3B166GA12
(57)【要約】
【課題】遠心羽根車とヒータとを備える送風機において、ヒータへの空気の流れが一様になるようにし、かつ、流路抵抗の増加を抑制する。
【解決手段】電動機と、電動機の回転軸に設けられた遠心羽根車と、遠心羽根車の周囲に設けられたスクロール流路と、スクロール流路の下流端部に設けられた拡大流路と、拡大流路の下流端部に設けられたヒータと、を備える送風機であって、拡大流路には、遠心羽根車から見て径方向外側壁面から径方向内側壁面に向かって凸部が設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機と、
前記電動機の回転軸に設けられた遠心羽根車と、
前記遠心羽根車の周囲に設けられたスクロール流路と、
前記スクロール流路の下流端部に設けられた拡大流路と、
前記拡大流路の下流端部に設けられたヒータと、を備え、
前記拡大流路には、前記遠心羽根車から見て径方向外側壁面から径方向内側壁面に向かって凸部が設けられている、送風機。
【請求項2】
前記拡大流路は、前記スクロール流路の前記下流端部であるスクロール吐出口から前記ヒータの加熱部の前面までの範囲であり、
前記スクロール吐出口は、前記加熱部の前記前面に平行である、請求項1記載の送風機。
【請求項3】
前記凸部の頂点から前記ヒータの加熱部の前面までの流路長は、前記ヒータの前記加熱部の幅よりも長く設けられている、請求項1記載の送風機。
【請求項4】
前記凸部は、前記ヒータの加熱部の前面における垂線であって前記凸部の頂点を通るものが、前記加熱部の中央よりも前記拡大流路の前記径方向外側壁面側を通るように設けられている、請求項1記載の送風機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の送風機を備える、洗濯乾燥機。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の送風機を備える、乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送風機並びにこれを備えた洗濯乾燥機及び乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯から乾燥まで連続して行える洗濯乾燥機による衣類の乾燥は、送風機と加熱手段により高温度、低湿度の空気を作り、これを洗濯槽内に吹き込み、衣類の温度を高くし、衣類から水分を蒸発させ、蒸発した水分を機外へ排出することにより行う。このとき、加熱手段における加熱効率を高めるために、送風機によって生み出された流れが加熱手段に一様な流速で与えられることが望ましい。
【0003】
特許文献1には、洗濯乾燥機に内蔵された温風ユニット22において、送風ファン202の回転により吐出口208から加熱用のヒータ24に向かって吐出する流量分布を均一に近づけるために、後側端部209側にはノーズ部210に向けて吐出口208を狭めるように突き出す隆起部211であって、後側端部209とヒータ24の一端部の間に位置し、後側端部209に対向する中央が高く隆起する形状にしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-285235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の温風ユニットは、送風機のノーズ部(舌部)に向けて隆起部を設けることで流れの均一化を図る構成である。しかしながら、特許文献1に記載された構成では、ノーズ部に向けて隆起部を設けているため、隆起部の立ち上がりはスクロール内に存在することになり、流速の大きい羽根車付近の流路断面積が小さくなってしまう。このため、流体と壁面との摩擦損失が増加し、送風機効率の低下が懸念される。
【0006】
本開示は、遠心羽根車とヒータとを備える送風機において、ヒータへの空気の流れが一様になるようにし、かつ、流路抵抗の増加を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の送風機は、電動機と、電動機の回転軸に設けられた遠心羽根車と、遠心羽根車の周囲に設けられたスクロール流路と、スクロール流路の下流端部に設けられた拡大流路と、拡大流路の下流端部に設けられたヒータと、を備え、拡大流路には、遠心羽根車から見て径方向外側壁面から径方向内側壁面に向かって凸部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、遠心羽根車とヒータとを備える送風機において、ヒータへの空気の流れが一様になるようにし、かつ、流路抵抗の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の送風機を備える洗濯機を示す縦断面図である。
図2】実施例の送風機を示す外観斜視図である。
図3】実施例の送風機をファンカバー側から見た分解斜視図である。
図4】実施例の送風機を電動機側から見た分解斜視図である。
図5】実施例の電気ヒータを示す分解斜視図である。
図6】実施例の送風機からファンカバーを取り外した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、実施形態の送風機を備える洗濯機を示す縦断面図である。なお、以下では、縦型洗濯乾燥機を例に挙げて説明するが、前面側に洗濯物の出し入れ口が形成されたドラム式洗濯乾燥機およびドラム式乾燥機に適用することもできる。
【0012】
図1に示すように、洗濯機Sは、筐体である外枠1、洗濯水を貯留する外槽2、回転槽3、駆動モータ10、送風機22などを備える。外槽2は、外枠1に内蔵されるとともに外枠1に防振支持されている。回転槽3は、洗浄及び乾燥が施される衣類などの洗濯物を収容する洗濯槽兼脱水槽であり、外槽2の内部に設けられている。また、回転槽3は、外槽2内に回転自在に支持されている。
【0013】
回転槽3の底部には、洗濯物を撹拌して洗う攪拌翼4が回動自在に設けられている。この攪拌翼4は、洗濯運転時および乾燥運転時に、正転/逆転を繰り返す動作が行われる。また、攪拌翼4は、脱水運転時には、回転槽3とともに高速回転する。回転槽3内の洗濯物は、脱水により大部分の水分が除去される。
【0014】
また、外枠1の上部には、外蓋5が設けられている。この外蓋5は、外枠1の上部に設けられたトップカバー6に開閉自在に設けられている。外槽2の上部には、内蓋34が開閉自在に設けられている。外蓋5および内蓋34を開くことで、回転槽3に対して洗濯物の出し入れを行うことができる。なお、図中左側が洗濯機Sの前側である。
【0015】
また、洗濯機Sは、乾燥機構を備えている。この乾燥機構は、回転槽3内の洗濯物を乾燥する乾燥用空気の循環送風や除湿を行う。また、乾燥機構は、主に乾燥用空気循環路9と送風機22とで構成されている。乾燥用空気循環路9は、外槽2の底部に連通するように接続される底部循環路20と、底部循環路20から上向きに延びる除湿用縦通路21と、を備える。
【0016】
送風機22の吸込側は、除湿用縦通路21の上側に接続されている。送風機22の排出側は、戻り接続循環路25と連通するように接続されている。また、送風機22と除湿用縦通路21との間には、乾燥フィルタ45が配置され、送風機22に異物が流入しないようになっている。送風機22は、電気ヒータを内蔵している。
【0017】
戻り接続循環路25は、上部蛇腹ホース23を有し、この上部蛇腹ホース23を介して外槽2の上部に連通するように接続されている。底部循環路20も、下部蛇腹ホース26を有し、この下部蛇腹ホース26を介して外槽2の底部に連通するように接続されている。
【0018】
下部蛇腹ホース26は、外槽2の底落込部31に接続されている。この底落込部31は、下部連通管41を介して洗濯水排水路42及び洗濯水循環水路43に連通している。洗濯水排水路42には、排水弁44が設けられている。洗濯水循環水路43には、異物除去トラップ32が設けられている。
【0019】
まとめると、乾燥機構においては、送風機22から送られる乾燥用空気は、戻り接続循環路25、外槽2、底落込部31、下部蛇腹ホース26及び乾燥用空気循環路9をこの順に通過して、送風機22に戻るように構成されている。
【0020】
排水弁44は、洗濯運転時や乾燥運転時には閉じられている。また、排水弁44は、洗濯水を排水する排水時に開いて、外槽2に溜まっている洗濯水を洗濯水排水路42から洗濯機Sの外部(機外)に排出する。
【0021】
また、洗濯機Sでは、送風機22の遠心羽根車300(図2参照)が回転することによって乾燥用空気が回転槽3内を流通し、回転槽3内の洗濯物を乾燥させる。また、送風機22の電気ヒータ24(図3参照)によって、除湿領域で水分が凝縮された乾燥用空気が再加熱されて回転槽3を流れるので、洗濯物の水分をさらに蒸発させる。この水分除去が乾燥用空気の循環で繰り返されることにより洗濯物が乾燥される。
【0022】
以下、実施例の送風機について詳細に説明する。
【実施例0023】
図2は、実施例の送風機を示す外観斜視図である。
【0024】
図2に示すように、送風機22は、ファンカバー51と、ファンケーシング52と、電動機100と、遠心羽根車300と、を備えている。なお、ファンカバー51及びファンケーシング52は、ケーシング500を構成している。送風機22は、例えば、送風機22のファンカバー51が略下向きとなるようにして、洗濯機S(図1参照)の外枠1(図1参照)内に設置される。ただし、送風機22の取り付け方は、これに限定されるものではない。
【0025】
ファンカバー51には、吸込口57と排出口58が形成されている。吸込口57は、乾燥フィルタ45(図1参照)を介して除湿用縦通路21(図1参照)に接続される。排出口58は、乾燥用空気循環路の戻り接続循環路25(図1参照)に接続される。
【0026】
図3は、本実施例の送風機をファンカバー側から見た分解斜視図である。
【0027】
図4は、本実施例の送風機を電動機側から見た分解斜視図である。
【0028】
図3に示すように、ファンカバー51は、一方向に細長い形状を有し、長手方向の一方に吸込口57が形成され、長手方向の他方に排出口58が形成されている。吸込口57は、円形状の貫通孔であり、遠心羽根車300の吸込開口302(吸込み部)の中央部と対向する。
【0029】
排出口58は、円形状の貫通孔であり、電気ヒータ24の下流側に位置している。また、排出口58の直径は、吸込口57の直径よりも大きく形成されている。また、吸込口57と排出口58は、略同じ方向に配置されている。
【0030】
また、ファンカバー51の周縁部には、ファンケーシング52とねじ固定されるねじ固定部91が複数箇所に形成されている。
【0031】
ファンケーシング52は、ファンカバー51に対応する形状を有している。ファンケーシング52とファンカバー51とを組み合わせたときに、ファンカバー51とファンケーシング52との間に、遠心羽根車300および電気ヒータ24が配置される空間が形成されるように構成されている。
【0032】
また、ファンケーシング52には、電動機100の回転軸101が挿入される軸挿入孔80が形成されている。また、ファンケーシング52の外周縁部には、ファンカバー51のねじ固定部91に対応する位置に、ねじ(不図示)が挿通されるねじ挿通部92が形成されている。
【0033】
また、ファンケーシング52とファンカバー51とにより、遠心羽根車300の外周囲(半径方向の外側)にスクロール流路70が形成されている。このスクロール流路70は、舌部71側の流路幅が狭く形成され、舌部71から時計回り方向に向けて流路幅が徐々に広くなるように構成されている。なお、舌部71は、スクロール流路70の開始点である。また、スクロール流路70の出口は、スクロール吐出口72である。
【0034】
また、スクロール吐出口72と電気ヒータ24との間には、拡大流路73が設けられている。なお、拡大流路73は、拡大流路出口74が拡大流路73の入口(スクロール吐出口72)よりも大きな断面積を有するように設けられている。
【0035】
また、拡大流路73は、遠心羽根車300から見て、径方向外側壁面76から、径方向内側壁面77に向かって隆起するような凸部75を有する。凸部75の頂点Aを通り、拡大流路出口74と平行な面を凸部流路断面78とすると、凸部流路断面78の面積は、スクロール吐出口72よりも小さくなっている。なお、スクロール吐出口72、拡大流路出口74及び凸部流路断面78は、電気ヒータ24の前面(平面とみなす。)に平行な面である。ここで、スクロール吐出口72(流路断面)の法線は、遠心羽根車300の回転軸101(回転中心軸)と交わることはない。このため、径方向外側壁面76は、径方向内側壁面77に比べ、回転軸101から径方向に離れた位置にあると言える。そこで、本明細書においては、「径方向外側」及び「径方向内側」という用語を用いている。
【0036】
また、凸部75の頂点Aから拡大流路出口74までの流路長L1は、電気ヒータ24の加熱部201の幅L2よりも大きくなるように設けられている。
【0037】
電動機100は、径方向の中心に遠心羽根車300と結合される回転軸101を有し、ファンケーシング52に取り付けられる。また、電動機100は、回転軸101に固定されるロータ(回転子)、ロータの周囲に設けられるステータ(固定子)、及び回転軸101を回転自在に支持する軸受を有している。また、電動機100は、ロータ、ステータおよび軸受を収容する略円柱状のケース102を有している。
【0038】
遠心羽根車300は、シュラウド板301と、ハブ板311と、羽根321とが組み合わされて構成されている。シュラウド板301は、径方向の中央に、円形の吸込開口302が形成されている。ハブ板311は、回転軸101を固定する軸孔(図示せず)が形成されている。羽根321は、シュラウド板301とハブ板311とが軸方向Axの両側から挟まれて構成されている。
【0039】
図5は、本実施例の電気ヒータを示す分解斜視図である。
【0040】
本図に示すように、電気ヒータ24は、多数のフィンを備え、発熱部位である矩形の加熱部201と、加熱部201を電気回路に接続する端子部202と、加熱部201を固定する加熱部固定具203と、端子部202を固定する端子部固定具204と、によって構成されている。
【0041】
図3に示すように、送風機22では、遠心羽根車300がW方向に回転することで、吸込口57を通って吸込開口302から空気(流体)が吸い込まれ、その空気は、遠心羽根車300の外周部から流出する。流出した空気は、スクロール流路70を通り、拡大流路73に流れ込む。そして、その空気は、電気ヒータ24を通り、加熱され、排出口58へ流れる。排出口58から流出した加熱空気は、戻り接続循環路25を通り、外槽2に流入する(図1参照)。
【0042】
つぎに、本実施例の特徴及び作用効果について説明する。
【0043】
図6は、本実施例の送風機からファンカバーを取り外した状態を示す平面図である。
【0044】
図6において、遠心羽根車300から出た流れは、スクロール流路70に流れ込み、その後、拡大流路73へと流れる。そのとき、拡大流路73の入口(スクロール吐出口72)においては、遠心力の影響により、径方向内側壁面77側よりも径方向外側壁面76側の流速のほうが大きくなり、偏った流れとなる。拡大流路73が凸部75を有さない場合、その流速分布のまま電気ヒータ24に流れが達し、電気ヒータ24に一様な流れを与えることができない。
【0045】
ここで、スクロール吐出口72は、舌部71を通り、かつ、電気ヒータ24の前面に平行な平面として定義する。本図においては、凸部75の立ち上がり部(上流端部)の位置に一致している。ただし、凸部75の立ち上がり部は、この位置に限定されるものではなく、この位置よりも下流側に配置してもよい。スクロール吐出口72よりも上流側の流路は、スクロール流路70に含まれるものとする。スクロール流路70には、意図的には凸部も凹部も設けていない。したがって、スクロール流路70の流路壁は、スクロール流路70として理論的に適切とされている形状に近い形状を有している。
【0046】
図6に示すように、拡大流路73が凸部75を有する場合、径方向外側の流れの向きが凸部75により変えられ、その流れの一部が径方向内側へ向かうようになる。これにより、拡大流路73における流れの偏りが小さくなり、電気ヒータ24に流入する空気の流速がほぼ一様なものとすることができる。
【0047】
このとき、流路長L1が十分な長さを確保できない場合、凸部75によって流れが変えられたのち、拡散する前に電気ヒータ24へと流れが到達し、電気ヒータ24に一様な流れを与えることができない可能性がある。
【0048】
そのため、本実施例においては、少なくとも流路長L1が電気ヒータ24の加熱部の幅L2よりも大きくなるように凸部75を設けている。これにより、凸部75によって変えられた流れを、電気ヒータ24に達するまでに十分に拡散させることができ、電気ヒータ24により一様な流れを与えることができる。
【0049】
また、凸部75の頂点Aを通り、電気ヒータ24の上流側の面に垂直な線B(図中点線で示す。)を描いたときに、線Bは、電気ヒータ24の加熱部201(図5)の中央よりも径方向外側壁面76側を通ることが望ましい。これにより、凸部75により変えられた流れが径方向内側壁面77側に偏りすぎることなく電気ヒータ24に到達するため、より一様な流れをヒータに与えることができる。
【0050】
また、本実施例では、凸部75をスクロール流路70内ではなく、その下流の拡大流路73内に設けている。これにより、流速が大きい遠心羽根車300の周囲の流路断面積を狭めることなく、凸部75を設けることができ、流体とスクロール流路70を形成する壁面との摩擦損失を大きく増加させることなく、電気ヒータ24に一様な流れを与えることが可能となる。
【0051】
以上説明したように、本実施例の送風機22は、電動機100と、電動機100に回転自在に設けられる回転軸101と、回転軸101に設けられる遠心羽根車300と、遠心羽根車300の周囲に設けられるスクロール流路70と、スクロール流路70の下流に設けられる拡大流路73と、拡大流路73内に設けられる凸部75と、拡大流路の下流に設けられる電気ヒータ24と、を備える。
【0052】
拡大流路73内の凸部75によって、径方向外側に偏った流れの一部を径方向内側に導くことができ、電気ヒータ24に一様な流れを与えることが可能となる。
【0053】
また、流路長L1が電気ヒータ24の加熱部の幅L2より大きくなるように凸部75を設けているため、凸部75によって変えられた流れが、電気ヒータ24に達するまでに十分に拡散し、電気ヒータ24により一様な流れを与えることができる。
【0054】
また、凸部75の頂点Aを通り、電気ヒータ24の上流側面に垂直な線Bを描いたときに、線Bは、電気ヒータ24の加熱部201の中央よりも径方向外側壁面76側を通るように凸部75を設けることにより、変えられた流れが径方向内側壁面77側に偏りすぎることなく電気ヒータ24に到達し、より一様な流れを電気ヒータ24に与えることができる。
【0055】
また、凸部75をスクロール流路70内ではなく、その下流の拡大流路73内に設けることで、流速が大きい遠心羽根車300の周囲の流路断面積を狭めることなく、凸部75を設けることができ、流体とスクロール流路70を形成する壁面との摩擦損失を大きく増加させることなく、電気ヒータ24に一様な流れを与えることが可能となる。
【0056】
また、図6に示す凸部75の曲線の傾きについて、凸部75の頂点Aの上流側よりも下流側において傾きが緩やかになっている。このような構成により、凸部75付近を通過する空気の流れが剥離することを抑制することができる。これにより、送風機の効率が向上するとともに、騒音を抑制することができる。
【0057】
また、本実施例の送風機22は、洗濯機Sに備えられている。送風機22は、性能低下を抑制しつつ電気ヒータ24の加熱効率を向上することができるため、洗濯機Sの消費電力低減を図ることができる。
【0058】
なお、特許文献1に記載の温風ユニットにおいては、上記の定義によるスクロール吐出口の上流側に隆起部の立ち上がり部が設けられている。このため、スクロール吐出口の上流側であるスクロール流路における流路抵抗が大きい。また、隆起部の頂点からヒータまでの距離は、ヒータの幅に比べて非常に短い。このため、スクロール吐出口を通過した空気は、その流速分布が一様になる前にヒータに到達してしまう。
【0059】
本開示の実施例においては、これらの特許文献1の問題点を解決することができる。
【0060】
以下、本開示に係る望ましい実施形態についてまとめて説明する。
【0061】
送風機において、拡大流路は、スクロール流路の下流端部であるスクロール吐出口からヒータの加熱部の前面までの範囲であり、スクロール吐出口は、加熱部の前面に平行である。
【0062】
凸部の頂点からヒータの加熱部の前面までの流路長は、ヒータの加熱部の幅よりも長く設けられている。
【0063】
凸部は、ヒータの加熱部の前面における垂線であって凸部の頂点を通るものが、加熱部の中央よりも拡大流路の径方向外側壁面側を通るように設けられている。
【0064】
洗濯乾燥機は、上記の送風機を備える。
【0065】
乾燥機は、上記の送風機を備える。
【符号の説明】
【0066】
1:外枠、2:外槽、3:回転槽、9:乾燥用空気循環路、20:底部循環路、21:除湿用縦通路、22:送風機、23:上部蛇腹ホース、24:電気ヒータ、25:戻り接続循環路、26:下部蛇腹ホース、31:底落込部、45:乾燥フィルタ、51:ファンカバー、52:ファンケーシング、57:吸込口、58:排出口、70:スクロール流路、71:舌部、72:スクロール吐出口、73:拡大流路、74:拡大流路出口、75:凸部、76:径方向外側壁面、77:径方向内側壁面、78:凸部流路断面、100:電動機、101:回転軸、201:加熱部、300:遠心羽根車、301:シュラウド板、302:吸込開口、311:ハブ板、321:羽根、S:洗濯機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6