(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128507
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】粉体供給器、内視鏡及び粉体供給器の使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/015 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
A61B1/015
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037497
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(74)【代理人】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】谷口 忠壮
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】平井 与
(72)【発明者】
【氏名】岡部 貴広
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161FF39
4C161FF42
4C161GG11
4C161HH02
4C161HH56
(57)【要約】
【課題】内視鏡で、粉体を生体の中への導入する時に、特定部位に十分に粉体を供給し、粉体のロスが生じるのを抑制する。
【解決手段】粉体供給器70は、給気部73、及び収容部と拡散部と吐出部を兼ねる収容ケース78を有する。収容部と拡散部と吐出部を兼ねる収容ケース78は、内部に粉体200を収容する器として機能する。粉体200は、収容ケース78の粉体収容空間SP6に収容される。給気部73に連通している気体入口OP1には、メッシュ77が設けられている。メッシュ79の網目が収容ケース78の吐出孔HX2である。粉体供給器70は、収容ケース78の中で気体の中に粉体200を拡散して発生させた粉流体を吐出する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の中に挿入される内視鏡本体の挿入部の先端部に取り付けられ、前記生体の中に粉体を供給する粉体供給器であって、
前記挿入部の前記先端部に取り付けられるように構成されている取付部と、
前記内視鏡本体の送気ノズルから気体を取り入れるように構成されている給気部と、
前記給気部と連通しており且つ前記粉体を収容するように構成されている収容部と、
前記収容部と連通しており且つ前記収容部に収容される前記粉体を前記送気ノズルから送り込まれる前記気体の中に拡散させるように構成されている拡散部と、
前記拡散部と連通しており且つ前記粉体が拡散された前記気体を前記粉体とともに前記生体の中に吐出するように構成されている吐出部と
を備える、粉体供給器。
【請求項2】
前記給気部、前記収容部、前記拡散部及び前記吐出部は、前記取付部が前記先端部に取り付けられた状態で、前記先端部の対物レンズとライトガイドを露出する位置に配置されている、
請求項1に記載の粉体供給器。
【請求項3】
前記収容部と前記拡散部と前記吐出部は、前記給気部に連通し且つ内部に前記粉体を収容する収容ケースと前記収容ケースの開口部に設けられたメッシュによって構成され、
前記収容ケースと前記メッシュは、前記給気部から送られてくる前記気体によって内部に収容されている前記粉体を前記気体の中に拡散させ、前記気体の中に前記粉体が拡散されてなる粉流体を前記開口部から吐出するように構成されている、
請求項1に記載の粉体供給器。
【請求項4】
前記収容部と前記拡散部と前記吐出部は、内部に前記粉体を収容する収容ケースによって構成され、前記収容ケースの第1壁面に設けられ且つ前記給気部に連通している気体入口と、前記収容ケースの前記第1壁面とは異なる第2壁面に設けられている粉流体出口としての吐出孔を有し、
前記収容ケースは、前記気体入口から入ってきた前記気体によって前記粉体が前記気体の中に拡散させ、前記気体の中に前記粉体が拡散されてなる粉流体を前記吐出孔から吐出するように構成されている、
請求項1に記載の粉体供給器。
【請求項5】
前記収容部及び前記拡散部は、前記給気部に連通している気体入口と、前記吐出部に連通している粉流体出口と、前記粉体を収容している粉体収容空間を有し、前記気体入口から吹き込まれる前記気体によって前記粉体を前記気体の中に拡散させ、前記気体の中に前記粉体が拡散してなる粉流体を前記粉流体出口から出す第1室であり、
前記吐出部は、前記生体の中に向く吐出口と、前記粉流体出口に連通する粉流体入口と、前記吐出口と前記粉流体入口の間にあって前記第1室の前記粉体収容空間よりも体積が小さい第2室を有する、
請求項1に記載の粉体供給器。
【請求項6】
前記収容部に収容されている前記粉体を振動させる振動装置を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の粉体供給器。
【請求項7】
前記収容部は、第1粉体を収容する第1収容部と、第2粉体を収容する第2収容部とを含み、
前記給気部は、前記第1収容部と前記第2収容部に個別独立に前記気体を供給可能に構成され、
前記拡散部及び前記吐出部は、前記第1収容部に前記気体が供給されたときには、前記第1粉体を前記気体の中に拡散した第1粉流体を吐出するように構成され、前記第2収容部に前記気体が供給されたときには、前記第2粉体を前記気体の中に拡散した第2粉流体を吐出するように構成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の粉体供給器。
【請求項8】
生体の中に挿入される挿入部を有する内視鏡本体と、
前記挿入部の先端部に取り付けられる粉体供給器と、
前記粉体供給器に気体を送る送気装置と
を備え、
前記粉体供給器は、
前記挿入部の前記先端部に取り付けられるように構成されている取付部と、
前記内視鏡本体の送気ノズルから前記気体を取り入れるように構成されている給気部と、
前記給気部と連通しており且つ粉体を収容するように構成されている収容部と、
前記収容部と連通しており且つ前記収容部に収容される前記粉体を前記送気ノズルから送り込まれる前記気体の中に拡散させるように構成されている拡散部と、
前記拡散部と連通しており且つ前記粉体が拡散された前記気体を前記粉体とともに前記生体の中に吐出するように構成されている吐出部と
を備え、
前記送気装置は、前記粉体を前記粉体供給器から吐出させるときに、前記気体の圧力の変化により前記粉体供給器の前記粉体に振動を与える、内視鏡。
【請求項9】
内視鏡の挿入部を生体の中に挿入して前記生体の中に挿入されていた前記挿入部を前記生体から引き抜いて、前記挿入部の先端部に粉体が収納されている粉体供給器をフードと取り替え、送気のためのチューブと連結する取替ステップと、
前記粉体供給器が取り付けられた前記挿入部を前記生体の中の特定部位に向けて挿入する再挿入ステップと、
前記生体の中に位置する前記粉体供給器に気体を送り込み、前記粉体供給器に収容されている前記粉体を粉流体にして前記特定部位に吐出させる粉流体吐出ステップと、
を備える、粉体供給器の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に取り付ける粉体供給器、粉体供給器が取り付けられている内視鏡及び粉体供給器の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体の外科手術または内視鏡手術において、粉体である癒着防止材料、止血材料、被覆材料を患部に内視鏡を通して散粉することがある。
例えば、特許文献1(特許2809976号公報)には、生体外の散粉器から内視鏡を使って患部に、パウダー状の止血材料を散粉することが開示されている。特許文献1に開示されている止血材料の散粉方法は、カテーテルを内視鏡を通して患部に到達させ、カテーテルを通して生体外の散粉器からエアーとともに患部に止血材料を送り込み、止血材料を患部に散粉するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、粉体状の癒着防止材料または粉体状の止血材料は、水分により患部表面においてゲル化する特性がある。特許文献1に記載の止血材料の導入方法によると、粉体を患部に送るカテーテルなどの供給用チューブまたは先端ノズルで、止血材料の目詰まりまたは固化が生じて、十分な量の止血材料を患部に到達させることが難しくなる。このような目詰まり、固化を発生させないために、エアーを散粉器から常時噴出させたり、2重チューブにして湿気がチューブに入るのを抑制したり、先端にワセリンなどを塗ったりすることが行われている。
また、特許文献1に記載の導入方法では、ノズルからの噴出時に、粉体が患部以外にも広範囲に広がるという問題がある。目詰まりをさせないために、エアーの供給圧力を高くすると粉体が広がる傾向が顕著になる。内視鏡本体の挿入部の外径は、例えば、5mm~15mm程度である。挿入部の中を通る内視鏡手術用のチューブは、例えば、チューブ外径が1.7mm~4.0mm程度と細く、長さが2m程度と長くなる。そのため、チューブに対するエアーの供給圧力が高くなる傾向があり、ノズルから噴出するときの圧力の開放によって広範囲に粉体が飛散し、止血材料などの粉体を患部に限定的に散粉することが難しくなる。このように、散粉時に粉体が患部外に飛散すると、患部以外に多くの粉体が付着したり、患部への供給が十分に行えなかったり、粉体のロスが生じるなどの問題が生じる。
【0005】
本発明の課題は、内視鏡による粉体の生体の中への導入時に、特定部位に十分に粉体を供給し、粉体のロスが生じることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る粉体供給器は、生体の中に挿入される内視鏡本体の挿入部の先端部に取り付けられ、生体の中に粉体を供給する粉体供給器であって、取付部と給気部と収容部と拡散部と吐出部とを備える。取付部は、挿入部の先端部に取り付けられるように構成されている。給気部は、内視鏡本体の送気ノズルから気体を取り入れるように構成されている。収容部は、給気部と連通しており且つ粉体を収容するように構成されている。拡散部は、収容部と連通しており且つ収容部に収容される粉体を送気ノズルから送り込まれる気体の中に拡散させるように構成されている。吐出部は、拡散部と連通しており且つ粉体が拡散された気体を粉体とともに生体の中に吐出するように構成されている。
上述の粉体供給器は、拡散部で粉流体を発生させることで、生体の中の特定部位に十分に粉体を供給する際に気体中の粉体濃度および吐出粉末量を均一安定化するとともに、手元から先端までのチューブ内で粉体のロスが生じるのを抑制することができる。
【0007】
上述の粉体供給器は、給気部、収容部、拡散部及び吐出部は、取付部が先端部に取り付けられた状態で、先端部の対物レンズとライトガイドを露出する位置に配置されるのが好ましい。このように構成された粉体供給器は、粉体供給器を取り付けた内視鏡で視覚情報を確保できる。
上述の粉体供給器は、収容部と拡散部と吐出部が、給気部に連通し且つ内部に粉体を収容する収容ケースと収容ケースの開口部に設けられたメッシュによって構成され、収容ケースとメッシュが、給気部から送られてくる気体によって内部に収容されている粉体を気体の中に拡散させ、気体の中に粉体が拡散されてなる粉流体を開口部から吐出するように構成されてもよい。このように構成された粉体供給器は、給気部と収容ケースとメッシュを有する簡単な構成で、特定部位に十分に粉体を供給し、粉体のロスが生じることを抑制することのできる粉体供給器を実現できる。
【0008】
上述の粉体供給器は、収容部と拡散部と吐出部が、内部に粉体を収容する収容ケースによって構成され、収容ケースの第1壁面に設けられ且つ給気部に連通している気体入口と、収容ケースの第1壁面とは異なる第2壁面に設けられている粉流体出口としての吐出孔を有し、収容ケースが、気体入口から入ってきた気体によって粉体が気体の中に拡散させ、気体の中に粉体が拡散されてなる粉流体を吐出孔から吐出するように構成されてもよい。このように構成された粉体供給器は、給気部と収容ケースを有する簡単な構成で、特定部位に十分に粉体を供給して気体中の粉体濃度および吐出粉末量を均一安定化するとともに、手元から先端までのチューブ内で粉体のロスが生じることを抑制することのできる粉体供給器を実現できる。
【0009】
上述の粉体供給器は、収容部及び拡散部が、給気部に連通している気体入口と、吐出部に連通している粉流体出口と、粉体を収容している粉体収容空間を有し、気体入口から吹き込まれる気体によって粉体を気体の中に拡散させ、気体の中に粉体が拡散してなる粉流体を粉流体出口から出す第1室であり、吐出部が、生体の中に向く吐出口と、粉流体出口に連通する粉流体入口と、吐出口と粉流体入口の間にあって第1室の粉体収容空間よりも体積が小さい第2室を有するように構成されてもよい。このように構成された粉体供給器は、収容部及び拡散部として機能する第1室と、吐出部として機能する第2室を有するという簡単な構成で、特定部位に十分に粉体を供給し、粉体のロスが生じることを抑制することのできる粉体供給器を実現できる。
【0010】
上述の粉体供給器は、収容部に収容されている粉体を振動させる振動装置を備えるように構成されてもよい。このように構成された粉体供給器は、粉体を振動させつつ拡散させることができ、振動させない場合よりも、粉体の凝集や容器側面への付着を抑えることができ、気体中の粉体の偏在が少なくなるように、拡散することができる。
上述の粉体供給器は、収容部が、第1粉体を収容する第1収容部と、第2粉体を収容する第2収容部とを含み、給気部が、第1収容部と第2収容部に個別独立に気体を供給可能に構成され、拡散部及び吐出部が、第1収容部に気体が供給されたときには、第1粉体を気体の中に拡散した第1粉流体を吐出するように構成され、第2収容部に気体が供給されたときには、第2粉体を気体の中に拡散した第2粉流体を吐出するように構成されてもよい。このように構成された粉体供給器は、第1粉体と第2粉体を異なる種類とすることで、複数種類の粉体の吐出が可能になる。また、この構成の粉体供給器は、第1粉体と第2粉体を異なるタイミングで吐出させることが可能になる。
【0011】
本発明の一見地に係る内視鏡は、生体の中に挿入される挿入部を有する内視鏡本体と、挿入部の先端部に取り付けられる粉体供給器と、粉体供給器に気体を送る送気装置とを備えている。粉体供給器は、挿入部の先端部に取り付けられるように構成されている取付部と、内視鏡本体の送気ノズルから気体を取り入れるように構成されている給気部と、給気部と連通しており且つ粉体を収容するように構成されている収容部と、収容部と連通しており且つ収容部に収容される粉体を送気ノズルから送り込まれる気体の中に拡散させるように構成されている拡散部と、拡散部と連通しており且つ粉体が拡散された気体を粉体とともに生体の中に吐出するように構成されている吐出部とを備えている。送気装置は、粉体を粉体供給器から吐出させるときに、気体の圧力の変化により粉体供給器の粉体に振動を与える。
このように構成された内視鏡は、送気装置が気体の圧力の変化により粉体供給器の粉体に振動を与える結果、粉体供給器から吐出させる粉体の拡散が容易になる。
【0012】
本発明の一見地に係る粉体供給器の使用方法は、取替ステップと挿入ステップと粉流体吐出ステップとを備える。取替ステップでは、内視鏡の挿入部を生体の中に挿入して生体の中に挿入されていた挿入部を生体から引き抜いて、挿入部の先端部に粉体が収納されている粉体供給器をフードと取り替え、送気のためのチューブと連結する。再挿入ステップでは、粉体供給器が取り付けられた挿入部を生体の中の特定部位に向けて挿入する。粉流体吐出ステップでは、生体の中に位置する粉体供給器に気体を送り込み、粉体供給器に収容されている粉体を粉流体にして特定部位に吐出させる。このように構成された粉体供給器の使用方法によれば、粉体を粉体供給器に収容した状態で特定部位の近傍に到達させることができ、生体の中で拡散部により粉流体を発生させることで、生体の中の特定部位に十分に粉体を供給する際に気体中の粉体濃度および吐出粉末量を均一安定化するとともに、手元から先端までのチューブ内で粉体のロスが生じるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る粉体供給器または内視鏡によれば、内視鏡による粉体の生体の中への導入時に、特定部位に十分に粉体を供給し、粉体のロスが生じることを抑制することができる。本発明に係る粉体供給器の使用方法は、本発明に係る粉体供給器に適した使用方法であって、本発明に係る粉体供給器の粉体ロスの抑制効果を十分に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】フードが取り付けられた内視鏡本体の先端部を拡大した部分拡大斜視図である。
【
図3】フードが取り付けられた内視鏡本体の先端部を拡大した部分拡大斜視図である。
【
図5】内視鏡本体に接続される装置を説明するためのブロック図である。
【
図6】粉体供給器が取り付けられた内視鏡本体の先端部を拡大した部分拡大斜視図である。
【
図7】内視鏡本体の先端部への粉体供給器の取り付け方法を説明するための部分拡大斜視図である。
【
図8】第1実施形態に係る粉体供給器の給気部、収容部、拡散部及び吐出部の構成の一例を示す模式図である。
【
図9】第1実施形態に係る粉体供給器の給気部、収容部、拡散部及び吐出部の構成の他の例を示す模式図である。
【
図10】第1実施形態に係る粉体供給器の給気部、収容部、拡散部及び吐出部の構成の他の例を示す模式図である。
【
図11】第1実施形態に係る粉体供給器の給気部、収容部、拡散部及び吐出部の構成の他の例を示す模式図である。
【
図12】第1実施形態に係る粉体供給器の給気部、収容部、拡散部及び吐出部の構成の他の例を示す模式図である。
【
図13】第2実施形態に係る粉体供給器の給気部、収容部、拡散部及び吐出部の構成の一例を示す模式図である。
【
図14】第3実施形態に係る粉体供給器の給気部、収容ケース及びメッシュの構成の一例を示す模式図である。
【
図15】第3実施形態に係る粉体供給器の収容ケース及びメッシュでの粉体の挙動を説明するための模式図である。
【
図16】第3実施形態に係る粉体供給器の給気部、給気部、収容ケース及びメッシュの構成の他の例を示す模式図である。
【
図17】第3実施形態に係る粉体供給器の給気部、給気部、収容ケース及びメッシュの構成の他の例を示す模式図である。
【
図18】第3実施形態に係る粉体供給器のメッシュでの粉体の詰まりを説明するための模式図である。
【
図19】第4実施形態に係る粉体供給器の給気部、収容ケース及びメッシュの構成の一例を示す模式図である。
【
図20】第4実施形態に係る粉体供給器の収容ケース及びメッシュでの粉体の挙動を説明するための模式図である。
【
図21】第5実施形態に係る粉体供給器の構成の一例を示す模式図である。
【
図22】第5実施形態に係る粉体供給器の構成の他の例を示す模式図である。
【
図23】第5実施形態に係る粉体供給器の構成の他の例を示す模式図である。
【
図24】第6実施形態に係る粉体供給器の給気部、収容部、拡散部、吐出部及び振動装置の構成の一例を示す模式図である。
【
図25】第6実施形態に係る粉体供給器で用いられる振動装置の他の例を示す斜視図である。
【
図26】第6実施形態に係る粉体供給器の送気装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図27】第7実施形態に係る粉体供給器の給気部、収容部、拡散部及び吐出部の構成の一例を示す模式図である。
【
図28】第8実施形態に係る粉体供給器の給気部、収容部、拡散部及び吐出部の構成の一例を示す模式図である。
【
図29】他の粉体供給器の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
(1)内視鏡の全体構成
図1には、内視鏡1の内視鏡本体1Aの外観の一例が示されている。内視鏡1は、内視鏡本体1Aと、透明な筒状のフード20とを備えている。
内視鏡本体1Aは、機器と接続するための接続部2及びユニバーサルコード3を備えている。内視鏡本体1Aに接続される機器には、例えば、
図5に示されているように、ユニバーサルコード3を通して気体(例えば、空気、窒素または酸素)を送る送気装置30、ユニバーサルコード3を通して水を送る送水装置40、内視鏡本体1Aで撮影した画像を写すモニター50、ユニバーサルコード3を通して送られる光を発する光源装置60などが備わっている。ユニバーサルコード3には、水及び気体を送る管路(図示せず)並びに撮影した画像データを送信する信号ケーブル(図示せず)が設けられている。
内視鏡本体1Aは、操作のための操作部4と、生体100(
図5参照)の中に挿入される挿入部5を備えている。挿入部5の先には、湾曲部6と先端部7が在り、操作部4と湾曲部6の間が柔軟部8で接続されている。操作部4には、吸引ボタン、送気・送水ボタン、シャッターボタンなどのボタン4aが設けられている。ボタン4aを操作することで、内視鏡本体1Aは、挿入部5を通して、空気を送り込んだり、水を送り込んだり、吸引したり等といった動作を行う。また、シャッターボタンなどの撮像に関するボタン4aを操作することで、シャッター及び照明などの操作をすることができる。
筒状のフード20は、内視鏡本体1Aの先端部7に取り付けられる。また、粉体供給器70は、生体100の中に粉体を供給する前に、フード20と取り換えられて、挿入部5の先端部7に取り付けられる。例えば、内視鏡1による生体100の中の患部の処置が終わり、パウダー状の止血材料(粉体)を患部に供給するときに、挿入部5が生体100から引き抜かれ、フード20が取り外されて粉体供給器70が取り付けられる。粉体供給器70が取り付けられた挿入部5が生体100の中に再び挿入される。
【0016】
操作部4のアングルノブ4bは例えばワイヤ(図示せず)で内視鏡本体1Aの先端部7とつながっている。アングルノブ4bを操作することで、内視鏡本体1Aは、湾曲部6を種々の方向(例えば、上下左右)に曲げることができ、先端部7を様々な方向に向けることができる。内視鏡本体1Aは、湾曲部6を曲げることが可能なため、生体100の中への挿入部5の挿入を容易にするほか、体腔内の360度の観察に用いることができるものとなる。
操作部4の近傍には、鉗子チャンネル9がある。鉗子チャンネル9は、処置具の出し入れに用いられる。鉗子チャンネル9から入れた例えば鉗子は、先端部7にまで送ることができる。処置具は、挿入部5の内部を通って生体100の中に運ばれるだけでなく、例えば挿入部5の表面に設けられるガイドチューブ(図示せず)を使って生体100の中に運ばれる。このように、挿入部5の外側を通って運ばれる処置具は、後述するフード20(
図3及び
図4参照)の外側を通る。フード20が透明であるため、フード20の外側を通る処置具もフード20を通して観ることができる。
図2に示されているように、内視鏡本体1Aの先端部7には、例えば、対物レンズ11、ライトガイドレンズ12、送気及び送水のためのチューブ13、鉗子出入口14が設けられている。対物レンズ11の内側には、CMOSイメージセンサ(図示せず)が配置されている。CMOSイメージセンサで撮影された画像は、接続部2が接続されている機器本体に設けられたモニター50に映し出される。
【0017】
(2)フード
図3に示されているように、フード20は、内視鏡本体1Aの先端部7に取り付けられる。フード20は、透明な筒状体であって、生体100の中の体腔の視覚情報を、フード20を通して得ることができる構成になっている。透明なフード20を得るために、フード20の材料には、透明な高分子材料が用いられる。透明な高分子材料としては、例えば透明な樹脂または透明なエラストマーがある。フード20に用いられる透明な樹脂または透明なエラストマーとしては、例えば、ポリカーボネート、シリコーンがある。フード20の形状としては、筒形であり、筒形の軸に垂直な断面の形状として例えば円形、楕円形、四角形がある。また、筒形のフード20において、軸に垂直な断面形状の大きさは、軸に沿って移動することで変わってもよい。言い換えると、筒状のフード20の表面が錐台状になっていてもよい。また、筒形のフード20において、軸に垂直な断面形状は、軸に沿って移動することで変わってもよい。例えば、フード20の前部の断面形状が楕円形で、後部の断面形状が円形になっていてもよい。また、フード20の前部が斜めにカットされていてもよい。
図3及び
図4に示されているように、フード20は、先端部7から突出した突出部22と先端部7に取り付けられる装着部23を有している。フード20は、突出部22と装着部23が異なる材質で形成されてもよい。例えば、突出部22がポリカーボネートで形成され、装着部23がシリコーンで形成されてもよい。
フード20の突出部22は、例えば外径が3mm~15mmであり、長さが2mm~15mmである。突出部22の厚さは、0.5mm~2mm程度である。
【0018】
(3)第1実施形態の粉体供給器
図6に示されているように、第1実施形態の粉体供給器70は、生体100の中に挿入される内視鏡本体1Aの挿入部5の先端部7に取り付けられる。粉体供給器70は、生体100の中に粉体を供給する器材である。
粉体供給器70は、挿入部5の先端部7に取り付けられるように構成されている取付部72を有している。取付部72は、フード20の装着部23に相当する部分であり、例えば従来からあるフード20の装着部23と同様の構成である。取付部72は、例えばエラストマーまたはプラスチックからなる環状の部分である。取付部72を構成するエラストマーとしては例えばシリコーンがある。そのため、フード20と粉体供給器70との取り換えは、先端部7に対するフード20の着脱と同様に粉体供給器70の先端部7への着脱を行うことによって、容易に行うことができる。
【0019】
粉体供給器70は、フード20の突出部22と同様に、先端部7から突出した本体部71を有している。本体部71は、先端部7から突出することで、粉体を収容する領域を、先端部7の前方に設ける役割を果たしている。つまり、
図6に示されているように、粉体供給器70の構成には、本体部71と取付部72が含まれる。
図7には、一点鎖線の斜線で、粉体供給器70が先端部7の前面を覆う領域ARの一例が示されている。挿入部5を生体100の中で動かすために、対物レンズ11とライトガイドレンズ12の前面を開放した状態を維持できるように粉体供給器70が構成されている。
図7に示されている例では、2つあるライトガイドレンズ12のうちの一方が粉体供給器70で覆われる。しかし、2つあるライトガイドレンズ12の他方が露出することで、粉体供給器70の前方をライトガイドレンズ12から放たれる光によって照らすことが可能になる。挿入部5の小さな先端部7において、粉体を収容する容積を確保するために、できるだけ大きな占有空間を先端部7の前方の空間に確保する必要があるが、それと同時に先端部7から視覚情報を得ることできるようにすることも必要である。なお、粉体供給器70が先端部7の前面を覆う領域ARは、
図7に示されている例に限られるものではない。例えば、2つのライトガイドレンズ12が両方とも露出するように、粉体供給器70が構成されてもよい。
【0020】
(3-1)粉体供給器の第1構成例
第1実施形態の粉体供給器70は、
図8に示されているように、給気部73と収容部74と拡散部75と吐出部76とを有している。給気部73と収容部74と拡散部75と吐出部76は、先端部7の挿入方向から見て、
図7に一点鎖線で示された領域AR内に配置されることが好ましい。先端部7の挿入方向から見て、先端部7及び本体部71の外側にはみ出す部分があると挿入の邪魔になるからである。また、給気部73と収容部74と拡散部75と吐出部76は、粉体供給器70の本体部71に固定されている。
図8に示されているのは、粉体供給器70の第1構成例である。
図8において、実線の矢印は、気体の流れる向きを表しており、破線の矢印は、粉流体の流れる向きを表しており、以降で説明する図面においても同様の実線の矢印及び破線の矢印は気体及び粉流体の流れる向きを表している。また、
図8に多数の点の集合体で示されているものが粉体200であり、以降の図においても多数の点の集合体で粉体を表現する。
吐出部76は、粉体供給器70の外部に対する開口を持つ第2室である。吐出部76である第2室は、例えば細い円筒形状である。第2室の開口の面積は、例えば、挿入部5の中を通るチューブ13の断面積(気体の流れる方向に対して垂直な断面の面積)よりも小さい。このように構成する場合には、第2室の中を流れる気体の流速は、チューブ13の中を流れる気体の流速よりも速くなる。逆に、第2室の中を流れる気体の流速を、チューブ13の中を流れる気体の流速よりも遅くしたい場合には、第2室の開口の面積をチューブ13の断面積よりも大きくする。第1室及び第2室は、例えば、樹脂の壁で囲まれて構成される。
【0021】
吐出部76の上流には、吐出部76と連通している拡散部75が配置されている。拡散部75は、送気ノズルであるチューブ13から送り込まれる気体の中に粉体200を拡散させる機能を有している。例えば、この拡散部75では、乱流が発生しており、粉体200が乱流によって散らされる。それに対し、チューブ13及び第2室の中には、層流が生じている。
拡散部75の上流には、拡散部75と連通している収容部74が配置されている。収容部74は、粉体200を収容する機能を有している。粉体200を収容する機能とは、粉体供給器70が生体100の中に入って粉体200を吐出するまで、粉体200を粉体供給器70の中に留めておく機能である。収容部74と拡散部75は、吐出部76の上流で且つ給気部73の下流にある第1室である。
図8の構成では、第2室と第1室とが分離されていることで、粉体供給器70の外部に粉体200がこぼれ難くなっている。また、第1室と給気部73の間はメッシュ77によって分離されている。このメッシュ77は、収容部74に収容されている粉体200が、給気部73を通って粉体供給器70の外に零れるのを抑制する。吐出部76と給気部73の間にある第1室は、収容部74と拡散部75を兼ねていると見なすことができる。
収容部74の上流には、給気部73が配置されている。収容部74と給気部73の間には、メッシュ77が配置されている。給気部73は、メッシュ77を通して収容部74に連通している。給気部73は、内視鏡本体1Aのチューブ13から気体を取り入れるように構成されている部分である。また、給気部73は、チューブ13に嵌め込まれる嵌合部であり、チューブ13と連結する役割も果たしている。そのため、給気部73の少なくとも一部の外形は、チューブ13の流路の形状に一致するように構成されている。
図8の給気部73は、全体の外形がチューブ13の流路の形状に一致する。
図8の粉体供給器70では、チューブ13の流路の方向から見て、給気部73と収容部74との間の開口の位置が、吐出部76である第2室の開口の位置に対してずれている。それにより、給気部73から第2室に向かって流れる気流が途中で曲げられるため乱流が発生し易くなっている。
【0022】
(粉体供給器の構造)
上述の粉体供給器70の構成の説明に加えて、粉体供給器70の構造をもう少し説明する。
図8の第1構成例の粉体供給器70では、第1室が収容部74と拡散部75とを兼ねている。そのため、第1室は、粉体200の体積とは別に、空隙を設けて拡散できるように構成される。例えば、第1室は、収容する粉体200の体積の例えば1.1倍以上の体積を有していることが好ましい。第1室に粉体200が隙間なく詰め込まれると、第1室内で気体の中に粉体200を拡散し難くなる。この第1室の内部空間が、粉体200を収容している粉体収容空間SP1である。収容部74及び拡散部75は、粉体収容空間SP1に加えて、給気部73に連通している気体入口OP1と、吐出部76に連通している粉流体出口EX1とを有している。第1室の粉体収容空間SP1は、
図8の粉体供給器70は、気体入口OP1から吹き込まれる気体によって粉体200を気体の中に拡散させ、気体の中に粉体200が拡散した気体を粉流体出口EX1から出す。本明細書では、気体の中に粉体200が拡散してなる流体を粉流体と呼ぶ。
【0023】
吐出部76は、生体100の中に向く吐出口OL1と、粉流体出口EX1に連通する粉流体入口とを有する。
図8の粉体供給器70では、吐出部76の粉流体入口が、収容部74及び拡散部75の粉流体出口EX1と一致している。しかし、吐出部76と拡散部75との間に、さらに他の室を設けてもよく、その場合には、吐出部76の粉流体入口が、粉流体出口EX1とは別に設けられることになる。他の室とは、例えば、粉体200の塊を振るい落とす機能を有する室である。
第1室の粉体収容空間SP1よりも吐出部76の第2室は体積が小さい。吐出部76の第2室は、吐出部76の粉流体入口(粉流体出口EX1)から吐出口OL1までの空間である。第2室の体積を第1室の体積よりも小さくすることで、吐出部76に残る粉体200の量を少なくすることができる。また、粉流体入口(粉流体出口EX1)から吐出口OL1までの経路が粉体200の吐出方向と吐出範囲を制限するのに役立つ。
【0024】
(3-2)粉体供給器の第2構成例から第4構成例
図9には、粉体供給器70の第2構成例が示されている。
図9の第2構成例の粉体供給器70が
図8の第1構成例の粉体供給器70と異なる点は、給気部73と粉体収容空間SP2の形状、粉流体出口EX1の向きと大きさである。
図9の第2構成例の粉体供給器70の粉流体出口EX1の方が小さく、チューブ13の気体の流れ方向に対して垂直な方向を向いている。
図9の第2構成例の粉体供給器70は、給気部73と粉体収容空間SP2の境界は、メッシュ77である。そのため、給気部73から粉体収容空間SP2に入るときに気体の流れの方向は、給気部73と粉体収容空間SP2の形状の違いだけでなく、粉流体出口EX1にも影響される。気流は、粉流体出口EX1を通過するときにチューブ13の気流に比べて流速が速くなる。粉体200は、粉流体出口EX1を通過する速い気流によって吸い込まれつつ拡散されて吐出部76から吐出される。
図10には、粉体供給器70の第3構成例が示されている。
図10の第3構成例の粉体供給器70が
図8の粉体供給器70と異なる点は、吐出部76の配置位置と形状と、メッシュ77の有無及び気体入口OP1の大きさである。
図10の吐出部76は、細い円筒状の吐出管である。吐出管は、
図10の第3構成例の粉体収容空間SP3に突出している。吐出管が吐出することで、粉体200が粉体供給器70の外にこぼれ難くなっている。また、
図10の第3構成例の粉体供給器70は、メッシュ77により外にこぼれ難くする代わりに、気体入口OP1を第1構成例に比べて小さくすることによって外にこぼれ難くなっている。粉体200が拡散するのは、第1構成例の粉体供給器70と同様に、チューブ13から供給される気流による。
なお、給気部73及び吐出部76には、粉体の漏れまたは湿気の侵入を防ぐためのカバーを設けてもよい。これらのカバーは、例えば、粉体供給器70を先端部7に取り付けるとき、または粉体供給器70が取り付けられた内視鏡本体1Aの挿入部5が生体100の中に挿入されるときに取り外される。
【0025】
図11には、粉体供給器70の第4構成例が示されている。
図11の第4構成例の粉体供給器70が
図8の第1構成例の粉体供給器70と異なる点は、吐出部76の配置位置と形状、メッシュ77の有無及び気体入口OP1の大きさ並びにメッシュ79の有無である。第4構成例の吐出部76は、有底筒形の形状を有する。吐出部76の底BT1は、気体入口OP1から粉体収容空間SP4に流れ込んだ気流が当たる位置に配置されている。底BT1に当たった気流は、乱気流となり、粉体200を拡散する役割を果たす。吐出部76には、複数の粉流体出口EX1が有底筒状の吐出部76の側面に設けられている。なお、第4構成例の気体入口OP1が小さいのは、第3構成例と同様である。
なお、
図8から
図11の粉体供給器70では、粉体収容空間SP1,SP2,SP3,SP4がチューブ13の外に設けられている。しかし、粉体収容空間SP1,SP2,SP3,SP4の一部は、チューブ13の中に設けられてもよい。
また、吐出部76から吐出される粉流体の向きは、チューブ13の中の気体の流れ方向と平行でなくてもよい。例えば、吐出部76から吐出される粉流体の向きとチューブ13の中の気体の流れ方向とが所定の角度で交わるように粉体供給器70を構成してもよい。
また、第1実施形態では、収容部74と拡散部75が同じ室に設けられる場合について説明したが、収容部74と拡散部75は異なる室に設けられてもよい。ただし、同じ室に設けた方が、粉体200が残る場所が減るので好ましい。
また、第1実施形態では、吐出口OL1にメッシュを設けていない例について説明したが、吐出口OL1にメッシュを設けてもよい。
図12に示されている第5構成例の粉体供給器70は、
図8に示されている第1構成例の粉体供給器70の吐出口OL1にメッシュ79を設けた構成を有している。ただし、第5構成例の粉体供給器70では、第1構成例の粉体供給器70で気体入口OP1に設けられていたメッシュ77は省かれている。ところで、
図12に示されている第5構成例の粉体供給器70は、
図8の粉体供給器70と比較すると、吐出部76と収容部74及び拡散部75の上下位置が逆転している。すなわち、
図8の吐出部76が上に位置するのに対し、
図12の吐出部76は下に位置している。例えば、第5構成例の粉体供給器70について、このように吐出部76の位置の上下を入れ替えて実際に行った粉体供給実験では、粉体200の吐出に大きな差はみられず、いずれの場合でも粉体200は良好に拡散して供給された。
【0026】
<第2実施形態>
(4)第2実施形態の粉体供給器
第2実施形態の粉体供給器70は、
図13に示されているように、給気部73、及び収容部と拡散部と吐出部を兼ねる収容ケース78を有している。第2実施形態の収容ケース78は例えば樹脂で構成されたケースである。給気部73は、送気ノズルであるチューブ13に嵌め込まれる嵌合部である。収容ケース78は、先端部7を先端部7の挿入方向から見て、
図7に一点鎖線で示された領域ARに配置されている。また、収容ケース78は、粉体供給器70の本体部71に固定されている。
収容部と拡散部と吐出部を兼ねる収容ケース78は、内部に粉体200を収容する器として機能する。給気部73に連通している気体入口OP2は、収容ケース78の第1壁面WL1に設けられている。粉流体出口としての吐出孔HX1は、収容ケース78の第1壁面WL1とは異なる第2壁面WL2に設けられている。
収容ケース78は、気体入口OP2から入ってきた気体によって粉体200が気体の中に拡散させる拡散部としても機能する。そのために、収容ケース78の粉体収容空間SP5の体積は、収容している粉体200の体積に対して、1.1倍以上であることが好ましい。このように、十分に広い粉体収容空間SP5は、給気部73を通して給気される気体の中に粉体200を拡散させることができる。そして、収容ケース78は、気体の中に粉体200が拡散されてなる粉流体を、吐出孔HX1から吐出する吐出部の機能も有している。
【0027】
粉体収容空間SP5の中で粉体200を拡散させるためには、気体入口OP2及び吐出孔HX1の開口面積は、チューブ13の断面積に比べて小さい方が好ましい。
図13に示されている粉体供給器70では、チューブ13の中の気体の流れの延長上に、気体入口OP2及び吐出孔HX1が配置されている。言い換えると、チューブ13の出口と気体入口OP2と吐出孔HX1が一つの直線状に並んでいる。しかし、気体入口OP2と吐出孔HX1の配置位置は、チューブ13の中の気体の流れの延長上に無くてもよい。例えば、気体入口OP2または吐出孔HX1或いは両方を通過する気体の向きが、チューブ13の中の気体の流れと交差する向きになるように気体入口OP2と吐出孔HX1が配置されてもよい。
また、
図13の粉体供給器70では、粉体収容空間SP5がチューブ13の外に設けられている。しかし、粉体収容空間SP5の一部は、チューブ13の中に設けられてもよい。
また、第2実施形態では、吐出孔HX1にメッシュを設けていない例について説明したが、吐出孔HX1にメッシュを設けてもよい。なお、収容ケース78が円筒形であるとすると、吐出孔HX1の大きさを収容ケース78の内径に一致させてメッシュを設けると、
図14に示されている後述の第3実施形態の粉体供給器70の構成に近づく。
【0028】
<第3実施形態>
(5)第3実施形態の粉体供給器
第3実施形態の粉体供給器70は、
図14に示されているように、給気部73、及び収容部と拡散部と吐出部を兼ねる収容ケース78を有している。給気部73は、送気ノズルであるチューブ13に嵌め込まれる嵌合部である。収容ケース78は、先端部7を先端部7の挿入方向から見て、
図7に一点鎖線で示された領域ARに配置されている。また、収容ケース78は、粉体供給器70の本体部71に固定されている。第3実施形態の収容ケース78は例えば樹脂で構成されたケースである。
収容部と拡散部と吐出部を兼ねる収容ケース78は、内部に粉体200を収容する器として機能する。粉体200は、収容ケース78の粉体収容空間SP6に収容される。給気部73に連通している気体入口OP1には、メッシュ77が設けられている。また、メッシュ79の網目が収容ケース78の吐出孔HX2である。なお、
図14及び
図15のメッシュ77,79は、見やすくするために模式的に示しているが、網目の数は多数である。
【0029】
気体入口OP1に配置されているメッシュ77は、粉体200の逆流、即ち粉体200が粉体収容空間SP6からチューブ13に流れるのを防止するためのものである。複数の吐出孔HX2を形成するためのメッシュ79からは、給気部73から供給される気体の中に粉体200が拡散した粉流体が噴出する。上述のような機能の違いから、気体入口OP1に配置されているメッシュ77の網目に比べて、吐出孔HX2を形成するためのメッシュ79の網目の方が粗くなっている。
【0030】
収容ケース78は、気体入口OP1から入ってきた気体によって粉体200が気体の中に拡散させる拡散部としても機能する。そのために、収容ケース78の粉体収容空間SP6の体積は、収容している粉体200の体積に対して、1.1倍以上であることが好ましい。このように、十分に広い粉体収容空間SP6は、給気部73を通して給気される気体の中に粉体200を拡散させることに寄与することができる。そして、収容ケース78は、気体の中に粉体200が拡散されてなる粉流体を、複数の吐出孔HX2(メッシュ79の網目)から吐出する吐出部の機能も有している。
図15には、粉体200が収容ケース78において拡散されて、粉流体としてメッシュ79を通して吐出されている状態が模式的に描かれている。
図14に示されている粉体供給器70では、チューブ13の中の気体の流れの延長上に、メッシュ77,79が配置されている。言い換えると、チューブ13の出口とメッシュ77とメッシュ79が一つの直線状に並んでいる。しかし、メッシュ77,79の配置位置は、チューブ13の中の気体の流れの延長上に無くてもよい。例えば、メッシュ77またはメッシュ79或いは両方を通過する気体の向きが、チューブ13の中の気体の流れと交差する向きになるように、メッシュ77,79が配置されてもよい。
また、
図14の粉体供給器70では、粉体収容空間SP6がチューブ13の外に設けられている。しかし、
図16に示されているように、メッシュ77をチューブ13の中に配置することによって、粉体収容空間SP6の一部が、チューブ13の中に設けられるように構成してもよい。逆に、
図17に示されているように、メッシュ77をチューブ13から離れた位置に設けて、メッシュ77の上流と下流の流路面積が同じになるように構成してもよい。
【0031】
<第4実施形態>
(6)第4実施形態の粉体供給器
上述の第3実施形態の粉体供給器70では、
図18に示されているように、収容ケース78の吐出部に含まれているメッシュ79の吐出孔HX2を塞ぐ目詰まりの可能性がある。そこで、第3実施形態の粉体供給器70に比べて、給気部73から収容ケース78への気体の噴出方法を改良したものが、
図19に示されている第4実施形態の粉体供給器70である。第4実施形態の粉体供給器70は、粉体収容空間SP6に突出している供給ノズル731を有している。供給ノズル731には、気体入口OP3が形成されている。気体入口OP3から粉体収容空間SP6に入る気体の流れは、チューブ13の中の気体の流れと平行ではない。言い換えると、気体入口OP3から粉体収容空間SP6に入る気体の流れは、チューブ13の中の気体の流れと交差する方向である。吐出孔HX2の向きは、チューブ13の開口部の向きに対して直交する方向である。なお、ここでは、吐出孔HX2の向きが、チューブ13の開口の向きと平行でない場合について説明したが、吐出孔HX2の向きとチューブ13の開口の向きが平行になるように構成して、吐出孔HX2から吐出される気体がメッシュ79に直接当たらないように(収容ケース78の壁に当たるように)構成してもよい。そのように構成しても、メッシュ79での粉体200の詰まりを緩和することができる。
図20に示されているように、第4実施形態の粉体供給器70は、第3実施形態の粉体供給器70に比べて、メッシュ79の近傍に到達した粉流体の中の粉体の拡散を進めることができ(粉体の塊が少ないので)、メッシュ79で目詰まりを起こす可能性を低くすることができる。
【0032】
<第5実施形態>
(7)第5実施形態の粉体供給器
図21に示されている第5実施形態の粉体供給器70は、吐出孔OL2が円環状になっている点で、
図8に示されている第1実施形態の粉体供給器70と異なる。給気部73には、有底円筒状の内筒81と、両端が開放されている外筒82が取り付けられている。内筒81と外筒82は、例えば中心軸が一致するように配置されている。内筒81の中の空間が粉体収容空間SP7になる。内筒81と外筒82の間の空間SP8を形成している部分が吐出部76になる。粉体収容空間SP7と吐出部76の空間SP8は、後述する切欠部81dを通して連通している。この切欠部81dは、第1室の粉流体出口であり、且つ第2室の粉流体入口でもある。
内筒81は、一端に底部81aがあり、他端に開口81bがあり、底部81aと開口81bの間に円筒状の側面部81cがある。側面部81cには、開口81bから底部81aに向かって延びる4つの切欠部81dが形成されている。切欠部81dの軸方向の長さは、例えば2mmであり、幅は例えば2mmである。4つの切欠部81dは、例えば内筒81を中心軸の周りに90度回転すると重なるように配置されている。外筒82の外径が例えば12mmであり、内筒81の側面部81cと外筒82との間の隙間は例えば2mmである。
開口81bは、給気部73の気体入口OP2と連通している。開口81bのうちの気体入口OP2と連通している領域外は、給気部73によって塞がれている。そのため、気体入口OP2から入った気体は、切欠部81dを通って吐出部76の空間SP8に入る。
外筒82は、一端82aが給気部73に取り付けられている。従って、外筒82の一端82aは、給気部73と内筒81とのよって塞がっている。外筒82の他端82bには、内筒81の底部81aが配置されている。外筒82の他端82bの開口のうちの底部81aで塞がれていない部分が、円環状の吐出孔OL2になる。
給気部73の気体入口OP2から入った気体は、粉体収容空間SP7に収容されている粉体を拡散して粉流体となり、切欠部81dを通して吐出部76の空間SP8に入る。吐出部76に入った粉流体は、円環状の吐出孔OL2から吐出される。このように、粉体収容空間SP7を有する内筒81は、収容部と拡散部の機能を兼ねている。気体入口OP2に向かって内筒81の中心軸に平行に流れていた気体が、切欠部81dを通過するために急激に向きを変える。このような気体の流れによって、粉体収容空間SP7に収容されている粉体の拡散が生じる。
第5実施形態の粉体供給器70の他の例が、
図22に示されている。
図22の粉体供給器70は、
図21の粉体供給器70と比べて、例えば、8つの小穴81eを有している点で異なる。8つの小穴81eは、中心軸方向に2つずつ並ぶ4列に配置されている。このように、複数の小穴81eを内筒81の側面部81cに設けることで、内筒81の粉体収容空間SP7から吐出部76の空間SP8への気体の流入が円滑に行われる。小穴81eの穴径は、例えば、1mmである。
図22に示されている小穴81eの数及び配置は、一例であって、小穴81eの数及び配置は変更可能である。
第5実施形態の粉体供給器70の他の例が、
図23に示されている。
図23の粉体供給器70は、
図21の粉体供給器70と比べて、吐出孔OL2にメッシュ79を有している点で異なる。吐出孔OL2にメッシュ79を付けることで、一気に粉体が飛び出さずに、粉体の拡散が促される。同様に、給気部73にメッシュを設けて、気体入口OP2から粉体が零れるのを抑制してもよい。
【0033】
<第6実施形態>
(8)第6実施形態の粉体供給器
図24に示されている第6実施形態の粉体供給器70は、
図8に示されている第1実施形態の粉体供給器70の構成に、さらに振動装置90を備える点が異なる。振動装置90は、収容部74に収容されている粉体を振動させる装置である。第6実施形態において、振動装置90は、内視鏡本体1Aの外部から操作することができる。
振動装置90は、例えば圧電振動素子によって構成することができる。粉体供給器70に圧電振動子を貼り付け、外部から圧電振動子に交流電源を接続することにより得ることができる。振動装置90に電力を供給する電源ライン91は、例えば、鉗子チャンネル9の中を通して配線することができる。
振動装置90は、或いは、
図25に示されている空気流で振動を発生させる装置であってもよい。
図25の振動装置90は、環状の経路RP1の中を球体92が移動することができるように構成されている。環状の経路RP1には、空気入口AIと空気出口AEが連通している。空気入口AIから空気を吸入し、空気出口AEから空気を排出することにより、環状の経路RP1を循環する空気の流れが発生する。環状の経路RP1の空気の流れによって、球体92が環状の経路RP1の中を巡回することにより、振動装置90が振動する。
図25において、破線で示されている矢印は、球体92の回転方向を示している。
【0034】
第6実施形態の粉体供給器70は、チューブ13から気体を供給するときに、振動装置90によって収容部74を振動させて、粉体を振動させる。このように粉体を振動させることで、粉体供給器70は、粉体収容空間SP1において粉体200を拡散し易くすることができる。拡散が容易になることで、粉体の凝集や収容部74の側面への付着を抑えることができ、気体中の粉体200の偏在が少なくなる。
図26には、送気装置30の送気方法の一例が示されている。送気装置30は、送気する期間の間ずっとオン状態とするのではなく、送気期間にオンとオフを繰り返す。このように送気装置30を動作させると、送気が脈動し、給気部73に送られる気体の圧力が繰り返し変化する。送気装置30は、粉体200を粉体供給器70から吐出させるときに、気体の圧力の変化により粉体供給器70の粉体200に振動を与えることができる。粉体200が振動している状態で、気流によって拡散することにより、粉体200の拡散が容易になる。
なお、送気装置30により粉体200に振動を与える方法は、送気装置30をオンオフする方法には限られない。例えば、送気装置30が連続的に気体を送りながら送気の圧力を変化させてもよく、気体の中を音波が伝わるように送気してもよい。
【0035】
<第7実施形態>
(9)第7実施形態の粉体供給器
第7実施形態の粉体供給器70は、
図27に示されているように、第1給気部73aと第2給気部73b、第1収容部74aと第2収容部74b、第1拡散部75aと第2拡散部75b、及び第1吐出部76aと第2吐出部76bを有している。そして、粉体供給器70には、2本のチューブ13が取り付けられている。
第1給気部73a、第1収容部74a、第1拡散部75a及び第1吐出部76aからなる構成は、第1実施形態の粉体供給器70と同様の構成である。また、第2給気部73b、第2収容部74b、第2拡散部75b及び第2吐出部76bからなる構成は、第1実施形態の粉体供給器70と同様の構成である。要するに、2つの第1実施形態の粉体供給器70を1まとめにしてものが、第7実施形態の粉体供給器70である。既に、粉体供給器70の各部の構成については第1実施形態で説明しているので、第7実施形態ではそれらの説明を省く。
第7実施形態の粉体供給器70は、収容部として、第1粉体201を収容する第1収容部74aと、第2粉体202を収容する第2収容部74bとを含んでいる。また、第7実施形態の粉体供給器70は、給気部として、第1給気部73aと第2給気部73bとを含んでいる。そのため、第1給気部73aと第2給気部73bは、第1収容部74aと第2収容部74bに個別独立に気体を供給することができる。
また、第7実施形態の粉体供給器70は、拡散部及び吐出部として、第1拡散部75aと第2拡散部75b及び第1吐出部76aと第2吐出部76bを含んでいる。第7実施形態の粉体供給器70は、第1収容部74aに気体が供給されたときには、第1拡散部75aにおいて第1粉体201を気体の中に拡散して第1粉流体を発生させ、第1粉流体を第1吐出部76aから吐出するように構成されている。第7実施形態の粉体供給器70は、第2収容部74bに気体が供給されたときには、第2拡散部75bにおいて第2粉体202を気体の中に拡散して第2粉流体を発生させ、第2粉流体を第2吐出部76bから吐出するように構成されている。
【0036】
第7実施形態の粉体供給器70は、例えば、第1粉体201と第2粉体202が同一組成の場合、第1粉体201の予備として、第2粉体202を用いることができ、第1粉体201だけで処置が完了しないときに第2粉体202を用いるような使い方ができる。また、第1粉体201と第2粉体202が異なる組成であるとすると、異なる2種類の粉体で処置をしなければならない場合であっても、粉体供給器70を付け替えることなく、一度の挿入で処置を完了することができる。さらには、処置を行う場所が2つある場合でも、粉体供給器70を付け替えることなく、一度の挿入で処置を完了することができる。
上述の説明では、第7実施形態の粉体供給器70が、
図8に示されている粉体供給器70の構成を2つ合わせたような構成である場合について説明した。しかし、組み合わせる構成は、他の構成であってもよい。例えば、
図9、
図10、
図11、
図12、
図13、
図14、
図15、
図16または
図17の構成を組み合わせてもよい。また、組み合わせる構成は同じものでなくてもよく、例えば、
図8に示されている構成と
図14に示されている構成とを組み合わせてもよい。
【0037】
<第8実施形態>
(10)第8実施形態の粉体供給器
第8実施形態の粉体供給器70は、
図28に示されているように、給気部73と5つの収容部74と拡散部75と吐出部76と収容部74を移動させるストリング98とを有している。5つの収容部74は、軸RCを中心に回転可能に構成されている。各収容部74には、粉体200が収容されている。また、各収容部74は、粉流体出口EX2を有している。各収容部74の粉流体出口EX2が拡散部75に一致すると、粉体200を含む粉流体が拡散部75から吐出部76に流出する。給気部73から吐出部76に向かう気体の速い流れによって収容部74よりも吐出部76の圧力が低くなるので、粉体200が吐出部76に向かって吸い出される。
収容部74にはストリング98が巻き付けられている(図示せず)。ストリング98を所定の距離だけ引っ張ることを繰り返すことによって、各収容部74の粉流体出口EX2が拡散部75に順次一致する。このように粉流体出口EX2が拡散部75に順次一致することで、各収容部74に収容されている粉体200が順次吐出される。
図28に示されている第8実施形態の粉体供給器70は、複数の収容部74を有しており、拡散部75に送る粉体200を収容した収容部74を動力源によって切り換えることができるものである。ここでは動力源としてストリング98を例に挙げて説明したが、動力源は、例えば、ロッド、気体、液体であってもよい。
【0038】
<その他>
(11)その他の粉体供給器
図29には、実施形態とは異なり、気体中に拡散せずに粉体を供給するその他の粉体供給器300の一例が示されている。粉体供給器300は、ケース310とスペーサ320と蓋330とロッド350とを有する。粉体200は、ケース310の中に収容される。スペーサ320は、ロッド350に押されて移動できるように構成されている。スペーサ320がワイヤに押されて移動すると、粉体200がスペーサ320に押される。粉体200がスペーサ320によって押されると、粉体200に押されて蓋330が開くように構成されている。蓋330が開いてもスペーサ320を押し続けると、粉体200が開いた蓋から生体100の中に粉体200が供給される。ただし、この粉体供給器300では、粉流体ではなく、パウダーの状態で零れ落ちるように粉体200が供給される。ここでは、スペーサ320を押すのにロッド350を用いる場合について説明したが、ロッド350に代えてチューブ13を使って供給されるエアーまたは水によってスペーサ320を押すように構成してもよい。
ここでは、ロッド350によって粉体200を押し出す構成について説明したが、ロッド350によって粉体供給器300の姿勢を変化させて、例えばひっくり返して粉体200を粉体供給器300から落とすように構成してもよい。この粉体供給器300に比べて、上記実施形態の粉体供給器70は特定部位にむらなく散粉できる点で優れている。
【0039】
(12)特徴
(12-1)
上記第1実施形態から第8実施形態の粉体供給器70は、生体100の中に挿入される内視鏡本体1Aの挿入部5の先端部7に取り付けられる。粉体供給器70は、生体100の中に粉体200を供給する機器である。取付部72により、粉体供給器70を挿入部5の先端部7に取り付けられた粉体供給器70は、給気部73で、内視鏡本体1Aの送気ノズルであるチューブ13から気体を取り入れ、収容部74で、粉体200を収容する。そして、粉体供給器70は、拡散部75で、粉体200を気体の中に拡散させ、吐出部76で、粉体200が拡散された粉流体(気体と粉体)を生体100の中に吐出する。
給気部73は収容部74と連通しており、収容部74は拡散部75と連通しており、拡散部75は吐出部76と連通している。従って、チューブ13から給気部73に供給される気体は、給気部73、収容部74、拡散部75、吐出部76を通って生体100の中に吹出される。
粉体供給器70の中、言い換えると生体100の中で気体の中に粉体が拡散されることにより、生体100の外部から粉体と気体とが一緒に供給される場合に比べて、生体100の中に達する粉体200の量が同じでも、必要とする粉体200の量は少なくて済む。例えば、粉体供給器70の使用により、チューブ13の中に粉体200が残る粉体200の分だけ使用する粉体200の量を削減できる。また、粉体供給器70の使用により、チューブ13で粉体200が詰まって、十分な粉体200を生体100の中に送れないという状況を防ぐことができる。つまり、粉体供給器70を使うことにより、生体100の中の特定部位に十分に粉体を供給し、粉体のロスが生じることを抑制することができる。
上記実施形態で説明したように、給気部73と収容部74と拡散部75と吐出部76のうちの幾つかの機能を、一つの部分で兼用することができる。例えば、収容ケース78は、収容部と拡散部と吐出部を兼ねている。一つの部分で給気部73と収容部74を兼ねることができる。一つの部分で収容部74と拡散部75を兼ねることができる。一つの部分で拡散部75と吐出部76を兼ねることができる。また、一つの部分で給気部73と収容部74と拡散部75を兼ねることができる。
【0040】
(12-2)
上記第1実施形態から第8実施形態の粉体供給器70において、給気部73、収容部74、拡散部75及び吐出部76は、取付部72が先端部7に取り付けられた状態で、先端部7の対物レンズ11とライトガイドレンズ12を露出する位置に配置されている。露出している対物レンズ11とライトガイドレンズ12により、粉体供給器70を取り付けた内視鏡1で視覚情報を確保できる。
(12-3)
第3実施形態及び第4実施形態の粉体供給器70では、嵌合部である給気部73がチューブ13に差し込まれて、収容ケース78とメッシュ79が収容部と拡散部と吐出部として機能する。収容ケース78とメッシュ79は、気体によって内部に収容されている粉体200を気体の中に拡散させ、粉流体を開口部から吐出する。
第3実施形態及び第4実施形態では、本体部71と取付部72に給気部73と収容ケース78とメッシュ79を加えた簡単な構成で、特定部位に十分に粉体を供給し、粉体のロスが生じることを抑制することのできる粉体供給器70を実現できている。
【0041】
(12-4)
第2実施形態の粉体供給器70では、嵌合部である給気部73がチューブ13に差し込まれて、収容ケース78が収容部と拡散部と吐出部として機能する。収容ケース78は、第1壁面WL1に設けられた気体入口OP2と、第2壁面WL2に設けられている粉流体出口としての吐出孔HX1を有する。収容ケース78は、気体入口OP2から入ってきた気体によって粉体200を気体の中に拡散させ、粉流体を吐出孔HX1から吐出する。
第2実施形態では、本体部71と取付部72に給気部73と収容ケース78を加えた簡単な構成で、特定部位に十分に粉体を供給し、粉体のロスが生じることを抑制することのできる粉体供給器70を実現できている。
(12-5)
第1実施形態の粉体供給器70では、収容部74及び拡散部75として機能する第1室と、吐出部76として機能する第2室を有している。第1室は、給気部73に連通している気体入口OP1と、吐出部76に連通している粉流体出口EX1と、粉体収容空間SP1~SP4に気体入口OP1から吹き込まれる気体によって粉体200を気体の中に拡散させ、粉流体を粉流体出口EX1から出す。吐出部76は、生体100の中に向く吐出口OL1と、粉流体出口EX1を兼ねる粉流体入口とを有し、粉体収容空間SP1~SP4よりも体積が小さい。
第1実施形態では、本体部71と取付部72に収容部74及び拡散部75として機能する第1室と、吐出部76として機能する第2室を加えるという簡単な構成で、特定部位に十分に粉体を供給し、粉体のロスが生じることを抑制することのできる粉体供給器70を実現できている。
【0042】
(12-6)
図24に示されている振動装置90は、収容部74に収容されている粉体200を振動させる。粉体200を気体の中に拡散させるときに粉体200を振動させることができ、振動させない場合よりも、粉体の凝集や収容部74の側面への付着を抑えることができ、気体中の粉体200の偏在が少なくなるように、拡散することができる。
(12-7)
図27に示されている粉体供給器70は、第1収容部74aに気体を供給することで、第1粉体201を気体の中に拡散した第1粉流体を吐出する。また、
図27の粉体供給器70は、第2収容部74bに気体を供給することで、第2粉体202を気体の中に拡散した第2粉流体を吐出する。
図27の粉体供給器70は、第1粉体201と第2粉体202を異なる種類とすることで、複数種類の粉体の吐出が可能になる。また、
図27の粉体供給器70は、第1粉体201と第2粉体202を異なるタイミングで吐出させることが可能になる。
(12-8)
図26に示されているように、送気装置30は、粉体200を粉体供給器70から吐出させるときに、気体の圧力の変化により粉体供給器70の粉体200に振動を与える。その結果、粉体供給器70から吐出させる粉体200の拡散が容易になる。
(12-9)
粉体供給器70の使用方法は、取替ステップと再挿入ステップと粉流体吐出ステップとを備えている。取替ステップでは、内視鏡1の挿入部5を生体100の中に挿入して生体100の中の特定部位を処置した後に、挿入部5を生体100から引き抜いて挿入部5の先端部7に粉体200が収納されている粉体供給器70をフード20と取り替え、送気のためのチューブ13と連結する。最挿入ステップでは、粉体供給器70が取り付けられた挿入部5を生体100の中の特定部位に向けて粉体供給器70を生体の中に挿入する。粉流体吐出ステップでは、生体100の中に位置する粉体供給器70に気体を送り込み、粉体供給器70から特定部位に粉体を含む粉流体を吐出する。
このような粉体供給器70の使用方法によれば、粉体200を粉体供給器70に収容した状態で特定部位の近傍に到達させることができ、生体100の中で拡散部75により粉流体を発生させることで、生体100の中の特定部位に十分に粉体200を供給する際に、粉体200のロスが生じるのを抑制することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 内視鏡
1A 内視鏡本体
5 挿入部
7 先端部
11 対物レンズ
12 ライトガイドレンズ
13 チューブ
20 フード
30 送気装置
70 粉体供給器
71 本体部
72 取付部
73 給気部
74 収容部
74a 第1収容部
74b 第2収容部
75 拡散部
75a 第1拡散部
75b 第2拡散部
76 吐出部
76a 第1吐出部
76b 第2吐出部
77,79 メッシュ
78 収容ケース
80 振動装置