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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128529
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】通信装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/03 20060101AFI20240913BHJP
   H04L 25/02 20060101ALI20240913BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H04L25/03 E
H04L25/02 V
H04N1/00 127Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037531
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】金子 智彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 謙一
(72)【発明者】
【氏名】池田 一裕
【テーマコード(参考)】
5C062
5K029
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA29
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AE15
5C062AF00
5K029AA01
5K029BB03
5K029DD12
5K029DD24
5K029EE01
5K029HH08
5K029KK24
5K029LL14
(57)【要約】
【課題】受信側の通信装置において、通信ケーブルの接続時に受信可能なスケルチ設定値に調整することで、特性バラツキに起因した誤検出を防ぐことにある。
【解決手段】通信装置16は、信号受信部16bと、スケルチ検出部16cと、スタートパターン検出部16dと、を備えた通信装置であって、閾値電圧に関連付けたスケルチ設定値を記憶するレジスタ部16eと、レジスタ部16eから出力されるスケルチ設定値に応じて、複数の直流電圧から2つの直流電圧を選択してスケルチ検出部16cに閾値電圧として供給する直流電圧選択部16fと、スタートパターン検出部16dにより受信可能状態が検出された場合に、スケルチ設定値を段階的に上昇または下降するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するように制御するスケルチ設定制御部16gと、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ケーブルを介して他の通信装置から送信されてくる差動信号を受信して2値データに変換する信号受信部と、
前記差動信号の振幅レベルと閾値電圧とを比較することで信号の有無を検出して非スケルチ状態とスケルチ状態とを検出するスケルチ検出部と、
前記スケルチ検出部が非スケルチ状態を検出した場合に、前記差動信号に応じた前記2値データから所定のスタートパターンを検出可能になった際に受信可能状態とするスタートパターン検出部と、を備えた通信装置であって、
前記閾値電圧に関連付けたスケルチ設定値を記憶するレジスタ部と、
前記レジスタ部から出力される前記スケルチ設定値に応じて、複数の直流電圧から2つの直流電圧を選択して前記スケルチ検出部に閾値電圧として供給する直流電圧選択部と、
前記スタートパターン検出部により受信可能状態が検出された場合に、前記スケルチ設定値を段階的に上昇または下降するように変化させて前記レジスタ部に順次に設定するように制御するスケルチ設定制御部と、を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記スケルチ設定制御部は、スケルチ設定値を記憶するテーブルを備え、
前記スケルチ設定制御部は、前記スケルチ設定値を段階的に上昇または下降するように変化させて前記レジスタ部に順次に設定するとともに、前記スケルチ設定値を前記テーブルに順次に記憶するように制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記スケルチ設定制御部は、前記スタートパターン検出部により受信可能状態が検出された場合に、当該検出時に用いたスケルチ設定値に対して成功フラグを関連付けて前記テーブルに記憶するように制御することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記スケルチ設定制御部は、前記テーブルから異なるスケルチ設定値に関連付けされた成功フラグを読み出して、成功フラグの個数を計数して成功段階数を得るように制御することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記スケルチ設定制御部は、前記成功段階数が奇数だった場合に、受信可能なスケルチ設定値を前記成功段階のセンター値に設定するように制御することを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記スケルチ設定制御部は、前記成功段階数が偶数だった場合に、受信可能なスケルチ設定値を最大値に1段階だけ寄せて設定するように制御することを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項7】
前記スケルチ設定制御部は、前記段階的に上昇または下降するように変化させたスケルチ設定値を順次に前記レジスタ部に設定するように制御し、ある段階において前記スタートパターン検出部により受信可能状態が受信不可能状態に切り替わったことが検出された場合に、前記レジスタ部に設定されているスケルチ設定値を1段階または2段階だけ下方の値に切り替えるように制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずか1項に記載の通信装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信装置としては、送信側の環境温度の変化に起因して差動信号に対する通信エラー(例:USB信号の通信切断)が発生した場合に、自動的にエンファシスレベル(信号レベル)を変更して、通信に成功したエンファシスレベルを記憶しておき、再設定を行うことでリカバリ処理回数を減らし、復旧までの手間と時間を極力縮小する技術が知られている。
【0003】
従来、特許文献1にあっては、通信エラーが発生した時に行うリカバリ処理を削減するという目的で、送信側において自動的にエンファシスレベルを調整/設定する構成として、他の通信端末と間の通信中に自通信端末の環境温度が変化することに起因して通信エラーが発生した場合であっても、復旧までの手間と時間を極力少なくすることができる技術が開示されている。
以上のように、特許文献1にあっては、送信側の通信装置において信号のエンファシスレベルの調整を行っている。
【0004】
しかしながら、受信側の通信装置にあっては、通信装置の個体毎に特性バラツキがあるため、通常、スケルチ(受信感度)に係わる閾値電圧は異なっている。このため、例えば通信装置を生産する際に、複数の通信装置の全てに対して、ある特定のスケルチに係わる閾値電圧のみを設定した場合、個々の通信装置が配置された使用環境下においては特性バラツキに起因して差動信号を誤検出する可能性があるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態は、上記に鑑みてなされたもので、その目的は、受信側の通信装置において、通信ケーブルの接続時に受信可能なスケルチに係わる閾値電圧を調整することで、特性バラツキに起因した誤検出を防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、通信ケーブルを介して他の通信装置から送信されてくる差動信号を受信して2値データに変換する信号受信部と、前記差動信号の振幅レベルと閾値電圧とを比較することで信号の有無を検出して非スケルチ状態とスケルチ状態とを検出するスケルチ検出部と、前記スケルチ検出部が非スケルチ状態を検出した場合に、前記差動信号に応じた前記2値データから所定のスタートパターンを検出可能になった際に受信可能状態とするスタートパターン検出部と、を備えた通信装置であって、前記閾値電圧に関連付けたスケルチ設定値を記憶するレジスタ部と、前記レジスタ部から出力される前記スケルチ設定値に応じて、複数の直流電圧から2つの直流電圧を選択して前記スケルチ検出部に閾値電圧として供給する直流電圧選択部と、前記スタートパターン検出部により受信可能状態が検出された場合に、前記スケルチ設定値を段階的に上昇または下降するように変化させて前記レジスタ部に順次に設定するように制御するスケルチ設定制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、受信側の通信装置において、通信ケーブルの接続時に受信可能なスケルチに係わる閾値電圧を調整することで、特性バラツキに起因した誤検出を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係わる通信装置が互いに対向して通信する構成を示すブロック構成図である。
図3】本発明の第1実施形態に係わる通信装置の一部である直流電圧選択部とスケルチ検出部との接続構成を詳細に示すブロック構成図である。
図4】本発明の第1実施形態に係わる通信装置である受信側の通信装置の制御フローを示すフローチャートである。
図5】本発明の第1実施形態に係わる通信装置におけるスケルチ設定値が記憶されたテーブルの内容例を示す図表である。
図6】本発明の第1実施形態に係わる通信装置による基本的な調整例を示す波形の一例を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態に係わる通信装置におけるスケルチ設定値が記憶されたテーブルの内容例を示す図表である。
図8】本発明の第2実施形態に係わる通信装置である受信側の通信装置の制御フローを示す他のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
本発明は、受信側の通信装置において、通信ケーブルの接続時に受信可能なスケルチに係わる閾値電圧を調整することで、特性バラツキに起因した誤検出を防ぐために、以下の構成を有する。
すなわち、本発明の通信装置は、通信ケーブルを介して他の通信装置から送信されてくる差動信号を受信して2値データに変換する信号受信部と、差動信号の振幅レベルと閾値電圧とを比較することで信号の有無を検出して非スケルチ状態とスケルチ状態とを検出するスケルチ検出部と、スケルチ検出部が非スケルチ状態を検出した場合に、差動信号に応じた2値データから所定のスタートパターンを検出可能になった際に受信可能状態とするスタートパターン検出部と、を備えた通信装置であって、閾値電圧に関連付けたスケルチ設定値を記憶するレジスタ部と、レジスタ部から出力されるスケルチ設定値に応じて、複数の直流電圧から2つの直流電圧を選択してスケルチ検出部に閾値電圧として供給する直流電圧選択部と、スタートパターン検出部により受信可能状態が検出された場合に、スケルチ設定値を段階的に上昇または下降するように変化させてレジスタ部に順次に設定するように制御するスケルチ設定制御部と、を備えることを特徴とする。
以上の構成を備えることにより、受信側の通信装置において、通信ケーブルの接続時に受信可能なスケルチに係わる閾値電圧を調整することで、特性バラツキに起因した誤検出を防ぐことができる。
【0010】
上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
上記の本発明の特徴に関して、以下、図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
<ハードウェア構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成図である。
<本体のハードウェア構成>
まず、本体10のハードウェア構成について説明する。
図1に示すように、本体10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ部14、ネットワークI/F(Interface)15、通信装置16、エンジン部17、移動体センサ18、及びシステムバス19等を有する。
【0012】
CPU11は、RAM13をワークエリア(作業領域)としてROM12又はストレージ部14等に格納されたプログラムを実行することで、本体10全体の動作を制御する。例えば、CPU11は、エンジン部17を用いて、前述したコピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、プリンタ機能などの各種機能を実現する。
【0013】
ROM12は、例えば、本体10の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)や、各種の設定等を記憶する不揮発性のメモリである。RAM13は、CPU11のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。ストレージ部14は、例えば、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、各種データ等を記憶する不揮発性の記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)等で構成される。
【0014】
ネットワークI/F15は、本体10をネットワークN接続し、ネットワークNに接続された外部装置との通信を行うための、例えば、無線LAN、有線LAN等のネットワークインタフェースである。
通信装置16は、USBケーブル30を介して、本体10と操作部20との間で通信するための通信インタフェースである。通信装置16は、USBポートP1~P3を介してUSB通信を行い、内部に備えたCPU16aにより制御される。
【0015】
エンジン部17は、コピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、及びプリンタ機能等の機能を実現させるための、汎用的な情報処理及び通信以外の処理を行うハードウェアである。エンジン部17には、例えば、原稿の画像をスキャンして読み取るスキャナ(画像読取部)、用紙等のシート材への印刷を行うプロッタ(画像形成部)、ファクス通信を行うファクス部等が含まれる。さらに、エンジン部17には、印刷済みシート材を仕分けるフィニッシャや、原稿を自動給送するADF(自動原稿給送装置)のような特定のオプションが含まれていても良い。
【0016】
移動体センサ18は、画像形成装置1の周囲の検知範囲内にある人体等の移動体を検知するセンサであり、例えば焦電センサ等が用いられる。なお、本実施形態では、画像形成装置1は移動体センサ18を有していなくても良い。
【0017】
システムバス19は、上記各構成要素に接続され、アドレス信号、データ信号、及び各種制御信号等を伝送する。
【0018】
<操作部のハードウェア構成>
次に、操作部20のハードウェア構成について説明する。図1に示すように、操作部20は、CPU21、ROM22、RAM23、フラッシュメモリ24、ネットワークI/F25、操作パネル26、通信装置27、外部接続I/F28、RFタグリーダ103、カメラ104、及びシステムバス29等を有する。
【0019】
CPU21は、RAM23をワークエリア(作業領域)としてROM22又はフラッシュメモリ24等に格納されたプログラムを実行することで、操作部20全体の動作を制御する。
【0020】
ROM22は、例えば、操作部20の起動時に実行されるBIOSや、各種の設定等を記憶する不揮発性のメモリである。RAM23は、CPU21のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。フラッシュメモリ24は、例えば、OS、アプリケーションプログラム、各種データ等を記憶する不揮発性の記憶装置である。
【0021】
ネットワークI/F25は、操作部20をネットワークNに接続し、ネットワークNに接続された外部装置との通信を行うため、例えば、無線LAN、有線LAN等のネットワークインタフェースである。
【0022】
操作パネル26は、利用者の操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、各種の情報を表示する。操作パネル26は、例えば、タッチパネル機能を搭載した液晶表示装置(LCD: Liquid Crystal Display)で構成されるが、これに限られるものではない。
操作パネル26は、例えばタッチパネル機能が搭載された有機EL(Electro Luminescence)表示装置で構成されていても良い。さらに、操作パネル26は、これに加えて又はこれに代えて、ハードウェアキー等の操作部や、ランプ等の表示部を設けることもできる。
【0023】
通信装置27は、USBケーブル30を介して、操作部20と本体10との間で通信するためのインタフェースであり、例えば、USB通信装置である。
外部接続I/F28は、外部装置を接続するための、例えばUSB等のインタフェースである。
システムバス29は、上記各構成要素に接続され、アドレス信号、データ信号、及び各種制御信号等を伝送する。
【0024】
<第1実施形態>
図2は、本発明の第1実施形態に係わる通信装置が互いに対向して通信する構成を示すブロック構成図である。
図2において、2つの通信装置がUSBケーブル30を介して対向して接続されており、説明の便宜上、一方が送信側のホスト装置の役割を担う通信装置27とし、他方が受信側のデバイス装置の役割を担う通信装置16とする。
<送信側の通信装置>
送信側の通信装置27は、制御部27aと、信号送信部27bと、を備えている。
制御部27aは、例えば、所定のスタートパターンを2値データに変換して信号送信部に出力する。
信号送信部27bは、2値データを差動信号に変換して、2つの端子に接続されたUSBケーブル(通信ケーブル)30を介して通信装置16に差動信号を送信する。
【0025】
<受信側の通信装置>
受信側の通信装置16は、信号受信部16bと、スケルチ検出部16cと、スタートパターン検出部16dと、レジスタ部16eと、直流電圧選択部16fと、スケルチ設定制御部16gと、異常判断部16iと、を備えている。
信号受信部16bは、2つの端子に接続されたUSBケーブル(通信ケーブル)30を介して通信装置27から送信されてくる差動信号を受信して2値データに変換する。
スケルチ検出部16cは、2つの端子に接続し、差動信号の振幅レベルと閾値電圧とを比較することで信号の有無を検出して非スケルチ状態(信号有り)とスケルチ状態(信号無し)とを検出する。
なお、本実施形態では、説明を簡素化するために、スケルチ検出部16cを信号受信部16bとは別に備えるように構成しているが、スケルチ検出部16cを信号受信部16bの内部に組み込むように構成してもよい。
スタートパターン検出部16dは、スケルチ検出部16cが非スケルチ状態を検出した場合に、差動信号に応じた2値データから所定のスタートパターンを検出可能になった際に受信可能状態とする。
【0026】
レジスタ部16eは、閾値電圧に関連付けたスケルチ設定値(データ)を記憶する。
直流電圧選択部16fは、レジスタ部16eから出力されるスケルチ設定値(データ)に応じて、複数の直流電圧から2つの直流電圧を選択してスケルチ検出部16cに閾値電圧として供給する。なお、スケルチ設定値とは、スケルチ検出部16cに供給される閾値電圧(アナログ電圧)と関連付けた値(データ)であり、複数の閾値電圧は差動信号の高位領域電圧VSHよりも下方の複数の段階的な電圧であり、また、複数の閾値電圧は差動信号の低位領域電圧VSLよりも上方の複数の段階的な電圧である。
【0027】
スケルチ設定制御部16gは、スタートパターン検出部16dにより受信可能状態が検出された場合に、スケルチ設定値(データ)を段階的に上昇するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するように制御する。
異常判断部16iは、スケルチ設定値の範囲内に入らず、通信エラーと判断する機能を備える。すなわち、異常判断部16iは、スタートパターン検出部16dが受信可能状態になっていない場合に、通信エラーと判断する。
なお、信号送信部27bと信号受信部16bとの間、すなわちPHYでは、伝送経路上のデータ表現方式やインタフェースの形状といった、ネットワークの接続やデータ伝送に関する物理的な方式が規定されている。
【0028】
スケルチ設定制御部16gは、スケルチ設定値(データ)を記憶するテーブル16hを備える。
スケルチ設定制御部16gは、スケルチ設定値を段階的に上昇するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するとともに、スケルチ設定値をテーブル16hに順次に記憶するように制御する。
【0029】
スケルチ設定制御部16gは、スタートパターン検出部16dにより受信可能状態が検出された場合に、当該検出時に用いたスケルチ設定値(データ)に対して成功フラグを関連付けてテーブル16hに記憶するように制御する。
【0030】
スケルチ設定制御部16gは、テーブル16hから異なるスケルチ設定値に関連付けされた成功フラグを読み出して、成功フラグの個数を計数して成功段階数を得るように制御する。
【0031】
スケルチ設定制御部16gは、成功段階数が奇数だった場合に、受信可能なスケルチ設定値を成功段階のセンター値に設定するように制御する。
【0032】
スケルチ設定制御部16gは、成功段階数が偶数だった場合に、受信可能なスケルチ設定値を最大値に1段階だけ寄せて設定するように制御する。
【0033】
スケルチ設定制御部16gは、段階的に上昇するように変化させたスケルチ設定値を順次にレジスタ部16eに設定するように制御し、ある段階においてスタートパターン検出部16dにより受信可能状態が受信不可能状態に切り替わったことが検出された場合に、レジスタ部16eに設定されているスケルチ設定値を1段階または2段階だけ下方の値に切り替えるように制御する。
【0034】
<直流電圧選択部>
図3は、本発明の第1実施形態に係わる通信装置の一部である直流電圧選択部とスケルチ検出部との接続構成を詳細に示すブロック構成図である。
レジスタ部16eは、スケルチ設定制御部16gから設定されたスケルチ設定値を記憶するとともに、記憶されているスケルチ設定値を直流電圧選択部16fのセレクタスイッチSLに出力する。
直流電圧選択部16fは、レジスタ部16eから出力されるスケルチ設定値に応じて、複数の直流電圧から2つの直流電圧を選択して2つの端子に供給する。
【0035】
直流電圧選択部16fは、セレクタスイッチSLと、電圧生成部VGとを備えている。
図3に示すように、USB通信方式では、シリアル通信であり、USBケーブル(通信ケーブル)30に含まれるD+とD-という二つの信号線を用いて、差動信号を伝送する。
図3に示すように、D+ポートおよびD-ポートは、それぞれ信号経路から端子P1およびP2を介して信号受信部16b、スケルチ検出部16cにそれぞれ接続される。
直流電圧選択部16fは、電源VCCとグランドGNDとの間にある直列接続された複数の抵抗R1で分圧し、種々の電圧を生成する電圧生成部VGと、電圧生成部VGで生成されたどの電圧をスケルチ検出部16cに高位閾値電圧VrH,低位閾値電圧VrLとして出力するかを選択するセレクタスイッチSLとを有している。そして、当該セレクタスイッチSLの設定は、レジスタ部16eに格納されたデータ(D)であるスケルチ設定値によって決められている。
【0036】
直流電圧選択部16fは、レジスタ部16eから出力されるスケルチ設定値に応じて、複数の直流電圧のうち2つの直流電圧を選択してスケルチ検出部16cに高位閾値電圧VrH,低位閾値電圧VrLとして供給する。
すなわち、スケルチ検出部16cにおいて、D+ポートおよびD-ポートから入力される差動信号の振幅レベルと比較するための2つの閾値電圧をセレクタスイッチSLによって切り替えることで、スケルチ検出部16cに入力される差動信号の振幅レベルを判定するための2つの高位閾値電圧VrH,低位閾値電圧VrLを調整するという構成である。
【0037】
<制御フロー>
図4は、本発明の第1実施形態に係わる通信装置である受信側の通信装置16の制御フローを示すフローチャートである。
図4に示す第1実施形態に係わるフローチャートの特徴は、スケルチ設定制御部16gが、スタートパターン検出部16dにより受信可能状態が検出された場合に、スケルチ設定値(データ)を段階的に上昇するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するように制御することにある。以下、当該フローチャートの特徴について詳細に説明する。
ステップS1では、スケルチ設定制御部16gは、初期の起動においては最小(Min)のスケルチ設定値(D)(例えば、「11」)をレジスタ部16eに設定する。
ここで、レジスタ部16eに例えばデータ(D)として(11)が設定されると、データ(D)である(11)値に応じてセレクタスイッチSLが作動し、電圧生成部VGで生成されたどの電圧をスケルチ検出部16cに高位閾値電圧VrH,低位閾値電圧VrLとして出力するかを選択する。
【0038】
ステップS5では、通信装置27と通信装置16との間でUSBケーブル(通信ケーブル)30を介して差動信号による通信が行われる。この際、通信装置27は、無信号となるスケルチ状態と、所定のスタートパターンを有する非スケルチ状態のパケット信号とを時分割して交互に繰り返し、通信装置16に送信する。
ステップS10では、通信装置16において、スケルチ設定制御部16gは、信号受信部16bを介して、スタートパターン検出部16dが通信装置27から送信される所定のスタートパターンを表すパケット信号を正常に受信できたか否かを判断する。
すなわち、スケルチ設定制御部16gは、通信装置27から送信される所定のスタートパターンを表すパケット信号をスタートパターン検出部16dが正常に受信できた場合に、ステップS15に進み、一方、通信装置16側でホスト装置から送信される所定のスタートパターンを正常に受信できなかった場合に、ステップS25に進む。
【0039】
ステップS10でYesの場合、ステップS15では、スケルチ設定制御部16gは、スタートパターン検出部16dにより受信可能状態が検出された場合に、当該検出時に用いたスケルチ設定値(データ)に対して成功フラグを関連付けてテーブル16hに記憶するように制御する。
次に、ステップS20では、スケルチ設定制御部16gは、通信装置16側のスケルチ設定値を現在の値から1段階だけ上昇させた設定値をレジスタ部16eに設定し、ステップS5に戻る。例えば、現在のスケルチ設定値が(11)である場合、ステップS20の処理が実行されると、1段階だけ上昇したスケルチ設定値(22)に変化する。
ステップS5では、通信装置27と通信装置16との間でUSBケーブル(通信ケーブル)30を介して差動信号による通信が行われる。
【0040】
一方、ステップS10でNoの場合、ステップS25では、スケルチ設定制御部16gは、スケルチ設定値に関連付けて失敗フラグをテーブル16hに記憶する。
次に、ステップS30では、スケルチ設定制御部16gは、通信装置16側のスケルチ設定値は最小値か否かを判断する。
スケルチ設定制御部16gは、通信装置16側のスケルチ設定値が最小状態である場合に、ステップS35に進み、一方、通信装置16側のスケルチ設定値が最小値ではない場合に、ステップS40に進む。
【0041】
ステップS30でYesの場合、ステップS35では、スケルチ設定制御部16gは、最小値よりも上段に設定することができないので、異常判断部16iが通信異常として判断して異常通知を行う。異常通知としては、異常判断部16iが、LED1を発光させてユーザに報知するように構成してもよい。
【0042】
ステップS30でNoの場合、ステップS40では、スケルチ設定制御部16gは、テーブル16hから異なるスケルチ設定値に関連付けされた成功フラグ(例えば、「○」印)を順次に読み出して、成功フラグの個数を計数して成功段階数を得るように制御する。
ステップS45では、スケルチ設定制御部16gは、通信装置16側のスケルチ設定値を調整し、接続可能となるセンター値に設定を行う。
すなわち、スケルチ設定制御部16gは、成功段階数が奇数だった場合に、受信可能なスケルチ設定値を成功段階のセンター値に設定するように制御する
一方、スケルチ設定制御部16gは、成功段階数が偶数だった場合に、受信可能なスケルチ設定値を最大値に1段階だけ寄せて設定するように制御する。
【0043】
<テーブルの内容例1>
図5は、本発明の第1実施形態に係わる通信装置におけるスケルチ設定値が記憶されたテーブルの内容例1を示す図表である。
図5に示すテーブル16hは、横方向にスケルチ設定値、通信テスト段数を構成している。スケルチ設定値には、データ(D)を有しており、Dは数値の左側であり、Dは数値の右側であり、例えば、(11),(22),(33),(44),(55),(66)が割り付けられている。通信テスト段数には、例えば、1~7を有している。
図5に示すように、スケルチ設定値(D)が最小値の(11)である場合に、通信テスト段数を1とし、この際にセレクタスイッチSLにより選択された高位閾値電圧VrH,低位閾値電圧VrLがスケルチ検出部16cに供給され、通信装置27から送信される所定のスタートパターンを表すパケット信号をスタートパターン検出部16dが正常に受信できた場合に、成功フラグがスケルチ設定値(D)と関連付けてテーブル16hに記憶される。
すなわち、スケルチ設定値の最小値(11)を用いて1回目の通信テストを行った結果、成功フラグとして「○」(OK)がテーブル16hに記憶される。
【0044】
次に、1回目のスケルチ設定値から1段階上げた値(22)を用いて、2回目の通信テストを行った結果、「○」(OK)がテーブル16hに記憶される。
次に、2回目のスケルチ設定値から1段階上げた値(33)を用いて、3回目の通信テストを行った結果、「○」(OK)がテーブル16hに記憶される。
次に、3回目のスケルチ設定値から1段階上げた値(44)を用いて、4回目の通信テストを行った結果、「×」(NG)がテーブル16hに記憶される。
スケルチ設定制御部16gは、テーブル16hから異なるスケルチ設定値に関連付けされた成功フラグを順次に読み出して、成功フラグの個数を計数して成功段階数を得るように制御する。
テスト結果が「○」(OK)となった個数が3個であり、すなわち、個数が奇数であるため、センター値として2回目のスケルチ設定値(22)を採用すれば適切である。
【0045】
<基本的な調整例を示す波形>
図6は、本発明の第1実施形態に係わる通信装置による基本的な調整例を示す波形の一例を示す図である。
USBケーブル(通信ケーブル)30に含まれるD+とD-という二つの信号線を使って、差動信号を伝送する。この際、二つの信号線の波形がEye開口を表す。
本実施形態1のスケルチ設定制御部16gでは、Eye開口の内側から外側に向かって閾値電圧を順次に切り替えるように制御している。すなわち、スケルチ設定制御部16gは、スケルチ設定値(データ)を段階的に上昇するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するように制御する。
スケルチ検出部16cは、差動信号Sの振幅レベルが閾値電圧を超えているか否かに応じて差動信号Sの有無を検出して、非スケルチ状態(信号有り)とスケルチ状態(信号無し)とを検出する。
【0046】
<1回目>
すなわち、1回目のスケルチ設定値(11)に関連付けた高位閾値電圧VrH,低位閾値電圧VrLがスケルチ検出部16cに供給される。そして、差動信号Sの低位領域電圧VSLと低位閾値電圧VrLとの間の電位差ΔVが正であり、
SL-VrL=ΔV>0 (1)
を満たしているとき、
かつ差動信号Sの高位領域電圧VSHと高位閾値電圧VrHとの間の電位差ΔVが正であり、
SH-VrH=ΔV>0 (2)
を満たしているとき、
スケルチ設定値の最小値(11)を用いて1回目の通信テストを行った結果、成功フラグとして○(OK)がテーブル16hに記憶される。
【0047】
<2回目>
1回目のスケルチ設定値(11)から1段階上げ、2回目のスケルチ設定値(22)に関連付けた高位閾値電圧VrH,低位閾値電圧VrLがスケルチ検出部16cに供給される。そして、差動信号Sの低位領域電圧VSLと低位閾値電圧VrLとの間の電位差ΔVが正であり、
SL-VrL=ΔV>0 (3)
を満たしているとき、
かつ差動信号Sの高位領域電圧VSHと高位閾値電圧VrHとの間の電位差ΔVが正であり、
SH-VrH=ΔV>0 (4)
を満たしているとき、
スケルチ設定値(22)を用いて2回目の通信テストを行った結果、成功フラグとして「○」(OK)がテーブル16hに記憶される。
【0048】
<3回目>
2回目のスケルチ設定値(22)から1段階上げ、3回目のスケルチ設定値(33)に関連付けた高位閾値電圧VrH,低位閾値電圧VrLがスケルチ検出部16cに供給される。そして、差動信号Sの低位領域電圧VSLと低位閾値電圧VrLとの間の電位差ΔVが正であり、
SL-VrL=ΔV>0 (5)
を満たしているとき、
かつ差動信号Sの高位領域電圧VSHと高位閾値電圧VrHとの間の電位差ΔVが正であり、
SH-VrH=ΔV>0 (6)
を満たしているとき、
スケルチ設定値(33)を用いて3回目の通信テストを行った結果、成功フラグとして「○」(OK)がテーブル16hに記憶される。
【0049】
<4回目>
3回目のスケルチ設定値(33)から1段階上げ、4回目のスケルチ設定値(44)に関連付けた高位閾値電圧VrH,低位閾値電圧VrLがスケルチ検出部16cに供給される。そして、差動信号Sの低位領域電圧VSLと低位閾値電圧VrLとの間の電位差ΔVが正であり、
SL-VrL=ΔV>0 (7)
を満たしていないとき、
かつ差動信号Sの高位領域電圧VSHと高位閾値電圧VrHとの間の電位差ΔVが正であり、
SH-VrH=ΔV>0 (8)
を満たしていないとき、
スケルチ設定値(44)を用いて4回目の通信テストを行った結果、失敗フラグとして「×」(NG)がテーブル16hに記憶される。
スケルチ設定制御部16gは、テーブル16hから異なるスケルチ設定値に関連付けされた成功フラグを順次に読み出して、成功フラグの個数を計数して成功段階数を得るように制御する。
テスト結果が「○」(OK)となった個数が3個であり、すなわち、個数が奇数であるため、センター値として2回目のスケルチ設定値(22)を採用すれば適切である。
【0050】
<テーブルの内容例2>
図7は、本発明の第1実施形態に係わる通信装置におけるスケルチ設定値が記憶されたテーブルの内容例2を示す図表である。
図7に示すように、スケルチ設定値(D)が最小値(11)である場合に、通信テスト段数を「1」とし、この際にセレクタスイッチSLにより選択された高位閾値電圧VrH,低位閾値電圧VrLがスケルチ検出部16cに供給され、通信装置27から送信される所定のスタートパターンを表すパケット信号をスタートパターン検出部16dが正常に受信できた場合に、成功フラグがスケルチ設定値(D)と関連付けてテーブル16hに記憶される。
すなわち、スケルチ設定値の最小値(11)を用いて1回目の通信テストを行った結果、「○」(OK)がテーブル16hに記憶される。
【0051】
次に、1回目のスケルチ設定値から1段階上げた値(22)を用いて、2回目の通信テストを行った結果、成功フラグとして「○」(OK)がテーブル16hに記憶される。
次に、2回目のスケルチ設定値から1段階上げた値(33)を用いて、3回目の通信テストを行った結果、成功フラグとして「○」(OK)がテーブル16hに記憶される。
次に、3回目のスケルチ設定値から1段階上げた値(44)を用いて、4回目の通信テストを行った結果、成功フラグとして「○」(OK)がテーブル16hに記憶される。
次に、4回目のスケルチ設定値から1段階上げた値(55)を用いて、5回目の通信テストを行った結果、失敗フラグとして「×」(NG)がテーブル16hに記憶される。
スケルチ設定制御部16gは、テーブル16hから異なるスケルチ設定値に関連付けされた成功フラグを順次に読み出して、成功フラグの個数を計数して成功段階数を得るように制御する。
テスト結果が「○」(OK)となった個数が4個であり、すなわち、個数が偶数であるため、センター値を決定できない。そこで、マージンを加味して、1段階だけ最大値に寄った値をスケルチ設定値(33)として採用すれば適切である。
【0052】
本実施形態1によれば、直流電圧選択部16fが、レジスタ部16eから出力されるスケルチ設定値に応じて、複数の直流電圧から2つの直流電圧を選択してスケルチ検出部16cに閾値電圧として供給しておき、スタートパターン検出部16dにより受信可能状態が検出された場合に、スケルチ設定制御部16gが、スケルチ設定値を段階的に上昇するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するように制御することで、USBケーブル30の接続時に受信可能なスケルチ設定値に調整することで、特性バラツキに起因した誤検出を防ぐことができる。
これにより、通信装置16の個体ごとの特性バラツキに起因した、スケルチ状態と非スケルチ状態とに対する誤検出を防ぐことができる。さらに、通信エラーの発生を未然に抑制することができるので、リカバリ処理を削減することができる。
【0053】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係わる通信装置の構成を示すブロック構成図は、図2に示す構成のうち、以下の構成を備えることを特徴としている。
スケルチ設定制御部16gは、スタートパターン検出部16dにより受信可能状態が検出された場合に、スケルチ設定値(データ)を段階的に下降するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するように制御する。
スケルチ設定制御部16gは、スケルチ設定値を段階的に下降するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するとともに、スケルチ設定値をテーブル16hに順次に記憶するように制御する。
スケルチ設定制御部16gは、段階的に下降するように変化させたスケルチ設定値を順次にレジスタ部16eに設定するように制御し、ある段階においてスタートパターン検出部16dにより受信可能状態が受信不可能状態に切り替わったことが検出された場合に、レジスタ部16eに設定されているスケルチ設定値を1段階または2段階だけ下方の値に切り替えるように制御する。
【0054】
<制御フロー>
図8は、本発明の第2実施形態に係わる通信装置である受信側の通信装置16の制御フローを示す他のフローチャートである。
図8に示す第2実施形態に係わるフローチャートの特徴は、スケルチ設定制御部16gが、スタートパターン検出部16dにより受信可能状態が検出された場合に、スケルチ設定値(データ)を段階的に下降するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するように制御することにある。以下、当該フローチャートの特徴について詳細に説明する。
【0055】
本実施形態2のスケルチ設定制御部16gでは、Eye開口の外側から内側に向かって閾値電圧を順次に切り替えるように制御している。すなわち、スケルチ設定制御部16gは、スケルチ設定値(データ)を段階的に下降するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するように制御する。
【0056】
ステップS101では、スケルチ設定制御部16gは、初期の起動においては最大(Max)のスケルチ設定値(D)(例えば、「66」)をレジスタ部16eに設定する。
ここで、レジスタ部16eに例えばデータ(D)として(66)が設定されると、データ(D)である(66)値に応じてセレクタスイッチSLが作動し、電圧生成部VGで生成されたどの電圧をスケルチ検出部16cに高位閾値電圧VrH,低位閾値電圧VrLとして出力するかを選択する。
【0057】
ステップS105では、通信装置27と通信装置16との間でUSBケーブル(通信ケーブル)30を介して差動信号による通信が行われる。この際、通信装置27は、無信号となるスケルチ状態と、所定のスタートパターンを有する非スケルチ状態のパケット信号とを時分割して交互に繰り返し、通信装置16に送信する。
ステップS110では、通信装置16において、スケルチ設定制御部16gは、信号受信部16bを介して、スタートパターン検出部16dが通信装置27から送信される所定のスタートパターンを表すパケット信号を正常に受信できたか否かを判断する。
すなわち、スケルチ設定制御部16gは、通信装置27から送信される所定のスタートパターンを表すパケット信号をスタートパターン検出部16dが正常に受信できた場合に、ステップS115に進み、一方、通信装置16側において通信装置27から送信される所定のスタートパターンを正常に受信できなかった場合に、ステップS120に進む。
【0058】
ステップS110でYesの場合、ステップS115では、スケルチ設定制御部16gは、スタートパターン検出部16dにより受信可能状態が検出された場合に、当該検出時に用いたスケルチ設定値(データ)に対して成功フラグを関連付けてテーブル16hに記憶するように制御する。次に、ステップS125に進む。
一方、ステップS110でNoの場合、ステップS120では、スケルチ設定制御部16gは、スケルチ設定値に関連付けて失敗フラグをテーブル16hに記憶する。次に、ステップS125に進む。
次に、ステップS125では、スケルチ設定制御部16gは、通信装置16側のスケルチ設定値を現在の値から1段階だけ下降させた設定値をレジスタ部16eに設定し、ステップS130に進む。
【0059】
次に、ステップS130では、スケルチ設定制御部16gは、通信装置16側のスケルチ設定値は最小値か否かを判断する。
スケルチ設定制御部16gは、通信装置16側のスケルチ設定値が最小状態である場合に、ステップS135に進み、一方、通信装置16側のスケルチ設定値が最小値ではない場合に、ステップS105に戻る。
ステップS105では、通信装置27と通信装置16との間でUSBケーブル(通信ケーブル)30を介して差動信号による通信が行われる。
【0060】
ステップS130でYesの場合、ステップS135では、スケルチ設定制御部16gは、テーブル16hから異なるスケルチ設定値に関連付けされた成功フラグを順次に読み出して、成功フラグの個数を計数して成功段階数を得るように制御する。
ステップS140では、スケルチ設定制御部16gは、通信装置16側のスケルチ設定値を調整し、接続可能となるセンター値に設定を行う。
すなわち、スケルチ設定制御部16gは、成功段階数が奇数だった場合に、受信可能なスケルチ設定値を成功段階のセンター値に設定するように制御する
一方、スケルチ設定制御部16gは、成功段階数が偶数だった場合に、受信可能なスケルチ設定値を最大値に1段階だけ寄せて設定するように制御する。
【0061】
本実施形態2によれば、直流電圧選択部16fが、レジスタ部16eから出力されるスケルチ設定値に応じて、複数の直流電圧から2つの直流電圧を選択してスケルチ検出部16cに閾値電圧として供給しておき、スタートパターン検出部16dにより受信可能状態が検出された場合に、スケルチ設定制御部16gが、スケルチ設定値を段階的に下降するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するように制御することで、USBケーブル30の接続時に受信可能なスケルチ設定値に調整することで、特性バラツキに起因した誤検出を防ぐことができる。
これにより、通信装置16の個体ごとの特性バラツキに起因した、スケルチ状態と非スケルチ状態とに対する誤検出を防ぐことができる。さらに、通信エラーの発生を未然に抑制することができるので、リカバリ処理を削減することができる。
【0062】
<本実施形態の態様例の作用、効果のまとめ>
<第1態様>
本態様の通信装置は、USBケーブルを介して他の通信装置から送信されてくる差動信号を受信して2値データに変換する信号受信部16bと、差動信号の振幅レベルと閾値電圧とを比較することで信号の有無を検出して非スケルチ状態とスケルチ状態とを検出するスケルチ検出部16cと、スケルチ検出部16cが非スケルチ状態を検出した場合に、差動信号に応じた2値データから所定のスタートパターンを検出可能になった際に受信可能状態とするスタートパターン検出部16dと、を備えた通信装置であって、閾値電圧に関連付けたスケルチ設定値を記憶するレジスタ部16eと、レジスタ部16eから出力されるスケルチ設定値に応じて、複数の直流電圧から2つの直流電圧を選択してスケルチ検出部16cに閾値電圧として供給する直流電圧選択部16fと、スタートパターン検出部16dにより受信可能状態が検出された場合に、スケルチ設定値を段階的に上昇または下降するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するように制御するスケルチ設定制御部16gと、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、直流電圧選択部16fが、レジスタ部16eから出力されるスケルチ設定値に応じて、複数の直流電圧から2つの直流電圧を選択してスケルチ検出部16cに閾値電圧として供給しておき、スタートパターン検出部16dにより受信可能状態が検出された場合に、スケルチ設定制御部16gが、スケルチ設定値を段階的に上昇または下降するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するように制御することで、USBケーブル30の接続時に受信可能なスケルチ設定値に調整することで、特性バラツキに起因した誤検出を防ぐことができる。
これにより、通信装置16の個体ごとの特性バラツキに起因した、スケルチ状態と非スケルチ状態とに対する誤検出を防ぐことができる。
【0063】
<第2態様>
本態様のスケルチ設定制御部16gは、スケルチ設定値を記憶するテーブル16hを備え、スケルチ設定制御部16gは、スケルチ設定値を段階的に上昇または下降するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するとともに、スケルチ設定値をテーブル16hに順次に記憶するように制御することを特徴とする。
本態様によれば、スケルチ設定制御部16gは、スケルチ設定値を段階的に上昇または下降するように変化させてレジスタ部16eに順次に設定するとともに、スケルチ設定値をテーブル16hに順次に記憶するように制御することで、スケルチ設定値をテーブル16hに順次に記憶することができる。
【0064】
<第3態様>
本態様のスケルチ設定制御部16gは、スタートパターン検出部16dにより受信可能状態が検出された場合に、当該検出時に用いたスケルチ設定値に対して成功フラグを関連付けてテーブル16hに記憶するように制御することを特徴とする。
本態様によれば、スケルチ設定制御部16gは、スタートパターン検出部16dにより受信可能状態が検出された場合に、当該検出時に用いたスケルチ設定値に対して成功フラグを関連付けてテーブル16hに記憶するように制御することができる。
【0065】
<第4態様>
本態様のスケルチ設定制御部16gは、テーブル16hから異なるスケルチ設定値に関連付けされた成功フラグを読み出して、成功フラグの個数を計数して成功段階数を得るように制御することを特徴とする。
本態様によれば、スケルチ設定制御部16gは、テーブル16hから異なるスケルチ設定値に関連付けされた成功フラグを読み出して、成功フラグの個数を計数して成功段階数を得るように制御することができる。
【0066】
<第5態様>
本態様のスケルチ設定制御部16gは、成功段階数が奇数だった場合に、受信可能なスケルチ設定値を成功段階のセンター値に設定するように制御することを特徴とする。
本態様によれば、スケルチ設定制御部16gは、成功段階数が奇数だった場合に、受信可能なスケルチ設定値を成功段階のセンター値に設定するように制御することができる。
これにより、スケルチ検出部における誤検出を防ぐことができ、通信エラーの発生を未然に抑制することができ、さらにリカバリ処理を削減することができ、安定した通信が可能な通信環境を提供することができる。
【0067】
<第6態様>
本態様のスケルチ設定制御部16gは、成功段階数が偶数だった場合に、受信可能なスケルチ設定値を最大値に1段階だけ寄せて設定するように制御することを特徴とする。
本態様によれば、スケルチ設定制御部16gは、成功段階数が偶数だった場合に、受信可能なスケルチ設定値を最大値に1段階だけ寄せて設定するように制御することができる。
これにより、スケルチ検出部においてノイズなどの影響による誤検出を防ぐことができ、通信エラーの発生を未然に抑制することができ、さらにリカバリ処理を削減することができ、安定した通信が可能な通信環境を提供することができる。
【0068】
<第7態様>
本態様のスケルチ設定制御部16gは、段階的に上昇または下降するように変化させたスケルチ設定値を順次にレジスタ部16eに設定するように制御し、ある段階においてスタートパターン検出部16dにより受信可能状態が受信不可能状態に切り替わったことが検出された場合に、レジスタ部16eに設定されているスケルチ設定値を1段階または2段階だけ下方の値に切り替えるように制御することを特徴とする。
本態様によれば、スケルチ設定制御部16gは、段階的に上昇または下降するように変化させたスケルチ設定値を順次にレジスタ部16eに設定するように制御し、ある段階においてスタートパターン検出部16dにより受信可能状態が受信不可能状態に切り替わったことが検出された場合に、レジスタ部16eに設定されているスケルチ設定値を1段階または2段階だけ下方の値に切り替えるように制御することができる。
これにより、通信装置16の個体ごとの特性バラツキに起因した、スケルチ状態と非スケルチ状態とに対する誤検出を防ぐことができる。
【0069】
<第8態様>
本態様の画像形成装置は、第1態様~第7態様のいずか1つに記載の通信装置16を備えることを特徴とする。
本態様によれば、画像形成装置1が、第1態様~第7態様のいずか1つに記載の通信装置16を備えることで、画像形成装置1の設けられた通信装置16にUSBケーブル30を接続した時に、受信可能なスケルチ設定値に調整することで、特性バラツキに起因した誤検出を防ぐことができる。
これにより、画像形成装置の設けられた通信装置16の個体ごとの特性バラツキに起因した、スケルチ状態と非スケルチ状態とに対する誤検出を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0070】
1…画像形成装置、16…通信装置、16a…CPU、16b…信号受信部、16c…スケルチ検出部、16d…スタートパターン検出部、16e…レジスタ部、16f…直流電圧選択部、16g…スケルチ設定制御部、16h…テーブル、16i…異常判断部、27…通信装置、27a…制御部、27b…信号送信部、30…USBケーブル(通信ケーブル)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2022-69881公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8