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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128535
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】鍛造金型及び曲げ加工方法
(51)【国際特許分類】
   B21J 13/02 20060101AFI20240913BHJP
   B21J 5/08 20060101ALI20240913BHJP
   B21D 11/20 20060101ALN20240913BHJP
【FI】
B21J13/02 H
B21J5/08 Z
B21D11/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037542
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】392031424
【氏名又は名称】株式会社佐藤精機
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊臣
【テーマコード(参考)】
4E087
【Fターム(参考)】
4E087AA09
4E087AA10
4E087CA36
4E087CB03
4E087EA32
4E087EC15
4E087ED04
4E087HA91
(57)【要約】
【課題】バスバー用等の板幅変化部を有する素材をブランクの歩留まりを高めて製造する。
【解決手段】専用の鍛造金型1を使用する。コマ47を嵌入して押込むと、コマ47の先行面51が鍛造素材Wの端面t2に当接して押圧する。鍛造素材Wに塑性流動が発生するが、ガイド面55により幅方向に展開するのが規制され、コマ47の成形面61aにより上方への展開も規制されるので、隙間Sに肉が主に流れ込む。更に、コマ47を押込むと、コマ47の後続面53が鍛造素材Wに当接して、湾曲部位Rの内側の肉も隙間S側に流れ込む。そして、最終的に後続面53が幅狭凹面部21の手前側の凹側面25と面一になると、鍛造素材Wの湾曲部位Rの外側角部がL形隅部29の転写形状になり、内側角部がL形角部59の転写形状になっており、殆ど直角の曲げが実現される。そして、曲げ後の鍛造素材Wには割れや肉の盛り上げも生じない。また、この鍛造金型1では、特にコマ47に補強部位61が設けられており、破損し難くなっている。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型締めした下型と上型との間に湾曲した鍛造素材をセットし、前記下型内にコマを押込んで鍛造素材の湾曲部位の曲げを更に大きくする冷間鍛造用の鍛造金型において、
前記下型では、四角状の幅広凹面部と幅狭凹面部がL形隅部を作って連なり、前記幅広凹面部側が開放されて前記鍛造素材の受入れ凹部が構成され、
前記コマは、前記幅広凹面部に嵌入される押込み部位と前記上型の凹面部に嵌入される補強部位とが一体になり、
前記押込み部位の押込み方向先端の押圧面の中間に段差が設けられて、前記L形隅部に相対するL形角部が作られており、
鍛造素材の湾曲部位は前記L形隅部と前記L形角部が相対したときの転写形状の曲げになることを特徴とする鍛造金型。
【請求項2】
請求項1に記載した鍛造金型において、
補強部位には鍛造素材に当接する成形面が作られていることを特徴とする鍛造金型。
【請求項3】
請求項2に記載した鍛造金型において、
下型の幅広凹面部にコマが嵌入されると、前記コマの段差により幅が狭められて幅狭凹面部と同じ幅になることを特徴とする鍛造金型。
【請求項4】
請求項3に記載した鍛造金型において、
下型の幅広凹面部にコマが最奥まで押込まれると、前記コマの押圧面と前記幅広凹面部との間の隙間も幅狭凹面部と同じ幅になることを特徴とする鍛造金型。
【請求項5】
請求項4に記載した鍛造金型において、
L形隅部が直角隅部になっていることを特徴とする鍛造金型。
【請求項6】
請求項5に記載した鍛造金型において、
下型では、幅狭凹面部側が閉塞していることを特徴とする鍛造金型。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載した鍛造金型を用いた鍛造素材の曲げ加工方法において、
鍛造素材にプレス加工を施して湾曲部位を作り出し、その後に、
前記湾曲部位を鍛造金型の下型の受入れ凹部にセットし、前記下型内にコマを押込んで前記湾曲部位の曲げを更に大きくすることを特徴とする曲げ加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍛造金型及び前記鍛造金型を用いた曲げ加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バスバーは大容量の電流が流れる部分に使用される導体であり、操作盤、配電盤、電池などに従来から広く使用されている。
最近では、電気自動車の普及に伴い、電気配線の主流である高圧ハーネスに代わる部品としてバスバーが注目されている。
而して、高圧ハーネスと異なり、バスバーは形状が固定されているため、予め所定の形状に成形しておく必要があるが、大容量電池などの搭載で車載スペースが限られる中、他の電気部品のための空間を確保するために、立体的な成形要求が益々過酷になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-200848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ブランク抜きした後にプレス加工で板幅方向に変化する曲げ部を作り出すのは難しい。一方、鍛造で作り出すのも、常温で成形する冷間鍛造は、成形圧力が高いため、金型への負荷も加工難易度も高くなり難しい。
そのため、ブランク抜きの段階で板幅変化部を予め作り出し、板厚方向で変化する曲げ部だけをプレス加工で作り出していた。その場合、図9の一例のブランクの歩留まり=10.7%で示すように歩留まりが低く、その歩留まりの低さが製作コストを引き上げていた。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に着目してなされたものであり、バスバー等の鍛造素材に対してその板幅方向で変化する曲げ部を鍛造で割れや肉盛りなく綺麗に作り上げるのに利用できる、新規且つ有用な鍛造金型を提供することを、その目的とする。
また、本発明は、前記鍛造金型を用いて、バスバー等の鍛造素材に対してその板幅方向で変化する曲げ部を綺麗に作り上げていく曲げ加工方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、型締めした下型と上型との間に湾曲した鍛造素材をセットし、前記下型内にコマを押込んで鍛造素材の湾曲部位の曲げを更に大きくする冷間鍛造用の鍛造金型において、前記下型では、四角状の幅広凹面部と幅狭凹面部がL形隅部を作って連なり、前記幅広凹面部側が開放されて前記鍛造素材の受入れ凹部が構成され、前記コマは、前記幅広凹面部に嵌入される押込み部位と前記上型の凹面部に嵌入される補強部位とが一体になり、前記押込み部位の押込み方向先端の押圧面の中間に段差が設けられて、前記L形隅部に相対するL形角部が作られており、鍛造素材の湾曲部位は前記L形隅部と前記L形角部が相対したときの転写形状の曲げになることを特徴とする鍛造金型である。
【0007】
好ましくは、補強部位には鍛造素材に当接する成形面が作られている。
好ましくは、下型の幅広凹面部にコマが嵌入されると、前記コマの段差により幅が狭められて幅狭凹面部と同じ幅になる。
好ましくは、下型の幅広凹面部にコマが最奥まで押込まれると、前記コマの押圧面と前記幅広凹面部との間の隙間も幅狭凹面部と同じ幅になる。
好ましくは、L形隅部が直角隅部になっている。
好ましくは、下型では、幅狭凹面部側が閉塞している。
【0008】
また、本発明は、上記の鍛造金型を用いた鍛造素材の曲げ加工方法において、鍛造素材にプレス加工を施して湾曲部位を作り出し、その後に、前記湾曲部位を鍛造金型の下型の受入れ凹部にセットし、前記下型内にコマを押込んで前記湾曲部位の曲げを更に大きくすることを特徴とする曲げ加工方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鍛造金型を用いれば、バスバー等の鍛造素材に対してその板幅方向で変化する曲げ部を綺麗に作り上げていくことができ、ブランクの歩留まりを上げることができる。
また、本発明の鍛造金型は、単純な構造で耐久性良く構成されており、その使用を前提とすれば、ブランクの歩留まりの格段の向上により、曲げ加工方法を十分にコスト的に見合う形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る鍛造金型の斜視図である。
図2図1の鍛造金型の下型の斜視図である。
図3図1の鍛造金型の上型の別方向から見た斜視図である。
図4図1の鍛造金型のコマの2方向から見た斜視図である。
図5図1の鍛造金型の下型に鍛造素材をセットした状態の斜視図である。
図6図5に続いて、コマを嵌入した状態の斜視図である。
図7図6に続いて、コマを最終段階まで押込んだ状態の斜視図である。
図8図7における鍛造素材の曲げ状態を示す斜視図である。
図9】ブランクの歩留まりの例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る鍛造金型1を、図面にしたがって説明する。
この鍛造金型1は、冷間鍛造用であり、銅製のバスバーとなる鍛造素材Wをほぼ直角に曲げ加工するのに用いられる専用品になっている。
図1に示すように、この鍛造金型1は、下型3と、上型35と、コマ47によって構成されており、いずれも従来から使用されてきた材質(例えば、高速度工具鋼や超硬合金)で形成されている。
【0012】
図2に示すように、下型3は、四角ブロック状になっており、そのほぼ正方形の上面が下型面5になっている。この下型面5には、下方に向かって凹んだ受入れ凹部7が形成されている。この受入れ凹部7の凹底面は平面になっており、凹側面は凹底面に直交した平面になっている。この受入れ凹部7は長方形状の幅広凹面部9と幅狭凹面部21が連なって構成されている。
【0013】
幅広凹面部9はその長さ方向が、下型面5の長さ方向と平行になる向きで、下型面5のほぼ中央に位置している。そして、一方の長さ方向凹端面がそのまま貫いて開放されて開放面11になっており、他方の長さ方向凹端面は閉塞されて閉塞面13になっている。
開放面11側には垂直に段差15が設けられており、この段差15は幅方向に延在している。凹底面17は端面側が一段下がった凹底面17a、奥側が凹底面17bになっている。
凹側面19には、半円柱状に切り取られたような凹曲面19aが段差15に寄せて凹底面17a側に形成されている。対向する凹側面19、19に対してそれぞれ凹曲面19a、19aが形成されている。
【0014】
幅広凹面部9の幅寸法が幅狭凹面部21の幅寸法の約2倍になっている。
幅広凹面部9が縦長配置とすると、幅狭凹面部21は横長配置になっている。幅狭凹面部21の長さ方向一端面が開放されており、その凹底面23が幅広凹面部9の凹底面17bと平面状に連なっており、その境界には凹側面19が無い。また、凹側面25、25のうち奥側の凹側面25が閉塞面13と平面状に連なっている。幅狭凹面部21の長さ方向他端面は閉塞面27になっている。
従って、受入れ凹部7は幅広凹面部9と幅狭凹面部21が連なって、幅の有るL形になっており、閉塞面13と一方の凹側面19の境界がほぼ直角のL形隅部29になっている。
【0015】
極薄の補強シート31で、幅広凹面部9の段差15側を除く大部分の凹底面17bとL形隅部29側の凹側面19と閉塞面13が被覆され、更に、前記の凹側面19と閉塞面13を囲んで下型面5の縁部が被覆されている。
また、受入れ凹部7を囲んでその周囲には、複数のネジ穴33、33、……が形成されている。
【0016】
図3に示すように、上型35は、下型3と同様に四角ブロック状になっており、そのほぼ正方形の下面が上型面37になっている。この上型面37には、上方に向かって凹んで摺動受け部39が形成されている。この摺動受け部39の凹天面は平面になっており、凹側面は凹天面に直交した平面になっている。摺動受け部39は長方形状になっており、両側の長さ方向凹端面はそのまま貫いて開放されて開放面41、41になっている。
下型3と上型35は四角ブロックの角が揃えられた状態で、下型3の下型面5に上型35の上型面37が合わせられる。その状態で、摺動受け部39は受入れ凹部7の幅広凹面部9と上下方向で正対して中空空間が作られる。但し、摺動受け部39は両側の長さ方向凹端面はそのまま貫いて開放されて開放面41、41になっているので、一方の開放面41側は下型面5に当接する。そして、他方の開放面41と下型3の開放面11とで、四角形の嵌入れ口43が作られる。
【0017】
摺動受け部39を囲んでその周囲には、複数の貫通穴45、45、……が形成されており、上型35の上型面37と下型3の下型面5を合わせたときに、貫通穴45とネジ穴33が上下方向で連通するので、そこにボルト(図示省略)を差し込んで型締めするようになっている。
【0018】
この下型3と上型35との間に作られる中空空間に、コマ47が嵌入れされる。
図4(1)、(2)に示すように、コマ47は、押込み部位49と補強部位61とが物理的に一体になって構成されている。
押込み部位49は、長方形の厚板ブロック状になっており、長手方向一端側のほぼ中間に垂直に段差が設けられており、長手方向一端面が鍛造素材Wに当接する時間差で先行面51と後続面53に分かれている。後続面53は先行面51とほぼ平行になっている。これらで押圧面57が構成されている。また、後続面53と先行面51の間は長手方向に平行なガイド面55になっている。後続面53とガイド面55との境界がL形角部59になっている。
補強部位61は、押込み部位49と同様に長方形の厚板ブロック状になっており、押込み部位49とは板面どうしが合わさって、短手方向側はその両端縁が揃えられている。一方、長手方向側はずれており、補強部位61が突出している。
【0019】
コマ47を、嵌入れ口43から型締めされてできる中空中間に、押込み部位49を下側に且つ押圧面57が先頭にくるように挿入する。
押込み部位49は下型3の幅広凹面部9にその幅方向両端が摺接する状態で嵌まり込む。押込み部位49の嵌入により、幅広凹面部9の残された凹面部の幅寸法は幅狭凹面部21の幅寸法とほぼ同じになる。
また、コマ47が最奥まで押込まれて、押込み部位49の後続面53が幅狭凹面部21の手前側の凹側面25と面一になったときには、後続面53と閉塞面13との間に残された凹面部の長さ寸法は幅狭凹面部21の幅寸法とほぼ同じになる。なお、この最奥とは設定されたストロークでの範囲内である。
【0020】
一方、補強部位61は上型35の摺動受け部39にその幅方向両端が摺接する状態で嵌まり込む。補強部位61は押込み部位49を補強しているが、それだけでなく、補強部位61の露出した下面が鍛造素材Wと当接する成形面61aになって、上型35の一部の機能を担っている。
【0021】
鍛造金型1は上記のように構成されており、プレス加工等により湾曲させた鍛造素材Wの湾曲部位を更に大きく曲げるのに利用する。この鍛造金型1は鍛造素材Wの専用品になっている。
図5に示すように、厚板状の鍛造素材Wを受入れ凹部7に入れてセットする。
【0022】
鍛造素材Wの幅寸法よりも幅狭凹面部21の幅寸法が僅かに大きくなるように設計されており、セットした状態では、鍛造素材Wの湾曲部位Rから先の一方側が幅狭凹面部21に収納され、他方側は幅広凹面部9に収納される。幅狭凹面部21側では、鍛造素材Wは板面を凹底面23に載せられた状態で、端面t1は閉塞面27に当接し、板厚面側は凹側面25、25にほぼ当接している。幅広凹面部9側では、鍛造素材Wは板面を凹底面17に載せられた状態で、端面t2は凹底面17b上に留まっている。板厚面側はL形隅部29側の凹側面19に寄せられて当接している。
受入れ凹部7がL状で鍛造素材WもL状になっているのでセットすると、湾曲部位RがL形隅部29側にくるが、その間には隙間Sが残されている。
【0023】
この状態で、図6(1)、(2)に示すようにコマ47を嵌入させて押圧前の待機位置にセットする。図6(1)では上型35が透明化され、図6(2)では上型35とコマ47の補強部位61が透明化されている。
コマ47の先行面51の全面が鍛造素材Wの端面t2に当接している。また、ガイド面55は鍛造素材Wの一方の板厚面側に当接している。他方の板厚面側はL形隅部29側の凹側面19に当接しており、幅方向での展開は規制されている。
【0024】
その後に、上型35を合わせて型締めして鍛造を開始する。
コマ47を奥方に押込むと、コマ47の先行面51が鍛造素材Wの端面t2を奥方に押圧する。このとき、鍛造素材Wに塑性流動が発生するが、ガイド面55により幅方向に展開するのが規制され、コマ47の成形面61aにより上方への展開も規制されるので、隙間Sに押圧された分の肉が主に流れ込む。
【0025】
更に、コマ47を押込むと、コマ47の後続面53も鍛造素材Wに当接するので、湾曲部位Rの内側の肉も隙間S側に流れ込む。そして、図7に示すように、最終的に後続面53が幅狭凹面部21の手前側の凹側面25と面一になると、すなわち、L形角部59がL形隅部29に正対する位置にくる。なお、図7(1)では上型35が透明化され、図7(2)では上型35とコマ47の補強部位61が透明化されている。
その後に、型開きすると、図8に示すように、鍛造素材Wの湾曲部位Rの外側角部がL形隅部29の転写形状になり、内側角部がL形角部59の転写形状になっており、殆ど直角の曲げが実現される。そして、コマ47の形状的特徴により肉流れがスムーズに進行するので、曲げ後の鍛造素材Wには割れや肉の盛り上げも生じない。
【0026】
従って、この曲げ加工方法によれば、鍛造素材Wをほぼ直角に曲げることができる。
最終の曲げ加工は冷間鍛造なので、成形部に高い圧力が作用することから金型へも負担も大きくなっており、加工熱により鍛造素材Wのごく表層は高温になるが、この鍛造金型1では、特にコマ47は補強部位61が設けられて強度が増しており、破損し難くなっている。また、補強シート31が被覆されているので、摩耗し難くなっている。このような金型寿命を延ばす工夫がなされている。
また、図9に示すように、この曲げ加工方法を利用すれば、従来品との比較では、ブランクの歩留まり=98.4%まで高まる。
【0027】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、コマ47を押込み部位49と補強部位61で構成し、押圧面57とガイド面55を設ける構成であれば、下型3の受入れ凹部7の形状は鍛造素材の種類、形状、サイズ等によりその都度最適に設計されることになる。
【符号の説明】
【0028】
1…鍛造金型 3…下型 5…下型面
7…受入れ凹部 9…幅広凹面部 11…開放面
13…閉塞面 15…段差 17a、17b…凹底面
19…凹側面 19a…凹曲面 21…幅狭凹面部
23…凹底面 25…凹側面 27…閉塞面
29…L形隅部 31…補強シート 33…ネジ穴
35…上型 37…上型面 39…摺動受け部
41…開放面 43…嵌入れ口 45…貫通穴
47…コマ 49…押込み部位 51…先行面
53…後続面 55…ガイド面 57…押圧面
59…L形角部 61…補強部位 61a…成形面
W…鍛造素材 R…湾曲部位 t1、t2…端面 S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9