(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128548
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】死後事務管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240913BHJP
G06Q 50/18 20120101ALI20240913BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/18 320
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037560
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】519252240
【氏名又は名称】株式会社えくぼ
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】大野 益通
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC14
5L049CC32
5L050CC14
5L050CC32
(57)【要約】
【課題】事務管理者が作成した費用申告データを監査人が精査し、支払承認後に費用振込処理が行われるシステムを提供する。
【解決手段】依頼人の死後、予め指定された事務管理者が、依頼人の死後事務を代行する死後事務管理システムであって、外部端末と交信可能であって各種データを記録するデータサーバと、該データサーバへのアクセス及び記録情報を管理するデータ管理部と、で構成され、事務管理者が死後事務にかかる費用をデータサーバ上にて申告し、監査人が申告データを精査及び支払承認を行うことで費用振込処理が実行される手段を採る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
依頼人の死後、予め指定された事務管理者が、依頼人の死後事務を代行する死後事務管理システムであって、
外部端末と交信可能であって各種データを記録するデータサーバと、該データサーバへのアクセス及び記録情報を管理するデータ管理部と、で構成され、
データサーバは、依頼人情報と、死後事務に関する情報と、死後事務を行う事務管理者情報と、信託に関する情報と、死後事務の遂行状態と信託機関への請求内容をチェックする監査人情報と、を集積できる機能が備えられて成り、
データ管理部は、各種データのデータ入力可能レベル並びに入力されたデータの閲覧可能レベルの設定及び管理と、死後事務の期限管理と、事務経費のデータ集約及び信託機関への請求管理と、を行う機能が備えられて成り、
事務管理者が死後事務にかかる費用をデータサーバ上にて申告し、監査人が申告データを精査及び支払承認を行うことで費用振込処理が実行されることを特徴とする死後事務管理システム。
【請求項2】
前記データサーバは、遺言情報を集積できることを特徴とする請求項1に記載の死後事務管理システム。
【請求項3】
前記データ管理部は、データサーバへの入力・変更・更新処理が行われたときに、関係者へ通知する機能が備えられていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の死後事務管理システム。
【請求項4】
前記データサーバには、閲覧者及び閲覧日時に関する閲覧情報が集積されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の死後事務管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、死後事務管理システムに関し、詳しくは、死後事務委任業務を代行可能なシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、少子高齢化が進展する日本において、終活やエンディングノートを生前に用意しておき、万が一に備え自らの希望も踏まえた最期を準備しておく、といった風潮が高まっている。また、65歳以上で一人暮らしをする高齢者の単独世帯は4世帯に1世帯とも言われており、子どもや頼れる親戚等、自身の死後を託す人が周囲にいない場合、死後事務(人が死亡した際に、自動的に発生する事務業務のことであり、遺体の搬送や役所への死亡届、火葬・葬儀・埋葬の手配、各種届出や遺品整理といった数々の事務業務)の手続き不備等によって思いもよらない他者に迷惑をかけてしまう可能性もあり、本人の死後において発生する死後事務が滞らないシステムが求められていた。
【0003】
このような問題に対して、特開2021-174011号公報(特許文献1)や、特開2015-90539号公報(特許文献2)のような技術提案がなされている。すなわち、特許文献1では、依頼人のエンディングノートデータを、インターネット経由でデータベースにて管理し、死後事務の遂行を支援するシステムが提案されている。また、特許文献2では、エンディングノートを含めた各種家族情報をインターネット経由でサーバへ記録し、それらの情報を表示可能なサイトを家族全員で運用管理するシステムが提案されている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術提案では、エンディングノート自体の修正がいつでも可能であるが、その都度受任審査が行われることとなり、審査の結果によっては本人の希望が正確に反映されない可能性が発生する。さらに、エンディングノート自体には法的拘束力が発生しないため、遺族からの要望によっては死後事務の遂行に支障が発生する事態も起こり得る、といった問題点があった。
また、上記特許文献2の技術提案では、あくまで家族間でのデータ共有のため、エンディングノートを含めたデータに法的拘束力はなく、本人の希望通りに死後事務が実行されるかは不明である、といった問題があった。
【0005】
そこで本出願人は、任意後見人における業務及び依頼人情報をサーバに記憶し、その情報から監査資料の自動生成を行い記憶させるシステムを開発し、特許番号第6978790号公報(特許文献3)に記載の技術提案を行っている。かかる技術提案によれば、後見人業務における委託契約や死後事務委任契約の情報を、ネットワークを介してサーバへ記憶させることにより、アクセスを管理する管理部によって監査資料が自動生成されると共にサーバへ記憶され、さらには、後見人業務を監査する監査人が、ネットワークを介して監査資料を閲覧及び認証を行い、確認結果をサーバ上に記憶することが出来る、といった優れた効果を奏するものであった。
【0006】
しかしながら、特許文献3にかかる技術提案によれば、任意後見人として契約した依頼人との間に発生する後見人業務については有用であるものの、任意後見人契約を締結せず死後事務委任契約のみ締結した場合に対する対応が難しいといった問題があった。また、監査資料を監査人以外が閲覧することは可能であるが、死後事務に関して予め決められた費用以外の経費等が発生した場合、提示した金額によっては遺族に不信を抱かせてしまう可能性があった。
【0007】
本出願人は、以上のような従来における死後事務において、死後事務に関する費用面における透明性の確保が困難であるといった問題点に着目し、第三者である監査人が、死後事務にかかる費用を予めチェックしてから費用が振り込まれるシステムが提供できないものかという着想のもと、事務管理者がデータサーバ上にて申告した費用申告データを監査人が精査し、支払承認がされてから費用振込処理が行われる死後事務管理システムを開発し、本発明における「死後事務管理システム」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-174011号公報
【特許文献2】特開2015-90539号公報
【特許文献3】特許第6978790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、事務管理者が作成した費用申告データを監査人が精査し、支払承認後に費用振込処理が行われるシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するため、本発明は、依頼人の死後、予め指定された事務管理者が、依頼人の死後事務を代行する死後事務管理システムであって、外部端末と交信可能であって各種データを記録するデータサーバと、該データサーバへのアクセス及び記録情報を管理するデータ管理部と、で構成され、データサーバは、依頼人情報と、死後事務に関する情報と、死後事務を行う事務管理者情報と、信託に関する情報と、死後事務の遂行状態と信託機関への請求内容をチェックする監査人情報と、を集積できる機能が備えられて成り、データ管理部は、各種データのデータ入力可能レベル並びに入力されたデータの閲覧可能レベルの設定及び管理と、死後事務の期限管理と、事務経費のデータ集約及び信託機関への請求管理と、を行う機能が備えられて成り、事務管理者が死後事務にかかる費用をデータサーバ上にて申告し、監査人が申告データを精査及び支払承認を行うことで費用振込処理が実行されて成る手段を採る。
【0011】
また、本発明は、前記依頼人情報には、遺言情報が含まれる手段を採用する。
【0012】
さらに、本発明は、前記データ管理部は、データサーバへの入力・変更・更新処理が行われたときに、関係者へ通知する機能が備えられている手段を採用する。
【0013】
またさらに、本発明は、前記データサーバには、閲覧者及び閲覧日時に関する閲覧情報が集積される手段を採用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる死後事務管理システムによれば、事務管理者が死後事務にかかる費用を申告し、監査人が申告データを精査し支払承認を行うことで費用が振り込まれることにより、費用支払前に第三者の確認が行われるため、死後事務における費用面の透明性が確保可能となるといった効果を奏する。
【0015】
また、本発明にかかる死後事務管理システムによれば、依頼人情報に遺言情報が含まれることにより、死後事務に関して法的拘束力を有することとなり、本人の希望に沿う形で死後事務を遂行することが可能となるといった効果を奏する。
【0016】
さらに、本発明にかかる死後事務管理システムによれば、データサーバへの入力・変更・更新処理が行われたときに、関係者へ通知する機能がデータ管理部に備えられていることにより、意図しないデータの更新・削除や、依頼人の意に沿わないデータの改竄が行われた場合においても、データ管理部からの通知により関係者が更新データをチェックし、データの不具合を早期発見することが可能であるといった効果を奏する。
【0017】
さらにまた、本発明にかかる死後事務管理システムによれば、データサーバに閲覧者及び閲覧日時に関する閲覧情報が集積されることにより、監査資料を始めとする各種資料を、誰がいつ閲覧しチェックしているかの把握が可能であると共に、閲覧がされていない資料等を関係者へ周知させることも可能であるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明にかかる死後事務管理システムの全体概要を示す構成図である。
【
図2】本発明にかかる死後事務管理システムのスタート時を示すフローチャート図である。
【
図3】本発明にかかる死後事務管理システムの死後事務開始時を示すフローチャート図である。
【
図4】本発明にかかる死後事務管理システムの死後事務経費申請時に関するフローチャート図である。
【
図5】本発明にかかる死後事務管理システムの死後事務業務終了時に関するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明にかかる死後事務管理システム1は、死後事務にかかる費用を事務管理者3がデータサーバ6上で申告し、監査人4がそれを精査・承認することで費用の振込処理が行われることを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかる死後事務管理システム1の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0020】
尚、本発明にかかる死後事務管理システム1の全体構想及び各部の構成は、下記に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる構成態様の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0021】
図1は、本発明にかかる死後事務管理システム1の全体概要を示す構成図である。また、
図2は本発明にかかる死後事務管理システム1の死後事務業務準備に関するフローチャート図である。
図3は本発明にかかる死後事務管理システム1の死後事務業務開始に関するフローチャート図である。
図4は本発明にかかる死後事務管理システム1の死後事務経費申請時に関するフローチャート図である。
図5は本発明にかかる死後事務管理システム1の死後事務業務終了時に関するフローチャート図である。
【0022】
死後事務とは、死後に行うべき事務処理全般のことであり、例えば、葬儀や埋葬にかかる行政手続きや、生前に行った契約の解約等が挙げられる。死後事務委任契約とは、死後事務の遂行を第三者と締結することにより、契約者の死後に発生する死後事務を契約内容に基づき遂行させるものである。なお、死後事務委任契約における死後事務の内容については、契約者との契約内容によって異なるため特に限定はない。
【0023】
依頼人2は、死後事務委任契約を事務管理者3と締結する者である。
依頼人2は、依頼人2本人の死亡後に発生する死後事務を委任する事務管理者3をインターネットサイトS(以下、単にサイトSという場合がある。)上で選択・決定させた後、死後事務委任契約を行う者である。
【0024】
親族(遺族)8とは、依頼人2の近親者であり、依頼人2が死亡した際は自動的に親族(遺族)8となる者である。また、サイトSを介して、事務管理者3による死後事務の遂行状態を確認することが可能な者である。
【0025】
事務管理者3は、依頼者と締結した死後事務委任契約に基づき死後事務を行う者である。
依頼人2から死後事務を委任されることとなる事務管理者3は、サイトSに登録し依頼人2から提示される条件にあった者から選択され、死後事務委任契約を締結することにより、依頼人2の死後に発生する死後事務を契約内容に基づき行うこととなる。委任契約の内容は、データサーバ6へ記録させると共に、遺言状にて死後事務委任契約について記載してもらう態様を採ることで、死後事務の円滑な処理に資することとなる。また、依頼人2の希望により死後事務の委任内容が異なるため、遺族8が行わなくてはならない死後事務が発生する場合、委任契約が有効となる際に遺族8へ自動的に死後事務に関する通知が送信されるような態様が好ましい。
【0026】
監査人4は、死後事務管理システム1(以下、単に「システム」と言う場合がある)の運用状況を監視する者であり、特に死後事務遂行中に発生する金銭的な流れを監査する者である。
監査人4は、裁判所からの指名により法的に任命される場合のほか、死後事務委任契約の契約時に依頼人2が指名する態様であってもよく、システム1開始と同時に監査業務が発生する。監査人4は、依頼人2による死後事務の遂行状況や、本システム運用にあたっての資金の流れ、特に事務管理者3から申請される死後事務遂行にあたって必要とされる費用申請内容の正否を主な監査内容とし、データサーバ6上の死後事務関連及び会計処理に関する情報の閲覧、及び、閲覧後の承認・認証書込が可能なアクセス権限を有する。かかる監査人4は、税理士や弁護士等といった法律の専門家が好ましく、更に死後事務に理解のある者がより好ましい。監査人4が設置されることにより、第三者の目線から金銭の動きを詳細に監視することができ、依頼人2及び遺族8にとって安全な死後事務管理システム1を提供し得る。
【0027】
信託機関5は、依頼人2により預けられた信託金を管理する機関である。
信託機関5は、死後事務委任契約に伴い契約後に必要となる費用を、依頼人2から事前に信託金として預かり管理する金融機関である。信託機関に預けられた信託金は、死後事務にかかる費用として使用されることとなるが、管理される信託金の残金や引き落とし金額といった情報は、サイトSを介してデータ管理部7や監査人4、遺族8等によって常時確認可能な態様を採ることが好ましい。
【0028】
データサーバ6は、システム1にかかる各種データを記録・集積する記録媒体であり、外部端末と交信可能な機能を備えたサーバである。
データサーバ6は、サイトSへログインするためのIDやパスワード、依頼人情報・死後事務情報・事務管理者情報・信託情報・監査人情報等の各種データ(以下、単に各種データという場合がある。)を記録することが可能であり、更には、必要に応じてサイトSのアクセス権を含む基幹情報や、サイトSにてログインした者及びサイトSを閲覧した者の閲覧履歴、といった情報が記録・集積される。このデータサーバ6に記録・集積された各種データは、事務管理者3と監査人4の他に、信託機関5や取引銀行、遺産を管理する遺産管理者、遺族8等の関係者(以下、単に「関係者」という場合がある。)がサイトSにアクセスすることでアクセス権の範囲内において閲覧したり、書込・更新したりすることが可能になっている。
また、データサーバ6は、後述するデータ管理部7により一元管理されており、データの書込や更新が行われた際にデータ管理部7へ随時通知が送られる、もしくは、データの変更箇所や変更者が表示される態様を採ることで、データ管理部7によるWチェックが行われると共に、依頼人2にとって不本意なデータ変更を防ぐことが可能となる。
【0029】
依頼人情報は、事務管理者3と死後事務委任契約を行った依頼人2の情報である。
依頼人情報については、依頼人2の氏名、性別、年齢、住所、連絡先等の個人情報と、持病の有無、親族情報(配偶者、同居人、親族8の氏名、性別、年齢、住所、連絡先等)といった依頼人2の周囲環境情報が記録・集積される。この依頼人情報は、依頼人2がサイトSにアクセスすることで書込・更新することが可能になっており、持病の追加や転居等の周囲環境の変化があり次第、その都度更新することとなる。また、データ管理部7により設定されたアクセス権によって、依頼人の親族8が依頼人情報内の親族情報を訂正できる態様も考え得る。
【0030】
死後事務情報は、依頼人2と事務管理者3との間に締結された死後事務委任契約の内容や、依頼人2の死亡後に開始する死後事務処理の結果について記録される情報である。
死後事務委任契約記録方法に特に限定はしないが、例えば、文書を画像データとして保存する方法や、死後事務の内容毎に付けられたチェックボックスへチェックマークを付けていく方法、死後事務委任契約の内容を読み上げた音声データを保存する方法等、データ管理部7が設定した入力方法で、夫々が死後事務情報欄へ記載することとなる。さらに、死後事務委任契約の内容変更時や、委任契約実行後の死後事務遂行状態に合わせ、死後事務情報欄は随時追加・更新されることとなる。また、死後事務委任契約時に公正証書を使用した場合、公正証書の内容を撮影した画像データや、委任契約の内容について本人が説明した音声データ等を併せて記録することも可能である。
【0031】
事務管理者情報は、死後事務委任契約を行う事務管理者3に関する情報である。
事務管理者情報は、事務管理者3としてサイトSに登録した時に入力する事務管理者3の氏名、所属、連絡先等と、依頼人2と死後事務委任契約を締結した際に入力する死後事務委任契約内容や、契約締結日等についての情報、死後事務開始日、死後事務の進捗状況、死後事務にかかる費用について等、事務管理者3が作成するデータが記録・集積される。事務管理者3によって記録される死後事務の進捗状況は、委任項目毎の進捗状況の他に、日報や週報のような定期的に状況が確認できるような報告書を記録するといった態様も考え得る。
【0032】
信託情報は、死後事務委任契約にかかる信託内容に関する情報である。
信託情報には、死後事務委任契約にて設定された信託機関5の名称、担当者名、連絡先といった基本情報と、信託金の出入金データ及び残高データ、事務管理者3から送信される費用申請データ、該費用申請データに付される監査データ等の信託金情報が含まれる。信託機関5は、監査結果の付された費用申請データを基に信託金の出金を行い、出入金データ及び残高データを更新することとなる。
【0033】
監査人情報は、死後事務の遂行状態や死後事務にかかる金銭的な流れについて監査する監査人4に関する情報である。
監査人情報は、監査人4の氏名や所属先、連絡先等の個人情報や、事務管理者3から申請された死後事務にかかる費用の申請データや、死後事務業務の遂行状態の情報、監査内容、監査結果についてのデータが含まれる。
【0034】
死後事務にかかる費用についての申請データ及び監査人4による結果データ等の監査にかかる諸データは、事務管理者3と監査人4の他に、信託機関5や取引銀行、遺産を管理する遺産管理者、遺族8等の関係者も閲覧可能とすることで、費用面での透明度を高めることが可能となり、さらに、事務管理者3もデータが関係者へ開示されていることを認識するため、申請金額の改ざんや不当請求等の不法行為を未然に防ぐことが可能となる。また、閲覧した人や日時をデータサーバ6に記録させることで、関係者によるデータチェックを確実にする態様も可能であり、データチェックをしていない関係者に対してデータ管理部7より通知を送り、該当データのチェックを促すといった対応も可能となる。
【0035】
データサーバ6は、依頼人2が遺言の内容を画像や音声で記録し、遺言情報として依頼人2の死後に遺族8や事務管理者3へ公開する態様も考え得る。遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言、秘密証書遺言等の種類があるが、遺言情報として記録する形式は特に限定はしない。例えば、依頼人2と遺言執行契約及び死後事務委任契約を締結し、夫々の契約書と遺言を公正証書にて作成した場合、該公正証書を画像データとしてデータサーバ6に記憶させると共に、死後事務を行う事務管理者3の紹介や、本契約に至った経緯、契約の詳しい内容等を動画や音声データにて記録させるといった態様が好ましい。その後、依頼人2の死後にデータ管理部7が遺族8の閲覧レベルを高めることで、遺言情報として公正証書にて作成された遺言の画像データを遺族8が閲覧することが可能となり、遺族8と事務管理者3間における不要な諍いを回避することに資することとなる。
また、遺族8へ向けた依頼人2の動画や音声データを事前にデータサーバ6へ記録し、依頼人2の死後に遺言情報と共に開示する態様を採ることで、遺言情報の信憑性を高め、遺族8からの協力を得ることが簡便になるといった優れた効果を奏する。
【0036】
また、データサーバ6には、関係者のログイン履歴と共に、該関係者が閲覧したページの詳細や日時といった閲覧情報も自動的に記録・集積される機能が備えられる態様が望ましい。かかる態様を採ることにより、関係者が必要な情報の傾向が把握できるといった効果と共に、常時サイトS上での行動が記録されていることで、データの改ざん等の犯罪行為を未然に防ぐことが可能となる。さらに、死後事務にかかる費用についての監査結果等の重要資料を閲覧していない関係者へ、閲覧を促す通知を自動的に送信するといった態様も好適である。
【0037】
インターネットサイトSは、アクセス者によりネットワーク回線を介してデータサーバ6に記録してある各種データの閲覧や書き込みが可能な情報画面である。
インターネットサイトSは依頼人2等のアクセス者がネットワークを介してデータサーバ6にアクセスした際に表示される情報画面であり、各アクセス者のアクセス権限に基づき、各種データ等の必要な情報を閲覧したり、情報の書込を行ったりすることが可能となっている。サイトSへの入室には毎回ログイン認証が必要であり、ログイン後のサイトS閲覧や情報の書込に関する履歴は、常にデータサーバ6上に記録され、そのデータはデータ管理部7により管理されることとなる。
また、新規の依頼人2又は事務管理者3等によりサイトSへの接続希望申請及び希望IDの登録が行われた場合、データサーバ6にて既存IDとの重複確認が行われた後、データ管理部7にて希望IDに連動したパスワードが発行され、ID及びパスワードは一体のデータとしてデータサーバ6に記録・管理されることとなる。
【0038】
データ管理部7は、データサーバ6に記録された各種データに関する設定及び管理と、死後事務にかかる業務管理を行うものである。
データ管理部7は、依頼人及び関係者がサイトSへのログインするために必要なID・パスワード及び夫々が入力しデータサーバ6に記録された各種データの管理と、該各種データへのデータ書込レベル並びに入力されたデータの閲覧可能レベルの設定及び管理と、死後事務における官公庁や関係各所への書類や手続き等の期限管理と、死後事務にて使用された経費データ集約、及び、監査人4が承認した信託機関5への請求管理等の業務管理を行うこととなる。
【0039】
データ管理部7は、データサーバ6に記録された各種データへの入力・変更・更新処理が行われた時、処理が行われた項目の関係者へ自動もしくは手動で通知を送信する態様が好ましい。例えば、依頼人2の親族8によって依頼人2の住所が変更された場合、まず、依頼人2へ住所変更の確認通知が送信される。そして、依頼人2がサイトSへログインし、サイトSに表示された住所変更確認画面にて依頼人住所の変更を承認すると、事務管理者3や親族8、信託機関5へ依頼人2の住所変更が行われた旨の通知がサイトSを介して自動的に送信される態様が考え得る。なお、住所変更確認画面にて依頼人2が住所変更を拒否した場合には、変更データを廃棄すると共に、元の住所情報が自動的に復元される態様が好適である。
【0040】
データ管理部7によって設定される各種データへの書込レベルは、データサーバ6へアクセス可能な関係者毎、もしくは各種データの項目毎に設定され、夫々管理されることとなる。例えば、依頼人2であれば、依頼人2自身の依頼人情報や、死後事務に関する情報、遺言情報等といった広い範囲での書込を可能とする高いレベルとし、逆に、依頼人2の親族8であれば、依頼人情報内の依頼人情報のみ書込が可能な低いレベルとする態様が好適である。また、死後事務における費用申請データ内の監査結果項目は、監査人4のみデータを書込可能とする、といったように、書込可能な関係者を限定させるべき項目は、データ管理部7が個別に設定を行う態様が好ましい。
【0041】
データ管理部7によって設定される各種データへのデータ閲覧レベルは、データサーバ6へアクセス可能な関係者毎、もしくは各種データの項目毎に設定され、夫々管理されることとなる。例えば、事務管理者3であるならば、基本的に必要な全ての項目の閲覧を可能することで、死後事務業務をスムーズに行うことが可能となる。逆に、信託機関5であれば、信託金の入出金処理に必要な、事務管理者3による死後事務に必要な経費申請データ及び監査人4による承認データを閲覧することで業務が遂行できるため、閲覧可能範囲は限定的となる。また、依頼人2の親族8のように、死後事務の開始後に閲覧レベルを上げて、遺言情報や事務管理者情報も含めた項目を閲覧可能とする態様を採ることで、死後事務が滞りなく行われているか、資金面で不透明な所がないか等のチェックが可能となる。
【0042】
上記書込レベル及び閲覧レベルを基に、各関係者がサイトSへログインした際の表示ページに差異を設ける態様、例えば、依頼人ページや、親族ページ、事務管理者ページ等、関係者ごとに分ける態様が好適である。かかる態様により、関係者毎に異なる書込及び閲覧可能な項目のみを、ログインした関係者のページとして表示させることが可能となる。
【0043】
データ管理部7は、死後事務における官公庁や関係各所への書類や手続き等の期限管理を行うことで、事務管理者3が期限内に滞りなく事務処理を行えるようサポートする態様が好ましい。なお、期限管理の方法は特に限定はないが、例えば、手続き期限の三日前に事務管理者3へメールを送信して進捗状況についての回答を求め、その回答がなかった場合は、事務管理者3へ直接電話するといった態様が考え得る。
【0044】
データ管理部7は、事務管理者3から申請された死後事務にかかる経費申請データや、該経費申請データに添付される監査人4による監査結果データ、信託機関5から取引銀行への出入金データ等(以下、「経費データ」という場合がある。)を集約しつつ、関係者等からの閲覧が可能な様式に変換する機能を有することとなる。また、監査人4によって行われる監査に必要な資料も、データサーバ6内に記録された経費データを使用し、自動生成される態様が好適である。
【0045】
データ管理部7は、監査人4による承認を得た経費申請データをもとに、信託機関5の担当者へ経費の請求を行うこととなる。
信託機関5への請求は、事務管理者3からの費用申請データが監査人4による承認を得た後に、データ管理部7によって信託機関5の担当者へ費用申請データと監査結果データが同時に送信される態様が望ましい。かかる態様により、信託機関5の担当者は、監査人4による監査結果が正であることをデータ上で確認した後、費用申請データにて請求された請求金額を基に、銀行へ振込処理を行うことが可能となる。この振込金に関しては、依頼人2と信託機関5が締結した信託契約によって決定され、例えば、毎月定額の料金を指定口座へ送金しつつ、死後事務の遂行にあたって追加の資金が必要な場合は、事務管理者3がその都度費用申請データを送信し、監査人4による監査を経て必要費用が所定口座に振り込まれる信託契約等が考え得る。また、データ管理部7による請求が行われた際、費用申請日、監査日、信託機関5への請求日、入金予定日が夫々自動的にデータサーバ6へ記録される態様が好適である。
【0046】
事務管理者3は、死後事務を行うにあたって、事務処理が終了した後は遅滞なく遺族8に対し、死後事務にて行った措置、費用の支出及び使用状況、報酬の収受について報告する義務が発生する。しかし、遺族8の閲覧レベルを死後事務の進捗状況や監査資料等を閲覧可能なレベルとすることで、報告の代わりとすることが可能となる。また、死後事務の進捗状況が事務管理者3によって変更された時や、費用申請データの提出時、死後事務完了時等に自動的に遺族8へ通知が送られる態様を採ることで、常に遺族8が死後事務における最新の状況を把握可能となるといった効果を奏する。
【0047】
依頼人2の死後、遺骨の入った骨壷にGPS(Global Positioning System)装置を装着することにより、GPS装置から発信される位置情報によって遺骨の所在地確認が可能となり、例えば、遠方の親族8がお参りに来た際に、依頼人2の骨壷が埋蔵されている寺社を容易に確定しやすくなるといった優れた効果を奏する。
【0048】
以上の構成要素からなる死後事務管理システム1について、システムの動作態様に関する実施例を説明する。
はじめに、
図2を用いて死後事務業務の準備動作を説明する。
依頼人2が、死後事務管理システム1のサイトS上にて希望ログインIDの入力とシステム利用申請を行う。データサーバ6によるID重複の確認後、新規システム利用者の通知を受信したデータ管理部7は、申請されたログインIDと連動させたパスワードを生成し、ログインID及びパスワードをデータサーバ6へ記録させると共に、依頼人2へログインIDとパスワードを送信する。
依頼人2は、発行されたログインID及びパスワードを使用してサイトSへ接続できるようになり、初期設定として依頼人情報及び死後事務情報を登録する。
【0049】
依頼人2による初期設定の後、データサーバ6上に登録された各種情報を基に事務管理者リストが作成され、該事務管理者リストから依頼人2は事務管理者3を選択することが出来る。データ管理部は、選択された事務管理者3へ事務管理者仮決定通知を依頼人情報と共に送信し、事務管理者3からの受諾を受け次第依頼人情報に事務管理者3として登録させることとなる。
事務管理者3は、依頼人2に対して死後事務にかかる説明を行い、依頼人2の希望した死後事務を行うことが可能な死後事務委任契約を締結すると同時に、サイトSにて、死後事務委任契約において締結された契約内容の入力と契約書の画像データの記録を依頼人2及び事務管理者3が夫々行う。その後、依頼人2は、死後事務委任契約の内容に沿って、信託機関5との間で信託に伴う手続き(信託口座の開設や信託金の入金等)を行い、システム開始に備えることとなる。
また、信託機関5は信託金の入金日、入金額を夫々サイトSにて記録した後、システム開始まで信託金を管理することとなり、依頼人2からの追加入金や信託管理費等の入出金が発生したタイミングでサイトSの情報を更新することとなる。
【0050】
次に、
図3を用いて、死後事務業務の開始動作について説明する。
まず、依頼人2の死亡を確認した親族8である遺族8(以下、単に遺族8という場合がある。)は、サイトSの親族ページに接続し、死後事務管理システム開始依頼の項目を選択する。なお、システム開始の申請を確定させる前に必ず遺族8本人である確認画面と連絡先、依頼人2の死亡日時についての入力が必要となる。
【0051】
遺族8のサイトSから死後事務管理システム1の開始を選択されたデータサーバ6は、データ管理部7へシステム開始依頼があった旨を自動的に通知する。データ管理部7は、サイトS上に遺族8が入力した内容を遅滞なく確認し、不審な点が見当たらなければ死後事務管理システム1の開始を確定させることとなる。
また、データ管理部7によるシステム開始の確定と同時に、事務管理者3及び信託機関5に対し、データサーバ6からサイトSを介してシステム開始についての通知が自動的に送られることとなる。この際、依頼者の死亡日時と、死後事務委任契約の内容を基に、死後事務の内容毎に期限を設定した死後事務期限リストが自動生成され、システム開始の通知と併せて事務管理者3へ送信される。
そして、データ管理部7は、システム開始後に遺族8のサイトS上における閲覧レベルを高くし、死後事務にかかる経費や監査結果を閲覧可能にする処理を行う。
【0052】
事務管理者3は、データサーバ6から送られたシステム開始についての通知をサイトSにて確認後、遺族8と連絡を取り、今後の死後事務についてのタイムスケジュールや、遺族8に用意してもらうもの、依頼人2と締結した死後事務委任契約の対象外である死後事務について等を説明することとなる。また、遺言書やエンディングノート等の、依頼人2から遺族8へ当てた書き置き、もしくはそのデータが有る場合は、遺言執行者が遺族8らに開示すると共に、死後事務委任契約時に遺言書執行契約も併せて締結されていた場合は、契約内容に基づき、事務管理者3が遺言執行者となり遺言に従った遺産分配が行われることとなる。
【0053】
事務管理者3は、死後事務委任契約に基づき死後事務を行うが、死後事務の進捗状況や、終了報告等は全てサイトS上にて行われ、事務管理者3が該当死後事務の進捗状況を入力することでデータサーバ6へ記録されることとなる。この進捗情報はデータ管理部7に把握されており、死後事務業務が予定よりも滞っていた場合は、データ管理部7から事務管理者3宛てに自動もしくは手動による通知や事務管理者3連絡先への直接連絡がされることとなり、死後事務が迅速に行われるよう警告が行われる。
【0054】
続いて、
図4を用いて、死後事務業務の経費申請動作について説明する。
死後事務にかかる必要経費は、事務管理者3が事前に費用申請データとして作成することでデータベースに記録されると共に、データ管理部7への通知及び監査人4へのデータ送信が行われる。費用申請データを受信した監査人4による監査によって申請金額や用途等に問題が無いと判断された場合、データ管理部から信託機関5へ費用申請データと監査結果が送信され、信託機関5による申請金額の確認後に指定口座へと費用が振り込まれることとなる。また、監査人4の監査にて問題点が指摘された場合は、監査結果申請却下として事務管理者3に通知され、事務管理者3は監査人4から指摘された不備を訂正し、費用申請データを再提出することとなる。
【0055】
信託機関5は、データサーバ6からのシステム開始通知を受信し、サイトS上にてシステムの稼働状況を確認後、信託に備えて準備をすることとなる。この通知内容には、依頼人2の名前や信託契約締結日、信託金の振込先である指定口座の情報等が含まれる。
システム稼働により、事務管理者3から死後事務にかかる費用申請データがデータ管理部7に提出された後、監査人4へデータが送信され費用申請データの監査が行われる。監査人4により、費用申請データに不備がないと判断された費用申請データは、監査人4による支払承認が添付されデータ管理部7へ送信され、その後、データ管理部7から信託機関5へ費用申請データと支払承認が送信される。信託機関5は、諸データを基に振込金を決定し、指定口座へ振り込むこととなる。この振込金に関しては、依頼人2と信託機関5が締結した内容により決定されており、費用申請データ内の金額に不明点がある場合は、監査人4やデータ管理部7に問い合わせ、再度精査を行うこととなる。
【0056】
図示されてはないが、監査人4等が閲覧したデータは、閲覧者IDと閲覧日、閲覧者毎の閲覧回数を閲覧データとしてデータサーバ6内に記憶され、データ管理部7により管理される。データ管理部7は、経費申請データや監査結果データ等、関係者が閲覧すべきデータに関して閲覧がされていない該当関係者に対し、閲覧について通知を送信し閲覧を促すこととなる。
【0057】
最後に、
図5を用いて、死後事務業務の業務終了動作について説明する。
死後事務を終えた事務管理者3は、サイトS上で死後事務完了報告を行う。死後事務完了報告は、データサーバ6にて報告内容と報告日時が自動的に記録されると共に、データ管理部7へ死後事務完了報告として送信される。報告を受信したデータ管理部7は、依頼人2との間に締結された死後事務委任契約で委任されていた死後事務が全て完了していることをサイトS上で確認した後、監査人4へ死後事務完了報告及び最終監査依頼を送信する。監査人4は、死後事務完了状況の再確認及び死後事務全般においてかかった経費について最終監査を行い、監査結果を最終監査報告としてデータ管理部7へ送信する。最終監査報告を受信したデータ管理部7は監査結果を確認し、異常がなければ遺族8等や事務管理者3、信託機関5へ死後事務完了通知を送信することとなる。そして、通知を受信した信託機関5は、信託契約終了通知を遺族8等へ送付し、信託金の残余分がある場合は遺族8等から指定された口座へ送金することとなる。また、最終監査にて使途不明金等の異常が指摘されていた場合、データ管理部7は事務管理者3へ問い合わせ、早急に指摘事項の改善を行うよう指示することとなる。
【0058】
事務管理者3による死後事務完了により本システムは終了となるが、後に遺族8等から死後事務の内容や監査資料を求められることが考え得る。そのため、本システムが終了した場合であっても、所定期間(一年乃至数年程度)はデータを保存しておき、遺族8等に対して、所定期間経過後データとして保存してある種々の情報は全て削除される旨を通知する態様が好ましい。そして、死後事務完了日から所定期間経過後、データサーバ6上に記録されていた依頼人2情報や、アクセス権限を付与された種々のデータ、監査記録等は、データ管理部7により自動的、もしくは手動で削除されることとなる。
【0059】
依頼人2及び事務管理者3は、死後事務委任契約の他に、任意後見契約を同時に締結することで、依頼人2の意思能力が欠如してしまった際にも事務管理者3が後見人となって財産管理を行うことが可能となる。また、死後事務委任契約及び任意後見契約は公正証書を用いて契約する態様となるが、契約と併せて公正証書遺言を作成し、事務管理者3を遺言執行者に任命しておくことで、遺言の内容や死後事務に関して依頼人2の希望に沿うよう事前に準備しておくことも可能となる。作成された公正証書の内容は、依頼人情報及び事務管理者情報の画像データ及び文書データとしてデータサーバ6へ登録されることで、依頼人2の死後に遺言執行者である事務管理者3によって遺族8に公開される。さらに、データ管理部7によって遺族8の閲覧レベルが調整されることで、データベース内のデータとして記録された公正証書を、サイトSを介して見られようになる。
さらに、見守り契約や財産管理委任契約等も同時に締結する態様を採ることで、依頼人2の生活状況や健康状態の変化、判断能力の状況を事務管理者3が把握可能となり、予防的サポートが可能な契約とすることも可能である。
【0060】
以上の通り、本発明にかかる死後事務管理システム1によれば、依頼人2と事務管理者3間で死後事務委任契約が締結され、その後、依頼人2の死後にシステムが稼働し事務管理者3が死後事務を行う場合においても、事務管理者3が必要経費としてサイトSにて申請した死後事務費用申請データが、監査人4によって監査され支払承認を得た上で信託機関5による振込処理が行われ、更に、死後事務完了時においても、死後事務全体の完了状況及び死後事務全般にかかった経費の監査が監査人4により行われるため、資金面(信託金等)における透明感を向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明にかかる死後事務管理システムは、死後事務に使用される費用に対する透明性の向上、及び、死後事務に携わる者への負担減少について有用なシステムを提供し得るものである。したがって、本発明にかかる「死後事務管理システム」の産業上の利用可能性は大きいものと思料する。
【符号の説明】
【0062】
1 死後事務管理システム
2 依頼人
3 事務管理者
4 監査人
5 信託機関
6 データサーバ
7 データ管理部
8 親族(遺族)
S インターネットサイト
【手続補正書】
【提出日】2024-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
依頼人の死後、予め指定された事務管理者が、依頼人の死後事務を代行する死後事務管理システムであって、
外部端末と交信可能であって各種データを記録するデータサーバと、該データサーバへのアクセス及び記録情報を管理するデータ管理部と、で構成され、
データサーバは、依頼人情報と、死後事務に関する情報と、死後事務を行う事務管理者情報と、信託に関する情報と、死後事務の遂行状態と信託機関への請求内容をチェックする監査人情報と、閲覧者及び閲覧日時に関する閲覧情報と、を集積できる機能が備えられて成り、
データ管理部は、各種データのデータ入力可能レベル並びに入力されたデータの閲覧可能レベルの設定及び管理と、死後事務の期限管理と、事務経費のデータ集約及び信託機関への請求管理と、を行う機能が備えられると共に、データサーバへの入力・変更・更新処理が行われたときに、関係者へ通知する機能が備えられて成り、
事務管理者が死後事務にかかる費用をデータサーバ上にて申告し、監査人が申告データを精査及び支払承認を行うことで費用振込処理が実行されることを特徴とする死後事務管理システム。
【請求項2】
前記データサーバは、遺言情報を集積できることを特徴とする請求項1に記載の死後事務管理システム。