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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012856
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】窒化物半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/337 20060101AFI20240124BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20240124BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
H01L29/80 C
H01L29/80 H
H01L29/80 F
H01L29/44 Y
H01L29/50 J
H01L21/28 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114621
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】畑 洋輔
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104FF10
4M104GG11
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD04
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GK08
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GS08
(57)【要約】
【課題】ゲート層の端部の電界集中を緩和する。
【解決手段】窒化物半導体装置10は、電子走行層と、電子走行層上に形成された電子供給層18と、電子供給層18上の一部に形成されたゲート層22と、ゲート層22上に形成されたゲート電極と、電子供給層18に接しているソース電極およびドレイン電極と、を備える。ゲート層22は、電子供給層18上において、ソース電極とドレイン電極との間に位置している。ゲート層22は、リッジ部22Cと、リッジ部22Cよりも薄い延在部(ソース側延在部40、ドレイン側延在部50)と、を備える。延在部(ソース側延在部40、ドレイン側延在部50)には、当該延在部(ソース側延在部40、ドレイン側延在部50)の先端40A,50Aからリッジ部22Cに向けて凹んだ凹部(ソース側凹部41、ドレイン側凹部51)が形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体によって構成された電子走行層と、
前記電子走行層上に形成され、前記電子走行層よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層と、
前記電子供給層上の一部に形成され、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されたゲート層と、
前記ゲート層上に形成されたゲート電極と、
前記電子供給層に接しているソース電極およびドレイン電極と、を備え、
前記ゲート層は、前記電子供給層上において、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置しており、
前記ゲート層は、
前記ゲート電極が形成される上面及び前記電子供給層に接する下面を含むリッジ部と、
前記電子供給層に接する下面を含み、前記リッジ部よりも薄い延在部と、を備え、
前記延在部は、前記電子供給層上において、前記リッジ部の端部から前記ドレイン電極または前記ソース電極に向かって延びており、
前記延在部には、当該延在部の先端から前記リッジ部に向けて凹んだ凹部が形成されている、窒化物半導体装置。
【請求項2】
前記凹部は、前記延在部の先端から前記リッジ部の前記端部まで到達している、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項3】
前記凹部は、前記延在部の先端から当該延在部の途中位置まで凹んでおり、
前記延在部は、前記リッジ部の端部から前記凹部の底面まで延びる部分を含む、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項4】
平面視で前記延在部の延設方向と直交する方向を幅方向としたとき、
前記凹部は、前記延在部の先端から前記リッジ部に向かって徐々にまたは段階的に幅が小さくなる形状である、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項5】
前記延在部は、前記電子供給層上において、前記リッジ部の端部から前記ドレイン電極に向かって延びるドレイン側延在部を含み、
前記ドレイン側延在部には、前記凹部としてのドレイン側凹部が形成されている、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項6】
前記ドレイン側凹部は、平面視で前記ドレイン側延在部の延設方向と直交する幅方向に離隔して複数配列されている、請求項5に記載の窒化物半導体装置。
【請求項7】
平面視において、前記ドレイン側延在部の総面積は、前記ドレイン側凹部の総面積よりも小さい、請求項5に記載の窒化物半導体装置。
【請求項8】
前記延在部は、前記電子供給層上において、前記リッジ部の端部から前記ソース電極に向かって延びるソース側延在部を含み、
前記ソース側延在部には、前記凹部としてのソース側凹部が形成されている、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項9】
前記ソース側凹部は、平面視で前記ソース側延在部の延設方向と直交する幅方向に離隔して複数配列されている、請求項8に記載の窒化物半導体装置。
【請求項10】
平面視において、前記ソース側延在部の総面積は、前記ソース側凹部の総面積よりも小さい、請求項8に記載の窒化物半導体装置。
【請求項11】
前記延在部は、15nm以上の厚さを有する、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項12】
前記延在部は、50nm以下の厚さを有する、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項13】
前記延在部は、前記電子供給層の半分以下の厚さを有する、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項14】
前記ゲート層は、平面視で第1方向に延びる第1部分と、前記第1方向に交差する方向に延びる第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とが接続されているコーナー部分とを備え、
前記第1部分は、前記リッジ部および前記延在部を備え、
前記第2部分は、
前記リッジ部に接続されている中間リッジ部と、
前記コーナー部分における前記リッジ部と前記中間リッジ部との接続部分に設けられ、前記中間リッジ部よりも薄い中間延在部と、を備える、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項15】
前記電子走行層は、GaN層であり、
前記電子供給層は、AlGaN層であり、
前記ゲート層は、前記アクセプタ型不純物を含むGaN層である、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窒化物半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、窒化ガリウム(GaN)等のIII族窒化物半導体(以下、単に「窒化物半導体」と言う場合がある)を用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT)の製品化が進んでいる。HEMTは、半導体ヘテロ接合の界面付近に形成された二次元電子ガス(2DEG)を導電経路(チャネル)として使用する。HEMTを利用したパワーデバイスは、典型的なシリコン(Si)パワーデバイスと比較して低オン抵抗および高速・高周波動作を可能にしたデバイスとして認知されている。
【0003】
たとえば、特許文献1に記載の窒化物半導体装置は、窒化ガリウム(GaN)層によって構成された電子走行層と、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層によって構成された電子供給層とを含む。これら電子走行層と電子供給層とのヘテロ接合の界面付近において電子走行層中に2DEGが形成される。また、特許文献1の窒化物半導体装置では、アクセプタ型不純物を含むゲート層(たとえばp型GaN層)が、電子走行層上であってゲート電極の直下の位置に設けられている。この構成では、ゲート層から下方に広がる空乏層によりゲート層の直下のチャネルが消失することによって、ノーマリーオフが実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-73506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
窒化物半導体装置では、たとえば、ゲート電極への正電圧の印加時に、ゲート層の端部に電界が局所的に集中する。このような局所的な電界集中は、ゲート耐圧を低下させる要因となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様である窒化物半導体装置は、窒化物半導体によって構成された電子走行層と、前記電子走行層上に形成され、前記電子走行層よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層と、前記電子供給層上の一部に形成され、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されたゲート層と、前記ゲート層上に形成されたゲート電極と、前記電子供給層に接しているソース電極およびドレイン電極と、を備え、前記ゲート層は、前記電子供給層上において、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置しており、前記ゲート層は、前記ゲート電極が形成される上面及び前記電子供給層に接する下面を含むリッジ部と、前記電子供給層に接する下面を含み、前記リッジ部よりも薄い延在部と、を備え、前記延在部は、前記電子供給層上において、前記リッジ部の端部から前記ドレイン電極または前記ソース電極に向かって延びており、前記延在部には、当該延在部の先端から前記リッジ部に向けて凹んだ凹部が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様である窒化物半導体装置によれば、ゲート層の端部の電界集中を緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略平面図である。
図2図2は、図1の2-2線断面図である。
図3図3は、図1の3-3線断面図である。
図4図4は、図1のA1部分の拡大図である。
図5図5は、図1のA2部分の拡大図である。
図6図6は、第2実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の一部を拡大して示す概略平面図である。
図7図7は、延在部の変更例を示すための例示的な窒化物半導体装置の一部を拡大して示す概略平面図である。
図8図8は、延在部の変更例を示すための例示的な窒化物半導体装置の一部を拡大して示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示における窒化物半導体装置の実施形態を説明する。
なお、説明を簡単かつ明確にするために、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするために、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0010】
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図していない。
【0011】
<第1実施形態>
[窒化物半導体装置の概略構造]
図1は、第1実施形態に係る窒化物半導体装置10の概略平面構造を示している。図2は、図1の2-2線断面図である。図3は、図1の3-3線断面図である。図4は、図1のA1部分を拡大して示している。図5は、図1のA2部分を拡大して示している。なお、図1では、ゲート電極24、ソース電極28、およびフィールドプレート電極31の図示は省略されている。また、図1では、パッシベーション膜26は、下方の層が視認できるように透明であるものとして示されている。パッシベーション膜26については、ソース開口部26Aおよびドレイン開口部26Bが破線で描かれている。
【0012】
なお、本開示において使用される「平面視」という用語は、図1に示される互いに直交するXYZ軸のZ方向に窒化物半導体装置10を視ることをいう。また、図1に示される窒化物半導体装置10において、便宜上、+Z方向を上、-Z方向を下、+X方向を右、-X方向を左と定義する。明示的に別段の記載がない限り、「平面視」とは、窒化物半導体装置10をZ軸に沿って上方から視ることを指す。
【0013】
図2図3に示されるように、窒化物半導体装置10は、窒化物半導体を用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT)である。窒化物半導体装置10は、半導体基板12と、半導体基板12上に形成されたバッファ層14と、バッファ層14上に形成された電子走行層16と、電子走行層16上に形成された電子供給層18と、を含む。
【0014】
半導体基板12としては、たとえばシリコン(Si)基板を用いることができる。あるいは、Si基板に代えて、シリコンカーバイド(SiC)基板、窒化ガリウム(GaN)基板、またはサファイア基板を用いることもできる。半導体基板12の厚さは、たとえば200μm以上1500μm以下とすることができる。なお、以下の説明において、明示的に別段の記載がない限り、厚さとは、図1図3のZ方向に沿った寸法を指す。
【0015】
バッファ層14は、半導体基板12と電子走行層16との間の熱膨張係数の不整合によるウェハ反りやクラックの発生を抑制することができる任意の材料によって構成され得る。また、バッファ層14は、1つまたは複数の窒化物半導体層を含むことができる。バッファ層14は、たとえば、窒化物アルミニウム(AlN)層、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層、および異なるアルミニウム(Al)組成を有するグレーテッドAlGaN層のうち少なくとも1つを含んでもよい。たとえば、バッファ層14は、AlNの単膜、AlGaNの単膜、AlGaN/GaN超格子構造を有する膜、AlN/AlGaN超格子構造を有する膜、またはAlN/GaN超格子構造を有する膜などによって構成されていてもよい。
【0016】
一例において、バッファ層14は、半導体基板12上に形成されたAlN層である第1バッファ層と、AlN層(第1バッファ層)上に形成されたAlGaN層である第2バッファ層を含むことができる。第1バッファ層はたとえば200nmの厚さを有するAlN層であってよく、第2バッファ層はたとえば300nmの厚さを有するグレーテッドAlGaN層であってよい。なお、バッファ層14におけるリーク電流を抑制するために、バッファ層14の一部に不純物を導入することによってバッファ層14の表層領域以外を半絶縁性にしてもよい。この場合、不純物は、たとえば炭素(C)または鉄(Fe)である。不純物濃度は、たとえば4×1016cm-3以上とすることができる。
【0017】
電子走行層16は、窒化物半導体によって構成されている。電子走行層16は、たとえばGaN層であってよい。電子走行層16の厚さは、たとえば0.5μm以上2μm以下とすることができる。なお、電子走行層16におけるリーク電流を抑制するために、電子走行層16の一部に不純物を導入することによって電子走行層16の表層領域以外を半絶縁性にしてもよい。この場合、不純物は、たとえばCである。不純物の濃度は、たとえば4×1016cm-3以上とすることができる。すなわち、電子走行層16は、不純物濃度の異なる複数のGaN層、一例ではCドープGaN層およびノンドープGaN層を含むことができる。この場合、CドープGaN層は、バッファ層14上に形成されている。CドープGaN層は、0.5μm以上2μm以下の厚さを有することができる。CドープGaN層中のC濃度は、5×1017cm-3以上9×1019cm-3以下とすることができる。ノンドープGaN層は、CドープGaN層上に形成されている。ノンドープGaN層は、0.05μm以上0.4μm以下の厚さを有することができる。ノンドープGaN層は、電子供給層18と接している。一例では、電子走行層16は、厚さ0.4μmのCドープGaN層と、厚さ0.4μmのノンドープGaN層とを含む。CドープGaN層中のC濃度は約2×1019cm-3である。
【0018】
電子供給層18は、電子走行層16よりも大きなバンドギャップを有する。電子供給層18は、たとえばAlGaN層であってよい。窒化物半導体では、Al組成が高いほどバンドギャップが大きくなる。このため、AlGaN層である電子供給層18は、GaN層である電子走行層16よりも大きなバンドギャップを有する。一例では、電子供給層18は、AlGa1-xNによって構成されている。つまり、電子供給層18は、AlGa1-xN層であるといえる。xは0<x<0.4であり、より好ましくは0.1<x<0.3である。電子供給層18は、たとえば5nm以上20nm以下の厚さを有することができる。
【0019】
電子走行層16と電子供給層18とは、バルク領域において異なる格子定数を有する。したがって、電子走行層16と電子供給層18とは格子不整合系の接合である。電子走行層16および電子供給層18の自発分極と、電子走行層16のヘテロ接合部が受ける圧縮応力に起因するピエゾ分極とによって、電子走行層16と電子供給層18との間のヘテロ接合界面付近における電子走行層16の伝導帯のエネルギーレベルはフェルミ準位よりも低くなる。これにより、電子走行層16と電子供給層18とのヘテロ接合界面に近い位置(たとえば、界面から数nm程度の距離)において電子走行層16内には二次元電子ガス(2DEG)20が広がっている。
【0020】
窒化物半導体装置10は、電子供給層18上に形成されたゲート層22と、ゲート層22上に形成されたゲート電極24と、電子供給層18、ゲート層22、およびゲート電極24を覆うパッシベーション膜26と、をさらに含む。パッシベーション膜26は、平面視でゲート層22に対してX方向の両側に設けられたソース開口部26Aおよびドレイン開口部26Bを有する。X方向は、ソース開口部26Aおよびドレイン開口部26Bの離隔方向ともいえる。
【0021】
ゲート層22は、電子供給層18よりも小さなバンドギャップを有するとともに、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されている。ゲート層22は、たとえばAlGaN層である電子供給層18よりも小さなバンドギャップを有する任意の材料によって構成され得る。一例では、ゲート層22は、アクセプタ型不純物がドーピングされたGaN層(p型GaN層)である。アクセプタ型不純物は、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、およびCのうち少なくとも1つを含むことができる。ゲート層22中のアクセプタ型不純物の最大濃度は、たとえば1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下である。
【0022】
上記のように、ゲート層22にアクセプタ型不純物が含まれることによって、電子走行層16および電子供給層18のエネルギーレベルが引き上げられる。このため、ゲート層22の直下の領域において、電子走行層16と電子供給層18との間のヘテロ接合界面付近における電子走行層16の伝導帯のエネルギーレベルは、フェルミ準位とほぼ同じか、またはそれよりも大きくなる。したがって、ゲート電極24に電圧を印加していないゼロバイアス時において、ゲート層22の直下の領域における電子走行層16には、2DEG20が形成されない。一方、ゲート層22の直下の領域以外の領域における電子走行層16には、2DEG20が形成されている。
【0023】
このように、アクセプタ型不純物がドーピングされたゲート層22の存在によってゲート層22の直下の領域で2DEG20が空乏化される。その結果、窒化物半導体装置10のノーマリーオフ動作が実現される。ゲート電極24に適切なオン電圧が印加されると、ゲート電極24の直下の領域における電子走行層16に2DEG20によるチャネルが形成されるため、ソース-ドレイン間が導通する。なお、ゲート層22の詳細については後述する。
【0024】
ゲート電極24は、1つまたは複数の金属層によって構成されている。ゲート電極24は、一例では窒化チタン(TiN)層である。あるいは、ゲート電極24は、Tiを含む材料によって形成された第1金属層と、第1金属層上に積層され、TiNを含む材料によって形成された第2金属層とによって構成されていてもよい。ゲート電極24は、ゲート層22とショットキー接合を形成することができる。ゲート電極24は、平面視でゲート層22よりも小さい領域に形成され得る。ゲート電極24は、たとえば、50nm以上200nm以下の厚さを有することができる。
【0025】
パッシベーション膜26は、たとえば窒化シリコン(SiN)、二酸化シリコン(SiO)、酸窒化シリコン(SiON)、アルミナ(Al)、AlN、および酸窒化アルミニウム(AlON)のうちいずれか1つを含む材料によって構成され得る。一例では、パッシベーション膜26は、SiNを含む材料によって形成されている。パッシベーション膜26のうちゲート層22およびゲート電極24を覆う部分は、ゲート層22およびゲート電極24の表面に沿って形成されているため、非平坦な表面を有する。パッシベーション膜26は、たとえば、200nm以下の厚さを有する。ここで、パッシベーション膜26の厚さは、たとえば、電子供給層18に接する部分の厚さであってよいし、ゲート電極24の上面に接する部分の厚さであってもよい。
【0026】
ソース開口部26Aおよびドレイン開口部26Bの各々は、ゲート層22から離隔されている。ゲート層22は、ソース開口部26Aとドレイン開口部26Bとの間に位置している。ゲート層22は、X方向においてドレイン開口部26Bよりもソース開口部26A寄りに配置されている。つまり、ゲート層22とドレイン開口部26BとのX方向の間の距離は、ゲート層22とソース開口部26AとのX方向の間の距離よりも長い。
【0027】
窒化物半導体装置10は、ソース開口部26Aを介して電子供給層18に接しているソース電極28と、ドレイン開口部26Bを介して電子供給層18に接しているドレイン電極30とをさらに含む。
【0028】
ソース電極28およびドレイン電極30は、1つまたは複数の金属層(たとえば、Ti、Al、AlCu、TiNなど)によって構成されている。ソース電極28およびドレイン電極30は、それぞれソース開口部26Aおよびドレイン開口部26Bを介して2DEG20とオーミック接触している。
【0029】
窒化物半導体装置10は、パッシベーション膜26上に形成されたフィールドプレート電極31をさらに含む。フィールドプレート電極31は、平面視でゲート層22とドレイン電極30との間の領域に少なくとも部分的に延在している。フィールドプレート電極31は、ドレイン電極30から離隔されている。したがって、フィールドプレート電極31は、たとえば、平面視でドレイン電極30(ドレイン開口部26B)とゲート層22との間に位置する端部31Aを含む。
【0030】
フィールドプレート電極31は、ソース電極28に電気的に接続されている。その一例として、図2図3の例においては、フィールドプレート電極31は、ソース電極28と連続している。この場合、フィールドプレート電極31は、ソース電極28と一体的に形成されている。一体的に形成された電極のうち、ソース電極28は、少なくともパッシベーション膜26のソース開口部26Aに埋設された部分を含んでいてよく、フィールドプレート電極31は、残りの部分を含んでいてよい。フィールドプレート電極31は、ゲート電極24にゲート電圧が印加されていないゼロバイアス時に、ゲート電極24の端部近傍の電界集中を緩和する役割を果たす。
【0031】
[ゲート層の詳細]
(ゲート層の平面視形状)
図1に示す一例では、パッシベーション膜26のソース開口部26Aは、Y方向において互いに離隔して複数設けられている。また図示していないが、ソース開口部26Aは、X方向において互いに離隔して複数設けられている。パッシベーション膜26のドレイン開口部26Bは、Y方向において互いに離隔して複数設けられている。また図示していないが、ドレイン開口部26Bは、X方向において互いに離隔して複数設けられている。ソース開口部26Aの各々およびドレイン開口部26Bの各々は、Y方向に沿って延びている。ゲート層22は、平面視においてY方向に配列された2つのソース開口部26Aを囲むようにリング状に形成されている。また図示していないが、リング状のゲート層22は、X方向およびY方向の各々に離隔して複数形成されている。
【0032】
リング状のゲート層22は、4つのメインゲート部22MGと、2つの端部連結部22ECと、1つの中間連結部22MCとを含む。4つのメインゲート部22MGは、Y方向に直線状に延びるとともに、Y方向に配列された2つのソース開口部26AのX方向の両側に1つずつ配置されている。4つのメインゲート部22MGにおいて、X方向に並ぶメインゲート部22MG同士は、X方向に離隔して配置されている。4つのメインゲート部22MGにおいて、Y方向に並ぶメインゲート部22MG同士は、Y方向に離隔して配置されるとともに、中間連結部22MCを介して連結されている。
【0033】
2つの端部連結部22ECは、X方向に直線状に延びる。2つの端部連結部22ECの一方は、4つのメインゲート部22MGのうち+Y方向側に位置する2つのメインゲート部22MGの+Y方向側の端部同士を連結するように配置されている。2つの端部連結部22ECの他方は、4つのメインゲート部22MGのうち-Y方向側に位置する2つのメインゲート部22MGの-Y方向側の端部同士を連結するように配置されている。
【0034】
中間連結部22MCは、X方向に直線状に延びるとともに、Y方向に配列された2つのソース開口部26Aの間に配置されている。中間連結部22MCは、4つのメインゲート部22MGのうち+X方向側に位置する2つのメインゲート部22MGの対向するY方向側の端部同士を連結する。また、中間連結部22MCは、4つのメインゲート部22MGのうち-X方向側に位置する2つのメインゲート部22MGの対向するY方向側の端部同士を連結する。
【0035】
したがって、Y方向に配列された2つのソース開口部26Aは、X方向およびY方向において離隔した4つのメインゲート部22MGと、それら4つのメインゲート部22MGを連結する2つの端部連結部22ECおよび1つの中間連結部22MCとによって囲まれている。
【0036】
ゲート層22は、X方向に延びるメインゲート部22MGと、Y方向に延びる中間連結部22MCとが接続されているコーナー部分Cを含む。本実施形態では、メインゲート部22MGは、平面視で第1方向に延びる第1部分に相当する。中間連結部22MCは、平面視で第1方向に交差する方向に延びる第2部分に相当する。
【0037】
図示していないが、ゲート電極24は、平面視においてゲート層22と同様に、Y方向に隣り合う2つのソース開口部26Aを囲むようにゲート層22上に形成されている。そして、上記のHEMTの構造がX方向およびY方向の各々に複数形成されている。
【0038】
(メインゲート部)
図2に示すように、ゲート層22のメインゲート部22MGは、電子供給層18に接している下面22Aと、下面22Aとは反対側の上面22Bとを含む。ゲート電極24は、メインゲート部22MGの上面22Bに形成されている。メインゲート部22MGは、図2におけるXZ平面において、矩形状、台形状、またはリッジ状の断面を有することができる。
【0039】
図1および図2に示すように、メインゲート部22MGは、上面22Bを含むリッジ部22Cと、リッジ部22Cよりも小さい厚さを有する延在部22Dとを含む。延在部22Dは、平面視でリッジ部22Cから外側(X方向)に延びている。メインゲート部22MGの上面22Bは、リッジ部22Cに形成された上面を指す。メインゲート部22MGの下面22Aは、リッジ部22Cの下面及び延在部22Dの下面によって構成されている。
【0040】
リッジ部22Cは、メインゲート部22MGの比較的厚い部分に相当する。リッジ部22Cの厚さT1は、ゲートしきい値電圧を含むパラメータを考慮して定めることができる。一例では、リッジ部22Cの厚さT1は、80nm以上150nm以下である。ここで、リッジ部22Cの厚さT1は、メインゲート部22MGの上面22Bと下面22AとのZ方向の間の距離によって定義できる。
【0041】
図1に示すように、リッジ部22Cは、平面視で、一定幅かつY方向に直線状に延びる形状に形成されている。リッジ部22Cの幅は、当該リッジ部22Cの延びる方向(Y方向)に直交する方向(X方向)の長さである。リッジ部22Cの幅は、任意に設定できる。また、リッジ部22Cの幅は、一定でなくてもよい。
【0042】
リッジ部22Cは、両開口部26A,26Bの離隔方向であるX方向の両端部であるソース側端部22C1及びドレイン側端部22C2を有する。ソース側端部22C1は、リッジ部22Cにおけるソース開口部26A側を向く端部である。ドレイン側端部22C2は、リッジ部22Cにおけるドレイン開口部26Bを向く端部である。
【0043】
延在部22Dは、リッジ部22Cのソース側端部22C1およびドレイン側端部22C2から互いに反対方向に延在するソース側延在部40およびドレイン側延在部50を含む。
【0044】
図2に示すように、ソース側延在部40は、平面視において、リッジ部22Cのソース側端部22C1からソース開口部26Aに向けてX方向に延びている。ソース側延在部40の延設方向の先端40Aは、ソース開口部26Aから離隔されている。ソース側延在部40の延設方向は、リッジ部22Cのソース側端部22C1からソース側延在部40が延びる方向である。より詳しくは、図1に示すように、ソース開口部26Aの+X方向側に位置するメインゲート部22MGのソース側延在部40の延設方向は、-X方向である。ソース開口部26Aの-X方向側に位置するメインゲート部22MGのソース側延在部40の延設方向は、+X方向である。
【0045】
図2に示すように、ドレイン側延在部50は、平面視において、リッジ部22Cのドレイン側端部22C2からドレイン開口部26Bに向けてX方向に延びている。ドレイン側延在部50の延設方向の先端50Aは、ドレイン開口部26Bから離隔されている。ドレイン側延在部50の延設方向は、リッジ部22Cのドレイン側端部22C2からドレイン側延在部50が延びる方向である。より詳しくは、図1に示すように、ソース開口部26Aの+X方向側に位置するメインゲート部22MGのドレイン側延在部50の延設方向は、+X方向である。ソース開口部26Aの-X方向側に位置するメインゲート部22MGのドレイン側延在部50の延設方向は、-X方向である。
【0046】
ソース側延在部40とドレイン側延在部50の存在によって、ゲート層22の下面22Aは、上面22Bよりも大きな面積を有する。
ソース側延在部40およびドレイン側延在部50は、所定の延設方向長さを有する。ソース側延在部40およびドレイン側延在部50の延設方向長さの詳細は後述する。図1に示す一例では、ドレイン側延在部50の延設方向の長さは、ソース側延在部40の延設方向の長さよりも長くなっている。つまり、ドレイン側延在部50は、平面視で、ソース側延在部40よりもリッジ部22Cの外側に向けて長く延びている。
【0047】
図2に示すように、ソース側延在部40およびドレイン側延在部50の各々は、リッジ部22Cの厚さT1よりも小さい厚さを有する。一例では、ソース側延在部40およびドレイン側延在部50の各々は、リッジ部22Cの厚T1さの1/2以下の厚さを有する。
【0048】
ソース側延在部40の厚さT2は、たとえば、50nm以下または30nm以下である。ソース側延在部40の厚さT2は、たとえば、5nm以上、15nm以上、または30nm以上である。また、ソース側延在部40は、電子供給層18の厚さの半部以下の厚さT2を有することができる。ソース側延在部40の厚さT2は、一定であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。ソース側延在部40の厚さT2が略一定の厚さである場合、ソース側延在部40は平坦状である。
【0049】
ドレイン側延在部50の厚さT3は、たとえば、50nm以下または30nm以下である。ドレイン側延在部50の厚さT3は、たとえば、5nm以上、15nm以上または30nm以上である。また、ドレイン側延在部50は、電子供給層18の厚さの半部以下の厚さT3を有することができる。ドレイン側延在部50の厚さT3は、一定であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。ドレイン側延在部50の厚さT3が略一定の厚さである場合、ドレイン側延在部50は平坦状である。
【0050】
ソース側延在部40の厚さT2とドレイン側延在部50の厚さT3は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。なお、ソース側延在部40の厚さT2とドレイン側延在部50の厚さT3との差が、たとえば、ソース側延在部40の厚さT2の10%以内であれば、厚さT2と厚さT3とが同じとみなすことができる。
【0051】
図4に示すように、ソース側延在部40には、当該ソース側延在部40の先端40Aからリッジ部22Cに向けて凹んだソース側凹部41が形成されている。本実施形態では、ソース側凹部41は、平面視においてソース側延在部40の延設方向とは直交する方向であるY方向に離隔して複数配列されている。ソース側凹部41の形成数は1であってもよい。
【0052】
本実施形態では、ソース側凹部41は、ソース側延在部40の先端40Aからリッジ部22Cのソース側端部22C1まで到達している。すなわち、本実施形態のソース側凹部41は、リッジ部22Cのソース側端部22C1を底面としてソース開口部26Aに向けて開口した凹部となっている。このため、ソース側延在部40は、ソース側凹部41を介してY方向に離隔して複数配列されている。すなわち、リッジ部22Cのソース側端部22C1には、ソース側延在部40と、ソース側凹部41(すなわちソース側延在部40が形成されていない部分)とが、Y方向に交互に配置されている。
【0053】
ドレイン側延在部50には、当該ドレイン側延在部50の先端50Aからリッジ部22Cに向けて凹んだドレイン側凹部51が形成されている。本実施形態では、ドレイン側凹部51は、平面視においてドレイン側延在部50の延設方向とは直交する方向であるY方向に離隔して複数配列されている。ドレイン側凹部51の形成数は1であってもよい。
【0054】
本実施形態では、ドレイン側凹部51は、ドレイン側延在部50の先端50Aからリッジ部22Cのドレイン側端部22C2まで到達している。すなわち、本実施形態のドレイン側凹部51は、リッジ部22Cのドレイン側端部22C2を底面としてドレイン開口部26Bに向けて開口した凹部となっている。このため、ドレイン側延在部50は、ドレイン側凹部51を介してY方向に離隔して複数配列されている。すなわち、リッジ部22Cのドレイン側端部22C2には、ドレイン側延在部50と、ドレイン側凹部51(すなわちドレイン側延在部50が形成されていない部分)とが、Y方向に交互に配置されている。
【0055】
ここで、図4に示すように、ソース側延在部40の先端40Aをつないだ仮想先端線VL1を想定する。また、ドレイン側延在部50の先端50Aをつないだ仮想先端線VL2を想定する。この場合、ソース側延在部40は、仮想先端線VL1からリッジ部22Cのソース側端部22C1に向けて凹んだ凹部ともいえる。また、ソース側延在部40には、ソース側凹部41によって当該ソース側延在部40が存在しない非延在領域が部分的に形成されているともいえる。同様に、ドレイン側延在部50は、仮想先端線VL2からリッジ部22Cのドレイン側端部22C2に向けて凹んだ凹部ともいえる。また、ドレイン側延在部50には、ドレイン側凹部51によって当該ドレイン側延在部50が存在しない非延在領域が部分的に形成されているともいえる。
【0056】
図4に示すように、ソース側延在部40の各々は、たとえば、0.2μm以上0.3μmの延設方向長さL1を有する。ソース側延在部40の延設方向長さL1は、リッジ部22Cのソース側端部22C1からソース側延在部40の先端40Aまでの距離である。ソース側延在部40の延設方向長さL1は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0057】
図1に示す一例では、ソース側延在部40の延設方向長さL1は全て一定である。また、ソース側延在部40の延設方向長さL1は、一定でなくてもよい。たとえば、個々のソース側延在部40において、部分的または全体的に延設方向長さL1が変化していてもよい。また、1つのメインゲート部22MGにおいて、当該メインゲート部22MGに設けられているソース側延在部40の延設方向長さL1は、ソース側延在部40ごとに異なっていてもよい。また、任意の2つのメインゲート部22MGにおいて、一方のメインゲート部22MGに設けられているソース側延在部40の延設方向長さL1と、他方のメインゲート部22MGに設けられているソース側延在部40の延設方向長さL1とが異なっていてもよい。
【0058】
ソース側延在部40の各々は、たとえば、0.5μm以上1μm以下の幅W1を有する。ソース側延在部40の幅W1は、平面視でソース側延在部40の延設方向と直交する方向の長さであり、本実施形態ではY方向の長さである。ソース側延在部40の幅W1は、隣り合う2つのソース側凹部41の間の距離、またはY方向に配列される複数のソース側凹部41の配列ピッチともいえる。ソース側延在部40の幅W1は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0059】
図1に示す一例では、各ソース側延在部40の幅W1は、一定である。また、ソース側延在部40の幅W1は、一定でなくてもよい。たとえば、個々のソース側延在部40において、部分的または全体的に幅W1が変化していてもよい。また、1つのメインゲート部22MGにおいて、当該メインゲート部22MGに設けられているソース側延在部40の幅W1は、ソース側延在部40ごとに異なっていてもよい。また、任意の2つのメインゲート部22MGにおいて、一方のメインゲート部22MGに設けられているソース側延在部40の幅W1と、他方のメインゲート部22MGに設けられているソース側延在部40の幅W1とが異なっていてもよい。
【0060】
図1に示す一例では、個々のソース側延在部40において、延設方向長さL1および幅W1の各々は、一定である。したがって、ソース側延在部40の各々は、平面視長方形状である。また、ソース側延在部40の平面視形状は、長方形状でなくてもよい。また、ソース側延在部40の平面視形状は、それぞれ異なっていてもよい。たとえば、メインゲート部22MGごとにソース側延在部40の平面視形状が異なっていてもよいし、共通のメインゲート部22MGに設けられているソース側延在部40のなかで、ソース側延在部40の平面視形状が異なっていてもよい。また、図4に示す一例では、ソース側延在部40の先端40Aの角部は、アール形状となるように丸められている。ソース側延在部40の先端40Aの角部は、丸められていなくてもよい。
【0061】
ソース側凹部41は、たとえば、2μm以上2.5μm以下の幅W2を有する。ソース側凹部41の幅W2は、平面視でソース側延在部40の延設方向と直交する方向におけるソース側凹部41の長さであり、本実施形態ではY方向の長さである。また、ソース側凹部41の幅W2は、隣り合う2つのソース側延在部40の間の距離、またはY方向に配列される複数のソース側延在部40の配列ピッチともいえる。各ソース側凹部41の幅W2は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0062】
図4に示す一例では、各ソース側凹部41の幅W2は、一定である。また、ソース側凹部41の幅W2は、一定でなくてもよい。たとえば、個々のソース側凹部41において、部分的または全体的に幅W2が変化していてもよい。この場合、ソース側凹部41の幅W2は、たとえば、仮想先端線VL1上におけるソース側凹部41の幅である。また、1つのメインゲート部22MGにおいて、当該メインゲート部22MGに設けられているソース側凹部41の幅W2は、ソース側凹部41ごとに異なっていてもよい。また、任意の2つのメインゲート部22MGにおいて、一方のメインゲート部22MGに設けられているソース側凹部41の幅W2と、他方のメインゲート部22MGに設けられているソース側凹部41の幅W2とが異なっていてもよい。
【0063】
図4に示す一例では、個々のソース側凹部41において、ソース側凹部41の幅W2は一定である。したがって、ソース側凹部41の各々は、平面視長方形状である。また、ソース側凹部41の平面視形状は、長方形状でなくてもよい。また、ソース側凹部41の平面視形状は、それぞれ異なっていてもよい。たとえば、メインゲート部22MGごとにソース側凹部41の平面視形状が異なっていてもよいし、共通のメインゲート部22MGに設けられているソース側凹部41のなかで、ソース側凹部41の平面視形状が異なっていてもよい。
【0064】
平面視において、1つのメインゲート部22MGに設けられるソース側延在部40に対するソース側凹部41の形成比率は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。図1に示す一例では、4つのメインゲート部22MGのそれぞれにおいて、ソース側延在部40の総面積がソース側凹部41の総面積よりも小さくなるようにソース側凹部41が形成されている。ソース側延在部40の総面積は、ソース側凹部41の総面積よりも大きくてもよいし、同じでもよい。ソース側延在部40の総面積がソース側凹部41の総面積よりも大きい場合、ソース側延在部40により電界集中を緩和する効果が得られやすい。また、ソース側延在部40の総面積がソース側凹部41の総面積よりも小さい場合、ソース側延在部40を設けることによるオン抵抗の増加を低減できる効果が向上する。
【0065】
ソース側延在部40の総面積は、1つのメインゲート部22MGに設けられているソース側延在部40の面積の総和である。個々のソース側延在部40の面積は、ソース側延在部40の延設方向長さL1と幅W1に基づいて算出できる。ソース側凹部41の総面積は、1つのメインゲート部22MGに設けられているソース側凹部41の面積の総和である。個々のソース側凹部41の面積は、当該ソース側凹部41の底面(リッジ部22Cのソース側端部22C1)と、当該ソース側凹部41の両隣りに位置するソース側延在部40の側縁と、仮想先端線VL1とにより囲まれる領域の面積である。
【0066】
また、共通のメインゲート部22MGに設けられているソース側延在部40およびソース側凹部41において、ソース側延在部40の幅W1とソース側凹部41の幅W2は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。たとえば、ソース側延在部40の幅W1がソース側凹部41の幅W2よりも大きい場合、ソース側延在部40の総面積が大きくなるため、ソース側延在部40により電界集中を緩和する効果が得られやすい。ソース側延在部40の幅W1がソース側凹部41の幅W2よりも小さい場合、ソース側延在部40の総面積が小さくなるため、ソース側延在部40を設けることによるオン抵抗の増加を低減できる効果が向上する。
【0067】
図4に示すように、ドレイン側延在部50の各々は、たとえば、0.2μm以上0.6μmの延設方向長さL2を有する。ドレイン側延在部50の延設方向長さL2は、リッジ部22Cのドレイン側端部22C2からドレイン側延在部50の先端50Aまでの距離である。ドレイン側延在部50の延設方向長さL2は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0068】
図1に示す一例では、ドレイン側延在部50の延設方向長さL2は全て一定である。また、ドレイン側延在部50の延設方向長さL2は、一定でなくてもよい。たとえば、個々のドレイン側延在部50において、部分的または全体的に延設方向長さL2が変化していてもよい。また、1つのメインゲート部22MGにおいて、当該メインゲート部22MGに設けられているドレイン側延在部50の延設方向長さL1は、ドレイン側延在部50ごとに異なっていてもよい。
【0069】
たとえば、ドレイン開口部26BとX方向に重なる範囲に位置するドレイン側延在部50と、ドレイン開口部26BとX方向に重ならない範囲に位置するドレイン側延在部50との間で延設方向長さL2を異ならせてもよい。また、任意の2つのメインゲート部22MGにおいて、一方のメインゲート部22MGに設けられているドレイン側延在部50の延設方向長さL2と、他方のメインゲート部22MGに設けられているドレイン側延在部50の延設方向長さL2とが異なっていてもよい。また、ドレイン側延在部50の延設方向長さL2は、共通のメインゲート部22MGに設けられるソース側延在部40の延設方向長さL1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0070】
ドレイン側延在部50の各々は、たとえば、0.5μm以上1μm以下の幅W3を有する。ドレイン側延在部50の幅W3は、平面視でドレイン側延在部50の延設方向と直交する方向の長さであり、本実施形態ではY方向の長さである。ドレイン側延在部50の幅W3は、隣り合う2つのドレイン側凹部51の間の距離、またはY方向に配列される複数のドレイン側凹部51の配列ピッチともいえる。ドレイン側延在部50の幅W3は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0071】
図1に示す一例では、各ドレイン側延在部50の幅W3は、一定である。また、ドレイン側延在部50の幅W3は、一定でなくてもよい。たとえば、個々のドレイン側延在部50において、部分的または全体的に幅W3が変化していてもよい。また、1つのメインゲート部22MGにおいて、当該メインゲート部22MGに設けられているドレイン側延在部50の幅W3は、ドレイン側延在部50ごとに異なっていてもよい。また、任意の2つのメインゲート部22MGにおいて、一方のメインゲート部22MGに設けられているドレイン側延在部50の幅W3と、他方のメインゲート部22MGに設けられているドレイン側延在部50の幅W3とが異なっていてもよい。また、ドレイン側延在部50の幅W3は、共通のメインゲート部22MGに設けられるソース側延在部40の幅W2と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0072】
図1に示す一例では、個々のドレイン側延在部50において、延設方向長さL2および幅W3の各々は、一定である。したがって、ドレイン側延在部50の各々は、平面視長方形状である。また、ドレイン側延在部50の平面視形状は、長方形状でなくてもよい。また、ドレイン側延在部50の平面視形状は、それぞれ異なっていてもよい。たとえば、メインゲート部22MGごとにドレイン側延在部50の平面視形状が異なっていてもよいし、共通のメインゲート部22MGに設けられているドレイン側延在部50のなかで、ドレイン側延在部50の平面視形状が異なっていてもよい。また、図1に示す一例では、ドレイン側延在部50の先端40Aの角部は、アール形状となるように丸められている。ドレイン側延在部50の先端40Aの角部は、丸められていなくてもよい。
【0073】
ドレイン側凹部51は、たとえば、2μm以上2.5μm以下の幅W4を有する。ドレイン側凹部51の幅W4は、平面視でドレイン側延在部50の延設方向と直交する方向におけるドレイン側凹部51の長さであり、本実施形態ではY方向の長さである。また、ドレイン側凹部51の幅W4は、隣り合う2つのドレイン側延在部50の間の距離、またはY方向に配列される複数のドレイン側延在部50の配列ピッチともいえる。各ドレイン側凹部51の幅W4は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0074】
図4に示す一例では、各ドレイン側凹部51の幅W4は、一定である。また、ドレイン側凹部51の幅W4は、一定でなくてもよい。たとえば、個々のドレイン側凹部51において、部分的または全体的に幅W4が変化していてもよい。この場合、ドレイン側凹部51の幅W4は、たとえば、仮想先端線VL2上におけるドレイン側凹部51の幅である。また、1つのメインゲート部22MGにおいて、当該メインゲート部22MGに設けられているドレイン側凹部51の幅W4は、ドレイン側凹部51ごとに異なっていてもよい。また、任意の2つのメインゲート部22MGにおいて、一方のメインゲート部22MGに設けられているドレイン側凹部51の幅W4と、他方のメインゲート部22MGに設けられているドレイン側凹部51の幅W4とが異なっていてもよい。
【0075】
図4に示す一例では、個々のドレイン側凹部51において、ドレイン側凹部51の幅W4は一定である。したがって、ドレイン側凹部51の各々は、平面視長方形状である。また、ドレイン側凹部51の平面視形状は、長方形状でなくてもよい。また、ドレイン側凹部51の平面視形状は、それぞれ異なっていてもよい。たとえば、メインゲート部22MGごとにドレイン側凹部51の平面視形状が異なっていてもよいし、共通のメインゲート部22MGに設けられているドレイン側凹部51のなかで、ドレイン側凹部51の平面視形状が異なっていてもよい。また、ドレイン側凹部51の幅W4は、共通のメインゲート部22MGに設けられるソース側凹部41の幅W2と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0076】
平面視において、1つのメインゲート部22MGに設けられるドレイン側延在部50に対するドレイン側凹部51の形成比率は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。図1に示す一例では、4つのメインゲート部22MGのそれぞれにおいて、ドレイン側延在部50の総面積がドレイン側凹部51の総面積よりも小さくなるようにドレイン側凹部51が形成されている。ドレイン側延在部50の総面積は、ドレイン側凹部51の総面積よりも大きくてもよいし、同じでもよい。ドレイン側延在部50の総面積がドレイン側凹部51の総面積よりも大きい場合、ドレイン側延在部50により電界集中を緩和する効果が向上する。また、ドレイン側延在部50の総面積がドレイン側凹部51の総面積よりも小さい場合、ドレイン側延在部50を設けることによるオン抵抗の増加を低減できる効果が向上する。
【0077】
ドレイン側延在部50の総面積は、1つのメインゲート部22MGに設けられているドレイン側延在部50の面積の総和である。個々のドレイン側延在部50の面積は、ドレイン側延在部50の延設方向長さL2と幅W3に基づいて算出できる。ドレイン側凹部51の総面積は、1つのメインゲート部22MGに設けられているドレイン側凹部51の面積の総和である。個々のドレイン側凹部51の面積は、当該ドレイン側凹部51の底部(リッジ部22Cのドレイン側端部22C2)と、当該ドレイン側凹部51の両隣りに位置するドレイン側延在部50と、仮想先端線VL2とにより囲まれる領域の面積である。
【0078】
また、共通のメインゲート部22MGに設けられているドレイン側延在部50およびドレイン側凹部51において、ドレイン側延在部50の幅W3とドレイン側凹部51の幅W4は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。たとえば、ドレイン側延在部50の幅W3がドレイン側凹部51の幅W4よりも大きい場合、ドレイン側延在部50の総面積が大きくなるため、ドレイン側延在部50を設けることによる電界集中を緩和する効果が得られやすい。ドレイン側延在部50の幅W3がドレイン側凹部51の幅W4よりも小さい場合、ドレイン側延在部50の総面積が小さくなるため、ドレイン側延在部50を設けることによるオン抵抗の増加を低減できる効果が向上する。
【0079】
図4に示す一例では、ソース側凹部41のリッジ部22Cを挟んだ反対側にドレイン側凹部51が位置するようにソース側凹部41およびドレイン側凹部51が形成されている。つまり、共通のメインゲート部22MGに設けられているソース側凹部41およびドレイン側凹部51の配置が一致している。また、共通のメインゲート部22MGに設けられているソース側凹部41およびドレイン側凹部51の配置は一致していなくてもよい。たとえば、ソース側凹部41のリッジ部22Cを挟んだ反対側にドレイン側延在部50が位置していてもよいし、ドレイン側延在部50およびドレイン側延在部50の両方が位置していてもよい。
【0080】
(端部連結部)
図1に示すように、ゲート層22の端部連結部22ECは、メインゲート部22MGのリッジ部22Cに接続されている。図示は省略するが、端部連結部22ECは、電子供給層18に接している下面と、当該下面とは反対側の上面とを含む。端部連結部22ECの下面は、メインゲート部22MGの下面22A(リッジ部22Cの下面)と連続する平面を形成している。端部連結部22ECの上面は、メインゲート部22MGの上面22B(リッジ部22Cの上面)と連続する平面を形成している。端部連結部22ECは、XZ平面において、矩形状、台形状、またはリッジ状の断面を有することができる。
【0081】
(中間連結部)
図1および図5に示すように、ゲート層22の中間連結部22MCは、メインゲート部22MGのリッジ部22Cに接続されている。図示は省略するが、中間連結部22MCは、電子供給層18に接している下面と、当該下面とは反対側の上面とを含む。ゲート電極24は、中間連結部22MCの上面にも形成されていてもよい。中間連結部22MCの上面に形成されているゲート電極24は、メインゲート部22MGの上面22Bに形成されているゲート電極24と一体に接続されている。
【0082】
中間連結部22MCは、メインゲート部22MGのリッジ部22Cに接続されている中間リッジ部60と、中間リッジ部60よりも小さい厚さを有する第1中間延在部61、第2中間延在部62、および第3中間延在部63とを含む。中間リッジ部60は、メインゲート部22MGのリッジ部22Cのソース側端部22C1に連続する第1端部60Aと、リッジ部22Cのドレイン側端部22C2に連続する第2端部60Bとを含む。
【0083】
中間リッジ部60の厚さについては、上記したメインゲート部22MGのリッジ部22Cの厚さT1に関する構成を適用できる。中間リッジ部60の厚さは、リッジ部22Cの厚さT1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0084】
第1中間延在部61および第2中間延在部62の厚さの各々については、上記したメインゲート部22MGのソース側延在部40の厚さT2に関する構成を適用できる。第1中間延在部61および第2中間延在部62の厚さの各々は、ソース側延在部40の厚さT2と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、第1中間延在部61の厚さと第2中間延在部62の厚さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0085】
第3中間延在部63の厚さについては、上記したメインゲート部22MGのドレイン側延在部50の厚さT3に関する構成を適用できる。第3中間延在部63の厚さは、ドレイン側延在部50の厚さT3と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0086】
第1中間延在部61は、中間リッジ部60の延設方向(X方向)の中間位置において、第1端部60Aからソース開口部26Aに向けて外側(Y方向)に延びている。第1中間延在部61の先端61Aは、ソース開口部26Aから離隔されている。第1中間延在部61の延設方向は、中間リッジ部60の第1端部60Aから第1中間延在部61が延びる方向である。本実施形態では、第1中間延在部61の延設方向は、Y方向である。
【0087】
第1中間延在部61は、たとえば、0.2μm以上1μm以下の延設方向長さL3を有する。第1中間延在部61の延設方向長さL3は、中間リッジ部60の第1端部60Aから第1中間延在部61の先端61Aまでの距離である。第1中間延在部61の延設方向長さL3は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0088】
第1中間延在部61は、たとえば、0.5μm以上1μm以下の幅W5を有する。第1中間延在部61の幅W5は、平面視で第1中間延在部61の延設方向と直交する方向の長さであり、本実施形態ではX方向の長さである。第1中間延在部61の幅W5は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0089】
図5に示す一例では、第1中間延在部61の幅W5は、ソース開口部26Aの幅(X方向の長さ)と等しい。第1中間延在部61の幅W5は、ソース開口部26Aの幅よりも長くてもよいし、短くてもよい。また、図5に示す一例では、第1中間延在部61は、中間リッジ部60におけるソース開口部26AとY方向に重なる位置に形成されている。第1中間延在部61は、中間リッジ部60におけるソース開口部26AとY方向に重なる位置と、重ならない位置とに跨って形成されていてもよい。
【0090】
図5に示す一例では、第1中間延在部61の延設方向長さL3および幅W5は一定である。したがって、第1中間延在部61は、平面視長方形状である。また、第1中間延在部61の延設方向長さL3および幅W5は、一定でなくてもよい。また、第1中間延在部61の平面視形状は、長方形状でなくてもよい。また、図5に示す一例では、第1中間延在部61の先端61Aの角部は、アール形状となるように丸められている。第1中間延在部61の先端61Aの角部は、丸められていなくてもよい。
【0091】
第2中間延在部62は、ゲート層22のコーナー部分Cにおいて、リッジ部22Cと中間リッジ部60との接続部分に設けられる中間延在部である。第2中間延在部62は、中間リッジ部60の延設方向(X方向)の両端において、第1端部60Aからソース開口部26Aに向けて外側(Y方向)に延びている。第2中間延在部62は、メインゲート部22MGのリッジ部22Cのソース側端部22C1にも接続されている。第2中間延在部62の先端62Aは、ソース開口部26Aおよびメインゲート部22MGのソース側延在部40に対して離隔している。第2中間延在部62の延設方向は、中間リッジ部60の第1端部60Aから第2中間延在部62が延びる方向である。本実施形態では、第2中間延在部62の延設方向は、Y方向である。
【0092】
第2中間延在部62は、たとえば、0.2μm以上1μm以下の延設方向長さL4を有する。第2中間延在部62の延設方向長さL4は、中間リッジ部60の第1端部60Aから第2中間延在部62の先端62Aまでの距離である。第2中間延在部62の延設方向長さL4は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0093】
第2中間延在部62は、たとえば、0.2μm以上0.5μm以下の幅W6を有する。第2中間延在部62の幅W6は、平面視で第2中間延在部62の延設方向と直交する方向の長さであり、本実施形態ではX方向の長さである。第2中間延在部62の幅W6は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。図5に示す一例では、第2中間延在部62の幅W6は、Y方向に対向するソース側延在部40の延設方向長さL1よりも長い。第2中間延在部62の幅W6は、ソース側延在部40の延設方向長さL1と同じであってもよいし、延設方向長さL1よりも短くてもよい。
【0094】
図5に示す一例では、第2中間延在部62の延設方向長さL4は、中間リッジ部60の延設方向(X方向)の中央側から端部側に向かって徐々に大きくなるように変化している。また、第2中間延在部62の幅W6は、第2中間延在部62の先端側に向かって徐々に小さくなるように変化している。したがって、第2中間延在部62は、平面視略四半円状である。また、第2中間延在部62の延設方向長さL4および幅W6はそれぞれ、一定であってもよいし、変化していてもよい。また、第2中間延在部62の平面視形状は、長方形状などの四半円状以外の形状であってもよい。
【0095】
第1中間延在部61と第2中間延在部62との離隔長さSL1は、たとえば、0.5μm以上0.85μm以下である。離隔長さSL1は、第1中間延在部61と第2中間延在部62との間のX方向の距離である。また、第1中間延在部61と第2中間延在部62は、一体に形成されていてもよい。つまり、第1中間延在部61と第2中間延在部62とが離隔していなくてもよい。
【0096】
第2中間延在部62とソース側延在部40との離隔長さSL2は、たとえば、2μm以上2.5μm以下である。離隔長さSL2は、第2中間延在部62とソース側延在部40との間のY方向の距離である。また、第2中間延在部62とソース側延在部40は、一体に形成されていてもよい。つまり、第2中間延在部62とソース側延在部40とが離隔していなくてもよい。
【0097】
第3中間延在部63は、ゲート層22のコーナー部分Cにおいて、リッジ部22Cと中間リッジ部60との接続部分に設けられる中間延在部である。第3中間延在部63は、中間リッジ部60の第2端部60Bからドレイン開口部26Bに向けて外側(X方向)に延びている。第3中間延在部63の先端63Aは、ドレイン開口部26Bから離隔されている。第3中間延在部63の延設方向は、中間リッジ部60の第2端部60Bから第3中間延在部63が延びる方向である。本実施形態では、第3中間延在部63の延設方向は、X方向である。
【0098】
図5に示す一例では、第3中間延在部63は、メインゲート部22MGのリッジ部22Cのドレイン側端部22C2からドレイン開口部26Bに向けて外側(X方向)に延びている部分を含んでいる。つまり、第3中間延在部63は、中間リッジ部60の第2端部60Bおよびリッジ部22Cのドレイン側端部22C2に跨って形成されている。また、第3中間延在部63は、リッジ部22Cのドレイン側端部22C2からドレイン開口部26Bに向けて延びている部分を含んでいなくてもよい。
【0099】
第3中間延在部63は、たとえば、0.5μm以上0.7μm以下の延設方向長さL5を有する。第3中間延在部63の延設方向長さL5は、中間リッジ部60の第2端部60Bから第3中間延在部63の先端63Aまでの距離である。第3中間延在部63の延設方向長さL5は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0100】
第3中間延在部63は、たとえば、2.1μm以上3.7μm以下の幅W7を有する。第3中間延在部63の幅W7は、平面視で第3中間延在部63の延設方向と直交する方向の長さであり、本実施形態ではY方向の長さである。第3中間延在部63の幅W7は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。図5に示す一例では、第3中間延在部63の幅W7は、ドレイン側延在部50の幅W3よりも大きい。第3中間延在部63の幅W7は、ドレイン側延在部50の幅W3と同じであってもよいし、ドレイン側延在部50の幅W3よりも小さくてもよい。また、第3中間延在部63の幅W7は、中間リッジ部60の幅(Y方向の長さ)と同じであってもよいし、同幅よりも大きくてもよいし、同幅よりも小さくてもよい。
【0101】
第3中間延在部63とドレイン側延在部50との離隔長さSL3は、たとえば、2μm以上2.5μm以下である。離隔長さSL3は、第3中間延在部63とドレイン側延在部50との間のY方向の距離である。
【0102】
図5に示す一例では、第3中間延在部63の延設方向長さL5および幅W7は一定である。したがって、第3中間延在部63の各々は、平面視長方形状である。また、第3中間延在部63の延設方向長さL5および幅W7は、一定でなくてもよい。また、第3中間延在部63の平面視形状は、長方形状でなくてもよい。また、図5に示す一例では、第3中間延在部63の先端63Aの角部は、アール形状となるように丸められている。第3中間延在部63の先端63Aの角部は、丸められていなくてもよい。
【0103】
[作用]
次に、第1実施形態の窒化物半導体装置10の作用を説明する。
窒化物半導体装置10は、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体層として設けられるゲート層22を含む。ゲート層22のメインゲート部22MGは、リッジ部22Cと、リッジ部22Cのソース側端部22C1およびドレイン側端部22C2から延在するとともにリッジ部22Cよりも薄い延在部22Dを含む。延在部22Dは、ソース側延在部40およびドレイン側延在部50を含む。
【0104】
ソース側延在部40およびドレイン側延在部50を設けることにより、ゲート電極24への正電圧の印加時に、リッジ部22Cのソース側端部22C1およびドレイン側端部22C2付近の電気力線を各延在部22Dに逃がすことができる。これにより、リッジ部22Cのソース側端部22C1およびドレイン側端部22C2における電界集中を緩和できる。換言すると、Z方向において、延在部22Dが設けられている部分と、設けられていない部分との間で、ゲート層22の端部の位置を異ならせることにより、ゲート層22の端部の電界集中がZ方向に緩和される。
【0105】
加えて、ソース側延在部40には、ソース側延在部40の先端40Aからリッジ部22Cに向けて凹んだソース側凹部41が形成されている。ソース側凹部41により、ソース側延在部40に対して、部分的にゲート層22が設けられていない部分が形成される。これにより、ソース側延在部40の先端40A付近の電気力線を、ソース側凹部41が位置するY方向側へ逃がすことができる。その結果、ソース側延在部40の先端40Aにおける電界集中を緩和できる。換言すると、ソース側凹部41が形成されていることによって、ゲート層22の端部(ソース側延在部40の先端40A)の電界集中がXY平面に沿った方向に緩和される。
【0106】
また、ソース側凹部41が形成されていることにより、ソース側延在部40の平面視の面積が小さくなる。そのため、ソース側凹部41が形成されていない場合と比較して、ソース側延在部40を設けることによるオン抵抗の増加を低減できる。
【0107】
また、ドレイン側延在部50には、ドレイン側延在部50の先端50Aからリッジ部22Cに向けて凹んだドレイン側凹部51が形成されている。ソース側凹部41と同様に、ドレイン側凹部51が形成されていることによって、ドレイン側延在部50の先端50Aにおける電界集中を緩和できる。また、ドレイン側凹部51が形成されていることにより、ドレイン側延在部50を設けることによるオン抵抗の増加を低減できる。
【0108】
[効果]
第1実施形態の窒化物半導体装置10によれば、以下の効果が得られる。
(1-1)
ゲート層22は、ゲート電極24が形成される上面22B及び電子供給層18に接する下面22Aを含むリッジ部22Cと、電子供給層18に接する下面22Aを含み、リッジ部22Cよりも薄い延在部22Dと、を備える。この構成によれば、ゲート電極24への正電圧の印加時に、ゲート層22の端部(換言すれば、ソース側端部22C1、ドレイン側端部22C2)の電界集中を緩和できる。そのため、ゲートリーク電流の発生を抑制してゲート耐圧を向上させることができる。
【0109】
(1-2)
延在部22D(ソース側延在部40、ドレイン側延在部50)には、延在部22Dの先端からリッジ部22Cに向けて凹んだ凹部(ソース側凹部41、ドレイン側凹部51)が形成されている。
【0110】
この構成によれば、ゲート層22の端部(換言すれば、ソース側延在部40の先端40A、ドレイン側延在部50の先端50A)の電界集中を緩和できる。そのため、ゲートリーク電流の発生を抑制してゲート耐圧を向上させることができる。
【0111】
また、延在部22Dを設けることによるオン抵抗の増加を低減できる。そのため、凹部(ソース側凹部41、ドレイン側凹部51)を設けていない場合と比較して、同等のオン抵抗特性を維持しながらも延在部22Dをより厚く形成できる。延在部22Dを厚く形成する場合、延在部22Dを薄く形成する場合と比較して、許容できる厚さ方向の寸法公差が大きくなる。そのため、エッチングなどにより延在部22Dを形成する工程の膜厚制御が容易になる。
【0112】
(1-3)
延在部22Dは、15nm以上の厚さを有する。この構成によれば、延在部22Dを形成する工程の膜厚制御が容易になる効果の更なる向上を図ることができる。
【0113】
(1-4)
延在部22Dは、50nm以下の厚さを有する。また、延在部22Dは、電子供給層18の半分以下の厚さを有する。これらの構成のうちの少なくとも一方によれば、延在部22Dを設けることによるオン抵抗の増加を低減できる。
【0114】
(1-5)
凹部(ソース側凹部41、ドレイン側凹部51)は、延在部22D(ソース側延在部40、ドレイン側延在部50)の先端(40A,50A)からリッジ部22Cの端部(ソース側端部22C1、ドレイン側端部22C2)まで到達している。この構成によれば、延在部22Dの平面視の面積をより小さくできるため、延在部22Dを設けることによるオン抵抗の増加を低減できる効果の更なる向上を図ることができる。
【0115】
(1-6)
延在部22Dは、電子供給層18上において、リッジ部22Cのドレイン側端部22C2からドレイン電極30に向かって延びるドレイン側延在部50を含む。ドレイン側延在部50には、凹部としてのドレイン側凹部51が形成されている。この構成によれば、ゲート層22のドレイン側の端部(換言すれば、ドレイン側延在部50の先端50A)の電界集中を緩和できる。また、ドレイン側延在部50を設けることによるオン抵抗の増加を低減できる。
【0116】
(1-7)
ドレイン側凹部51は、平面視でドレイン側延在部50の延設方向と直交する幅方向に離隔して複数配列されている。この構成によれば、ドレイン側延在部50の先端50Aにおける電界集中を緩和する効果、およびドレイン側延在部50を設けることによるオン抵抗の増加を低減する効果の更なる向上を図ることができる。
【0117】
(1-8)
平面視において、ドレイン側延在部50の総面積は、ドレイン側凹部51の総面積よりも大きい。この構成によれば、ドレイン側延在部50を設けることによる電界集中を緩和する効果の更なる向上を図ることができる。
【0118】
(1-9)
延在部22Dは、電子供給層18上において、リッジ部22Cのソース側端部22C1からソース電極28に向かって延びるソース側延在部40を含む。ソース側延在部40には、凹部としてのソース側凹部41が形成されている。この構成によれば、ゲート層22のソース側の端部(換言すれば、ソース側延在部40の先端40A)の電界集中を緩和できる。また、ソース側延在部40を設けることによるオン抵抗の増加を低減できる。
【0119】
(1-10)
ソース側凹部41は、平面視でソース側延在部40の延設方向と直交する幅方向に離隔して複数配列されている。この構成によれば、ソース側延在部40の先端40Aにおける電界集中を緩和する効果、およびソース側延在部40を設けることによるオン抵抗の増加を低減する効果の更なる向上を図ることができる。
【0120】
(1-11)
平面視において、ソース側延在部40の総面積は、ソース側凹部41の総面積よりも大きい。この構成によれば、ソース側延在部40を設けることによる電界集中を緩和する効果の更なる向上を図ることができる。
【0121】
(1-12)
ゲート層22は、平面視で第1方向に延びるメインゲート部22MGと、第1方向に交差する方向に延びる中間連結部22MCと、メインゲート部22MGと中間連結部22MCとが接続されているコーナー部分Cとを備える。中間連結部22MCは、リッジ部22Cに接続されている中間リッジ部60と、コーナー部分Cにおけるリッジ部22Cと中間リッジ部60との接続部分に設けられ、中間リッジ部60よりも薄い中間延在部(第2中間延在部62、第3中間延在部63)と、を備える。
【0122】
コーナー部分Cは、他の部位と比較して、ゲート層22の端部付近の電界集中が生じやすい。そのため、コーナー部分Cに中間延在部を設けることは、ゲート層22の端部の電界集中の緩和する場合に特に効果的である。
【0123】
(1-13)
コーナー部分Cに位置する第3中間延在部63は、ドレイン側延在部50の幅W3よりも大きい幅W7を有する。ゲート層22の端部付近の電界集中が生じやすいコーナー部分Cに第3中間延在部63を幅広に設けることは、ゲート層22の端部の電界集中の緩和に特に効果的である。
【0124】
(1-14)
ドレイン側延在部50およびドレイン側凹部51の平面視形状は、長方形状である。この構成によれば、ドレイン側延在部50およびドレイン側凹部51を製造する工程を簡素化できる。
【0125】
(1-15)
複数のドレイン側凹部51は、同じ幅かつ等間隔で離隔して配列されている。この構成によれば、ドレイン側延在部50およびドレイン側凹部51を製造する工程を簡素化できる。
【0126】
(1-16)
ソース側延在部40およびソース側凹部41の平面視形状は、長方形状である。この構成によれば、ソース側延在部40およびソース側凹部41を製造する工程を簡素化できる。
【0127】
(1-17)
複数のソース側凹部41は、同じ幅かつ等間隔で離隔して配列されている。この構成によれば、ソース側延在部40およびソース側凹部41を製造する工程を簡素化できる。
【0128】
<第2実施形態>
第2実施形態の窒化物半導体装置110は、ソース側延在部40およびソース側凹部41の各平面視形状、並びにドレイン側延在部50およびドレイン側凹部51の各平面視形状が第1実施形態と異なる。その他の構成については、第1実施形態と同様である。以下では、第1実施形態と同様な構成要素については説明を省略し、第1実施形態と異なる構成要素について説明する。
【0129】
図6は、第2実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置110の概略平面図の一部拡大図である。図6は、第1実施形態における図4に示されている範囲に相当する範囲を示している。
【0130】
(ソース側延在部およびソース側凹部)
図6に示すように、本実施形態では、ソース側凹部41は、ソース側延在部40の先端40Aからリッジ部22Cの途中位置まで凹んでいる。そのため、ソース側凹部41が形成されることにより、ソース側延在部40には、延設方向長さが相対的に長いソース側長延在部42と、延設方向長さが相対的に短いソース側短延在部43が形成される。図6では、理解を容易にするために、ソース側長延在部42とソース側短延在部43との境界を破線で示している。なお、本実施形態では、ソース側延在部40の先端40Aは、ソース側長延在部42の先端42Aを意味する。
【0131】
本実施形態では、ソース側凹部41は、平面視においてソース側延在部40の延設方向とは直交する方向であるY方向に離隔して複数配列されている。そのため、ソース側延在部40には、複数のソース側長延在部42と複数のソース側短延在部43とが、Y方向に交互に配置されている。複数のソース側長延在部42と複数のソース側短延在部43とによって、ひとつながりのソース側延在部40が形成されている。
【0132】
ソース側長延在部42は、第1実施形態における個々のソース側延在部40に相当する部分である。ソース側長延在部42の延設方向長さL6、幅W8、および平面視形状の各構成については、第1実施形態における個々のソース側延在部40の延設方向長さL1、幅W1、および平面視形状の各構成を適用できる。
【0133】
ソース側凹部41の幅W2、および平面視形状の各構成については、第1実施形態におけるソース側凹部41の各構成を適用できる。
ソース側凹部41は、ソース側延在部40において、ソース側延在部40の先端40Aからリッジ部22Cの途中位置に位置する底面41Aを有する。図6に示す一例では、ソース側凹部41の底面41Aは、平面視において、ソース側延在部40の延設方向(X方向)に直交する方向(Y方向)に延びる直線状である。ソース側凹部41の底面41Aの平面視形状は、Y方向に交差する直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。
【0134】
ソース側凹部41は、ソース側長延在部42の延設方向長さL6よりも短い深さD1を有する。ソース側凹部41の深さD1は、ソース側延在部40の延設方向(X方向)における、ソース側延在部40の先端40Aからソース側凹部41の底面41Aまでの距離である。ソース側凹部41の底面41Aの平面視形状が、Y方向に交差する直線状または曲線状である場合、ソース側凹部41の深さD1は、たとえば、ソース側延在部40の先端40Aからソース側凹部41の底面41Aまでの距離の最大値である。ソース側凹部41の深さD1は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0135】
ソース側凹部41の深さD1は、たとえば、0.05μm以上0.15μm以下である。また、ソース側凹部41の深さD1は、たとえば、ソース側長延在部42の延設方向長さL6を基準長さとして、基準長さの10%以上90%以下となる長さである。なお、ソース側長延在部42の延設方向長さL6が部分的または全体的に変化する形状のソース側長延在部42である場合、上記基準長さは、たとえば、対象となるソース側凹部41の隣りに位置する2つソース側長延在部42の延設方向長さL6の平均値である。
【0136】
リッジ部22Cのソース側端部22C1からソース側凹部41の底面41Aまでの長さL7は、たとえば、0.05μm以上0.25μm以下である。ソース側凹部41の底面41Aの平面視形状が、Y方向に交差する直線状または曲線状である場合、上記長さLは、たとえば、リッジ部22Cのソース側端部22C1からソース側凹部41の底面41Aまでの長さの最小値である。上記長さL7は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0137】
ソース側短延在部43は、ソース側延在部40において、リッジ部22Cのソース側端部22C1からソース側凹部41の底面41Aまで延びている部分である。ソース側短延在部43の延設方向長さ(X方向の長さ)、幅(Y方向の長さ)、および平面視形状の各構成は、ソース側長延在部42およびソース側凹部41の形状に基づいて決定される。たとえば、ソース側短延在部43の延設方向長さは、リッジ部22Cからソース側凹部41の底面41Aまでの長さL7に等しい。また、ソース側短延在部43の幅は、たとえば、ソース側凹部41の幅W2に等しい。
【0138】
平面視において、ソース側延在部40に対するソース側凹部41の形成比率は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。図6に示す一例では、ソース側延在部40の総面積が、ソース側凹部41の総面積よりも大きくなるようにソース側凹部41が形成されている。また、ソース側延在部40の総面積は、ソース側凹部41の総面積よりも小さくてもよいし、同じでもよい。
【0139】
ソース側延在部40の総面積は、当該ソース側延在部40を構成するソース側長延在部42とソース側短延在部43の面積の総和である。ソース側凹部41の面積は、当該ソース側凹部41の底面41Aと、当該ソース側凹部41の両隣りに位置するソース側延在部40の側縁と、仮想先端線VL1とにより囲まれる領域の面積である。ソース側延在部40の総面積は、たとえば、リッジ部22Cのソース側端部22C1と、仮想先端線VL1と、ソース側延在部40における延設方向に直交する方向(Y方向)の両端に位置する両側縁とにより囲まれる領域の面積から、当該領域に含まれるソース側凹部41の総面積を引いた値として算出できる。
【0140】
(ドレイン側延在部およびドレイン側凹部)
図6に示すように、本実施形態では、ドレイン側凹部51は、ドレイン側延在部50の先端50Aからリッジ部22Cの途中位置まで凹んでいる。そのため、ドレイン側凹部51が形成されることにより、ドレイン側延在部50には、延設方向長さL2が相対的に長いドレイン側長延在部52と、延設方向長さL1が相対的に短いドレイン側短延在部53が形成される。図6では、理解を容易にするために、ドレイン側長延在部52とドレイン側短延在部53との境界を破線で示している。なお、本実施形態では、ドレイン側延在部50の先端50Aは、ドレイン側長延在部52の先端52Aを意味する。
【0141】
本実施形態では、ドレイン側凹部51は、平面視においてドレイン側延在部50の延設方向とは直交する方向であるY方向に離隔して複数配列されている。そのため、ドレイン側延在部50には、複数のドレイン側長延在部52と複数のドレイン側短延在部53とが、Y方向に交互に配置されている。複数のドレイン側長延在部52と複数のドレイン側短延在部53とによって、ひとつながりのドレイン側延在部50が形成されている。
【0142】
ドレイン側長延在部52は、第1実施形態における個々のドレイン側延在部50に相当する部分である。ドレイン側長延在部52の延設方向長さL8、幅W9、および平面視形状の各構成については、第1実施形態における個々のドレイン側延在部50の延設方向長さL2、幅W3、および平面視形状の各構成を適用できる。
【0143】
ドレイン側凹部51の幅W4、および平面視形状の各構成については、第1実施形態におけるドレイン側凹部51の各構成を適用できる。
ドレイン側凹部51は、ドレイン側延在部50において、ドレイン側延在部50の先端50Aからリッジ部22Cの途中位置に位置する底面51Aを有する。図6に示す一例では、ドレイン側凹部51の底面51Aは、平面視において、ドレイン側延在部50の延設方向(X方向)に直交する方向(Y方向)に延びる直線状である。ドレイン側凹部51の底面51Aの平面視形状は、Y方向に交差する直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。
【0144】
ドレイン側凹部51は、ドレイン側長延在部52の延設方向長さL8よりも短い深さD2を有する。ドレイン側凹部51の深さD2は、ドレイン側延在部50の延設方向(X方向)における、ドレイン側延在部50の先端50Aからドレイン側凹部51の底面51Aまでの距離である。ドレイン側凹部51の底面51Aの平面視形状が、Y方向に交差する直線状または曲線状である場合、ドレイン側凹部51の深さD2は、たとえば、ドレイン側延在部50の先端50Aからドレイン側凹部51の底面51Aまでの距離の最大値である。ドレイン側凹部51の深さD2は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0145】
ドレイン側凹部51の深さD2は、たとえば、0.3μm以上0.6μm以下である。また、ドレイン側凹部51の深さD2は、たとえば、ドレイン側長延在部52の延設方向長さL8を基準長さとして、基準長さの10%以上90%以下となる長さである。なお、ドレイン側長延在部52の延設方向長さL8が部分的または全体的に変化する形状のドレイン側長延在部52である場合、上記基準長さは、たとえば、対象となるドレイン側凹部51の隣りに位置する2つドレイン側長延在部52の延設方向長さL8の平均値である。
【0146】
リッジ部22Cのドレイン側端部22C2からドレイン側凹部51の底面51Aまでの長さL9は、たとえば、0.1μm以上0.4μm以下である。ドレイン側凹部51の底面51Aの平面視形状が、Y方向に交差する直線状または曲線状である場合、上記長さL9は、たとえば、リッジ部22Cのドレイン側端部22C2からドレイン側凹部51の底面51Aまでの長さの最小値である。上記長さL9は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0147】
ドレイン側短延在部53は、ドレイン側延在部50において、リッジ部22Cのドレイン側端部22C2からドレイン側凹部51の底面51Aまで延びている部分である。ドレイン側短延在部53の延設方向長さ(X方向の長さ)、幅(Y方向の幅)、および平面視形状の各構成は、ドレイン側長延在部52およびドレイン側凹部51の構成に基づいて決定される。たとえば、ドレイン側短延在部53の延設方向長さは、リッジ部22Cからドレイン側凹部51の底面51Aまでの長さL9に等しい。また、ドレイン側短延在部53の幅は、たとえば、ドレイン側凹部51の幅W4に等しい。
【0148】
平面視において、ドレイン側延在部50に対するドレイン側凹部51の形成比率は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。図6に示す一例では、ドレイン側延在部50の総面積が、ドレイン側凹部51の総面積よりも大きくなるようにドレイン側凹部51が形成されている。また、ドレイン側延在部50の総面積は、ドレイン側凹部51の総面積よりも小さくてもよいし、同じでもよい。
【0149】
ドレイン側延在部50の総面積は、当該ドレイン側延在部50を構成するドレイン側長延在部52とドレイン側短延在部53の面積の総和である。ドレイン側凹部51の面積は、当該ドレイン側凹部51の底面51Aと、当該ドレイン側凹部51の両隣りに位置するドレイン側延在部50の側縁と、仮想先端線VL2とにより囲まれる領域の面積である。ドレイン側延在部50の総面積は、たとえば、リッジ部22Cのドレイン側端部22C2と、仮想先端線VL2と、ドレイン側延在部50における延設方向に直交する方向の両端部に位置する両側縁とにより囲まれる領域の面積から、当該領域に含まれるドレイン側凹部51の総面積を引いた値として算出できる。
【0150】
(効果)
以上記述したように、第2実施形態の窒化物半導体装置110によれば、(1-5)に記載の効果を除いて、第1実施形態の窒化物半導体装置10と同様の効果を奏する。また、第2実施形態の窒化物半導体装置110によれば、以下の効果が得られる。
【0151】
(2-1)
凹部(ソース側凹部41、ドレイン側凹部51)は、延在部22D(ソース側延在部40、ドレイン側延在部50)の先端(40A,50A)から延在部22Dの途中位置まで凹んでいる。延在部22D(ソース側延在部40、ドレイン側延在部50)は、リッジ部22Cの端部(ソース側端部22C1、ドレイン側端部22C2)から凹部(ソース側凹部41、ドレイン側凹部51)の底面まで延びる部分(ソース側短延在部43,ドレイン側短延在部53)を含む。
【0152】
この構成によれば、延在部22D(ソース側延在部40、ドレイン側延在部50)が広く形成される。そのため、延在部22Dを設けることによる、ゲート層22の端部(ソース側端部22C1、ドレイン側端部22C2)の電界集中を緩和する効果の更なる向上を図ることができる。
【0153】
<変更例>
上記各実施形態は例えば以下のように変更できる。上記各実施形態と以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合せることができる。なお、以下の変更例において、上記各実施形態と共通する部分については、上記各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0154】
・ソース側凹部41の平面視形状は、長方形状に限定されない。ソース側凹部41の平面視形状は、たとえば、台形状、三角形状、半円形状、または波形状であってもよい。
ソース側凹部41の平面視形状は、たとえば、ソース側延在部40の先端40Aからリッジ部22Cに向かって徐々にまたは段階的に幅W2が小さくなる形状である。この場合、第1実施形態では、ソース側凹部41の隣りに位置するソース側延在部40は、平面視で、リッジ部22Cからソース側延在部40の先端40Aに向かって徐々に幅が小さくなる形状になる。第2実施形態では、ソース側凹部41の隣りに位置するソース側長延在部42の先端部分は、平面視で、リッジ部22Cからソース側延在部40の先端40Aに向かって徐々に幅が小さくなる形状になる。ソース側長延在部42の先端部分は、ソース側短延在部43よりも延設方向に突出している部分である。また、ソース側長延在部42の先端部分は、Y方向において、ソース側凹部41と重なる部分ということもできる。
【0155】
この構成によれば、ソース側延在部40の平面視の面積をより小さくできるため、ソース側延在部40を設けることによるオン抵抗の増加を低減できる効果の更なる向上を図ることができる。また、第1実施形態では、ソース側凹部41の両隣りに位置するソース側延在部40の先端40Aの間の距離(Y方向の距離)が広がることにより、ソース側延在部40の先端40Aにおける電界の集中を緩和する効果が向上する。第2実施形態では、ソース側凹部41の両隣りに位置するソース側長延在部42の先端42Aの間の距離(Y方向の距離)が広がるため、ソース側長延在部42の先端42Aにおける電界の集中を緩和する効果が向上する。
【0156】
一例として、図7に示す第1実施形態の変更例では、ソース側凹部41は、ソース側延在部40の先端40Aからリッジ部22Cに向かって徐々に幅W2が小さくなる平面視台形状に形成されている。これにより、ソース側延在部40は、リッジ部22Cからソース側延在部40の先端40Aに向かって徐々に幅が小さくなる台形状に形成されている。また、平面視台形状のソース側凹部41の幅W2を広げる、または隣り合う平面視台形状のソース側凹部41の離隔距離を狭めることにより、ソース側延在部40を、先端40Aが角になる平面視三角形状に形成することもできる。
【0157】
図8に示す第2実施形態の変更例では、ソース側凹部41は、ソース側延在部40の先端40Aからリッジ部22Cに向かって徐々に幅W2が小さくなる波形状に形成されている。なお、ソース側凹部41の平面視形状は、ソース側延在部40の先端40Aからリッジ部22Cに向かって徐々にまたは段階的に幅W2が大きくなる形状であってもよい。また、ドレイン側凹部51の平面視形状についてもソース側凹部41の平面視形状と同様に変更できる。
【0158】
・ゲート層22は、ソース側凹部41が形成されているソース側延在部40を有するメインゲート部22MGと、ソース側凹部41が形成されていないソース側延在部40を有するメインゲート部22MGとを含んでいてもよい。また、ゲート層22は、ドレイン側凹部51が形成されているドレイン側延在部50を有するメインゲート部22MGと、ドレイン側凹部51が形成されていないドレイン側延在部50を有するメインゲート部22MGとを含んでいてもよい。
【0159】
ゲート層22は、ソース側凹部41が形成されているソース側延在部40とドレイン側凹部51が形成されていないドレイン側延在部50とを有するメインゲート部22MGを含んでいてもよい。また、ゲート層22は、ソース側凹部41が形成されていないソース側延在部40とドレイン側凹部51が形成されているドレイン側延在部50とを有するメインゲート部22MGを含んでいてもよい。
【0160】
・ゲート層22は、ソース側延在部40およびドレイン側延在部50のうちの一方のみを有するメインゲート部22MGを含んでいてもよい。
・ゲート層22の中間連結部22MCについて、第1中間延在部61、第2中間延在部62、および第3中間延在部63のうちのいずれか1つ以上が省略されていてもよい。
【0161】
・1つのゲート層22を構成するメインゲート部22MG、端部連結部22EC、および中間連結部22MCの各々の配置、数、および平面視形状は、図1に示す内容に限定されない。たとえば、端部連結部22ECおよび中間連結部22MCのうちのいずれか一方または両方が省略されていてもよい。
【0162】
・上記各実施形態では、窒化物半導体装置10,110は、窒化物半導体HEMTとして構成されたが、窒化物半導体HEMTに限定されず、窒化物半導体ダイオードとして構成されてもよい。
【0163】
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」との双方の意味を含む。したがって、「第1層が第2層上に形成される」という表現は、或る実施形態では第1層が第2層に接触して第2層上に直接配置され得るが、他の実施形態では第1層が第2層に接触することなく第2層の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1層と第2層との間に他の層が形成される構造を排除しない。
【0164】
本開示で使用されるZ方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造(例えば、図2図3に示される構造)は、本明細書で説明されるZ方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えば、X方向が鉛直方向であってもよく、またはY方向が鉛直方向であってもよい。
【0165】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に対象物を区別するために用いられており、対象物を順位づけするものではない。
<付記>
本開示から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のために、付記に記載される構成要素には、実施形態中の対応する構成要素の参照符号が付されている。参照符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、参照符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0166】
[付記1]
窒化物半導体によって構成された電子走行層(16)と、
前記電子走行層(16)上に形成され、前記電子走行層(16)よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層(18)と、
前記電子供給層(18)上の一部に形成され、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されたゲート層(22)と、
前記ゲート層(22)上に形成されたゲート電極(24)と、
前記電子供給層(18)に接しているソース電極(28)およびドレイン電極(30)と、を備え、
前記ゲート層(22)は、前記電子供給層(18)上において、前記ソース電極(28)と前記ドレイン電極(30)との間に位置しており、
前記ゲート層(22)は、
前記ゲート電極(24)が形成される上面(22B)及び前記電子供給層(18)に接する下面(22A)を含むリッジ部(22C)と、
前記電子供給層(18)に接する下面(22A)を含み、前記リッジ部(22C)よりも薄い延在部(22D,40,50)と、を備え、
前記延在部(22D,40,50)は、前記電子供給層(18)上において、前記リッジ部(22C)の端部から前記ドレイン電極(30)または前記ソース電極(28)に向かって延びており、
前記延在部(22D,40,50)には、当該延在部(22D,40,50)の先端(40A、50A)から前記リッジ部(22C)に向けて凹んだ凹部(41,51)が形成されている、窒化物半導体装置(10,110)。
【0167】
[付記2]
前記凹部(41,51)は、前記延在部(22D,40,50)の先端(40A、50A)から前記リッジ部(22C)の前記端部(22C1,22C2)まで到達している、付記1に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0168】
[付記3]
前記凹部(41,51)は、前記延在部(22D,40,50)の先端(40A、50A)から当該延在部(22D,40,50)の途中位置まで凹んでおり、
前記延在部(22D,40,50)は、前記リッジ部(22C)の端部(22C1,22C2)から前記凹部(43,53)の底面(41A,51A)まで延びる部分(43,53)を含む、付記1または2に記載の窒化物半導体装置(110)。
【0169】
[付記4]
平面視で前記延在部(22D,40,50)の延設方向と直交する方向を幅方向としたとき、
前記凹部(41,51)は、前記延在部(22D,40,50)の先端(40A、50A)から前記リッジ部(22C)に向かって徐々にまたは段階的に幅が小さくなる形状である、付記1~3のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10,110)。
【0170】
[付記5]
前記延在部(22D,40,50)は、前記電子供給層(18)上において、前記リッジ部(22C)の端部(22C2)から前記ドレイン電極(30)に向かって延びるドレイン側延在部(50)を含み、
前記ドレイン側延在部(50)には、前記凹部(51)としてのドレイン側凹部(51)が形成されている、付記1~4のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10,110)。
【0171】
[付記6]
前記ドレイン側凹部(51)は、平面視で前記ドレイン側延在部(50)の延設方向と直交する幅方向に離隔して複数配列されている、付記5に記載の窒化物半導体装置(10,110)。
【0172】
[付記7]
平面視において、前記ドレイン側延在部(50)の総面積は、前記ドレイン側凹部(51)の総面積よりも小さい、付記5または6に記載の窒化物半導体装置(10,110)。
【0173】
[付記8]
平面視において、前記ドレイン側延在部(50)の総面積は、前記ドレイン側凹部(51)の総面積よりも大きい、付記5または6に記載の窒化物半導体装置(10,110)。
【0174】
[付記9]
前記延在部(22D,40,50)は、前記電子供給層(18)上において、前記リッジ部(22C)の端部(22C1)から前記ソース電極(28)に向かって延びるソース側延在部(40)を含み、
前記ソース側延在部(40)には、前記凹部(41)としてのソース側凹部(41)が形成されている、付記1~8のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10,110)。
【0175】
[付記10]
前記ソース側凹部(41)は、平面視で前記ソース側延在部(40)の延設方向と直交する幅方向に離隔して複数配列されている、付記9に記載の窒化物半導体装置(10,110)。
【0176】
[付記11]
平面視において、前記ソース側延在部(40)の総面積は、前記ソース側凹部(41)の総面積よりも小さい、付記9または10に記載の窒化物半導体装置(10,110)。
【0177】
[付記12]
平面視において、前記ソース側延在部(40)の総面積は、前記ソース側凹部(41)の総面積よりも大きい、付記9または10に記載の窒化物半導体装置(10,110)。
【0178】
[付記13]
前記延在部(22D,40,50)は、15nm以上の厚さを有する、付記1~12のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10,110)。
【0179】
[付記14]
前記延在部(22D,40,50)は、50nm以下の厚さを有する、付記1~13のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10,110)。
【0180】
[付記15]
前記延在部(22D,40,50)は、前記電子供給層(18)の半分以下の厚さを有する、付記1~14のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10,110)。
【0181】
[付記16]
前記ゲート層(22)は、平面視で第1方向に延びる第1部分(22MG)と、前記第1方向に交差する方向に延びる第2部分(22MC)と、前記第1部分(22MG)と前記第2部分(22MC)とが接続されているコーナー部分(C)とを備え、
前記第1部分(22MG)は、前記リッジ部(22C)および前記延在部(22D,40,50)を備え、
前記第2部分(22MC)は、
前記リッジ部(22C)に接続されている中間リッジ部(60)と、
前記コーナー部分(C)における前記リッジ部(22C)と前記中間リッジ部(60)との接続部分に設けられ、前記中間リッジ部(60)よりも薄い中間延在部(62,63)と、を備える、付記1~15のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10,110)。
【0182】
[付記17]
前記電子走行層(16)は、GaN層であり、
前記電子供給層(18)は、AlGaN層であり、
前記ゲート層(22)は、前記アクセプタ型不純物を含むGaN層である、付記1~16のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10,110)。
【0183】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0184】
10,110…窒化物半導体装置
12…半導体基板
14…バッファ層
16…電子走行層
18…電子供給層
20…2DEG(二次元電子ガス)
22…ゲート層
22A…下面
22B…上面
22C…リッジ部
22C1…ソース側端部
22C2…ドレイン側端部
22D…延在部
22MG…メインゲート部
22EC…端部連結部
22MC…中間連結部
24…ゲート電極
26…パッシベーション膜
26A…ソース開口部
26B…ドレイン開口部
28…ソース電極
30…ドレイン電極
31…フィールドプレート電極
31A…端部
40…ソース側延在部
40A…先端
41…ソース側凹部
41A…底面
42…ソース側長延在部
42A…先端
43…ソース側短延在部
50…ドレイン側延在部
50A…先端
51…ドレイン側凹部
51A…底面
52…ドレイン側長延在部
52A…先端
53…ドレイン側短延在部
60…中間リッジ部
60A…第1端部
60B…第2端部
61…第1中間延在部
61A…先端
62…第2中間延在部
62A…先端
63…第3中間延在部
63A…先端
C…コーナー部分
D1,D2…深さ
L1~L9…長さ
SL1~SL3…離隔長さ
T1~T3…厚さ
VL1,VL2…仮想先端線
W1~W9…幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8