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  • 特開-ボイラ 図1
  • 特開-ボイラ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128570
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】ボイラ
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/18 20060101AFI20240913BHJP
   F23N 1/00 20060101ALI20240913BHJP
   F23K 5/02 20060101ALI20240913BHJP
   F22B 35/00 20060101ALI20240913BHJP
   F22B 35/18 20060101ALN20240913BHJP
【FI】
F23K5/18 Z
F23N1/00 105G
F23K5/02 Z
F22B35/00 J
F22B35/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037598
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】仙波 將
(72)【発明者】
【氏名】藤久 義幸
(72)【発明者】
【氏名】田窪 昇
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 務
(72)【発明者】
【氏名】平井 桂二
【テーマコード(参考)】
3K068
3L021
【Fターム(参考)】
3K068BB01
3K068BB12
3K068CA24
3K068FA03
3K068FB01
3K068FC02
3K068FD07
3K068HA02
3L021FA12
(57)【要約】
【課題】燃料ノズルの油硬化(または粘化)を防止することができるボイラを提供することである。
【解決手段】第1のノズルに液体燃料を供給する第1燃料供給路62と、第2のノズルに液体燃料を供給する第2燃料供給路63、64と、第1燃料供給路62に設けられ、第1のノズルへ供給される液体燃料の流量を調整する第1流量調整部62aと、第2燃料供給路63、64に設けられ、第2のノズルへ供給される液体燃料の流量を調整する第2流量調整部63a、64aと、燃焼段階に応じて第1流量調整部62aおよび第2流量調整部63a、64aを制御する制御部4とを備え、制御部4は、所定の燃焼段階において第1流量調整部62aを開状態に制御しつつ第2流量調整部63a、64aを閉状態に制御し、当該所定の燃焼段階において所定期間が経過することにより第2流量調整部64aを開状態に制御した後に閉状態に制御する、ボイラ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のノズルに液体燃料を供給する第1燃料供給路と、
第2のノズルに液体燃料を供給する第2燃料供給路と、
前記第1燃料供給路に設けられ、前記第1のノズルへ供給される液体燃料の流量を調整する第1流量調整部と、
前記第2燃料供給路に設けられ、前記第2のノズルへ供給される液体燃料の流量を調整する第2流量調整部と、
燃焼段階に応じて前記第1流量調整部および前記第2流量調整部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、所定の燃焼段階において前記第1流量調整部を開状態に制御しつつ前記第2流量調整部を閉状態に制御し、当該所定の燃焼段階において所定期間が経過することにより前記第2流量調整部を開状態に制御した後に閉状態に制御する、ボイラ。
【請求項2】
前記第2燃料供給路は、主経路と副経路とを含み、
前記第2流量調整部は、前記主経路に設けられた主流量調整部と前記副経路に設けられた副流量調整部とを含み、
前記制御部は、前記所定の燃焼段階において前記主流量調整部および前記副流量調整部を閉状態に制御し、当該所定の燃焼段階において所定期間が経過することにより前記副流量調整部を開状態に制御した後に閉状態に制御する、請求項1に記載のボイラ。
【請求項3】
前記副経路には、前記液体燃料の圧力を低下させるための減圧部が設けられている、請求項2に記載のボイラ。
【請求項4】
前記所定の燃焼段階は、低燃焼段階である、請求項1~請求項3のいずれかに記載のボイラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品工場などによって廃棄物として扱われていた魚油等の動物性の油を化石燃料に変えてボイラの燃焼に用いて有効活用することで、コスト削減や、新たな熱エネルギーの確保が図られていた(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-091080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、魚油などの油が空気に触れると酸化重合するといった特性を有する燃料を使用する場合、従来のバーナでは、油を噴霧していないときにノズルの先端の油が空気に触れることで硬化してしまうことにより、噴霧不良や供給する燃料の流量低下が生じる虞があった。特に、燃焼段階に応じて複数のノズルが使用されるボイラにおいては、所定条件のときにのみ使用するノズル(例えば高燃焼段階のときにのみ使用される)が、所定条件ではない場合(例えば低燃焼段階)での燃焼時間が長いと、使用されていないノズルの先端に油硬化(または粘化)による詰まりが発生する虞がさらに高くなっていた。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、燃料ノズルの油硬化(または粘化)を防止することができるボイラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うボイラは、第1のノズルに液体燃料を供給する第1燃料供給路と、第2のノズルに液体燃料を供給する第2燃料供給路と、前記第1燃料供給路に設けられ、前記第1のノズルへ供給される液体燃料の流量を調整する第1流量調整部と、前記第2燃料供給路に設けられ、前記第2のノズルへ供給される液体燃料の流量を調整する第2流量調整部と、燃焼段階に応じて前記第1流量調整部および前記第2流量調整部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、所定の燃焼段階において前記第1流量調整部を開状態に制御しつつ前記第2流量調整部を閉状態に制御し、当該所定の燃焼段階において所定期間が経過することにより前記第2流量調整部を開状態に制御した後に閉状態に制御する。
【0007】
上記の構成によれば、所定の燃焼段階において第2のノズルに燃料が供給されていなかったとしても、所定時間が経過することにより、第2燃料供給路に燃料が供給されるため、第2のノズルの先端の油硬化(または粘化)を防止することができる。その結果、第2のノズルの噴霧不良や、流量低下を抑制することができる。
【0008】
好ましくは、前記第2燃料供給路は、主経路と副経路とを含み、前記第2流量調整部は、前記主経路に設けられた主流量調整部と前記副経路に設けられた副流量調整部とを含み、前記制御部は、前記所定の燃焼段階において前記主流量調整部および前記副流量調整部を閉状態に制御し、当該所定の燃焼段階において所定期間が経過することにより前記副流量調整部を開状態に制御した後に閉状態に制御する。
【0009】
上記の構成によれば、所定の燃焼段階における第2流量調整部の開閉制御は、副流量調整部で行うため、第2のノズルの先端の油硬化(または粘化)を防止するために必要な燃料の流量を、当該第2のノズルへ供給することができる。
【0010】
好ましくは、前記副経路には、前記液体燃料の圧力を低下させるための減圧部が設けられている。
【0011】
上記の構成によれば、副流量調整部には減圧部が設けられているため、ノズルより噴霧される燃料の圧力が低下し、所定の燃焼段階に応じた燃料の供給への影響を極力与えないように抑制しつつ、第2のノズルの先端の油硬化(または粘化)を防止することができる。
【0012】
好ましくは、前記所定の燃焼段階は、低燃焼段階である。
【0013】
上記の構成によれば、低燃焼段階に応じた燃料の供給がされていたとしても、第1のノズルおよび第2のノズルのいずれにも燃料が供給されるため、ノズルの先端の油硬化(または粘化)を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ボイラの概略構成を模式的に示す図である。
図2】ボイラの制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<概略構成について>
以下に、図1を参照しつつ、本発明の実施の形態に係るボイラ1について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るボイラ1の構成を模式的に示す図である。
【0016】
ボイラ1は、燃料を燃焼させて蒸気を生成するボイラ本体2と、ボイラ本体2の上部に設けられたウィンドボックス7を介してボイラ本体2内に空気を送り込む送風機3と、ボイラ本体2内のバーナ10へ燃料を供給する燃料供給路6と、燃焼段階に応じてボイラ本体2内への空気供給流量および燃料供給流量を制御する制御装置(制御部)4とを備えている。なお、本実施の形態に係るボイラ1は、燃料として魚油を用いる油焚きボイラである例について説明する。
【0017】
燃料供給路6には、メイン流量調整弁61aが設けられている。メイン流量調整弁61aは、開度調整が可能な絞り弁であり、たとえばモータバルブにより構成される。なお、メイン流量調整弁61aは、開状態と閉状態とに切り替え可能な開閉弁であってもよい。さらに、燃料供給路6は、メイン流量調整弁61aより下流において第1燃料供給路62と、第2燃料供給路とに分岐している。第2燃料供給路は、主経路63と、バイパスとして副経路64とに分岐している。
【0018】
本実施の形態に係るバーナ10は、例えば圧力噴霧式のバーナである。第1燃料供給路62の下流には、バーナ10の第1のノズル(図示しない)が接続され、第2燃料供給路の下流には、バーナ10の第2のノズル(図示しない)が接続されている。第1のノズルおよび、第2のノズル各々には、燃焼段階に応じて燃料が供給される。ボイラ1では、第1燃料供給路62、および、第2燃料供給路の各々を流通する油自身の圧力によって、バーナ10のノズルチップ(第1のノズル、および第2のノズル)からボイラ本体2内の燃焼室内に油が噴霧され、空気と混合されることで燃焼が行われる。
【0019】
第1燃料供給路62には、第1のノズルへ供給する燃料の流量を調整する第1流量調整弁62aが設けられている。第1流量調整弁62aは、低燃焼段階、および、高燃焼段階において開状態に制御されて燃料の流量を調整する。第2燃料供給路には、第2のノズルへ供給する燃料の流量を調整する弁として、主経路63に主流量調整弁63aが設けられ、副経路64に副流量調整弁64aが設けられている。主流量調整弁63aは、低燃焼段階において閉状態に制御され、高燃焼段階において開状態に制御されて燃料の流量を調整する。一方、副流量調整弁64aは、低燃焼段階および高燃焼段階のいずれにおいても基本的に閉状態に制御されるが、後述するように低燃焼段階において所定時間が経過することにより開状態に制御された後に閉状態に制御される。
【0020】
第2燃料供給路では、主流量調整弁63aと、副流量調整弁64aとの下流において、副経路64が主経路63と合流した後に、第2のノズルに接続される。副経路64のうち、副流量調整弁64aの上流には、副経路64を流通する燃料の圧力を低下させるオリフィス8が複数(図1では3つ)設けられている。以下、主経路63および副経路64をまとめて、第2燃料供給路ともいい、主流量調整弁63aおよび副流量調整弁64aをまとめて、第2流量調整弁ともいう。また、第1流量調整弁62aおよび、第2流量調整弁は、開状態および閉状態の2つの状態に切り替え可能なバルブ(弁)、すなわち切り替えバルブである。
【0021】
ボイラ1の燃焼状態は、ボイラ1の運転・動作を制御する制御装置(制御部)4によって、燃焼段階(燃焼量)に応じた態様で、送風機3と、メイン流量調整弁61a、第1流量調整弁62a、第2流量調整弁の各々の開度とが制御(調整)されることにより、低燃焼段階(例えば燃焼量50%)、高燃焼段階(例えば燃焼量100%)、および燃焼停止のいずれかに段階的に制御される。制御装置4は、内部にメモリ、タイマ、および演算処理部を含むコンピュータにより実現される。
【0022】
ボイラ1が低燃焼段階であるときにおいて、制御装置4は、第1流量調整弁62aを開状態に制御し、第2流量調整弁が閉状態となるように制御する。これにより、低燃焼段階においては基本的に第1のノズルのみから燃料が噴霧されるため、ボイラ本体2へ低燃焼段階に応じた燃料が供給されるようになる。
【0023】
ボイラ1が高燃焼段階であるときにおいては、制御装置4は、第1流量調整弁62aおよび、第2流量調整弁の主流量調整弁63aが開状態となるように制御する。これにより、第1のノズルおよび第2のノズル各々から燃料が噴霧されるため、ボイラ本体2へ高燃焼段階に応じた燃料が供給されるようになる。また、ボイラ1を燃焼停止する際は、制御装置4は、メイン流量調整弁61a、第1流量調整弁62a、および第2流量調整弁の各々が閉状態となるように制御する。
【0024】
ここで、魚油などの空気に触れると酸化重合するといった特性を有する油燃料を使用する場合、ノズルの先端に残留する油が、酸化重合によって硬化または粘化してしまいやすい。そのため、燃焼段階によって複数のノズルが制御されるボイラにおいて、例えば、低燃焼段階においては使用されないノズル(例えば、本実施の形態においては、高燃焼段階で使用される第2ノズル)があった場合、低燃焼段階での燃焼時間が長くなると、使用されていないノズルの先端が硬化により詰まりが発生する虞があった。
【0025】
本実施の形態においては、低燃焼段階において、制御装置4のタイマが、経過時間Tを計時する。制御装置4は、計時される経過時間タイマ(以下、経過時間Tともいう)が、所定時間(例えば15分)経過することにより、第2供給路の副経路64(バイパス)の副流量調整弁64aを開閉制御する。これにより、低燃焼段階においても、第1のノズルのみならず、第2のノズルからも、定期的に油が噴霧され、先端の残留油の入れ替えが行われるため、しばらく使用されていなかったことによる第2ノズルの先端の油硬化(または粘化)を防止することができる。その結果、第2ノズルの噴霧不良や、流量低下を抑制することができる。また、副流量調整弁64aの開閉制御は、所定時間経過したときの短い時間(例えば開状態1秒)だけであるため、第2のノズルから燃料が噴霧されても、低燃焼の燃焼状態に影響を極力与えないように抑制しつつ、燃焼状態の安定を維持できる。
【0026】
<ボイラ制御処理について>
図2は、本実施の形態のボイラの制御の一例を示すためのフローチャートである。制御装置4は、一定時間(例えば1秒)毎に本制御を行い、ボイラ1の運転中は継続して本制御を実行する。
【0027】
ステップS01では、ボイラ1における燃焼段階が低燃焼中であるか否かを判定する。ステップS01において、低燃焼中であると判定されたときには、ステップS02に進む。
【0028】
ステップS02では、経過時間Tが計時され、ステップS03に進む。ステップS03では、ステップS02で計時されている経過時間Tが、所定時間(例えば15分)経過しているか否かを判定する。所定時間経過していると判定されなかったときは、処理を終了する。一方、経過時間Tが、所定時間経過していると判定されたときには、ステップS04に進む。
【0029】
ステップS04では、バイパス(副経路64の副流量調整弁64a)の開閉制御(例えば開状態1秒)が行われる。これにより、低燃焼段階であるときに、低燃焼段階においては使用されない第2のノズルからも燃料が噴霧される。
【0030】
ステップS04において、バイパス開閉制御がされたあとは、ステップS05に進み、経過時間Tがリセットされ、処理を終了する。
【0031】
ステップS01に戻り、低燃焼中であると判定されなかったときには、ステップS06に進む。ステップS06では、ボイラ1の燃焼段階が高燃焼への切り替え時(切り替えタイミング)であるか否かを判定する。高燃焼への切り替え時であると判定されなかったときには、すでに高燃焼段階であり、第1ノズル、および第2ノズルのいずれのノズルも使用されているため、処理を終了する。
【0032】
一方、ステップS06において、高燃焼への切り替え時であると判定されたときには、ステップS05に進む。ステップS05では、低燃焼段階において計時されていた経過時間Tがリセットされ、処理を終了する。
【0033】
以上により、本実施の形態に係るボイラ1では、低燃焼段階において、第1流量調整弁62aを開状態に制御しつつ、第2燃料供給経路(主経路63、副経路64)の第2流量調整弁(主流量調整弁63a、副流量調整弁64a)を閉状態に制御し、所定時間経過することにより(所定時間経過毎に)、副流量調整弁64aを開状態から閉状態に開閉制御する。これにより、所定の燃焼段階(例えば、低燃焼段階)において、第2のノズルに燃料が供給されていなかったとしても、所定時間経過することにより(所定時間経過毎に)、第2燃料供給路に燃料が供給されるため、第2のノズルの先端の油硬化(または粘化)を防止することができる。その結果、第2のノズルの噴霧不良や、流量低下を抑制することができる。
【0034】
また、副流量調整弁64aは、第2燃料供給路の主経路53からバイパスとして分岐した副経路64に設けられている。その結果、第2のノズルの先端の油硬化(または粘化)を防止するために必要な燃料の流量を、第2のノズルへ供給することができる。
【0035】
さらに、副経路64には、オリフィス8が設けられているため、ノズルより噴霧される燃料の圧力が低下し、低燃焼段階に応じた燃料の供給への影響を極力与えないように抑制しつつ、第2のノズルの先端の油硬化(または粘化)を防止することができる。
【0036】
本発明では、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例などについて説明する。
【0037】
上記実施形態では、液体燃料として魚油が用いられる例について説明した。しかし、これに限らず、酸化重合によって硬化(または粘化)しやすい、あるいは、酸化重合によって硬化(または粘化)することが有り得る燃料であれば、その他の燃料(例えば、他の動物性油脂として、牛や豚の脂や、植物性の油など)を用いるバーナを備えたボイラに本発明を適用することができる。
【0038】
上記実施形態では、高燃焼段階においては、第1のノズル、および第2のノズルのいずれからも燃料が噴霧されるバーナを備えたボイラの例について説明した。しかし、これに限らず、燃焼段階に応じて使い分けられる複数のノズルを備えたボイラであって、例えば、低燃焼段階においては使用されるが、高燃焼段階においては使用されないノズルがあるバーナを備えたボイラに適用してもよい。この場合、低燃焼段階において使用されるノズルへ燃料を供給する燃料供給路に、本実施形態の副経路64と同様のバイパスを設け、高燃焼段階が所定時間経過する毎に、バイパスの開閉制御を行うようにする。
【0039】
上記実施形態では、バーナ10は、圧力噴霧式のバーナである例について説明した。しかし、これに限らず、回転式バーナや、霧化媒体を使用するバーナであってもよい。この場合、副経路64にオリフィス8を設けず、あるいは、オリフィス8に加えて、副経路64を流通する燃料の流量が、燃焼段階に影響を与えない程度の噴霧量が第2のノズルから噴射される流量となる程度まで、副流量調整弁64aが開状態となるときの開度があらかじめ絞られているものとする。
【0040】
上記実施形態では、副経路64にオリフィス8が3つ設けられる例について説明した。しかし、これに限らず、燃焼段階に影響を与えない程度の噴霧量となるように減圧することができれば、例えば、1つだけ、あるいは4つ以上などとしてもよい。また、オリフィス8は、副流量調整弁64aより上流に設けられる例について説明した。しかし、第2のノズルへ供給される燃料の圧力が減圧されていればよく、副流量調整弁64aよりも下流に設けられていてもよい。
【0041】
上記実施形態では、副流量調整弁64aの開閉制御を所定時間として15分経過毎に、1秒だけ開状態にする例について説明した。しかし、これに限らず、燃料として用いられる油の種類や、ノズルの大きさ(例えば、ノズルチップの孔径の大小)などに応じて、硬化するまでに要する平均の時間より短い時間を所定時間とし、ノズルの先端に残留した燃料を十分に入れ替えることができる時間だけ開状態にすることができる。
【0042】
上記実施形態では、第1流量調整弁62aおよび、第2流量調整弁は、開状態および閉状態の2つの状態に切り替え可能なバルブ(弁)である例について説明した。しかし、これに限らず、第1流量調整弁62aおよび、第2流量調整弁が、開度調整が可能な絞り弁であってもよい。この場合、第1流量調整弁62a、および、主流量調整弁63aは、燃焼段階に応じた燃料の流量がバーナへ供給されるよう制御される。また、副流量調整弁64aは、例えば低燃焼段階において、副経路64を流通する燃料の流量が、燃焼段階に影響を与えない程度の噴霧量が第2のノズルから噴射される流量となる開度に開くように制御する。
【0043】
上記実施形態では、副流量調整弁64aは、低燃焼段階および高燃焼段階のいずれにおいても基本的に閉状態に制御される例について説明した。しかし、これに限らず、高燃焼段階においては、主流量調整弁63aとともに開状態となるものとしてもよい。
【0044】
上記実施の形態においては、ボイラ1が、低燃焼状態、高燃焼状態、および燃焼停止状態のいずれかに制御可能となるいわゆる三位置制御ボイラにより構成される例について説明した。しかし、ボイラ1を構成するボイラは、これに限らず、例えば、三位置制御ボイラに替えて、低燃焼状態、中燃焼状態、高燃焼状態、および燃焼停止状態のいずれかに制御可能となるいわゆる四位置制御ボイラであってもよい。例えば、中燃焼段階(および高燃焼段階)において使用される第3のノズルを設け、第3のノズルへ燃料を供給する燃料供給路に、本実施形態の副経路64と同様のバイパスを設けるようにし、低燃焼段階において、所定時間が経過することにより、バイパスに設けられた開閉弁を開閉することで、第3のノズルの油硬化(または粘化)を抑制するものとしてもよい。また、ボイラ1を構成するボイラは、負荷率を連続的に変化するように制御可能となるいわゆる比例制御ボイラであってもよい。例えば、負荷率20%~50%まで比例制御可能な比例制御状態と、比例制御状態よりも負荷率が高い高燃焼状態とに制御可能となるようなボイラであってもよい。この場合、所定の燃焼量以下の状態を、前記比例制御状態における負荷率が、例えば50%以下の範囲、具体的には、20%~30%の範囲である場合を低燃焼段階として判断することができる。
【0045】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0046】
1 ボイラ
2 ボイラ本体
3 送風機
4 制御装置(制御部)
6 燃料供給路
7 ウィンドボックス
8 オリフィス(減圧部)
10 バーナ
61a メイン燃料流量調整弁
62 第1燃料供給路
62a 第1流量調整弁(第1流量調整部)
63 主経路
63a 主流量調整弁(主流量調整部)
64 副経路(バイパス)
64a 副流量調整弁(副流量調整部)


図1
図2