IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128571
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20240913BHJP
   H10B 43/00 20230101ALI20240913BHJP
   H10B 43/20 20230101ALI20240913BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240913BHJP
   H01L 27/00 20060101ALI20240913BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H01L21/88 T
H10B43/00
H10B43/20
H01L29/78 371
H01L27/00 301B
H01L27/088 E
H01L21/88 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037602
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】清村 雄也
(72)【発明者】
【氏名】川西 絢子
(72)【発明者】
【氏名】田口 雄太
(72)【発明者】
【氏名】渡會 亜友美
(72)【発明者】
【氏名】久米 一平
【テーマコード(参考)】
5F033
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F033HH11
5F033HH18
5F033HH19
5F033HH21
5F033HH32
5F033JJ11
5F033JJ18
5F033JJ21
5F033JJ32
5F033KK11
5F033KK18
5F033KK19
5F033KK21
5F033KK32
5F033LL07
5F033MM02
5F033MM08
5F033MM12
5F033MM13
5F033MM19
5F033NN06
5F033NN07
5F033NN32
5F033QQ48
5F033QQ73
5F033VV07
5F033VV16
5F033WW02
5F048AA07
5F048AB01
5F048AC01
5F048BF07
5F048BF11
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F083EP17
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083ER02
5F083ER03
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA27
5F083PR03
5F083PR28
5F101BA41
5F101BB02
5F101BC02
5F101BC11
5F101BD16
5F101BD34
5F101BH23
5F101BH30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体装置の歩留りを向上させる。
【解決手段】メモリシステムにおいて、メモリデバイスは、第1電極120を含む第1チップ100と、第2電極220を含む第2チップ200と、を備える。第1電極は、第2電極と接する第1面、第1面と対向する第2面及び第1面と第2面との間の第3面を有し、第1面側の第1部分(界面部)P1a及び第2面側の第2部分(底部)P1bを含む第1導電膜(コアメタル膜)122-1と、第1導電膜の第2面及び第3面を覆う第2導電膜(バリアメタル膜)121-1と、を含む。第1部分に含まれる銅の(111)配向比率は、第2部分に含まれる銅の(111)配向比率より高い。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極を含む第1チップと、
第2電極を含む第2チップと、
を備え、
前記第1電極は、
前記第2電極と接する第1面、前記第1面と対向する第2面、及び前記第1面と前記第2面との間の第3面を有する第1導電膜と、
前記第1導電膜の前記第2面及び前記第3面を覆う第2導電膜と、
を含み、
前記第1導電膜のうち前記第1面側の第1部分に含まれる銅の(111)配向比率は、前記第1導電膜のうち前記第2面側の第2部分に含まれる銅の(111)配向比率より高い、
半導体装置。
【請求項2】
前記第2導電膜は、前記第2面を覆う第3部分、及び前記第3面を覆う第4部分を含み、
前記第3部分の膜厚は、前記第4部分の膜厚より厚い、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2導電膜は、単層膜であり、
前記第4部分は、前記第1部分に属する前記第3面を覆う第1サブ部分、及び前記第2部分に属する前記第3面を覆う第2サブ部分を含む、
請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2導電膜は、第1サブ導電膜、及び前記第1サブ導電膜を覆う第2サブ導電膜を含む積層膜であり、
前記第4部分は、前記第1部分に属する前記第3面を覆う第1サブ部分、及び前記第2部分に属する前記第3面を覆う第2サブ部分を含む、
請求項2記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1導電膜の前記第3面は、前記第1導電膜の前記第1部分に属する第1サブ面、及び前記第1導電膜の前記第2部分に属する第2サブ面を含み、
前記第1サブ面は、前記第2サブ面の延長と略一致する、
請求項1記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2個のチップを貼り合わせて構成される半導体装置が知られている。チップ間は、貼合パッドを介して電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-150226号公報
【特許文献2】特開2021-044347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の歩留りを向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1電極を含む第1チップと、第2電極を含む第2チップと、を備える。上記第1電極は、第1導電膜と、第2導電膜と、を含む。上記第1導電膜は、上記第2電極と接する第1面、上記第1面と対向する第2面、及び上記第1面と上記第2面との間の第3面を有する。上記第2導電膜は、上記第1導電膜の上記第2面及び上記第3面を覆う。上記第1導電膜の上記第1面側の第1部分に含まれる銅の(111)配向比率は、上記第1導電膜の上記第2面側の第2部分に含まれる銅の(111)配向比率より高い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係るメモリデバイスを含むメモリシステムの構成の一例を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図。
図3】第1実施形態に係るメモリデバイスの貼合構造の概要を示す斜視図。
図4】第1実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の一例を示す断面図。
図5】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図6】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図7】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図8】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図9】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図10】第1実施形態の変形例に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の一例を示す断面図。
図11】第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第1例を示す断面図。
図12】第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第2例を示す断面図。
図13】第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第3例を示す断面図。
図14】第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第4例を示す断面図。
図15】第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第5例を示す断面図。
図16】第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第6例を示す断面図。
図17】第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第7例を示す断面図。
図18】第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第8例を示す断面図。
図19】第3実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第1例を示す断面図。
図20】第3実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第2例を示す断面図。
図21】第3実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第3例を示す断面図。
図22】第3実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第4例を示す断面図。
図23】第3実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第5例を示す断面図。
図24】第3実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第6例を示す断面図。
図25】第1実施例に係る銅の(111)配向比率の測定結果を示す図。
図26】第2実施例に係る銅の(111)配向比率の測定結果を示す図。
図27】第3実施例に係る銅の(111)配向比率の測定結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。図面の寸法及び比率は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
【0008】
なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。同様の構成を有する要素同士を特に区別する場合、同一符号の末尾に、互いに異なる文字又は数字を付加する場合がある。
【0009】
1. 第1実施形態
1.1 構成
1.1.1 メモリシステムの構成
図1は、第1実施形態に係るメモリデバイスを含むメモリシステムの構成の一例を示すブロック図である。メモリシステム1は、外部のホスト(図示せず)に接続されるように構成された記憶装置である。メモリシステム1は、例えば、SDTMカードのようなメモリカード、UFS(universal flash storage)、SSD(solid state drive)である。メモリシステム1は、メモリコントローラ2及びメモリデバイス3を含む。
【0010】
メモリコントローラ2は、例えば、SoC(system-on-a-chip)のような集積回路で構成される。メモリコントローラ2は、ホストからの要求に基づいて、メモリデバイス3を制御する。具体的には、例えば、メモリコントローラ2は、ホストから書込みを要求されたデータをメモリデバイス3に書き込む。また、メモリコントローラ2は、ホストから読出しを要求されたデータをメモリデバイス3から読み出してホストに送信する。
【0011】
メモリデバイス3は、半導体装置の一例である半導体記憶装置である。メモリデバイス3は、例えば、NANDフラッシュメモリである。メモリデバイス3は、不揮発にデータを記憶する不揮発性メモリである。
【0012】
メモリコントローラ2とメモリデバイス3との通信は、例えば、SDR(single data rate)インタフェース、トグルDDR(double data rate)インタフェース、又はONFI(Open NAND flash interface)に準拠する。
【0013】
1.1.2 メモリデバイスの構成
引き続き、図1に示すブロック図を参照して、第1実施形態に係るメモリデバイスの内部構成について説明する。メモリデバイス3は、例えばメモリセルアレイ10、コマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、並びにセンスアンプモジュール16を備える。
【0014】
メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK0~BLKn(nは1以上の整数)を含む。メモリセルアレイ10に含まれるブロックBLKの数は、1個でもよい。ブロックBLKは、複数のメモリセルの集合である。ブロックBLKは、例えばデータの消去単位として使用される。また、メモリセルアレイ10には、複数のビット線及び複数のワード線が設けられる。各メモリセルは、例えば1本のビット線と1本のワード線とに関連付けられる。メモリセルアレイ10の詳細な構成については後述する。
【0015】
コマンドレジスタ11は、メモリデバイス3がメモリコントローラ2から受信したコマンドCMDを記憶する。コマンドCMDは、例えばシーケンサ13に読み出し動作、書き込み動作、消去動作等を実行させる命令を含む。
【0016】
アドレスレジスタ12は、メモリデバイス3がメモリコントローラ2から受信したアドレス情報ADDを記憶する。アドレス情報ADDは、例えばブロックアドレスBAd、ページアドレスPAd、及びカラムアドレスCAdを含む。例えば、ブロックアドレスBAd、ページアドレスPAd、及びカラムアドレスCAdは、それぞれブロックBLK、ワード線、及びビット線の選択に使用される。
【0017】
シーケンサ13は、メモリデバイス3全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ13は、コマンドレジスタ11に保持されたコマンドCMDに基づいてドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16等を制御して、読出し動作、書込み動作、消去動作等を実行する。
【0018】
ドライバモジュール14は、読出し動作、書込み動作、消去動作等で使用される電圧を生成する。そして、ドライバモジュール14は、例えばアドレスレジスタ12に記憶されたページアドレスPAdに基づいて、選択されたワード線に対応する信号線に生成した電圧を印加する。
【0019】
ロウデコーダモジュール15は、アドレスレジスタ12に記憶されたブロックアドレスBAdに基づいて、対応するメモリセルアレイ10内の1つのブロックBLKを選択する。そして、ロウデコーダモジュール15は、例えば選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線に転送する。
【0020】
センスアンプモジュール16は、書込み動作において、メモリコントローラ2から受信した書込みデータDATに応じて、各ビット線に所望の電圧を印加する。また、センスアンプモジュール16は、読出し動作において、ビット線の電圧に基づいてメモリセルに記憶されたデータを判定し、判定結果を読出しデータDATとしてメモリコントローラ2に転送する。
【0021】
1.1.3 メモリセルアレイの回路構成
図2は、第1実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図である。図2では、メモリセルアレイ10に含まれる複数のブロックBLKのうちの1個のブロックBLKが示される。図2に示すように、ブロックBLKは、例えば4個のストリングユニットSU0~SU3を含む。
【0022】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL0~BLm(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含む。ビット線BLの数は、1本でもよい。各NANDストリングNSは、例えばメモリセルトランジスタMT0~MT7、並びに選択トランジスタST1及びST2を含む。各メモリセルトランジスタMTは、制御ゲート及び電荷蓄積部を含み、データを不揮発に保持する。選択トランジスタST1及びST2のそれぞれは、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。
【0023】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MT7は、直列接続される。選択トランジスタST1のドレインは、関連付けられたビット線BLに接続される。選択トランジスタST1のソースは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT7の一端に接続される。選択トランジスタST2のドレインは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT7の他端に接続される。選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに接続される。
【0024】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MT7の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に接続される。ストリングユニットSU0~SU3内の選択トランジスタST1のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD0~SGD3に接続される。複数の選択トランジスタST2のゲートは、選択ゲート線SGSに接続される。
【0025】
ビット線BL0~BLmには、それぞれ異なるカラムアドレスが割り当てられる。各ビット線BLは、複数のブロックBLK間で同一のカラムアドレスが割り当てられたNANDストリングNSによって共有される。ワード線WL0~WL7のそれぞれは、ブロックBLK毎に設けられる。ソース線SLは、例えば複数のブロックBLK間で共有される。
【0026】
1個のストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、例えばセルユニットCUと呼ばれる。例えば、それぞれが1ビットデータを記憶するメモリセルトランジスタMTを含むセルユニットCUの記憶容量が、「1ページデータ」として定義される。セルユニットCUは、メモリセルトランジスタMTが記憶するデータのビット数に応じて、2ページデータ以上の記憶容量を有し得る。
【0027】
なお、第1実施形態に係るメモリデバイス3が備えるメモリセルアレイ10の回路構成は、以上で説明した構成に限定されない。例えば、各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数は、任意の個数に設計され得る。各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMT並びに選択トランジスタST1及びST2の個数は、それぞれ任意の個数に設計され得る。
【0028】
1.1.4 メモリデバイスの貼合構造
図3は、第1実施形態に係るメモリデバイスの貼合構造の概要を示す斜視図である。
【0029】
図3に示すように、メモリデバイス3は、メモリチップ100及び回路チップ200を備える。メモリチップ100は、メモリセルアレイ10に対応する構造を含む。回路チップ200は、例えば、コマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16に対応する構造を含む。
【0030】
また、メモリチップ100及び回路チップ200の各々は、複数の貼合パッドBPを含む。メモリデバイス3は、メモリチップ100と回路チップ200とが、複数の貼合パッドBPを介して貼り合わされて形成される。
【0031】
以下では、メモリチップ100及び回路チップ200が貼り合わされる面(貼合面)に平行な面をXY面とする。XY面において互いに直交する方向をX方向及びY方向とする。また、XY平面に略垂直な方向をZ方向とする。また、説明の便宜上、Z方向のうち、回路チップ200からメモリチップ100に向かう方向を上方向と呼び、メモリチップ100から回路チップ200に向かう方向を下方向と呼ぶものとする。
【0032】
1.1.5 貼合パッドの断面構造
次に、貼合パッドBPの断面構造について説明する。
【0033】
図4は、第1実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の一例を示す断面図である。図4の例では、メモリチップ100と回路チップ200との間を貼合面を介して電気的に接続する1組の貼合パッドBPの断面構造が示される。図4に示されるように、メモリチップ100は、配線層110、電極120、及び絶縁体層130を含む。回路チップ200は、配線層210、電極220、及び絶縁体層230を含む。
【0034】
まず、メモリチップ100側の構成について説明する。
【0035】
配線層110は、例えば、導電材料として銅又はタングステンを含む。配線層110の下面上に、電極120が設けられる。
【0036】
電極120は、メモリチップ100側の貼合パッドBPとして用いられる。電極120は、Z方向に延びる。電極120は、ビア部V1及びパッド部P1に分類される。パッド部P1は、界面部P1a及び底部P1bに更に分類される。界面部P1aは、貼合面を有する。底部P1bは、界面部P1aに対して貼合面と反対側に位置し、界面部P1aとビア部V1との間を接続する。ビア部V1は、底部P1bに対して貼合面と反対側に位置する。底部P1bの上面及びビア部V1の上面は、界面部P1aの下面(つまり、貼合面)と対向する。界面部P1aの側面は、底部P1bの側面の延長と略一致する。ビア部V1の側面は、パッド部P1の側面の延長と一致しない。ビア部V1の上面は、配線層110に接する。界面部P1aの下面は、電極220に接する。ビア部V1の側面、底部P1bの上面及び側面、並びに界面部P1aの側面は、絶縁体層130に接する。
【0037】
Z方向に見て、ビア部V1の上面は、底部P1bとビア部V1との境界面より小さい。Z方向に見て、底部P1bとビア部V1との境界面は、界面部P1aの下面よりも小さい。すなわち、パッド部P1の側面及びビア部V1の側面は、テーパ形状を有する。
【0038】
また、電極120は、バリアメタル膜121-1及びコアメタル膜122-1を含む。
【0039】
バリアメタル膜121-1は、コアメタル膜122-1の貼合面を除く全面を覆うように設けられる単層の導電膜である。バリアメタル膜121-1の下端は、貼合面に達する。バリアメタル膜121-1は、コアメタル膜122-1と絶縁体層130との間、及びコアメタル膜122-1と配線層110との間に設けられる。バリアメタル膜121-1は、例えば、チタン、タンタル、又は窒化タンタルを含む。バリアメタル膜121-1は、コアメタル膜122-1の絶縁体層130等への拡散を抑制する機能を有する。
【0040】
バリアメタル膜121-1の膜厚は、ビア部V1、及び底部P1bの各々の上面において最も厚い。ビア部V1、底部P1b、及び界面部P1aの各々の側面におけるバリアメタル膜121-1の膜厚は、ビア部V1、及び底部P1bの各々の上面におけるバリアメタル膜121-1の膜厚の0.1倍以上0.5倍未満となる。上述した膜厚の範囲内で、ビア部V1、底部P1b、及び界面部P1aの各々の側面におけるバリアメタル膜121-1の膜厚は、貼合面からの距離に応じて変化していてもよいし、略均一であってもよい。以下では、バリアメタル膜121-1に適用されているこのような膜厚に関する特徴を、“膜厚パターンA”とも呼ぶ。
【0041】
コアメタル膜122-1は、バリアメタル膜121-1の内側を埋め込むように設けられる導電膜である。コアメタル膜122-1は、例えば、銅を含む。コアメタル膜122-1のうち界面部P1aに属する部分における銅の(111)配向比率は、コアメタル膜122-1のうちビア部V1及び底部P1bに属する部分における銅の(111)配向比率より高い。ここで、銅の(111)配向比率とは、銅の(111)配向面以外の配向面(例えば、(100)配向面)の回折強度に対する、(111)配向面の回折強度の比率である。回折強度は、所定の配向面における回折ピークの強度である。回折強度は、例えば、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)や電子線後方散乱回折(ESBD:Electron Back Scattered Diffraction)等の手法を用いて得られる。
【0042】
次に、回路チップ200側の構成について説明する。
【0043】
配線層210は、例えば、導電材料として銅又はタングステンを含む。配線層210の上面上に、電極220が設けられる。
【0044】
電極220は、回路チップ200側の貼合パッドBPとして用いられる。電極220は、Z方向に延びる。電極220は、ビア部V2及びパッド部P2に分類される。パッド部P2は、界面部P2a及び底部P2bに更に分類される。界面部P2aは、貼合面を有する。底部P2bは、界面部P2aに対して貼合面と反対側に位置し、界面部P2aとビア部V2との間を接続する。ビア部V2は、底部P2bに対して貼合面と反対側に位置する。底部P2bの下面及びビア部V2の下面は、界面部P2aの上面(つまり、貼合面)と対向する。界面部P2aの側面は、底部P2bの側面の延長と略一致する。ビア部V2の側面は、パッド部P2の側面の延長と一致しない。界面部P2aの上面は、電極120に接する。ビア部V2の下面は、配線層210に接する。ビア部V2の側面、底部P2bの下面及び側面、並びに界面部P2aの側面は、絶縁体層230に接する。
【0045】
Z方向に見て、ビア部V2の下面は、底部P2bとビア部V2との境界面より小さい。Z方向に見て、底部P2bとビア部V2との境界面は、界面部P2aの上面よりも小さい。すなわち、パッド部P2の側面及びビア部V2の側面は、テーパ形状を有する。
【0046】
また、電極220は、バリアメタル膜221-1及びコアメタル膜222-1を含む。
【0047】
バリアメタル膜221-1は、コアメタル膜222-1の貼合面を除く全面を覆うように設けられる単層の導電膜である。バリアメタル膜221-1の上端は、貼合面に達する。バリアメタル膜221-1は、コアメタル膜222-1と絶縁体層230との間、及びコアメタル膜222-1と配線層210との間に設けられる。バリアメタル膜221-1は、例えば、チタン、タンタル、又は窒化タンタルを含む。バリアメタル膜221-1は、コアメタル膜222-1の絶縁体層230等への拡散を抑制する機能を有する。
【0048】
バリアメタル膜221-1は、膜厚パターンAを有する。すなわち、バリアメタル膜221-1の膜厚は、ビア部V2、及び底部P2bの各々の下面において最も厚い。ビア部V2、底部P2b、及び界面部P2aの各々の側面におけるバリアメタル膜221-1の膜厚は、ビア部V2、及び底部P2bの各々の下面におけるバリアメタル膜221-1の膜厚の0.1倍以上0.5倍未満の範囲となる。上述した膜厚の範囲内で、ビア部V2、底部P2b、及び界面部P2aの各々の側面におけるバリアメタル膜221-1の膜厚は、貼合面からの距離に応じて変化していてもよいし、略均一であってもよい。
【0049】
コアメタル膜222-1は、バリアメタル膜221-1の内側を埋め込むように設けられる導電膜である。コアメタル膜222-1は、例えば、銅を含む。コアメタル膜222-1のうち界面部P2aに属する部分における銅の(111)配向比率は、コアメタル膜222-1のうちビア部V2及び底部P2bに属する部分における銅の(111)配向比率より高い。
【0050】
このように、電極120及び220の構成は、貼合面に関して対称な構成となり得る。
【0051】
上述したコアメタル膜122-1及び222-1に含まれる銅の(111)配向比率は、コアメタル膜122-1及び222-1に含まれる銅の熱膨張特性及び相互拡散特性に影響を与える。
【0052】
具体的には、(111)配向の銅は、(100)配向の銅より熱膨張率が低い。言い換えると、(111)配向比率が低い銅は、(111)配向比率が高い銅よりも熱膨張率が高い。このため、コアメタル膜122-1のうちビア部V1及び底部P1bに属する部分は、コアメタル膜122-1のうち界面部P1aに属する部分よりも熱膨張率が高くなる。同様に、コアメタル膜222-1のうちビア部V2及び底部P2bに属する部分は、コアメタル膜222-1のうち界面部P2aに属する部分よりも熱膨張率が高くなる。
【0053】
また、(111)配向の銅は、(100)配向の銅より相互拡散速度が高い。言い換えると、(111)配向比率が高い銅は、(111)配向比率が低い銅よりも相互拡散速度が高い。このため、コアメタル膜122-1のうち界面部P1aに属する部分は、コアメタル膜122-1のうちビア部V1及び底部P1bに属する部分よりも相互拡散速度が高くなる。同様に、コアメタル膜222-1のうち界面部P2aに属する部分は、コアメタル膜222-1のうちビア部V2及び底部P2bに属する部分よりも相互拡散速度が高くなる。
【0054】
なお、図4の例では、貼合面における電極120の面積と電極220の面積とは、略等しい。このような場合、コアメタル膜122-1に含まれる銅と、コアメタル膜222-1に含まれる銅とが一体化して、互いの銅の境界の確認が困難となり得る。但し、貼り合わせの位置ずれによる電極120と電極220とを貼り合わせた形状の歪み、バリアメタル膜121-1とバリアメタル膜221-1との間の位置ずれ(側面における不連続箇所の発生)により貼り合わせが確認できる。
【0055】
また、上述の通り、パッド部P1の側面及びパッド部P2の側面はテーパ形状を有する。このため、電極120と電極220とを貼り合わせた部分におけるZ方向に沿った断面の形状は、側壁が直線状とはならず、非矩形状となる。
【0056】
また、電極120及び電極220を一体の電極層として見た場合、当該一体の電極層は、コアメタル膜122-1及び222-1に用いられる銅の全面をバリアメタル膜121-1及び221-1が覆う構造となる。これに対し、銅を用いた一般的な配線層では、銅の上面に銅の酸化防止機能を有する絶縁体層(窒化シリコンまたは炭窒化シリコン等)が設けられ、バリアメタル膜は設けられていない。このため、貼り合わせの位置ずれが発生していなくても、一般的な配線層との区別は可能である。
【0057】
1.2 製造方法
図5図9は、第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図である。図5図8では、メモリデバイス3のうち回路チップ200側の貼合パッドBPの製造途中の断面構造の一部が示される。図9では、メモリチップ100と回路チップ200とが貼り合わせられる際の断面構造の一部が示される。
【0058】
まず、半導体基板(図示せず)の上部に、コマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16に対応する回路(図示せず)が形成される。そして、当該回路の上方に配線層210が設けられる。配線層210は、例えば、Z方向に延びる導電体(図示せず)を介して、上述の回路と電気的に接続される。
【0059】
次に、図5に示されるように、配線層210の上面上に、絶縁体層230が設けられる。そして、絶縁体層230、例えば、デュアルダマシン法を用いて、電極220に対応するホールHが形成される。すなわち、ホールHの形状は、パッド部P2及びビア部V2の形状に対応する。ホールHのうち、ビア部V2の下面に対応する面には、配線層210が露出する。
【0060】
次に、図6に示されるように、全面にわたって、バリアメタル膜221Lが設けられる。バリアメタル膜221Lの形成では、成膜工程及び異方性エッチング工程が繰り返し実行される。そして、繰り返し実行される成膜工程及び異方性エッチング工程の各々の条件を調整することにより、ホールH内におけるバリアメタル膜221Lの膜厚が調整される。これにより、ビア部V2、及び底部P2bの各々の下面に対応する面上に設けられたバリアメタル膜221Lの膜厚は、ホールH内に設けられたバリアメタル膜221Lの膜厚の中で最も厚くなる。また、ビア部V2、底部P2b、及び界面部P2aの各々の側面に対応する面上に設けられたバリアメタル膜221Lの膜厚は、ビア部V2、及び底部P2bの各々の下面に対応する面上に設けられたバリアメタル膜221Lの膜厚の0.1倍以上0.5倍未満の範囲となる。
【0061】
次に、図7に示されるように、ホールHが埋め込まれるように全面にわたってコアメタル膜222Lが設けられた後、熱処理が施される。コアメタル膜222Lの形成に際して、コアメタル膜222Lに含まれる銅の(111)配向比率は、銅の成膜の起点となる位置のバリアメタル膜221Lの膜厚に応じて変化する。具体的には、膜厚が比較的厚いバリアメタル膜221Lを起点として成膜された銅の(111)配向比率は、膜厚が比較的薄いバリアメタル膜221Lを起点として成膜された銅の(111)配向比率よりも低くなる。
【0062】
ここで、コアメタル膜222Lのうちビア部V2及び底部P2bに属する部分は、バリアメタル膜221Lの膜厚が比較的厚いビア部V2の下面及び底部P2bの下面から近い位置にある。このため、コアメタル膜222Lのうちビア部V2及び底部P2bに属する部分に含まれる銅の(111)配向比率は、比較的低くなる。これに対し、コアメタル膜222Lのうち界面部P2aに属する部分は、バリアメタル膜221Lの膜厚が比較的厚いビア部V2の下面及び底部P2bの下面から遠い位置にある。このため、コアメタル膜222Lのうち界面部P2aに属する部分に含まれる銅の(111)配向比率は、比較的高くなる。
【0063】
次に、図8に示されるように、絶縁体層230より上方の部分がCMP(Chemical Mechanical Polishing)によって除去される。これにより、バリアメタル膜221L及びコアメタル膜222LがホールH毎に分離されて、回路チップ200が形成される。
【0064】
また、図示は省略されるが、回路チップ200の形成と並行して、メモリチップ100が形成される。なお、メモリチップ100側の貼合パッドBPの製造方法は、回路チップ200側の貼合パッドBPの製造方法と同等である。
【0065】
次に、図9に示されるように、電極120と電極220とが接するように、メモリチップ100と回路チップ200とが貼合される。貼合工程では、電極120と電極220とが接した状態で、熱処理が施される。
【0066】
上述の通り、コアメタル膜122-1のうちビア部V1及び底部P1bに属する部分、並びにコアメタル膜222-1のビア部V2及び底部P2bに属する部分の各々に含まれる銅は、比較的熱膨張率が高い。これにより、コアメタル膜122-1のうちビア部V1及び底部P1bに属する部分、並びにコアメタル膜222-1のビア部V2及び底部P2bに属する部分の各々に含まれる銅は、電極120及び220間の隙間を埋める方向に有意に膨張する。また、上述の通り、コアメタル膜122-1のうち界面部P1aに属する部分、並びにコアメタル膜222-1のうち界面部P2aに属する部分の各々に含まれる銅は、比較的相互拡散速度が高い。これにより、コアメタル膜122-1のうち界面部P1aに属する部分、及びコアメタル膜222-1のうち界面部P2aに属する部分の各々に含まれる銅は、電極120及び220間で接している部分を介して有意に相互拡散することにより、電極120及び220間の隙間を埋める。
【0067】
以上により、メモリデバイス3が形成される。
【0068】
1.3 第1実施形態に係る効果
第1実施形態によれば、メモリデバイス3の歩留りを向上させることができる。本効果について以下に説明する。
【0069】
コアメタル膜122-1の貼合面と対向する上面を覆うバリアメタル膜121-1の膜厚は、コアメタル膜122-1の側面を覆うバリアメタル膜121-1の膜厚より厚い。これにより、コアメタル膜122-1のうち界面部P1aに属する部分に含まれる銅の(111)配向比率を、コアメタル膜122-1のうち底部P1b及びビア部V1に属する部分に含まれる銅の(111)配向比率より高くすることができる。このため、コアメタル膜122-1のうち底部P1b及びビア部V1に属する部分に含まれる銅の熱膨張率を比較的高くしつつ、コアメタル膜122-1のうち界面部P1aに属する部分に含まれる銅の相互拡散速度を比較的高くすることができる。
【0070】
同様に、コアメタル膜222-1の貼合面と対向する下面を覆うバリアメタル膜221-1の膜厚は、コアメタル膜222-1の側面を覆うバリアメタル膜221-1の膜厚より厚い。これにより、コアメタル膜222-1のうち界面部P2aに属する部分に含まれる銅の(111)配向比率を、コアメタル膜222-1のうち底部P2b及びビア部V2に属する部分に含まれる銅の(111)配向比率より高くすることができる。このため、コアメタル膜222-1のうち底部P2b及びビア部V2に属する部分に含まれる銅の熱膨張率を比較的高くしつつ、コアメタル膜222-1のうち界面部P2aに属する部分に含まれる銅の相互拡散速度を比較的高くすることができる。
【0071】
以上のような構成を備えることにより、貼合パッドBP間の接合の際に、底部P1b及びP2b、並びにビア部V1及びV2を熱膨張の観点で寄与させると共に、界面部P1a及びPaを相互拡散の観点で寄与させることができる。したがって、コアメタル膜122-1及び222-1間における隙間の発生を抑制でき、ひいては、通電時におけるオープン不良の発生を抑制できる。
【0072】
1.4 第1実施形態の変形例
上述の第1実施形態では、界面部の側面におけるバリアメタル膜の膜厚と、底部の側面におけるバリアメタル膜の膜厚とが同等の厚さである場合について説明したが、これに限られない。例えば、バリアメタル膜の膜厚は、底部から界面部に向かって徐々に薄くなっていてもよい。以下では、第1実施形態と異なる構成及び製造方法について主に説明する。第1実施形態と同等の構成及び製造方法については、適宜説明を省略する。
【0073】
図10は、第1実施形態の変形例に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の一例を示す断面図である。図10は、第1実施形態における図4に対応する。
【0074】
図10に示されるように、電極120は、バリアメタル膜121-2及びコアメタル膜122-2を含む。電極220は、バリアメタル膜221-2及びコアメタル膜222-2を含む。電極120及び220の全体形状は、第1実施形態における電極120及び220の全体形状と同等である。コアメタル膜122-2及び222-2の構成は、第1実施形態におけるコアメタル膜122-1及び222-1の構成と同等である。また、電極120及び220は、貼合面に関して対称な構成となり得る。このため、以下では、電極220の構成について主に説明する。
【0075】
バリアメタル膜221-2は、コアメタル膜222-2の貼合面を除く全面を覆うように設けられる単層の導電膜である。バリアメタル膜221-2の上端は、貼合面に達する。バリアメタル膜221-2は、コアメタル膜222-2と絶縁体層230との間、及びコアメタル膜222-2と配線層210との間に設けられる。バリアメタル膜221-2は、例えば、チタン、タンタル、又は窒化タンタルを含む。バリアメタル膜221-2は、コアメタル膜222-2の絶縁体層230等への拡散を抑制する機能を有する。
【0076】
バリアメタル膜221-2の膜厚は、ビア部V2、及び底部P2bの各々の下面において最も厚い。ビア部V2、及び底部P2bの各々の側面におけるバリアメタル膜221-2の膜厚は、ビア部V2、及び底部P2bの各々の下面におけるバリアメタル膜221-2の膜厚の0.3倍以上1.0倍未満の範囲となる。界面部P2aの側面におけるバリアメタル膜221-2の膜厚は、ビア部V2、及び底部P2bの各々の側面におけるバリアメタル膜221-2の膜厚よりも薄く、かつビア部V2、及び底部P2bの各々の下面におけるバリアメタル膜221-2の膜厚の0.1倍以上0.5倍未満の範囲となる。以下では、バリアメタル膜221-2に適用されているこのような膜厚に関する特徴を、“膜厚パターンB”とも呼ぶ。
【0077】
以上のような構成により、底部P2b及びビア部V2の各々の側面におけるバリアメタル膜221-2の膜厚を、界面部P2aにおけるバリアメタル膜221-2の膜厚よりも厚くできる。これにより、コアメタル膜222-2のうち底部P2b及びビア部V2に属する部分における銅の(111)配向比率を、コアメタル膜222-2のうち界面部P2aに属する部分における銅の(111)配向比率に対して、より低くすることができる。このため、貼合工程において、コアメタル膜222-2のうち底部P2b及びビア部V2に属する部分における銅の膨張量を増加させることができる。したがって、電極120及び220間の接合不良を抑制できる。
【0078】
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係るメモリデバイスについて説明する。第2実施形態では、貼合パッドBPが複数の膜種のバリアメタル膜を含む点において、第1実施形態と異なる。以下の説明では、第1実施形態と異なる構成及び製造方法について主に説明する。第1実施形態と同等の構成及び製造方法については、適宜説明を省略する。
【0079】
なお、第2実施形態における貼合パッドBPは、第1実施形態における貼合パッドBPと同様に、貼合面に関して対称な構成となり得る。このため、以下では、回路チップ200側の貼合パッドBPの構成について主に説明する。
【0080】
2.1 貼合パッドの断面構造
図11は、第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第1例を示す断面図である。図12は、第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第2例を示す断面図である。図13は、第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第3例を示す断面図である。図14は、第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第4例を示す断面図である。図15は、第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第5例を示す断面図である。図16は、第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第6例を示す断面図である。図17は、第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第7例を示す断面図である。図18は、第2実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第8例を示す断面図である。図11図18の各々は、第1実施形態における図4に対応する。
【0081】
図11図18に示されるように、第2実施形態の第x例における電極120は、バリアメタル膜123-x及び124-x、並びにコアメタル膜125-xを含む。第2実施形態の第x例における電極220は、バリアメタル膜223-x及び224-x、並びにコアメタル膜225-xを含む(1≦x≦8)。
【0082】
以下では、第2実施形態の第1例~第2実施形態の第8例の全てに共通する事項について、構成要素に“-x”を付して説明する。
【0083】
バリアメタル膜223-xは、バリアメタル膜224-xの側面及び下面を覆うように設けられる単層の導電膜である。バリアメタル膜223-xの上端は、貼合面に達する。バリアメタル膜223-xは、バリアメタル膜224-xと絶縁体層230との間、及びバリアメタル膜224-xと配線層210との間に設けられる。バリアメタル膜223-xは、例えば、チタン、タンタル、又は窒化タンタルを含む。バリアメタル膜223-xは、コアメタル膜225-xの絶縁体層230等への拡散を抑制する機能を有する。
【0084】
バリアメタル膜224-xは、バリアメタル膜223-xの内側を覆うように設けられる単層の導電膜である。バリアメタル膜224-xの上端は、貼合面に達する。バリアメタル膜224-xは、バリアメタル膜223-xとコアメタル膜225-xとの間に設けられる。バリアメタル膜224-xは、例えば、チタン、タンタル、及び窒化タンタルのうち、バリアメタル膜223-xと異なる膜種を含む。バリアメタル膜224-xは、バリアメタル膜223-xと共に、コアメタル膜225-xの絶縁体層230等への拡散を抑制する機能を有する。すなわち、バリアメタル膜223-x及び224-xは、コアメタル膜225-xの貼合面を除く全面を覆うように設けられる積層の導電膜である。
【0085】
コアメタル膜225-xは、バリアメタル膜224-xの内側を埋め込むように設けられる。コアメタル膜225-xは、例えば、銅を含む。コアメタル膜225-xのうち界面部P2aに属する部分における銅の(111)配向比率は、コアメタル膜225-xのうちビア部V2及び底部P2bに属する部分における銅の(111)配向比率より高い。
【0086】
次に、第2実施形態の第1例~第2実施形態の第8例の個別の事項について、構成要素に“-1”~“-8”のいずれかを付して説明する。
【0087】
第2実施形態の第1例において、バリアメタル膜223-1及び224-1の各々は、膜厚パターンAを有する。
【0088】
第2実施形態の第2例において、バリアメタル膜223-2は、膜厚パターンAを有する。バリアメタル膜224-2は、膜厚パターンBを有する。
【0089】
第2実施形態の第3例において、バリアメタル膜223-3は、膜厚パターンAを有する。バリアメタル膜224-3の膜厚は、全面(すなわち、ビア部V2、及び底部P2bの各々の下面、並びにビア部V2、底部P2b、及び界面部P2aの各々の側面)にわたって、略均一である。以下では、バリアメタル膜224-3に適用されているこのような膜厚に関する特徴を、“膜厚パターンC”とも呼ぶ。
【0090】
第2実施形態の第4例において、バリアメタル膜223-4は、膜厚パターンBを有する。バリアメタル膜224-4は、膜厚パターンAを有する。
【0091】
第2実施形態の第5例において、バリアメタル膜223-5及び224-5の各々は、膜厚パターンBを有する。
【0092】
第2実施形態の第6例において、バリアメタル膜223-6は、膜厚パターンBを有する。バリアメタル膜224-6は、膜厚パターンCを有する。
【0093】
第2実施形態の第7例において、バリアメタル膜223-7は、膜厚パターンCを有する。バリアメタル膜224-7は、膜厚パターンAを有する。
【0094】
第2実施形態の第8例において、バリアメタル膜223-8は、膜厚パターンCを有する。バリアメタル膜224-8は、膜厚パターンBを有する。
【0095】
2.2 第2実施形態に係る効果
上述した第2実施形態によれば、第2実施形態の第1例~第2実施形態の第8例のいずれの場合においても、コアメタル膜225-xのうちビア部V2及び底部P2bに属する部分は、積層されたバリアメタル膜223-x及び224-xの合計膜厚が比較的厚いビア部V2の下面及び底部P2bの下面から近い位置にある。これに対し、コアメタル膜225-xのうち界面部P2aに属する部分は、積層されたバリアメタル膜223-x及び224-xの膜厚が比較的厚いビア部V2の下面及び底部P2bの下面から遠い位置にある。これにより、コアメタル膜225-xのうち界面部P2aに属する部分における銅の(111)配向比率は、コアメタル膜225-xのうちビア部V2及び底部P2bに属する部分における銅の(111)配向比率より高くなる。このため、第1実施形態と同様に、貼合工程で熱処理を行う際に、コアメタル膜125-x及び225-xを互いに接近させる方向へ膨張させつつ、貼合面でコアメタル膜125-x及び225-1間で多くの銅を相互拡散させることができる。したがって、コアメタル膜125-x及び225-x間における隙間の発生を抑制でき、ひいては、通電時におけるオープン不良の発生を抑制できる。
【0096】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係るメモリデバイスについて説明する。第3実施形態では、貼合パッドBPに含まれる複数の膜種のバリアメタル膜のうちの一方が、貼合面の近傍で途切れている点において第1実施形態及び第2実施形態と異なる。以下の説明では、第1実施形態及び第2実施形態と異なる構成及び製造方法について主に説明する。第1実施形態及び第2実施形態と同等の構成及び製造方法については、適宜説明を省略する。
【0097】
なお、第3実施形態における貼合パッドBPは、第1実施形態及び第2実施形態における貼合パッドBPと同様に、貼合面に関して対称な構成となり得る。このため、以下では、回路チップ200側の貼合パッドBPの構成について主に説明する。
【0098】
3.1 貼合パッドの断面構造
(第1例~第3例)
図19は、第3実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第1例を示す断面図である。図20は、第3実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第2例を示す断面図である。図21は、第3実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第3例を示す断面図である。図19図21の各々は、第1実施形態における図4に対応する。
【0099】
図19図21に示されるように、第3実施形態の第y例における電極120は、バリアメタル膜126-y及び127-y、並びにコアメタル膜128-yを含む。第3実施形態の第y例における電極220は、バリアメタル膜226-y及び227-y、並びにコアメタル膜228-yを含む(1≦y≦3)。
【0100】
以下では、第3実施形態の第1例~第3実施形態の第3例の全てに共通する事項については、構成要素に“-y”を付して説明する。第3実施形態の第1例~第3実施形態の第3例の個別の事項については、構成要素に“-1”~“-3”のいずれかを付して説明する。
【0101】
バリアメタル膜226-yは、バリアメタル膜227-yのうちビア部V2、及び底部P2bに属する部分の各々の側面、及び下面を覆うように設けられる単層の導電膜である。バリアメタル膜226-yは、界面部P2aには設けられない。すなわち、バリアメタル膜226-yの上端は、貼合面には達しない。バリアメタル膜226-yは、バリアメタル膜227-yのうち底部P2b及びビア部V2に属する部分と絶縁体層230との間、並びにバリアメタル膜227-yと配線層210との間に設けられる。バリアメタル膜226-yは、例えば、チタン、タンタル、又は窒化タンタルを含む。バリアメタル膜226-yは、コアメタル膜228-yの絶縁体層230等への拡散を抑制する機能を有する。
【0102】
バリアメタル膜226-yの膜厚は、ビア部V2、及び底部P2bの各々の下面において最も厚い。ビア部V2、及び底部P2bの各々の側面におけるバリアメタル膜226-yの膜厚は、ビア部V2、及び底部P2bの各々の下面におけるバリアメタル膜226-yの膜厚の0.1倍以上0.5倍未満となる。上述した膜厚の範囲内で、ビア部V2、及び底部P2bの各々の側面におけるバリアメタル膜226-yの膜厚は、貼合面からの距離に応じて変化していてもよいし、略均一であってもよい。バリアメタル膜226-yの上端は、貼合面に達することなく、界面部P2aにおいて途切れている。以下では、バリアメタル膜226-yに適用されているこのような膜厚に関する特徴を、“膜厚パターンD”とも呼ぶ。
【0103】
バリアメタル膜227-yは、バリアメタル膜226-yの内側を覆うように設けられる単層の導電膜である。バリアメタル膜227-yの上端は、貼合面に達する。バリアメタル膜227-yは、バリアメタル膜226-yとコアメタル膜228-yとの間、及び絶縁体層230とコアメタル膜228-yのうち界面部P2aに属する部分との間に設けられる。バリアメタル膜227-yは、例えば、チタン、タンタル、及び窒化タンタルのうち、バリアメタル膜226-yと異なる膜種を含む。バリアメタル膜227-yは、バリアメタル膜226-yと共に、コアメタル膜228-yの絶縁体層230等への拡散を抑制する機能を有する。すなわち、バリアメタル膜226-y及び227-yは、コアメタル膜228-yの貼合面を除く全面を覆うように設けられる積層の導電膜である。
【0104】
第3実施形態の第1例において、バリアメタル膜227-1は、膜厚パターンAを有する。第3実施形態の第2例において、バリアメタル膜227-2は、膜厚パターンBを有する。第3実施形態の第3例において、バリアメタル膜227-3は、膜厚パターンCを有する。
【0105】
コアメタル膜228-yは、バリアメタル膜227-yの内側を埋め込むように設けられる導電膜である。コアメタル膜228-yは、例えば、銅を含む。コアメタル膜228-yのうち界面部P2aに属する部分における銅の(111)配向比率は、コアメタル膜228-yのうちビア部V2及び底部P2bに属する部分における銅の(111)配向比率より高い。
【0106】
このように、第3実施形態の第1例~第3実施形態の第3例では、コアメタル膜228-yのうち界面部P2aに属する部分と絶縁体層230との間には、バリアメタル膜227-yの1層が設けられる構造となる。これに対して、第3実施形態の第1例~第3実施形態の第3例では、コアメタル膜228-yのうち底部P2b及びビア部V2に属する部分と絶縁体層230との間には、バリアメタル膜226-y及び227-yの2層が設けられる構造となる。
(第4例~第6例)
図22は、第3実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第4例を示す断面図である。図23は、第3実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第5例を示す断面図である。図24は、第3実施形態に係るメモリデバイスの貼合パッドの断面構造の第6例を示す断面図である。
【0107】
図22図24に示されるように、第3実施形態の第z例における電極120は、バリアメタル膜126-z及び127-z、並びにコアメタル膜128-zを含む。第3実施形態の第z例における電極220は、バリアメタル膜226-z及び227-z、並びにコアメタル膜228-zを含む(4≦z≦6)。
【0108】
以下では、第3実施形態の第4例~第3実施形態の第6例の全てに共通する事項については、構成要素に“-z”を付して説明する。第3実施形態の第4例~第3実施形態の第6例の個別の事項については、構成要素に“-4”~“-6”のいずれかを付して説明する。
【0109】
バリアメタル膜226-zは、コアメタル膜228-zのうち界面部P2aに属する部分の側面、並びにバリアメタル膜227-zのうちビア部V2、及び底部P2bに属する部分の各々の側面、及び下面を覆うように設けられる単層の導電膜である。バリアメタル膜226-zの上端は、貼合面に達する。バリアメタル膜226-zは、コアメタル膜228-zのうち界面部P2aに属する部分と絶縁体層230との間、バリアメタル膜227-zと絶縁体層230との間、及びバリアメタル膜227-zと配線層210との間に設けられる。バリアメタル膜226-zは、例えば、チタン、タンタル、又は窒化タンタルを含む。バリアメタル膜226-zは、コアメタル膜228-zの絶縁体層230等への拡散を抑制する機能を有する。
【0110】
第3実施形態の第4例において、バリアメタル膜226-4は、膜厚パターンAを有する。第3実施形態の第5例において、バリアメタル膜227-5は、膜厚パターンBを有する。第3実施形態の第6例において、バリアメタル膜227-6は、膜厚パターンCを有する。
【0111】
バリアメタル膜227-zは、バリアメタル膜226-zのうち底部P2b及びビア部V2に属する部分の内側を覆うように設けられる単層の導電膜である。バリアメタル膜227-zは、膜厚パターンDを有する。すなわち、バリアメタル膜227-zの上端は、貼合面に達することなく、界面部P2aにおいて途切れている。バリアメタル膜227-zは、バリアメタル膜226-zのうち底部P2b及びビア部V2に属する部分と、コアメタル膜228-zのうち底部P2b及びビア部V2に属する部分と、の間に設けられる。バリアメタル膜227-zは、例えば、チタン、タンタル、及び窒化タンタルのうち、バリアメタル膜226-zと異なる膜種を含む。バリアメタル膜227-zは、バリアメタル膜226-zと共に、コアメタル膜228-zの絶縁体層230等への拡散を抑制する機能を有する。すなわち、バリアメタル膜226-z及び227-zは、コアメタル膜228-zの貼合面を除く全面を覆うように設けられる積層の導電膜である。
【0112】
コアメタル膜228-zは、バリアメタル膜227-zの内側、及びバリアメタル膜226-zのうち界面部P2aに属する部分の内側を埋め込むように設けられる導電膜である。コアメタル膜228-zは、例えば、銅を含む。コアメタル膜228-zのうち界面部P2aに属する部分における銅の(111)配向比率は、コアメタル膜228-zのうちビア部V2及び底部P2bに属する部分における銅の(111)配向比率より高い。
【0113】
このように、第3実施形態の第4例~第3実施形態の第6例では、コアメタル膜228-zのうち界面部P2aに属する部分と絶縁体層230との間には、バリアメタル膜226-zの1層が設けられる構造となる。これに対して、第3実施形態の第4例~第3実施形態の第6例では、コアメタル膜228-zのうち底部P2b及びビア部V2に属する部分と絶縁体層230との間には、バリアメタル膜226-z及び227-zの2層が設けられる構造となる。
【0114】
3.2 第3実施形態に係る効果
上述した第3実施形態によれば、貼合パッドBPは、界面部P2aにおいて1層のバリアメタル膜226又は227を有するのに対して、底部P2b及びビア部V2において2層のバリアメタル膜226及び227を有する。これにより、コアメタル膜228に含まれる銅の(111)配向比率を、界面部P2aに属する部分と、底部P2b及びビア部V2に属する部分とで異ならせることができる。
【0115】
補足すると、コアメタル膜228の形成に際して、コアメタル膜228に含まれる銅の(111)配向比率は、銅の成膜の起点となる位置のバリアメタル膜の積層数に応じて変化する。具体的には、バリアメタル膜226及び227のうちの1層が設けられる位置を起点として成膜された銅の(111)配向比率は、バリアメタル膜226及び227の2層が積層される位置を起点として成膜された銅の(111)配向比率よりも高くなる。これにより、コアメタル膜228のうち界面部P2aに属する部分に含まれる銅の(111)配向比率は、コアメタル膜228のうち底部P2b及びビア部V2に属する部分に含まれる銅の(111)配向比率より高くなる。
【0116】
また、第3実施形態の第1例~第3実施形態の第6例のいずれの場合においても、コアメタル膜228のうちビア部V2及び底部P2bに属する部分は、バリアメタル膜の合計膜厚が比較的厚いビア部V2の下面及び底部P2bの下面から近い位置にある。このため、コアメタル膜228のうちビア部V2及び底部P2bに属する部分に含まれる銅の(111)配向比率は、比較的低くなる。これに対し、コアメタル膜228のうち界面部P2aに属する部分は、バリアメタル膜の合計膜厚が比較的厚いビア部V2の下面及び底部P2bの下面から遠い位置にある。このため、コアメタル膜228のうち界面部P2aに属する部分に含まれる銅の(111)配向比率は、比較的高くなる。すなわち、コアメタル膜228のうち界面部P2aに属する部分における銅の(111)配向比率は、コアメタル膜228のうちビア部V2及び底部P2bに属する部分における銅の(111)配向比率より高くなる。これにより、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、コアメタル膜228のうち界面部P2aに属する部分で銅を相互拡散しやすくしつつ、コアメタル膜228のうち底部P2b及びビア部V2に属する部分で銅の熱膨張をしやすくすることができる。したがって、貼合工程においてコアメタル膜128及び228間における隙間の発生を抑制でき、ひいては、通電時におけるオープン不良の発生を抑制できる。
【0117】
4. 実施例
次に、上述の第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態に関する実施例について説明する。以下に示す各実施例では、コアメタル膜に含まれる銅の(111)配向比率の測定結果が測定条件毎に示される。また、以下に示す各実施例では、銅の成膜後熱処理前、及び銅への熱処理実行後の2ケースの測定条件について、それぞれ測定結果が示される。
【0118】
4.1 第1実施例
図25は、第1実施例に係る銅の(111)配向比率の測定結果を示す図である。図25では、単層のバリアメタル膜上にコアメタル膜が形成される場合における、コアメタル膜に含まれる銅の(111)配向比率が示される。測定条件<1>は、バリアメタル膜として9nmのチタン膜が設けられる場合に対応する。測定条件<2>は、バリアメタル膜として18nmのチタン膜が設けられる場合に対応する。測定条件<3>は、バリアメタル膜として27nmのチタン膜が設けられる場合に対応する。
【0119】
図25に示されるように、単層のバリアメタル膜が設けられる場合、バリアメタル膜の膜厚が薄いほど、対応するコアメタル膜に含まれる銅の(111)配向比率が高くなる。このため、第1実施形態に係る貼合パッドBPによれば、底部P2b及びビア部V2よりも界面部P2aの方がコアメタル膜に含まれる銅の(111)配向比率が高くなることが分かる。
【0120】
4.2 第2実施例
図26は、第2実施例に係る銅の(111)配向比率の測定結果を示す図である。図26では、2層のバリアメタル膜上にコアメタル膜が形成される場合における、コアメタル膜に含まれる銅の(111)配向比率が示される。測定条件<4>は、1層目(すなわち、コアメタル膜に対して外側)のバリアメタル膜として18nmのタンタル膜が設けられ、2層目(すなわち、コアメタル膜に対して内側)のバリアメタル膜として5nmのチタン膜が設けられる場合に対応する。測定条件<5>は、1層目のバリアメタル膜として18nmのタンタル膜が設けられ、2層目のバリアメタル膜として10nmのチタン膜が設けられる場合に対応する。
【0121】
図26に示されるように、2層のバリアメタル膜が設けられる場合、バリアメタル膜の膜厚の合計が薄いほど、対応するコアメタル膜に含まれる銅の(111)配向比率が高くなる。このため、第2実施形態に係る貼合パッドBPによれば、底部P2b及びビア部V2よりも界面部P2aの方がコアメタル膜に含まれる銅の(111)配向比率が高くなることが分かる。
【0122】
4.3 第3実施例
図27は、第3実施例に係る銅の(111)配向比率の測定結果を示す図である。図27では、単層のバリアメタル膜上にコアメタル膜が形成される場合、及び2層のバリアメタル膜上にコアメタル膜が形成される場合の各々における、コアメタル膜に含まれる銅の(111)配向比率が示される。測定条件<6>は、単層のバリアメタル膜として9nmのタンタル膜が設けられる場合に対応する。測定条件<7>は、1層目のバリアメタル膜として9nmの窒化タンタル膜が設けられ、2層目のバリアメタル膜として9nmのタンタル膜が設けられる場合に対応する。測定条件<8>は、1層目のバリアメタル膜として9nmの窒化タンタル膜が設けられ、2層目のバリアメタル膜として18nmのチタン膜が設けられる場合に対応する。
【0123】
図27に示されるように、単層のバリアメタル膜が設けられる場合、2層のバリアメタル膜が設けられる場合よりも、対応するコアメタル膜に含まれる銅の(111)配向比率が高くなる。また、第2実施例と同様に、2層のバリアメタル膜が設けられる場合、バリアメタル膜の膜厚の合計が薄いほど、対応するコアメタル膜に含まれる銅の(111)配向比率が高くなる。このため、第3実施形態に係る貼合パッドBPによれば、底部P2b及びビア部V2よりも界面部P2aの方がコアメタル膜に含まれる銅の(111)配向比率が高くなることが分かる。
【0124】
5. その他
上述の第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態では、メモリチップ100側の貼合パッドBPと、回路チップ200側の貼合パッドBPとが同等の構成を有する場合について説明したが、これに限られない。例えば、メモリチップ100側の貼合パッドBPと、回路チップ200側の貼合パッドBPとは、互いに異なる構成を有していてもよい。この場合、メモリチップ100側の貼合パッドBP、及び回路チップ200側の貼合パッドBPの各々には、上述の第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態の第1例~第8例、及び第3実施形態の第1例~第6例から任意の構成が適用され得る。
【0125】
また、上述の第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態では、界面部P1a及びP2aの銅の(111)配向比率が、各々底部P1b及びP2b、並びにビア部V1及びV2の銅の(111)配向比率より高い構成を有する貼合パッドBPが、メモリチップ100及び回路チップ200側のいずれにも適用される場合について説明したが、これに限られない。例えば、界面部P1a(又はP2a)の銅の(111)配向比率が、底部P1b(又はP2b)及びビア部V1(又はV2)の銅の(111)配向比率より高い構成を有する貼合パッドBPが、メモリチップ100及び回路チップ200の少なくとも一方のみに適用されてもよい。
【0126】
また、上述の第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態では、界面部P1a及びP2aの銅の(111)配向比率が、各々底部P1b及びP2b、並びにビア部V1及びV2の銅の(111)配向比率より高い構成を有する貼合パッドBPが、メモリチップ100と回路チップ200とが貼り合わされるメモリデバイス3に適用される場合について説明したが、これに限られない。界面部P1a及びP2aの銅の(111)配向比率が、各々底部P1b及びP2b、並びにビア部V1及びV2の銅の(111)配向比率より高い構成を有する貼合パッドBPは、メモリチップ同士が貼り合わされる半導体装置や、回路チップ同士が貼り合わされる半導体装置に対しても適用され得る。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
1…メモリシステム
2…メモリコントローラ
3…メモリデバイス
10…メモリセルアレイ
11…コマンドレジスタ
12…アドレスレジスタ
13…シーケンサ
14…ドライバモジュール
15…ロウデコーダモジュール
16…センスアンプモジュール
100…メモリチップ
200…回路チップ
110,210…配線層
120,220…電極
121,123,124,126,127,221,223,224,226,227…バリアメタル膜
122,125,128,222,225,228…コアメタル膜
130,230…絶縁体層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27