(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128592
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】軸構造
(51)【国際特許分類】
G10H 1/32 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
G10H1/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037630
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】中村 享弘
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478JJ03
(57)【要約】
【課題】小型化かつ簡素な構成で回転軸の回転速度を制御することができる。
【解決手段】回転軸に設けられており、回転軸とともに回転する速度調整部材と、回転軸の長手方向に沿って見たときに回転軸の径方向外側に設けられている当接部材と、を備える。速度調整部材の周縁と回転軸の回転中心との距離は、周縁における位置によって異なる。速度調整部材の回転に伴い、速度調整部材と当接部材とが当接せずに回転している第1状態と、速度調整部材と当接部材とが当接しながら回転している第2状態と、が切り替わる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に設けられており、前記回転軸とともに回転する速度調整部材と、
前記回転軸の長手方向に沿って見たときに前記回転軸の径方向外側に設けられている当接部材と、
を備え、
前記速度調整部材の周縁と前記回転軸の回転中心との距離は、前記周縁における位置によって異なり、
前記速度調整部材の回転に伴い、前記速度調整部材と前記当接部材とが当接せずに回転している第1状態と、前記速度調整部材と前記当接部材とが当接しながら回転している第2状態と、が切り替わる
ことを特徴とする軸構造。
【請求項2】
前記速度調整部材と前記当接部材の少なくともいずれかは、弾性体である
ことを特徴とする請求項1に記載の軸構造。
【請求項3】
前記当接部材は、第1端が固定された板状の部材であり、前記回転軸の中心線に向かって凸となるように湾曲する弾性部材である
ことを特徴とする請求項1に記載の軸構造。
【請求項4】
前記当接部材は、前記第1端の幅が広く、前記第1端の反対側の端である第2端に向けて徐々に幅が狭くなる
ことを特徴とする請求項3に記載の軸構造。
【請求項5】
前記回転軸は、回転軸部品を有し、
前記速度調整部材は、前記回転軸部品に隣接して設けられており、
前記当接部材は、板状部材を湾曲させて形成されており、前記回転軸の長手方向に沿って見たときに前記回転軸部品の外周面に略沿った円弧形状を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の軸構造。
【請求項6】
前記当接部材を複数備え、
前記第2状態において、前記速度調整部材は複数の前記当接部材のうちの少なくとも1つに当接する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の軸構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケースに支持軸によって回転可能に取り付けられた蓋体と、支持軸を中心に蓋体と共に回転する連動歯車と、この連動歯車に噛み合って回転するダンパー歯車を有して連動歯車の回転を制動するダンパー部材とを備えた蓋開閉装置が開示されている。この蓋開閉装置では、連動歯車は、その歯部のピッチ円の中心から偏心した位置において支持軸に支持され、鍵盤蓋が閉じる途中の状態のときに支持軸から歯部までの距離が短く、鍵盤蓋が閉じ終わるまでの状態のときに支持軸から歯部までの距離が徐々に長くなるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成は、ギアを用いた複雑な構造であり、小型にすることは困難であった。
【0005】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたもので、小型化かつ簡素な構成で回転軸の回転速度を制御することができる軸構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる軸構造は、例えば、回転軸に設けられており、前記回転軸とともに回転する速度調整部材と、前記回転軸の径方向外側に設けられている当接部材と、を備え、前記速度調整部材の周縁と前記回転軸の回転中心との距離は、前記周縁における位置によって異なり、前記速度調整部材の回転に伴い、前記速度調整部材と前記当接部材とが当接せずに回転している第1状態と、前記速度調整部材と前記当接部材とが当接しながら回転している第2状態と、が切り替わることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、速度調整部材の回転により、速度調整部材と当接部材とが当接したりしなかったりする。速度調整部材と当接部材とが当接することで回転軸の回転速度が遅くなるため、回転軸、すなわち支持する部材の回転速度を制御することができる。また、軸構造は、歯車等を有しないため、小型に構成でき、比較的小さな構造体にも採用することができる。したがって、本願発明によれば、小型化かつ簡素な構成で回転軸の回転速度を制御することができる。
【0008】
前記速度調整部材と前記当接部材の少なくともいずれかは、弾性体であるものとしてもよい。これにより、速度調整部材及び回転軸が、減速しつつも回転を継続することができる。
【0009】
前記当接部材は、第1端が固定された板状の部材であり、前記回転軸の中心線に向かって凸となるように湾曲する弾性部材であってもよい。これにより、速度調整部材と当接部材とが当接したときの当接部材の変形量、すなわち回転軸の減速の程度を容易に調整することができる。
【0010】
前記当接部材は、前記第1端の幅が広く、前記第1端の反対側の端である第2端に向けて徐々に幅が狭くなってもよい。これにより、速度調整部材と当接部材との当接位置が第1端に近づくにつれて速度調整部材と当接部材との間に生じる摩擦力が増加するため、簡単な構成で複雑な回転速度制御が可能である。
【0011】
前記回転軸は、回転軸部品を有し、前記速度調整部材は、前記回転軸部品に隣接して設けられており、前記当接部材は、板状部材を湾曲させて形成されており、前記回転軸の長手方向に沿って見たときに前記回転軸部品の外周面に略沿った円弧形状を有してもよい。円弧形状の長さが所望の長さとなるように当接部材の形状を調整することは容易であり、これにより回転軸の回転速度を調整する時間を容易に調整することができる。
【0012】
前記当接部材を複数備え、前記第1状態において、前記速度調整部材は複数の前記当接部材のうちの少なくとも1つに当接してもよい。これにより、速度調整部材が1周する間に速度調整部材と当接部材とが複数回当接するため、より複雑な回転速度制御が可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、小型化かつ簡素な構成で回転軸の回転速度を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】軸構造1の概略を示す縦断面図であり、(a)は速度調整部材13が当接部材14に当接していない第1状態を示す図であり、(b)は、速度調整部材13が当接部材14に当接している第2状態を示す図である。
【
図3】軸構造1Aの概略を示す図であり、(a)は速度調整部材13Aが当接部材14に当接していない第1状態を示す縦断面図であり、(b)は速度調整部材13Aが当接部材14に当接している第2状態を示す縦断面図である。
【
図4】軸構造1Bの概略を示す図であり、速度調整部材13Bが当接部材14に当接している第2状態を示す縦断面図である。
【
図5】軸構造1Cの概略を示す図であり、速度調整部材13Bが当接部材14に当接している第2状態を示す縦断面図である。
【
図6】軸構造1Dの概略を示す図であり、(a)は速度調整部材13Aが当接部材14Aに当接していない第1状態を示す縦断面図であり、(b)は速度調整部材13Aが当接部材14Aに当接している第2状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかる軸構造の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施の形態に係る軸構造1の概略を示す図である。
図1では、要部を透視している。軸構造1は、2個の部材を回転可能に連結し、支持する構成である。軸構造1は、例えば、アクチュエータ(図示省略)と適宜の開閉蓋(図示省略)とを連結する。
【0017】
軸構造1は、主として、速度調整部材13と、当接部材14と、を備える。速度調整部材13は、軸受筒12の内部に設けられた回転軸10に設けられている。当接部材14は、軸受筒12に設けられている。ただし、軸受筒12は必須ではない。
【0018】
図2は、軸構造1の概略を示す縦断面図であり、(a)は速度調整部材13が当接部材14に当接しない第1状態を示す図であり、(b)は、速度調整部材13が当接部材14に当接する第2状態を示す図である。以下、回転軸10の軸方向をy方向とし、
図1紙面手前から奥に向かう方向を+y方向とする。また、-y方向から見て左から右に向かう方向を+x方向とし、x方向及びy方向に直交する方向をz方向とする。
【0019】
また、図中の矢印は回転方向の例を示しているが、あくまで一例であり、逆方向に回転してもよい。
【0020】
回転軸10は、例えば棒状の部材であり、アクチュエータ(図示省略)から開閉扉(図示省略)に回転力を伝達する。回転軸10は、所定の角度範囲(例えば、180度)を回動してもよいし、360度に渡って回転してもよい。
【0021】
なお、回転軸10は、アクチュエータによる回転に限られず、バネ等の弾性部材により回転させてもよいし、手動で回転させてもよい。また、回転軸10は、軸構造1に支持される部材の自重により回転してもよい。この構成は、例えば、回転軸10が略水平に配設され、回転軸10に板状の開閉蓋が設けられており、開閉蓋が略水平に沿った開状態から略垂直に沿った閉状態に閉じる場合等が想定されるが、これに限られるものではない。
【0022】
回転軸10は、例えば、1対の回転軸部品11を有する。回転軸部品11の間には、速度調整部材13が設けられている。速度調整部材13は、回転軸部品11、すなわち回転軸10とともに回転する。回転軸10及び速度調整部材13は、筒状の軸受筒12の内部に設けられている。
【0023】
なお、1対の回転軸部品11の直径は同一でなくてもよいし、1対の回転軸部品11は離れていてもよい。速度調整部材13は、1つの回転軸部品11に隣接して設けられていればよい。
【0024】
速度調整部材13は、柱状である。速度調整部材13は、回転軸10の長手方向に沿って(y方向に沿って)見たときに長円状(角丸長方形状)である。
【0025】
速度調整部材13の周縁13cは、直線状の2つの平面部13aと、平面部13aの間に設けられた2つの曲面部13bとを有する。曲面部13bは、曲面状である。y方向に沿って見たときの曲面部13b曲率半径は、一定であってもよいしなくてもよい。
【0026】
速度調整部材13は、回転軸10に対して偏心している。すなわち、y方向に沿って見たときに、速度調整部材13の重心を含む線a2と、回転軸10の中心線a1とが一致しない。また、y方向に沿って見たときに、中心線a1と周縁13cとの距離Lは、周縁13cにおける位置pによって異なる。なお、位置pは、仮想の点であり、周縁13c上の任意の位置に配置される。
【0027】
当接部材14は、y方向に沿って見たときに回転軸10(回転軸部品11)の径方向外側に設けられている。なお、回転軸10の径方向外側とは、大部分が回転軸10の外側にあり、一部が回転軸10と重なっている場合を含む。
【0028】
本実施の形態では、当接部材14は軸受筒12に固定されているが、当接部材14を固定する構成はこれに限られない。当接部材14は、速度調整部材13と当接することで、速度調整部材13及び回転軸10の回転速度を制御する。
【0029】
本実施の形態では、当接部材14は、第1端14aが固定された板状の部材であり、中心線a1に向かって凸となるように湾曲する弾性部材(ここでは、板バネ)である。言い換えれば、当接部材14は、片持ちの板バネである。当接部材14の湾曲量の調整は容易であり、これにより速度調整部材13と当接部材14とが当接したときの当接部材14の変形量、すなわち回転軸10に与える付勢力を容易に調整することができる。
【0030】
なお、速度調整部材13及び当接部材14は、当接している状態において適宜の摩擦力を生じる表面形状となっていてもよい。例えば、速度調整部材13及び当接部材14の少なくとも一方を、表面が粗い(粗面化加工されている又は研磨されていない)状態とすればよい。
【0031】
y方向に沿って見たときに、中心線a1と周縁13cとの距離が周縁13cにおける位置pによって異なるため、速度調整部材13が回転することで、速度調整部材13と当接部材14とが当接しない第1状態(
図2(a)に示す状態)と、速度調整部材13と当接部材14とが当接する第2状態(
図2(b)に示す状態)とが切り替わる。
【0032】
第1状態においては、回転軸10は、負荷なく回転可能である。それに対し、第2状態においては、速度調整部材13の曲面部13bと当接部材14とが当接し、当接部材14が曲面部13bに押圧されて弾性変形する。また、当接部材14が弾性変形することで速度調整部材13が固定されず、速度調整部材13、すなわち回転軸10は回転を継続する。
【0033】
速度調整部材13と当接部材14とが当接している間においては、当接部材14が弾性変形することで、この弾性変形による付勢力を速度調整部材13が受ける。すなわち、第2状態においては、速度調整部材13、すなわち回転軸10が当接部材14により負荷を受け、速度調整部材13及び回転軸10の回転速度は、第1状態に比べて遅くなる。
【0034】
なお、当接部材14が中心線a1に向かって凸となるように湾曲しており、曲面部13bと当接部材14とが当接するため、速度調整部材13と当接部材14とは、当接部材14の幅方向に沿った線状の領域で当接する。
【0035】
当接部材14は、第1端14aの幅が広く、第1端14aの反対側の端である第2端14bに向けて徐々に幅が狭くなる。したがって、距離Lが大きくなるにつれて、曲面部13bと当接部材14との当接位置が第1端14aに近づく。そして、曲面部13bと当接部材14との当接位置が第1端14aに近づくにつれて、曲面部13bと当接部材14との接触面積、すなわち摩擦が大きくなり、速度調整部材13にかかる負荷が大きくなり、速度調整部材13の回転速度がより減速する。
【0036】
図2(b)に示す状態からさらに時計回りに回転が進むか、回転軸10を逆回転(反時計回りに回転)させるかすると、速度調整部材13は当接部材14から離間する。その結果、軸構造1は第1状態に遷移し、当接部材14から負荷を受けなくなるため、回転軸10の回転速度は速くなる(元に戻る)。
【0037】
本実施の形態によれば、回転軸10に速度調整部材13を設けるため、小型化かつ簡素な構成で回転軸10の回転速度を制御することができる。また、軸構造1は小型化できるため、比較的小さな構造体にも採用することができる。
【0038】
例えば、蓋と装置又は容器等を連結する部分に軸構造1を採用し、閉じきる前後の角度で回転速度を減速する場合には、ユーザが指等を挟む事故を防止することができる。また、自販機等の開閉扉に軸構造1を採用し、開閉扉が最も開ききった位置から閉じ始めるときに回転速度を減速する場合には、ユーザが商品等を取り出す時間が長くなり、使い勝手が良い。
【0039】
また、本実施の形態によれば、当接部材14を片持ちの板バネとすることで、小型化かつ簡素な構成で回転軸10の回転速度を制御することができる。また、当接部材14の湾曲量、すなわち当接部材14の弾性力の調整は容易であり、これにより回転軸10に与える付勢力、すなわち回転軸10の回転速度の減速の程度を容易に調整することができる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、第1端14aの幅が広く、第1端14aの反対側の端である第2端14bに向けて徐々に幅が狭くなる当接部材14を用いることで、距離L、すなわち回転軸10の回転角度に応じた回転速度制御が可能である。
【0041】
なお、本実施の形態では、速度調整部材13が柱状であったが、速度調整部材13の形状はこれに限られない。例えば、速度調整部材13が薄く板状であってもよい。この場合には、2つの回転軸部品11の間が細い棒状の部材で連結されており、この棒状の部材に板状の速度調整部材が設けられていてもよい。この場合であっても、速度調整部材が回転軸部品11に隣接していることに変わりはない。
【0042】
また、本実施の形態では、当接部材14が板バネであったが、当接部材14の形態はこれに限られない。例えば、当接部材をコイルバネで部材を付勢する構成としたり、当接部材全体をゴムやスポンジ状の素材等の弾性力を生じさせる部材で構成したりしてもよい。
【0043】
また、本実施の形態では、第1端14aの幅が広く、第1端14aの反対側の端である第2端14bに向けて徐々に幅が狭くなる当接部材14を用いたが、当接部材14の形状はこれに限られない。例えば、当接部材14の幅は一定であってもよい。この場合には、速度調整部材13と当接部材14との当接位置における当接部材14の弾性力の差異により、回転軸10の回転角度に応じた回転速度制御を行うことができる。
【0044】
また、本実施の形態では、当接部材14が弾性部材であったが、速度調整部材13と当接部材14の少なくともいずれかが弾性部材であればよい。また、速度調整部材13及び当接部材14の少なくともいずれかの表面に、所定の摩擦力を生じる凹凸があってもよいし、回転角度に応じて摩擦力の大きさが変化するように、表面形状を周方向に異ならせる構成であってもよい。
【0045】
<第2の実施形態>
本発明に係る軸構造の別の実施形態について、先に説明した実施形態と異なる部分を中心に説明する。第2の実施形態は、速度調整部材の形状が異なる形態である。なお、先に説明した実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0046】
図3は、第2の実施の形態に係る軸構造1Aの概略を示す図であり、(a)は速度調整部材13Aが当接部材14に当接していない第1状態を示す縦断面図であり、(b)は速度調整部材13Aが当接部材14に当接している第2状態を示す縦断面図である。
【0047】
軸構造1Aは、主として、速度調整部材13Aと、当接部材14と、を備える。速度調整部材13Aは、回転軸10に設けられている。速度調整部材13Aは、柱状であり、y方向に沿って見たときに楕円形状である。回転軸10、すなわち速度調整部材13Aが回転すると、速度調整部材13Aが当接部材14に当接しない第1状態と、速度調整部材13Aと当接部材14とが当接する第2状態とが切り替えられる。したがって、第2状態における回転軸10の回転速度を第1状態における回転軸10の回転速度より遅くすることができる。
【0048】
<第3の実施形態>
本発明に係る軸構造の別の実施形態について、先に説明した実施形態と異なる部分を中心に説明する。第3の実施形態は、速度調整部材の形状が第1、2の実施の形態に対して異なる形態である。なお、先に説明した実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0049】
図4は、第3の実施の形態に係る軸構造1Bの概略を示す図であり、速度調整部材13Bが当接部材14に当接している第2状態を示す縦断面図である。
【0050】
軸構造1Bは、主として、速度調整部材13Bと、当接部材14と、を備える。速度調整部材13Bは、回転軸10に設けられている。速度調整部材13Bは、柱状であり、y方向に沿って見たときに三角形状である。回転軸10、すなわち速度調整部材13Bが回転すると、速度調整部材13Bが当接部材14に当接しない第1状態と、速度調整部材13Aと当接部材14とが当接する第2状態とが切り替えられる。したがって、第2状態における回転軸10の回転速度を第1状態における回転軸10の回転速度より遅くすることができる。
【0051】
本実施の形態においては、y方向に沿って見たときに速度調整部材13Bが三角形状であるため、速度調整部材13Bと当接部材14とは1周の間に3回当接する。したがって、第1及び第2の実施形態に比べてさらに複雑な回転速度制御が可能である。
【0052】
なお、本実施の形態では、y方向に沿って見たときに速度調整部材13Bが三角形状であるが、速度調整部材13Bの形状はこれに限られない。例えば、y方向に沿って見たときに速度調整部材が多角形状であってもよい。
【0053】
<第4の実施形態>
本発明に係る軸構造の別の実施形態について、先に説明した実施形態と異なる部分を中心に説明する。第4の実施形態は、当接部材を複数有する形態である。なお、先に説明した実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0054】
図5は、第4の実施の形態に係る軸構造1Cの概略を示す図であり、速度調整部材13Bが当接部材14に当接している第2状態を示す縦断面図である。
【0055】
軸構造1Cは、主として、速度調整部材13Bと、2つの当接部材14と、を備える。当接部材14は、第1端14aが軸受筒12に固定されている。2つの当接部材14は、y方向に沿って見たときに周方向の位置が異なる。したがって、速度調整部材13Bは2つの当接部材14のうちの少なくとも1つに当接する。
【0056】
本実施の形態によれば、回転軸10、すなわち速度調整部材13Bの回転に伴い、速度調整部材13Aが当接部材14に当接せずに回転している第1状態と、速度調整部材13Aと当接部材14とが当接しながら回転している第2状態とがより早く切り替えられる。したがって、第1乃至第3の実施形態に比べてさらに複雑な回転速度制御が可能である。
【0057】
なお、本実施の形態では、軸構造1Cが2つの当接部材14を有したが、軸構造1Cが2つ以上の当接部材14を有していてもよい。
【0058】
<第5の実施形態>
本発明に係る軸構造の別の実施形態について、先に説明した実施形態と異なる部分を中心に説明する。第5の実施形態は、当接部材の形状が異なる形態である。なお、先に説明した実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0059】
図6は、第5の実施の形態に係る軸構造1Dの概略を示す図であり、(a)は速度調整部材13Aが当接部材14Aに当接していない第1状態を示す縦断面図であり、(b)は速度調整部材13Aが当接部材14Aに当接している第2状態を示す縦断面図である。
【0060】
軸構造1Dは、主として、速度調整部材13Aと、当接部材14Aと、を備える。
【0061】
当接部材14Aは、回転軸10の径方向外側に設けられている。本実施の形態では、当接部材14は軸受筒12に固定されているが、当接部材14を固定する構成はこれに限られない。当接部材14Aは、速度調整部材13Aと当接することで、速度調整部材13A及び回転軸10の回転速度を制御する。
【0062】
当接部材14Aは、板状部材を湾曲させて形成されており、y方向に沿って見たときに回転軸10、すなわち回転軸部品11の外周面11aに略沿った円弧形状を有する。この円弧形状の内壁14dに速度調整部材13Aが当接する。当接部材14Aは、板バネ状の弾性部材であり、当接部材14Aが弾性変形することで速度調整部材13Aが固定されず、速度調整部材13A、すなわち回転軸10は回転を継続する。
【0063】
なお、速度調整部材13A及び当接部材14Aは、当接している状態において適宜の摩擦力を生じる表面形状となっていてもよい。
【0064】
回転軸10、すなわち速度調整部材13Aが回転すると、速度調整部材13Aが内壁14dに当接しない第1状態(
図6(a)参照)と、速度調整部材13Aと内壁14dとが当接する第2状態(
図6(b)参照)とが切り替えられる。したがって、第2状態における回転軸10の回転速度を第1状態における回転軸10の回転速度より遅くすることができる。
【0065】
本実施の形態では、y方向に沿って見たときに、内壁14dが外周面11aを半周程度覆っているが、内壁14dの長さ、すなわち当接部材14Aの形状はこれに限られない。内壁14dが所望の長さとなるように当接部材14Aの形状を調整することで、回転軸10の回転速度を調整する(遅くする)時間を容易に調整することができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、当接部材14Aが弾性部材であったが、速度調整部材13Aと当接部材14Aの少なくともいずれかが弾性部材であればよい。
【0067】
また、本実施の形態では、軸構造1Dが当接部材14Aを1つ有したが、軸構造1Dが複数の当接部材14Aを有していてもよい。
【0068】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。当業者であれば、実施形態の各要素を、適宜、変更、追加、変換等することが可能である。
【0069】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。また、本発明において「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、Aの近傍という場合に、Aの近くのある範囲の領域であって、Aを含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。また、本発明において「隣接」とは、基準となる物や部位(B)の隣りであって、Bと当接している場合及びBと当接していない場合を含むことを示す概念である。
【符号の説明】
【0070】
1、1A、1B、1C、1D:軸構造
10 :回転軸
11 :回転軸部品
11a :外周面
12 :軸受筒
13、13A、13B:速度調整部材
13a :平面部
13b :曲面部
13c :周縁
14、14A:当接部材
14a :第1端
14b :第2端
14d :内壁