(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012860
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H01B 7/00 20060101AFI20240124BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20240124BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20240124BHJP
D03D 15/533 20210101ALI20240124BHJP
D03D 15/283 20210101ALI20240124BHJP
D03D 15/41 20210101ALI20240124BHJP
D03D 15/507 20210101ALI20240124BHJP
H01B 7/08 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
H01B7/00 301
H02G3/04
D03D1/00 Z
D03D15/533
D03D15/283
D03D15/41
D03D15/507
H01B7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114626
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】望月 泰志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 重人
【テーマコード(参考)】
4L048
5G309
5G311
5G357
【Fターム(参考)】
4L048AA42
4L048AA52
4L048AB01
4L048AB06
4L048AB12
4L048AC00
4L048AC13
4L048BA01
4L048BA02
4L048CA05
4L048DA24
5G309AA01
5G309AA09
5G311CA05
5G311CB02
5G311CC01
5G311CD03
5G357DB03
5G357DD01
5G357DD14
(57)【要約】
【課題】テープ部材に様々な特性を付与することを可能にしたワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】電線束11は、電線束11の延びる方向における少なくとも一部に複数の電線12がフラットに並ぶフラット部15を有している。ワイヤハーネス10は、フラット部15の厚さ方向の両側からフラット部15を挟んで貼り合わされる第1テープ部材20及び第2テープ部材30を備える。第1テープ部材20は、互いに異なる特性を有する2種類以上の素線を含む複数の素線が編み込まれて構成される異種線混合部材としての第1基材21を有している。また、第2テープ部材30は、互いに異なる特性を有する2種類以上の素線を含む複数の素線が編み込まれて構成される異種線混合部材としての第2基材31を有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線を有する電線束を備えるワイヤハーネスであって、
前記電線束は、前記電線束の延びる方向における少なくとも一部に前記複数の電線がフラットに並ぶフラット部を有し、
前記フラット部の厚さ方向の両側から前記フラット部を挟んで貼り合わされる第1テープ部材及び第2テープ部材を備え、
前記第1テープ部材及び前記第2テープ部材の少なくとも一方は、互いに異なる特性を有する2種類以上の素線を含む複数の素線が編み込まれて構成される異種線混合部材を有している、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記複数の素線は、第1素線と、前記第1素線よりも硬い第2素線と、を含む、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記複数の素線は、前記電線束の延びる方向に沿って配置される第1線群と、前記第1線群に対して交差する方向に沿って配置される第2線群と、を含み、
前記第1線群及び前記第2線群の少なくとも一方は、前記第1素線及び前記第2素線の双方を含む、
請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記第1テープ部材と前記第2テープ部材とは、前記フラット部の幅方向の両側で互いに直接貼り合わせられて貼り合わせ部を形成し、
前記第2素線は、前記貼り合わせ部に含まれている、
請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記複数の素線は、前記電線束の延びる方向に沿って配置される第1線群と、前記第1線群に対して交差する方向に沿って配置される第2線群と、を含み、
前記第1線群は、前記第1素線及び前記第2素線の双方を含み、
前記第2素線は、前記貼り合わせ部において前記電線束の延びる方向に沿って配置されている、
請求項4に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記異種線混合部材は、前記フラット部に対して厚さ方向に重なる重なり部を有し、
前記第2素線は、前記重なり部に含まれている、
請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
前記複数の素線は、前記電線束の延びる方向に沿って配置される第1線群と、前記第1線群に対して交差する方向に沿って配置される第2線群と、を含み、
前記第1線群は、前記第1素線及び前記第2素線の双方を含み、
前記第2素線は、前記重なり部において前記電線束の延びる方向に沿って配置されている、
請求項6に記載のワイヤハーネス。
【請求項8】
前記複数の素線は、前記電線束の延びる方向に沿って配置される第1線群と、前記第1線群に対して交差する方向に沿って配置される第2線群と、を含み、
前記第1線群における全ての素線が前記第1素線であり、
前記第2線群における全ての素線が前記第2素線である、
請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項9】
前記複数の素線は、前記電線束の延びる方向に沿って配置される第1線群と、前記第1線群に対して交差する方向に沿って配置される第2線群と、を含み、
前記第1線群における全ての素線が前記第2素線であり、
前記第2線群における全ての素線が前記第1素線である、
請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項10】
前記第2素線は、前記第1素線よりも本数が少ない、
請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項11】
前記第1素線は、短繊維が撚り合わされて形成される紡績糸であり、
前記第2素線は、合成樹脂にて形成されるフィラメント糸である、
請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項12】
前記第1テープ部材と前記第2テープ部材とは、互いに同一構成である、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項13】
前記複数の素線は、導体にて形成されたシールド素線を含む、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項14】
前記複数の素線は、磁石にて形成された磁石素線を含む、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項15】
前記第1テープ部材と前記第2テープ部材とは、前記フラット部の幅方向の両側で互いに直接貼り合わせられて貼り合わせ部を形成し、
前記磁石素線は、前記貼り合わせ部に含まれている、
請求項14に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されるワイヤハーネスは、当該ワイヤハーネスの一部が周辺部材の間等の狭い場所に配置されることがある。そのため、このようなワイヤハーネスには、平らで薄い形状、即ちフラット状をなすフラット部を有するものがある。例えば、特許文献1に記載のワイヤハーネスでは、フラット部は、粘着テープなどのテープ部材によって結束されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、上記のようなワイヤハーネスにおいて、テープ部材に如何にして様々な特性を付与するかを検討していた。
本開示の目的は、テープ部材に様々な特性を付与することを可能にしたワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のワイヤハーネスは、複数の電線を有する電線束を備えるワイヤハーネスであって、前記電線束は、前記電線束の延びる方向における少なくとも一部に前記複数の電線がフラットに並ぶフラット部を有し、前記フラット部の厚さ方向の両側から前記フラット部を挟んで貼り合わされる第1テープ部材及び第2テープ部材を備え、前記第1テープ部材及び前記第2テープ部材の少なくとも一方は、互いに異なる特性を有する2種類以上の素線を含む複数の素線が編み込まれて構成される異種線混合部材を有している。
【発明の効果】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、第1テープ部材及び第2テープ部材の少なくとも一方に様々な特性を付与することを可能にする効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態におけるワイヤハーネスの一部を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、同形態におけるワイヤハーネスの横断面図である。
【
図3】
図3は、同形態における第1テープ部材の平面図である。
【
図4】
図4は、変更例におけるワイヤハーネスの横断面図である。
【
図5】
図5は、変更例における第1テープ部材の平面図である。
【
図6】
図6は、変更例における第1テープ部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]複数の電線を有する電線束を備えるワイヤハーネスであって、前記電線束は、前記電線束の延びる方向における少なくとも一部に前記複数の電線がフラットに並ぶフラット部を有し、前記フラット部の厚さ方向の両側から前記フラット部を挟んで貼り合わされる第1テープ部材及び第2テープ部材を備え、前記第1テープ部材及び前記第2テープ部材の少なくとも一方は、互いに異なる特性を有する2種類以上の素線を含む複数の素線が編み込まれて構成される異種線混合部材を有している。
【0009】
この構成によれば、第1テープ部材及び第2テープ部材の少なくとも一方において、互いに異なる特性を有する2種類以上の素線に基づく様々な特性を付与することが可能となる。
【0010】
[2]上記[1]において、前記複数の素線は、第1素線と、前記第1素線よりも硬い第2素線と、を含んでいてもよい。
この構成によれば、複数の素線の一部に第2素線を用いることで異種線混合部材の強度を確保しつつも、複数の素線の一部に第1素線を用いることで低コスト化及び軽量化に寄与できる。
【0011】
[3]上記[2]において、前記複数の素線は、前記電線束の延びる方向に沿って配置される第1線群と、前記第1線群に対して交差する方向に沿って配置される第2線群と、を含み、前記第1線群及び前記第2線群の少なくとも一方は、前記第1素線及び前記第2素線の双方を含んでいてもよい。
【0012】
この構成によれば、第1線群及び第2線群の少なくとも一方を、第1素線と、第1素線よりも硬い第2素線とを含む構成とすることができる。
[4]上記[2]または[3]において、前記第1テープ部材と前記第2テープ部材とは、前記フラット部の幅方向の両側で互いに直接貼り合わせられて貼り合わせ部を形成し、前記第2素線は、前記貼り合わせ部に含まれていてもよい。
【0013】
この構成によれば、貼り合わせ部に第2素線が含まれるため、貼り合わせ部の強度を確保することができる。その結果、貼り合わせ部において、第1テープ部材と第2テープ部材との貼り合わせを安定させることが可能となる。また、貼り合わせ部の強度が確保されることで、第1テープ部材と第2テープ部材とを貼り合わせて貼り合わせ部を成形する作業を簡単にすることが可能となる。
【0014】
[5]上記[4]において、前記複数の素線は、前記電線束の延びる方向に沿って配置される第1線群と、前記第1線群に対して交差する方向に沿って配置される第2線群と、を含み、前記第1線群は、前記第1素線及び前記第2素線の双方を含み、前記第2素線は、前記貼り合わせ部において前記電線束の延びる方向に沿って配置されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、貼り合わせ部において、第1テープ部材と第2テープ部材との貼り合わせをより安定させることが可能となる。また、第1テープ部材と第2テープ部材とを貼り合わせて貼り合わせ部を成形する作業をより簡単にすることが可能となる。
【0016】
[6]上記[2]から[5]のいずれかにおいて、前記異種線混合部材は、前記フラット部に対して厚さ方向に重なる重なり部を有し、前記第2素線は、前記重なり部に含まれていてもよい。
【0017】
この構成によれば、フラット部に重なる重なり部に第2素線が含まれるため、重なり部の強度を確保することが可能となる。したがって、フラット部を保護する機能を向上させることが可能となる。
【0018】
[7]上記[6]において、前記複数の素線は、前記電線束の延びる方向に沿って配置される第1線群と、前記第1線群に対して交差する方向に沿って配置される第2線群と、を含み、前記第1線群は、前記第1素線及び前記第2素線の双方を含み、前記第2素線は、前記重なり部において前記電線束の延びる方向に沿って配置されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、重なり部において、第2素線が電線束の延びる方向に沿って配置されるため、フラット部を好適に保護することが可能となる。
[8]上記[2]において、前記複数の素線は、前記電線束の延びる方向に沿って配置される第1線群と、前記第1線群に対して交差する方向に沿って配置される第2線群と、を含み、前記第1線群における全ての素線が前記第1素線であり、前記第2線群における全ての素線が前記第2素線であってもよい。
【0020】
この構成によれば、第1線群を第1素線のみで構成するとともに、第2線群を第2素線のみで構成することが可能となる。
[9]上記[2]において、前記複数の素線は、前記電線束の延びる方向に沿って配置される第1線群と、前記第1線群に対して交差する方向に沿って配置される第2線群と、を含み、前記第1線群における全ての素線が前記第2素線であり、前記第2線群における全ての素線が前記第1素線であってもよい。
【0021】
この構成によれば、第1線群を第2素線のみで構成するとともに、第2線群を第1素線のみで構成することが可能となる。
[10]上記[2]から[9]のいずれかにおいて、前記第2素線は、前記第1素線よりも本数が少ない構成であってもよい。
【0022】
この構成によれば、第2素線の本数を第1素線よりも少なくすることで、より一層の低コスト化及び軽量化に寄与できる。
[11]上記[2]から[10]のいずれかにおいて、前記第1素線は、短繊維が撚り合わされて形成される紡績糸であり、前記第2素線は、合成樹脂にて形成されるフィラメント糸であってもよい。
【0023】
この構成によれば、複数の素線の一部に合成樹脂のフィラメント糸を用いることで異種線混合部材の強度を好適に確保しつつも、複数の素線の一部に紡績糸を用いることで低コスト化及び軽量化に寄与できる。
【0024】
[12]上記[1]から[11]のいずれかにおいて、前記第1テープ部材と前記第2テープ部材とは、互いに同一構成であってもよい。
この構成によれば、第1テープ部材と第2テープ部材とを同一の品番として管理することが可能となる。その結果、部品管理の簡素化が可能となる。
【0025】
[13]上記[1]から[12]のいずれかにおいて、前記複数の素線は、導体にて形成されたシールド素線を含んでいてもよい。
この構成によれば、異種線混合部材に含まれるシールド素線によってフラット部におけるノイズ遮蔽が可能となる。
【0026】
[14]上記[1]から[13]のいずれかにおいて、前記複数の素線は、磁石にて形成された磁石素線を含んでいてもよい。
この構成によれば、磁石素線の磁力によって、異種線混合部材を磁性体の取付部位に容易に固定することが可能となる。
【0027】
[15]上記[14]において、前記第1テープ部材と前記第2テープ部材とは、前記フラット部の幅方向の両側で互いに直接貼り合わせられて貼り合わせ部を形成し、前記磁石素線は、前記貼り合わせ部に含まれていてもよい。
【0028】
この構成によれば、磁石素線の磁力によって、貼り合わせ部を磁性体の取付部位に容易に固定することが可能となる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「平行」や「垂直」は、厳密に平行や垂直の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね平行や垂直の場合も含まれる。
【0029】
図1に示すワイヤハーネス10は、例えば、自動車等の車両に搭載される。ワイヤハーネス10は、電線束11を備える。電線束11は、複数の電線12を有する。例えば、電線束11は、4つの電線12を有する。4つの電線12は、例えば同一種類の電線であるとともに、直径が等しい。電線束11は、複数の電線12が束ねられたものである。
【0030】
図2に示すように、各電線12は、導電性を有する芯線13と、芯線13の外周を囲むとともに絶縁性を有する絶縁被覆14とを有する。なお、
図2は、
図1における2-2断面図である。
【0031】
芯線13としては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や、内部が中空構造をなす筒状導体などを用いることができる。また、芯線13として、例えば、撚線、柱状導体、筒状導体のうちの少なくとも2つを組み合わせたものを用いてもよい。芯線13の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
【0032】
絶縁被覆14は、例えば、芯線13の外周を、電線12の中心線L1回りの周方向全周にわたって被覆する。絶縁被覆14は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により構成される。なお、
図1及び
図2では、電線12の中心線L1を一点鎖線で図示している。中心線L1は、電線12の横断面における中央を通る線である。
【0033】
各電線12の端部には、図示しないコネクタが設けられている。コネクタは、コネクタハウジングと、コネクタハウジングの内側に保持される接続端子とを有する。複数の電線12は、それぞれ異なる接続端子に電気的に接続されている。コネクタは、例えば、図示しない車両に搭載される機器に接続される。
【0034】
(フラット部15の構成)
電線束11は、電線束11の延びる方向における少なくとも一部に複数の電線12がフラットに並ぶフラット部15を有する。例えば、電線束11は、当該電線束11の延びる方向における一部にフラット部15を有する。
【0035】
例えば、フラット部15においては、4本の電線12は、電線束11の延びる方向と垂直に交差する一方向に沿って一列に並ぶ。なお、電線束11の延びる方向を、以下、延在方向Xと記載する。延在方向Xは、電線束11の長さ方向であって、束ねられた複数の電線12の中心線L1に沿う方向である。図中では、延在方向Xを両矢印で示している。
【0036】
フラット部15においては、延在方向Xと垂直に交差する第1の方向Yに沿って複数の電線12が並ぶ。延在方向Xと垂直に交差し、且つ、第1の方向Yと垂直に交差する方向を第2の方向Zとする。第1の方向Yは、フラット部15の幅方向に該当する。第2の方向Zは、フラット部15の厚さ方向に該当する。フラット部15における横断面形状は、第1の方向Yに長く、且つ、第2の方向Zに薄い扁平な形状である。なお、「横断面」は、延在方向Xと垂直な平面で切った断面である。また、第1の方向Yにおけるフラット部15の幅は、第2の方向Zにおけるフラット部15の幅よりも広い。フラット部15においては、4本の電線12は、例えば互いに平行に延びている。また、フラット部15においては、第1の方向Yに隣り合う電線12同士は、例えば互いに接触している。
【0037】
なお、本明細書において、「複数の電線がフラットに並ぶ」とは、電線束の横断面形状が扁平な形状になるように複数の電線が並ぶことを意味する。即ち、電線束の横断面形状が、電線束の延びる方向と垂直に交差する第1の方向に長く、且つ、第1の方向と垂直に交差する第2の方向に薄い形状となるように電線が並ぶことを意味する。そして、第1の方向におけるフラット部の幅は、フラット部の横断面において最も幅が広い部分の幅に該当する。更に、第1の方向におけるフラット部の幅と、第2の方向におけるフラット部の幅とは、異なる値であって、第1の方向におけるフラット部の幅の方が、第2の方向におけるフラット部の幅よりも広い。また、本明細書において、「フラット状」とは、複数の電線がフラットに並んだ状態を意味する。
【0038】
(第1テープ部材20及び第2テープ部材30の構成)
図1及び
図2に示すように、ワイヤハーネス10は、第1テープ部材20と第2テープ部材30とを備える。第1テープ部材20及び第2テープ部材30の各々は、例えば、帯状をなしている。第1テープ部材20と第2テープ部材30とは、例えば、互いに同一の構成を有している。第1テープ部材20及び第2テープ部材30の各々は、延在方向Xにおける長さが第1の方向Yにおける長さよりも長く形成されている。
【0039】
第1テープ部材20と第2テープ部材30とは、フラット部15の厚さ方向の両側からフラット部15を挟んで貼り合わされている。フラット部15における各電線12は、第1テープ部材20と第2テープ部材30とによって一体的に保持されている。第1テープ部材20及び第2テープ部材30の各々は、フラット部15を保護する保護テープである。
【0040】
図2に示すように、第1テープ部材20は、例えば、第1基材21と、第1粘着層22とを有する。第1基材21は、複数の素線T(
図1参照)が編み込まれてなる織物状をなしている。第1基材21は、例えば帯状をなす。第1粘着層22は、第1基材21の片面に積層されている。
【0041】
第2テープ部材30は、例えば、第1テープ部材20と同一の構成を有している。すなわち、第2テープ部材30は、第1基材21と同一構成を有する第2基材31と、第2基材31の片面に積層されている第2粘着層32とを有している。
【0042】
第1テープ部材20と第2テープ部材30とは、間にフラット部15を挟んで第1粘着層22と第2粘着層32とが対向するように、フラット部15の厚さ方向の両側からフラット部15を挟んで貼り合わされている。そして、第1テープ部材20及び第2テープ部材30の各々は、例えば、延在方向Xに沿って延びている。また、フラット部15は、フラット部15の幅方向から見て、例えば、第1テープ部材20及び第2テープ部材30によって直線状に維持されている。
【0043】
(貼り合わせ部41の構成)
第1テープ部材20と第2テープ部材30とは、例えば、フラット部15の幅方向の両側で互いに直接貼り合わせられていてもよい。例えば、第1テープ部材20及び第2テープ部材30の各々は、フラット部15の幅方向における長さがフラット部15よりも長い。そして、第1テープ部材20と第2テープ部材30とは、フラット部15の幅方向の両側の各々において、互いに直接貼り合わせられて貼り合わせ部41を形成している。すなわち、第1テープ部材20と第2テープ部材30とが互いに貼り合わせられた一対の貼り合わせ部41の間に、フラット部15が位置している。各貼り合わせ部41は、第1テープ部材20の一部と第2テープ部材30の一部とによって構成される。また、各貼り合わせ部41においては、第1粘着層22と第2粘着層32とが互いに接着されている。一対の貼り合わせ部41の各々は、延在方向Xに沿って延びている。
【0044】
第1テープ部材20は、フラット部15に貼り付く第1保持部23を有している。第1保持部23は、第1の方向Yにおいて一対の貼り合わせ部41の間に配置されている。第1保持部23において、第1基材21は、フラット部15に対して厚さ方向に重なる重なり部21xを有している。重なり部21xは、第1粘着層22によってフラット部15に固定される。
【0045】
第2テープ部材30は、フラット部15に貼り付く第2保持部33を有している。第2保持部33は、第1の方向Yにおいて一対の貼り合わせ部41の間に配置されている。フラット部15は、第2の方向Zにおいて、第1保持部23と第2保持部33とに挟まれて保持されている。第2保持部33において、第2基材31は、フラット部15に対して厚さ方向に重なる重なり部31xを有している。重なり部31xは、第2粘着層32によってフラット部15に固定される。
【0046】
(第1基材21の構成)
図1及び
図3に示すように、第1基材21は、互いに異なる特性を有する2種類以上の素線を含む複数の素線Tが編み込まれて構成される異種線混合部材である。第1基材21は、電線束11の延在方向Xに沿って配置される第1線群21aと、第1線群21aに対して交差する方向に沿って配置される第2線群21bとを含む。
【0047】
第1線群21aを構成する各素線Tは、延在方向Xにおいて第1基材21の一端から他端まで延びている。第2線群21bは、例えば、第1線群21aに対して垂直に配置されている。第2線群21bを構成する各素線Tは、第1の方向Yにおいて第1基材21の一端から他端まで延びている。
【0048】
図3に示すように、第1線群21aを構成する複数の素線Tは、複数の第1素線51aと、第1素線51aとは異なる材料で形成された複数の第2素線52aとを含んでいる。第1線群21aにおいて、各第1素線51a及び各第2素線52aは、延在方向Xに沿って配置されている。
【0049】
第1素線51aは、例えば、短繊維を撚り合わせて形成した紡績糸である。本実施形態では、第1線群21aを構成する複数の素線Tの大半が第1素線51aである。
第2素線52aは、第1素線51aよりも硬い材料にて形成されている。例えば、第2素線52aの形成材料は、第1基材21の形成材料よりも例えばビッカース硬さの値が高い。第2素線52aは、例えば、合成樹脂にて形成されるフィラメント糸である。本実施形態では、第1線群21aを構成する複数の素線Tのうちの2本が第2素線52aであり、それ以外が第1素線51aである。また、第1線群21aにおける各第2素線52aは、第1基材21における重なり部21xに含まれている(
図2参照)。
【0050】
図3に示すように、第2線群21bを構成する複数の素線Tは、複数の第1素線51bと、複数の第2素線52bとを含んでいる。第1線群21aに含まれる第1素線51aと、第2線群21bに含まれる第1素線51bとは、同一構成の線材である。すなわち、第1素線51bは、短繊維を撚り合わせて形成した紡績糸である。
【0051】
第1線群21aに含まれる第2素線52aと、第2線群21bに含まれる第2素線52bとは、同一構成の線材である。すなわち、第2素線52bは、例えば、合成樹脂にて形成されるフィラメント糸である。
【0052】
第2線群21bにおいて、各第1素線51b及び各第2素線52bは、第1の方向Yに沿って配置されている。また、第2線群21bにおいて、2本の第1素線51bと1本の第2素線52bとが延在方向Xにおいて交互に繰り返し配置されている。すなわち、第1素線51bと第2素線52bとの比は2:1である。したがって、第1基材21を構成する複数の素線Tにおいて、第2素線52a,52bの合計本数は、第1素線51a,51bの合計本数よりも少ない。
【0053】
第2線群21bにおいて、各第2素線52bは、第1の方向Yにおける第1基材21の一端から他端まで延びている。すなわち、各貼り合わせ部41は、第2線群21bの第2素線52bの長さ方向の一部を含んでいる。また、第1基材21の重なり部21xは、第2線群21bの第2素線52bの長さ方向の一部を含んでいる。
【0054】
第2テープ部材30の第2基材31は、第1基材21と同一構成の異種線混合部材である。なお、第2基材31において、第1基材21と同一の構成については同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0055】
第1基材21と第2基材31とは、互いに同一構成である。このため、
図2に示すように、各々の第1の方向Yの両端部が一致するように、第1基材21と第2基材31とが貼り合わせられたとき、第1基材21と第2基材31とが第2の方向Zにおいてフラット部15に対し対称となる。したがって、このとき、重なり部21xに含まれる各第2素線52aと、重なり部31xに含まれる各第2素線52aとが、第2の方向Zに沿って並ぶようになっている。
【0056】
本実施形態の作用について説明する。
第1テープ部材20と第2テープ部材30とによって、フラット部15における電線12同士の相対移動、ならびに第1テープ部材20及び第2テープ部材30に対する電線12の移動が規制される。即ち、第1テープ部材20と第2テープ部材30との間では、フラット部15の厚さを厚くするような電線12の移動が規制される。
【0057】
第1テープ部材20の第1基材21、及び第2テープ部材30の第2基材31の各々は、第1素線51a,51b及び第2素線52a,52bが編み込まれた織物状をなす。第1素線51a,51bは、第2素線52a,52bと比べて柔軟性に優れている。一方、第2素線52a,52bは、第1素線51a,51bよりも硬く剛性が高い。このため、第1素線51a,51bに対する第2素線52a,52bの本数比が大きくなるほど、第1基材21及び第2基材31の剛性が高くなり、第1基材21及び第2基材31の形状を維持しやすくなる。なお、本実施形態では、第2線群21bにおける第2素線52bの本数比は、第1線群21aにおける第2素線52aの本数比よりも大きい。したがって、第1基材21及び第2基材31の各々について、延在方向X視における変形のしやすさに比べて、第1の方向Y視における変形のしやすさの方が大きくなっている。
【0058】
また、第1素線51a,51bを紡績糸とする場合、第2素線52a,52bに比べて第1素線51a,51bを消音性に優れた構成とすることが可能である。このため、第1素線51a,51bの本数比を大きくするほど、第1基材21及び第2基材31の消音性能を向上させることができる。
【0059】
また、第1基材21及び第2基材31の各々において、フラット部15に重なる重なり部21x,31xに第2素線52a,52bが含まれている。このため、第2素線52a,52bによって、外力からフラット部15を保護することが可能となる。
【0060】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ワイヤハーネス10は、フラット部15の厚さ方向、すなわち第2の方向Zの両側からフラット部15を挟んで貼り合わされる第1テープ部材20及び第2テープ部材30を備える。第1テープ部材20は、互いに異なる特性を有する2種類以上の素線を含む複数の素線Tが編み込まれて構成される異種線混合部材としての第1基材21を有している。また、第2テープ部材30は、互いに異なる特性を有する2種類以上の素線を含む複数の素線Tが編み込まれて構成される異種線混合部材としての第2基材31を有している。この構成によれば、第1テープ部材20及び第2テープ部材30の各々において、互いに異なる特性を有する2種類以上の素線Tに基づく前述した様々な特性を付与することが可能となる。これにより、フラット部15が配索される場所の環境に応じた特性を第1テープ部材20及び第2テープ部材30に付与することが可能となる。
【0061】
(2)第1基材21及び第2基材31の各々において、複数の素線Tは、第1素線51a,51bと、第1素線51a,51bよりも硬い第2素線52a,52bとを含む。この構成によれば、第1基材21及び第2基材31の各々において、複数の素線Tの一部に第2素線52a,52bを用いることで強度を確保しつつも、複数の素線Tの一部に第1素線51a,51bを用いることで低コスト化及び軽量化に寄与できる。
【0062】
(3)複数の素線Tは、電線束11の延在方向Xに沿って配置される第1線群21aと、第1線群21aに対して交差する方向に沿って配置される第2線群21bと、を含む。第1線群21aは、第1素線51a及び第2素線52aの双方を含む。また、第2線群21bは、第1素線51b及び第2素線52bの双方を含む。この構成によれば、第1テープ部材20及び第2テープ部材30の各々に付与する特性の設計自由度を向上させることが可能となる。
【0063】
(4)第1テープ部材20と第2テープ部材30とは、フラット部15の幅方向、すなわち第1の方向Yの両側で互いに直接貼り合わせられて貼り合わせ部41を形成する。そして、第2線群21bの第2素線52bの第1の方向Yの一部分は、貼り合わせ部41に含まれている。この構成によれば、貼り合わせ部41に第2素線52bが含まれるため、貼り合わせ部41の強度を確保することができる。その結果、貼り合わせ部41において、第1テープ部材20と第2テープ部材30との貼り合わせを安定させることが可能となる。また、貼り合わせ部41の強度が確保されることで、第1テープ部材20と第2テープ部材30とを貼り合わせて貼り合わせ部41を成形する作業を簡単にすることが可能となる。
【0064】
(5)第1基材21及び第2基材31はそれぞれ、フラット部15に対して厚さ方向に重なる重なり部21x,31xを有している。そして、第2素線52a,52bは、重なり部21x,31xに含まれている。この構成によれば、第2素線52a,52bによって、フラット部15の強度を確保することが可能となる。したがって、重なり部21x,31xによるフラット部15を保護する機能を向上させることが可能となる。
【0065】
(6)第1線群21aの第2素線52aは、重なり部21x,31xにおいて延在方向Xに沿って配置されている。この構成によれば、延在方向Xに沿って配置された第2素線52aによって、フラット部15を好適に保護することが可能となる。さらに、本実施形態では、第1線群21aは、重なり部21x,31xにおいて複数の第2素線52aを含む。このため、複数の第2素線52aにより、外力に対してより好適にフラット部15を保護することが可能となる。
【0066】
(7)第2素線52a,52bは、第1素線51a,51bよりも本数が少ない。この構成によれば、第2素線52a,52bの本数を第1素線51a,51bよりも少なくすることで、より一層の低コスト化及び軽量化に寄与できる。
【0067】
(8)第1素線51a,51bは、短繊維が撚り合わされて形成される紡績糸であり、第2素線52a,52bは、合成樹脂にて形成されるフィラメント糸である。この構成によれば、複数の素線Tの一部に合成樹脂のフィラメント糸を用いることで異種線混合部材の強度を好適に確保しつつも、複数の素線Tの一部に紡績糸を用いることで低コスト化及び軽量化に寄与できる。
【0068】
(9)第1テープ部材20と第2テープ部材30とは、互いに同一構成である。この構成によれば、第1テープ部材20と第2テープ部材30とを同一の品番として管理することが可能となる。その結果、部品管理の簡素化が可能となる。
【0069】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0070】
・
図4に示すように、第1線群21aの第2素線52aが、各貼り合わせ部41において電線束11の延在方向Xに沿って配置されていてもよい。この構成によれば、貼り合わせ部41において、第1テープ部材20と第2テープ部材30との貼り合わせをより安定させることが可能となる。また、第1テープ部材20と第2テープ部材30とを貼り合わせて貼り合わせ部41を成形する作業をより簡単にすることが可能となる。なお、
図4に示す例では、重なり部21x,31xが第2素線52aを含んでいない。このため、重なり部21x,31xの柔軟性を向上させることが可能となる。
【0071】
・
図5に示すように、例えば第1基材21において、第1線群21aに含まれる全ての素線Tを第1素線51aとし、第2線群21bに含まれる全ての素線Tを第2素線52bとしてもよい。この構成によれば、第1基材21について、延在方向X視においてより変形しにくく、かつ、第1の方向Y視においてより変形しやすい構成とすることが可能となる。なお、第2基材31についても同様に変更してもよい。
【0072】
また、例えば第1基材21において、第1線群21aに含まれる全ての素線Tを第2素線52aとし、第2線群21bに含まれる全ての素線Tを第1素線51bとしてもよい。この構成によれば、第1基材21について、延在方向X視においてより変形しやすく、かつ、第1の方向Y視においてより変形しにくい構成とすることが可能となる。なお、第2基材31についても同様に変更してもよい。
【0073】
・第1基材21における第1線群21a及び第2線群21bを、
図6に示す第1線群60a及び第2線群60bにそれぞれ変更をしてもよい。
図6に示すように、第1線群60aは、電線束11の延在方向Xに沿って配置される。第2線群60bは、第1線群21aに対して交差する方向に沿って配置される。第2線群60bは、例えば、第1線群60aに対して垂直に配置されている。
【0074】
第1線群60aは、第2素線52aと、導体にて形成された複数のシールド素線61aと、磁石にて形成された磁石素線62とを含んでいる。同図に示す例では、第1線群60aにおいて第2素線52aは1本のみである。第2素線52aは、例えば、第1の方向Yにおける第1基材21の中央部に配置されている。
【0075】
磁石素線62は、着磁されて磁力を有する素線である。同図に示す例では、磁石素線62は、フラット部15の第1の方向Yの両側の一対の貼り合わせ部41の各々において、延在方向Xに沿って配置されている。磁石素線62は、一対の貼り合わせ部41のそれぞれに例えば1本ずつ配置される。
【0076】
同図に示す例では、第1線群60aを構成する複数の素線Tのうち、第2素線52a及び磁石素線62以外の素線Tは全てシールド素線61aである。各シールド素線61aは、例えば、銅系やアルミニウム系等の金属材料にて形成されている。シールド素線61aは、例えば、第1素線51a,51b及び第2素線52a,52bよりも高い剛性を有している。
【0077】
第2線群60bは、複数の第1素線51bと、導体にて形成された複数のシールド素線61bとを含んでいる。第2線群60bにおいて、第1素線51bとシールド素線61bとは、例えば、延在方向Xにおいて1本ずつ交互に配置されている。第2線群60bのシールド素線61bは、第1線群60aのシールド素線61aと同一構成の線材である。すなわち、シールド素線61bは、銅系やアルミニウム系等の金属材料にて形成されている。また、シールド素線61bについても、第1素線51a,51b及び第2素線52a,52bよりも高い剛性を有している。なお、第2テープ部材30の第2基材31についても、第1線群60a及び第2線群60bを有する構成であってもよい。
【0078】
図6に示すような構成によれば、例えば第1基材21を構成する複数の素線Tは、導体にて形成されたシールド素線61a,61bを含む。このため、シールド素線61a,61bによってフラット部15におけるノイズ遮蔽が可能となる。すなわち、シールド素線61a,61bによって、フラット部15から外部に電磁ノイズが放射されることを抑制できる。また、シールド素線61a,61bによって、外部からの電磁ノイズがフラット部15に侵入することを抑制できる。
【0079】
また、シールド素線61a,61bは、第1素線51a,51b及び第2素線52a,52bよりも剛性が高い。このため、例えば第1基材21がシールド素線61a,61bを含むことで、第1基材21の剛性を向上させることが可能となる。
【0080】
また、第2線群60bは、シールド素線61bの他に第1素線51bを含むため、例えば第1基材21の消音性及び柔軟性の向上、ならびに低コスト化及び軽量化に寄与できる。
【0081】
また、
図6に示すような構成によれば、例えば第1基材21を構成する複数の素線Tは、磁石にて形成された磁石素線62を含む。このため、磁石素線62の磁力によって、例えば、第1基材21を金属製の取付部位に容易に固定することが可能となる。また、磁石素線62は貼り合わせ部41に含まれるため、磁石素線62の磁力によって、貼り合わせ部41を磁性体の取付部位に容易に固定することが可能となる。
【0082】
なお、
図6に示す構成は以下のように変更してもよい。
磁石素線62は、一対の貼り合わせ部41のそれぞれに複数本ずつ配置されていてもよい。これにより、磁石素線62による取付部位への固定力を向上させることが可能となる。
【0083】
第1線群60aは、第2素線52a及び磁石素線62を含んでいなくてもよい。すなわち、第1線群60aに含まれる全ての素線Tをシールド素線61aとしてもよい。
第1線群60aが、1本または複数本の第1素線51aを含んでいてもよい。これによれば、例えば第1基材21の消音性及び柔軟性の向上、ならびに低コスト化及び軽量化により一層寄与できる。
【0084】
第1線群60aのシールド素線61a及び第2線群60bのシールド素線61bの一方を、他の素線に変更してもよい。すなわち、第1線群60a及び第2線群60bの一方のみにシールド素線が含まれる構成としてもよい。
【0085】
第2線群60bにおいて、第1素線51bとシールド素線61bとが、延在方向Xにおいて複数本ずつ交互に配置されていてもよい。また、第2線群60bが、1本または複数本の第2素線52bを含んでいてもよい。また、第2線群60bが、1本または複数本の磁石素線62を含んでいてもよい。磁石素線62が第1線群60a及び第2線群60bの双方に含まれることで、磁石素線62による取付部位への固定力を向上させることが可能となる。
【0086】
・上記実施形態において、第1線群21aにおいて、第1素線51aと第2素線52aの本数比を変更してもよい。また、上記実施形態の第2線群21bにおいて、第1素線51bと第2素線52bの本数比を変更してもよい。
【0087】
・上記実施形態の第1基材21及び第2基材31の少なくとも一方において、第2素線52a,52bの合計本数を、第1素線51a,51bの合計本数よりも多く構成してもよい。これによれば、第2素線52a,52bによって、フラット部15をより好適に保護することが可能となる。また、第2素線52a,52bによって、フラット部15の形状をより好適に維持することが可能となる。
【0088】
・第1素線51a,51b及び第2素線52a,52bの構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。例えば、上記実施形態や
図4及び
図5に示すような構成において、第2素線52a,52bは、第1素線51a,51bよりも硬い特性を有していれば、短繊維が撚り合わされて形成される紡績糸であってもよい。また、上記実施形態や
図4及び
図5に示すような構成において、第2素線52a,52bは、銅系やアルミニウム系等の金属材料にて形成された素線であってもよい。すなわち、第1線群21a及び第2線群21bの一方における全ての素線Tを金属からなる第2素線とし、第1線群21a及び第2線群21bの他方における全ての素線Tを第1素線51a,51bとしてもよい。また、第1素線51a,51bは、第2素線52a,52bよりも柔軟性に優れたフィラメント糸であってもよい。
【0089】
・上記実施形態において、フラット部15は、フラット部15の幅方向から見て第1テープ部材20及び第2テープ部材30によって湾曲形状に維持されてもよい。例えば、第1テープ部材20及び第2テープ部材30は、第1粘着層22及び第2粘着層32の粘着力、並びに、第1基材21及び第2基材31の剛性によって、フラット部15を湾曲形状に維持する。このようにすると、フラット部15の配索場所が湾曲している場合に、フラット部15を容易に配置できる。
【0090】
・上記実施形態において、電線束11の全体がフラット部15であってもよい。また、上記実施形態において、電線束11は、複数のフラット部15を有していてもよい。この場合、ワイヤハーネス10は、フラット部15の数に応じて、第1テープ部材20と第2テープ部材30との組を複数組有する。
【0091】
・互いに貼り合わせられる第1テープ部材20及び第2テープ部材30において、第1粘着層22及び第2粘着層32のいずれか一方を省略してもよい。例えば、第1テープ部材20が第1粘着層22を有する場合には、第2テープ部材30は第2粘着層32を有していなくてもよい。
【0092】
・第1基材21及び第2基材31の一方のみを、互いに異なる特性を有する2種類以上の素線を含む複数の素線Tが編み込まれて構成される異種線混合部材としてもよい。
・第1テープ部材20及び第2テープ部材30の一方は、一般的に電線の結束に使用される電線用結束テープであってもよい。なお、電線用結束テープは、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)テープであり、より容易に入手可能である。
【0093】
・電線束11が有する電線12の本数は、上記実施形態の数に限らず、2つ以上であればよい。また、電線束11が有する各電線12の径は全て同じ径であってもよいし、異なる径の電線12を含んでいてもよい。また、電線束11は、第1の方向Yに複数並ぶ電線12の列を1つ、または第2の方向Zに重なるように2つ以上有していてもよい。
【0094】
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
10 ワイヤハーネス
11 電線束
12 電線
13 芯線
14 絶縁被覆
15 フラット部
20 第1テープ部材
21 第1基材(異種線混合部材)
21a 第1線群
21b 第2線群
21x 重なり部
22 第1粘着層
23 第1保持部
30 第2テープ部材
31 第2基材(異種線混合部材)
31x 重なり部
32 第2粘着層
33 第2保持部
41 貼り合わせ部
51a,51b 第1素線(素線)
52a,52b 第2素線(素線)
60a 第1線群
60b 第2線群
61a,61b シールド素線
62 磁石素線
L1 中心線
T 複数の素線
X 延在方向(電線束の延びる方向)
Y 第1の方向
Z 第2の方向(厚さ方向)