IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社の特許一覧

特開2024-128602ホットメルト性硬化性シリコーン組成物、封止材、ホットメルト接着剤、及び光半導体装置
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128602
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】ホットメルト性硬化性シリコーン組成物、封止材、ホットメルト接着剤、及び光半導体装置
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20240913BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20240913BHJP
   C09J 183/07 20060101ALI20240913BHJP
   C09J 183/05 20060101ALI20240913BHJP
   C09J 11/00 20060101ALI20240913BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
C09J183/07
C09J183/05
C09J11/00
H01L23/28 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037658
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】520070769
【氏名又は名称】デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 絢哉
(72)【発明者】
【氏名】井口 友莉
【テーマコード(参考)】
4J002
4J040
4M109
【Fターム(参考)】
4J002CP042
4J002CP141
4J002DA116
4J002EC076
4J002EZ006
4J002FD156
4J002GJ01
4J002GJ02
4J002GQ00
4J040EK041
4J040EK081
4J040HA086
4J040HD43
4J040JA09
4J040JB01
4J040JB02
4J040KA14
4J040LA06
4J040LA08
4J040LA10
4J040MA02
4J040MB03
4J040MB05
4J040NA20
4J040PA30
4M109AA01
4M109EA10
4M109EB04
4M109EC11
4M109GA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フィルム形態での取り扱い性に優れるとともに、優れた溶融特性を示し、十分な硬化物の透明性が得られるホットメルト性硬化性シリコーン組成物を提供すること。
【解決手段】(A)レジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、(B)硬化性直鎖状オルガノポリシロキサン、(C)硬化性直鎖状および分岐状オルガノポリシロキサン、(D)シリコーン反応性相溶剤、(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び(F)硬化用触媒を含む、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物であって、(A)成分の含有量が、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、5質量%以上であり、(D)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比が、5.0未満である、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物により、上記課題を解決する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一分子当たり少なくとも2個のアルケニル基と少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%以上である、レジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、
(B)一分子当たり少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%以上である、硬化性直鎖状オルガノポリシロキサン、
(C)一分子当たり少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%未満である、硬化性直鎖状または分岐状オルガノポリシロキサン、
(D)(D-1)環状オルガノポリシロキサン;(D-2)MQレジン;及び(D-3)一分子中に少なくとも1つの(ArSiO3/2)単位(Arはアリール基を表す)を含むか、又はアリール基の含有量が20モル%以下である、(A)成分とは異なるオルガノポリシロキサンから選択されるシリコーン反応性相溶剤であって、1000以下の重量平均分子量を有する、シリコーン反応性相溶剤、
(E)(D)成分とは異なる、一分子当たり少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(F)硬化用触媒
を含む、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物であって、
(A)成分の含有量が、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、5質量%以上であり、(D)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比が、5.0未満である、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
(A)成分のレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンが、RSiOで表されるシロキサン単位(T単位)とRSiOで表されるシロキサン単位(D単位)からなる、請求項1に記載のホットメルト性硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
(A)成分のレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンが、以下の平均単位式(I):(R SiO2/2(RSiO3/2
(式中、Rは同じかまたは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、ただし、一分子中、少なくとも2個のRはアルケニル基であり、0<s<1、0<t<1、及びs+t=1である)
で表される、請求項1に記載のホットメルト性硬化性シリコーン組成物。
【請求項4】
(B)成分の硬化性直鎖状オルガノポリシロキサンが、一分子中に少なくとも1つの(AlArSiO2/2)単位(Alはアルキル基を表し、Arはアリール基を表す)を含む、請求項1に記載のホットメルト性硬化性シリコーン組成物。
【請求項5】
(C)成分が、一分子中に少なくとも1つの(AlSiO2/2)単位(Alはアルキル基を表す)及び少なくとも1つの(ArSiO2/2)単位(Arはアリール基を表す)を有する硬化性直鎖状オルガノポリシロキサンを含む、請求項1に記載のホットメルト性硬化性シリコーン組成物。
【請求項6】
(D-3)成分のオルガノポリシロキサンが、平均単位式(IV-c):IV-c):(R SiO1/2(ArSiO3/2
(式中、Rは水素原子又は同じか若しくは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、Arはアリール基を示し、0<p<1.0、0<q<1.0であり、かつp+q=1.0である)
で表されるレジン状オルガノポリシロキサンである、請求項1に記載のホットメルト性硬化性シリコーン組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のホットメルト性硬化性シリコーン組成物からなる、封止材又はホットメルト接着剤。
【請求項8】
請求項7に記載の封止材で封止された、光半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホットメルト性硬化性シリコーン組成物に関し、より具体的には、光半導体の封止材に好適に用いられるホットメルト性硬化性シリコーン組成物に関する。また、本発明は、こうしたホットメルト性硬化性シリコーン組成物の硬化物からなる封止材により封止された光半導体装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性シリコーン組成物は、硬化して優れた耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、耐候性、援水性、透明性を有する硬化物を形成することから、幅広い産業分野で利用されている。特に、その硬化物は、他の有機材料と比較し変色しにくく、また、耐久性等の物理的物性の低下が小さいため、光学材料用、特に発光ダイオード(LED)等の光半導体装置に用いられるシリコーン封止材として広く用いられている。
【0003】
また、硬化性であって、室温では非流動的で、シート状またはフィルム状に成形でき、加熱により溶融して流動的になるホットメルト性シリコーンは、半導体装置用の封止剤やホットメルト接着剤として利用されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ヒドロシリル化反応により架橋して、室温では高硬度の固体状であり、高温では著しく軟化もしくは液状化する架橋物を形成する架橋性シリコーン組成物であって、(A)平均単位式:(R SiO1/2)(R SiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(R1/2)(式中、Rはフェニル基、炭素原子数1~6のアルキル基もしくはシクロアルキル基、または炭素原子数2~6のアルケニル基であり、ただし、Rの60~80モル%はフェニルであり、Rの10~20モル%はアルケニル基であり、Rは水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基であり、a、b、c、dおよびeは、0≦a≦0.2、0.2≦b≦0.7、0.2≦c≦0.6、0≦d≦0.2、0≦e≦0.1、かつa+b+c+d=1を満たす数である。)で表されるオルガノポリシロキサン、(B)一般式:R SiO(R SiO)SiR (式中、Rはフェニル基、炭素原子数1~6のアルキル基もしくはシクロアルキル基、または炭素原子数2~6のアルケニル基であり、ただし、Rの40~70モル%はフェニル基であり、Rの少なくとも1個はアルケニル基であり、mは5~100の整数である。)で表されるオルガノポリシロキサン{(A)成分100重量部に対して0~20重量部}(C)一分子中に2個のケイ素原子結合水素原子を有し、ケイ素原子結合有機基の30~70モル%がフェニル基であるオルガノポリシロキサン{(A)成分中と(B)成分中のアルケニル基の合計に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.5~2となる量}、および(D)ヒドロシリル化反応用触媒{(A)成分と(B)成分中のアルケニル基と(C)成分中のケイ素原子結合水素原子とのヒドロシリル化反応を促進するに十分な量}から少なくともなる架橋性シリコーン組成物が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、(A)一分子中にアルケニル基を少なくとも2個有するアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、(B)組成物の総質量に対して0.1~5質量%の、一分子中にケイ素原子結合水素原子を少なくとも2個有するレジン状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)平均単位式(C-1):(R SiO1/2)(R SiO2/2)(RSiO3/2)(式中、Rは同じかまたは異なる、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、もしくはエポキシ基含有有機基または、アルコキシ基であり、ただし、少なくとも1つのRはアルケニル基であり、且つ、少なくとも1つのRはエポキシ基含有有機基であり、a、b、およびcは、それぞれ、0≦a≦1.0、0≦b≦1.0、0≦c<0.9、且つa+b+c=1を満たす数である。)で表される添加剤、および(D)ヒドロシリル化反応用触媒、および(E)シリカを含む、無溶剤系ホットメルト性硬化性シリコーン組成物が記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、(A)ケイ素原子結合有機基にエポキシ基含有有機基を含まないレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンであって、(A-1)一分子当たり少なくとも2個のアルケニル基を含み、(ArSiO2/2)単位を含まない、レジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、及び(A-2)一分子当たり少なくとも2個のアルケニル基と、少なくとも1つの(ArSiO2/2)単位を含む、レジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン;(B)一分子当たり少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン;並びに(C)硬化用触媒を含み、前記(A-1)成分が、全オルガノポリシロキサン成分の総質量に基づいて、5質量%以上で含まれる、ホットメルト性シリコーン組成物が記載されています。
【0007】
しかしながら、従来のホットメルト性硬化性シリコーン組成物では、フィルム形成した場合に、粘着性が高すぎ、取り扱いが難しい場合がある、という問題点があった。また、粘着性を低くした場合、溶融特性が劣るという問題点があった。さらに、十分な硬化物の透明性が得られない場合がある、という問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013-001794号公報
【特許文献2】特開2021-21058号公報
【特許文献3】特開2022-84179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、フィルム形態での取り扱い性に優れるとともに、優れた溶融特性を示し、硬化して透明性に優れるホットメルト性硬化性シリコーン組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物を含む封止材又はホットメルト接着剤を提供することにある。また、本発明のさらに別の目的は、本発明の封止材で封止された光半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、本件発明者は、鋭意検討した結果、驚くべきことに、特定の構造を有するレジン状オルガノポリシロキサン(成分A)と、このレジン状オルガノポリシロキサンと不相溶性である特定の直鎖状オルガノポリシロキサンの組み合わせ(成分B及びC)と、成分A~Cのオルガノポリシロキサンの相溶性を向上させるため特定のシリコーン反応性相溶剤の組み合わせにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
したがって、本発明は、
(A)一分子当たり少なくとも2個のアルケニル基と少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%以上である、レジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、
(B)一分子当たり少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%以上である、硬化性直鎖状オルガノポリシロキサン、
(C)一分子当たり少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%未満である、硬化性直鎖状または分岐状オルガノポリシロキサン、
(D)(D-1)環状オルガノポリシロキサン;(D-2)MQレジン;及び(D-3)一分子中に少なくとも1つの(ArSiO3/2)単位(Arはアリール基を表す)を含むか、又はアリール基の含有量が20モル%以下である、(A)成分とは異なるオルガノポリシロキサンから選択されるシリコーン反応性相溶剤であって、1000以下の重量平均分子量を有する、シリコーン反応性相溶剤、
(E)(D)成分とは異なる、一分子当たり少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(F)硬化用触媒
を含む、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物であって、
(A)成分の含有量が、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、5質量%以上であり、(D)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比が、5.0未満である、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物。
【0013】
(A)成分のレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンが、RSiOで表されるシロキサン単位(T単位)とRSiOで表されるシロキサン単位(D単位)からなることが好ましい。
【0014】
(A)成分のレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンが、以下の平均単位式(I):(R SiO2/2(RSiO3/2
(式中、Rは同じかまたは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、ただし、一分子中、少なくとも2個のRはアルケニル基であり、0<s<1、0<t<1、及びs+t=1である)
で表されることが好ましい。
【0015】
(B)成分の硬化性直鎖状オルガノポリシロキサンが、一分子中に少なくとも1つの(AlArSiO2/2)単位(Alはアルキル基を表し、Arはアリール基を表す)を含むことが好ましい。
【0016】
(C)成分が、一分子中に少なくとも1つの(AlSiO2/2)単位(Alはアルキル基を表す)及び少なくとも1つの(ArSiO2/2)単位(Arはアリール基を表す)を有する硬化性直鎖状オルガノポリシロキサンを含むことが好ましい。
【0017】
(D-3)成分のオルガノポリシロキサンが、平均単位式(IV-c):IV-c):(R SiO1/2(ArSiO3/2
(式中、Rは水素原子又は同じか若しくは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、Arはアリール基を示し、0<p<1.0、0<q<1.0であり、かつp+q=1.0である)
で表されるレジン状オルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0018】
本発明はまた、本発明に係るホットメルト性硬化性シリコーン組成物からなる、封止材又はホットメルト接着剤にも関する。
【0019】
本発明はまた、本発明に係る封止材で封止された光半導体装置にも関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るホットメルト性硬化性シリコーン組成物によれば、フィルム形態にした場合であっても低い粘着性を維持できるため、取り扱い性に優れるとともに、優れた溶融特性を示し、さらに硬化して透明性に優れる硬化物を形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[ホットメルト性硬化性シリコーン組成物]
本発明に係るホットメルト性硬化性シリコーン組成物は、
(A)一分子当たり少なくとも2個のアルケニル基と少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%以上である、レジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、
(B)一分子当たり少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%以上である、硬化性直鎖状オルガノポリシロキサン、
(C)一分子当たり少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%未満である、硬化性直鎖状または分岐状オルガノポリシロキサン、
(D)(D-1)環状オルガノポリシロキサン;(D-2)MQレジン;及び(D-3)一分子中に少なくとも1つの(ArSiO3/2)単位(Arはアリール基を表す)を含むか、又はアリール基の含有量が20モル%以下である、(A)成分とは異なるオルガノポリシロキサンから選択されるシリコーン反応性相溶剤であって、1000以下の重量平均分子量を有する、シリコーン反応性相溶剤、
(E)(D)成分とは異なる、一分子当たり少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(F)硬化用触媒
を少なくとも含み、
(A)成分の含有量が、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、5質量%以上であり、(D)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比が、5.0未満である、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物に関する。
【0022】
以下、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物の各成分について詳細に説明する。
【0023】
(A)一分子当たり少なくとも2個のアルケニル基と少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%以上である、レジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
(A)成分は、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基と少なくとも1個のアリール基を有する硬化性のレジン状オルガノポリシロキサンである。本発明に係るホットメルト性硬化性シリコーン組成物は、1種類の(A)レジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンを含んでもよいし、2種類以上の(A)レジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンを含んでもよい。
【0024】
(A)成分の分子構造は、レジン状である。本明細書において、レジン状とは、分子構造中に分岐状または三次元網状構造を有することを意味する。好ましくは、(A)成分のレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、RSiOで表されるシロキサン単位(T単位)とRSiOで表されるシロキサン単位(D単位)とを含み、より好ましくはD単位及びT単位のみからなる。(A)成分のレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、構造中にSiO1/2で表されるシロキサン単位(M単位)を含んでも含まなくてもよいが、好ましくは含まない。また、(A)成分は、SiO4/2で表されるシロキサン単位(Q単位)を含んでも含まなくてもよいが、好ましくは含まない。なお、本明細書において、シロキサン単位におけるRはケイ素原子結合有機官能基を表している。
【0025】
(A)成分に含まれるアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等の炭素数が2~12個のアルケニル基が例示され、好ましくは、ビニル基である。
【0026】
(A)成分に含まれるアルケニル基以外のケイ素原子に結合する基としては、アルケニル基以外のハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数が1~12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数が6~20個のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素数が7~20個のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。なお、(A)成分中のケイ素原子には、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の水酸基やメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基を有していてもよい。(A)成分のアルケニル基及びアリール基以外のケイ素原子に結合する基は、好ましくは、炭素原子数1~6のアルキル基、特にメチル基、及び素数が6~20個のアリール基、特にフェニル基である。また、一実施形態において、(A)成分に含まれるアルケニル基以外のケイ素原子に結合する基は、エポキシ基含有有機基を含まない。
【0027】
本発明の好ましい実施形態において、(A)成分のレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、以下の平均単位式(I)で表され得る。
平均単位式(I):(R SiO2/2(RSiO3/2
式中、Rは同じかまたは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、ただし、一分子中、少なくとも2個のRはアルケニル基であり、また、少なくとも1個のRはアリール基であり、0<s<1、0<t<1、及びs+t=1である。
【0028】
上記式(I)中のRのハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数が1~12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数が6~20個のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素数が7~20個のアラルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等の炭素数が2~12個のアルケニル基;これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。Rは、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の水酸基やメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基であってもよい。Rは、好ましくは、炭素原子数1~6のアルキル基、特にメチル基、炭素原子数2~6のアルケニル基、特にビニル基、及び6~20個のアリール基、特にフェニル基から選択される。また、一実施形態において、Rは、エポキシ基含有有機基を含まない。
【0029】
式(I)において、sは、好ましくは0.1≦s≦0.8の範囲であり、より好ましくは0.25≦s≦0.7の範囲であり、さらに好ましくは0.4≦s≦0.6の範囲である。上記式(I)において、tは、好ましくは0.1≦t≦0.75の範囲であり、より好ましくは0.25≦t≦0.6の範囲であり、特に0.35≦t≦0.55の範囲である。
【0030】
(A)成分のレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンのケイ素原子結合有機基全体に占めるアルケニル基の含有量は、特に限定されないが、例えば、ケイ素原子結合有機基の合計の3モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上であり、また、ケイ素原子結合有機基の合計の40モル%以下、好ましくは30モル%、より好ましくは20モル%以下であり得る。なお、本明細書において、アルケニル基の含有量は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、核磁気共鳴(NMR)等の分析法、または以下の滴定法によって求めることができる。なお、本明細書において、数値範囲の上限値及び下限値を任意に組み合わせて数値範囲を設定することができる。
【0031】
滴定法により各成分中のアルケニル基量を定量する方法について説明する。オルガノポリシロキサン成分中のアルケニル基含有量は、ウイス法として一般的に知られる滴定方法により精度よく定量することができる。原理を下記に述べる。まずオルガノポリシロキサン原料中のアルケニル基と一塩化ヨウ素とを式(1)に示すように付加反応させる。次に式(2)に示される反応により、過剰の一塩化ヨウ素をヨウ化カリウムと反応させヨウ素として遊離させる。次に遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。
式(1)CH=CH- + 2ICl → CHI-CHCl- + ICl(過剰)
式(2)ICl+KI → I + KCl
滴定に要したチオ硫酸ナトリウムの量と、別途作成したブランク液との滴定量の差から、成分中のアルケニル基量を定量することができる。
【0032】
本発明の好ましい実施形態において、(A)成分のレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、分子鎖側鎖、すなわち、D単位又はT単位にケイ素原子結合アリール基を含有する。
【0033】
(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンのアリール基の含有量(ケイ素原子結合有機官能基全体に占めるアリール基のモル%)は、少なくとも40質量%である。好ましい実施形態において、(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンのアリール基の含有量は、50モル%以上、より好ましくは60モル%以上であり、また、通常、90モル%以下、好ましくは80モル%以下、より好ましくは75モル%以下であり得る。なお、本明細書において、アリール基の含有量は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、核磁気共鳴(NMR)等の分析によって求めることができる。
【0034】
(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、1,000超で100,000以下の範囲内である。なお、本明細書において、数平均分子量はGPCで測定することができる。
【0035】
(A)成分のレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンの含有量は、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、5質量%以上である。好ましい実施形態において、(A)成分のレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンの含有量は、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。また、好ましくは、(A)成分の含有量は、硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下であり、さらに好ましくは75質量%以下である。
【0036】
(B)一分子当たり少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%以上である、硬化性直鎖状オルガノポリシロキサン
(B)成分は、一分子当たり少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%以上である直鎖状オルガノポリシロキサンである。用語「硬化性」とは、より具体的にはヒドロシリル化反応硬化性であり得る。
【0037】
(B)成分は、一分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化硬化反応性の官能基を有する。ヒドロシリル化硬化反応性の官能基の種類は、特に限定されないが、例えばアルケニル基又はケイ素原子結合水素原子が挙げられる。好ましい実施形態において、(B)成分は、ヒドロシリル化硬化反応性の官能基として、一分子当たり少なくとも2個のびアルケニル基を含む。(B)成分に含まれるアルケニル基、アリール基、及びその他のケイ素原子に結合する基としては、上記(A)成分と同じものを適用できる。
【0038】
好ましい実施形態において、(B)成分の硬化性直鎖状オルガノポリシロキサンは、一分子中に少なくとも1つの(AlArSiO2/2)単位(Alはアルキル基を表し、Arはアリール基を表す)を含む。
【0039】
(B)成分がアルケニル基を含有する直鎖状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンである場合、好ましくは、
平均構造式(II):R SiO(RSiO2/2SiR
(式(II)中、Rは同じかまたは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、ただし、一分子中、少なくとも2個のRはアルケニル基であり、Rはアルキル基であり、Rはアリール基であり、nは1~500である)で表され得る。
【0040】
上記式(II)において、Rのハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基は、上記式(I)と同じものが適用できる。
【0041】
上記式(II)において、Rのアルキル基は、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数が1~12個のアルキル基が挙げられ、好ましくはメチル基である。
【0042】
上記式(II)において、Rのアリール基は、特に限定されないが、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数が6~20個のアリール基が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
【0043】
上記式(II)において、nは、好ましくは2~300であり、より好ましくは5~100であり、さらに好ましくは10~50であり、特に好ましくは15~30である。
【0044】
本発明の好ましい実施形態において、(B)成分の直鎖状オルガノポリシロキサンがアルケニル基を含む場合、分子鎖両末端にアルケニル基を含有する、分子鎖両末端アルケニル基封鎖直鎖状オルガノポリシロキサンであり得る。(B)成分の直鎖状オルガノポリシロキサンは、分子鎖側鎖(すなわち、D単位)にアルケニル基を含んでも含まなくてもよいが、好ましくは含まない。
【0045】
(B)成分がアルケニル基を含む場合、そのアルケニル基の含有量(ケイ素原子結合有機官能基全体に占めるアルケニル基のモル%)は、所望により設計可能であるが、通常1モル%以上、好ましくは2モル%以上、さらに好ましくは3モル%以上であってよく、また、20モル%以下、好ましくは15モル%以下、より好ましくは10モル%以下であり得る。
【0046】
(B)成分の直鎖状オルガノポリシロキサン中に含まれるアリール基の含有量(ケイ素原子結合有機官能基全体に占めるアリール基のモル%)は、40モル%以上である。(B)成分中に含まれるアリール基の含有量は、通常、70モル%以下、好ましくは60モル%以下、より好ましくは50モル%以下であり得る。
【0047】
(B)成分の直鎖状オルガノポリシロキサンの含有量は、特に限定されないが、好ましくは、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上である。また、好ましくは、(B)成分の含有量は、本発明の硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。
【0048】
(C)一分子当たり少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%未満である、硬化性直鎖状または分岐状オルガノポリシロキサン
(C)成分は、一分子当たり少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%未満である、直鎖状または分岐状オルガノポリシロキサンである。
【0049】
(C)成分は、一分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化硬化反応性の官能基を有する。ヒドロシリル化硬化反応性の官能基の種類は、特に限定されないが、例えばアルケニル基又はケイ素原子結合水素原子が挙げられる。好ましい実施形態において、(C)成分は、ヒドロシリル化硬化反応性の官能基として、一分子当たり少なくとも2個のびアルケニル基を含む。(C)成分に含まれるアルケニル基、アリール基、及びその他のケイ素原子に結合する基としては、上記(A)成分と同じものを適用できる。
【0050】
好ましい実施形態において、(C)成分の硬化性直鎖状または分岐状オルガノポリシロキサンは、一分子中に少なくとも1つの(AlSiO2/2)単位(Alはアルキル基を表す)及び少なくとも1つの(ArSiO2/2)単位(Arはアリール基を表す)を含む。
【0051】
(C)成分がアルケニル基を含有する直鎖状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンである場合、好ましくは、
平均構造式(III-1):R SiO(R SiO2/2(R SiO2/2SiR
(式(III-1)中、Rは同じかまたは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、ただし、一分子中、少なくとも2個のRはアルケニル基であり、Rはアルキル基であり、Rはアリール基であり、nは1~500であり、mは1~500である)で表され得る。
【0052】
上記式(III-1)において、Rのハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基は、上記式(I)と同じものが適用できる。
【0053】
上記式(III-1)において、Rのアルキル基及びRのアリール基は、上記式(II)と同じものが適用できる。
【0054】
上記式(III-1)において、nは、好ましくは2~300であり、より好ましくは5~200であり、さらに好ましくは10~100であり、特に好ましくは30~80である。また、上記式(III-1)において、mは、好ましくは2~300であり、より好ましくは5~100であり、さらに好ましくは10~75であり、特に好ましくは15~50である。
【0055】
本発明の好ましい実施形態において、(C)成分の直鎖状オルガノポリシロキサンがアルケニル基を含む場合、分子鎖両末端にアルケニル基を含有する、分子鎖両末端アルケニル基封鎖直鎖状オルガノポリシロキサンであり得る。(C)成分の直鎖状オルガノポリシロキサンは、分子鎖側鎖(すなわち、D単位)にアルケニル基を含んでも含まなくてもよいが、好ましくは含まない。
【0056】
(C)成分がアルケニル基を含有する分岐状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンである場合、RSiOで表されるシロキサン単位(D単位)を含んでも含まなくてもよいが、好ましくは含まない。そのため、好ましい一実施形態において、(C)成分の分岐状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、M単位とT単位のみからなる。
【0057】
好ましい実施形態において、(C)成分が分岐状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンである場合、分子末端(すなわち、M単位)にアルケニル基を含有する。(C)成分の分岐状オルガノポリシロキサンは、分子鎖側鎖(すなわち、D単位又はT単位)にアルケニル基を含んでも含まなくてもよいが、好ましくは含まない。
【0058】
好ましい実施形態において、(C)成分が分岐状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンである場合、分子鎖側鎖(すなわち、D単位及び/又はT単位)にアリール基を含有する。(C)成分の分岐状オルガノポリシロキサンは、分子末端(すなわち、M単位)にアリール基を含んでも含まなくてもよいが、好ましくは含まない。
【0059】
そのため、好ましい実施形態において、(C)成分がアルケニル基を含有する分岐状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンである場合、
平均構造式(III-2):(R SiO)a(RSiO3/2b(RSiO3/2
(式(III-2)中、Rは同じかまたは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、ただし、一分子中、少なくとも2個のRはアルケニル基であり、Rはアルキル基であり、Rはアリール基であり、0<a<1、0≦b<1、0<c<1、及びa+b+c=1である)で表され得る。
【0060】
上記式(III-2)において、Rのハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基は、上記式(I)と同じものが適用できる。また、上記式(III-2)において、Rのアルキル基及びRのアリール基は、上記式(II)と同じものが適用できる。
【0061】
式(III-2)において、aは、好ましくは0.05≦a≦0.5の範囲であり、より好ましくは0.1≦a≦0.4の範囲であり、さらに好ましくは0.15≦a≦0.3の範囲である。式(III-2)において、bは、好ましくは0.2≦b≦0.8の範囲であり、より好ましくは0.3≦b≦0.7の範囲であり、さらに好ましくは0.4≦b≦0.6の範囲である。式(III-2)において、cは、好ましくは0.05≦c≦0.5の範囲であり、より好ましくは0.1≦c≦0.4の範囲であり、さらに好ましくは0.15≦c≦0.3の範囲である。
【0062】
(C)成分がアルケニル基を含む場合、そのアルケニル基の含有量(ケイ素原子結合有機官能基全体に占めるアルケニル基のモル%)は、所望により設計可能であるが、通常0.1モル%以上、好ましくは0.5モル%以上、さらに好ましくは0.8モル%以上であってよく、また、10モル%以下、好ましくは8モル%以下であり得る。
【0063】
(C)成分の直鎖状または分岐状オルガノポリシロキサン中に含まれるアリール基の含有量(ケイ素原子結合有機官能基全体に占めるアリール基のモル%)は、40モル%未満である。(C)成分中に含まれるアリール基の含有量は、通常、5モル%以上、好ましくは10モル%以上であってよく、また、35モル%以下であり得る。
【0064】
(C)成分が直鎖状オルガノポリシロキサンを含む場合、その含有量は、特に限定されないが、好ましくは、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上である。また、好ましくは、(C)成分の直鎖状オルガノポリシロキサンの含有量は、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0065】
(C)成分が分岐状オルガノポリシロキサンを含む場合、その含有量は、特に限定されないが、好ましくは、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。また、好ましくは、(C)成分の分岐状オルガノポリシロキサンの含有量は、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、50質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。
【0066】
また、(C)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上である。また、好ましくは、(C)成分の含有量は、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、50質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。
【0067】
本発明の別の実施形態において、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物は、(B)成分の含有量(質量)と(C)成分の含有量(質量)との比が、5:1~1:5、好ましくは4:1~1:4、さらに好ましくは3:1~1:3となる量で、(B)成分と(C)成分を含む。
【0068】
(D)シリコーン反応性相溶剤
本発明は、(D)成分として、(A)~(C)成分のオルガノポリシロキサンの相溶性を向上するためのシリコーン反応性相溶剤を含む。ホットメルト性硬化性シリコーン組成物は、1種類の(D)シリコーン反応性相溶剤を含んでもよいし、2種類以上の(D)シリコーン反応性相溶剤を組み合わせて含んでもよい。
【0069】
(D)シリコーン反応性相溶剤は、1000以下の重量平均分子量を有し、(D-1)環状オルガノポリシロキサン、(D-2)MQレジン、及び(D-3)一分子当たり少なくとも1つの(ArSiO3/2)単位(Arはアリール基を表す)を含むか、又はアリール基の含有量が20モル%以下である、(A)成分とは異なるオルガノポリシロキサンから選択される、シリコーン反応性オルガノポリシロキサンである。シリコーン反応性とは、具体的にはヒドロシリル化硬化反応性であり得る。
【0070】
(D)シリコーン反応性希釈剤は、好ましくは、900以下の数平均分子量を有し、より好ましくは、800以下の重量平均分子量を有する。(D)成分の数平均分子量の下限は、特に限定されないが、通常100以上である。なお、本明細書において、数平均分子量はGPCで測定することができる。
【0071】
(D-1)成分のシリコーン反応性の環状オルガノポリシロキサンは、好ましくは、一分子当たり少なくとも2個のアルケニル基を有する環状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンである。
【0072】
(D-1)成分の環状オルガノポリシロキサンは、好ましくは、平均構造式(IV-a):(R SiO)
(式(IV-a)中、Rは、水素原子又は同じか若しくは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、nは数平均分子量が1000以下となる数である。)で表され得る。
【0073】
上記式(IV-a)において、Rのハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基は、上記式(I)のRと同じものが適用できる。一実施形態おいて、上記式(IV-a)において、少なくとも2つのRはアルケニル基を表す。
【0074】
上記式(IV-a)において、nは、例えば4~10であり、好ましくは4~8であり、さらに好ましくは4~6である。
【0075】
一実施形態において、(D-1)成分がアルケニル基を含む場合、そのアルケニル基の含有量(ケイ素原子結合有機官能基全体に占めるアルケニル基のモル%)は、所望により設計可能であるが、通常10モル%以上、好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは45モル%以上であってよく、80モル%以下、好ましくは70モル%以下、より好ましくは60モル%以下であり得る。
【0076】
本発明のホットメルト性硬化性シリコーンが、(D-1)環状オルガノポリシロキサンを含む場合、その含有量は特に限定されないが、例えば、本発明のホットメルト性シリコーン組成物の総質量に基づいて、0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、通常、10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
【0077】
(D-2)成分のシリコーン反応性のMQレジンは、好ましくは一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有する、アルケニル基含有MQレジンである。MQレジンは、SiO1/2で表されるシロキサン単位(M単位)及びSiO4/2で表されるシロキサン単位(Q単位)のみからなるオルガノポリシロキサンである。
【0078】
(D-2)成分のMQレジンは、好ましくは以下の平均単位式(IV-b)で表され得る。
平均単位式(IV-b):(R SiO1/2(SiO4/2
式中、Rは、水素原子又は同じか若しくは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、0<s<1、0<t<1、及びs+t=1である。
【0079】
上記式(IV-b)において、Rのハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基は、上記式(I)のRと同じものが適用できる。好ましくは、一分子中、少なくとも2個のRはアルケニル基である。
【0080】
式(VI-b)において、sは、好ましくは0.3≦s≦0.95の範囲であり、より好ましくは0.5≦s≦0.9の範囲であり、さらに好ましくは0.7≦s≦0.85の範囲である。上記式(VI-b)において、tは、好ましくは0.05≦t≦0.5の範囲であり、より好ましくは0.1≦t≦0.4の範囲であり、特に0.15≦t≦0.3の範囲である。
【0081】
一実施形態において、(D-2)成分のMQレジンがアルケニル基を含む場合、そのアルケニル基の含有量(MQレジンのケイ素原子結合有機官能基全体に占めるアルケニル基のモル%)は、所望により設計可能であるが、通常10モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上であってよく、50モル%以下、好ましくは40モル%以下であり得る。
【0082】
本発明のホットメルト性硬化性シリコーンが、(D-2)MQレジンを含む場合、その含有量は特に限定されないが、例えば、本発明のホットメルト性シリコーン組成物の総質量に基づいて、0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、また、通常、10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
【0083】
(D-3)成分のシリコーン反応性のオルガノポリシロキサンは、一分子中に少なくとも1つの(ArSiO3/2)単位(Arはアリール基を表す)を含むレジン状オルガノポリシロキサンであるか、又はアリール基の含有量が20モル%以下であるオルガノポリシロキサンである。(D-3)成分のシリコーン反応性のオルガノポリシロキサンは、好ましくは一分子当たり少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を含む、オルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
【0084】
(D-3)成分のオルガノポリシロキサンは、好ましくは、RSiO1/2で表されるシロキサン単位(M単位)を含む。(D-3)成分のオルガノポリシロキサンは、RSiO2/2で表されるシロキサン単位(D単位)を含んでも含まなくてもよいが、好ましくは含まない。また、(D-3)成分のオルガノポリシロキサンは、SiO4/2で表されるシロキサン単位(Q単位)を含んでも含まなくてもよいが、好ましくは含まない。
【0085】
そのため、(D-3)成分のオルガノポリシロキサンがレジン状オルガノポリシロキサンである場合、好ましくは以下の平均単位式(IV-c)で表され得る。
平均単位式(IV-c):(R SiO1/2(ArSiO3/2
(式中、Rは水素原子又は同じか若しくは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、Arはアリール基を示し、0<p<1、0<q<1であり、かつp+q=1である。)
【0086】
上記式(IV-c)において、Rのハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基は、上記式(I)のRと同じものが適用できる。好ましくは、一分子中、少なくとも2個のRは水素原子である。
【0087】
式(IV-c)において、pは、好ましくは0.3≦p≦0.9の範囲であり、より好ましくは0.4≦p≦0.8の範囲であり、さらに好ましくは0.5≦p≦0.7の範囲である。上記式(IV-c)において、qは、好ましくは0.1≦q≦0.7の範囲であり、より好ましくは0.2≦q≦0.6の範囲であり、特に0.3≦q≦0.5の範囲である。
【0088】
一実施形態において、(D-3)成分のアリール基の含有量(ケイ素原子結合有機官能基全体に占めるアリール基のモル%)は、20モル%以下である。また、別の実施形態において、(D-3)成分のアリール基の含有量は、25モル%未満である。(D-3)成分のアリール基の含有量は、通常5モル%以上、好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上であり得る。
【0089】
本発明のホットメルト性硬化性シリコーンが、(D-3)成分のオルガノポリシロキサンを含む場合、その含有量は特に限定されないが、例えば、本発明のホットメルト性シリコーン組成物の総質量に基づいて、0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、また、通常、10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
【0090】
(D)成分のシリコーン反応性相溶剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは1.5質量%以上である。また、好ましくは、(D)成分の含有量は、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0091】
本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物において、(A)~(C)成分の相溶性の観点から、(D)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比は、5.0未満である。例えば、(C)成分の含有量の(D)成分の含有量に対する質量比は、0.1~4.9であり、好ましくは0.3~4.8であり得る。
【0092】
(E)一分子当たり少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(E)成分は、ヒドロシリル化硬化反応により、硬化性シリコーン組成物の架橋剤として作用するものであり、(D)成分とは異なる、一分子当たり少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。本発明に係るホットメルト性硬化性シリコーン組成物は、1種類の(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンを含んでもよいし、2種類以上の(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンを含んでもよい。
【0093】
(E)成分の分子構造としては、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、レジン状、環状、および三次元網状構造が例示される。(E)成分は、これらの分子構造を有する1種のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであるか、あるいはこれらの分子構造を有する2種以上のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの混合物であってもよい。好ましくは、本発明の硬化性シリコーン組成物は、(E)成分として直鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含む。
【0094】
(E)成分に含まれるケイ素原子結合水素原子以外のケイ素原子に結合する基としては、アルケニル基以外のハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数が1~12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数が6~20個のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素数が7~20個のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。なお、(E)成分中のケイ素原子には、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の水酸基やメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基を有していてもよい。(E)成分のケイ素原子結合水素原子以外のケイ素原子に結合する基は、好ましくは、炭素原子数1~6のアルキル基、特にメチル基、及び炭素数が6~20個のアリール基、特にフェニル基から選択される。
【0095】
本発明の一実施形態において、(E)成分は、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、以下の平均構造式(V)で表され得る。
平均構造式(V):R SiO(R SiO2/2SiR
(式(V)中、Rは水素原子または同じか若しくは異なるアルケニル基以外のハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、ただし、一分子中、少なくとも2個のRは水素原子であり、nは1~100である)で表され得る。
【0096】
上記式(V)において、Rのアルケニル基以外のハロゲン置換または非置換のアルケニル基以外の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数が1~12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数が6~20個のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素数が7~20個のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。Rは、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の水酸基やメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基であってもよい。Rは、好ましくは、炭素原子数1~6のアルキル基、特にメチル基である。
【0097】
上記式(V)において、nは、好ましくは1~50であり、より好ましくは1~20である。
【0098】
本発明の好ましい実施形態において、(E)成分の直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子鎖両末端にケイ素原子結合水素原子を含有する。(E)成分の直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、M単位にケイ素原子結合水素原子を有し、D単位にはケイ素原子結合水素原子を含んでも含まなくてもよいが、好ましくは含まない。
【0099】
一実施形態において、(E)成分は、ケイ素原子結合有機官能基にアリール基を含む。(E)成分に含まれるアリール基の含有量(ケイ素原子結合有機官能基全体に占めるアリール基のモル%)は、所望により設計可能であるが、通常5モル%以上、好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上であってよく、また、50モル%以下、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下であり得る。
【0100】
(E)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、5質量%以上で含まれ、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上で含まれ得る。好適な実施形態において、(E)成分は、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、50質量%以下で含まれ、好ましくは40質量%以下で含まれ、より好ましくは30質量%以下で含まれ得る。
【0101】
また、本発明の一実施形態において、(E)成分は、オルガノポリシロキサン成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基とケイ素原子結合水素原子の比率(H/Ar)が、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が0.5モル以上、好ましくは0.7モル以上、より好ましくは0.8モル以上となる量で含まれ、また、例えば、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が2モル以下、好ましくは1.5モル以下、より好ましくは1.3モル以下となる量で含まれ得る。
【0102】
(F)硬化用触媒
(F)成分の硬化用触媒は、ヒドロシリル化反応用硬化触媒であり、本発明の硬化性シリコーン組成物の硬化を促進するための触媒である。このような(F)成分としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金とオレフィンの錯体、白金と1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの錯体、白金を担持した粉体等の白金系触媒;テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム、パラジウム黒、トリフェニルフォスフィンとの混合物等のパラジウム系触媒;さらに、ロジウム系触媒が挙げられ、特に、白金系触媒であることが好ましい。
【0103】
(F)成分の配合量は、触媒量であり、より具体的には、(F)成分として白金系触媒を用いた場合、本発明の硬化性シリコーン組成物の総質量に対して、白金原子の量が好ましくは0.01ppm以上であり、より好ましくは0.1ppm以上であり、さらに好ましくは1ppm以上であり、また、本発明の硬化性シリコーン組成物の総質量に対して、白金原子の量が好ましくは20ppm以下であり、より好ましくは15ppm以下であり、さらに好ましくは10ppm以下あり、特に好ましくは7ppm以下での量であり得る。
【0104】
(他のオルガノポリシロキサン成分)
本発明に係るホットメルト性硬化性シリコ-ン組成物は、他のオルガノポリシロキサンとして、添加剤としてのエポキシ基含有オルガノポリシロキサンを含んでもよい。エポキシ基含有オルガノポリシロキサンは、好ましは粘着性付与剤であり得る。また、エポキシ基含有オルガノポリシロキサンは、少なくともケイ素原子結合有機基にエポキシ基含有有機基を含む点で、(A)成分と相違する。
【0105】
エポキシ基含有オルガノポリシロキサンの分子構造としては、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、レジン状、環状、および三次元網状構造が例示され、好ましくはレジン状エポキシ基含有オルガノポリシロキサンである。本発明に係る硬化性シリコーン組成物は、1種類のエポキシ基含有オルガノポリシロキサンを含んでもよいし、2種以上のエポキシ基オルガノポリシロキサンを組み合わせて含んでもよい。
【0106】
エポキシ基含有オルガノポリシロキサンは、好ましくは、アルケニル基として、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等の炭素数が2~12個のアルケニル基、好ましくは、ビニル基を含み、また、エポキシ基含有有機基として、例えば、2-グリシドキシエチル基、3-グリシドキシプロピル基、4-グリシドキシブチル基等のグリシドキシアルキル基;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-プロピル基等のエポキシシクロアルキルアルキル基;3,4-エポキシブチル基、7,8-エポキシオクチル基等のエポキシアルキル基が例示され、好ましくは、グリシドキシアルキル基であり、特に好ましくは、3-グリシドキシプロピル基を含み得る。
【0107】
エポキシ基含有オルガノポリシロキサンのアルケニル基及びエポキシ基含有有機基以外のケイ素原子に結合する基としては、アルケニル基及びエポキシ基含有有機基以外のハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数が1~12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数が6~20個のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素数が7~20個のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示され、好ましくは、1~12個のアルキル基、特にメチル基である。
【0108】
レジン状エポキシ基含有オルガノポリシロキサンは、好ましくは、以下の平均単位式(VI):(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(XO1/2
{式(VI)中、Rは各々独立に、ハロゲン置換または非置換の一価の炭化水素基であり、ただし、少なくとも2個のRはアルケニル基であり、また、少なくとも1個のRはエポキシ基含有有機基であり、Xは水素原子またはアルキル基であり、0≦f<1、0≦g<1、0≦h<0.9、0≦i<0.5、及び0≦j<0.4であり、f+g+h+i+j=1.0、h+i>0である}。
【0109】
上記式(VI)において、Rのハロゲン置換または非置換の一価の炭化水素基としては、上述したアルケニル基、エポキシ基含有有機基、及びこれら以外の一価炭化水素基が挙げられる。また、記式(VI)中のXは水素原子またはアルキル基である。Xのアルキル基としては、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、およびプロピル基が例示される。
【0110】
上記式(VI)において、fは、好ましくは0.05≦f≦0.5の範囲であり、より好ましくは0.05≦f≦0.4の範囲であり、さらに好ましくは0.1≦f≦0.3の範囲である。上記式(VI)において、gは、好ましくは0.1≦g≦0.6の範囲であり、より好ましくは0.15≦g≦0.5の範囲であり、特に0.2≦g≦0.4の範囲である。上記式(VI)において、hは、好ましくは0.2≦h≦0.8の範囲であり、より好ましくは0.3≦h≦0.7の範囲であり、特に0.4≦h≦0.6の範囲である。上記式(VI)において、iは、好ましくは0≦i≦0.4の範囲であり、より好ましくは0≦i≦0.25の範囲であり、特に0≦i≦0.1の範囲である。上記式(VI)において、jは、好ましくは0.05≦j≦0.5の範囲であり、より好ましくは0.1≦j≦0.4の範囲であり、特に0.15≦j≦0.3の範囲である。
【0111】
本発明の好ましい実施形態において、レジン状エポキシ基含有オルガノポリシロキサンは、上記式(VI)において、hは0よりも大きく、すなわち、SiO3/2で表されるシロキサン単位(T単位)を含む。エポキシ基含有レジン状オルガノポリシロキサンは、SiO4/2で表されるシロキサン単位(Q単位)を含んでも含まなくてもよいが、好ましくは含まない。
【0112】
本発明の好ましい実施形態において、エポキシ基含有オルガノポリシロキサンは、分子側鎖のペンダント基としてエポキシ基含有有機基を有する。エポキシ基含有オルガノポリシロキサンは、好ましくは、SiO2/2で表されるシロキサン単位(D単位)にエポキシ基含有有機基を有する。
【0113】
エポキシ基含有オルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合有機基全体に占めるエポキシ基含有有機基の量は、特に限定されないが、5モル%以上が好ましく、より好ましくは10モル%以上であり、さらに好ましくは15モル%以上であり、また、例えば40モル%以下であり、好ましくは30モル%以下である。なお、エポキシ基含有有機基の量は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、核磁気共鳴(NMR)等の分析によって求めることができる。
【0114】
エポキシ基含有オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、特に限定されないが、1,000~10,000の範囲内であり得る。
【0115】
エポキシ基含有オルガノポリシロキサンの含有量は、特に限定されないが、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上で含まれ、また、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下で含まれ得る。
【0116】
(他の成分)
本発明の硬化性シリコーン組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で任意成分を配合することができる。この任意成分としては、例えば、アセチレン化合物、有機リン化合物、ビニル基含有シロキサン化合物、無機充填材、例えば、粉砕石英、シリカ、炭酸マグネシウム、ケイ藻土等の無機充填材、こうした無機充填材の表面を有機ケイ素化合物により疎水処理してなる無機充填材、表面処理剤、ヒドロシリル化反応抑制剤、粘着性付与剤、耐熱性付与剤、耐寒性付与剤、難燃性付与剤、チクソ性付与剤、蛍光体、溶剤等が挙げられる。こうした任意成分の添加量は、通常、本組成物全体の0.001~20質量%である。
【0117】
ヒドロシリル化反応抑制剤は、硬化性シリコーン組成物のヒドロシリル化反応を抑制するための成分である。こうした硬化反応抑制剤としては、例えば、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2-フェニル-3-ブチン-2-オール、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、1-エチニル-2-シクロヘキサノール等のアルキンアルコール;3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン等のエンイン化合物;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラヘキセニルシクロテトラシロキサン等のアルケニル基含有低分子量シロキサン;メチル-トリス(1,1-ジメチルプロピニルオキシ)シラン、ビニル-トリス(1,1-ジメチルプロピニルオキシ)シラン、メチル-トリス-(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シラン等のアルキニルオキシシランが例示される。好ましくは、ヒドロシリル化反応抑制剤は、アルキンアルコール時から選択され、特に好ましくは1-エチニル-1-シクロヘキサノールである。反応抑制剤の添加量は、通常、本組成物全体の0.001~5質量%である。
【0118】
本発明に係るホットメルト性硬化性シリコーン組成物は、硬化して良好な透明性を有する硬化物を形成できる。例えば、本発明の硬化性シリコーン組成物の硬化物は、波長400nm~波長700nmにおいて95%を超える光透過率を示すことができる。なお、硬化性シリコーン組成物の硬化物の光透過率は、例えば、光路長1の硬化物を分光光度計により測定することにより求めることができる。
【0119】
本発明に係るホットメルト性硬化性シリコーン組成物は、高い屈折率を有する。例えば、本発明の硬化性シリコーン組成物の25℃、589nmにおける屈折率は、アッベ式屈折率計により測定して、好ましくは1.53より大きく、さらに好ましくは1.55又はそれ以上である。
【0120】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、各成分を混合することにより調製できる。各成分の混合方法は、従来公知の方法でよく特に限定されないが、例えば、混合装置を用いた混合により調製できる。こうした混合装置としては特に限定がなく、一軸または二軸の連続混合機、二本ロール、ロスミキサー、ホバートミキサー、デンタルミキサー、プラネタリミキサー、ニーダーミキサー、ヘンシェルミキサー等が例示される。
【0121】
[封止材、ホットメルト接着剤]
本発明は、本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物を用いる半導体用の封止材又はホットメルト接着剤にも関する。本発明の封止材又はホットメルト接着剤の形状は、特に限定されないが、好ましくはフィルム状またはシート状であり、半導体封止用の封止剤フィルムまたはラミネートフィルムとして提供され得る。本発明の封止材により封止される半導体は特に限定されず、例えば、SiC、GaN等の半導体、特にパワー半導体または発光ダイオードなどの光半導体が挙げられる。
【0122】
[光半導体素子]
本発明はまた、本発明の封止材を備える光半導体素子にも関する。光半導体素子としては、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ、フォトダイオード、フォトトランジスタ、固体撮像、フォトカプラー用発光体と受光体が例示され、特に、発光ダイオード(LED)であることが好ましい。
【0123】
発光ダイオード(LED)は、光半導体素子の上下左右から発光が起きるので、発光ダイオード(LED)を構成する部品は、光を吸収するものは好ましくなく、光透過率が高いか、反射率の高い材料が好ましい。そのため、光半導体素子が搭載される基板も、光透過率が高いか、反射率の高い材料が好ましい。こうした光半導体素子が搭載される基板としては、例えば、銀、金、及び銅等の導電性金属;アルミニウム、及びニッケル等の非導電性の金属;PPA、及びLCP等の白色顔料を混合した熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、BT樹脂、ポリイミド樹脂、及びシリコーン樹脂等の白色顔料を含有する熱硬化性樹脂;アルミナ、及び窒化アルミナ等のセラミックスが例示される。
【0124】
以下に本発明の具体的な実施態様を示す。
態様1:(A)一分子当たり少なくとも2個のアルケニル基と少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%以上である、レジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、
(B)一分子当たり少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%以上である、硬化性直鎖状オルガノポリシロキサン、
(C)一分子当たり少なくとも1個のアリール基を含み、アリール基の含有量が40モル%未満である、硬化性直鎖状または分岐状オルガノポリシロキサン、
(D)(D-1)環状オルガノポリシロキサン;(D-2)MQレジン;及び(D-3)一分子中に少なくとも1つの(ArSiO3/2)単位(Arはアリール基を表す)を含むか、又はアリール基の含有量が20モル%以下である、(A)成分とは異なるオルガノポリシロキサンから選択されるシリコーン反応性相溶剤であって、1000以下の重量平均分子量を有する、シリコーン反応性相溶剤、
(E)(D)成分とは異なる、一分子当たり少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(F)硬化用触媒
を含む、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物であって、
(A)成分の含有量が、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物の総質量に基づいて、5質量%以上であり、(D)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比が、5.0未満である、ホットメルト性硬化性シリコーン組成物。
態様2:(A)成分のレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンが、RSiOで表されるシロキサン単位(T単位)とRSiOで表されるシロキサン単位(D単位)からなる、態様1に記載のホットメルト性硬化性シリコーン組成物。
態様3:(A)成分のレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサンが、以下の平均単位式(I):(R SiO2/2(RSiO3/2
(式中、Rは同じかまたは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、ただし、一分子中、少なくとも2個のRはアルケニル基であり、0<s<1、0<t<1、及びs+t=1である)
で表される、態様1又は2に記載のホットメルト性硬化性シリコーン組成物。
態様4:(B)成分の硬化性直鎖状オルガノポリシロキサンが、一分子中に少なくとも1つの(AlArSiO2/2)単位(Alはアルキル基を表し、Arはアリール基を表す)を含む、態様1~3のいずれか1つに記載のホットメルト性硬化性シリコーン組成物。
態様5:(C)成分が、一分子中に少なくとも1つの(AlSiO2/2)単位(Alはアルキル基を表す)及び少なくとも1つの(ArSiO2/2)単位(Arはアリール基を表す)を有する硬化性直鎖状オルガノポリシロキサンを含む、態様1~4のいずれか1つに記載のホットメルト性硬化性シリコーン組成物。
態様6:(D-3)成分のオルガノポリシロキサンが、平均単位式(IV-c):IV-c):(R SiO1/2(ArSiO3/2
(式中、Rは水素原子又は同じか若しくは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、Arはアリール基を示し、0<p<1.0、0<q<1.0であり、かつp+q=1.0である)
で表されるレジン状オルガノポリシロキサンである、態様1~5のいずれか1つに記載のホットメルト性硬化性シリコーン組成物。
態様7:態様1~7のいずれか1つに記載のホットメルト性硬化性シリコーン組成物からなる、封止材又はホットメルト接着剤。
態様8:態様7に記載の封止材で封止された、光半導体装置。
【実施例0125】
本発明のホットメルト性硬化性シリコーン組成物を以下の実施例および比較例により詳細に説明する。
【0126】
各成分を表に示す組成(質量部)で混合し、硬化性シリコーン組成物を調製した。なお、以下でMeはメチル基を表し、Viはビニル基を表し、Phはフェニル基を表し、Epは3-グリシドキシプロピル基を表す。また、表中にはオルガノポリシロキサン成分の構造を簡略化して示しており、括弧内はM、D、T、又はQ単位中のMe以外の官能基を示している。また、H/Viは、オルガノポリシロキサン成分中のケイ素原子結合水素原子(H)とビニル基(Vi)とのモル比を示している。また、表中の「(C)/(D)比」は、(D)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の比率を示している。また、本願明細書において、(SiOx/2)で表されるシロキサン単位(xは1~4の整数である)を含む化学式を「単位式」と示しており、「構造式」は、こうしたシロキサン単位を含まない化学式を示している。
【0127】
成分a:平均単位式 (ViMeSiO2/225(PhSiO2/230(PhSiO3/245で表されるレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(一分子当たりのフェニル基の含有量:68モル%)
成分b:平均構造式 MeViSiO(MePhSiO)20SiMeViで表される、直鎖状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(一分子当たりのフェニル基の含有量:43モル%)
成分c―1:平均構造式 MeViSiO(MeSiO)60(PhSiO)30SiMeViで表される、直鎖状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(一分子当たりのフェニル基の含有量:32モル%)
成分c―2:平均単位式 (MeSiO1/214(MeViSiO1/211(MeSiO3/253(PhSiO3/222で表される、分岐状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(一分子当たりのフェニル基の含有量:15モル%)
成分d-1:平均単位式 (HMeSiO1/260(PhSiO3/240で表される、レジン状オルガノハイドロジェンポリシロキサン
成分d-2:平均構造式 (ViMeSiO)Siで表される、アルケニル基含有MQレジン
成分d-3:平均構造式 (ViMeSiO)で表される環状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
成分d’:平均単位式 (HMeSiO1/262(SiO4/238で表される、MQレジン(重量平均分子量:1600)
成分e:平均構造式 HMeSiO(PhSiO)SiHMeで表される、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン
成分f:白金濃度が3.0質量%である白金とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体
成分g:1‐エチニル‐1‐シクロヘキサノール
成分h:平均単位式 (ViMeSiO1/213(EpMeSiO2/224(PhSiO3/246(OMe)17で表される、添加剤としてのレジン状エポキシ基含有オルガノポリシロキサン
【0128】
(光透過率)
得られたホットメルト性シリコーン組成物を2枚の透明なガラス板の間に入れ、150℃で1時間加熱して硬化させ、光路長1mmの試験体を作製した。この試験体の光透過率を、可視光(波長400nm~700nm)の範囲において任意の波長で測定できる自記分光光度計を用いて25℃で測定した。光透過率が95%を超えたものをOKとし、95%以下のものをNGとした。
【0129】
(粘着性)
得られたホットメルト性シリコーン組成物をシート状に塗布し、110℃で5~30分加熱して1mm厚のシート状の硬化物を作製した。これらのホットメルト性硬化物の表面にプローブを0.1MPaの圧力で押し付けたのち、200mm/minの速度で引きはがした時の抵抗を粘着性として計測した。粘着性の値として0.1MPa以下をOKとした。
【0130】
(ホットメルト性)
得られたホットメルト性シリコーン組成物をシート状に塗布し、100℃で5~30分加熱して1mm厚のシート状の硬化物を作製した。これらのホットメルト性硬化物は、100℃での溶融弾性率が粘弾性計(アントンパール社製MCR302)で測定して10000Pa以下であるものをOKとした。
【0131】
(ダイシェア強度)
25mm×75mmのアルミ板を基板として用い、4枚の10mm×10mm×1mmのアルミチップをボンディングチップとして用いた。各チップに対して、直径8mm円形のホットメルト性硬化性シリコーンシート状の硬化物を貼り付けし、ここにチップを載置させた後、100℃でラミネーションを行い、その後150℃で2時間硬化させて、各チップを基板に接着させた。ボンドテスター(型番:SS-30WD、テストモード:PH50プッシュ、速度:0.120mm/秒)を用いてダイシェア強度を測定した。ダイシェア強度が10MPaを超えるものをOKとし、10MPa未満のものをNGとした。
【0132】
(屈折率)
得られたホットメルト性硬化性シリコーン組成物の25℃、589nmにおける屈折率をアッベ式屈折率計により測定した。比較例6の組成物の屈折率は1.54であり、他のすべての実施例、比較例の組成物の屈折率は1.55であった。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
【表3】
【0136】
上記結果から分かるとおり、本発明の実施例のホットメルト性硬化性シリコーン組成物は、フィルム形態にした場合であっても低い粘着性を維持できるため、取り扱い性に優れるとともに、優れた溶融特性を示し、さらに硬化して透明性に優れる硬化物を形成できた。