(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128606
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20240913BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20240913BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037666
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】391014055
【氏名又は名称】カンタツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山村 勉
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087NA03
2H087PA04
2H087PA17
2H087PB04
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA14
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA37
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA34
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087UA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可視光から近赤外光の波長領域で諸収差を良好に補正できる小型の撮像レンズを提供する。
【解決手段】正の屈折力を有する物体側が凸面の第1レンズL1と、負の屈折力を有する像側が凹面の第2レンズL2と、正の屈折力を有する第3レンズL3と、負の屈折力を有する物体側が凹面の第4レンズL4とから構成される。第2レンズL2の物体側面の曲率半径r3、第2レンズL2の像側面の曲率半径r4、第2レンズL2の像側面から第3レンズL3の物体側面までの光軸上距離T2、第3レンズL3の厚みD3、第3レンズL3の像側面から第4レンズL4の物体側面までの光軸上距離T3、撮像レンズ全系の焦点距離f、第2レンズL2の焦点距離f2、第3レンズL3の焦点距離f3として、次の式を満足する。
(1)1.4<r4/T2<4.3
(2)-3.00<|r3|/f2<-0.43
(3)2.8<(T2+D3+T3)/(f/f3)<14.0
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に向かって順に配置された、
正の屈折力を有する第1レンズと、
負の屈折力を有する第2レンズと、
正の屈折力を有する第3レンズと、
負の屈折力を有する第4レンズとから構成され、
前記第1レンズは、近軸において物体側が凸面であり、
前記第2レンズは、近軸において像側が凹面であり、
前記第4レンズは、近軸において物体側が凹面であるとともに、
以下の条件式(1)、(2)および(3)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
(1)1.4<r4/T2<4.3
(2)-3.00<|r3|/f2<-0.43
(3)2.8<(T2+D3+T3)/(f/f3)<14.0
ただし、
r4:第2レンズの像側の面の近軸曲率半径
T2:第2レンズの像側の面から第3レンズの物体側の面までの光軸上の距離
r3:第2レンズの物体側の面の近軸曲率半径
f2:第2レンズの焦点距離
D3:第3レンズの光軸上の厚み
T3:第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離
f:撮像レンズ全系の焦点距離
f3:第3レンズの焦点距離
【請求項2】
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(4)0.38<r7/f4<5.10
ただし、
r7:第4レンズの物体側の面の近軸曲率半径
f4:第4レンズの焦点距離
【請求項3】
以下の条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(5)1.0<D3/T3<2.8
ただし、
D3:第3レンズの光軸上の厚み
T3:第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離
【請求項4】
以下の条件式(6)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(6)0.68<(T1/f)×100<2.25
ただし、
T1:第1レンズの像側の面から第2レンズの物体側の面までの光軸上の距離
f:撮像レンズ全系の焦点距離
【請求項5】
以下の条件式(7)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(7)5.2<r4/D2<22.0
ただし、
r4:第2レンズの像側の面の近軸曲率半径
D2:第2レンズの光軸上の厚み
【請求項6】
以下の条件式(8)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(8)0.22<f1/f3<0.85
ただし、
f1:第1レンズの焦点距離
f3:第3レンズの焦点距離
【請求項7】
使用波長領域が380nmから1100nmであることを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDセンサーやCMOSセンサー等の固体撮像素子上に被写体の像を結像させる撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
車載カメラやセンサーなどの技術を利用したADAS(先進運転支援システム)を搭載する自動車が増えており、その機能は車両の安全性能の向上と運転者の快適な運転の実現に向けてますます進化している。例えば、衝突の危険を察知すると自動的にブレーキを作動させる「衝突被害軽減ブレーキ」機能において、その検知対象は、これまで昼間の車両や歩行者などであったが、近年では夜間の車両や歩行者などへと拡大している。
【0003】
今後、ADASの進化とともに、車両に搭載される車載カメラの重要性は増し、その搭載数が増えることから、車載カメラにはさらなる小型化が求められ、同時に、車載カメラに搭載される撮像レンズにも小型化が求められる。
【0004】
また、安全な走行を実現するためには、対象物をより早い段階で検知し、より遠距離での識別が必要であることから、車載カメラには高い解像性能が求められる。さらに、夜間の車両や歩行者などを検知するために、車載カメラには暗い環境下での撮影においても高い解像性能が求められる。このような車載カメラに搭載される撮像レンズには、昼間などの可視光領域で高い解像性能を備えることに加えて、夜間などの近赤外光領域においても高い解像性能を備えることが求められる。
【0005】
可視光から近赤外光の領域で良好な性能を有することを目指した撮像レンズとしては、例えば、以下の特許文献1のような撮像レンズが知られている。
【0006】
特許文献1には、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズとからなる撮像レンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のレンズによれば、可視光から近赤外光の領域で比較的良好に諸収差を補正できているものの、歪曲収差が大きく、画面周辺部まで良好な光学性能を有しているとはいえない。また、近年要求される小型化の仕様を満たすことは困難である。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、小型化の要求を満足しながらも、可視光から近赤外光の波長領域で諸収差が良好に補正された高い解像力を備える撮像レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による撮像レンズは、物体側から像側に向かって順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、負の屈折力を有する第4レンズとから構成され、前記第1レンズは、近軸において物体側が凸面であり、前記第2レンズは、近軸において像側が凹面であり、前記第4レンズは、近軸において物体側が凹面である。なお、本明細書においては、レンズの面の凸面、凹面、平面とは近軸における形状を指すものとし、屈折力は、特に言及しない限り近軸における屈折力を指すものとする。
【0011】
第1レンズは、正の屈折力を有するとともに、近軸において物体側を凸面とすることで、低背化を図るとともに、球面収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正する。
【0012】
第2レンズは、負の屈折力を有するとともに、近軸において像側を凹面とすることで、色収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正する。
【0013】
第3レンズは、正の屈折力を有することで、低背化を図るとともに、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正する。
【0014】
第4レンズは、負の屈折力を有するとともに、近軸において物体側を凹面とすることで、色収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正する。
【0015】
上記構成の撮像レンズにおいては、第3レンズは、近軸において像側が凸面のメニスカス形状であることが望ましい。
【0016】
第3レンズを、近軸において像側が凸面のメニスカス形状とすることで、色収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0017】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
(1)1.4<r4/T2<4.3
ただし、r4は第2レンズの像側の面の近軸曲率半径、T2は第2レンズの像側の面から第3レンズの物体側の面までの光軸上の距離である。
【0018】
条件式(1)の範囲を満足することにより、低背化を図るとともに、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0019】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2)-3.00<|r3|/f2<-0.43
ただし、r3は第2レンズの物体側の面の近軸曲率半径、f2は第2レンズの焦点距離である。
【0020】
条件式(2)の範囲を満足することにより、色収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0021】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)2.8<(T2+D3+T3)/(f/f3)<14.0
ただし、T2は第2レンズの像側の面から第3レンズの物体側の面までの光軸上の距離、D3は第3レンズの光軸上の厚み、T3は第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離、f3は第3レンズの焦点距離である。
【0022】
条件式(3)の範囲を満足することにより、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0023】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4)0.38<r7/f4<5.10
ただし、r7は第4レンズの物体側の面の近軸曲率半径、f4は第4レンズの焦点距離である。
【0024】
条件式(4)の範囲を満足することにより、低背化を図るとともに、色収差、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲の良好な補正が可能になる。
【0025】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5)1.0<D3/T3<2.8
ただし、D3は第3レンズの光軸上の厚み、T3は第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離である。
【0026】
条件式(5)の範囲を満足することにより、低背化を図るとともに、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲の良好な補正が可能になる。
【0027】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
(6)0.68<(T1/f)×100<2.25
ただし、T1は第1レンズの像側の面から第2レンズの物体側の面までの光軸上の距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0028】
条件式(6)の範囲を満足することにより、低背化を図るとともに、色収差、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0029】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
(7)5.2<r4/D2<22.0
ただし、r4は第2レンズの像側の面の近軸曲率半径、D2は第2レンズの光軸上の厚みである。
【0030】
条件式(7)の範囲を満足することにより、低背化を図るとともに、色収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0031】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
(8)0.22<f1/f3<0.85
ただし、f1は第1レンズの焦点距離、f3は第3レンズの焦点距離である。
【0032】
条件式(8)の範囲を満足することで、色収差、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0033】
上記構成の撮像レンズは、可視光領域の380nmから近赤外光領域の1100nmまでの波長領域で使用することが望ましい。
【0034】
可視光領域の380nmから近赤外光領域の1100nmまでの波長領域で使用することで、諸収差の良好な補正が可能になる。
【0035】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
(9)-0.77<(|r3|/r4)/f2<-0.10
ただし、r3は第2レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r4は第2レンズの像側の面の近軸曲率半径、f2は第2レンズの焦点距離である。
【0036】
条件式(9)の範囲を満足することで、色収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0037】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(10)を満足することが望ましい。
(10)0.40<T2/T3<6.60
ただし、T2は第2レンズの像側の面から第3レンズの物体側の面までの光軸上の距離、T3は第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離である。
【0038】
条件式(10)の範囲を満足することにより、低背化を図るとともに、色収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0039】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(11)を満足することが望ましい。
(11)-4.10<|r3|/r7<-0.17
ただし、r3は第2レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r7は第4レンズの物体側の面の近軸曲率半径である。
【0040】
条件式(11)の範囲を満足することにより、色収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0041】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(12)を満足することが望ましい。
(12)-4.30<r7/f<-0.32
ただし、r7は第4レンズの物体側の面の近軸曲率半径、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0042】
条件式(12)の範囲を満足することにより、色収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0043】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(13)を満足することが望ましい。
(13)0.23<T1/(r1/f)<0.85
ただし、T1は第1レンズの像側の面から第2レンズの物体側の面までの光軸上の距離、r1は第1レンズの物体側の面の近軸曲率半径、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0044】
条件式(13)の範囲を満足することにより、低背化を図るとともに、色収差、コマ収差、非点収差、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0045】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(14)を満足することが望ましい。
(14)0.24<f1/f<0.73
ただし、f1は第1レンズの焦点距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0046】
条件式(14)の範囲を満足することにより、色収差、球面収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0047】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(15)を満足することが望ましい。
(15)2.97<f2/(f/f4)<11.00
ただし、f2は第2レンズの焦点距離、f4は第4レンズの焦点距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0048】
条件式(15)の範囲を満足することにより、色収差、球面収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0049】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(16)を満足することが望ましい。
(16)-78.40<r5/f3<-0.17
ただし、r5は第3レンズの物体側の面の近軸曲率半径、f3は第3レンズの焦点距離である。
【0050】
条件式(16)の範囲を満足することにより、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0051】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(17)を満足することが望ましい。
(17)0.09<T3/(T1+T2+T3)<0.80
ただし、T1は第1レンズの像側の面から第2レンズの物体側の面までの光軸上の距離、T2は第2レンズの像側の面から第3レンズの物体側の面までの光軸上の距離、T3は第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離である。
【0052】
条件式(17)の範囲を満足することにより、低背化を図るとともに、色収差、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0053】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(18)を満足することが望ましい。
(18)0.35<D3/bf<6.30
ただし、D3は第3レンズの光軸上の厚み、bfはバックフォーカスである。
【0054】
条件式(18)の範囲を満足することにより、低背化を図るとともに、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0055】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(19)を満足することが望ましい。
(19)0.63<r5/r6<120.44
ただし、r5は第3レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r6は第3レンズの像側の面の近軸曲率半径である。
【0056】
条件式(19)の範囲を満足することにより、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0057】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(20)を満足することが望ましい。
(20)-1.25<r4/r5<0.00
ただし、r4は第2レンズの像側の面の近軸曲率半径、r5は第3レンズの物体側の面の近軸曲率半径である。
【0058】
条件式(20)の範囲を満足することにより、色収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0059】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(21)を満足することが望ましい。
(21)0.00<r1/|r2|<0.30
ただし、r1は第1レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r2は第1レンズの像側の面の近軸曲率半径である。
【0060】
条件式(21)の範囲を満足することにより、色収差、コマ収差、非点収差、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0061】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(22)を満足することが望ましい。
(22)0.05<(D3+D4)/f3<0.52
ただし、D3は第3レンズの光軸上の厚み、D4は第4レンズの光軸上の厚み、f3は第3レンズの焦点距離である。
【0062】
条件式(22)の範囲を満足することにより、低背化を図るとともに、球面収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0063】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(23)を満足することが望ましい。
(23)0.30<D4/bf<1.50
ただし、D4は第4レンズの光軸上の厚み、bfはバックフォーカスである。
【0064】
条件式(23)の範囲を満足することにより、低背化を図るとともに、色収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0065】
上記構成の撮像レンズは以下の条件式(24)を満足することが望ましい。
(24)39<νd4<72
ただし、νd4は第4レンズのd線に対するアッべ数である。
【0066】
条件式(24)の範囲を満足することにより、色収差の良好な補正が可能になる。
【0067】
本発明により、小型化の要求を満足しながらも、可視光から近赤外光の波長領域で諸収差が良好に補正された高い解像力を備える撮像レンズを得ることができる。また、本発明に係る撮像レンズでは諸収差が良好に補正されることからレンズの枚数を抑制でき、レンズ材料の使用量の抑制を通じて、環境に優しい撮像レンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】本発明の実施例1の撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施例1の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図3】本発明の実施例2の撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図4】本発明の実施例2の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図5】本発明の実施例3の撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施例3の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図7】本発明の実施例4の撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図8】本発明の実施例4の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0070】
図1、
図3、
図5および
図7はそれぞれ、本実施の形態の実施例1から4に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。いずれの実施例も基本的なレンズ構成は同一であるため、ここでは実施例1の断面図を参照しながら本実施の形態に係る撮像レンズについて説明する。
【0071】
図1に示すように、本実施の形態に係る撮像レンズは、物体側から像側に向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズL1と、負の屈折力を有する第2レンズL2と、正の屈折力を有する第3レンズL3と、負の屈折力を有する第4レンズL4とから構成され、第1レンズL1は、近軸において物体側が凸面であり、第2レンズL2は、近軸において像側が凹面であり、第4レンズL4は、近軸において物体側が凹面である。
【0072】
また第4レンズL4と撮像面IMG(すなわち、撮像素子の撮像面)の間にはカバーガラス等のフィルタCGが配置される。なお、撮像レンズを搭載するカメラの仕様に応じて、ローパスフィルタや特定の波長域をカットするバンドパスフィルタなどの各種フィルタを配置してもよい。あるいは、いずれかのレンズのレンズ面に各種フィルタと同様の作用を有するコートを施してもよい。
【0073】
開口絞りSTは、第2レンズL2と第3レンズL3の間に配置しているため、低背化を維持しながら適切な画角の確保を容易にしている。なお、開口絞りSTの位置は、第2レンズL2と第3レンズL3の間に限定されない。撮像素子の仕様に応じて適宜配置すればよく、実施例2および実施例4は、開口絞りSTを第1レンズL1の物体側に配置した例である。この場合、低背化を維持しながら、低Fナンバー化が容易となる。
【0074】
第1レンズL1は、正の屈折力を有し、近軸において物体側が凸面のメニスカス形状である。そのため、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正しながら、撮像レンズの低背化を図っている。
【0075】
第2レンズL2は、負の屈折力を有し、近軸において像側が凹面のメニスカス形状である。そのため、色収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正している。
【0076】
第3レンズL3は、正の屈折力を有し、近軸において像側が凸面のメニスカス形状である。そのため、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正しながら、撮像レンズの低背化を図っている。
【0077】
第4レンズL4は、負の屈折力を有し、近軸において物体側および像側が凹面の両凹形状である。そのため、色収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正している。
【0078】
本実施の形態に係る撮像レンズは、第1レンズL1から第4レンズL4のすべてが、それぞれプラスチック材料で形成することが好ましい。プラスチック材料を用いることにより、非球面形状を精度よく形成することができるとともに、軽量化および低コスト化を図ることが可能となる。
【0079】
なお、撮像レンズが搭載されるカメラ等が、厳しい環境下で使用される場合には、最も物体側に配置される第1レンズL1は、耐水性、耐熱性、耐候性等が高い材料、例えばガラス材料で形成することが望ましい。
【0080】
本実施の形態に係る撮像レンズは、第1レンズL1から第4レンズL4のすべてが、それぞれ単レンズで構成されていることが好ましい。単レンズのみの構成は、非球面を多用することができる。本実施の形態においては、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4のレンズ面に適切な非球面を形成することで、良好な諸収差の補正が行われている。また、接合レンズを採用する場合に比較して工数を削減できるため、低コスト化を図ることが可能となる。
【0081】
本実施の形態に係る撮像レンズにおいて第1レンズL1の物体側の面および像側の面は、共に球面で形成されている。このため、第1レンズL1の製造コストを抑制できる。特に第1レンズL1をガラス材料で形成した場合に製造コストの抑制効果が高い。なお、要求される光学性能によってはすべてのレンズ面を非球面で形成してもよい。実施例2および実施例4は、第1レンズL1を非球面レンズとした例である。
【0082】
本実施形態における撮像レンズは、以下の条件式(1)から(24)を満足することにより、好ましい効果を奏するものである。
(1)1.4<r4/T2<4.3
(2)-3.00<|r3|/f2<-0.43
(3)2.8<(T2+D3+T3)/(f/f3)<14.0
(4)0.38<r7/f4<5.10
(5)1.0<D3/T3<2.8
(6)0.68<(T1/f)×100<2.25
(7)5.2<r4/D2<22.0
(8)0.22<f1/f3<0.85
(9)-0.77<(|r3|/r4)/f2<-0.10
(10)0.40<T2/T3<6.60
(11)-4.10<|r3|/r7<-0.17
(12)-4.30<r7/f<-0.32
(13)0.23<T1/(r1/f)<0.85
(14)0.24<f1/f<0.73
(15)2.97<f2/(f/f4)<11.00
(16)-78.40<r5/f3<-0.17
(17)0.09<T3/(T1+T2+T3)<0.80
(18)0.35<D3/bf<6.30
(19)0.63<r5/r6<120.44
(20)-1.25<r4/r5<0.00
(21)0.00<r1/|r2|<0.30
(22)0.05<(D3+D4)/f3<0.52
(23)0.30<D4/bf<1.50
(24)39<νd4<72
ただし、
r1:第1レンズL1の物体側の面の近軸曲率半径
r2:第1レンズL1の像側の面の近軸曲率半径
r3:第2レンズL2の物体側の面の近軸曲率半径
r4:第2レンズL2の像側の面の近軸曲率半径
r5:第3レンズL3の物体側の面の近軸曲率半径
r6:第3レンズL3の像側の面の近軸曲率半径
r7:第4レンズL4の物体側の面の近軸曲率半径
D2:第2レンズL2の光軸X上の厚み
D3:第3レンズL3の光軸X上の厚み
D4:第4レンズL4の光軸X上の厚み
T1:第1レンズL1の像側の面から第2レンズL2の物体側の面までの光軸X上の距離
T2:第2レンズL2の像側の面から第3レンズL3の物体側の面までの光軸X上の距離
T3:第3レンズL3の像側の面から第4レンズL4の物体側の面までの光軸X上の距離
bf:バックフォーカス
f:撮像レンズ全系の焦点距離
f1:第1レンズL1の焦点距離
f2:第2レンズL2の焦点距離
f3:第3レンズL3の焦点距離
f4:第4レンズL4の焦点距離
νd4:第4レンズL4のd線に対するアッべ数
なお、上記の各条件式をすべて満足する必要はなく、それぞれの条件式を単独に満たすことで、各条件式に対応した作用効果を得ることができる。
【0083】
また、本実施形態における撮像レンズは、以下の条件式(1a)から(24a)を満足することにより、より好ましい効果を奏するものである。
(1a)1.8<r4/T2<3.6
(2a)-2.54<|r3|/f2<-0.55
(3a)3.6<(T2+D3+T3)/(f/f3)<11.7
(4a)0.45<r7/f4<4.50
(5a)1.3<D3/T3<2.5
(6a)1.00<(T1/f)×100<2.00
(7a)6.0<r4/D2<18.3
(8a)0.26<f1/f3<0.76
(9a)-0.66<(|r3|/r4)/f2<-0.15
(10a)0.60<T2/T3<5.50
(11a)-3.60<|r3|/r7<-0.25
(12a)-3.60<r7/f<-0.39
(13a)0.27<T1/(r1/f)<0.70
(14a)0.36<f1/f<0.67
(15a)3.60<f2/(f/f4)<9.15
(16a)-65.30<r5/f3<-0.25
(17a)0.13<T3/(T1+T2+T3)<0.66
(18a)0.55<D3/bf<5.25
(19a)0.95<r5/r6<100.00
(20a)-1.00<r4/r5<0.00
(21a)0.00<r1/|r2|<0.25
(22a)0.09<(D3+D4)/f3<0.48
(23a)0.35<D4/bf<1.20
(24a)47<νd4<64
ただし、各条件式の符号は前の段落での説明と同様である。なお、条件式(1a)から(24a)については、それぞれの下限値や上限値として、それぞれが対応する条件式(1)から(24)の下限値や上限値を適用するようにしてもよい。
【0084】
本実施形態において、レンズ面の非球面に採用する非球面形状は、光軸方向の軸をZ、光軸に直交する方向の高さをH、近軸曲率半径をR、円錐係数をk、非球面係数をA4、A6、A8、A10、A12、A14、A16としたとき数式1により表わされる。
【0085】
【0086】
次に、本実施形態に係る撮像レンズの実施例を示す。各実施例において、fは撮像レンズ全系の焦点距離を、FnoはFナンバーを、ωは半画角を、ihは最大像高を、TTLは光学全長をそれぞれ示す。ここで光学全長は、最も物体側に位置する光学素子の物体側の面から撮像面IMGまでの光軸上の距離とする。なお、光学全長やバックフォーカスの値は、撮像レンズと撮像面IMGの間に配置されるカバーガラス等の厚みを空気換算して得られる距離とする。
【0087】
また、iは物体側から数えた面番号、rは近軸曲率半径、dは光軸上のレンズ面間の距離(面間隔)、Ndはd線(基準波長)の屈折率、νdはd線に対するアッベ数をそれぞれ示す。なお、非球面に関しては、面番号iの後に*(アスタリスク)の符号を付加して示す。
【0088】
【0089】
図2は実施例1の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。球面収差図には、F線(486nm)、d線(588nm)、C線(656nm)、t線(1013nm)の各波長に対する収差量を示す。また、非点収差図にはサジタル像面Sにおけるd線の収差量(実線)、タンジェンシャル像面Tにおけるd線の収差量(破線)をそれぞれ示す(
図4、
図6および
図8においても同じ)。
図2に示すように、本実施例1に係る撮像レンズによれば、各収差を良好に補正できる。
【0090】
【0091】
図4に示すように、本実施例2に係る撮像レンズによっても各収差を良好に補正できる。
【0092】
【0093】
図6に示すように、本実施例3に係る撮像レンズによっても各収差を良好に補正できる。
【0094】
【0095】
図8に示すように、本実施例4に係る撮像レンズによっても各収差を良好に補正できる。
【0096】
表5に実施例1から実施例4に係る条件式(1)から(24)に対応する値(条件式対応値)を示す。
【0097】
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明に係る撮像レンズを、車載カメラなどの製品へ適用した場合、当該カメラの小型化と高性能化の両立を図ることができる。
【符号の説明】
【0099】
X 光軸
ST 開口絞り
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
CG フィルタ
IMG 撮像面