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特開2024-128607情報処理装置、並びに情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128607
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、並びに情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240913BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037667
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】賀 暁琳
(72)【発明者】
【氏名】小西 正太
(72)【発明者】
【氏名】増田 藍
(72)【発明者】
【氏名】井口 匠
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 功一
(72)【発明者】
【氏名】庄司 敬一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】日常的にペットの健康管理を可能とする情報処理装置、並びに情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システム1において、情報処理装置2は、ペットに関連した基本データとペットの生活習慣に関する活動データを少なくとも含むデータを得る通信部Tと、データを記憶するデータベースDBと、演算部CPUと備える。演算部CPUは、基本データと活動データに基づいて、ペットに与える食事のレシピを作成し、通信部を介してペットの飼い主に提案する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットに関連した基本データと該ペットの生活習慣に関する活動データを少なくとも含むデータを得る通信部と、前記データを記憶するデータベースと、演算部とを備え、
前記演算部は、前記基本データと前記活動データに基づいて、前記ペットに与える食事のレシピを作成し、前記通信部を介して前記ペットの飼い主に提案することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記基本データは、少なくとも体質、体重、年齢のいずれかを含み、前記活動データは、少なくとも排泄回数、排泄量、食事量、食事にかかった時間、食事回数のいずれかを含み、前記レシピは、少なくとも材料、市販品、またはその組み合わせのいずれかを含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記通信部は、さらにペットの健康支援に関する健康支援データを取得することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記健康支援に関する健康支援データは、ペットのボディコンディション指数、ペットに食禁忌な食材の組み合わせ情報のいずれかを含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記演算部は、ペットフードに対する前記ペットの嗜好に関する情報に基づいて前記レシピを提案することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記通信部は、前記ペットが医療機関で診断を受けた場合の診断結果を取得することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の情報処理装置であって、
前記演算部は、前記基本データおよび前記活動データに関する第1の変化量と、前記診断結果を成す健康パラメータに関する第2の変化量を算出することを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理装置であって、
前記第1の変化量は、1日毎の体重の増減、加齢、排泄回数・排泄量の増減のいずれかであり、第2の変化量は健康診断結果の各値の増減であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項7に記載の情報処理装置であって、
前記演算部は、前記第1の変化量と前記第2の変化量から、ペットの体調を推定する推定部を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の情報処理装置がインターネットを介して家庭内機器と通信可能とされた情報処理システムであって、
前記家庭内機器により、前記ペットの前記基本データと前記活動データを取得して前記情報処理装置に送信することを特徴とする情報処理システム。
【請求項11】
請求項10に記載の情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、前記ペットの飼い主が所有する携帯情報端末に前記レシピを送信することを特徴とする情報処理システム。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理システムであって、
前記家庭内機器は、ペット食事調理器を含み、ペット食事調理器を用いて前記レシピに沿った食事を作ることを特徴とする情報処理システム。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理システムであって、
前記ペット食事調理器は、前記レシピに基づいて前記ペットが食べやすい指標を調整し、前記指標に基づいてペット用の食事を調整することを特徴とする情報処理システム。
【請求項14】
請求項13に記載の情報処理システムであって、
前記指標は、粒の大きさ、固さ、温度、におい、水分量、脂質量のいずれかであることを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、並びに情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、家庭内でペットを家族の一員として考える価値観が広まりつつあり、将来的には自身のQOL(quality of life)のみでなくペットのQOLを向上させたいと考える生活者が増えることが予想されている。ペットの食生活にも配慮されることが予想され、ペット自身の体格、体質、生活習慣を考慮した食事をペットに与えることの需要も増える可能性が指摘されている。
【0003】
ペットの食生活をペットに合わせて最適化する従来技術としては特許文献1がある。特許文献1は、所定の時間単位で測定されるペットの排泄頻度や排泄の量に基づいて、適したペット用の食事を特定する情報処理装置について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021―26389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の情報処理装置は、「ペットにおける排泄量の第1変化量及び体重の第2変化量を取得する取得手段と、前記取得された第1変化量及び第2変化量に基づいて前記ペットの病状を推定する推定手段と、前記推定された病状を含む提供情報を出力する出力手段」に加え、さらに「前記取得された第1変化量及び前記第2変化量に基づいて前記ペットに適切な商品または前記ペットにとって有用な情報を特定する特定手段」を備えたものである。
【0006】
しかし、この情報処理装置は、第1変化量と第2変化量とをペットの体調不良のための判断材料として活用しており、何かしらの体調不良があったと判断したときに初めてペットフードに関する適した情報を提供しているため、当該情報処理装置だけでは日常の健康維持や病気予防のために適したペットフードをペットに与えることは難しい。
【0007】
また、当該情報提供装置は、ペットの病状に合わせて適したペットフードを情報として提供することに留まっているため、ペットの体質やペットフードに対する嗜好に合わせたレシピでペットフードを作ることまでは難しい。
【0008】
以上のことから本発明においては、日常的ペットの健康管理のための、適したペットフードの調理を支援する情報処理装置、並びに情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のことから本発明においては「ペットに関連した基本データとペットの生活習慣に関する活動データを少なくとも含むデータを得る通信部と、データを記憶するデータベースと、演算部と備え、演算部は、基本データと活動データに基づいて、ペットに与える食事のレシピを作成し、通信部を介してペットの飼い主に提案することを特徴とする情報処理装置。」としたものである。
【0010】
また本発明においては「情報処理装置がインターネットを介して家庭内機器と通信可能とされた情報処理システムであって、記家庭内機器により、ペットの基本データと活動データを取得して情報処理装置に送信することを特徴とする情報処理システム。」としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、日常的にペットの健康管理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】情報処理システムの全体構成例を示す図。
図2】データベースDBに収集されたペットデータと指標の例を示す図。
図3】ペットデータ(D1、D2、D3)とレシピ推定結果の構成データD4の関係を例示した図。
図4】演算部CPUが実行するプログラム例を示す図。
図5】不安、負担要因事項(体質、体調不明)についての解決手段を示す図。
図6】不安、負担要因事項(体質、体調に適する食事不明)についての解決手段を示す図。
図7】不安、負担要因事項(調理の手間)についての解決手段を示す図。
図8】不安、負担要因事項(調理の適切か不明)についての解決手段を示す図。
図9】不安、負担要因事項(体調不良)についての解決手段を示す図。
図10】不安、負担要因事項(ペットフード)についての解決手段を示す図。
図11】不安、負担要因事項(保険)についての解決手段を示す図。
図12】本発明の情報処理システム1における全体処理の流れを示す図。
図13図12の全体流れの中から、主要部のみを取り出して整理した処理の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例0014】
図1は、情報処理システムの全体構成例を示す図である。情報処理システム1は、家庭内の家庭内設備3と情報処理装置2がインターネットNWを介して接続されて構成されている。
【0015】
家庭内設備3は、ペットの例えば首筋に設置されて、ペットの特に健康状態や活動量に関する情報を取得するペット健康状態取得センサSC、ペットの行動を画像として把握するカメラCA、トイレ、皿、ウェアラブルデバイスなどのペット関連IoT装置、空調31、冷蔵庫32、食材ストッカー33、IoTトイレ34、ペット食器35、自動給餌器36、ペット食事調理器37、ウェアラブルデバイス38などである。またペットの飼い主20が所有する携帯情報端末MTなども家庭内設備と考えることができる。
【0016】
これらの家庭内設備は、通信機能付きの機器であり、家庭内の通信機TMから、インターネットNWを介して情報処理装置2に接続され、情報通信ができるようになっている。家庭内設備はその全てを揃える必要はないが、可能な範囲で多くを備えることにより、本発明の効果は増すといえる。特に後述するが、通信機能付きのペット食事調理器37を備え、情報処理装置2が提供するレシピの調理を実行できるようにされているのが望ましい。
なお携帯情報端末MTは、家庭内の通信機TMを経由し、或は直接に、インターネットNWを介して情報処理装置2に接続され、相互に情報のやり取りができる。
【0017】
情報処理装置2は、インターネットNWに接続するための通信部T、各種プログラムを実行する演算部CPU、各種データを記憶しているデータベースDB、一時的な演算過程でのデータを記憶する記憶装置Mなどが、バスBUSで接続された計算機装置を用いて構成されている。
【0018】
データベースDBには、複数の家庭内設備3などと接続されることによって得られた各種の情報が蓄積される。各種情報は、家庭内設備3からの情報ばかりではなく、ペットの専門家群4による支援情報なども加味して構成されている。図1の例では、ペットフードレシピの情報D4を記憶するペットフードレシピデータベースDB4、ペット関連データD1を記憶するペット関連データベースDB1、健康支援データD2を記憶する健康支援データベースDB2、家庭内の食材在庫データD3を記憶する食材在庫データベースDB3を備えた例を示している。
【0019】
なお、インターネットNWを介して情報処理装置2には、本システムを支援する各種の専門家群4も参加しており、これらからの知見がデータベースDBの記憶内容に反映されている。なお専門家群4には、栄養管理士や獣医などの専門家24、レシピ作成業者25、ペットヘルスケア関連業者26、ペットフードメ―カー27、ペット保険会社28などを含んでいる。
【0020】
演算部CPUは、例えば記憶装置Mに記憶されたプログラムを実行することによって、ペットの飼い主20が所有する携帯情報端末MTの表示画面を構成して、ペットを診断する上で有効な情報を飼い主20から極力迅速に正確に取得することができるように支援する。また、取得した各種情報を分析して、ペット個体ごとの診断情報を例えばペットの飼い主20が所有する携帯情報端末MTに通知する。また、ペットの健康管理上、食事が重要であることから、ペットの健康状態から割り出したメニューを飼い主20に通知し、或はペット食事調理器COに表示することで、推奨メニューの準備を促す。
【0021】
かくして情報処理装置2のデータベースDBには、ペットの健康管理に必要な各種の情報が蓄積される。図2は、データベースDBに収集されたペットデータの構成例を示す図である。これらは大別すると家庭内設備3から得られるペット関連データD1、ペットの専門家群4などから得られる健康支援データD2、冷蔵庫の食材在庫に合わせたレシピを提案するための家庭内の食材在庫データD3などである。
【0022】
本発明では、このうち特に家庭内設備3から得られるペット関連データD1に着目している。ペット関連データD1は、これを大別すると、基本データD1a、健康データD1b、活動データD1c、食事行動内容データD1dなどを含んでいる。
【0023】
基本データD1aは、体長、体重、品種、年齢などであり、健康データD1bはBCS(body condition score)、RER(rest energy requirement)、アレルギー情報などであり、活動データD1cは日々の体重変化、活動量、飲水量、排泄状況のデータ、心拍数変化、体温変化、呼吸数変化などの情報などであり、食事行動内容データD1dは食事量、食事時間、食事回数、食事タイミング、食事スピードなどである。
【0024】
これらのペット関連データD1は、ペット健康状態取得センサSCやカメラCAやペット関連IoT装置から自動的に定期的に入手できるもののほかに、携帯情報端末MTからペットの飼い主20が適宜のタイミングで手入力することで得られるものがある。またこれらの情報は、一度入力すればよいもの、比較的長期期間での入力でよいもの、毎日入力すべきものがある。
【0025】
これらの入力の煩雑さばかりでなく、ペットの飼い主20はペットの健康管理を行う上で不安に感じている点や、専門家の意見を聞きたいといった点、負担に感じる点があり、情報処理装置2は携帯情報端末MTを通じて、これらの不安、負担要因事項に対応できるものであることが望ましい。
【0026】
なお、ペットの飼い主20におけるこれらの不安、負担要因事項は、ペットの体質や体調に合わせた正しい食事が分からない(そもそも、ペットの体質や体調の状態がわからない、体質や体調に合った食事がわからない)、ペットが食べやすい調理の仕方などの手間や時間がかかる、ペットに適切な調理が出来ているか不安(調理したものが必要分の栄養素やペットのニーズと一致できるかわからない)、体調不良の時原因がわからない、エビデンスもない、といったものがあげられる。
【0027】
図2の下段は、上記したペットデータD1、D2、D3を考慮の上で定められたペットフードのレシピデータD4が形成されたことを示している。
【0028】
図3は、データベースDBに収集されたペットデータ(D1、D2、D3)とレシピ推定結果の構成データD4の関係を例示した図である。構成データD4は、食事調理器37がペットフードを調整するためのデータとして必要である。構成データD4は、指標カテゴリD41、判断指標詳細D42、判断するための入力データD43を含んで構成されている。
【0029】
このうち指標カテゴリD41の例としては、ペットが食べやすい指標D41a、体質と体調指標D41b、レシピに必要な食材D41cに関する情報等が含まれる。ペットが食べやすい指標D41aには例えば、判断指標詳細D42としてペットフードの粒の大きさや硬さ、味やにおいが挙げられる。このうち、粒の大きさ、硬さは、ペットの体長、体重、品種などによって食べやすさが変わる傾向があるため、これらの指標は、ペットの基本データにあたる品種、体長、年齢、体重などを判断する入力データD43として用いて、指標算出に活用する。
【0030】
また、体質と体調指標D41bは、水分量、脂質量、栄養素から決まり、水分量や脂質量は、ペットの日々の排尿回数や排尿量、運動量、食事の回数と食事量に基づいて調整する。食材は、ペットを飼うユーザの食材在庫をIoT家電の在庫管理データから特定する。
【0031】
図1の情報処理装置2内の演算部CPUは、上記の入力を用いて図4のプログラムPrを実行する。図4は、情報処理装置1における主要な処理内容を示す図である。処理プログラムPr1では、例えばペットの飼い主20の負担を軽減するための、携帯情報端末MTの画面構成を提供する飼い主負担軽減プログラムである。ここでは、毎日の手入力負担を軽減する画面構成とし、あるいはペットの飼い主20における不安、負担要因事項を速やかに確認して、解決策を提示することができるような携帯情報端末MTの画面構成を提供する。さらには、不安、負担要因事項の新たな解決策を模索するための一助とする。
【0032】
処理プログラムPr2では、学習処理を実行する。ここでは、データベースDBに蓄積された各種の情報をビッグデータとする、例えば学習処理を実行し、ペット個体ごとの現状に対する解決策を提案する。
【0033】
例えば学習処理では、入力蓄積した大容量の情報をクラスタリング処理して、複数のクラスタを生成する。学習によるこれらの解析からは例えば、ペットの健康状態把握、健康維持のための適切な食事メニュー、健康維持のための日々のライフスタイル、飼い主20の負担軽減策、飼育場の改善点の提案などに適用されるものであり、生成された複数のクラスタにより、各種の傾向が判明する。
【0034】
クラスタリングにより求められたこれらの個別のクラスタは、メガデータの解析により求めた動向解析結果であり、ペットの健康把握、維持に関する同一傾向を示す情報の集合である。このため、このクラスタに分類されたこと自体が、1つの傾向を示すものではあるが、さらにこの中でクラスタの中心座標からの乖離により、乖離するペットの特有の傾向を示したものと理解することができる。係る全体把握及び個別各種情報把握を通じて、個別ペットの特異な傾向が明確化できる。学習処理を利用した情報解析処理の解析結果はデータベースDBに記憶される。
【0035】
処理プログラムPr2での学習結果を反映した対応策の一例を図4から図8により説明する。ここでは例えば、ペットの飼い主20における不安、負担要因事項を、解消するための解決策などを示している。
【0036】
図5は、不安、負担要因事項(体質、体調不明)についての解決手段を示す図である。図5には、上段から順次不安、負担要因事項10、解決手段11、効果12、入力13、出力14を示している。表記上のこの約束は以降の図6図9も同じである。
【0037】
ここでは、入力13とした項目を監視することで、不安、負担要因事項10の有無が判明し、かつ解決手段11により不安、負担要因事項10を解消することができて効果12を得ることができ、ペットの飼い主20は、情報処理装置2からの出力14を見ていれば、この不安、負担要因事項10を格別に心配しなくてもよいという安心が得られることを表している。
【0038】
具体的には図5の事例では、不安、負担要因事項10が「ペットの体質や体調に合わせた正しい食事が分からない(そもそも、ペットの体質や体調の状態がわからない)」である場合に、入力13として基本データD1aと活動データD1cに着目する。
【0039】
基本データD1aは、Lite情報としてペットの年齢、性別、品種、体重と体長(BCS)、基礎体温、安静時代謝量(RER)を監視し、これに追加するFull情報として健康診断結果(アレルギー情報、血液検査情報、保有菌検査情報、遺伝子検査情報など)を監視する。
【0040】
活動データD1cは、ペット健康状態取得センサSCやカメラCAやペット関連IoT装置といった通信機能付きの家庭内設備3から入手する、日々の体重変化、活動量、飲水量、排泄状況のデータ、心拍数変化、体温変化、呼吸数変化などの情報である。
【0041】
図4の学習プログラムでの学習結果によれば、ペットの現状とライフスタイルを反映した入力13から、ペットの健康状態(ペットの体質や体調の状態)が判明し、現在の健康状態を維持し将来における健康異常に備える予防策が、あるいは現在不健康である場合に健康を取り戻すための対策が得られる。
【0042】
具体的には、解決手段11に示すように携帯情報端末MTのアプリ上でユーザがペットの基本データを入力し、ペットの基本的な体質・体調、基礎代謝量を推定する。さらに、獣医からの健康診断結果など、ペット関連IoT装置からペットの活動データをセンシング、基本データに合わせてより精度が高い体質と体調を推定する。これらの推定には学習プログラムを利用するのがよく、継続利用によって、収集された食事データやセンシングデータより推定内容の精度が上げることが期待できる。
【0043】
このことによる効果12としては、体質・体調が分かることになり、携帯情報端末MTのアプリ上でユーザである飼い主20には、出力14(体質・体調指標として日々の代謝量(RER、DRE)を監視すべきことが提示される。
【0044】
これにより飼い主20は、体質・体調指標の数値を継続的に確認するのみで、「ペットの体質や体調に合わせた正しい食事が分からない(そもそも、ペットの体質や体調の状態がわからない)」という不安要因から解放されることになる。
【0045】
なお携帯情報端末MTのアプリの初回登録時に、Lite情報である種類、体質、体長、体重、年齢、基礎体温などをもとに、プラットフォーム(例えば学習などのアルゴリズム)が基礎代謝量などを推定するのがよく、医師の診断が無くても使用開始できる。またアプリの初回登録時に、基本データに加えて、Full情報であるアレルギー情報や医師の診断に基づく体質情報(病気発症リスク)、血液検査情報、保有菌検査情報、遺伝子検査情報などの追加データを準備するのがよい。これらは、医師の診断や特定の検査・検診が必要になるものである。なおFull情報の全てが必須ではなく、あればあるほど体質・体調の推定精度が上がるといえる。
【0046】
また使用を一定期間継続する中で、初回登録時のデータと、ウェアラブルデバイス(ペット関連IoT装置)で取れる活動量などのデータと、ペット用IoT皿で取れる食事状況(食べるスピードや日々の飲水量など)のデータと、IoTトイレで取れる排泄状況のデータが自動入手可能である。これも全てが必須ではなく、あればあるほど精度が上がるということができる。
【0047】
図6は、不安、負担要因事項(体質、体調に適する食事不明)についての解決手段を示す図である。図6の事例では、不安、負担要因事項10が「ペットの体質や体調に合わせた正しい食事が分からない(体質や体調に合った食事がわからない)」である場合に、入力13として図4の基本データD1aと活動データD1cと体質・体調指標に加えて、以下のものに着目する。
【0048】
これらは、健康データ・専門知識として必要な栄養素と量、必要な食材と量であり、健康支援データD2として栄養素種類(猫、犬用など)、タイプ(粉、液体など)、使い方であり、食事状況データとして食べた量、食べるスピード、食べる回数であり、また家庭内の食材データD3として食材在庫データである。また健康支援データD2には、(人間のBMIにあたるような)ペットのボディコンディション指数、ペットに禁忌な食材の組み合わせ情報(例、猫に甲殻類を与えることはできない)を含むのがよい。
【0049】
図3の学習プログラムでの学習結果によれば、ペットの現状とライフスタイルを反映した入力13を用いて、ペットの体質や体調に合わせた正しい食事が判明し、将来における健康異常に備える予防策として、あるいは現在不健康である場合に健康を取り戻すための対策が得られる。
【0050】
具体的には解決手段11として、推定された体質や体調と、専門家やペットヘルスケア関連会社からのペットの健康データ・専門知識と健康支援データD2に基づいて、ペットに適した食事のレシピ(レシピは、食材、調理方法、市販ペットフード、サプリメントなどの組み合わせなどである)を推定する。またその継続利用によって、収集された食事データやセンシングした活動データで推定内容の精度を上げることができる。特に使用を一定期間継続する中で、特に食事状況・飲水量をセンシングすることで、早食いの防止や食いつきに合わせたレシピの調整、食事に含まれる飲水量の調整が可能となる。
【0051】
また効果12としては、正しい食事がわかり、携帯情報端末MTの画面、あるいはペット食事調理器COの画面に食事レシピとして、食材、調理方法、市販ペットフード、サプリメントの正しい組み合わせ、食事の提供方法とタイミングを表示する。飼い主20は表示内容に沿った食事を準備することで、体質や体調に合った食事がわからないといった悩みから解放される。
【0052】
図7は、不安、負担要因事項(調理の手間)についての解決手段を示す図である。図7の事例は、不安、負担要因事項10が「ペットが食べやすい調理の仕方などの手間や時間がかかる(調理したものが、ペットに必要な栄養素を満たしているかどうか不安)」である場合に、入力13として図5で得られた推定された食事レシピの他に、食べやすい指標として食材の大きさ、固さ、温度、香りを得、また家庭内の食材データD3(調理用)として個々の食材のデータ(栄養素、水分量、重さ、大きさ)を参照する。
【0053】
この場合の解決手段11としては調理の機械化を提案するものである。ペット食事調理器COに家庭内の食材を投入し、ペットが食べやすいように、食材の大きさ、固さ、温度、香りを細かく調整する。また調理器は食事量、栄養素、水分量を自動的に調整する。このためペット食事調理器COは、レシピに基づいてペットが食べやすい指標を調整し、指標に基づいてペット用の食事を調整するのがよい。ここで指標とは、粒の大きさ、固さ、温度、香り、水分量、栄養素である。出力結果には、ペット食事調理器の制御データとして、食材データに合わせてカット機能のスピードや力とカット回数、調理時間(固さを制御する)、調理用温度の加減、香りつけ用の素材の量と種類が挙げられる。
【0054】
これにより、ペット食事調理器COが食事量、栄養素、水分量を自動的に調整する。また個々の食材のデータに合わせて、調理を微調整するなどである。なお食材の大きさの調整は、機器で自動的にやるには限らず、手動も可能である。
【0055】
このときの効果13は、ペットが食べやすい形にできる、ペットの食い付きが良い調理ができる(匂いなど)、自動化されているので、手間なく家でも簡単に調理できるといったことがあげられる。
【0056】
図8は、不安、負担要因事項(ペットの嗜好を満たすか否か)についての解決手段を示す図である。図8の事例では、不安、負担要因事項10が「ペットに適切な調理が出来ているか不安(ペットの嗜好に合うかわからない)」である場合に、入力13として図6で得られた推定された食事レシピの他に、適切度として食事量、栄養素、水分量、食いつき(=食べた量/食事にかかる時間)を参照する。出力結果には、次回調理時のレシピ改善情報として、ペットの食いつきが良くなる香りつけ用の素材の量、種類の調整、調理方法の調整(表面を焙って香りを立たせる、など)、味の調整などが挙げられる。この結果は、次回のレシピ選択や調整に反映される。
【0057】
この場合の解決手段11としては、食いつきに基づいてレシピを調整する。このときの効果13は、自動化されているので、適した食事を提供できるといったことがあげられる。
【0058】
図9は、不安、負担要因事項(体調不良)についての解決手段を示す図である。図9の事例では、不安、負担要因事項10が「体調不良、原因がわからない、エビデンスもない」である場合に、入力13として健康指標データと食事状況データに着目する。健康指標データとして日々の体重変化、活動量、飲水量、トイレ回数、心拍数変化、体温変化、呼吸数変化を参照し、食事状況データとして食べた量、食べ残した食材、食べるスピード、食べる回数、食べるタイミングを参照する。
【0059】
この場合の解決手段11としては、医療診断の参考情報になる健康指標データ、食事状況データがログとして自動的に記録されるというものであり、これによる効果12として日々の健康状況・実態を把握できる。出力として診断に活用できるエビデンス情報が得られるが、これは図6内の解決手段を求める手順の中で利用される。
【0060】
図10は、不安、負担要因事項(ペットフード)についての解決手段を示す図である。図10の事例は、不安、負担要因事項10が「ペットフードメーカーが、開発するペットフードがペットにとって適切な食品であるかがわからない」である場合に、入力13として食事状況データとしてペットの品種ごとの食材の大きさ、固さ、温度の嗜好を参照する。
【0061】
この場合の解決手段11としては、ペットフード製造する際に、エビデンスになる食事状態データがログとして自動的に記録され、効果としてはペットフードを販売する際のプロモーションや製品開発のマーケティングに貢献する。この場合に、嗜好に関する情報として、そのペットが好むペットフードの商品名またはそのフードの組成に関する情報に基づいてレシピを提案するのがよい。
【0062】
図11は、不安、負担要因事項(保険)についての解決手段を示す図である。図11の事例では、不安、負担要因事項10が「保険などに活用できるエビデンスが少ない」である場合に、入力13として図5から図10の全ての入力を参照する。
【0063】
この場合の解決手段11としては、エビデンスになるペットに関連するデータを記録することであり、効果としては、精度が高い、よりお得な保険プランを設計できることがあげられる。
【0064】
図12は、本発明の情報提供システム1における全体処理の流れを示す図である。この全体流れを管理しているのが、図3の管理プログラムPr3である。ここでは、情報処理システム1に関わる関係者として上から順に、ユーザである飼い主20、ペット、ペット食事調理器CO、IoT家電21、ペット関連IoT装置22、CPUのプログラム処理内容に相当するプラットフォーム23、専門家群として、専門家(栄養管理士、獣医)24、レシピ作成業者25、ペットヘルスケア関連業者26、ペットフードメ―カー27、ペット保険会社28などを示している。
【0065】
図12の横軸には、情報処理システムに加入後の一連処理を時系列的に示している。大きな流れは、データ収集、分析段階(LITE)St1、データ収集、分析段階(FULL)St2、食事用意・データ蓄積段階St3、データ再分析と活用段階St4に区分できる。
【0066】
データ収集、分析段階(LITE)St1の処理ステップS10では飼い主20がペットの基本データ(年齢・品種・体重など)を入力し、処理ステップS12では専門家(栄養管理士、獣医)24がペットの健康データ、専門知識を入力し、処理ステップS13ではペットヘルスケア関連業者26がペットの健康支援データを入力する。ペットの基本データとペットの健康データ、専門知識はプラットフォーム23に送られ、処理ステップS11で基本データ分析がされ、処理ステップS14で体質、体調分析がされる。また健康データ、専門知識並びにペットの健康支援データから、レシピ作成業者25が処理ステップS15でレシピ作成する。レシピはプラットフォーム23に送られ、処理ステップS16では体質、体長分析結果を考慮してペットに適切な食材、レシピを推定する。
【0067】
ここで推定された適切なレシピ内容は、図2の下段に示すような情報を含むものであり、データベースDBに蓄積される。これらは粒の大きさ、固さ、温度、匂い、水分量、脂質量、食材、必要量、調理方法、栄養素、市販食との組み合わせなどの情報を含むものとされる。なお、レシピは複数提案し、飼い主20(ユーザ)が選択できるようにしてもよい。
【0068】
また、基本データと活動データに基づいて、ペットに与える食事のレシピを作成するに際して、適切なレシピは学習結果を反映したものであってもよく、或は基本データと活動データとレシピの間での経験則や、すでに知られた知見を参照して定めるものであってもよい。本発明でのこの手法を限定するものではない。
【0069】
データ収集、分析段階(FULL)St2では、飼い主20が処理ステップS20においてペットに必要な食材を投入する。またペットの飲食、活動、トイレ、睡眠などの情報が、ペット関連IoT装置22により処理ステップS24においてペットの体重変化、活動量、飲水量などの活動データとしてセンシングされ、プラットフォーム23の処理ステップS25での体質、体調分析に提供される。またIoT家電である冷蔵庫は処理ステップS23において家庭内の食材状況をセンシングしている。プラットフォーム23の処理ステップS26では、レシピや体質、体調分析結果や食材状況をもとにして、ペットに適切な食材・レシピをアップデートしていく。
【0070】
他方、データ収集、分析段階(FULL)St2では、処理ステップS20においてペットに必要な食材を投入するが、このときの調理はペット食事調理器COを用いることが推奨される。この時ペット食事調理器COは、処理ステップS16、S26の処理結果を反映して、処理ステップS21では大きさ、固さ、温かさの食事を自動で調理し、処理ステップS22では食事量、栄養素、水分量を調整した食事を提供するのがよい。
【0071】
食事用意・データ蓄積段階St3では、ペット関連Io装置22により処理ステップS31においてペットの食事状況をセンシングしており、これがプラットフォーム23の処理ステップS32でペットに関連するデータがエビデンスとして記録される。なお処理ステップS31での食事状況のセンシング結果は、処理ステップS33における日々の健康情報を確認として飼い主20に把握、反映される。
【0072】
データ再分析と活用段階St4では、プラットフォーム23の処理ステップS41でデータ分析により飼い主20にアドバイスを提供し、飼い主20は処理ステップS46で食と健康に関するアドバイスを受ける。またプラットフォーム23の処理ステップS42では、データ分析によりパートナーが活用できる情報を提供する。ここでのパートナーへの提供とは、専門家(栄養管理士、獣医)24における医療診断への活用(処理ステップS43)であり、ペットフードメ―カー27における製品開発への活用(処理ステップS44)であり、ペット保険会社28における保険プランへの活用(処理ステップS45)などである。
【0073】
なお図12において、処理ステップS25、S26、S21、S22、S43、S44、S45における処理が、それぞれ図5図6図7図8図9図10図11に関与する部分である。
【0074】
なお図12におけるプラットフォーム23の処理内容として、基本データおよび活動データに関する第1の変化量と、診断結果を成す健康パラメータに関する第2の変化量を算出するのがよく、これらを比較することで健康の度合いを示す指標とすることができる。第1の変化量は例えば1日毎の体重の増減、加齢、排泄回数・排泄量の増減であり、第2の変化量はたとえば血糖値の増減など、健康診断結果の各値の増減である。このため、演算部CPUの処理機能として第1の変化量と第2の変化量から、ペットの体調を推定する推定部を備えるのがよい。
【0075】
図13は、図12の全体流れの中から、主要部のみを取り出して整理した処理の流れを示している。図13の最初の処理ステップS31では、ペットの基本データを入力して処理ステップS32では基礎代謝量を推定する。処理ステップS33では、ペットの健康状況を入力し、また処理ステップS34ではIoT装置から活動データを取得する。これをもとに処理ステップS37ではペットの体質、体調を分析する。
【0076】
処理ステップS31では、処理ステップS37からの体質、体調の情報、処理ステップS35からの専門家の健康データ、専門知識の情報、処理ステップS36からのパートナーからの健康支援データ、処理ステップS43からのIoT装置の取得情報などから、ペットに適切な食材・レシピ・市販ペットフードの正しい組み合わせ、食事の提供方法とタイミングを推定する。
【0077】
処理ステップS39では、冷蔵庫内の食材在庫データを入手する。次いで処理ステップS40では、レシピに必要な食材と量、栄養素などの指標、嗜好に関する情報を推定してユーザに提示し、処理ステップS41ではユーザが、ペット食事調理器COに食材を投入し、処理ステップS42ではペット食事調理器COによる調理を行う。処理ステップS43では、IoT装置で食事行動と食事内容データを取得したか否かを確認し、確認した場合には処理ステップS38の処理に反映する。
【0078】
以上詳細に説明した本発明によれば、飼い主の「愛情を注ぎたい」という想いと、ペットにとっての「美味しく、健康に良い食」を両立できる。また単身小世帯の増加とともに家族の形が変化する中で、活気ある社会の維持に貢献できるというライフスタイル上の価値を提供することができる。またペットが健康である状態からの見守りができ、病気の有無に関わらず、体質と体調に合った食事を提供することができる。
【符号の説明】
【0079】
1:情報処理システム
2:情報処理装置
3:家庭内設備
20:ペットの飼い主
NW:インターネット
SC:ペット健康状態取得センサ
CA:カメラ
MT:携帯情報端末
TM:家庭内の通信機
T:通信部
CPU:演算部
DB:データベース
M:記憶装置
BUS:バス
図1
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図13