(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128608
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】輝度取得装置、輝度取得方法及び輝度取得プログラム
(51)【国際特許分類】
G01B 15/02 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
G01B15/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037668
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 知将
(72)【発明者】
【氏名】相浦 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】野中 裕道
(72)【発明者】
【氏名】白石 有司
【テーマコード(参考)】
2F067
【Fターム(参考)】
2F067AA27
2F067BB16
2F067EE04
2F067HH04
2F067JJ03
2F067KK06
2F067RR35
2F067RR41
2F067SS03
2F067SS13
(57)【要約】
【課題】厚さを測定する際の精度を向上させる輝度取得装置、輝度取得方法及び輝度取得プログラムを提供する。
【解決手段】輝度取得装置は、X線を複数の対象に照射して得られる明画像に関する明画像情報と、X線を複数の対象に照射して得られる暗画像に関する暗画像情報とを取得する第1取得部と、第1取得部によって取得した、複数の対象としての、背景、部材、及び、部材としての第1部材とその第1部材とは異なる第2部材とを積層させた評価対象の積層体それぞれの明画像情報及び暗画像情報に基づいて、基準領域の輝度と算出領域の輝度との相関を取得する第2取得部と、第2取得部で取得した、背景、部材及び積層体それぞれの相関に基づいて、明画像の基準領域の輝度と、暗画像の基準領域の輝度との間にある所定値の輝度を特定し、その特定した輝度に対応する背景、部材及び積層体それぞれの算出領域の輝度を取得する第3取得部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を複数の対象に照射して得られる明画像に関する明画像情報と、X線を前記複数の対象に照射して得られる前記明画像よりも輝度が暗い暗画像に関する暗画像情報とを取得する第1取得部と、
前記第1取得部によって取得した、前記複数の対象としての、背景、部材、及び、部材としての第1部材と当該第1部材とは異なる第2部材とを積層させた評価対象の積層体それぞれの明画像情報及び暗画像情報に基づいて、基準領域の輝度と算出領域の輝度との相関を取得する第2取得部と、
前記第2取得部で取得した、背景、部材及び積層体それぞれの相関に基づいて、明画像の基準領域の輝度と、暗画像の基準領域の輝度との間にある所定値の輝度を特定し、当該特定した輝度に対応する背景、部材及び積層体それぞれの算出領域の輝度を取得する第3取得部と、
を備える輝度取得装置。
【請求項2】
前記第2取得部は、前記複数の対象それぞれ毎において明画像情報及び暗画像情報のうち同一位置の基準領域と同一位置の算出領域とを特定し、明画像情報及び暗画像情報それぞれの基準領域の輝度と算出領域の輝度とを取得する
請求項1に記載の輝度取得装置。
【請求項3】
前記第2取得部は、前記複数の対象それぞれ毎において、明画像情報に基づく基準領域の輝度及び算出領域の輝度と、暗画像情報に基づく基準領域の輝度及び算出領域の輝度とに基づく相関を取得する
請求項2に記載の輝度取得装置。
【請求項4】
前記第3取得部は、前記複数の対象の明画像情報に基づく基準領域の輝度のうち最も低い輝度未満であり、前記複数の対象の暗画像情報に基づく基準領域の輝度のうち最も高い輝度よりも高い位置にある所定値の輝度を特定する
請求項3に記載の輝度取得装置。
【請求項5】
X線を照射する際の管電圧、管電流及び照射時間のうち少なくとも1つを変更可能なX線源と、
前記X線源から照射され、前記複数の対象それぞれを透過した透過X線を検出して、明画像情報及び暗画像情報を生成する検出部と、
を備える請求項4に記載の輝度取得装置。
【請求項6】
前記第3取得部で取得する、背景、部材及び積層体それぞれの算出領域の輝度に基づいて、積層体を構成する第2部材の厚さを算出する算出部を備える
請求項1~5のいずれか1項に記載の輝度取得装置。
【請求項7】
光を複数の対象に照射して得られる明画像に関する明画像情報と、光を前記複数の対象に照射して得られる前記明画像よりも輝度が暗い暗画像に関する暗画像情報とを取得する第1取得部と、
前記第1取得部によって取得した、前記複数の対象としての、背景、部材、及び、部材としての第1部材と当該第1部材とは異なる第2部材とを積層させた評価対象の積層体それぞれの明画像情報及び暗画像情報に基づいて、基準領域の輝度と算出領域の輝度との相関を取得する第2取得部と、
前記第2取得部で取得した、背景、部材及び積層体それぞれの相関に基づいて、明画像の基準領域の輝度と、暗画像の基準領域の輝度との間にある所定値の輝度を特定し、当該特定した輝度に対応する背景、部材及び積層体それぞれの算出領域の輝度を取得する第3取得部と、
を備える輝度取得装置。
【請求項8】
コンピュータが、
X線を複数の対象に照射して得られる明画像に関する明画像情報と、X線を前記複数の対象に照射して得られる前記明画像よりも輝度が暗い暗画像に関する暗画像情報とを取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップによって取得した、前記複数の対象としての、背景、部材、及び、部材としての第1部材と当該第1部材とは異なる第2部材とを積層させた評価対象の積層体それぞれの明画像情報及び暗画像情報に基づいて、基準領域の輝度と算出領域の輝度との相関を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップで取得した、背景、部材及び積層体それぞれの相関に基づいて、明画像の基準領域の輝度と、暗画像の基準領域の輝度との間にある所定値の輝度を特定し、当該特定した輝度に対応する背景、部材及び積層体それぞれの算出領域の輝度を取得する第3取得ステップと、
を実行する輝度取得方法。
【請求項9】
コンピュータに、
X線を複数の対象に照射して得られる明画像に関する明画像情報と、X線を前記複数の対象に照射して得られる前記明画像よりも輝度が暗い暗画像に関する暗画像情報とを取得する第1取得機能と、
前記第1取得機能によって取得した、前記複数の対象としての、背景、部材、及び、部材としての第1部材と当該第1部材とは異なる第2部材とを積層させた評価対象の積層体それぞれの明画像情報及び暗画像情報に基づいて、基準領域の輝度と算出領域の輝度との相関を取得する第2取得機能と、
前記第2取得機能で取得した、背景、部材及び積層体それぞれの相関に基づいて、明画像の基準領域の輝度と、暗画像の基準領域の輝度との間にある所定値の輝度を特定し、当該特定した輝度に対応する背景、部材及び積層体それぞれの算出領域の輝度を取得する第3取得機能と、
を実現させる輝度取得プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輝度取得装置、輝度取得方法及び輝度取得プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線を利用した層厚を測定する装置がある。特許文献1に記載の層厚測定装置では、層厚測定について所定の精度を得るために、測定対象の表面画像における画像ポイントの明るさの変化を得る測定を実行し、その明るさの差の最大値に基づいて測定対象の位置を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、X線を用いた厚さの測定では、積層体を透過したX線(透過X線)を利用する場合がある。この場合、透過X線の輝度が画像間で変動する可能性があり、積層体を構成する部材の厚さが正確に得られないことがあった。このような透過X線を用いた厚さ測定では、特許文献1に記載のような厚さの精度向上方法を利用できない。
【0005】
本開示は、厚さを測定する際の精度を向上させる輝度取得装置、輝度取得方法及び輝度取得プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の輝度取得装置は、X線を複数の対象に照射して得られる明画像に関する明画像情報と、X線を複数の対象に照射して得られる明画像よりも輝度が暗い暗画像に関する暗画像情報とを取得する第1取得部と、第1取得部によって取得した、複数の対象としての、背景、部材、及び、部材としての第1部材とその第1部材とは異なる第2部材とを積層させた評価対象の積層体それぞれの明画像情報及び暗画像情報に基づいて、基準領域の輝度と算出領域の輝度との相関を取得する第2取得部と、第2取得部で取得した、背景、部材及び積層体それぞれの相関に基づいて、明画像の基準領域の輝度と、暗画像の基準領域の輝度との間にある所定値の輝度を特定し、その特定した輝度に対応する背景、部材及び積層体それぞれの算出領域の輝度を取得する第3取得部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、厚さを測定する際の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る輝度取得装置について説明するための図である。
【
図2】一実施形態に係る輝度取得装置について説明するためのブロック図である。
【
図3】明画像及び暗画像それぞれに対応する基準領域及び算出領域の一例について説明するための図である。
【
図4】基準領域の輝度と算出領域の輝度との相関の一例について説明するための図である。
【
図5】一実施形態に係る輝度取得方法について説明するためのフローチャートである。
【
図6】照射X線の強度を変更する場合の、基準領域の輝度と算出領域の輝度との関係の一例を示す図である。(A)は管電圧を変更する場合の輝度の関係を示し、(B)は管電流を変更する場合の輝度の関係を示し、(C)はX線の照射時間を変更する場合の輝度の関係を示す。
【
図7】算出した部材の厚さに関する誤差の一例を示す図であり、各条件に応じた算出値と正寸との誤差を示す。(A)が本実施形態の手法を用いた場合の誤差を示し、(B)が本実施形態の手法を用いない従来の場合の誤差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について説明する。
【0010】
[輝度取得装置1の概要]
まず、一実施形態に係る輝度取得装置1の概要について説明する。
図1は、一実施形態に係る輝度取得装置1について説明するための図である。
【0011】
輝度取得装置1は、例えば、複数の対象(例えば、積層体20等)それぞれが記録される画像情報に基づいて所定領域の輝度を取得し、それらの輝度に基づいて、複数の対象の間で一定と推定される輝度を取得する。輝度取得装置1は、例えば、複数の対象の間で一定と推定される輝度に基づいて、積層体20を構成する一部の部材(例えば、第2部材22等)の厚さを取得する。
【0012】
具体的には、上述した輝度取得装置1は、例えば、X線源2、X線検出部(検出部)3及び処理部10を備えてもよい。
【0013】
X線源2は、例えば、対象に対して照射するX線を発生させるX線発生装置である。X線源2は、例えば、固定陽極X線管を備える。X線管の陽極には、例えば、ターゲットとして、タングステン、モリブデン等の金属が使用される。
【0014】
X線源2は、X線を照射する際の管電圧、管電流及び照射時間のうち少なくとも1つを変更可能であってもよい。すなわち、X線源2は、管電圧、管電流及び照射時間のうち少なくとも1つが変更されることにより、照射X線の強度又は照射時間を変更する。
X線源2は、例えば、照射X線の強度を相対的に強くし、又は、照射時間を相対的に長くした、第1X線を対象に照射する。また、X線源2は、照射X線の強度を相対的に弱くし、又は、照射時間を相対的に短くした、第2X線を同一の対象に照射する。
ここで一例として、第1X線の強度をI01、第1X線の照射時間をt01、第2X線の強度をI02、第2X線の照射時間をt02とすると、I01>I02、及び、t01>t02の関係が有ってもよい。
【0015】
検出部3は、例えば、X線源2から照射された後、対象を透過したX線を検出する。検出部3は、例えば、対象を透過した透過X線の強度(一例として、線量及び照射線量等)を検出する。
検出部3は、X線源2から照射され、複数の対象それぞれを透過した透過X線を検出して、明画像情報及び暗画像情報を生成してもよい。すなわち、検出部3は、例えば、X線源2から第1X線が対象に照射された場合、対象を透過したX線に基づいて明画像情報を生成する。また、検出部3は、例えば、X線源2から第2X線が対象(明画像情報を取得する際の対象と同一の対象)に照射された場合、対象を透過したX線に基づいて暗画像情報を生成する。明画像情報及び暗画像情報(画像情報)は、例えば、対象の輝度吸収係数に応じた、その対象の画像情報である。輝度吸収係数については後述する。明画像は、例えば、透過X線の輝度が相対的に明るい画像等であってもよい。暗画像は、例えば、透過X線の輝度が相対的に暗い画像等であってもよい。
【0016】
ここで、「対象」は、「背景」、「部材」及び「積層体」等であってもよい。
「背景」は、部材及び積層体等が無い画像上の領域等であってもよい。
「積層体」は、厚さの測定対象となる部材(例えば、第2部材22等)を含む構成等であってもよい。「積層体」は、評価対象の積層体と言ってもよい。積層体20は、例えば、2つの部材(第1部材21及び第2部材22)を積層させたものであってもよく、3つ以上の部材(第1部材21、第2部材及び第3部材23…)を積層させたものであってもよい。
【0017】
図1に例示する積層体20において、「対象」の一例としての「部材」は、例えば、厚さ測定の対象となる第2部材22のみであってもよく、又は、第2部材22に加えて第1部材21及び第3部材23の少なくとも一方を含むものであってもよい。画像情報を生成する際に利用される「部材」には、積層体20を形成する前の部品段階の部材等が用いられてもよい。
積層体20の具体的な一例として、厚さ測定の対象となる第2部材22は接着剤等であり、第1部材21及び第3部材23は金属部材等であってもよい。すなわち、積層体20は、例えば、複数の金属部材(第1部材21及び第3部材23)と、金属部材を接合する接着剤(第2部材22)とが、第1部材21、第2部材22及び第3部材23の順に積層された構成等であってもよい。
【0018】
処理部10は、例えば、X線源2及びX線検出部3それぞれとの間で情報の送受信を行ってもよい。処理部10は、例えば、サーバ、デスクトップ及びラップトップ等のコンピュータ(情報処理装置)等であってもよい。
【0019】
処理部10は、明画像情報及び暗画像情報を取得する。処理部10は、明画像情報及び暗画像情報それぞれに基準領域301及び算出領域302を設定し、2つの画像情報それぞれから基準領域301の輝度と算出領域302の輝度と取得する(
図3参照)。この場合、処理部10は、検出部3で検出した透過X線の強度を輝度に変換してもよい。この場合、透過X線の強度を透過X線の輝度としてもよい。
基準領域301は、例えば、対象が写らない領域であってもよい。
算出領域302は、例えば、積層体が写る領域、その積層体を構成する複数の部材それぞれが独立して写る領域、並びに、部材及び積層体が写らない背景であってもよい。
【0020】
処理部10は、明画像情報に基づく基準領域301の輝度及び算出領域302の輝度と、暗画像情報に基づく基準領域301の輝度及び算出領域302の輝度とのそれぞれの相関を取得する。この場合、処理部10は、基準領域301の輝度と算出領域302の輝度との関係において、上述したように取得した算出領域302の輝度をプロットし、明画像情報と暗画像情報との間で輝度に関する相関を取得してもよい(
図4参照)。すなわち、処理部10は、例えば、基準領域301の輝度と算出領域302の輝度との関係において、対象として、背景、部材及び積層体それぞれに対応する、明画像の輝度と暗画像の輝度との相関を取得する。
【0021】
処理部10は、上述した相関に基づいて、明画像の基準領域301の輝度A
Hと、暗画像の基準領域301の輝度A
Lとの間にある所定値A
1の輝度を特定する(
図4参照)。
なお、ここで、明画像における、複数の対象(背景、部材及び積層体)それぞれの輝度はバラツキが有ると考えられる。同様に、暗画像における、複数の対象(背景、部材及び積層体)それぞれの輝度はバラツキが有ると考えられる。そこで、処理部10は、所定値A
1の輝度を特定することにより、基準領域301の輝度が一定の状態を推定する。
【0022】
処理部10は、相関を参照し、特定した基準領域301の所定値A1の輝度に対応する背景、部材及び積層体それぞれの算出領域302の輝度を取得する。処理部10は、算出領域302の各輝度に基づいて、第2部材の厚さを取得する。
【0023】
[輝度取得装置1の詳細]
次に、一実施形態に係る輝度取得装置1について詳細に説明する。ここでは特に、処理部10について詳細に説明する。
図2は、一実施形態に係る輝度取得装置1(処理部10)について説明するためのブロック図である。
図3は、明画像及び暗画像それぞれに対応する基準領域301及び算出領域302の一例について説明するための図である。
図4は、基準領域301の輝度と算出領域302の輝度との相関の一例について説明するための図である。
【0024】
輝度取得装置1(処理部10)は、例えば、通信部121、記憶部122、表示部123及び制御部111等を備える。通信部121、記憶部122及び表示部123は、出力部の一実施形態であってもよい。制御部111は、例えば、X線源制御部112、第1取得部113、第2取得部114、第3取得部115、算出部116及び出力制御部117等を備える。制御部111は、例えば、輝度取得装置1の演算処理装置等によって構成されてもよい。制御部111(例えば、演算処理装置等)は、例えば、記憶部122等に記憶される各種プログラム等を適宜読み出して実行することにより、各部(X線源制御部112、第1取得部113、第2取得部114、第3取得部115、算出部116及び出力制御部117等)の機能を実現してもよい。
【0025】
通信部121は、例えば、輝度取得装置1の外部にある装置(外部装置)等との間で種々の情報の送受信が可能な通信インターフェースである。通信部121は、例えば、X線源2及び検出部3と通信を行ってもよい。また、通信部121は、例えば、サーバ及びユーザ端末(図示せず)等と通信を行ってもよい。ユーザ端末は、例えば、輝度取得装置1のユーザが使用する端末であってもよく、デスクトップ、ラップトップ、タブレット及びスマートフォン等であってもよい。
【0026】
記憶部122は、例えば、種々の情報及びプログラムを記憶してもよい。記憶部122の一例は、メモリ、ソリッドステートドライブ及びハードディスクドライブ等であってもよい。なお、記憶部122は、例えば、クラウド上にある記憶領域及びサーバ等であってもよい。
【0027】
表示部123は、例えば、種々の文字、記号及び画像等を表示することが可能なディスプレイである。
【0028】
X線源制御部112は、例えば、通信部121を介して、X線源2を制御する。X線源制御部112は、例えば、輝度取得装置1の入力部(図示せず)等を介して入力された情報に基づいて、X線を照射する際の管電圧、管電流及び照射時間のうち少なくとも1つを変更するようX線源2を制御してもよい。入力部は、例えば、キーボード及びマウス等であってもよい。
【0029】
X線源2は、例えば、X線源制御部112の制御に基づいて、対象に向けてX線を照射する。
検出部3は、例えば、対象を透過したX線(透過X線)の強度を検出して、画像情報を生成する。この場合、検出部3は、例えば、X線源2から照射されるX線の強度及び照射時間のうち少なくとも一方に応じた、明画像情報及び暗画像情報を生成する。
明画像情報及び暗画像情報(画像情報)は、例えば、対象の輝度吸収係数に応じた、その対象の画像情報である。輝度吸収係数については後述する。
【0030】
明画像情報は、例えば、X線源2から第1X線が対象に照射された場合、対象を透過したX線に基づいて検出部3によって生成される。
暗画像情報は、例えば、X線源2から第2X線が対象に照射された場合、対象を透過したX線に基づいて検出部3によって生成される。
ここで一例として、第1X線の強度をI01、第1X線の照射時間をt01、第2X線の強度をI02、第2X線の照射時間をt02とすると、I01>I02、及び、t01>t02の関係が有ってもよい。第1X線及び第2X線の強度は、X線源2の管電流及び管電圧を調整することにより設定される。
【0031】
対象は、例えば、背景、部材及び積層体であってもよい。背景は、例えば、部材及び積層体等が無い画像上の領域である。部材は、例えば、積層体を構成する複数の部材、又は、厚さの測定対象となる部材の画像上の領域である。積層体200(
図3参照)(
図1に例示する場合には積層体20)は、例えば、厚さの測定対象となる部材(第2部材202:
図1に例示する場合には第2部材22)を含む複数の部材の画像上の領域である。換言すると、積層体200は、評価対象(厚さ測定の対象)となる部材(第2部材202)を含む、評価対象の積層体200と言うことができる。ここで一例として、積層体200は、例えば、2つの部材(第1部材201(
図1に例示する場合には第1部材21)及び第2部材202)を積層させたものであってもよく、3つ以上の部材を積層させたものであってもよい。
【0032】
第1取得部113は、例えば、通信部121を介して、検出部3から画像情報(例えば、明画像情報及び暗画像情報等)を取得する。すなわち、第1取得部113は、X線(例えば、第1X線等)を複数の対象に照射して得られる明画像に関する明画像情報と、X線(例えば、第2X線等)を複数の対象に照射して得られる明画像よりも輝度が暗い暗画像に関する暗画像情報とを取得する。
【0033】
第2取得部114は、複数の対象それぞれ毎において、明画像情報に基づく基準領域301の輝度及び算出領域302の輝度と、暗画像情報に基づく基準領域301の輝度及び算出領域302の輝度とに基づく相関を取得してもよい。すなわち、第2取得部114は、第1取得部113によって取得した、複数の対象としての、「背景」、「部材」、及び、部材(第1部材201とその第1部材201とは異なる第2部材202と)を積層させた評価対象の「積層体」200それぞれ毎の明画像情報及び暗画像情報に基づいて、基準領域301の輝度と算出領域302の輝度との相関を取得する。
【0034】
基準領域301は、例えば、対象が写らない領域であってもよい(
図3参照)。
図3に一例を示す場合、基準領域301は、背景、部材及び積層体それぞれの画像(明画像及び暗画像)で同一(又は、略同一)の領域(例えば、角部)等であってもよい。
【0035】
算出領域302は、例えば、部材(第1部材201及び第2部材202)のみ及び積層体200が写る領域、並びに、対象が背景の場合には、部材201,202及び積層体200が写る領域と同等の領域であってもよい(
図3参照)。
図3に一例を示す場合、算出領域302は、背景、部材及び積層体それぞれの画像(明画像及び暗画像)で同一(又は、略同一)の領域(例えば、中央部)等の、輝度が相対的に高い領域であってもよい。
【0036】
第2取得部114は、例えば、基準領域301の輝度と算出領域302の輝度との関係に、明画像情報及び暗画像情報から取得される複数の対象それぞれの算出領域302の輝度をプロットし、明画像情報と暗画像情報との間で輝度に関する相関を取得してもよい(
図4参照)。すなわち、第2取得部114は、例えば、基準領域301の輝度と算出領域302の輝度との関係において、対象として、背景、部材及び積層体それぞれに対応する、明画像の輝度と暗画像の輝度との相関を取得する。
【0037】
なお、輝度取得装置1は、例えば、明画像情報及び暗画像情報を得る場合、対象を移動させずに、X線源2から照射されるX線の強度及び照射時間のうち少なくとも一方を変更して、連続して得ることが可能である。
このため、第2取得部114は、相関を取得する前に、複数の対象それぞれ毎において明画像情報及び暗画像情報のうち同一位置の基準領域301と同一位置の算出領域302とを特定し、明画像情報及び暗画像情報それぞれの基準領域301の輝度と算出領域302の輝度とを取得してもよい。
一例として、第2取得部114は、明画像情報から輝度を得る際の基準領域301及び複数の対象それぞれの算出領域302と、暗画像情報から輝度を得る際の基準領域301及び複数の対象それぞれの算出領域302とを対応させる(又は、同一若しくは略同一とする)ことにより、対象の位置等に応じた輝度の変動を抑制することが可能になる。
【0038】
第3取得部115は、第2取得部114で取得した、背景、部材及び積層体それぞれの相関に基づいて、明画像の基準領域301の輝度A
Hと、暗画像の基準領域301の輝度A
Lとの間にある所定値A
1(
図4参照)の輝度を特定し、その特定した輝度に対応する背景、部材及び積層体それぞれの算出領域302の輝度を取得する。
すなわち、第3取得部115は、例えば、第2取得部114で取得した上述した相関に基づいて、明画像と基準領域301の輝度A
Hと、暗画像の基準領域301の輝度A
Lとの間にある所定値A
1の輝度を特定する。この場合、第3取得部115は、複数の対象の明画像情報に基づく基準領域301の輝度A
Hのうち最も低い輝度未満であり、複数の対象の暗画像情報に基づく基準領域301の輝度A
Lのうち最も高い輝度よりも高い位置にある所定値A
1の輝度を特定してもよい。換言すると、第3取得部115は、例えば、複数の対象の明画像情報に基づく基準領域301の輝度A
H(複数の対象の輝度グループ(明画像))と、複数の対象の暗画像情報に基づく基準領域301の輝度A
L(複数の対象の輝度グループ(暗画像))との間にある任意の値の輝度(所定値A
1の輝度)を特定してもよい。
第3取得部115は、例えば、第2取得部114で取得した上述した相関に基づいて、その特定した輝度(所定値A
1の輝度)に対応する複数の対象(
図4に示す場合には、背景(C
0)、部材(μ
A)及び積層体(評価対象(C)))それぞれの算出領域302の輝度を取得する。
【0039】
算出部116は、上述したように取得した算出領域302の輝度に基づいて、第1部材201の厚さを取得する。すなわち、算出部116は、第3取得部115で取得する、背景、部材及び積層体それぞれの算出領域302の輝度に基づいて、積層体を構成する第2部材202の厚さを算出してもよい。
【0040】
ここで、輝度吸収係数μAは、部材の厚さtに応じて変化し、下式(1)に一例を示すような相関が有ることが発明者の実験等によって判明した。なお、aは係数、bは定数である。式(1)は、部材の厚さtと輝度吸収係数μAとの関係を示すものであり、換言すると、部材の輝度吸収係数の厚さ依存性を示すものである。
【0041】
【0042】
また、X線吸収係数μと、X線の照射強度I0と、部材の厚さtと、部材を透過したX線の強度(透過X線強度)Iとは、下式(2)に示す関係がある。これより、厚さtについて導くと、式(3)が成立する。式中の「ln」は自然対数である。なお、X線吸収係数μは輝度吸収係数μAに変換可能である(式(4)参照)。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
式(4)中、照射X線強度I0は背景の輝度C0、透過X線強度Iは輝度Cとして置換して、μAは輝度吸収係数、tは厚さである。より詳しく説明すると、X線吸収係数によって吸収されるX線の強度と、輝度吸収係数によって減弱される輝度は等価である。そこで、X線強度のI及びI0を、C及びC0に置き換えることによりX線吸収係数を輝度吸収係数に読み替えることが可能である。また、撮影環境では連続したエネルギのスペクトルが生じる。このため、輝度吸収係数には板厚依存性がある。これに対し、エネルギ毎に固有の値を有するX線吸収係数は板厚依存性との関連を有さない。
【0047】
前出の式(2)に倣って、2層構造の関係式を構築すると、式(5)が成立する。そして、式(4)と同様に、第2部材202の厚さt2について変形することができる。すなわち、2層構造(第1部材201及び第2部材202)の積層体200において、第2部材202の厚さt2を式(6)により得ることができる。
【0048】
【0049】
【0050】
同様に、3層構造(第1部材201、第2部材202及び第3部材(
図1に例示する場合には第3部材23))の積層体200において、第2部材202の厚さt
2を式(7)により得ることができる。
【0051】
【0052】
4層構造以上の積層体200についても、式(4)、式(6)及び式(7)と同様に、第2部材202の厚さt2を得ることができる。
【0053】
ここで算出部116は、例えば、背景の輝度C0として第3取得部115で取得する背景の算出領域302の輝度を利用し、透過X線の輝度Cとして第3取得部115で取得する積層体200の算出領域302の輝度を利用して得ることができる。また、算出部116は、例えば、輝度吸収係数μA1,μA2,μA3として第3取得部115で取得する部材(第1部材201、第2部材202及び第3部材)の算出領域302の輝度を利用して得ることができる。また、厚さ測定とならない部材(第1部材201及び第3部材)の厚さt1,t3は既知である。
【0054】
出力制御部117は、算出部116によって算出された第2部材202の厚さを出力するよう出力部を制御してもよい。出力部は、例えば、通信部121、記憶部122及び表示部123等であってもよい。
すなわち、出力制御部117は、例えば、第2部材202の厚さに関する情報を外部装置に送信するよう通信部121を制御してもよい。ここで、外部装置は、サーバ及びユーザ端末(図示せず)等であってもよい。
出力制御部117は、例えば、第2部材202の厚さに関する情報を記憶するよう記憶部122を制御してもよい。
出力制御部117は、例えば、第2部材202の厚さを表示するよう表示部123を制御してもよい。
【0055】
[輝度取得方法]
次に、一実施形態に係る輝度取得方法について説明する。
図5は、一実施形態に係る輝度取得方法について説明するためのフローチャートである。
【0056】
ステップST101において、第1取得部113は、X線を複数の対象に照射して得られる明画像情報及び暗画像情報を取得する。複数の対象は、例えば、「背景」、「部材」、及び、複数の部材を積層させた評価対象の「積層体」(積層体200)であってもよい。「部材」は、例えば、少なくとも厚さを測定する対象となる部材(ここでは第2部材202等)であってもよく、又は、「積層体」(積層体200)を構成する全ての部材(ここでは第1部材201、第2部材202…等)であってもよい。
【0057】
ステップST102において、第2取得部114は、複数の対象それぞれ毎において、明画像情報に基づく基準領域301の輝度及び算出領域302の輝度と、暗画像情報に基づく基準領域301の輝度及び算出領域302の輝度とに基づく相関を取得してもよい。すなわち、第2取得部114は、ステップST101で取得した明画像情報及び暗画像情報に基づいて、基準領域301の輝度と算出領域302の輝度との相関を取得する。
第2取得部114は、相関を取得する前に、複数の対象それぞれ毎において明画像情報及び暗画像情報のうち同一位置の基準領域301と同一位置の算出領域302とを特定し、明画像情報及び暗画像情報それぞれの基準領域301の輝度と算出領域302の輝度とを取得してもよい。
【0058】
ステップST103において、第3取得部115は、ステップST102で取得した、「背景」、「部材」及び「積層体」それぞれの相関に基づいて、明画像の基準領域301の輝度AHと、暗画像の基準領域301の輝度ALとの間にある所定値A1の輝度を特定し、その特定した輝度(所定値A1の輝度)に対応する「背景」、「部材」及び「積層体」それぞれの算出領域302の輝度を取得する。
この場合、第3取得部115は、複数の対象の明画像情報に基づく基準領域301の輝度AHのうち最も低い輝度未満であり、複数の対象の暗画像情報に基づく基準領域301の輝度ALのうち最も高い輝度よりも高い位置にある所定値A1の輝度を特定してもよい。
【0059】
ステップST104において、算出部116は、ステップST103で取得する、「背景」、「部材」及び「積層体」それぞれの算出領域302の輝度に基づいて、積層体200を構成する第2部材202の厚さを算出してもよい。第2部材202は、厚さの測定対象となる部材である。
【0060】
なお、ステップST101において「部材」として第2部材202のみの明画像情報及び暗画像情報を得ている場合には、積層体200を構成する部材のうち第2部材202を除く他の部材の輝度(輝度吸収係数)は予め設定された既知の値を用いてもよい。第2部材202の輝度吸収係数については、ステップST102及びステップST103の処理により得られる「部材」(第2部材202)の輝度に基づいて輝度吸収係数を得てもよい。
また、ステップST101において「部材」として積層体200を構成する部材の全ての明画像情報及び暗画像情報を得ている場合には、ステップST102及びステップST103の処理により得られる「部材」(全ての部材それぞれ)の輝度に基づいて輝度吸収係数を得てもよい。
【0061】
ステップST104の処理の後、出力制御部117は、ステップST104で算出された第2部材202の厚さを出力するよう出力部を制御してもよい。
【0062】
[実験結果]
次に、上述した実施形態の実験結果について説明する。
すなわち、上述した輝度取得装置1によって取得した厚さの精度(誤差)と、本開示の手法(輝度取得手法)を用いないで厚さを測定した際(従来手法)の精度(誤差)との比較について説明する。
【0063】
図6は、照射X線の強度を変更する場合の、基準領域の輝度と算出領域の輝度との関係の一例を示す図である。
図6(A)は管電圧を変更する場合の輝度の関係を示し、
図6(B)は管電流を変更する場合の輝度の関係を示し、
図6(C)はX線の照射時間を変更する場合の輝度の関係を示す。
図7は、算出した部材の厚さに関する誤差の一例を示す図である。ずなわち、
図7は、
図6に例示するような各条件に応じた、算出値と正寸との誤差を示す。
図7(A)が本実施形態の手法を用いた場合の誤差を示し、
図7(B)が本実施形態の手法を用いない従来の場合の誤差を示す。
【0064】
図6(A)に例示するように、管電圧を変更した条件における基準領域の輝度と算出領域の輝度との関係では、管電圧の増加に応じて基準領域の輝度及び算出領域の輝度がより高くなる。
図6(B)に例示するように、管電流を変更した条件における基準領域の輝度と算出領域の輝度との関係では、管電流の増加に応じて基準領域の輝度及び算出領域の輝度がより高くなる。
図6(C)に例示するように、照射時間を変更した条件における基準領域の輝度と算出領域の輝度との関係では、照射時間の増加に応じて基準領域の輝度及び算出領域の輝度がより高くなる。
【0065】
図7(A)に例示するように、管電圧、管電流及び照射時間いずれの条件を振った場合においても、従来手法である補正なしの場合(
図7(B))に比べて誤差が抑えられており、本実施形態では輝度によるバラツキが相対的に少ないという効果がみられた。なお、tは、例えば、t検定に基づいて得られてもよい。
一方、
図7(B)に示す従来手法(輝度バラツキの補正なし)の場合では、条件による一定の大小関係はみられないが、これは、撮影画像間の輝度のバラツキの影響が大きく、偶然大小関係が優位になる場合や不利になる場合があるためと考えられる。
【0066】
[機能及び回路について]
次に、上述した輝度取得装置1の機能及び回路について説明する。
輝度取得装置1の各部は、コンピュータの演算処理装置等の機能として実現されてもよい。すなわち、輝度取得装置1のX線源制御部112、第1取得部113、第2取得部114、第3取得部115、算出部116及び出力制御部117(制御部111)は、コンピュータの演算処理装置等によるX線源制御機能、第1取得機能、第2取得機能、第3取得機能、算出機能及び出力制御機能(制御機能)としてそれぞれ実現されてもよい。
輝度取得プログラムは、上述した各機能をコンピュータに実現させることができる。輝度取得プログラムは、例えば、メモリ、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ又は光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体等に記録されていてもよい。記録媒体は、例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体と言い換えてもよい。
また、上述したように、輝度取得装置1の各部は、コンピュータの演算処理装置等で実現されてもよい。その演算処理装置等は、例えば、集積回路等によって構成される。このため、輝度取得装置1の各部は、演算処理装置等を構成する回路として実現されてもよい。すなわち、輝度取得装置1のX線源制御部112、第1取得部113、第2取得部114、第3取得部115、算出部116及び出力制御部117(制御部111)は、コンピュータの演算処理装置等を構成するX線源制御回路、第1取得回路、第2取得回路、第3取得回路、算出回路及び出力制御回路(制御回路)として実現されてもよい。
また、輝度取得装置1の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、演算処理装置等の機能を含む通信機能、記憶機能及び表示機能(出力機能)として実現されもよい。また、輝度取得装置1の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、集積回路等によって構成されることにより通信回路、記憶回路及び表示回路(出力回路)として実現されてもよい。また、輝度取得装置1の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、複数のデバイスによって構成されることにより通信装置、記憶装置及び表示装置(出力装置)として構成されてもよい。
【0067】
輝度取得装置1は、上述した複数の各部のうち1又は任意の複数を組み合わせることが可能である。
本開示では、「情報」の文言を使用しているが、「情報」の文言は「データ」と言い換えることができ、「データ」の文言は「情報」と言い換えることができる。
【0068】
[変形例]
上述した実施形態では、X線を利用した装置について説明した。しかしながら、本開示の装置等では、X線を利用するばかりでなく、種々の波長(波長域)の光及び放射線(電磁波)を利用してもよい。この場合、装置等は、例えば、赤外光、可視光及び紫外光等を利用して、輝度を取得し、また厚さを測定してもよい。種々の波長(波長域)を利用して輝度を取得し、また厚さを測定する部材の一例は、半導体等を始めとする種々の材質からなる部材であってもよい。
【0069】
[本実施形態の態様及び効果]
次に、本実施形態の一態様及び各態様が奏する効果について説明する。なお、以下に記載する各態様は出願時の一例であり、本実施形態は以下に記載する態様に限定されることはない。すなわち、本実施形態は以下に記載する各態様に限定されることはなく、上述した各部を適宜組み合わせて実現されてもよい。また、下位の態様は、それよりも上位の態様のいずれでも引用できる場合がある。
また、以下に記載する効果は一例であり、各態様が奏する効果は以下に記載するものに限定されることはない。また、各態様は、例えば、以下に記載する少なくとも1つの効果を奏してもよい。
【0070】
(態様1)
一態様の輝度取得装置は、X線を複数の対象に照射して得られる明画像に関する明画像情報と、X線を複数の対象に照射して得られる明画像よりも輝度が暗い暗画像に関する暗画像情報とを取得する第1取得部と、第1取得部によって取得した、複数の対象としての、背景、部材、及び、部材としての第1部材とその第1部材とは異なる第2部材とを積層させた評価対象の積層体それぞれの明画像情報及び暗画像情報に基づいて、基準領域の輝度と算出領域の輝度との相関を取得する第2取得部と、第2取得部で取得した、背景、部材及び積層体それぞれの相関に基づいて、明画像の基準領域の輝度と、暗画像の基準領域の輝度との間にある所定値の輝度を特定し、その特定した輝度に対応する背景、部材及び積層体それぞれの算出領域の輝度を取得する第3取得部と、を備える。
すなわち、輝度取得装置は、相関に基づいて、明画像から取得される輝度と、暗画像から取得される輝度との間の輝度(基準領域における所定値A1の輝度)を取得し、その所定値A1の輝度に対応する複数の対象それぞれの算出領域の輝度を推定する。これにより、輝度取得装置は、複数の対象の間での算出領域の輝度のバラツキを抑制することができる。輝度取得装置は、さらに、取得した算出領域の輝度に基づいて部材の厚さを取得するので、輝度のバラツキを抑制できることに応じて、厚さを測定する際の精度を向上させることができる。
【0071】
(態様2)
一態様の輝度取得装置では、第2取得部は、複数の対象それぞれ毎において明画像情報及び暗画像情報のうち同一位置の基準領域と同一位置の算出領域とを特定し、明画像情報及び暗画像情報それぞれの基準領域の輝度と算出領域の輝度とを取得することとしてもよい。
これにより、輝度取得装置は、基準領域及び算出領域それぞれの輝度を利用することにより、部材の厚さを得る際の輝度のバラツキを抑制することができる。
ここで、検出部で検出される明画像及び暗画像では、画像の中央部が相対的に明るく、その画像の周辺部が相対的に暗くなる可能性がある。これは、例えば、受光系の周辺減光及び周辺光量落ち等と呼ばれる現象と同様の現象と考えられる。又は、X線源を点光源と考え、相対的により大きな対象を透過したX線を検出する場合、X線源に対向する中央部では相対的に明るく、周辺部では相対的に暗くなる可能性がある。そこで、輝度取得装置は、基準領域及び算出領域それぞれの画像上の位置を、明画像と暗画像との間(及び、複数の対象の間)で同一(略同一)とすることにより、画像上の輝度のバラツキを抑制することができ、厚さを測定する際の精度をより向上させることができる。
【0072】
(態様3)
一態様の輝度取得装置では、第2取得部は、複数の対象それぞれ毎において、明画像情報に基づく基準領域の輝度及び算出領域の輝度と、暗画像情報に基づく基準領域の輝度及び算出領域の輝度とに基づく相関を取得することとしてもよい。
これにより、輝度取得装置は、明画像情報と暗画像情報との輝度の相関を利用することにより、部材の厚みを得る際の輝度のバラツキを抑制することができる。
【0073】
(態様4)
一態様の輝度取得装置では、第3取得部は、複数の対象の明画像情報に基づく基準領域の輝度のうち最も低い輝度未満であり、複数の対象の暗画像情報に基づく基準領域の輝度のうち最も高い輝度よりも高い位置にある所定値の輝度を特定することとしてもよい。
これにより、輝度取得装置は、部材の厚みを得る際に適切な輝度を特定することができる。
【0074】
(態様5)
一態様の輝度取得装置は、X線を照射する際の管電圧、管電流及び照射時間のうち少なくとも1つを変更可能なX線源と、X線源から照射され、複数の対象それぞれを透過した透過X線を検出して、明画像情報及び暗画像情報を生成する検出部と、を備える。
輝度取得装置は、例えば、管電圧及び管電流の少なくとも一方を変更することにより、照射X線の強度を変更できる。よって、輝度取得装置は、照射X線の強度を変更することにより、明画像情報及び暗画像情報を得ることができる。
また、輝度取得装置は、例えば、照射時間を変更することにより、明画像情報及び暗画像情報を得ることができる。
よって、輝度取得装置は、明画像情報及び暗画像情報を利用することにより、厚さを測定する際の精度を向上させることができる。
【0075】
(態様6)
一態様の輝度取得装置は、第3取得部で取得する、背景、部材及び積層体それぞれの算出領域の輝度に基づいて、積層体を構成する第2部材の厚さを算出する算出部を備えることとしてもよい。
これにより、輝度取得装置は、厚さを測定する際の精度を向上させることができる。
【0076】
(態様7)
一態様の輝度取得装置は、光を複数の対象に照射して得られる明画像に関する明画像情報と、光を複数の対象に照射して得られる明画像よりも輝度が暗い暗画像に関する暗画像情報とを取得する第1取得部と、第1取得部によって取得した、複数の対象としての、背景、部材、及び、部材としての第1部材とその第1部材とは異なる第2部材とを積層させた評価対象の積層体それぞれの明画像情報及び暗画像情報に基づいて、基準領域の輝度と算出領域の輝度との相関を取得する第2取得部と、第2取得部で取得した、背景、部材及び積層体それぞれの相関に基づいて、明画像の基準領域の輝度と、暗画像の基準領域の輝度との間にある所定値の輝度を特定し、その特定した輝度に対応する背景、部材及び積層体それぞれの算出領域の輝度を取得する第3取得部と、を備える。
これにより、輝度取得装置は、上述した一態様と同様の効果を奏することができる。
【0077】
(態様8)
一態様の輝度取得方法では、コンピュータが、X線を複数の対象に照射して得られる明画像に関する明画像情報と、X線を複数の対象に照射して得られる明画像よりも輝度が暗い暗画像に関する暗画像情報とを取得する第1取得ステップと、第1取得ステップによって取得した、複数の対象としての、背景、部材、及び、部材としての第1部材とその第1部材とは異なる第2部材とを積層させた評価対象の積層体それぞれの明画像情報及び暗画像情報に基づいて、基準領域の輝度と算出領域の輝度との相関を取得する第2取得ステップと、第2取得ステップで取得した、背景、部材及び積層体それぞれの相関に基づいて、明画像の基準領域の輝度と、暗画像の基準領域の輝度との間にある所定値の輝度を特定し、その特定した輝度に対応する背景、部材及び積層体それぞれの算出領域の輝度を取得する第3取得ステップと、を実行する。
これにより、輝度取得方法は、上述した一態様の輝度取得装置等と同様の効果を奏することができる。
【0078】
(態様9)
一態様の輝度取得プログラムは、コンピュータに、X線を複数の対象に照射して得られる明画像に関する明画像情報と、X線を複数の対象に照射して得られる明画像よりも輝度が暗い暗画像に関する暗画像情報とを取得する第1取得機能と、第1取得機能によって取得した、複数の対象としての、背景、部材、及び、部材としての第1部材とその第1部材とは異なる第2部材とを積層させた評価対象の積層体それぞれの明画像情報及び暗画像情報に基づいて、基準領域の輝度と算出領域の輝度との相関を取得する第2取得機能と、第2取得機能で取得した、背景、部材及び積層体それぞれの相関に基づいて、明画像の基準領域の輝度と、暗画像の基準領域の輝度との間にある所定値の輝度を特定し、その特定した輝度に対応する背景、部材及び積層体それぞれの算出領域の輝度を取得する第3取得機能と、を実現させる。
これにより、輝度取得プログラムは、上述した一態様の輝度取得装置等と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 輝度取得装置
2 X線源
3 X線検出部(検出部)
10 処理部
111 制御部
112 X線源制御部
113 第1取得部
114 第2取得部
115 第3取得部
116 算出部
117 出力制御部
121 通信部
122 記憶部
123 表示部
200 積層体
201 第1部材
202 第2部材
301 基準領域
302 算出領域