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特開2024-12861二酸化炭素排出量低減システムおよび二酸化炭素排出量低減方法
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  • 特開-二酸化炭素排出量低減システムおよび二酸化炭素排出量低減方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012861
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】二酸化炭素排出量低減システムおよび二酸化炭素排出量低減方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20240124BHJP
   B01D 53/92 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
F01N3/08 Z ZAB
B01D53/92 240
B01D53/92 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114629
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000219406
【氏名又は名称】東亜建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】飯田 宏
(72)【発明者】
【氏名】米光 柾貴
【テーマコード(参考)】
3G091
4D002
【Fターム(参考)】
3G091AB15
3G091BA13
3G091CA15
3G091EA33
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA02
4D002CA01
4D002DA02
4D002DA05
4D002DA12
4D002DA66
4D002EA06
4D002EA14
4D002GA01
4D002GA02
4D002GB09
4D002GB20
(57)【要約】
【課題】内燃機関から排出される排気に含まれる二酸化炭素を効果的に低減できる二酸化炭素排出量低減システムおよび二酸化炭素排出量低減方法を提供する。
【解決手段】内燃機関30から排出された排気Gを二酸化炭素低減槽2の流入口2aから二酸化炭素低減槽2の内部に流入させ、その流入させた排気Gにアルカリ性溶液Aを接触させて、排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとを中和反応させることにより、排気Gに含まれる二酸化炭素を低減させる。そして、その二酸化炭素を低減させた排気Gを二酸化炭素低減槽2の排気口2bから排出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出された排気が流入する二酸化炭素低減槽を備え、
前記二酸化炭素低減槽は、前記二酸化炭素低減槽に設けられた流入口から流入した前記排気が前記二酸化炭素低減槽の内部でアルカリ性溶液に接触して、前記排気に含まれる二酸化炭素と前記アルカリ性溶液とが中和反応することにより、前記排気に含まれる前記二酸化炭素が低減され、その前記二酸化炭素が低減された前記排気が前記二酸化炭素低減槽に設けられた排気口から排出される構成であることを特徴とする二酸化炭素排出量低減システム。
【請求項2】
前記流入口から前記二酸化炭素低減槽の内部に流入した前記排気に対して、霧状または滴状の前記アルカリ性溶液を噴射する噴射部を有する請求項1に記載の二酸化炭素排出量低減システム。
【請求項3】
前記噴射部による前記アルカリ性溶液の噴射方向が、前記流入口側から前記排気口側に向けて設定されている請求項2に記載の二酸化炭素排出量低減システム。
【請求項4】
前記二酸化炭素低減槽に、噴射後の前記アルカリ性溶液が排出される排液口が設けられていて、前記排液口から排出された前記アルカリ性溶液を前記噴射部に循環させる循環手段を有している請求項2または3に記載の二酸化炭素排出量低減システム。
【請求項5】
前記流入口から前記二酸化炭素低減槽の内部に流入した前記排気が、前記二酸化炭素低減槽の内部に貯留されている前記アルカリ性溶液に接触して、前記二酸化炭素が低減された前記排気が前記排気口から排出される構成である請求項1に記載の二酸化炭素排出量低減システム。
【請求項6】
内燃機関から排出された排気を二酸化炭素低減槽の流入口から前記二酸化炭素低減槽の内部に流入させ、その流入させた前記排気にアルカリ性溶液を接触させて、前記排気に含まれる二酸化炭素と前記アルカリ性溶液とを中和反応させることにより、前記排気に含まれる前記二酸化炭素を低減させ、その前記二酸化炭素を低減させた前記排気を前記二酸化炭素低減槽の排気口から排出することを特徴とする二酸化炭素排出量低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素排出量低減システムおよび二酸化炭素排出量低減方法に関し、さらに詳しくは、内燃機関から排出される排気に含まれる二酸化炭素を効果的に低減できる二酸化炭素排出量低減システムおよび二酸化炭素排出量低減方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の抑制のため、土木工事において二酸化炭素(CO2)の排出量の低減が重要な課題になっている。土木工事では、施工で使用する発電機などの内燃機関による二酸化炭素排出量が土木工事における二酸化炭素排出量の中で比較的大きな割合を占めている。特に、海洋土木工事では、作業船が備える発電機やディーゼルエンジンなどの内燃機関の二酸化炭素排出量が、海洋土木工事における二酸化炭素排出量の中で非常に大きな割合を占めている。そのため、土木工事では、内燃機関から排出される排気に含まれる二酸化炭素を低減することが重要になる。
【0003】
従来、自動車や船舶の内燃機関の排気を浄化するシステムとして、尿素SCRシステムが利用されているが、尿素SRCシステムは排気中の窒素酸化物(NOX)を浄化するシステムであり、排気に含まれる二酸化炭素を低減することはできない(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-240446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、内燃機関から排出される排気に含まれる二酸化炭素を効果的に低減できる二酸化炭素排出量低減システムおよび二酸化炭素排出量低減方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の二酸化炭素排出量低減システムは、内燃機関から排出された排気が流入する二酸化炭素低減槽を備え、前記二酸化炭素低減槽は、前記二酸化炭素低減槽に設けられた流入口から流入した前記排気が前記二酸化炭素低減槽の内部でアルカリ性溶液に接触して、前記排気に含まれる二酸化炭素と前記アルカリ性溶液とが中和反応することにより、前記排気に含まれる前記二酸化炭素が低減され、その前記二酸化炭素が低減された前記排気が前記二酸化炭素低減槽に設けられた排気口から排出される構成であることを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するため本発明の二酸化炭素排出量低減方法は、内燃機関から排出された排気を二酸化炭素低減槽の流入口から前記二酸化炭素低減槽の内部に流入させ、その流入させた前記排気にアルカリ性溶液を接触させて、前記排気に含まれる二酸化炭素と前記アルカリ性溶液とを中和反応させることにより、前記排気に含まれる前記二酸化炭素を低減させ、その前記二酸化炭素を低減させた前記排気を前記二酸化炭素低減槽の排気口から排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内燃機関から排出される排気を二酸化炭素低減槽の内部でアルカリ性溶液に接触させて、排気に含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液とを中和反応させることにより、内燃機関から排出される排気に含まれる二酸化炭素を効果的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の二酸化炭素排出量低減システムの実施形態を模式的に例示する説明図である。
図2】本発明の二酸化炭素排出量低減システムの別の実施形態を模式的に例示する説明図である。
図3】本発明の二酸化炭素排出量低減システムのさらに別の実施形態を模式的に例示する説明図である。
図4】本発明の二酸化炭素排出量低減システムのさらに別の実施形態を模式的に例示する説明図である。
図5】本発明の二酸化炭素排出量低減システムのさらに別の実施形態を模式的に例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の二酸化炭素排出量低減システムおよび二酸化炭素排出量低減方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1に例示するように、本発明の二酸化炭素排出量低減システム1および二酸化炭素排出量低減方法は、内燃機関30から排出される排気Gに含まれる二酸化炭素(CO2)を低減させる。内燃機関30としては、例えば、発電機やディーゼルエンジンなどが例示できる。この二酸化炭素排出量低減システム1(以下、低減システム1という)は、海洋土木工事で使用する作業船が備える発電機やディーゼルエンジンなどの内燃機関30に適用すると特に有効である。低減システム1は、陸上土木工事で使用する発電機の内燃機関30や建設機械が備える内燃機関30に適用することもできる。
【0012】
図1に例示するように、低減システム1は、内燃機関30から排出された排気Gが流入する二酸化炭素低減槽2を備えている。二酸化炭素低減槽2は、二酸化炭素低減槽2に設けられた流入口2aから流入した排気Gが二酸化炭素低減槽2の内部でアルカリ性溶液Aに接触して、排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとが中和反応することにより、排気Gに含まれる二酸化炭素が低減される構成になっている。そして、その二酸化炭素が低減された排気Gが二酸化炭素低減槽2に設けられた排気口2bから二酸化炭素低減槽2の外部に排出される構成になっている。図中では、排気Gの流れを白抜きの矢印で模式的に示し、アルカリ性溶液Aの流れを黒塗りの矢印で模式的に示している。
【0013】
アルカリ性溶液Aとしては、水素イオン濃度がpH7より大きいアルカリ性であり、二酸化炭素と中和反応する溶液であれば、種々の溶液を使用することができる。具体的には、アルカリ性溶液Aとして、例えば、水酸化カルシウム溶液や水酸化ナトリウム溶液などを使用できる。例えば、水素イオン濃度がpH8以上14以下、好ましくは水素イオン濃度がpH9以上13以下、より好ましくは水素イオン濃度がpH9以上11以下のアルカリ性溶液Aを使用するとよい。
【0014】
土木工事では、セメントやモルタル、コンクリートの製造プラントや搬送設備の洗浄作業などにおいて、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を多く含むアルカリ性排水(所謂、洗浄水、洗い水)が発生する。本発明では、その土木工事で生じるアルカリ性排水をアルカリ性溶液Aとして活用することができる。アルカリ性溶液Aとしてアルカリ性排水を使用する場合には、アルカリ性排水に予め凝集剤を混合撹拌して、凝集した固形物を取り除く凝集処理を行い、その凝集処理後のアルカリ性排水をアルカリ性溶液Aとして使用することが好ましい。
【0015】
図1に例示するように、二酸化炭素低減槽2は気密性を有する内空の容器である。二酸化炭素低減槽2の側部に流入口2aが設けられていて、内燃機関30の排気口と二酸化炭素低減槽2の流入口2aとが接続管3で接続されている。内燃機関30の排気口と二酸化炭素低減槽2の流入口2aは接続管3で直接接続する場合に限らず、例えば、内燃機関30の排気口と二酸化炭素低減槽2の流入口2aとの間に、内燃機関30の排気Gを浄化するシステム(例えば、尿素SCRシステムなど)を介在させた構成にすることもできる。二酸化炭素低減槽2の上部には排気口2bが設けられていて、排気口2bには排気管5が接続されている。
【0016】
この実施形態の低減システム1は、二酸化炭素低減槽2の流入口2aから二酸化炭素低減槽2の内部に流入した排気Gに対して、霧状または滴状のアルカリ性溶液Aを噴射する噴射部11を有している。この低減システム1は、さらに、二酸化炭素低減槽2に、噴射部11による噴射後のアルカリ性溶液Aが排出される排液口2cが設けられていて、循環手段4により排液口2cから排出されたアルカリ性溶液Aを噴射部11に循環させる構成になっている。
【0017】
この実施形態では、二酸化炭素低減槽2の上部に複数の噴射部11が互いに間隔をあけて配設されている。それぞれの噴射部11の噴射方向は下向きに設定されている。複数の噴射部11によって二酸化炭素低減槽2の内部の全域に、霧状または滴状のアルカリ性溶液Aが噴射される構成になっている。二酸化炭素低減槽2の下部に排液口2cが設けられていて、排液口2cには排液管6が接続されている。
【0018】
この実施形態の循環手段4は、循環ポンプ12、供給管13、貯液槽14、および連結管15を有して構成されている。貯液槽14には、アルカリ性溶液Aが貯留されている。貯液槽14には排液管6が接続されていて、二酸化炭素低減槽2の排液口2cから排出されたアルカリ性溶液Aが、排液管6を通って貯液槽14に流入する構成になっている。貯液槽14と循環ポンプ12とが連結管15で接続されていて、循環ポンプ12とそれぞれの噴射部11が供給管13で接続されている。循環ポンプ12により貯液槽14に貯留されているアルカリ性溶液Aが、連結管15と供給管13を介してそれぞれの噴射部11に供給される構成になっている。
【0019】
この実施形態では、さらに、貯液槽14に貯留されているアルカリ性溶液Aの水素イオン濃度を計測する水素イオン濃度計10が設けられている。貯液槽14には、貯液槽14に貯留されているアルカリ性溶液Aを排出する排出管16と、貯液槽14に新たなアルカリ性溶液Aを供給する補液管18が接続されている。排出管16には開閉可能な排出弁17が設けられていて、補液管18には開閉可能な補液弁19が設けられている。
【0020】
次に、この低減システム1を用いた二酸化炭素排出量低減方法を説明する。
【0021】
対象となる内燃機関30が稼働すると、循環ポンプ12により貯液槽14に貯留されているアルカリ性溶液Aが、連結管15と供給管13を介してそれぞれの噴射部11に供給され、それぞれの噴射部11により、二酸化炭素低減槽2の内部にアルカリ性溶液Aが噴射された状態となる。内燃機関30から排出された排気Gは、接続管3を介して二酸化炭素低減槽2の流入口2aから二酸化炭素低減槽2の内部に流入する。二酸化炭素低減槽2の内部に流入した排気Gは、噴射部11から噴射されているアルカリ性溶液Aに接触し、排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとが中和反応する。
【0022】
具体的には、アルカリ性溶液Aとして水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を含むアルカリ性排水を使用する場合には、排気Gに含まれる二酸化炭素(CO2)と、アルカリ性排水に含まれる水(H2O)が化学反応して炭酸(H2CO3)が生成される(CO2+H2O→H2CO3)。さらに、その生成された炭酸(H2CO3)と、アルカリ性排水に含まれる水酸化カルシウム(Ca(OH)2)とが化学反応して、炭酸カルシウム(CaCO3)が生成される(Ca(OH)2+H2CO3→CaCO3+2H2O)。
【0023】
この排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとの中和反応により、排気Gに含まれる二酸化炭素が低減する。二酸化炭素が低減した排気Gは二酸化炭素低減槽2の排気口2bに向かって流れ、排気口2bから排気管5を介して二酸化炭素低減槽2の外部に排出される。
【0024】
噴射部11から噴射されて、排気Gに含まれる二酸化炭素と中和反応したアルカリ性溶液Aは、二酸化炭素低減槽2の排液口2cから排液管6を介して貯液槽14に流入し、貯液槽14に一時的に貯留される。貯液槽14に貯留されているアルカリ性溶液Aは、循環ポンプ12により、連結管15と供給管13を介してそれぞれの噴射部11に供給される。これにより、二酸化炭素低減槽2の排液口2cから排出されたアルカリ性溶液Aは噴射部11に循環して供給される。
【0025】
この実施形態では、水素イオン濃度計10により、貯液槽14に貯留されているアルカリ性溶液Aの水素イオン濃度が逐次計測される。水素イオン濃度計10によるアルカリ性溶液Aの水素イオン濃度の計測値が予め設定した閾値以上であるときには、排出弁17と補液弁19は閉じた状態になっている。
【0026】
水素イオン濃度計10によるアルカリ性溶液Aの水素イオン濃度の計測値が予め設定した閾値未満になると排出弁17が開き、貯液槽14に貯留されているアルカリ性溶液Aの一部または全部が排出管16を介して貯液槽14の外部に排出される。その後、排出弁17が閉じ、補液弁19が開くことで、補液管18を介して貯液槽14に新たなアルカリ性溶液Aが補液される。
【0027】
これにより、貯液槽14に貯留されるアルカリ性溶液Aの水素イオン濃度が予め設定した閾値以上に保たれる。前述した水素イオン濃度の閾値は、例えば、pH8~9の範囲内で設定される。内燃機関30の稼働が停止すると、循環ポンプ12による噴射部11へのアルカリ性溶液Aの供給は停止された状態となる。
【0028】
このように、本発明によれば、内燃機関30から排出される排気Gを二酸化炭素低減槽2の内部でアルカリ性溶液Aに接触させて、排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとを中和反応させることにより、内燃機関30から排出される排気Gに含まれる二酸化炭素を効果的に低減できる。これにより、地球温暖化の要因となる温室効果ガスである二酸化炭素の排出量の低減に寄与できる。
【0029】
土木工事で発生するアルカリ性排水を処分する際には、アルカリ性排水の水素イオン濃度をpH5.8~8.6以下に調整する中和処理を行う必要がある。一般的にはアルカリ性排水に酸性の中和剤を添加することで中和処理を行っている。この低減システム1では、土木工事で発生するアルカリ性排水をアルカリ性溶液Aとして活用することで、内燃機関30の排気Gに含まれる二酸化炭素を低減するとともに、アルカリ性排水の中和処理を行うことが可能である。
【0030】
特に、海洋土木工事では、作業船が備える発電機やディーゼルエンジンなどの内燃機関30の二酸化炭素排出量が、海洋土木工事における二酸化炭素排出量の中で大きな割合を占めている。また、作業船を使用した海洋土木工事では、セメントやモルタル、コンクリートの製造プラントなどにおいて多くのアルカリ性排水が発生する。そのため、作業船に低減システム1を搭載して海洋土木工事で発生するアルカリ性排水をアルカリ性溶液Aとして使用することで、作業船が備える内燃機関30から排出される排気Gに含まれる二酸化炭素量を効果的に低減するとともに、作業船においてアルカリ性排水の中和処理を効率的に進めることができる。
【0031】
即ち、作業船に低減システム1を搭載することで、海洋土木工事における二酸化炭素排出量を低減するだけではなく、施工後のアルカリ性排水の処理に要する時間や労力も大幅に低減できる。それ故、この低減システム1は海洋土木工事を行う当業者にとって特に有用である。なお、海洋土木工事で発生するアルカリ性排水に限らず、陸上土木工事で発生したアルカリ性排水を作業船に搬入してアルカリ性溶液Aとして使用することもできる。
【0032】
陸上土木工事においても施工で使用する発電機などの内燃機関30の二酸化炭素排出量が陸上土木工事における二酸化炭素排出量の中で比較的大きな割合を占めている。また、陸上土木工事においても、セメントやモルタル、コンクリートの製造プラントや搬送設備の洗浄作業などで多くのアルカリ性排水が生じる。そのため、陸上土木工事に低減システム1を採用することで、陸上土木工事で使用する内燃機関30から排出される排気Gに含まれる二酸化炭素量を効果的に低減するとともに、陸上土木工事の施工中にアルカリ性排水の中和処理を効率的に進めることができる。それ故、この低減システム1は陸上土木工事を行う当業者にとっても非常に有用である。
【0033】
この実施形態のように、流入口2aから二酸化炭素低減槽2の内部に流入した排気Gに対して、噴射部11により霧状または滴状のアルカリ性溶液Aを噴射する構成にすると、排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとを接触させつつ、排気Gを二酸化炭素低減槽2の流入口2aから排気口2bに向かって円滑に流動させることができる。さらに、霧状または滴状のアルカリ性溶液Aを噴射することで、アルカリ性溶液Aと排気Gとの接触面積を広くでき、排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとを効率的に中和反応させるには有利になる。
【0034】
噴射部11から噴射した後のアルカリ性溶液Aを噴射部11に循環させる循環手段4を設けると、アルカリ性溶液Aを複数回にわたって内燃機関30から排気Gに含まれる二酸化炭素と中和反応させることができるので、比較的少ないアルカリ性溶液Aで、排気Gに含まれる二酸化炭素を効率的に低減できる。さらに、土木工事で生じるアルカリ性排水をアルカリ性溶液Aとして使用する場合には、アルカリ性排水を複数回にわたって排気Gに含まれる二酸化炭素と中和反応させることで、アルカリ性排水の中和処理を効率的に進めることができる。
【0035】
さらに、水素イオン濃度計10を設けて、排気Gに含まれる二酸化炭素と中和反応させるアルカリ性溶液Aの水素イオン濃度を予め設定した所定の数値範囲に維持する構成にすると、アルカリ性溶液Aを排気Gに含まれる二酸化炭素と中和反応し易い水素イオン濃度に維持できるので、排気Gに含まれる二酸化炭素をより安定して低減させるには有利になる。前述した所定の数値範囲は、例えば、水素イオン濃度がpH8以上12以下の範囲、より好ましくは水素イオン濃度がpH9以上11以下の範囲に設定するとよい。
【0036】
なお、二酸化炭素低減槽2に複数の流入口2aを設けて二酸化炭素低減槽2に複数の接続管3を接続する構成にすることもできる。即ち、1つの二酸化炭素低減槽2に複数の内燃機関30の排気Gを流入させる構成にすることもできる。また、循環手段4はこの実施形態で例示した構成に限定されず、他にも様々な構成にすることができる。循環手段4は必要に応じて任意に設けることができ、例えば、循環手段4を設けずに、噴射部11から噴射した後のアルカリ性溶液Aをそのまま排液して処分する構成にすることもできる。
【0037】
図2に例示する本発明に係る別の実施形態の低減システム1を例示する。
【0038】
この実施形態では、二酸化炭素低減槽2の横方向の一方の側部に流入口2aと複数の噴射部11を設けていて、流入口2aと対向する二酸化炭素低減槽2の他方の側部に排気口2bを設けている。そして、それぞれの噴射部11によるアルカリ性溶液Aの噴射方向が、流入口2a側から排気口2b側に向けて設定されている。その他の構成は図1に例示した実施形態の低減システム1と同じである。
【0039】
このように、噴射部11によるアルカリ性溶液Aの噴射方向を、流入口2a側から排気口2b側に向けて設定すると、流入口2aから排気口2bに向かう排気Gの流れが噴射部11から噴射するアルカリ性溶液Aによってより阻害され難くなる。それ故、噴射部11から噴射するアルカリ性溶液Aによって排気Gに含まれる二酸化炭素を低減しつつ、流入口2aから流入した排気Gを排気口2bにより円滑に流すことができる。
【0040】
それぞれの噴射部11によるアルカリ性溶液Aの噴射方向(噴射部11の中央の噴射方向)は、流入口2aの中心と排気口2bの中心を結ぶ仮想線に対する角度が、好ましくは0度以上20度以下、より好ましくは0度以上10度以下となる方向に設定するとよい。
【0041】
図3に例示する本発明に係るさらに別の実施形態の低減システム1を例示する。
【0042】
この実施形態では、二酸化炭素低減槽2の上部に複数の噴射部11が設けられていて、それぞれの噴射部11の噴射方向は下向きに設定されている。そして、二酸化炭素低減槽2および噴射部11よりも上方に貯液槽14が配置されている。二酸化炭素低減槽2の下部に排気口2bと排液口2cが設けられていて、排気口2bに排気管5が接続され、排液口2cに排液管6が接続されている。排気口2bは排液口2cよりも上方に配置されていて、噴射部11から噴射された後に二酸化炭素低減槽2の下部を流れるアルカリ性溶液Aが、排気口2bに流入することを防ぐ構造になっている。
【0043】
この実施形態では、貯液槽14の上部に補液管18が接続されていて、貯液槽14の下部に注入管8が接続されている。補液管18には開閉可能な補液弁19が設けられている。注入管8の中途には開閉可能な注入弁9が設けられている。注入弁9よりも下方に位置する注入管8の下部は複数の分岐管8a、8bに分岐され、それぞれの分岐管8a、8bがそれぞれ別々の噴射部11に接続されている。また、内燃機関30から延在する接続管3がそれぞれの分岐管8a、8bの中途に接続されている。
【0044】
この実施形態の低減システム1では、内燃機関30が稼働すると、補液弁19が開いた状態となり、補液管18を介して貯液槽14にアルカリ性溶液Aが供給される。さらに、内燃機関30が稼働すると、注入弁9が開いた状態となり、貯液槽14に貯留されているアルカリ性溶液Aが重力の作用によって注入管8を下方に向かって自然に流れ、それぞれの分岐管8a、8bに流れ込む。内燃機関30から排気された排気Gは接続管3を通って分岐管8a、8bに流れ込む。そして、それぞれの分岐管8a、8bにおいて、アルカリ性溶液Aと排気Gが合流し、その合流したアルカリ性溶液Aおよび排気Gが噴射部11から下向きに噴射される。
【0045】
この実施形態では、内燃機関30から排気された排気Gがそれぞれの分岐管8a、8bにおいて、アルカリ性溶液Aに接触することで、排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとが中和反応する。さらに、排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとが噴射部11によって二酸化炭素低減槽2の内部に噴射されることで、二酸化炭素低減槽2の内部においても排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとが中和反応する。
【0046】
中和反応後の排気Gは、二酸化炭素低減槽2の下部に設けられた排気口2bから排気管5を介して二酸化炭素低減槽2の外部に排出される。中和反応後のアルカリ性溶液Aは、二酸化炭素低減槽2の下部に設けられた排液口2cから排液管6を介して二酸化炭素低減槽2の外部に排出される。内燃機関30の稼働が停止すると、補液弁19と注入弁9がそれぞれ閉じた状態となる。
【0047】
この実施形態のように、二酸化炭素低減槽2に設けた噴射部11よりも上方に貯液槽14を配置して、貯液槽14に貯留されているアルカリ性溶液Aを重力の作用によって噴射部11まで流す構成にすると、低減システム1を非常に簡素に構成できる。この構成では、電力を消費する循環ポンプ12を設ける必要がないため、二酸化炭素排出量を少なくするにはより有利になる。
【0048】
この実施形態では、内燃機関30から排気された排気Gとアルカリ性溶液Aとを、注入管8(分岐管8a、8b)の内部と、二酸化炭素低減槽2の内部とでそれぞれ中和反応させることができる。それ故、排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとをより効果的に中和反応させることができ、排気Gに含まれる二酸化炭素を低減するにはより一層有利になる。
【0049】
さらに、この実施形態のように、内燃機関30の排気Gをアルカリ性溶液Aが流れる注入管8に流入させる構成にすると、アルカリ性溶液Aが流れる注入管8(分岐管8a、8b)の内圧が、排気Gが流れる接続管3の内圧よりも低い状態になるので、接続管3から注入管8(分岐管8a、8b)に向かって排気Gが流れ易い状態になる。そのため、接続管3の中途に内燃機関30から排気された排気Gを注入管8に向かって圧送する装置などを設けずとも、排気Gを注入管8に円滑に流入させることができる。
【0050】
内燃機関30の排気Gをアルカリ性溶液Aが流れる注入管8に流入させる構成にする場合には、図3に例示するように、接続管3の中途位置に、アルカリ性溶液Aが注入管8から接続管3に入流して内燃機関30まで流れることを防止する流入防止部3aを設けることが好ましい。この実施形態では、接続管3の中途位置に、注入管8と接続管3との接続位置よりも上方に延在して上側に凸状に湾曲する流入防止部3aを設けている。流入防止部3aの形状や延在高さなどの条件は、低減システム1を実際に稼働させる実証試験やシミュレーション等を行うことで決定できる。
【0051】
図4に例示する本発明に係るさらに別の実施形態の低減システム1を例示する。
【0052】
この実施形態の二酸化炭素低減槽2は、上下方向の寸法よりも横方向の寸法が長い横長の容器で構成されている。二酸化炭素低減槽2の横方向の一方側の側部の上部に流入口2aが設けられていて、二酸化炭素低減槽2の横方向の他方側の側部の上部に排気口2bが設けられている。流入口2aには内燃機関30から延在する接続管3が接続されていて、排気口2bには排気管5が接続されている。
【0053】
この実施形態では、二酸化炭素低減槽2の流入口2aおよび排気口2bよりも低い二酸化炭素低減槽2の中途位置までアルカリ性溶液Aが貯留されていて、アルカリ性溶液Aの液面と二酸化炭素低減槽2の上面との間に排気Gが通過する空間が設けられている。二酸化炭素低減槽2の下部には排液口2cが設けられていて、排液口2cには排液管6が接続されている。二酸化炭素低減槽2の上部には注入口2dが設けられていて、注入口2dには注入管8が接続されている。排液管6には開閉可能な排液弁7が設けられていて、注入管8には開閉可能な注入弁9が設けられている。二酸化炭素低減槽2の内部には二酸化炭素低減槽2に貯留されているアルカリ性溶液Aの水素イオン濃度を計測する水素イオン濃度計10が設けられている。
【0054】
この低減システム1では、内燃機関30から排出された排気Gが接続管3を通って二酸化炭素低減槽2の流入口2aから二酸化炭素低減槽2の内部に流入する。二酸化炭素低減槽2の内部に流入した排気Gは、二酸化炭素低減槽2に貯留されているアルカリ性溶液Aと接触して、排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとが中和反応することにより、排気Gに含まれる二酸化炭素が低減される。そして、二酸化炭素が低減された排気Gが排気口2bへ流れて排気管5を介して二酸化炭素低減槽2の外部に排出される。
【0055】
この実施形態では、水素イオン濃度計10により、二酸化炭素低減槽2に貯留されているアルカリ性溶液Aの水素イオン濃度が逐次計測され、水素イオン濃度の計測値が予め設定した閾値以上であるときには、排出弁17と補液弁19は閉じた状態になっている。
【0056】
一方で、水素イオン濃度計10によるアルカリ性溶液Aの水素イオン濃度の計測値が予め設定した閾値未満であるときには、排出弁17が開き、二酸化炭素低減槽2に貯留されているアルカリ性溶液Aの一部または全部が排出管16を介して二酸化炭素低減槽2の外部に排出される。その後、排出弁17が閉じられ、補液弁19が開いた状態となり、補液管18を介して二酸化炭素低減槽2に新たなアルカリ性溶液Aが補液される。これにより、二酸化炭素低減槽2に貯留されるアルカリ性溶液Aの水素イオン濃度が予め設定した閾値以上に保たれる。前述した水素イオン濃度の閾値は、例えば、8~9の範囲内で設定される。この二酸化炭素低減槽2内のアルカリ性溶液Aを入れ替える制御は、内燃機関30の稼働が停止しているタイミングで実行する構成にすることが好ましい。
【0057】
このように、二酸化炭素低減槽2に設けられた流入口2aから二酸化炭素低減槽2の内部に流入した排気Gが、二酸化炭素低減槽2の内部に貯留されているアルカリ性溶液Aに接触して、二酸化炭素が低減された排気Gが二酸化炭素低減槽2に設けられた排気口2bから排出される構成にすると、低減システム1を非常に簡素に構成でき、メンテナンス性も高くなる。
【0058】
さらに、この実施形態のように、二酸化炭素低減槽2の流入口2aと排気口2bよりも低い位置にアルカリ性溶液Aを貯留して、アルカリ性溶液Aの液面と二酸化炭素低減槽2の上面との間を排気Gが通過する構成にすると、内燃機関30から排出された排気Gを流入口2aに圧送する圧送装置などを設けずとも、排気Gを二酸化炭素低減槽2の流入口2aから排気口2bまで円滑に流しつつ、排気Gに含まれる二酸化炭素と二酸化炭素低減槽2の内部に貯留されているアルカリ性溶液Aとを中和反応させることができる。
【0059】
また、二酸化炭素低減槽2に水素イオン濃度計10を設けて、二酸化炭素低減槽2に貯留するアルカリ性溶液Aの水素イオン濃度を予め設定した所定の数値範囲に維持する構成にすると、アルカリ性溶液Aの水素イオン濃度が低くなり、排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとが中和反応がし難い状況になることをより確実に回避できる。前述した所定の数値範囲は、例えば、水素イオン濃度がpH8以上12以下の範囲、より好ましくは水素イオン濃度がpH9以上11以下の範囲に設定するとよい。
【0060】
図5に例示する本発明に係るさらに別の実施形態の低減システム1を例示する。
【0061】
この実施形態では、二酸化炭素低減槽2に貯留しているアルカリ性溶液A中に排気Gを注入する構成になっている。この実施形態の二酸化炭素低減槽2は、横方向の寸法よりも上下方向の寸法が長い縦長の容器で構成されている。二酸化炭素低減槽2の側部の下部に流入口2aが設けられていて、二酸化炭素低減槽2の上部に排気口2bが設けられている。流入口2aには内燃機関30から延在する接続管3が接続されていて、排気口2bには排気管5が接続されている。この実施形態では、接続管3の中途に内燃機関30から排出された排気Gを流入口2aに向かって圧送する圧送装置20が設けられている。
【0062】
この実施形態では、二酸化炭素低減槽2の流入口2aよりも高く、排気口2bよりも低い二酸化炭素低減槽2の中途位置までアルカリ性溶液Aが貯留されている。二酸化炭素低減槽2の下部には排液口2cが設けられていて、排液口2cには排液管6が接続されている。二酸化炭素低減槽2の側部のアルカリ性溶液Aの液面よりも上方に注入口2dが設けられていて、注入口2dには注入管8が接続されている。排液管6には開閉可能な排液弁7が設けられていて、注入管8には開閉可能な注入弁9が設けられている。二酸化炭素低減槽2の内部には二酸化炭素低減槽2に貯留されているアルカリ性溶液Aの水素イオン濃度を計測する水素イオン濃度計10が設けられている。
【0063】
この低減システム1では、内燃機関30から排出された排気Gが接続管3の中途に設けられた圧送装置20によって圧縮される。そして、その圧縮された排気Gが二酸化炭素低減槽2の流入口2aから二酸化炭素低減槽2の内部に貯留されているアルカリ性溶液A中に注入される。アルカリ性溶液A中に注入された排気Gは気泡になった状態でアルカリ性溶液Aと接触し、排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとが中和反応することにより、排気Gに含まれる二酸化炭素が低減される。そして、アルカリ性溶液A中を通過して二酸化炭素が低減された排気Gが、排気口2bへ流れて排気管5を介して二酸化炭素低減槽2の外部に排出される。
【0064】
この実施形態においても、図4に例示した実施形態と同様に、水素イオン濃度計10の計測値に基づいて、二酸化炭素低減槽2に貯留されるアルカリ性溶液Aの入れ替えが適宜行われ、二酸化炭素低減槽2に貯留されるアルカリ性溶液Aの水素イオン濃度が予め設定した閾値以上に維持される構成になっている。
【0065】
この実施形態のように、二酸化炭素低減槽2の内部に貯留されているアルカリ性溶液A中に内燃機関30から排出された排気Gを注入する構成にすると、排気Gとアルカリ性溶液Aとをより確実に長時間接触させることができる。また、アルカリ性溶液A中で排気Gが気泡状になることで、アルカリ性溶液Aと排気Gとの接触面積を広くできる。それ故、排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとがより中和反応し易くなり、排気Gに含まれる二酸化炭素を低減するには有利になる。
【0066】
この実施形態においても、二酸化炭素低減槽2に水素イオン濃度計10を設けて、二酸化炭素低減槽2に貯留するアルカリ性溶液Aの水素イオン濃度を予め設定した所定の数値範囲に維持する構成にすることで、アルカリ性溶液Aの水素イオン濃度が低くなり、排気Gに含まれる二酸化炭素とアルカリ性溶液Aとが中和反応がし難い状況になることをより確実に回避できる。それ故、排気Gに含まれる二酸化炭素を安定して低減させるには有利になる。
【0067】
なお、本発明の低減システム1は、上記で例示した実施形態に限定されず、他にも様々な構成にすることができる。例えば、図3では、循環手段4を設けていない場合を例示しているが、図3に例示する実施形態の低減システム1に循環手段4を設けた構成にすることもできる。
【符号の説明】
【0068】
1 二酸化炭素排出量低減システム
2 二酸化炭素低減槽
2a 流入口
2b 排気口
2c 排液口
2d 注入口
3 接続管
3a 流入防止部
4 循環手段
5 排気管
6 排液管
7 排液弁
8 注入管
8a、8b 分岐管
9 注入弁
10 水素イオン濃度計
11 噴射部
12 循環ポンプ
13 供給管
14 貯液槽
15 連結管
16 排出管
17 排出弁
18 補液管
19 補液弁
20 圧送装置
30 内燃機関
G 排気
A アルカリ性溶液
図1
図2
図3
図4
図5