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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128623
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】熱センサユニット
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/02 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
G01J1/02 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037695
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】390030395
【氏名又は名称】英弘精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 壽一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 栄治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 秀司
(72)【発明者】
【氏名】山田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】西川 賢
(72)【発明者】
【氏名】柴山 和範
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA03
2G065AA15
2G065AB30
2G065BA11
2G065BA36
2G065BB21
2G065BB46
2G065BE08
(57)【要約】
【課題】部品点数を増やすことなく、入射光の入射角に応じて生ずる変換効率の低下を抑制することが可能な熱センサユニットを提供すること。
【解決手段】熱センサユニット10は、基板1と、基板上に設けられる、熱電変換する熱センサ2と、熱センサ上に設けられ、外からの光を熱に変換する受光部2aと、を備え、受光部は、受光部の主面上に設けられ、主面に入射する光を主面以外で受光可能な立体形状2bが、主面上に設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられる、熱電変換する熱センサと、
前記熱センサ上に設けられ、外からの光を熱に変換する受光部と、
を備え、
前記受光部は、
前記受光部の主面上に設けられ、前記主面に入射する光を前記主面以外で受光可能な立体形状が設けられている、
熱センサユニット。
【請求項2】
前記受光部は、円盤形状を有し、
前記立体形状は、前記円盤形状の外周と平行に頂部が連なる環状突出部である、
請求項1に記載の熱センサユニット。
【請求項3】
前記環状突出部は、少なくとも、
第1環状突出部と、
前記第1環状突出部と同心である第2環状突出部と、
を備える、請求項2に記載の熱センサユニット。
【請求項4】
前記立体形状の外周端部は、前記主面に対して傾斜面である、
請求項1に記載の熱センサユニット。
【請求項5】
前記立体形状は、複数の突起形状である、
請求項1に記載の熱センサユニット。
【請求項6】
前記熱センサには、前記熱センサが熱電変換により生成した電気信号を出力するための貫通電極が接続されており、
前記基板には、前記貫通電極が挿入される第1貫通孔が形成されている、
請求項1に記載の熱センサユニット。
【請求項7】
前記貫通電極に接続された、外部と電気的に接続するためのリードと、
前記基板が載置され、前記リードが挿入される第2貫通孔が形成されている台座と、
をさらに含む請求項6に記載の熱センサユニット。
【請求項8】
前記基板が載置される台座と、
前記熱センサ及び前記基板を覆うように前記台座上に設けられ、外周縁につば部を有するカバーを、さらに含む請求項1に記載の熱センサユニット。
【請求項9】
前記熱センサには、前記熱センサが熱電変換により生成した電気信号を出力するための貫通電極が接続されており、
前記基板には、前記貫通電極が挿入される第1貫通孔が形成されており、
前記貫通電極に接続された、外部と電気的に接続するためのリードと、
前記基板が載置され、前記リードが挿入される第2貫通孔が形成されている台座と、
前記熱センサ及び前記基板を覆うように前記台座上に設けられ、外周縁につば部を有するカバーと、
をさらに含む、
請求項1に記載の熱センサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽からの日射を放射照度として測定する日射計として、太陽からの日射を受光し、光(光エネルギー)を熱(熱エネルギー)に変換して、当該熱に応じた電気信号から、日照・日射に関する気象量(例えば、日射強度)を測定するものが知られている。例えば、特許文献1には、金属製のパッケージに収容されたセンサが、集光レンズ及び遮光環を介して太陽の日射光を受光する日射計が示される。日射を受光する際、天頂角が90度に近くなるほどに入射光に対する受光面における熱エネルギーへの変換量も小さくなり、光から熱への変換効率が低くなってしまう。この点、特許文献1に記載の日射計では、集光レンズ及び遮光環を用いて、入射角に依存するセンサの特性を改善している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-086502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、集光レンズ及び遮光環を設けることは、装置における部品点数の増加及び光学的調整の手間をもたらし得る。一方で、集光レンズ及び遮光環を用いないとすれば、天頂角が90度に近くなるほどに受光効率が低下し、光から熱への変換効率が低くなってしまう。さらに、集光レンズ及び遮光環を用いないとすると、天頂角が90度に近くなるほどに受光面における表面反射成分が増加してしまい、光から熱への変換効率が低くなってしまう。すなわち、光から熱への変換効率の低下を抑制することと部品点数を少なくすることとには、相反する要請があった。
【0005】
そこで、本発明は、部品点数を増やすことなく、入射光の入射角に応じて生ずる変換効率の低下を抑制することが可能な熱センサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る熱センサユニットは、基板と、前記基板上に設けられる、熱電変換する熱センサと、前記熱センサ上に設けられ、外からの光を熱に変換する受光部と、を備え、前記受光部は、受光部の主面上に設けられ、前記主面に入射する光を前記主面以外で受光可能な立体形状が設けられている。
【0007】
この態様によれば、立体形状を設けることで、受光部の主面に対して相対的に浅い角度、例えば、天頂角が60°~90°の範囲で立体形状の主面に入射する光であっても、そのような光を主面以外で受光することができる。これにより、部品点数を増やすことなく、効率的に光を熱に変換することができ、もって、変換効率の低下を抑制することが可能な熱センサユニットを提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部品点数を増やすことなく、入射光の入射角に応じて生ずる変換効率の低下を抑制することが可能な熱センサユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る熱センサユニットを搭載した日射計の一例の断面図である。
図2】本発明に係る熱センサユニットの一例の断面図である。
図3】本発明に係る熱センサユニットに適用可能な受光部の第1実施形態が受光する際の一例を示した断面図である。
図4】本発明に係る熱センサユニットに適用可能な受光部の第1実施形態の斜視図である。
図5】本発明に係る熱センサユニットに適用可能な受光部の第2実施形態の斜視図である。
図6】本発明に係る熱センサユニットに適用可能な受光部の第3実施形態の断面図である。
図7】本発明に係る熱センサユニットに適用可能な受光部の第4実施形態の断面図である。
図8】本発明に係る熱センサユニットに適用可能な受光部の第5実施形態の斜視図である。
図9】本発明に係る熱センサユニットに適用可能な受光部の第6実施形態の斜視図である。
図10】本発明に係る熱センサユニットに適用可能なカバーの他の実施形態の断面図である。
図11】本発明に係る熱センサユニットに適用可能なカバーの他の実施形態の断面図である。
図12】本発明に係る熱センサユニットに適用可能なカバーの他の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。なお、以下説明において、図面の上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」とする。また、以下においては熱センサユニット及びこれを搭載した日射計は、熱センサの主面が水平面に平行になるように設けられ、熱センサの主面と垂直な法線は天頂方向に沿っているものとする。
【0011】
(基本構成)
図1は、本発明に係る熱センサユニット10を搭載した日射計100の一例の断面図である。図1には、本実施形態に係る日射計100の断面図が示される。日射計100は、例えば全天日射計であり、日射計100から上を見て半球の範囲からの放射光に対して、その日射量を測定する装置である。日射計100は、例えば、熱センサユニット10、筐体101及び制御部102を備える。
【0012】
熱センサユニット10は、基板1、熱センサ2、貫通端子3、台座4及びカバー5を有する。熱センサユニット10は、入射した光を熱に変換して、当該熱に応じた電気信号を制御部102に出力する。なお、熱センサユニット10の詳細な構成については後述する。
【0013】
筐体101は、天井部101a、胴部101b、底部101c、及び脚部101d、101e、101fを有する。
【0014】
天井部101aは、例えば、円錐台状の形状を有し、開口部101a1を有する。開口部101a1は、天井部101aの上部に設けられる。開口部101a1は天井部101aの上面から下面まで貫通する。開口部101a1の形状は、熱センサユニット10に天井部101aを嵌合するため、上面の近傍において段付きになっている。開口部101a1の段付き部分はドーム当接面101a2を有する。
【0015】
胴部101bは、例えば、円筒状の形状を有し、上側の端部において天井部101aと接続され、下側の端部において底部101cと接続される。
【0016】
底部101cは、例えば、平板状の形状を有し、胴部101bの下側の端部と接続する。底部101cは、日射計100の基部としての機能を有する。
【0017】
脚部101d,101e,101fは、底部101cに設けられる。日射計100は、脚部101d,101e,101fを介して設置面(不図示)に設置される。
【0018】
制御部102は、回路基板102a及び回路基板102bを備える。制御部102は、熱センサユニット10からの電気信号(熱起電力)が入力され、出力電圧のレンジを調整したり、予め制御部102に記録された感度定数との演算から日射強度[W/m2]を算出したりする。また、制御部102は、外部と接続されるように構成されてよい。
【0019】
回路基板102a、102bが、筐体101の内部空間に設けられる。回路基板102a、102bは、配線(不図示)を介して熱センサユニット10と接続される。回路基板102a、102bには、日射計100における信号処理や制御を行うための回路が設けられる。例えば、回路基板102a、102bに設けられる回路によって、熱センサユニット10からの電気信号が処理され、日射量などが算出される。日射計100は、当該回路を介して外部装置と通信したり、電源の供給を受けたりすることができる。なお、回路基板の個数は、図1に示されるような2つである必要はなく、1つであってもよく、より複数であってもよい。
【0020】
図2は、本発明に係る熱センサユニットの一例の断面図である。熱センサユニット10は、例えば、外から熱センサ2に入射した光を熱に変換し、当該熱に応じた電気信号を出力するための、基板1、熱センサ2及び貫通端子3を有し、基板1及び熱センサ2を外部環境から密閉するための、台座4及びカバー5を有する。
【0021】
図2に示すように、基板1、熱センサ2及び貫通端子3は、熱センサ2が受光した光を熱に変換し、当該熱に応じた電気信号を出力するように構成されている。基板1、熱センサ2及び貫通端子3は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により構成される。
【0022】
基板1は、熱センサ2が受光した光を電気信号として出力するためのベースとして用いられる。基板1は、例えば、シリコンウエハ等でよく、MEMSチップを構成するためのベースとして用いられる。また、基板1の中央には開口が設けられてよく、これにより後述する熱センサ2の受光部2aにおいて、受光した光が熱に変換された際に、受光部2aから基板1に熱が拡散することが抑制される。受光部2aの熱拡散が抑制されるので、光から熱への変換効率の低下を抑制する。また、基板1には、貫通電極3aが挿入されるための第1貫通孔Sh1が設けられている。このような構成とすることで、後述する受光部2aが外からの光を受光する際に、貫通電極3aの影に妨げられることなく受光することで受光量の低下を抑制できる。
【0023】
熱センサ2は、受光した光を熱に変換する。熱センサ2は受光部2aが設けられている。熱センサ2は、温接点及び冷接点からなる熱電対、例えば、サーモパイルである。熱センサ2全体で外部からの光を受光した際に、受光部2aは熱センサ2の主面よりも受光感度が高く、熱を生成しやすく構成されている。この場合、例えば、熱センサ2の主面上において、受光部2aの下を熱電対の温接点、熱センサ2の主面の外周端を熱電対の冷接点とすることで、温度差に起因して発生した電圧値を電気信号として貫通電極3aを介して出力する。なお、受光部2aには、光の反射を低減するようなカーボンブラック塗布やBPR(ブラックフォトレジスト)等の暗色の低反射塗装がされてよく、これにより受光感度が向上する。
【0024】
貫通端子3は、熱センサユニット10が受光した光を電気信号として出力する。貫通端子3は、貫通電極3a、バンプ3b及びリード3cを有する。貫通端子3は、例えば、熱センサ2が熱電変換により生成した電気信号を、貫通電極3a、バンプ3b及びリード3cを介して外部に出力する。このような構成とすることで、貫通端子3は、後述する台座4及びカバー5を用いて、基板1及び熱センサ2を密閉しつつ、外部と電気的に接続可能となる。
【0025】
図2に示すように、台座4及びカバー5は、基板1及び熱センサ2を密閉するように構成されている。基板1及び熱センサ2は、外部環境からの影響を受けずにMEMSチップとして機能する必要があるため、台座4及びカバー5を用いて密閉される。なお、基板1及び熱センサ2に対して、台座4及びカバー5を用いて密閉した空間に所定のガス(窒素、貴ガス等を含む不活性ガス)を満たす又は真空状態にすることで、基板1及び熱センサ2の劣化を抑制して保護力向上に寄与する。
【0026】
台座4は、基板1及び熱センサ2を密閉するための土台として用いられる。台座4は、例えば、段差形状であって、上段4aの面上に基板1及び熱センサ2が設けられており、下段4bの面上でカバー5と接着されている。また、台座4には、リード3cが挿入されるための第2貫通孔Sh2が設けられている。
【0027】
カバー5は、基板1及び熱センサ2を外部環境から保護するために用いられる。カバー5は、例えば、ドーム形状であって、太陽光スペクトル(300~3000nm)に対する透過率がある程度以上、例えば、50%以上である、略均一な高い透過率を有する材料で構成されていてよい。このような構成とすることで、密閉性を維持しつつ、熱センサ2が外部から入射する各方位からの光を略均一に受光可能になる。また、カバー5は、外周縁につば部5aが設けられてよい。このような構成とすることで、台座4及びカバー5を、シール等の接着剤を用いて密閉する際に、台座4とカバー5との接着面積が増えることで密閉性の向上に寄与する。また、カバー5は、二重構造等の多重構造としてよく、これによりカバー5自体が日射エネルギーを受光して熱を持ち、近傍の基板1及び熱センサ2への熱の放射を抑制することができる。さらに、カバー5の厚みは、略均一ではなく熱センサ2の水平方向近傍を厚くしてよい(不図示)、これにより入射角が大きい光からの受光量を大きくすることで、光から熱への変換効率の低下を抑制する。
【0028】
なお、カバー5の形状は、図2に示したドーム形状に限らず、他の形状を備えていてよい。図10~12に、変形例であるカバー5の断面形状を示す。図10で示すように、熱センサユニット10Aは、メニスカス形状のカバー5Aを備える。このような構成とすることで、カバー5Aに用いられる材料を減らして熱容量を小さくし、台座との熱交換が増えることで、カバー5A自体が日射エネルギーを受光して熱を持ち、近傍の基板及び熱センサへの熱の放射を抑制することができる。図11で示すように、熱センサユニット10Bは、円柱形状のカバー5Bを備える。図12で示すように、熱センサユニット10Cは、円錐形状のカバー5Cを備える。
【0029】
(第1実施形態)
以下、図3及び図4を参照して、受光部2aの第1実施形態について詳細を説明する。図3は、本発明に係る熱センサユニットに適用可能な受光部の第1実施形態が受光する際の一例を示した断面図である。図4は、本発明に係る熱センサユニットに適用可能な受光部の第1実施形態の斜視図である。受光部2aには、主面上に、主面に対して入射する光を主面以外で受光可能とする立体形状2bが設けられている。立体形状2bは、主面に対して相対的に浅い角度で入射する光を、主面以外で受光可能とすることで、そのような光を効率よく熱に変換できる。本実施形態では、受光部2aは円盤形状を有しており、立体形状の一例として、主面Psから上側に向かって断面凸状であって、受光部2aの外周と平行に頂部が連なる環状の立体形状2bを有する。
【0030】
図3に示したように、立体形状2bを設けることで受光部2aは、受光部2aの主面Psに対して入射角φ(天頂角θ1)の入射光IL1を、受光部2aの側面Ssに対して入射角φの入射光IL1を受光する。このような構成とすることで、受光部2aは、主面Psに対して相対的に浅い角度で入射する光、例えば、天頂角θ1が60°~90°(入射角φが30°~0°)の入射光IL1について、主面Psで受光する場合よりも、立体形状2bの側面Ssで受光するときの光の強さを大きくすることができる。すなわち、側面Ssにおいて入射角Φで入射光IL1を受光することで、熱への変換効率の低下を抑制する。さらに、主面Psに対して相対的に浅い角度で入射する天頂角θ1の入射光が、主面Psにおいて反射するような場合でも、立体形状2bの側面Ssでは反射することなく受光することとなるため、熱への変換効率の低下を抑制することができる。なお、受光部2aの側面Ssは、受光部2aの主面Psに対して傾斜して設けられてよい。すなわち、立体形状2bの側面Ssが受光部2aの主面Psとなす角度は垂直よりも鋭角な角度となっていてもよい。また、立体形状2bの頂部は受光部2aの主面Psと平行な面が形成されている必要はない。
【0031】
図4に示したように、受光部2aは、平坦な円盤形状に形成された主面Psと、主面Psから上側に向かって断面凸状であって環状に形成された立体形状2bから構成される。このような構成とすることで、受光部2aは、各方位からの光を略均一に受光可能になる。また、受光部2aの主面Psに対して相対的に浅い角度で入射する光に対しても受光する光の強さが大きくなる。よって、本実施形態の熱センサユニットによれば、集光レンズ及び遮光環といった部品を用いず、部品点数を増やすことなく、光から熱への変換効率の低下を抑制することができる。
【0032】
(第2実施形態)
図5は、本発明に係る熱センサユニットに適用可能な受光部の第2実施形態の斜視図である。図5に示した第2実施形態の受光部20aは、立体形状20bが、複数の環状突出部20b1~20b3と円柱状突出部20b4から形成されている点で、図4に示した第1実施形態の受光部2aと異なる。主面Pxの形状、複数の環状突出部20b1~20b3の形状については同一のため省略する。図5に示したように、立体形状20bが、複数の環状突出部20b1~20b3と円柱状突出部20b4から形成されているため、受光部20aの主面Pxに対して相対的に浅い角度で入射する光であっても反射することなく受光部20aの側面Ss10~Ss13で受光することができる。これにより、立体形状を有しない場合に比べ、受光する光の量を大きくすることができ、熱への変換効率の低下を抑制することができる。なお、複数の環状突出部20b1~20b3と円柱状突出部20b4は、同心となるように形成されてよい。また、受光部20aの環状突出部20b1~20b3と円柱状突出部20b4は、受光部20aの主面Pxに対して傾斜して設けられてよい点は、第1実施形態の立体形状と同様である。
【0033】
(第3実施形態)
図6は、本発明に係る熱センサユニットに適用可能な受光部の第3実施形態の断面図である。図6に示した第3実施形態の受光部200aは、立体形状200bが、頂部の連なりが環状となっている点は上記実施形態と同様であるが、半径方向の断面が連続する三角形状となっている点で、図4及び図5に示した第1及び第2実施形態の受光部2a、20aと異なる。図6に示したように、立体形状200bの断面が連続する三角形状となっているため、側面Sst1が主面に対して傾斜している。このような構成とすることで、受光部200aの主面に対して相対的に浅い角度で入射する光に対しても、受光する光の強さが大きくなるので、光から熱への変換効率の低下を抑制することができる。
【0034】
(第4実施形態)
図7は、本発明に係る熱センサユニットに適用可能な受光部の第4実施形態の断面図である。図7に示した第4実施形態の受光部2000aは、立体形状2000bが台形状である点で、図4図5及び図6に示した第1、第2及び第3実施形態の受光部2a、20a、200aと異なる。図7に示したように、立体形状2000bの断面が台形状となっているため、受光部2000aの外周端部の側面Sst2が主面に対して傾斜面である。このような構成とすることで、受光部2000aの主面に対して相対的に浅い角度で入射する光に対しても、受光する光の強さが大きくなるので、光から熱への変換効率の低下を抑制することができる。
【0035】
(第5実施形態)
図8は、本発明に係る熱センサユニットに適用可能な受光部の第5実施形態の斜視図である。図8に示した第5実施形態の受光部20000aは、立体形状20000bが複数の円錐状の突起から形成されている点で、図4図7に示した第1~第4実施形態の受光部2a~2000aと異なる。このような構成とすることで、受光部20000aの主面に対して相対的に浅い角度で入射する光に対しても、受光する光の量が大きくなるので、光から熱への変換効率の低下を抑制することができる。
【0036】
(第6実施形態)
図9は、本発明に係る熱センサユニットに適用可能な受光部の第6実施形態の斜視図である。図9に示した第6実施形態の受光部200000aは、立体形状200000bが複数の円柱状の突起から形成されている点で、図8に示した第5実施形態の受光部20000aと異なる。このような構成とすることで、受光部200000aの主面に対して相対的に浅い角度で入射する光に対しても、受光する光の量が大きくなるので、光から熱への変換効率の低下を抑制することができる。
【0037】
以上、図4図9において、受光部2a~200000aの第1~第6実施形態の詳細について説明したが、受光部が有する立体形状はこれらに限られない。立体形状としては、円環形状ではなくとも、受光部の厚みに局所的な変化を持たせることで、主面に複数の起伏を設けて、起伏の側面(傾斜面)における受光する光の量を大きくしてもよい。さらに、受光部の円盤形状において、中心部から外周部にかけて厚みが徐々に変わっていくように形成することで、広い面積の傾斜面を形成してもよい。これらの主面上に設けられる立体形状も、主面に入射する光を主面以外で受光可能な形状であり、このような立体形状によっても、受光面の主面に対して相対的に浅い角度で入射する光を効率的に熱に変換可能である。
【0038】
なお、本発明に係る熱センサユニットを気象分野において適用先として、上記実施形態においては図1の日射計100について説明したが、本願発明の熱センサユニットの適用先はこれに限られない。本発明に係る熱センサユニットは、光を熱に変換して、当該熱に応じた電気信号を用途に応じた物理量や検出対象の有無を検出するセンサに適用することができる。例えば、遠隔熱計測分野においては放射温度計や、人感センサや発熱物体センサ等の遠隔熱検知分野においては熱検知センサとして、用いることで、広範囲からの光を測ることができる。
【0039】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…基板、2…熱センサ、2a,20a,200a,2000a,20000a,200000a…受光部、2b,20b,200b,2000b,20000b,200000b…立体形状、20b1…第1環状突出部、20b2…第2環状突出部、20b3…第3環状突出部、20b4…円状突出部、3…貫通端子、3a…貫通電極、3b…バンプ、3c…リード、4…台座、5,5A,5B,5C…カバー、5a…つば部、10,10A,10B,10C…熱センサユニット、100…日射計、101…筐体、102…制御部、Sh1…第1貫通孔、Sh2…第2貫通孔、IL1…入射光、Ps…主面、Px…主面、Ss,Ss10,Ss11,Ss12,Ss13,Sst1,Sst2…側面、θ1…天頂角,φ…入射角
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