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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128630
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
A63F5/04 611B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037716
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100212923
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】長松 雄一
(72)【発明者】
【氏名】藏本 久志
(72)【発明者】
【氏名】安庭 尚浩
(72)【発明者】
【氏名】和田 明紀
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182DA25
(57)【要約】
【課題】データ容量の過多を軽減することのできる遊技機を提供する。
【解決手段】遊技機は、遊技に関する所定の抽せん処理において用いられる抽せんテーブルを記憶することが可能な記憶部と、所定条件が満たされた場合に、抽せんテーブルに関する設定処理を実行し、設定処理後の抽せんテーブルを用いて、抽せん処理を実行することが可能な制御部と、を備え、設定処理は、設定処理が実行される前の抽せんテーブル自体の少なくとも一部の内容を自動で書き換えて更新する処理、または、あらかじめ用意された抽せんテーブルは残したまま、あらかじめ用意された抽せんテーブルに関連するテーブルの少なくとも一部の内容を書き換えて新たな抽せんテーブルを自動で生成して抽せん処理用のテーブルに設定する処理、である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関する所定の抽せん処理において用いられる抽せんテーブルを記憶することが可能な記憶部と、
所定条件が満たされた場合に、前記抽せんテーブルに関する設定処理を実行し、前記設定処理がなされた以降の前記抽せんテーブルを用いて、前記抽せん処理を実行することが可能な制御部と、
を備え、
前記設定処理は、
前記設定処理が実行される前の前記抽せんテーブル自体の少なくとも一部の内容を自動で書き換えて更新する処理、または、
あらかじめ用意された前記抽せんテーブルは残したまま、あらかじめ用意された前記抽せんテーブルに関連するテーブルの少なくとも一部の前記内容を書き換えて新たな前記抽せんテーブルを自動で生成して前記抽せん処理用のテーブルに設定する処理、
である、
遊技機。
【請求項2】
前記内容は、前記抽せん処理に用いられる置数を含み、
前記設定処理は、前記置数の少なくとも一部を書き換えることである、
請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記設定処理は、前記置数の合計値を書き換えることである、
請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記制御部は、前記抽せん処理において、前記設定処理で設定された前記抽せんテーブルの前記置数の合計値に応じた乱数を用いることが可能である、
請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記遊技の進行に関する処理を実行することが可能なメイン制御部と、
前記遊技の演出に関する処理を実行することが可能なサブ制御部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記サブ制御部に含まれる、
請求項1に記載の遊技機。
【請求項6】
前記抽せん処理は、前記遊技の演出に関する処理であり、
前記演出には、複数の演出内容が含まれ、
前記所定条件は、同一の前記演出内容の選択回数が所定回数に至った場合、が含まれる、
請求項1に記載の遊技機。
【請求項7】
前記抽せん処理は、前記遊技の演出に関する処理であり、
前記演出には、複数の演出内容が含まれ、
前記制御部は、前記設定処理において、つぎの前記演出で出力する対象から除外すべき前記演出内容に関する前記置数をゼロまたは削除することが可能である、
請求項2に記載の遊技機。
【請求項8】
前記所定条件は、複数種類用意されており、
前記制御部は、満たされた前記所定条件の種類に応じて、前記設定処理において、前記抽せんテーブルのうちで書き換えるべき項目および前記置数の組み合わせを決定して、決定された組み合わせに関して書換処理を実行することが可能である、
請求項2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、遊技進行に伴って、ゲーム性を色濃くしたり、演出を多彩にしたりすることが可能な遊技機が知られている(特許文献1参照)。このような遊技機においては、複数種類の抽せんテーブル(例えば、内部抽せんテーブル、モード抽せんテーブル、演出抽せんテーブルなど)があらかじめ用意されている。
【0003】
そして、例えば、演出抽せんテーブルには、遊技の進行状況に応じて使い分けられるテーブルであって、演出抽せんにて当せんしうる演出項目の種類および/または演出項目に割り当てられる置数がさまざまに異なる演出テーブル、があらかじめ複数種類用意されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、有利状態当否抽せんテーブルの演出項目(連続演出番号)に関する置数の割り当てを、遊技機の設計段階で変更することができることが記載されている。
【0005】
そして、このような遊技機では、遊技の進行状況、あるいは、当せん役の種類などによって、あらかじめ設定された複数種類の抽せんテーブルから、そのタイミングで使用される抽せんテーブルが決定される。これにより、従来の遊技機は、多彩な演出を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-118928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の遊技機では、設計段階で、複数種類の抽せんテーブルを用意する必要があるため、データ容量が大きくなってしまう。
【0008】
本発明の目的は、データ容量の過多を軽減することのできる遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
遊技に関する所定の抽せん処理において用いられる抽せんテーブルを記憶することが可能な記憶部と、
所定条件が満たされた場合に、前記抽せんテーブルに関する設定処理を実行し、前記設定処理がなされた以降の前記抽せんテーブルを用いて、前記抽せん処理を実行することが可能な制御部と、
を備え、
前記設定処理は、
前記設定処理が実行される前の前記抽せんテーブル自体の少なくとも一部の内容を自動で書き換えて更新する処理、または、
あらかじめ用意された前記抽せんテーブルは残したまま、あらかじめ用意された前記抽せんテーブルに関連するテーブルの少なくとも一部の前記内容を書き換えて新たな前記抽せんテーブルを自動で生成して前記抽せん処理用のテーブルに設定する処理、
である、
遊技機である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、データ容量の過多を軽減することのできる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】スロットマシンの正面図である。
図2】スロットマシンおよびカードユニットの構成を模式的に示すブロック図である。
図3】回転リールの図柄の配列の一例を示す図である。
図4】遊技区間の状態遷移を説明する図である。
図5】第1遊技状態における状態遷移を説明する図である。
図6】第2遊技状態における状態遷移を説明する図である。
図7】レンジ(MY)および有利区間差数を説明する図である。
図8】メイン制御基板、遊技価値制御基板およびサブ制御基板の接続/通信関係を説明する図である。
図9】(a)設定処理が実行される前の演出抽せんテーブルを説明する図であり、(b)設定処理が実行された後の演出抽せんテーブルを説明する図である。
図10】スロットマシンの動作処理の流れを示すフロー図である。
図11】テーブル更新処理の流れを示すフロー図である。
図12】(a)設定処理が実行される前の演出抽せんテーブルを説明する図であり、(b)設定処理が実行された後の演出抽せんテーブルを説明する図である。
図13】(a)設定処理が実行される前の演出抽せんテーブルを説明する図であり、(b)設定処理が実行された後の演出抽せんテーブルを説明する図である。
図14】(a)設定処理が実行される前の演出抽せんテーブルを説明する図であり、(b)設定処理が実行された後の演出抽せんテーブルを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
本発明の遊技機の実施形態にかかるスロットマシン1について、図1図11を参照して説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本発明の実施形態を適宜変更することができる。また、以下の説明において、「接続」には、接続対象同士が直接的に接続される場合と、接続対象同士が他の基板あるいは装置等を介して間接的に接続される場合と、が含まれる。
【0013】
本実施形態のスロットマシン1は、図1のとおり、物理的に実在するメダルが用いられずに、遊技価値の数量が電子データ(以下、「遊技価値データ」という)にて管理されるタイプの回胴式遊技機である。
【0014】
このスロットマシン1では、従来のスロットマシンとは異なり、実在するメダルが投入される必要がなく、実在するメダルが払い出されることもない。そして、スロットマシン1では、電子データ化された疑似的な遊技媒体が遊技価値データとして用いられ、遊技が進行する。このようなスロットマシン1は、メダルレス機、スマスロ(登録商標)、封入式の回胴遊技機などと呼称される。
【0015】
以下では、まず、このスロットマシン1に接続されるカードユニット7について説明する。
【0016】
<カードユニット7の構成>
カードユニット7は、図2に示すとおり、スロットマシン1の外部においてスロットマシン1と通信可能に接続されている。
【0017】
また、カードユニット7は、その内部に、現実物品のメダルに代わる電子データとしての遊技価値データを記憶するカード70を格納することができる。
【0018】
また、カードユニット7は、主に、以下に述べる遊技価値データのスロットマシン1への転送に伴う遊技価値貸出処理と、逆にスロットマシン1からの遊技価値データの転送に伴うカード70の排出処理とを行うことができる。
【0019】
また、カードユニット7は、スロットマシン1の媒体管理部620(後述)との間で必要なデータを送受信することで、スロットマシン1内の遊技価値データの管理を行うことができる。
【0020】
また、カードユニット7は、貸出ボタン71を備えている。操作者によってカードユニット7に紙幣が投入され、その後、操作者によって貸出ボタン71が操作されることにより、貸出信号が生成されて媒体管理部620へと送信される。
【0021】
なお、本明細書において、「操作者」は、遊技を実行しているユーザである遊技者、遊技を終了したユーザ(店舗内を歩いているユーザを含む)、店舗スタッフのすべてを意味するが、必要に応じて、個別に「店舗スタッフ」、「遊技者」などと表記する場合がある。
【0022】
カードユニット7の内部には、スロットマシン1との通信用I/F(インターフェース)のほか、図2に示すとおり、現金管理機構73、カード管理機構74、カードユニット側制御部75が設けられている。
【0023】
現金管理機構73は、現金を投入するための開口部(図示略)から投入された紙幣をカードユニット7内部に導入するとともに、紙幣を検出・蓄積する。
【0024】
カード管理機構74は、カード70を挿入・排出するための開口部(図示略)から挿入されたカード70を導入して収容するとともに、排出ボタン72が操作された場合はカード70を開口部から排出する。
【0025】
カードユニット側制御部75は、CPU、RAMおよびROMなどで構成されている。カードユニット側制御部75は、現金管理機構73およびカード管理機構74それぞれの動作制御、遊技価値の貸出処理、カード70の認証処理、カード70からのデータ読出処理および書込処理などを行う。
【0026】
現金管理機構73の動作処理には、投入された紙幣がカードユニット7内部に導入されるように現金管理機構73を動作させる処理、投入された紙幣が現金管理機構73内で詰まった場合はその旨のエラー報知を行う処理、投入された紙幣に応じた遊技価値を現在の貸出残高に加算してRAMに一時的に記憶する処理などが含まれる。
【0027】
カード管理機構74の動作処理には、挿入されたカード70がカードユニット7内部に導入されるようにカード管理機構74を動作させる処理、排出ボタン72の操作に伴ってカード70が排出されるようにカード管理機構74を動作させる処理、などが含まれる。
【0028】
遊技価値の貸出処理には、貸出ボタン71の操作に伴って貸し出す分の遊技価値データをスロットマシン1(後述の遊技価値制御部62に搭載される媒体管理部620)に送信する処理が含まれる。その際、カードユニット7においてRAMに一時的に記憶された貸出残高の遊技価値データから、貸し出す分の遊技価値データを減算する処理も行われる。
【0029】
カード70の認証処理では、開口部にカード70が挿入された際に表示パネルを介して暗証番号の入力がなされた場合に、入力された暗証番号とカードに書きこまれている暗証番号とが一致するか否かが判断される。カードユニット側制御部75は、両者が一致すると判断した場合に、認証対象となったカード70を引き続き使用することを許容するが、両者が一致しないと判断した場合には、認証対象となったカード70を引き続き使用することを許容しない(使用を制限する)ことがある。
【0030】
カード70からのデータ読出処理では、カード70に遊技価値データが書き込まれている場合はこれが読み出され、貸出残高としてRAMに一時的に記憶される。
【0031】
カード70への書込処理では、スロットマシン1の計数ボタン44が操作されたことに伴って遊技価値データがカードユニット7へ転送された場合に、遊技価値データはRAMに一時的に記憶され、その後、排出ボタン72が操作されたことに伴ってカード70に遊技価値データが書き込まれる。
【0032】
排出ボタン72が操作された際に、カード70にすでに遊技価値データが書き込まれている場合には、カードユニット側制御部75は、遊技価値データに、スロットマシン1から受信した遊技価値データの量を加算してカード70に書き込む処理(更新処理)を行う。
【0033】
これにより、カードユニット7にて排出ボタン72が操作された際、遊技者が所有している遊技価値データおよび貸出残高のデータの少なくとも1つが書き込まれたカード70が開口部から排出される。
【0034】
また、カードユニット7は、スロットマシン1以外の装置である、図示しないホールコンピュータ、ユニット管理コンピュータなどとも通信可能に接続されている。カードユニット7からホールコンピュータおよびユニット管理コンピュータへは、例えば、有利遊技状態(後述するAT、CZ、特別役(ボーナス)実施状態等)での遊技回数を含む有利遊技状態に関する情報、遊技価値の数量の推移、消化ゲーム数、役物比率などのスロットマシン1にかかる各種情報が送られる。
【0035】
<スロットマシン1の構成>
本実施形態のスロットマシン1は、前述のとおり、現実物品であるメダルを用いることなく遊技を進行させることのできるメダルレス機である。本実施形態のスロットマシン1では、現実物品であるメダルに代えて、電子データとしての遊技価値データを用いて遊技が行われる。なお、以下では、「遊技価値データ」とは別に、従来の「メダル」に対応する言葉として、「遊技価値」と表現する場合もある。
【0036】
図1に示すように、スロットマシン1は筐体10を備える。筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。この前面扉100は、遊技の進行中は施錠されている。
【0037】
前面扉100の中央部分には、透明性のリール窓200が設けられている。操作者は、このリール窓200から、後述する複数の回転リール20それぞれの表面に表示された複数の図柄を視認することができる。
【0038】
前面扉100のうち、スロットマシン1の正面視(図1における紙面奥側方向)における前面扉100の右端部付近には、鍵穴(図示略)が設けられている。鍵穴には、前面扉100および筐体10を施錠または解錠するための鍵が差し込まれる。遊技中は前面扉100および筐体10の施錠状態が維持されるため、遊技者は筐体10内部にアクセスすることができない。
【0039】
また、スロットマシン1はメダルレス機のため、筐体10内部にはセレクタおよびホッパー装置が設けられておらず、店舗スタッフは、実在するメダルを遊技中に補給する必要がない。そのため、遊技中は、スロットマシン1でエラーが生じた場合を除き、原則的には、店舗スタッフが前面扉100および筐体10を施錠/解錠することがない。
【0040】
店舗スタッフが設定変更作業、設定値確認作業、メンテナンス作業等を行う場合には、前面扉100および筐体10が解錠され、前扉100は筐体10に対して回動可能となる。これにより、店舗スタッフは、筐体10内部にアクセスすることができる。
【0041】
リール窓200の上方には、遊技中の各種の演出を行うための液晶画面3、スピーカ101、および電飾部102が設けられている。
【0042】
液晶画面3は、遊技者の遊技中に各種の演出動画(演出画面)を表示する。
【0043】
スピーカ101は、所定のBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)および音声を出力する。
【0044】
電飾部102は、LEDなどで構成されており、例えば期待度の高い演出画面が表示されたり、役が入賞したりした場合に、所定のパターンで点灯または消灯する。
【0045】
リール窓200の下方には、操作部4、下部パネル103、前面底部104などが設けられている。下部パネル103には、スロットマシン1にかかるタイトルなどが表示されている。前面底部104には、操作者の私物などを置くことができるようになっている。
【0046】
操作部4は、複数のストップスイッチ40(40a、40b、40c)、ベットスイッチ41、レバー42、デジタルカウンタ43、計数ボタン44、キャンセルボタン45、演出ボタン46を含む。
【0047】
操作部4の各スイッチ付近には、遊技者の操作を検知して制御部6に操作信号を出力するセンサが設けられている。
【0048】
各ストップスイッチ40(40a、40b、40c)は、各回転リール20(20a、20b、20c)に対応して設けられている。ストップスイッチ40a、40b、40cは、回転リール20a、20b、20cが回転している間に、対応する回転リール20a、20b、20cの回転を停止させるための操作を受けつける。すなわち、ストップスイッチ40aが操作されると回転リール20aの回転が停止し、ストップスイッチ40bが操作されると回転リール20bの回転が停止し、ストップスイッチ40cが操作されると回転リール40cの回転が停止する。
【0049】
ストップスイッチ40a、40b、40cの内部には、ランプが設けられている。ランプは、例えばレバー42が操作されてから各回転リール20a、20b、20cが定常回転状態に到達するまでの間、ストップスイッチ40a、40b、40cが操作無効な状態である旨を発色(例えば、赤色)で示すことができる。また、ランプは、各回転リール20a、20b、20cが定常回転状態に到達してからストップスイッチ40a、40b、40cが操作されるまでの間、ストップスイッチ40a、40b、40cが操作有効な状態である旨を、前記発色とは異なる発色(例えば、青色)で示すことができる。
【0050】
ベットスイッチ41は、操作者が遊技価値をベットする際に用いられる。なお、クレジットされている遊技価値およびベットされた遊技価値の数量は、スロットマシン1(媒体管理部620)で管理される。以下において、「クレジットされている遊技価値」という場合には、媒体管理部620で管理されている遊技価値(遊技価値データ)のことを意味する。
【0051】
レバー42は、回転リール20a、20b、20cを回転させるための操作を受けつけるスタートスイッチとして機能する。
【0052】
デジタルカウンタ43には、遊技価値のクレジット数、遊技価値の払い出し数(獲得数)などがデジタル表記される。操作者は、デジタルカウンタ43を確認することで、所持している遊技価値の数量がどの程度であるかを遊技中に確認することもできる。また、これにより、遊技者は、実在するメダルを手にすることなく遊技をすることができる。
【0053】
なお、本実施形態における「遊技価値の払い出し数」とは、実在するメダルがスロットマシン1の外部へ払い出される動作ではなく、「内部抽せんによって成立した役に基づき、その役に応じた分の遊技価値が増加すること」を意味する。すなわち、「遊技価値の払い出し数」とは、「電子データ化された疑似的な遊技媒体の数値が増加すること」である。また、例えば「所定数の遊技価値」とは、従来の「所定枚数のメダル」に相当する概念である。
【0054】
計数ボタン44は、遊技価値データを媒体管理部620からカードユニット7へ転送するための、操作者による操作を受けつけることができる。計数ボタン44が操作者の操作を受けつけたとき、計数ボタン44にて転送信号が生成される。
【0055】
なお、計数ボタン44が操作された以降に、例えばレバー42が上げ下げされることにより、操作者が指定する任意の数量の遊技価値データがカードユニット7へ転送することができてもよい。この場合において、操作者が任意の数量の遊技価値データを転送するためのボタンは、計数ボタン44であってもよく、また、計数ボタン44とは異なるボタンであってもよい。あるいは、操作者がカードユニット7側のボタンを操作することにより、操作者が指定する任意の数量の遊技価値データが、スロットマシン1に転送することができてもよい。
【0056】
また、計数ボタン44が1回操作された際の管理中の遊技価値データの減算量は、例えば「1」あるいは「50」のように、あらかじめ決定されていてもよい。また、計数ボタン44が連続して操作されている間(操作され続けている間)は、クレジットされている遊技価値が減算され続けてもよい。
【0057】
本実施形態では、計数ボタン44は、スロットマシン1のうち操作者に視認可能な位置に配置されている。視認可能な位置とは、操作者が、開錠して前面扉100を開けることなく、手に触れることのできる位置であり、本実施形態では、筐体10の前面である。
【0058】
より具体的には、計数ボタン44は、図1のとおり、操作部4のうち、スロットマシン1の正面視においてカードユニット7に近い側に配置されている。これにより、計数ボタン44がカードユニット7に関係するボタンである旨が遊技者に伝わりやすくなるとともに、計数ボタン44が操作された後にカードユニット7からカード70が排出されるまでの操作の流れがスムーズになる。
【0059】
また、計数ボタン44は、その内部または周辺に、操作される前と後とで発光色が変化するランプを備えていてもよい。
【0060】
キャンセルボタン45は、ベットされている状態(ベット状態)の遊技価値をベットされていない状態(非ベット状態)とするための、操作者による操作を受けつけることができる。キャンセルボタン45が操作者の操作を受けつけたとき、キャンセルボタン45にてキャンセル信号が生成される。その後、キャンセル信号を受信した媒体管理部620は、ベット状態の遊技価値データを非ベット状態として管理する。
【0061】
例えば、ベット中の遊技価値が1以上である状態にてキャンセルボタン45が操作されると、媒体管理部620は、ベット中の遊技価値を「0」に更新するとともに、「0」になるまでベットされていた遊技価値データを、クレジットされている遊技価値データに加算する。これにより、デジタルカウンタ43が表示するクレジット数は、ベットされていた遊技価値データの分だけ増加する。すなわち、キャンセルボタン45は、ベット状態を非ベット状態へ遷移させることでベット中の遊技価値をクレジット数に戻すベット解除処理、を媒体管理部620に実行させるためのボタンである。
【0062】
なお、キャンセルボタン45への操作に基づくベット解除処理は、ベット状態であるがレバー42が未だ操作されていない状態下で有効である。一方で、レバー42が操作されてからレバー42の操作に基づく遊技が終了するまでは、ベット解除処理は無効化される。本実施形態では、キャンセルボタン45は、ベットスイッチ41の近くに配置されている。
【0063】
演出ボタン46は、遊技者が遊技を行う際に、音量設定、遊技データの確認、その他遊技に関する各種メニュー設定などを行うために用いられるボタンである。また、演出ボタン46は、遊技中、演出に応じて操作者により操作されることがある。遊技中に演出ボタン46が操作された場合には、演出に変化が生じる。
【0064】
また、演出ボタン46は、さまざまな色およびパターンで発光することが可能なランプを備える。ランプは、演出ボタン46が操作有効な状態の場合は点灯され、操作無効な状態の場合には消灯される。また、演出ボタン46の操作を契機として特別役およびATなどの有利遊技状態の当せん告知演出を出力する場合には、ランプは、赤色、虹色等の、通常点灯時とは異なる発色で高速点滅することも可能である。
【0065】
また、筐体10の内部には、図2のとおり、リセットボタン51、設定変更ボタン52が設けられる。
【0066】
リセットボタン51は、各種エラーの解除および制御部6を構成するRAMの初期化の際に操作される。例えば、リセットボタン51が操作されたままスロットマシン1の電源がオフからオンに切り替えられると、媒体管理部620が管理している遊技価値の数量が「0」にクリアされるとともに、スロットマシン1の第2遊技状態は「一般遊技状態」に、遊技区間は「通常区間」に設定される。
【0067】
設定変更ボタン52は、複数段階の設定値のうちのいずれか1つがスロットマシン1に設定される際に、店舗スタッフによって操作されるボタンである。例えば、スロットマシン1が設定変更モードに設定された状態でスロットマシン1の電源がオフからオンに切り替えられると、設定変更ボタン52は操作有効な状態となり、この状態で設定変更ボタン52が操作されると設定値の設定が可能となる。
【0068】
遊技進行中あるいは遊技待機中は、筐体10と前面扉100とが施錠されているため、解錠する権利を持つ者(例えば、鍵を所有している店舗スタッフ)以外は、リセットボタン51および設定変更ボタン52に触ることができない。筐体10および前面扉100が解錠される場面は、原則として、スロットマシン1にエラーが生じた場合に限られる。そのため、遊技者は、リセットボタン51および設定変更ボタン52に触ることはできない。
【0069】
設定値とは、スロットマシン1に投入された遊技価値の総数に対する、払い出された遊技価値の総数の割合を示す出玉率、を表した値である。設定された設定値は、内部抽せんに影響を与える。そして、設定値に応じて、当せん候補となる役のうち少なくとも一部の当せん確率が異なる。設定値は、店舗開店前に、店舗スタッフによって設定される。
【0070】
また、スロットマシン1は、図2に示すとおり、回転リールユニット2、および制御部6を備える。回転リールユニット2、および制御部6は、スロットマシン1の主電源をオンおよびオフする電源装置(図示略)などとともに、筐体10の内部に配置されている。
【0071】
回転リールユニット2は、図1および図2に示すとおり、3つの回転リール20a、20b、20cと、3つのステッピングモータ21a、21b、21cとを備える。回転リールユニット2は、筐体10の内部において、リール窓200の位置に対応して配置されている。
【0072】
回転リール20a、20b、20cの表面には、例えば、図3に示すような図柄(シンボル)が配置されている。回転リール20a、20b、20cの回転が停止したときに後述の有効ラインLに表示される図柄の組み合わせが、あらかじめ定められた図柄の組み合わせであるか否かを後述の遊技結果判定部612が判定することで、遊技が進行する。
【0073】
ステッピングモータ21a、21b、21cは、回転リール20a、20b、20cに対応して設けられており、対応する回転リール20a、20b、20cを駆動させる。
【0074】
ステッピングモータ21a、21b、21cは、回転リール20a、20b、20cの回転中にストップスイッチ40a、40b、40cが操作されてから190m秒以内に、操作されたストップスイッチ40(例えば、40a)に対応する回転リール20(例えば、20a)の回転を停止させる。ステッピングモータ21a、21b、21cは、504ステップで1回転する。これにより、回転リール20a、20b、20cは、80回転/分の速度で回転する。すなわち、190m秒以内で進めるステップは、127ステップである。
【0075】
これらの回転リール20a、20b、20cおよびステッピングモータ21a、21b、21cは、後述する回転リール制御部611によって、その回転および停止が制御される。
【0076】
<操作者による遊技の流れ>
操作者は、ベットスイッチ41を操作することによりクレジットされている遊技価値を使用して、スロットマシン1に遊技価値をベットする。スロットマシン1に所定数(例えば、3)の遊技価値がベットされると、有効ラインLが有効化される。その後、レバー42の操作、すなわち遊技を開始することが可能となる。
【0077】
本実施形態には、ベットスイッチ41を1回押すことで、1回遊技を実行することができる所定数(例えば、3)の遊技価値が自動でベットされる例が記載されている。
【0078】
図1は、有効ラインLが、右下がりラインの1本で構成されている例である。有効ラインLとは、役の入賞を決定するための仮想ラインである。本実施形態では、MAX BET(マックスベット)となる3ベット(3掛け)をした場合に、1本のラインLが有効化される。
【0079】
以下では、ベル、スイカなどの遊技価値の払い出しのある役が有効ラインL上に揃うことのみならず、遊技価値の払い出しがなされないリプレイ、チャンス目、特別役(ボーナス/いわゆるリアルボーナス)などの特定の役に対応する図柄が有効ラインL上に揃うことも、「入賞」と表現する。
【0080】
本実施形態における1ゲーム(1遊技)とは、遊技者がベットスイッチ41、レバー42およびストップスイッチ40a、40b、40cなどを操作して、内部抽せん、入賞判定処理、遊技価値データの増減処理を含む、所定の遊技結果を得る一連の動作をいう。
【0081】
具体的には、遊技が開始可能な状態でレバー42が操作(レバーオン)されると、当せんフラグを決定する内部抽せんが行われるとともに、回転リール20a、20b、20cの回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40a、40b、40cのいずれかが操作されると、その操作されたストップスイッチ40(例えば、40b)に対応する回転リール20(40b)が停止する。すべての回転リール20a、20b、20cが停止し、有効ラインLに揃った(入賞した)図柄の組み合わせ(役)に応じて、所定数の遊技価値の払い出し処理が実行される。これにより、1ゲームが終了する。
【0082】
なお、これらの所定の遊技結果が得られるまでの遊技の進行に関する情報の少なくとも一部(例えば、ベットスイッチ41が操作されたこと、レバー42が操作されたこと、ストップスイッチ40が操作されたこと、内部抽せんが実行されたこと、所定役が当せんしたこと、回転リールが回転したことなど)は、メイン制御部61で管理される。
【0083】
<遊技状態について>
遊技中は、図4に示すように遊技区間の種類が設定され、図5および図6に示すように複数の遊技状態の中から1つの遊技状態が設定される。設定された遊技区間および遊技状態に基づいて、内部抽せんおよび所定の抽せんが行われる。
【0084】
遊技状態には、第1遊技状態(図5参照)および第2遊技状態(図6参照)が含まれる。なお、第1遊技状態および第2遊技状態は、排他的に成立する遊技状態ではなく、説明の便宜上区別するために分類した状態にすぎない。
【0085】
第1遊技状態は、図5に示すように、特別役非持ち越し状態と、ボーナス内部状態(特別役持ち越し状態)と、特別役実施状態とを含む。特別役非持ち越し状態とボーナス内部状態と特別役実施状態とは、排他的に成立する関係にある。
【0086】
特別役非持ち越し状態とは、内部抽せんにより特別役(例えば、第一種特別役物にかかる役物連続作動装置である1種BB)が当せんしておらず、かつ、特別役の入賞が持ち越されていない状態をいう。特別役非持ち越し状態は、例えば、後述の設定値が変更された場合、RAMが初期化された場合(所定条件の一例)、特別役実施状態において所定数を超えて遊技価値が払い出された場合、などに設定される。
【0087】
ボーナス内部状態は、内部抽せんにより特別役が当せんしているものの、その特別役の入賞が持ち越されている状態をいう。つまり、ボーナス内部状態とは、内部抽せんによって、特別役のフラグが当せんしたが、その特別役を示す図柄が有効ラインL上に揃っておらず、特別役が未だに入賞していない状態をいう。なお、1種BBの入賞が持ち越された状態にある場合には、さらなる1種BBの抽せんは行われない。
【0088】
特別役実施状態は、内部抽せんにより当せんした特別役が入賞した状態であって、所定数を超える遊技価値の払い出しがなされていない状態をいう。
【0089】
スロットマシン1の遊技中、操作者は、持ち越された状態にある特別役を入賞させることなく、第1遊技状態が特別役持ち越し状態のままで遊技を続行する。
【0090】
本実施形態におけるスロットマシン1は、AT(アシストタイム)機である。AT機は、例えば店舗開店前に店舗スタッフの操作により第1遊技状態がボーナス内部状態に設定されて、この状態のもとで操作者が第2遊技状態を遷移させて遊技を楽しむものである。
【0091】
第2遊技状態は、図6に示すように、一般遊技状態、AT(特別遊技状態の一例)、CZ(チャンスゾーン。特別遊技状態の一例)のいずれかをとる。第2遊技状態において一般遊技状態とATおよびCZとは、排他的に成立する関係にある。
【0092】
一般遊技状態とは、ATおよびCZでない状態、つまりアシスト機能(例えば、操作順ナビ)が発生しない状態(あるいは、発生しにくい状態)である。例えば、RAMクリア後あるいはAT(あるいはCZ)終了後などからAT抽せん(あるいはCZ抽せん)に当せんするまでの間、第2遊技状態は一般遊技状態に設定される。
【0093】
ATとは、内部抽せんにより当せんした前記特別役以外の役のストップスイッチ40a、40b、40cの正解操作態様(正解操作順/正解操作タイミング)を、液晶画面3、スピーカ101、および電飾部102を介して知らせるアシスト機能、が作動している状態である。
【0094】
AT抽せんは、遊技区間が有利区間である場合に、内部抽せんにより当せんした役(レア役の当せん、所定役の当せん回数など)に応じて行われる。遊技区間が有利区間である間に、AT抽せんにてATが当せんした(AT移行信号が生成された)場合に、第2遊技状態は、一般遊技状態からATへと移行する。
【0095】
ATにて遊技が開始されてから所定ゲーム数が経過した場合、ATにて遊技が開始されてから遊技価値が払い出された総数が所定数に達した場合、アシストが規定回数実行された場合、または、特定の役(例えば、押し順ベル)にかかるアシストが規定回数実行された場合などに、第2遊技状態は、ATから一般遊技状態へ移行する。これにより、ATは終了する。
【0096】
CZは、後述のモードとは異なり、特別遊技状態の一例であって、一般遊技状態およびATのいずれでもないときに一時的に滞在しうるゾーンであり、ATの当せん期待度を匂わせるものである。
【0097】
また、CZは、内部抽せんにて当せんした役に基づいて行われるCZ抽せんに当せんした場合、有利区間での消化ゲーム数が所定ゲーム数に到達した場合、遊技の進行に応じて蓄積したポイントが所定値に到達した場合などの、なんらかの条件が成立したときに突入する。このCZのときには、AT当せん確率が一般遊技状態に比して高くなり、第2遊技状態がATへ移行しやすくなる。
【0098】
<遊技区間について>
前述した遊技区間とは、指示機能にかかる処理が行われるか否かを決定するための状態(区間)である。図4に示すように、遊技区間は、通常区間と有利区間とで構成される。通常区間と有利区間とは排他的な関係にあり、遊技区間は、通常区間または有利区間のいずれかをとりうる。
【0099】
指示機能にかかる処理とは、例えば、指示機能を発揮させる(アシストを行う)処理、モード(ATの当せん確率が定められたモード、あるいはAT上乗せ当せん確率が定められたモード)抽せん、モード移行処理、CZ抽せん処理、CZ処理、AT抽せん処理(ATの継続に関する処理を含む)、AT処理、などのことである。
【0100】
なお、モードとは、一般遊技状態、CZ、ATのいずれでも滞在しうるゾーンである。例えば、図6において、一般遊技状態、CZ、ATのそれぞれで、モード(例えば、低確率モード、高確率モード、天国モード)が用意されていてもよい。また、一般遊技状態、CZ、およびATに限られず、有利区間中は同じモードに滞在することもできる。
【0101】
通常区間は、指示機能にかかる処理を実行することができないが、有利区間への移行条件が成立することで有利区間への移行処理が実行される区間である。なお、遊技区間が通常区間である間は、第2遊技状態は一般遊技状態である。
【0102】
有利区間は、指示機能にかかる処理を実行することが可能な区間である。有利区間には、第2遊技状態が一般遊技状態(高確率モード、天国モードを含む)で進行する有利区間と、CZまたはATで進行する有利区間とが含まれる。遊技区間が有利区間に移行してから所定の終了条件が満たされるまでの間、遊技区間が有利区間である状態は維持される。
【0103】
なお、スロットマシン1にて取りうる、遊技区間と第2遊技状態との組み合わせパターンをまとめると以下のとおりとなる。
・遊技区間が通常区間、第2遊技状態が一般遊技状態であるパターン
・遊技区間が有利区間、第2遊技状態が一般遊技状態(高確率モード、天国モードを含む)であるパターン
・遊技区間が有利区間、第2遊技状態がCZであるパターン
・遊技区間が有利区間、第2遊技状態がAT状態であるパターン
【0104】
<制御部6の構成>
図2に示すように、制御部6は、メイン制御部61、遊技価値制御部62、およびサブ制御部63を備える。
【0105】
メイン制御部61、遊技価値制御部62、およびサブ制御部63それぞれは、CPU、記憶部(ROM、RAM、RWM)で構成される。
【0106】
以下、メイン制御部61、遊技価値制御部62、およびサブ制御部63の接続関係および通信処理について、図8を用いて説明する。本実施形態では、メイン制御部61、遊技価値制御部62およびサブ制御部63それぞれは、異なる基板上に実装されている。
【0107】
メイン制御部61が実装されたメイン制御基板P1、および、遊技価値制御部62が実装された遊技価値制御基板P2は、ハーネスによって電気的に接続されており、双方向のシリアル通信が実行可能である。
【0108】
メイン制御基板P1から遊技価値制御基板P2へ送信される情報およびコマンドには、外端情報、設定変更中か否か、各種エラーに関するコマンド、ベットボタン41が操作されたことによる遊技価値のベット要求信号、当せん役に対応した遊技価値の払い出し要求信号、キャンセルボタン45が操作されたことによるベット解除処理の要求信号、計数ボタン44が操作されたことによる遊技価値の転送要求、などがある。
【0109】
遊技価値制御基板P2からメイン制御基板P1へ送信される情報およびコマンドには、コンプリート機能(後述)が作動した旨の情報、クレジット数が上限値(クレジット数が多すぎるため、操作者に転送を促すための値)に達した旨の情報、カードユニット7とスロットマシン1との間の通信異常の有無に関する情報、メイン制御部61からの要求に対する各種応答、などがある。
【0110】
メイン制御基板P1、および、サブ制御部63が実装されたサブ制御基板P3は、ハーネスによって電気的に接続されているが、メイン制御基板P1からサブ制御基板P3への一方向でのシリアル通信のみが行われる。メイン制御基板P1からサブ制御基板P3へ送信される情報およびコマンドには、遊技価値に関する情報(例えば、遊技価値のベット/払い出し情報、AT中の遊技価値の獲得総数)、遊技開始/終了の旨の情報、役物作動開始/終了情報、各種エラーに関する情報、などがある。
【0111】
遊技価値制御基板P2およびサブ制御基板P3は、ハーネスによって電気的に接続されているが、遊技価値制御基板P2からサブ制御基板P3への一方向でのシリアル通信が行われる。
【0112】
遊技価値制御基板P2からサブ制御基板P3へ送信される情報およびコマンドには、後述するレンジ(MY)、コンプリート機能の作動を示す情報、コンプリート機能作動前の事前通知に関するコマンド、遊技価値の転送に関する情報(例えば、転送開始の旨、転送中、転送完了等)、クレジット数あるいは獲得数などを示す情報、クレジット数が上限に到達した旨の情報、クレジット数のバックアップエラーが発生している場合はそのエラー情報、などがある。
【0113】
遊技の進行に伴って、レバー42、ストップスイッチ40a、40b、40cなどの操作部4の機能がアクティブ化されるにあたっては、メイン制御部61から操作部4などへの一方向でのシリアル通信が行われる。
【0114】
<メイン制御部61の説明>
メイン制御基板P1に搭載されるメイン制御部61のROMには、遊技進行に直接的(例えば、回転リール20の制御、出玉制御、転送要求)にかかわるプログラム、各種データが記憶されている。
【0115】
メイン制御部61のRAM、RWMには、遊技進行に必要な遊技データ(遊技の進行に関する情報)が記憶される。
【0116】
メイン制御部61は、メイン制御部61のCPU、記憶部(ROM、RAM、RWM。以下、同じ)の動作により、遊技制御部の機能としての、内部抽せん部610、回転リール制御部611、遊技結果判定部612、設定値制御部613、区間制御部614、遊技状態制御部615、RT状態制御部616、エラー判定部617として機能する。
【0117】
すなわち、本実施形態において、メイン制御部61は、遊技進行に直接的にかかわる制御を行う。具体的には、メイン制御部61で実行される制御は、例えば、内部抽せん処理、回転リール20a、20b、20cの制御、各種遊技状態および/または遊技区間制御、スロットマシン1とカードユニット7との間での通信接続監視などの各種のエラー監視、エラー処理などである。
【0118】
遊技データには、現在のゲーム数のほか、遊技ステータス(各遊技状態および遊技区間がどの状態または区間であるか)を示すデータなどが含まれる。本実施形態における遊技データには、例えば、第1遊技状態が特別役非持ち越し状態、ボーナス内部状態などであることを示すデータなどが含まれる。
【0119】
<内部抽せん部610>
内部抽せん部610は、レバー42の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせる。具体的には、内部抽せん部610は、レバー42が操作されたときの、第1遊技状態およびRT状態などに基づいて、内部抽せんテーブル(図示略)およびレバー42が操作されたときに取得される乱数に従って内部抽せんを行う。
【0120】
そして、内部抽せん部610は、内部抽せんの結果に基づいて、内部抽せん結果信号を生成する。内部抽せん結果信号(遊技の進行に関する情報の一例)は、内部抽せん部610から、回転リール制御部611、遊技結果判定部612、遊技状態制御部615、および演出制御部630などに送信される。
【0121】
内部抽せんテーブルは、内部抽せんにより当せんする可能性のある役の情報を示したものである。内部抽せん部610は、内部抽せんテーブルをもとに、レバー42が操作されたときのRT状態およびボーナスの種類などの組み合わせに応じて内部抽せんを行う。
【0122】
なお、内部抽せんテーブルに示された役の情報には、図柄の組み合わせと、その組み合わせに対応する役とが、関連づけられて1以上設定されている。その役には、遊技価値の払い出しが行われないはずれ役のほか、ストップスイッチ40a、40b、40cの操作態様が正しければ遊技価値が払い出される操作態様役(例えば、チェリー、スイカ、押し順リプ、押し順ベル)が含まれる。
【0123】
操作態様役が当せんし、その正解の操作態様どおりにストップスイッチ40a、40b、40cが操作された場合には、その操作態様役が入賞し、その役に応じた複数(例えば8)の遊技価値を獲得することができる。操作態様役が当せんしたにもかかわらず、正解の操作態様どおりにストップスイッチ40が操作されなかった場合には、その操作態様役は入賞しないか、またはそのほかの役(いわゆる1枚役など)が入賞する。
【0124】
なお、操作態様役は、一般遊技状態(例えば、ATおよびCZ以外)中にも当せんし成立している。しかしながら、一般遊技状態中に操作態様役が当せんした場合には、基本的には正解の操作態様は報知されないため、操作態様役は取りこぼされたり、遊技価値の払い出し数が1となったりする。一方、AT中は、正解操作態様が報知されるため、複数(例えば8)の遊技価値が払い出される可能性が高くなる。
【0125】
<回転リール制御部611>
回転リール制御部611は、レバー42または各ストップスイッチ40a、40b、40cの操作に基づいて、ステッピングモータ21a、21b、21cの駆動を制御し、各回転リール20a、20b、20cの回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御を行う。
【0126】
具体的には、すべての回転リール20a、20b、20cの回転が停止している状態においてレバー42が操作された場合には、回転リール制御部611は、すべての回転リール20a、20b、20cの回転を開始させる。前述のとおり、回転中の回転リール20(例えば、20c)に対応するストップスイッチ40(例えば、40c)が操作された場合には、回転リール制御部611は、操作されたストップスイッチ40(例えば、40c)に対応する回転リール20(例えば、20c)の回転を停止させる。
【0127】
遊技者による遊技中の回転停止制御では、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40a、40b、40cの操作に基づいて、内部抽せん結果である当せんフラグ(ただし、特別役のフラグを除く)が示す役に対応する図柄の組み合わせが、回転リール20の有効ラインL上に配置されることでその役が入賞するように、回転リール20a、20b、20cの回転を停止させることができる。
【0128】
また、回転リール制御部611は、前ゲームでの回転リール20a、20b、20cの回転開始から一定時間(いわゆるウェイト時間である4.1秒間)が経過している場合に、操作者によるレバー43の操作に基づいて回転リール20a、20b、20cの回転を開始する。すなわち、このスロットマシン1では、前ゲームの回転リール20a、20b、20cの回転開始から4.1秒間が経過するまでは、レバー42が操作されても、回転リール20a、20b、20cの回転が開始されず、遊技が進行しない。
【0129】
また、操作者による遊技中の回転停止制御では、回転リール制御部611は、内部抽せんにより当せんした役と、操作されたストップスイッチ40a、40b、40cに対応する回転リール20a、20b、20cの位置と、に応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御とは、当せんした役に対応する図柄を有効ラインL上に引き込むようにして、回転リール20の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御とは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように、回転リール20の回転を停止させる制御である。
【0130】
なお、特別役が当せんした場合に、回転リール制御部611は、その特別役が当せんする直前のレバー42の操作およびその直後のストップスイッチ40の操作に基づいて、回転リール20の回転および停止はさせるものの、その特別役を入賞させないようにすることもできる。
【0131】
<遊技結果判定部612の説明>
遊技結果判定部612は、内部抽せん部610から出力された内部抽せん結果信号と、各回転リール20の回転が停止したときにリール窓200を通して見える図柄とに基づいて、遊技の結果を判定する。遊技の結果は、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せん役が入賞したか否かによって判定される。
【0132】
具体的には、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせと、あらかじめ定められている所定の図柄の組み合わせとが一致した場合に、当せん役が入賞したと判定される。この判定結果(遊技の進行に関する情報の一例)は、遊技結果判定信号として遊技結果判定部612から遊技価値制御部62、およびサブ制御部63などへ送信される。
【0133】
<設定値制御部613の説明>
設定値制御部613は、店舗スタッフによる設定変更ボタン52への操作に基づいて、遊技の進行制御の有利度が異なる複数種類の設定値(例えば、1~6)のうちいずれか1つの設定値を用いて遊技進行を行う。この設定値は、スロットマシン1ごとに設定される。設定値制御部613によって設定された設定値の情報(設定値信号)は、内部抽せん部610、演出制御部630などへ送信される。
【0134】
いずれの設定値が用いられているかによって、遊技進行の有利度、例えば、機械割、押し順不問ベル(共通ベルとも呼ばれる)など特定の小役の当せん確率、CZの当せん確率、ATの当せん確率などの少なくとも1つが異なる。例えば、設定値は数字が大きくなるほど(例えば、6に近づくほど)、遊技進行の有利度が大きく(例えば、機械割が大きくなる)なる。
【0135】
なお、スロットマシン1は、設定キーをさらに備えていてもよい。設定キーは、設定変更モードへの切り替えキーであって、筐体10内部に設けられている。設定値制御部613は、店舗スタッフが設定キーをオフにすることで、設定変更モードをオフにし、店舗スタッフが設定キーをオンにすることで、設定変更モードをオンにする。
【0136】
<区間制御部614>
区間制御部614は、図4のとおり、遊技の際に、複数の遊技区間(通常区間および有利区間)のうちいずれかを設定する。
【0137】
区間制御部614は、遊技区間が通常区間である場合に、有利区間への移行条件が満たされると、遊技区間を有利区間に設定(移行)する。移行条件の一例として、通常区間に移行したゲームの直後のゲームが実行されること、区間移行抽せんに当せんすることなどがある。区間移行抽せんが実行される場合には、所定の抽せん対象役(例えば、チェリー、チャンス目などのレア役)が当せんした際に、区間移行抽せんを行うか否かの抽せんが行われ、その結果当せんした場合に、区間移行抽せんが行われる。
【0138】
また、区間制御部614は、遊技区間が有利区間である場合には、有利区間の状態を維持するか、通常区間に移行するか否か(有利区間を終了させるか否か)を決定する。
【0139】
具体的には、区間制御部614は、有利区間の状態での消化ゲーム数が4000ゲームに達した場合、および、有利区間に移行した時点における遊技価値の数量を基準とした有利区間中の遊技価値の差数(後述する有利区間差数)が+2400に達した場合、を含む強制終了条件が満たされた場合に、遊技区間を、有利区間から通常区間に強制的に移行させる。強制終了条件は、例えば、区間制御部614は、遊技区間が有利区間のときに、第2遊技状態がATから一般遊技状態に移行したことであってもよい。
【0140】
なお、例えば、有利区間となった以降に有利区間差数が-1000となった場合には、操作者(特に遊技者)は、1000+2400=3400の遊技価値を獲得することができる。
【0141】
また、区間制御部614は、スロットマシン1の電源がオンされた場合、あるいは、RAMがクリアされた場合などに、直前の遊技区間いかんにかかわらず、遊技区間を通常区間に設定する。
【0142】
なお、区間制御部614は、遊技区間に関する情報(通常区間、有利区間のいずれであるか)を、遊技の進行に関する情報として、遊技状態制御部615、演出制御部630などへ送信することができる。
【0143】
<遊技状態制御部615>
遊技状態制御部615は、第1遊技状態および第2遊技状態それぞれの設定を行う。
【0144】
具体的には、遊技状態制御部615は、第1遊技状態を、特別役非持ち越し状態、ボーナス内部状態、および、特別役実施状態のいずれかに設定し、第2遊技状態を、一般遊技状態、ATおよびCZのいずれかに設定する。
【0145】
遊技状態制御部615は、例えば、メイン制御部61のRAMがクリアされた直後などにおいて、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態に設定する。
【0146】
そして、内部抽せんにより特別役が当せんした場合であって、特別役が入賞しなかった場合に、遊技状態制御部615は、第1遊技状態をボーナス内部状態に設定する。
【0147】
ボーナス内部状態において、所定条件が満たされた場合(例えば、RAMがクリアされた場合、または設定値が変更された場合)に、遊技状態制御部615は、第1遊技状態をボーナス内部状態から特別役非持ち越し状態に移行させる。
【0148】
特別役非持ち越し状態において、特別役が当せんし(この時点から特別役が入賞するまでは、ボーナス内部状態)、かつ、特別役が入賞した場合に、遊技状態制御部615は、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態からボーナス内部状態を経由して特別役実施状態へ移行させる。
【0149】
また、ボーナス内部状態において、特別役が入賞した場合に、遊技状態制御部615は、第1遊技状態をボーナス内部状態から特別役実施状態へ移行させる。
【0150】
また、特別役実施状態において、所定条件が満たされた場合あるいは所定数を超えて遊技価値が払い出された場合に、遊技状態制御部615は、第1遊技状態を特別役実施状態から特別役非持ち越し状態へと移行させる。
【0151】
また、図6に示すように、遊技状態制御部615は、AT抽せんの結果に基づいて、第2遊技状態をATに設定するか否かを判定する。具体的には、遊技区間が有利区間である場合に行われるAT抽せんに当せんした場合に、遊技状態制御部615は、第2遊技状態をATに設定する。
【0152】
一方、AT抽せんに当せんしなかった場合には、遊技状態制御部615は、第2遊技状態を一般遊技状態に設定する。
【0153】
また、ATが終了した場合には、遊技状態制御部615は、第2遊技状態をATから一般遊技状態あるいはCZに移行させる。
【0154】
このように、遊技状態制御部615は、一般遊技状態とCZとの間、CZとATとの間、ATと一般遊技状態との間で、第2遊技状態を遷移させることができる。
【0155】
また、遊技状態制御部615は、有利区間のときに、第2遊技状態について、遊技の進行状況に関する複数種類のモード(例えば、AT抽せんに当せんしにくい通常モード、AT抽せんに当せんしやすい高確率モード)のうちいずれか1つのモードを選択する。そして、遊技状態制御部615は、選択したモードに関連づけられたAT当せん確率(あるいは上乗せ確率)にて、AT抽せん(あるいはAT上乗せ抽せん)を実行する。
【0156】
遊技状態制御部615は、第1遊技状態に関する情報および第2遊技状態に関する情報を、遊技の進行に関する情報として、演出制御部630などへ送信することができる。
【0157】
<RT状態制御部616>
RT状態制御部616は、複数のRT状態のうちの1つのRT状態を用いて遊技進行を行うことが可能である。複数のRT状態には、それぞれ、リプレイのフラグが当せんフラグとして成立する確率(リプレイ確率)があらかじめ定められており、RT状態制御部616は、所定の役(例えば、特別役)が当せんした場合などに、RT状態を遷移させることができる。
【0158】
本実施形態において、RT状態制御部616は、特別役実施状態とそれ以外の状態(特別役非持ち越し状態、ボーナス内部状態)とで、RT状態を異ならせる。また、RT状態制御部616は、特別役非持ち越し状態とボーナス内部中とでは、同じRT状態を維持する。そして、RT状態制御部616は、ATが実行されるボーナス内部中では、RT状態を遷移させない。
【0159】
なお、RT状態制御部616は、RT状態に関する情報(RT0、リプレイの当せん確率がRT0よりも高いRT1、などのうちのいずれのRT状態であるか)を、遊技の進行に関する情報として、演出制御部630などへ送信することができる。
【0160】
<エラー判定部617>
エラー判定部617は、各種エラーの有無を判定する。各種エラーとしては、バックアップ異常、メイン制御基板P1と遊技価値制御基板P2との間の通信異常、スロットマシン1とカードユニット7との間の接続異常、クレジット数の上限値到達、などが挙げられる。
【0161】
エラー判定部617が、これらのエラーのうち少なくとも1つが発生したと判定した場合には、発生したエラーを示すコマンドが、エラーに関する情報としてメイン制御部61から遊技価値制御部62およびサブ制御部63それぞれに送信される。
【0162】
これにより、遊技価値制御部62は、管理中の遊技価値のバックアップ処理などのエラーの内容に応じた処理を行い、サブ制御部63は、発生したエラーの内容を液晶画面3およびスピーカ102に報知させる処理を行うことができる。
【0163】
<遊技価値制御部62の説明>
遊技価値制御基板P2に搭載される遊技価値制御部62のROMには、遊技価値の管理に直接的にかかわるプログラム、各種データが記憶されている。
【0164】
遊技価値制御部62のRAM、RWMには、遊技価値の管理に必要な遊技データ(遊技の進行に関する情報)が記憶される。
【0165】
遊技価値制御部62のCPU、記憶部の動作により、遊技価値制御部62は、媒体管理部620、機能作動部621として機能する。
【0166】
<媒体管理部620の説明>
媒体管理部620は、遊技価値のクレジット数およびベット数を管理する。
【0167】
媒体管理部620は、メイン制御部61からの投入要求(所定数の遊技価値を投入してほしい旨の要求)または払出要求(所定数の遊技価値を払い出してほしい旨の要求)を受信して、以下の処理を実行する。
【0168】
具体的には、媒体管理部620は、遊技者の操作に基づいて遊技価値がベットされた場合(投入要求がなされた場合)には遊技価値のベット数に応じてクレジット数(遊技の進行に関する情報の一例)を減少させ、遊技者の操作に基づいて遊技価値がクレジットされた場合にはクレジット数を増加させる。
【0169】
また、媒体管理部620は、内部抽せんによって当せんフラグが成立し、かつ、遊技者の操作に基づいて当せんフラグに対応する役が入賞した場合(払出要求がなされた場合)には入賞した役の種類に基づく遊技価値の払い出し数に応じてクレジット数を増加させる。
【0170】
また、媒体管理部620は、図7のとおり、通常区間および有利区間のいずれかにかかわらず、また、一般遊技状態および特別遊技状態(CZ、AT)のいずれかにかかわらず、遊技価値の払い出し数から遊技価値のベット数を差し引いた数の累積値である遊技価値の差数(遊技の進行に関する情報の一例)を算出する。なお、遊技価値の差数は、後述の、有利区間差数の算出、コンプリート機能の作動の有無などに用いられる。
【0171】
また、媒体管理部620は、図7のとおり、有利区間における(遊技区間が通常区間から有利区間へ移行した以降、再度通常区間へ移行するまでの間の)遊技価値の差数である、有利区間差数を算出する。
【0172】
本実施形態において、この有利区間差数が+2400となった場合に、媒体管理部620は、有利区間差数を0(ゼロ)に初期化する。例えば、有利区間での遊技が開始されてから差数が-300となったときにATに移行した場合には、媒体管理部620は、それ以降に2700が払い出されたとき(この場合には、有利区間差数が+2400となる)に、有利区間差数を初期化する。なお、媒体管理部620は、有利区間差数が+2400となった場合に、その旨の信号を区間制御部614に送信する。これにより、区間制御部614は、遊技区間を通常区間へ移行させる。
【0173】
また、媒体管理部620は、有利区間差数が+2400となった場合以外で所定の終了条件が満たされて有利区間が終了したときに、有利区間差数を0(ゼロ)に初期化することができる。
【0174】
媒体管理部620は、遊技区間が再度有利区間へ移行したときに、有利区間差数の算出を開始する。
【0175】
また、媒体管理部620は、図7のとおり、前回スロットマシン1の電源がオンにされてからの、遊技価値の払い出し数から遊技価値のベット数を差し引いた数の累積値である遊技価値の差数を用いて、差数の最大値と最小値との差であるレンジ(MY)を算出する。このレンジ(MY)は、前述の有利区間差数、遊技価値の差数などとは異なり、すべての遊技区間(有利区間および通常区間)を対象として、すなわちスロットマシン1の電源がオンし続けられている限りは継続して算出される。
【0176】
このレンジ(MY)に関する情報は、機能作動部621に送信され、後述するコンプリート機能に用いられる。
【0177】
媒体管理部620は、店舗スタッフによりスロットマシン1の電源がオフにされた場合に、レンジ(MY)をリセットする。
【0178】
なお、媒体管理部620にて算出される遊技価値のベット数、クレジット数、差数などは、遊技の進行に関する情報として、遊技状態制御部615、演出制御部630などへ送信される。
【0179】
<機能作動部621>
機能作動部621は、媒体管理部620から送信されたレンジ(MY)に関する情報を受信する。
【0180】
そして、機能作動部621は、レンジ(MY)が例えば18500である第1レンジ以上となったときに、コンプリート機能の作動が近いことを示す事前通知に関する情報を生成する。
【0181】
このコンプリート機能とは、いわゆる打ち止めの機能であり、コンプリート機能が作動した場合には、スロットマシン1は遊技に関する操作を受けつけなくなり、店舗スタッフによって電源がオフ、オンされない限り、操作者は遊技を続行することができなくなる(遊技不可状態となる)。
【0182】
ここでいう遊技に関する操作とは、1ゲームを消化するための操作を意味し、回転リール20を始動させるための操作として特に遊技価値をベットするためのベットスイッチ41の操作が含まれる。コンプリート機能が作動した場合には、このような遊技に関する操作が受けつけられなくなるため、コンプリート機能が作動した状態のもとで、ベットスイッチ41が操作されたとしても、遊技価値のベット処理はなされない。
【0183】
なお、事前通知に関する情報は、例えば、この情報が機能作動部621にて生成されている間、毎ゲーム、演出制御部630へと送信される。これにより、演出制御部630にて事前通知がなされる。
【0184】
また、レンジ(MY)が第1レンジである18500未満となったときには、機能作動部621は、事前通知に関する情報の生成を停止する。これにより、演出制御部630で事前通知がなされなくなる。
【0185】
なお、事前通知に関する情報は、事前通知の報知をオンまたはオフにするフラグであってもよい。この場合には、事前通知の報知がオフからオンとなる場合に、フラグが「オン」の情報が演出制御部630に送信され、逆に事前通知の報知がオンからオフとなる場合に、フラグが「オフ」の情報が演出制御部630に送信される。このように、事前通知に関する情報をフラグ式にすることにより、メイン制御部610からサブ制御部630へ伝送する信号が過多となることが抑制することができる。
【0186】
また、機能作動部621は、レンジ(MY)が第2レンジである19000以上となったときに、コンプリート機能を作動させる。
【0187】
機能作動部621は、店舗スタッフがスロットマシン1の電源をオフにしたときに、コンプリート機能を解除する。スロットマシン1の電源がオフから再びオンとなった際に、コンプリート機能が解除されるのみならず、レンジ(MY)はリセットされ、0(ゼロ)となっている。したがって、事前通知の報知はなされておらず、コンプリート機能が再び作動するための条件の成立から遠ざかった状態で、スロットマシン1での遊技が可能となる。
【0188】
<サブ制御部63の説明>
サブ制御部63のROMには、遊技進行に間接的(例えば、液晶画面3の演出制御、電飾部102のLED発光制御、スピーカ101の音声出力制御)にかかわるプログラム、各種データが記憶されている。
【0189】
サブ制御部63のRAM、RWMには、演出制御に関する各種データが記憶される。
【0190】
サブ制御部63は、サブ制御部63のCPU、記憶部の動作により、サブ制御部63は、演出制御部630として機能する。
【0191】
<演出制御部630>
演出制御部630は、演出抽せんを実行することで、液晶画面3にて出力される動画/静止画、スピーカ101から出力されるサウンドパターン、LEDなどの電飾部102の発光パターン、演出ボタン46の発光パターンなどの少なくとも1つを演出パターンとして決定する。
【0192】
具体的には、演出制御部630は、メイン制御部61から送信された遊技進行の情報(例えば、遊技状態、滞在モード)に基づいて演出抽せんテーブルを選択し、選択された演出抽せんテーブルを用いて、演出抽せんを実行する。
【0193】
図9(a)は、設計段階であらかじめ用意された演出抽せんテーブル(以下では、「演出抽せんテーブルA」という)の一例である。この演出抽せんテーブルAは、例えば、一般遊技状態であって、低確率モードである場合(以下、「進行状態A」という)において使用されるテーブルである。遊技の「進行状態」とは、遊技状態、モード、RT状態、遊技区間など、あるいはこれらの組み合わせによって生じる遊技の進行状況を示す情報である。
【0194】
以下では、説明の便宜のため、遊技の「進行状態」にのみ基づいて演出抽せんテーブルが選択される例が記載されているが、進行状態(進行状態Aなど)のほか、当せん役の情報、AT当せん結果を含む今後の進行がどう展開するかに関する情報(例えば、AT当せんの期待度の高い連続演出がなされること、ゲーム中に蓄積されるポイントを集中的に貯められるゾーンにいること/またはこのゾーンへの移行が決まっていること、ATの上乗せが確定していることなど)、演出に関する情報(例えば、演出中の背景あるいは滞在ステージの種類、演出中に登場しているキャラクタの種類など)など、さまざまな要素に基づいて演出抽せんテーブルが選択されてもよい。
【0195】
なお、図示はされないが、あらかじめ、一般遊技状態であって高確率モードである状態(進行状態B)で用いられる演出抽せんテーブルBが用意されており、ATであって通常モードが実行されている状態(進行状態C)で用いられる演出抽せんテーブルCが用意されており、ATであって高確率モードが実行されている状態(進行状態D)で用いられる演出抽せんテーブルDが用意されており、特別役実施状態である状態(進行状態E)で用いられる演出抽せんテーブルEが、演出抽せんテーブルAとは別途用意されている。その他、例示されていない状態で使用される演出抽せんテーブルが設計段階であらかじめ用意されていてもよい。
【0196】
図9(a)のとおり、演出抽せんテーブルAには、「キャラクタAの組手」、「キャラクタA、Bの会話」、「キャラクタAステージ演出」、「マップ表示」、「キャラクタB登場」、「キャラクタC通過」、「ステージチェンジ」、「氷演出」、「煽りa」、「煽りb」、合計10個の演出項目が含まれる。
【0197】
演出抽せんテーブルAでは、これらの演出項目それぞれに置数が割り当てられており、これらの演出項目がすべて実行可能な対象となっている。すなわち、図9(a)の演出抽せんテーブルAには、置数として「0」が割り当てられている演出項目が存在していない。具体的には、演出抽せんテーブルAにおいて、例えば、演出項目「キャラクタAの組手」には、置数として「1000」が割り当てられており、「キャラクタA、Bの会話」には、置数として「2901」が割り当てられている。
【0198】
ここで、演出制御部630は、設定条件(所定条件)が満たされた場合(例えば、同一の演出項目が3回連続して当せんした場合)に、演出抽せんテーブルAに関して、以下の設定処理を実行することができる。なお、設定条件とは、設定処理が実行される契機となりうる条件であって、あらかじめ設定された条件である。
【0199】
この設定処理では、演出制御部630は、まず、あらかじめ用意された演出抽せんテーブルA(図9(a)参照)自体の削除および演出テーブルAの内容(具体的に演出項目および/または置数)の少なくとも一部分を変更等することなく、そのまま保持して、演出抽せんテーブルAのコピー(以下では、「演出抽せんテーブルA’」という)を自動で作成する。
【0200】
なお、この時点での演出抽せんテーブルA’は、演出抽せんテーブルAと同一内容であり、図9には示されていない。また、以下では、説明の便宜上、書き換え途中の演出抽せんテーブルA’も、演出抽せんテーブルA’という。
【0201】
ついで、演出制御部630は、設定処理において、演出抽せんテーブルA’のうち、設定条件が満たされる原因となった(置数が更新されるべき)演出項目(以下の例では、「キャラクタC通過」)に割り当てられている置数を書き換えて新たな演出抽せんテーブルA”(図9(b)参照)を自動で生成する。以下、その手順について説明する。
【0202】
まず、演出制御部630は、演出抽せんテーブルA’における「キャラクタC通過」の置数を、「7802」から「0(ゼロ)」に自動的に書き換える。
【0203】
ついで、演出制御部630は、演出抽せんテーブルA’における置数合計値(32768)から、演出抽せんテーブルA’における演出項目「キャラクタC通過」に割り当てられていた置数(7802)を引いた値を、演出抽せんテーブルA’における置数合計値(24966)に設定する。これにより、図9(b)に示される演出抽せんテーブルA”が生成されるとともに、置数合計値に応じた乱数の範囲(上限値)が設定し直される。この設定では、置数合計値と上限値とが同一となるように設定される。すなわち、置数合計値が変更された場合にはその置数合計値に応じた乱数の範囲が用いられ、置数合計値が変更されない場合には乱数の範囲は変更されない(規定範囲、規定値のまま使用される)ようにすることができる。
【0204】
なお、演出抽せんテーブルA”は、サブ制御部63のRAM等に記憶される。
【0205】
そして、演出制御部630は、設定処理が実行されたゲームの直後のゲームにて、設定処理が実行されたことにより新たに生成された演出抽せんテーブルA”、すなわち演出抽せんテーブルAとは別途生成された演出抽せんテーブルA”を用いて、演出抽せんを実行する。
【0206】
これにより、演出抽選テーブルA’に対して置数が更新された演出項目(この例では、設定条件が満たされる原因となった「キャラクタC通過」)は、続けて当せんすることがなくなる。そのため、同一の演出項目が連続して出力されることを回避することができる。なお、「同一の演出項目が連続して出力される」ことには、例えば、同一の演出項目が連続したゲームの次ゲームで再度同一の演出項目が出力される場合だけではなく、同一の演出項目(例えば、「キャラクタC通過」)が連続したのちに数ゲームか経過した以降(この間に、例えば、「キャラクタAの組手」など「キャラクタC通過」以外の演出項目が当せんしてもよい)に、また同一の演出項目(「キャラクタC通過」)が出力される場合が含まれていてもよい。
【0207】
なお、演出制御部630は、演出抽せんテーブルA”で演出抽せんが実行された以降のゲームでも継続して演出抽せんテーブルA”を演出抽せんに使用することもできるし、また、例えば、演出抽せんテーブルA”にて演出抽せんが実行された以降のゲームでは演出抽せんテーブルAを演出抽せんに使用することもできる。
【0208】
すなわち、演出制御部630は、演出抽せんテーブルA”が使用された以降のゲームでも、演出抽せんテーブルA”をRAM等に記憶させて演出抽せんに使用し続けることができ、また、演出抽せんテーブルA”が使用されたゲーム以降(例えば、演出抽せんテーブルA”が使用された当該ゲームでもよく、また、演出抽せんテーブルA”が使用されたゲームの数ゲーム後であってもよい)で、演出抽せんテーブルA”をRAM等から消去し(あるいは、RAM等に記憶させたままで)、演出抽せんに使用しないようにすることもできる。
【0209】
それとは異なり、演出制御部620は、演出抽せんテーブルA”が設定されてから所定時間が経過したとき、あらかじめ定められた使用上限回数に達したとき、現在の進行状況が変わったとき、あるいは、現在の演出に関する状況が変わった(滞在ステージが変わった等)ときに、演出抽せんテーブルA”を消去することもできる。
【0210】
さらにそれとは異なり、演出制御部630は、演出抽せんテーブルA”が使用された以降のゲームでも、演出抽せんテーブルA”をRAM等に記憶させ続けるが、演出制御部630は、特定条件(例えば、進行状態Aから他の進行状態へ変更されたこと、設定値が変更されたこと、RAM等がクリアされたこと、スロットマシン1が電断されたこと、遊技区間が有利区間から通常区間へ移行したこと)が成立したことに基づいて、演出抽せんテーブルA”をRAM等から消去することもできる。サブ制御部63のRAM等の容量には限りがあることに鑑みると、特定条件が成立したことに基づいて演出制御部630が演出抽せんテーブルA”をRAM等から消去する処理を実行することは好ましい。
【0211】
なお、前述の特定条件のうち、スロットマシン1が電断された場合であって、電断時間が所定時間よりも短い場合(瞬停を含む)には、演出制御部630は、演出抽せんテーブルA”をRAM等に記憶し続けることができ、電断時間が所定時間よりも長い場合には、演出抽せんテーブルA”をRAM等から消去することもできる。
【0212】
この「所定時間」とは、例えば数分から数時間程度であってもよい。例えば、電源の供給事情により、一時的にスロットマシン1が電断され、その後数分から数時間程度でスロットマシン1が復電された場合には、遊技者は引き続き遊技を進行することが考えられるため、演出制御部630は、演出抽せんテーブルA”をRAM等に記憶し続けることができる。この場合には、演出抽せんテーブルA”がその後の演出抽せんでも使用可能な状態になっていることで、同一の演出が出力されることを回避することができる。
【0213】
一方、「電断時間が所定時間よりも長い場合」とは、店舗の営業が終了し、スロットマシン1の電源が落とされた場合等が想定されうる。その日以降に店舗の営業が開始されてスロットマシン1の電源がオンとなって起動されたとき、演出制御部630は、演出抽せんテーブルA”をRAM等から消去することで、電断前とは異なり、演出抽せんテーブルA”を使用して演出抽せんを行わなくなる。そのため、演出抽せんテーブルA”にて置数が「0(ゼロ)」となっていた演出項目は、再度選択されて出力されることが可能となる。したがって、遊技者からすれば、スロットマシン1がリセットされていない状態に感じることができる。
【0214】
なお、演出制御部630は、演出抽せんテーブルA”をRAM等から消去する処理を、メイン制御部61による設定変更処理あるいはリセットボタン51操作に基づくリセット処理が行われたかどうかに関係なく実施することができる。例えば、メイン制御部61にて設定変更処理あるいはリセット処理が行われていないままで単にスロットマシン1の電源がオフからオンされたとしても、演出制御部630は、電断時間と所定時間との比較結果に基づいて演出抽せんテーブルA”をRAM等から消去する処理を実行可能である。これにより、スロットマシン1の設定値が変更されていなかったり、リセット処理が行われていなかったりしたとしても、演出抽せんテーブルA”をRAM等から消去する処理が行われれば、演出抽せんテーブルA”にて置数が「0(ゼロ)」となっていた演出項目は、再度選択されて出力されることが可能となる。したがって、遊技者からすれば、スロットマシン1の設定変更あるいはリセット処理が行われたかの区別がつきにくくなるため、リセット対策としても貢献することができる。
【0215】
また、前記では、更新されるべき(例えば、3回連続して出力された)演出項目の置数が0(ゼロ)とされる例が記載されているが、0(ゼロ)ではなく、例えば、1、100など、設計段階であらかじめ用意されていた演出抽せんテーブルにて割り当てられていた置数より小さい(あるいは大きい)数字(0以外の正の整数)が割り当てられてもよい。
【0216】
また、演出制御部630は、AT中に、操作態様役(例えば、押し順ベル)が当せんしたときの正解操作態様(例えば、「中、右、左」)の報知、コンプリート機能にかかる事前通知などを、液晶画面3およびスピーカ101の少なくとも1つに行わせる。
【0217】
<スロットマシン1の基本的な動作処理の流れ>
図10を用いて、スロットマシン1の基本的な動作処理の流れを説明する。
【0218】
スロットマシン1の電源がオンにされており、かつ、設定値が変更された状態で、機能作動部621が、スロットマシン1が遊技可能な状態か否か(コンプリート機能作動中か否か)を判定する(ステップS101)。
【0219】
スロットマシン1が遊技可能な状態ではない場合(S101:NO)には、処理は、後述のステップS115へ進む。
【0220】
一方、スロットマシン1が遊技可能な状態である場合(S101:YES)には、カードユニット7から遊技価値データが送信されていることを条件として、スロットマシン1のメイン制御部61および遊技価値制御部62が、クレジットされている遊技価値の数量をデジタルカウンタ43に表示させ、操作者によるベットスイッチ41、レバー42などの操作を受けつける。これにより、スロットマシン1が遊技開始状態となる(ステップS102)。
【0221】
ついで、媒体管理部620が、レンジ(MY)の計数を開始する(ステップS103)。その後、媒体管理部620は、通常区間および有利区間にかかわらず、毎遊技、レンジ(MY)を計数する。
【0222】
ついで、区間制御部614が、通常区間にて遊技を進行させる(ステップS104)。
【0223】
ついで、遊技状態制御部615が、一般遊技状態にて遊技を進行させる(ステップS105)。
【0224】
ついで、区間制御部614が、有利区間への移行条件が成立したことにより遊技区間が有利区間となったか否か、または、有利区間の状態が維持されているために遊技区間が有利区間であるか否かを判定する(ステップS106)。
【0225】
遊技区間が有利区間ではない場合(S106:NO)には、処理はステップS104へ戻る。
【0226】
一方、遊技区間が有利区間である場合(S106:YES)には、媒体管理部620が、有利区間差数を計数(有利区間に移行したゲームにおいては、有利区間差数の計数を開始)する(ステップS107)。これ以降、区間制御部614は、遊技区間が有利区間である間(一般遊技状態およびCZ、ATのいずれにおいても)、有利区間差数の計数を継続する。
【0227】
ついで、遊技状態制御部615が、第2遊技状態をATへ移行させるか否かを判定する(ステップS108)。
【0228】
第2遊技状態がATへ移行しない場合(S108:NO)には、処理はステップS105へ戻る。
【0229】
一方、第2遊技状態がATへ移行する場合(S108:YES)には、遊技状態制御部615が、ATで遊技を進行させる(ステップS109)。
【0230】
ついで、機能作動部621が、コンプリート機能を作動させるか否かを判定する(ステップS110)。具体的には、機能作動部621は、レンジ(MY)が19000以上となったか否かを判定する。
【0231】
コンプリート機能が作動する場合(S110:YES)には、処理は、後述のステップS113へ移行する。
【0232】
一方、コンプリート機能が作動しない場合(S110:NO)には、区間制御部614が、有利区間差数が+2400以上となったか否かを判定する(ステップS111)。
【0233】
有利区間差数が+2400以上となった場合(S111:YES)には、区間制御部614は、遊技区間を通常区間へ移行させ、遊技状態制御部617は、ATを終了させ、かつ、媒体管理部620は、有利区間差数をゼロ(0)に初期化し、その後、処理はステップS104へ戻る。
【0234】
一方、有利区間差数が+2400以上でない場合(S111:NO)には、遊技状態制御部615が、ATを終了させるか否かを判定する(ステップS112)。
【0235】
ATが終了する場合(S112:YES)には、処理はステップS105へ戻る。
【0236】
一方、ATが終了しない場合(S112:NO)には、処理は、ステップS109へ戻る。
【0237】
ステップS110に戻って、コンプリート機能が作動した場合(S110:YES)には、機能作動部621が、操作者がスロットマシン1で遊技を進行することができないように制御する(ステップS113)。
【0238】
ついで、計数ボタン44が操作されたことに応じて、媒体管理部620およびカードユニット7が必要な情報を送受信することで、転送処理を実行する(ステップS114)。
【0239】
ついで、店舗スタッフの電断操作に応じて、スロットマシン1の電源がオフとされた(ステップS115)ことに応じて、媒体管理部620がレンジ(MY)を0(ゼロ)に初期化するとともに、機能作動部621がコンプリート機能を解除する(ステップS116)。なお、スロットマシン1が電断復帰のみされた場合には、レンジ(MY)が初期化されるとともにコンプリート機能は解除されるが、有利区間および有利区間差数は引き継がれる。
【0240】
ついで、店舗スタッフの電断復帰操作に応じて、スロットマシン1の電源がオンとなる(ステップS117)。その後、処理は、ステップS102へ戻る。
以上が、スロットマシン1の基本的な動作処理の流れとなる。
【0241】
<テーブル更新処理の流れ>
つぎに、図11を用いて、テーブル更新処理の流れを説明する。以下のテーブル更新処理では、設定処理によって設定された新たな演出抽せんテーブル(以下の例では、演出抽せんテーブルA”)が演出抽せんにて一度使用されると、それ以降のゲームでは、設計段階であらかじめ用意された演出抽せんテーブル(以下の例では、演出抽せんテーブルA)が使用される例が記載されている。
【0242】
まず、演出制御部630が、進行状態(例えば、進行状態A)についてあらかじめ用意されている演出抽せんテーブル(例えば、設計段階であらかじめ用意された演出抽せんテーブルA)で演出抽せんを実行する(S201)。
【0243】
ついで、演出制御部630が、演出抽せんの結果、同一の演出項目(例えば、「キャラクタC通過」)が複数回(例えば、3回)連続して当せんしたか否かを判定する(ステップS202)。
【0244】
同一の演出項目が複数回連続して当せんしなかった場合(S202:NO)には、処理はステップS201へ戻る。
【0245】
一方、同一の演出項目が複数回連続して当せんした場合(S202:YES)には、演出制御部630は、演出抽せんテーブルAを削除することなく、演出抽せんテーブルAのコピー(演出抽せんテーブルA’)を自動的に生成する(ステップS203)。
【0246】
ついで、演出制御部630は、演出抽せんテーブルA’における、連続して当せんした演出項目(この例では、「キャラクタC通過」)に割り当てられていた置数を0(ゼロ)にする(ステップS204)。
【0247】
ついで、演出制御部630は、演出抽せんテーブルA’における置数合計値を、連続して当せんした演出項目(この例では、「キャラクタC通過」)に割り当てられていた置数分(例えば、図9(a)の例では、7802)、減算する(ステップS205)。
【0248】
これにより、図9(b)のとおりの新たな演出抽せんテーブルA”が生成され、演出抽せんテーブルA”が、進行状態Aにおける演出抽せん用の演出抽せんテーブルに自動的に設定される(ステップS206)。この演出抽せんテーブルA”は、サブ制御部3のRAM等に記憶される。
【0249】
ついで、演出制御部630が、演出抽せんテーブルA”を用いて、演出抽せんを実行する(ステップS207)。
【0250】
ついで、演出制御部630が、演出抽せんテーブルA”をサブ制御部62のRAM等から消去し、演出抽せんテーブルAを、進行状態Aにおける演出抽せん用の演出抽せんテーブルに再設定する(ステップS208)。以上により、本実施形態のテーブル更新処理は終了する。
以上が、テーブル更新処理の流れである。
【0251】
以上をまとめると、本発明のスロットマシン1は、
遊技に関する所定の抽せん処理(例えば、演出抽せん処理)において用いられる抽せんテーブル(例えば、演出抽せんテーブルA)を記憶することが可能な記憶部(例えば、ROM、RAM)と、
設定条件(例えば、同一種類の演出が連続して出力された場合)が満たされた場合に、演出抽せんテーブルAに関する設定処理を実行し、設定処理がなされた以降の演出抽せんテーブルA”を用いて、演出抽せん処理を実行することが可能な演出制御部630と、
を備え、
設定処理は、あらかじめ用意された演出抽せんテーブルAは削除されることなく、保持されたまま、演出抽せんテーブルAのコピー(演出抽せんテーブルAに関連するテーブルの一例)である演出抽せんテーブルA’の一部の置数(内容の一例)を書き換えて新たな演出抽せんテーブルA”を自動で生成して前記抽せん処理用のテーブルに設定する処理である。
【0252】
<発明の効果>
従来の遊技機においては、同一の演出(例えば、演出a)が連続して実行されることを回避するために、例えば、
・異なる演出(例えば、演出b、演出c)が当せんするまで演出抽せんが繰り返して行われる、あるいは、
・ある演出(例えば、演出a)が含まれない別の演出抽せんテーブルが設計段階であらかじめ用意されており、演出aが連続して当せんした場合に、演出aが含まれない演出抽せんテーブルにて再抽せんが行われる
ということが行われていた。
【0253】
このように、従来の遊技機においては、設計段階から、あらかじめ、使用する可能性のあるすべてのパターンの演出抽せんテーブルが用意されており、遊技状況に応じて、それらのうちのいずれかを用いて演出が実行されるという処理が実行されていた。
【0254】
また、遊技機に搭載される機能として、従来から、いわゆるカスタマイズ機能と呼ばれる機能が知られている。このカスタマイズ機能とは、例えば、操作者が手動で、演出の熱さ、出現割合(演出抽せんテーブルのパターン)を変更することができるものである。この場合であっても、開発時/設計段階からすべてのパターンの演出抽せんテーブルがあらかじめ用意されており、その中から、操作者の操作に基づくカスタマイズ内容に対応した演出抽せんテーブルが選択され、その選択された演出抽せんテーブルによって演出抽せんが実行されていた。
【0255】
したがって、従来の遊技機では、設計段階で、複数種類の抽せんテーブルを用意する必要があるため、データ容量が大きくなってしまうとともに、遊技機の開発時に、開発者の工数が多くなってしまうおそれがある。
【0256】
これに対して、本願発明では、すべてのパターン(例えば、演出aが含まれる演出抽せんテーブル、および、演出aが含まれない演出抽せんテーブル)ごとの演出抽せんテーブルが用意されているわけではなく、設定条件(例えば、同一の演出項目が複数回連続して実行されること)が満たされることにより、新たな演出抽せんテーブルが自動で生成され(設定処理の一例)、その生成された演出抽せんテーブルにて演出抽せんが実行される。
【0257】
これにより、使用する可能性のあるすべてのパターンの演出抽せんテーブルを開発時/設計段階で用意する必要がない。したがって、本実施形態によれば、データ容量の過多を軽減するとともに、開発時における開発者の工数を低減することができる。
【0258】
[第2実施形態]
第1実施形態における設定処理は、あらかじめ用意された演出抽せんテーブルAは削除されることなく、そのまま保持されて、演出抽せんテーブルAのコピーである演出抽せんテーブルA’の一部の置数を書き換えて新たな演出抽せんテーブルA”を自動で生成して演出抽せん用のテーブルに設定する処理である例が記載されていたが、設定処理はこれには限られない。
【0259】
すなわち、演出制御部は、設定処理が実行される前の演出抽せんテーブルA自体における演出項目の少なくとも一部の置数(内容の一例)を自動で書き換えて更新した演出抽せんテーブルA’を演出抽せん用のテーブルに設定する設定処理を実行することができる。つまり、演出制御部は、演出抽せんテーブルA自体を更新して、更新後の演出抽せんテーブルAを引き続き使用することができる。
【0260】
具体的には、第1実施形態とは異なり、遊技の進行状況に応じて、演出抽せんテーブルAがコピーされることなく(進行状態Aについての演出抽せんテーブルの数が増えることなく)、演出抽せんテーブルAにおける演出項目の置数が自動で書き換えられた演出抽せんテーブルA’がつぎの演出抽せんにて使用される。また、さらなる遊技の進行状況に応じて、演出抽せんテーブルA’自体がさらに自動で書き換えられた演出抽せんテーブルA”が次の演出抽せんにて使用される。
【0261】
このテーブル更新処理によれば、第1実施形態とは異なり、例えば「進行状態A」について使用される演出抽せんテーブルとして、遊技中を通して、1つの演出抽せんテーブルだけが存在することになる。そのため、遊技の進行中であっても、第1実施形態に比して、データ容量をさらに低減することができる。
【0262】
なお、さらに第2実施形態におけるテーブル更新処理を発展させて、すべての進行状態(例えば、進行状態A~進行状態E)について、開発段階で1つの演出抽せんテーブルZのみが用意されており、遊技の進行状況に応じて、演出抽せんテーブルZにおける演出項目の少なくとも一部の演出項目および/または置数が自動的に書き換えられてもよい。この場合には、演出抽せんテーブルZに、すべての演出項目(例えば、進行状態A~進行状態Eで使用されうる演出項目のすべて)があらかじめ記載されており、所定の抽せんにて、どの演出項目の置数が演出抽せんに採用されるかが決定されてもよい。この場合には、例えば、すべての演出項目(例えば、演出項目A、B、C、D、E)が1つの抽せんテーブルZにあらかじめ含められており、所定の抽せんの結果、演出抽せんAでは演出項目A、B、Cが用いられ(この場合には、置数合計値=演出項目Aの置数+演出項目Bの置数+演出項目Cの置数、となる。また、乱数の範囲も置数合計値に応じた値となる。以下、同じ)、演出抽せんBでは、演出項目A、D、Eが用いられるなどのように、さまざまな抽せん候補のパターンを用いて演出抽せんが実行されうる。
【0263】
[第3実施形態]
第1実施形態では、連続して当せんした演出項目の種別および置数、置数合計値などが変更されることで新たな演出抽せんテーブルが生成される例が記載されていたが、本実施形態では、それ以外の多様なパターンの設定処理について説明する。
【0264】
(パターンA)
このパターンAでは、図12のとおり、置数が0(ゼロ)に更新された演出項目以外の他の演出項目の置数が変更される。
【0265】
具体的には、例えば「キャラクタC通過」の当初(設計段階における演出抽せんテーブルAの時点)の置数は、図12(a)のとおり、7802である。
【0266】
そして、「キャラクタC通過」が3回連続して当せんした場合(設定条件が満たされた場合の一例)には、図12(b)のとおり、「キャラクタC通過」の置数は0(ゼロ)にされる。
【0267】
なお、図12(b)の例では、「キャラクタC通過」に割り当てられていた置数(7802)をもとに、「キャラクタAの組手」、「キャラクタA、Bの会話」、「キャラクタAステージ演出」、「マップ表示」、「ステージチェンジ」、「煽りa」、および「煽りb」に対して、演出項目ごとに異なる数値が置数に加算されている。すなわち、「キャラクタA、Bの会話」は設定処理の前後で置数が「1300」増えているが、「マップ表示」は設定処理の前後で置数が「390」増えている。一方、図12(b)の例では、「キャラクタB登場」の置数、および「氷演出」の置数は、変更されていない。なお、この場合には、置数合計値に変更はないため、演出抽せんで用いられる乱数の範囲は、設定処理の前後では変更されない。
【0268】
なお、このパターンAでは、図12(b)とは異なり、置数が変更されるべき演出項目に割り当てられていた置数(例えば、1000)をその演出項目以外の演出項目に均等(例えば、10個の演出項目それぞれに対して100ずつ)に割り当てることもできる。
【0269】
また、演出制御部は、ある演出項目において減算した置数分を、他の演出項目にどの程度割り当てるかは、進行状況あるいは演出状況などに応じて、所定の演算で決めてもよいし、演出項目ごとに割り当てられている優先度に基づいて決めてもよい。この場合には、演出制御部は、例えば、進行状態Aの場合には、「マップ表示」に多めに置数を割り当て、進行状態Bの場合は、「氷演出」に多めに置数を割り当てることができる。
【0270】
また、演出制御部は、ある演出項目において減算した置数分を、進行状況あるいは演出状況、満たされた設定条件に少なくとも1つに応じて、他の演出項目に、均等に割り当ててもよいし、前記のような優先度に基づいて割り当ててもよい。
【0271】
また、演出制御部は、進行状況あるいは演出状況、満たされた設定条件に少なくとも1つに応じて、第1実施形態、第2実施形態のように置数合計値が変動する更新方法とするか、パターンAのように置数合計値が変動しない更新方法とするかを選択してもよい。
【0272】
(パターンB)
このパターンBでは、設定条件が満たされることにより、特定の演出項目(例えば、「氷演出」)以外の演出項目の置数がすべて0(ゼロ)となった演出抽せんテーブルが演出抽せん用のテーブルとして自動で設定され、「氷演出」のみが当せんするようになる。
【0273】
すなわち、第1実施形態では「同一種類の演出項目が連続して当せんしないようにする」ことが効果として得られていたが、パターンBでは、あえて「同一演出の演出項目を連続して出力させる」ことで、例えば、ATに当せんしたという設定条件が成立している場合に、ATに直撃当せんしたのではないかなどの期待感を操作者に持たせることのできるような、比較的高い当せん期待度を示唆する演出を実行することができる。
【0274】
(パターンC)
このパターンCは、パターンBとは異なり、例えば、出力する演出項目の候補を徐々に減らす演出がなされるという設定条件が成立している場合に、「キャラクタAステージ演出」および「キャラクタB登場」以外の演出項目の置数を0(ゼロ)とすること(または、当初割り当てられていた置数よりも小さくすること)で、「キャラクタAステージ演出」および「キャラクタB登場」のいずれかが必ず当せんするようにする(または、当せんしやすくなる)というものである。
【0275】
この場合には、演出項目を2択(あるいは、3択など)に絞りたい場面などで有効である。このように、データ容量の低減だけではなく、見せたい演出項目を意図的に発生させるための仕組みとしても本願発明を利用することができる。
【0276】
(パターンD)
このパターンDでは、設定条件が満たされた場合に、「煽りa」の置数を0(ゼロ)とする代わりに、例えば「モンスターの咆哮」が新たな演出として追加される例である。
【0277】
この場合には、例えば、あらかじめ用意される演出抽せんテーブルに、後発的に抽せん対象として追加されうるすべての演出項目(この例では「モンスターの咆哮」)が含められていることが好ましい。これにより、当初の演出抽せんテーブルでは「モンスターの咆哮」に割り当てられている置数を0(ゼロ)としつつも、設定条件が満たされた場合に、「煽りa」に割り当てられていた置数を「モンスターの咆哮」に割り当てることができる。
【0278】
なお、このパターンDに代えて、演出制御部は、演出抽せんテーブル中の他の演出項目の置数は変更することなく、置数合計値(例えば、30000)を、追加された演出項目に割り当てられている置数(例えば、200)分増加させ、かつ、新たな置数合計値(例えば、30200)に基づく乱数の範囲を用いて演出抽せんを実行することもできる。この演出抽せんにおいては、例えば、当該範囲内の数値となる乱数の獲得、獲得した乱数と演出抽せんテーブルとを用いた抽せん処理、が含まれる。
【0279】
さらにそれとは異なり、置数合計値が変更されることなく、追加された演出項目に割り当てられるべき置数(例えば、200)を、他の演出項目の置数から減算(例えば、他の演出項目の数が10個であれば、20ずつ減算)することで創出することもできる。この場合には、置数合計値に変更はない。
【0280】
(パターンE)
このパターンEでは、図13(a)、(b)のとおり、各演出項目に「オン」、「オフ」の使用フラグ(対応する演出項目を演出抽せんに用いる対象とするかどうかを切り替えるためのもの)が設定されている。そして、使用フラグがオンである項目については、設定されている置数が演出抽せんに用いられ、使用フラグがオフである演出項目については、設定されている置数が0(ゼロ)またはNULLに設定される。
【0281】
パターンEによれば、使用フラグをオン/オフすることで、演出項目に置数が存在する場合(演出の抽せん対象となる場合)と置数が存在しない場合(演出の抽せん対象とならない場合)とを容易に変更することが可能となる。この場合には、前記実施形態、および、パターンA~Dなどよりも、サブ制御部の処理負荷を軽くすることができる。
【0282】
なお、演出制御部は、使用フラグがオフの演出項目の置数の更新をせずにそのままとし、使用フラグがオンの演出項目に応じて置数の更新を施すとともに、更新されたすべての置数の置数合計値を変更してもよい。この場合には、演出制御部は、置数合計値の変更に応じて、乱数の範囲を変更する。すなわち、乱数の上限値は、置数合計値に合わせられる。
【0283】
さらに、演出制御部は、使用フラグがオンであることと置数の値とを紐づけし、使用フラグがオフであることと置数=0(ゼロ)とを紐づけしておくこともできる。この場合には、演出制御部は、使用フラグをオンにすることで、本来の置数に戻すことが可能となるため、置数の書き換え処理の負荷を小さくすることができる。
【0284】
(パターンF)
このパターンFは、図14(a)、(b)のとおり、各演出項目に「オン」、「オフ」のロックフラグ(置数の書き換えを許容するか許容しないかを定義したもの)が設けられているパターンである。そして、図14(a)の「キャラクタAの組手」のようにロックフラグがオンの演出項目については置数が変更可能であり、図14(b)の「キャラクタA、Bの会話」のようにロックフラグがオフの演出項目については置数が変更不能となっている。この場合には、設定処理の対象となる演出項目と、設定処理の対象とはならない演出項目とを、あらかじめグループ化することができる。
【0285】
なお、パターンEとパターンFとの混合型も考えられうる。すなわち、演出抽せんテーブルに使用フラグとロックフラグとが用意されている場合には、なんらかの支障により使用フラグに誤りがあっても、ロックフラグがオンとなっていれば、置数の書き換えがなされないため、不要な書き換えを防止することができる。このようにパターンEとパターンFとを混合させる場合に、ロックフラグの参照(優先度、機能。以下、同じ)が使用フラグの参照よりも重要とされることが好ましい。
【0286】
(パターンG)
このパターンGでは、例えば、ATに直撃当せんしたなど、遊技者にとって有利な状態となったゲーム以降に、演出抽せんテーブルにおける演出項目の置数を変更させることで、まずはあえて期待度の低い演出項目を出力させ、それ以降に例えば「熱さ(期待度)」の違いのある「前兆演出A(期待度20%)」、「前兆演出B(期待度50%)」、「前兆演出C(期待度80%)」のいずれか1つが抽せんで決定され、出力されるように演出項目の置数を変更するというものである。
【0287】
また、それとは異なり、1ゲーム目に「前兆演出A(期待度20%)」の置数が高くなるようにし、2ゲーム目に「前兆演出B(期待度50%)」の置数が高くなるようにし、3ゲーム目に「前兆演出D(期待度100%)」のみに置数が割り当てられるように、演出抽せんテーブルに対する設定処理が行われてもよい。
【0288】
[他の実施形態]
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更することができる。また、各実施形態において説明した各種制御手段および処理手順、処理内容は、単体で構成したり、適宜組み合わせたりすることも可能である。
【0289】
また、本明細書にて使用される各種定義は、実施例ごとに特段の断りがなされない限り、明細書全体で共通に使用されるものである。
【0290】
また、前記実施形態では、設定条件は、同一の演出項目が複数回連続して実行されたことである例が記載されているが、本発明はこれには限られない。設定条件には、さまざまな条件が含まれる。
【0291】
設定条件としては、例えば、所定の設定抽せん(演出項目の種類および/または置数を変更するための抽せん)に当せんしたこと、レア役が当せんしたこと、有利区間に移行したこと、ATに当せんしたこと、ユーザによって演出内容がカスタマイズされたこと、有利区間中で所定のゲーム数(例えば、300ゲーム)が実行されたこと、スロットマシンの店舗への導入からの総ゲーム数が所定のゲーム数(例えば、10000ゲーム)を超えたこと、スロットマシンの導入から所定日数(例えば、100日)を超えたこと、ゲーム中の所定ミッションを操作者が達成したこと、演出にかかる条件(例えば、以前に出力された連続演出の内容、その結末がどうであったか、滞在ステージがどこであるか、演出中に登場するキャラクタが何かなど)、遊技状態が何か、当せん役、AT抽せんの当否、CZ抽せんの当否、上乗せ抽せんの当否、などであってもよい。また、設定値に関する条件が設定条件であってもよい。
【0292】
また、設定条件が複数種類設けられている場合に、演出制御部は、複数種類の設定条件のうちのいずれが満たされたかによって、設定処理において、演出抽せんテーブルのうちで書き換えるべき演出項目および/または置数の組み合わせを決定し、その組み合わせに対して設定処理を実行することもできる。これにより、さらに多様な演出パターンを創出することができる。
【0293】
また、前記実施形態では、同一の演出項目が複数回連続して当せんした場合に、その演出項目の置数が変更される例が記載されているが、すべての演出項目について同様の処理が実行されなくてもよい。例えば、演出項目の「熱さ(AT当せん期待度の高さ。以下、同様)」によって、設定処理がなされるか否かが決定されてもよい。具体的には、「熱さ」が「煽りb」>「キャラクタAの組手」である場合に、「キャラクタAの組手」が2回連続して当せんした場合には設定処理が実行されるが、「煽りb」が3回連続して当せんしても設定処理が実行されなくてもよい。この場合において、「煽りb」が4回連続して当せんした場合には設定処理が実行されてもよい。このように、設定処理が行われる条件となる同一の演出項目の連続出力回数が、演出項目によって異なっていてもよい。
【0294】
また、前記実施形態に限られず、演出制御部は、設定処理として、例えば演出抽せんテーブルの置数を変更する(例えば、複数の演出項目同士の置数を交互に入れ替える)こと、新たな演出項目を追加すること、追加された演出項目に対して置数を割り当てること、追加された演出項目の置数を置数合計値に追加すること、など、さまざまな処理を自動で実行することができる。
【0295】
また、前記実施形態に限られず、設定条件が満たされた場合に、置数を変更すべき演出項目に関連づけられていた置数を他の演出項目に割り当てる際には、演出制御部は、割り当てる置数の数値を、所定の抽せん、あるいは、遊技状態、当せん役の情報などに基づいて決定することもできる。それとは異なり、満たされた設定条件が何か、これまでの演出履歴(どのような演出項目が出力されたか、どの順番でどのような演出項目が出力されたか)によって他の演出項目に割り当てる置数が決定されてもよい。また、他の演出項目に割り当てる置数の数値を決定する際には、数値を変えるか否か、数値を変更するならばどのような値に変更するかが決定されてもよい。
【0296】
また、設定条件が満たされた場合に、演出制御部は、置数を変更すべき演出項目をいずれにするかを所定の抽せんで決めることもできるし、置数を変更すべき演出項目の置数を、他の演出項目に割り当てる、あるいは、他の演出項目には割り当てない、ということを、所定の抽せん、あるいは、遊技状態などに基づいて決定することもできる。演出制御部は、置数を変更すべき演出項目を、満たされた設定条件が何か、これまでの演出履歴(どのような演出項目が出力されたか、どの順番でどのような演出項目が出力されたか)によって決定してもよい。
【0297】
前記実施形態には限られず、演出抽せんテーブルの種類、演出項目の種類は、さまざまなものを用いることができる。例えば、設定示唆演出テーブルについて、ゲーム数に応じて、ゲーム中(例えば、ATの終了時)に出現させるべきオブジェクト(例えば、称号、登場キャラクタ、背景、キャラクタの登場組み合わせなど。以下、同様)の置数を書き換えることができる。その他、設定示唆演出テーブルについて、ATのエンディング場面か否か、エンディング場面を介さずにATが終了した場面か否か、ATにて押し順役の正解押し順を報知した回数、AT終了までに正解押し順を報知する権利の残り回数、ATでの獲得枚数またはAT終了までの残り差枚数、有利区間を終了させるまでの残り差枚数、有利区間を終了させるまでの残りゲーム数などに応じて、ゲーム中(例えば、ATの終了時)に出現させるべきオブジェクトの置数を書き換えることができる。
【0298】
また、演出抽せんテーブルに含まれる演出項目には、大項目として演出カテゴリ(例えば、「魚釣り演出」、「肉焼き演出」)が含まれ、小項目として詳細な演出内容(演出カテゴリ「魚釣り演出」の小項目として、例えば、「魚釣り成功」、「魚Aを逃がす」、「竿が折れる」、「大物魚Zを釣り上げる」)が含まれていてもよい。
【0299】
この場合には、例えば、「魚釣り演出」にかかる置数を0(ゼロ)にすることで、「魚釣り演出」にかかる小項目全般(魚釣り成功/失敗、どの魚が釣れたかなど)が実行されないようにすることができる。
【0300】
また、大項目の「魚釣り演出」の置数は0(ゼロ)とせず、小項目の「魚Aを逃がす」の置数を0(ゼロ)にすることで、「大物魚Zを釣り上げる」は実行されるようにするが、「魚Aを逃がす」が実行されないようにすることもできる。
【0301】
なお、前述のとおり、従来から知られていたカスタマイズとは、操作者が手動で演出の熱さ、出現割合を変更することで、あらかじめ用意された複数の演出抽せんテーブルのうちから、その変更内容に合った演出抽せんテーブルが選択されるというものであり、本願発明とは処理が全く異なるが、本願発明とカスタマイズとを組み合わせることで、例えば操作者が手動で演出の熱さ、出現割合を変更したことに基づいて、演出抽せんテーブルが自動的に書き換えられるようにすることもできる。この場合にも、前記実施形態と同様、演出抽せんテーブルをあらかじめ1つ用意することで、操作者の選択に基づいて演出の熱さなどの置数が自動的に変更される。
【0302】
また、従来どおり複数種類の演出抽せんテーブルをあらかじめ用意しつつも、特定の遊技条件が満たされた場合(例えば、コンプリート機能から復帰した場合、有利区間にて2000ゲーム遊技が実行された場合、レア役に複数回連続して当せんした場合など)にのみ、演出抽せんテーブルに設定処理が実行され、演出抽せんテーブルのパターンが増やされてもよい。
【0303】
また、演出項目は、液晶画面に表示されるものに限られず、スピーカに出力される音の種類、音出力パターン、電飾部での発色パターンなども含まれる。
【0304】
また、前記実施形態では、サブ制御部に搭載される演出制御部が設定処理を実行する例が記載されているが、メイン制御部の機能の1つが、設定処理を実行することもできる。
【0305】
また、前記実施形態とは異なり、メイン制御部は、設定条件(例えば所定の役(例えば、チャンス目)が2回連続して当せんしたこと、所定の状態(例えば、天国モード)となったこと、あるいは、所定の抽せんに当せんしたことなど)が成立した場合に、AT抽せんテーブルに対して設定処理を実行することができる。
【0306】
この設定処理は、
・設定処理が実行される前のAT抽せんテーブル自体の少なくとも一部の内容(例えば、ATの当せん確率)を自動で書き換えて更新したAT抽せんテーブルをAT抽せん用のテーブルに設定する処理、
・あらかじめ用意されたAT抽せんテーブルは削除することなく、保持したまま、そのAT抽せんテーブルのコピーの少なくとも一部の内容を書き換えて新たなAT抽せんテーブルを自動で生成してAT抽せん用のテーブルに設定する処理、
のいずれかである。
【0307】
さらには、スロットマシンの内部抽せん部、遊技状態制御部、区間制御部なども同様に、所定の設定条件が成立した場合に、それぞれが実行する抽せんにて用いる抽せんテーブル(内部抽せんテーブル、モード抽せんテーブル、区間移行抽せんテーブルなど)に対して設定処理を実行することができてもよい。
【0308】
これにより、本発明のスロットマシンによれば、内部抽せんテーブル、モード抽せんテーブル、区間移行抽せんテーブルなどについて、複数種類のテーブルをあらかじめ用意する必要がなくなるため、データ容量を低減することができる。
【0309】
また、前記実施形態に限られず、AI(人工知能)等により、ある処理の分岐条件に到達した場合に、演出制御部が、自動的に演出抽せんテーブルの置数の割り当てと置数合計値の再設定とを実施して、新たな演出抽せんテーブルを生成することもできる。
【0310】
前記実施形態では、カードユニットおよびスロットマシンが別体である例が記載されているが、これには限られず、カードユニットの機能の少なくとも一部(例えば、現金管理機構)がスロットマシンに搭載されていてもよい。
【0311】
また、前記実施形態では、メダルレス機であるスロットマシンの例が記載されているが、本発明はこれには限られない。例えば、メダル投入口、ホッパー、メダル払い出し口を備える従来の遊技機に対しても、本願発明を適用することができる。
【0312】
また、遊技機は、スロットマシンに限られず、いわゆる封入式の弾球遊技機、すなわち、ハンドル、弾球打ち出し装置、電動チューリップなどを備えるスマートパチンコ(登録商標)に対しても、本願発明を適用することができる。スマートパチンコ(登録商標)についても、スロットマシンと同様の課題があるためである。
【0313】
また、前記実施形態に限られず、ベットスイッチには、所定数(例えば3)の遊技価値を自動でベットするためのMAXベットスイッチと、所定数未満の遊技価値(例えば1または2)をベットするベットするためのベットスイッチとが、別々に設けられていてもよい。
【0314】
なお、前記実施形態に限られず、筐体および/または演出ボタンが振動する演出パターンが用意されていてもよい。
【0315】
また、前記実施形態においてボーナスは、第一種特別役物にかかる役物連続作動装置である例が記載されているが、本発明はこれには限られない。ボーナスは、第一種特別役物、第一種特別役物にかかる役物連続作動装置、第二種特別役物、または第二種特別役物にかかる役物連続作動装置の少なくともいずれか1つであればよい。
【0316】
また、前記実施形態では、スロットマシンがAT機である例が記載されているが、スロットマシンはART(アシストリプレイタイム)機であってもよく、また、AT、ARTなどを実行しないボーナスのみのスロットマシン、あるいは、ボーナスおよびAT(またはART)の双方を実行しうるスロットマシンであってもよい。
【0317】
また、遊技区間の種類を表す信号が区間制御部からデジタルカウンタに送信されることで、デジタルカウンタにおいて、例えばドットが表示されるか否かで、遊技区間が有利区間であるか否かを表示することができてもよい。
【0318】
また、前記実施形態に限られず、例えば、ATが終了した場合、あるいは、有利区間の継続ゲーム数が3000ゲームに到達した場合などに、区間制御部は、遊技区間を有利区間から通常区間へと強制的に移行させてもよい。また、スロットマシンは、遊技区間(有利区間および通常区間)を備えていなくてもよい。
【0319】
また、前記実施形態においては、コンプリート機能を作動させるにあたって、レンジ(MY)が用いられていたが、これには限られず、遊技価値の差数がコンプリート機能を作動させるか否かの判定に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0320】
1 スロットマシン(遊技機)
61 メイン制御部
610 内部抽せん部(制御部)
611 回転リール制御部
612 遊技結果判定部
613 設置値制御部
614 区間制御部(制御部)
615 遊技状態制御部(制御部)
616 RT状態制御部(制御部)
617 エラー判定部
62 遊技価値制御部
620 媒体管理部
621 機能作動部
63 サブ制御部(制御部)
630 演出制御部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14