(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012864
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】モータ構造
(51)【国際特許分類】
H02K 5/04 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
H02K5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114634
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 優一
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 優佑
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA07
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB10
5H605BB14
5H605CC01
5H605CC02
5H605CC10
5H605GG06
(57)【要約】
【課題】偏平かつ径小化したモータを提供することである。
【解決手段】モータ構造は、円筒部100の内側に設けられた輪状のステータ130と、ステータ130の内側に回転可能に収容されたロータ140と、円筒部100の一方の端部100aを覆う第1蓋110と、円筒部100の他方の端部100bを覆う第2蓋120と、を備え、円筒部100の内周面に軸方向に沿って設けられた2個以上の円筒部内溝と、ステータ130の外周面に軸方向に沿って設けられた2個以上のステータ外溝とにより、2個以上の貫通穴部150が形成され、第1蓋110、円筒部100、及び第2蓋120は、2個以上の貫通穴部150のそれぞれを貫通する取付けネジ160により固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部(100)の内側に設けられた輪状のステータ(130)と、
前記ステータ(130)の内側に回転可能に収容されたロータ(140)と、
前記円筒部(100)の一方の端部(100a)を覆う第1蓋(110)と、
前記円筒部(100)の他方の端部(100b)を覆う第2蓋(120)と、
を備え、
前記円筒部(100)の内周面に軸方向に沿って設けられた2個以上の円筒部内溝(101)と、前記ステータ(130)の外周面に軸方向に沿って設けられた2個以上のステータ外溝(131)とにより、2個以上の貫通穴部(150)が形成され、
前記第1蓋(110)、前記円筒部(100)、及び前記第2蓋(120)は、前記2個以上の貫通穴部(150)のそれぞれを貫通する取付けネジ(160)により固定されたことを特徴とするモータ構造。
【請求項2】
前記2個以上の貫通穴部(150)は、周方向に等角度又は不等角度間隔に形成されたことを特徴とする請求項1記載のモータ構造。
【請求項3】
前記ステータ(130)は、周方向に等角度間隔に分割された複数の分割片(130a)から構成され、
前記複数の分割片(130a)のそれぞれには、前記ステータ外溝(131)が設けられていることを特徴とする請求項1記載のモータ構造。
【請求項4】
前記第1蓋(110)及び前記第2蓋(120)は、前記2個以上の貫通穴部(150)に対応する複数の穴(200,201)をそれぞれ備え、
前記取付けネジ(160)のネジ部には雄ネジ(160A)が形成され、
前記第1蓋(110)及び前記第2蓋(120)の一方の前記複数の穴(200,201)には、前記雄ネジ(160A)に対応する雌ネジ(110A)が形成され、
前記雌ネジ(110A)と、前記第1蓋(110)及び前記第2蓋(120)の他方から挿入されて前記貫通穴部(150)を通る前記取付けネジ(160)の前記雄ネジ(160A)との締結により、前記第1蓋(110)、前記円筒部(100)及び前記第2蓋(120)が固定されることを特徴とする請求項1記載のモータ構造。
【請求項5】
前記円筒部(100)と前記第2蓋(120)の合わせ面(300)と同一平面が前記ステータ(130)の端面となり、前記第1蓋(110)には、前記第1蓋(110)を他部材に取り付けるためのインロー部(112)が前記第1蓋(110)の面(110a)よりも突出して形成されていることを特徴とする請求項1記載のモータ構造。
【請求項6】
前記円筒部内溝(101)の第1幅(W1)は、前記ステータ外溝(131)の第2幅(W2)よりも大であることを特徴とする請求項1記載のモータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ構造に関し、特に、第1蓋、円筒部及び第2蓋を、2個以上の貫通穴部の各々を貫通する取付けネジにより固定し、偏平型でかつ外径を小型化するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の偏平型のサーボモータとしては、例えば、特許文献1の
図1、
図2等に示されているように、ケース又はステータの何れかに貫通穴を設け、ケースと前蓋と後蓋を取付けネジの貫通により一体状に固定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の偏平型のサーボモータは、以上のように構成されていたため、ステータ及び各蓋の肉厚がある程度の厚さとならざるを得ず、偏平でかつ径小の偏平型モータを得ることに大きい障害となっていた。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、第1蓋、円筒部及び第2蓋を、2個以上の貫通穴部の各々を貫通する取付けネジにより固定し、偏平型でかつ外径を小型化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるモータ構造は、円筒部の内側に設けられた輪状のステータと、前記ステータの内側に回転可能に収容されたロータと、前記円筒部の一方の端部を覆う第1蓋と、前記円筒部の他方の端部を覆う第2蓋と、を備え、前記円筒部の内周面に軸方向に沿って設けられた2個以上の円筒部内溝と、前記ステータの外周面に軸方向に沿って設けられた2個以上のステータ外溝とにより、2個以上の貫通穴部が形成され、前記第1蓋、前記円筒部、及び前記第2蓋は、前記2個以上の貫通穴部のそれぞれを貫通する取付けネジにより固定された構造であり、また、前記2個以上の貫通穴部は、周方向に等角度又は不等角度間隔に形成された構造であり、また、前記ステータは、周方向に等角度間隔に分割された複数の分割片から構成され、前記複数の分割片のそれぞれには、前記ステータ外溝が設けられている構造であり、また、前記第1蓋及び前記第2蓋は、前記2個以上の貫通穴部に対応する複数の穴をそれぞれ備え、前記取付けネジのネジ部には雄ネジが形成され、前記第1蓋及び前記第2蓋の一方の前記複数の穴には、前記雄ネジに対応する雌ネジが形成され、前記雌ネジと、前記第1蓋及び前記第2蓋の他方から挿入されて前記貫通穴部を通る前記取付けネジの前記雄ネジとの締結により、前記第1蓋、前記円筒部及び前記第2蓋が固定される構造であり、また、前記円筒部と前記第2蓋の合わせ面と同一平面が前記ステータの端面となり、前記第1蓋には、前記第1蓋を他部材に取り付けるためのインロー部が前記第1蓋の面よりも突出して形成されている構造であり、また、前記円筒部内溝の第1幅は、前記ステータ外溝の第2幅よりも大である構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるモータ構造は、前述の構造のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、本発明のモータ構造においては、主として、第1蓋、円筒部及び第2蓋によってモータの外形を形成し、ケースとステータを用いて、取付けネジを取り付けるための貫通穴部を形成したため、円筒部の厚さが従来よりも大幅に薄い偏平型のモータ(サーボモータ)を得ることができ、装置の小型化に大きく寄与することができる。
また、前記2個以上の貫通穴部は、周方向に等角度又は不等角度間隔に形成されたことにより、取付けネジを用いて第1、第2蓋及びステータの任意の締付けを調整することができる。
また、前記ステータは、周方向に等角度間隔に分割された複数の分割片から構成され、前記複数の分割片のそれぞれには、前記ステータ外溝が設けられていることにより、磁束分布の調整ができる。
また、前記第1蓋及び前記第2蓋は、前記2個以上の貫通穴部に対応する複数の穴をそれぞれ備え、前記取付けネジのネジ部には雄ネジが形成され、前記第1蓋及び前記第2蓋の一方の前記複数の穴には、前記雄ネジに対応する雌ネジが形成され、前記雌ネジと、前記第1蓋及び前記第2蓋の他方から挿入されて前記貫通穴部を通る前記取付けネジの前記雄ネジとの締結により、前記第1蓋、前記円筒部及び前記第2蓋が固定されることによって、取付けの確かな偏平型モータを取り付けることができる。
また、前記円筒部と前記第2蓋の合わせ面と同一平面が前記ステータの端面となり、前記第1蓋には、前記第1蓋を他部材に取り付けるためのインロー部が前記第1蓋の面よりも突出して形成されていることにより、相手側の平面であれば、どこでも取付け可であり、また、ジョイントを設けることにより、狭い装置内でも取付け可である。
また、前記円筒部内溝の第1幅は、前記ステータ外溝の第2幅よりも大であることにより、取付けネジを前記貫通穴部にねじ込みできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態によるモータ構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によるモータ構造は、第1蓋、円筒部及び第2蓋を、2個以上の貫通穴部の各々を貫通する取付けネジにより固定し、偏平型でかつ外径を小型化することである。
【実施例0010】
以下、図面と共に本発明によるモータ構造の好適な実施の形態について説明する。
図1において符号1で示されるものは、本発明によるモータ構造であり、このモータ構造1における円筒部100の内側には全体形状がほぼ輪状又はカップ状のステータ130が設けられ、前記ステータ130側に設けた第1、第2軸受100M、100Nを介してこのステータ130の内側には、磁石部141と中空軸142からなるロータ140が、回転自在に設けられている。
前記円筒部100、ステータ130及びロータ140は、互いに同軸配置されている。
【0011】
前記円筒部100の第1、第2端部100a、100bの中の第1端部100aには、前蓋である第1蓋110が設けられ、前記第2端部100bには、後蓋である第2蓋120が設けられている。
前記円筒部100の内側に輪状のステータコイル132を有するステータ130が設けられ、前記ステータ130の内側には、磁石部141と中空軸142とからなるロータ140が回転自在に設けられている。
【0012】
前記円筒部100の内周面100Aには、その軸方向に沿って2個以上の円筒部内溝101が設けられ、前記ステータ130の外周面に軸方向に沿って設けられた2個以上のステータ外溝131とによって、2個以上の貫通穴部150が形成されている。
前記第1蓋110、円筒部100及び第2蓋120は、前記2個以上の貫通穴部150のそれぞれを貫通する棒状の取付けネジ160によって固定されている。
【0013】
前記2個以上の貫通穴部150は、前記円筒部100の周方向に等角度間隔又は不等角度間隔に形成されており、前記ステータ130は、周方向に等角度間隔に分割された複数の分割片130aから構成され、前記各分割片130aの外周のそれぞれには、前記ステータ外溝131が設けられている。
【0014】
前記第1蓋110及び第2蓋120は、前記2個以上の貫通穴部150に対応する複数の第1、第2穴200、201をそれぞれ有し、この貫通穴部150に螺入される前記取付けネジ160の端部のネジ部は雄ネジ160Aであり、前記第1、第2蓋110、120の一方の前記複数の貫通穴部150には、前記雄ネジ160Aに対応する雌ネジ110Aが形成されている。
前記雌ネジ110Aと、前記第1蓋110及び前記第2蓋120の他方から挿入されて前記貫通穴部150を通る前記取付けネジ160の前記雄ネジ160Aとの締結により、前記第1蓋110、前記円筒部100及び前記第2蓋120が固定されている。
【0015】
前記円筒部100と前記第2蓋120の合わせ面300と同一平面が前記ステータ130の端面となり、前記第1蓋110には、前記第1蓋110を他部材(装置、機構等)に取り付けるためのインロー部112が第1蓋110の面110aよりも突出して形成されている。
【0016】
前記円筒部内溝101の第1幅W1は、前記ステータ外溝131の第2幅W2によりも大であるように形成され、前記円筒部100の肉厚は薄く形成されているが、周方向に延設されているため、前記第1幅W1が第2幅W2よりも広いことを根拠として、第2幅W2としてステータ130を形成している。
本発明によるモータ構造は、偏平型で、かつ、径小化するために、数本の取付けネジを設けるために円筒部の内面とステータの外面とに軸方向に沿う溝を設け、各溝が互いに対向して配設されることにより、複数の貫通穴部が形成され、この各貫通穴部を用いて取付けネジを設けることにより、第1、第2蓋部とステータとが固定され、軸方向に沿う厚さ及び径小化を達成することができる。