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特開2024-128657インクジェット捺染用処理液組成物、インクセット及びインクジェット記録方法
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  • 特開-インクジェット捺染用処理液組成物、インクセット及びインクジェット記録方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128657
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】インクジェット捺染用処理液組成物、インクセット及びインクジェット記録方法
(51)【国際特許分類】
   D06P 5/00 20060101AFI20240913BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20240913BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20240913BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240913BHJP
   C09D 11/54 20140101ALI20240913BHJP
   D06P 5/30 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
D06P5/00 103
C09D11/30
B41M5/00 132
B41M5/00 114
B41M5/00 100
B41J2/01 501
B41J2/01 123
C09D11/54
D06P5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037754
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100080953
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 克郎
(72)【発明者】
【氏名】宮島 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】涌島 勇貴
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4H157
4J039
【Fターム(参考)】
2C056FC01
2C056HA42
2H186AB03
2H186AB12
2H186AB33
2H186AB54
2H186AB57
2H186AB61
2H186AB62
2H186BA08
2H186DA17
4H157CB14
4H157CB34
4H157CB55
4H157DA01
4H157GA06
4H157JB01
4J039AE07
4J039BA10
4J039BA29
4J039BC07
4J039BC08
4J039BC09
4J039BC13
4J039BC37
4J039BE02
4J039BE22
4J039BE30
4J039BE33
4J039CA03
4J039EA29
4J039EA43
4J039EA46
4J039EA47
4J039FA03
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】連続印刷安定性及び目詰まり回復性に優れ、得られる記録物が発色性及びブリード現象の抑制効果に優れるインクジェット捺染用処理液組成物を提供する。
【解決手段】尿素と、塩素酸ナトリウムと、分子量1000超10000未満のポリエチレングリコールと、水と、を含有する、インクジェット捺染用処理液組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素と、
塩素酸ナトリウムと、
分子量1000超10000未満のポリエチレングリコールと、
水と、を含有する、
インクジェット捺染用処理液組成物。
【請求項2】
グリコール系溶剤をさらに含有する、
請求項1に記載のインクジェット捺染用処理液組成物。
【請求項3】
分子量の異なる前記ポリエチレングリコールを2種以上含有する、
請求項1に記載のインクジェット捺染用処理液組成物。
【請求項4】
前記尿素の含有量は、前記処理液組成物の総量に対して、10質量%以上20質量%以下である、
請求項1に記載のインクジェット捺染用処理液組成物。
【請求項5】
炭酸水素カリウム及び炭酸ナトリウムの少なくとも一方をさらに含有する、
請求項1に記載のインクジェット捺染用処理液組成物。
【請求項6】
前記グリコール系溶剤の分子量が100以下であり、
前記グリコール系溶剤の標準沸点が230℃以下である、
請求項2に記載のインクジェット捺染用処理液組成物。
【請求項7】
前記塩素酸ナトリウムの含有量は、前記処理液組成物の総量に対して、1.0質量%以上15.0質量%以下である、
請求項1に記載のインクジェット捺染用処理液組成物。
【請求項8】
前記ポリエチレングリコールの含有量は、前記処理液組成物の総量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下である、
請求項1に記載のインクジェット捺染用処理液組成物。
【請求項9】
pHが8以上10以下である、
請求項1に記載のインクジェット捺染用処理液組成物。
【請求項10】
25℃における粘度が、3.00mm2/s以上6.50mm2/s以下である、
請求項1に記載のインクジェット捺染用処理液組成物。
【請求項11】
表面張力が30mN/m以上35mN/m以下である、
請求項1に記載のインクジェット捺染用処理液組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用処理液組成物と、
反応染料を含有するインクジェット捺染インクと、を有する、
インクセット。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用処理液組成物をインクジェット法により記録媒体に付着させる処理液付着工程と、
反応染料を含有するインクジェット捺染インクをインクジェット法により記録媒体に付着させるインク付着工程と、を備える、
インクジェット記録方法。
【請求項14】
前記処理液付着工程と前記インク付着工程とが、同じパスで行われる、
請求項13に記載のインクジェット記録方法。
【請求項15】
前記処理液付着工程において、記録媒体に付着させる尿素の付着量が4g/m2以上9g/m2以下である、
請求項13に記載のインクジェット記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット捺染用処理液組成物、インクセット、及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。その中でも、布帛等に対する顔料捺染インクを用いた記録方法においては、布帛等を前処理液により処理し、その後に顔料捺染インクを付着させることにより、発色性や摩擦堅牢性等の特性を向上させるための種々の検討がなされてきた。例えば、特許文献1には、滲みを抑制し、高発色の記録物を得るために、プリントを行う前の布帛に専用装置によりアクリル系ラテックス材料を備える下地塗装を行った後、該布帛をプリンターにセットして印刷を行う捺染方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-530269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前処理を行う専用の装置を用いる記録方法では、処理液組成物とインクとを付着させる度、乾燥させる必要があり、乾燥に必要な熱エネルギーが繰り返し必要となる。また、布帛上の記録において、色材として顔料を用いると風合いや鮮やかな発色を出すことが難しいため、染料による記録が好ましいところ、発色性やブリード現象(滲み)の抑制等の染料インク使用時の特有の課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のインクジェット捺染用処理液組成物は、尿素と、塩素酸ナトリウムと、分子量1000超10000未満のポリエチレングリコールと、水と、を含有する。
【0006】
本発明のインクセットは、上記インクジェット捺染用処理液組成物と、反応染料を含有するインクジェット捺染インクと、を有する。
【0007】
本発明のインクジェット記録方法は、上記のインクジェット捺染用処理液組成物をインクジェット法により記録媒体に付着させる処理液付着工程と、反応染料を含有するインクジェット捺染インクをインクジェット法により記録媒体に付着させるインク付着工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の記録方法で用いる記録装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0010】
1.インクジェット捺染用処理液組成物
本実施形態に係るインクジェット捺染用処理液組成物(以下、単に「処理液組成物」ともいう。)は、尿素と、塩素酸ナトリウムと、分子量1000超10000未満のポリエチレングリコールと、水と、を含有する。
【0011】
染料インクを用いた記録方法では、印刷前に布帛に前処理液を塗布し、インクのブリード抑制と発色性の向上を図るということが行われている。
【0012】
顔料捺染インク用の前処理液は、カチオン等の凝集剤を含み、比較的低粘度で構成することができる。そのため、顔料インクをインクジェット吐出する前に、顔料用インク用の前処理液をスプレー方式で塗布可能な、顔料捺染用インラインプリンタが市販されている。
【0013】
しかし一方で、染料捺染インク用の前処理液は、糊剤などの高粘度化させるための剤を添加する必要がある。そのため、インクジェット用のインク組成物を提供することが困難であった。染料捺染インクの記録工程では、染料捺染インクを付着した記録媒体に染料を定着するためには蒸す工程などが必要である。染料捺染インクにおいて糊剤などを含ませず低粘度にすると、この蒸す工程において染料が移動してしまい、ブリードがひどくなるなどの問題が生じる。
【0014】
このように、顔料捺染インク用の前処理液と染料捺染インク用の前処理液とは、含まれる成分や作用、粘度などの物性において根本的に相違するものであり、その相違によって、これまではインクジェット法に適用できる染料捺染インク用の前処理液は提供されてこなかった。
【0015】
この点について本発明者は、糊剤などの高粘度化させるための剤を必須成分としては含まない、インクジェット捺染用処理液組成物について鋭意検討した。具体的には、発色とブリードに影響を与える成分として尿素に着目し、実使用可能な発色を確保しつつブリードを抑制可能な尿素添加量について検討をした。
【0016】
その結果、特定分子量のポリエチレングリコールを尿素と併用することで、発色性を確保しつつ、ブリードを抑制可能な組成物を得られることが分かった。従来の糊剤ほど粘度を向上させないにもかかわらず、蒸し工程においては、糊剤と同様に染料のブリードを抑制し、発色性のより一層の向上が達成できた。また、糊剤などの高粘度化させるための剤を含まない場合には、かえってインクジェット法に適用するには粘度が低すぎて連続印字安定性が確保できないというさらなる問題が生じ得るが、特定分子量のポリエチレングリコールを用いることで、より一層の連続印字安定性の向上を図ることが可能となった。
【0017】
また、本発明者らがさらに検討を進めたところ、塩素酸ナトリウムを尿素と併用することにより、前処理液に対する尿素の溶解性が改善され、尿素の析出も抑制されることが分かってきた。これにより、特定分子量のポリエチレングリコールによるブリード抑制効果を得つつ、尿素の添加量をさらに向上することができる。そのため、発色性のさらなる向上と、尿素の析出抑制による印刷安定性の向上と、特定分子量のポリエチレングリコールを併用することによるブリード抑制とを達成することができる。
【0018】
以下、本実施形態に係るインクジェット捺染用処理液組成物、インクセット、及びインクジェット記録方法等について詳説する。
【0019】
1.1.尿素
処理液組成物は、尿素を含有する。尿素を含有することにより、得られる記録物の発色性が向上する。また、本実施形態においては、尿素に対して特定分子量のポリエチレングリコールを併用することにより、ブリード現象が抑制される。なお、本実施形態において、処理液組成物は尿素に加え、尿素の誘導体を含有してもよい。
【0020】
尿素の含有量は、好ましくは、処理液組成物の総量に対して、10質量%以上20質量%以下であるか、12質量%以上18質量%以下であるか、14質量%以上16質量%以下である。尿素の含有量が、処理液組成物の総量に対して、10質量%以上であることにより、発色性に一層優れる傾向にある。また、尿素の含有量が、処理液組成物の総量に対して、20質量%以下であることにより、尿素の溶解性が良好となり、連続印字安定性がより向上するほか、ブリードがより抑制される傾向にある。
【0021】
1.2.塩素酸ナトリウム
処理液組成物は、塩素酸ナトリウムを含有する。塩素酸ナトリウムを含有することにより、尿素の溶解性が向上し、処理液組成物の目詰まり回復性並びに得られる記録物の発色性に優れる。なお、本実施形態において、処理液組成物は塩素酸ナトリウムに加え、その誘導体を含有してもよい。
【0022】
塩素酸ナトリウムの含有量は、好ましくは、処理液組成物の総量に対して、1.0質量%以上15.0質量%以下であるか、2.5質量%以上12.5質量%以下であるか、5.0質量%以上10.0質量%以下である。塩素酸ナトリウムの含有量を上記範囲内にすることで、尿素の溶解性がより向上し、目詰まり回復性並びに得られる記録物の発色性が一層向上する傾向にある。
【0023】
処理液組成物において、尿素に対する塩素酸ナトリウムの含有量の質量比は、好ましくは、0.2以上0.8以下であるか、0.3以上0.7以下であるか、0.4以上0.6以下である。上記の質量比にすることで、尿素の溶解性がより向上し、目詰まり回復性並びに得られる記録物の発色性が一層向上する傾向にある。
【0024】
1.2.1.その他のアルカリ金属塩
本実施形態において、塩素酸ナトリウムの他にも、アルカリ金属塩をさらに含有してもよい。好ましくは、炭酸水素カリウム及び炭酸ナトリウムの少なくとも一方をさらに含有するか、炭酸水素カリウムをさらに含有する。このようなアルカリ金属塩をさらに含有することにより、尿素の溶解性を一層向上させ、目詰まり回復性、及び発色性に優れる傾向にある。
【0025】
1.3.ポリエチレングリコール
処理液組成物は、分子量1000超10000未満のポリエチレングリコール(以下、「ポリエチレングリコールP」ともいう。)を含有する。ポリエチレングリコールPを含有することにより、処理液を吐出する際の粘度を好適なものとし、発色性を向上させ、安定した印刷に寄与する。なお、ポリエチレングリコールPとして、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0026】
上記と同様の観点から、処理液組成物は、分子量1200以上9000以下のポリエチレングリコールを含有することがより好ましく、分子量1500以上8000以下のポリエチレングリコールを含有することが更に好ましい。なお、本実施形態において、ポリエチレングリコールの分子量は、重量平均分子量を表す。
【0027】
ポリエチレングリコールPは、異なる分子量を有するポリエチレングリコールを2種以上含有すると好ましい。このような態様により、処理液の粘度を一層好適なものとし、浸透性及びブリード現象の抑制効果が向上する傾向にある。上記と同様の観点から、ポリエチレングリコールPとしては、分子量が1000超4000未満であるポリエチレングリコール(以下、「ポリエチレングリコールA」ともいう。)と4000以上10000未満であるポリエチレングリコール(以下、「ポリエチレングリコールB」ともいう。)をそれぞれ1種含むとより好ましい。
【0028】
ポリエチレングリコールAの分子量は、1000超4000未満であり、好ましくは、1100~3500であるか、1200~3000であるか、1300~2500である。また、ポリエチレングリコールBの分子量は、4000以上10000未満であり、好ましくは、4500~9000であるか、5000~8000であるか、5500~7000である。
【0029】
ポリエチレングリコールPの合計含有量は、好ましくは、処理液組成物の総量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下であるか、2.5質量%以上15.0質量%以下であるか、5.0質量%以上12.5質量%以下であるか、7.5質量%以上10.0質量%以下である。ポリエチレングリコールPの合計含有量を上記範囲内にすることで、処理液を吐出する際の粘度を一層好適なものとし、浸透性及びブリード現象の抑制効果が向上する傾向にある。
【0030】
1.4.水溶性有機溶剤
処理液組成物は、水溶性有機溶剤を含むと好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えば、グリコール系溶剤、グリコールモノエーテル系溶剤、グリセリン等の水酸基を3つ含有する化合物、含窒素溶剤、アルコール系溶剤等が挙げられる。浸透性及び発色性を向上させる観点からは、水溶性有機溶剤のなかでもグリコール系溶剤を含むことが好ましい。なお、水溶性有機溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0031】
グリコール系溶剤として、好ましくは、分子量が100以下でありかつその標準沸点が230℃以下であるものを用いる。そのようなグリコール系溶剤を含むと、浸透性及び発色性が一層向上する傾向にある。
【0032】
グリコール系溶剤として具体的には、例えば、1,3-ブチレングリコール(1,3-ブタンジオール)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。本発明による効果を一層有効かつ確実に奏する観点からは、1,3-ブチレングリコール(1,3-ブタンジオール)が好ましい。
【0033】
グリコール系溶剤の含有量は、好ましくは、処理液組成物の総量に対して、0.1質量%以上5.0質量%以下であるか、0.5質量%以上3.0質量%以下であるか、0.7質量%以上2.0質量%以下である。グリコール系溶剤の含有量が上記範囲内にあることで、本発明による効果が一層有効かつ確実に奏される。
【0034】
グリコール系溶剤以外の溶剤では、例えば、グリコールモノエーテル系溶剤としてエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられ、含窒素溶剤として2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン等が挙げられ、アルコール系溶剤としてメタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、iso-ブタノール、n-ペンタノール等が挙げられる。
【0035】
水溶性有機溶剤の含有量は、好ましくは、処理液組成物の総量に対して、0.1質量%以上5.0質量%以下であるか、0.5質量%以上3.0質量%以下であるか、0.7質量%以上2.0質量%以下である。水溶性有機溶剤の含有量が上記範囲内にあることで、本発明による効果を一層有効かつ確実に奏することができる。
【0036】
1.5.界面活性剤
処理液組成物は、界面活性剤をさらに含有してもよい。界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。なお、界面活性剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0037】
処理液組成物は、本発明による効果を一層有効かつ確実に奏する観点から、好ましくは、アセチレングリコール系界面活性剤を含む。アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、オルフィン(登録商標)B、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD-001、PD-002W、PD-003、PD-004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF-103、AF-104、AK-02、SK-14、AE-3(日信化学工業(株)製)、サーフィノール(登録商標)104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG-50、104S、420、440、465、485、アセチレノール(登録商標)E00、E00P、E40、E100(川研ファインケミカル(株)製)が挙げられる。これらのなかでも、上記同様の観点からは、PD-002Wを用いると好ましい。
【0038】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等のポリシロキサン系化合物が挙げられる。ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-348(ビックケミー・ジャパン(株)製)、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
【0039】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、フッ素変性ポリマーが挙げられ、例えば、BYK-340(ビックケミー・ジャパン(株)製)が挙げられる。
【0040】
界面活性剤の含有量は、好ましくは、処理液組成物の総量に対して、0.01質量%以上10.0質量%以下であるか、0.05質量%以上5.0質量%以下であるか、0.07質量%以上1.0質量%以下である。界面活性剤の含有量が上記範囲内にあることで、本発明による効果を一層有効かつ確実に奏することができる。
【0041】
1.6.水
処理液組成物は、水を含む。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、並びに蒸留水のような純水、及び超純水が挙げられる。
【0042】
水の含有量は、好ましくは、処理液組成物の総量に対して、30質量%以上95質量%以下であるか、40質量%以上90質量%以下であるか、50質量%以上80質量%以下であるか、55質量%以上75質量%以下である。水の含有量が上記範囲内にあることで、本発明の効果が一層有効かつ確実に奏される。
【0043】
1.7.その他の成分
処理液組成物は、必要に応じて、さらに上述したもの以外の成分を含有してもよい。そのような成分は、特に限定されないが、例えば、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤その他の添加剤及び上述の溶媒以外の溶媒等が挙げられる。
【0044】
本実施形態のインクジェット捺染用処理液組成物は、公知の方法により調製することができ、例えば、各成分を任意の順序で混合し、必要に応じてろ過などを実施して不純物や異物などを除去することで調製することができる。各成分の混合方法としては、例えば、メカニカルスターラー、及びマグネティックスターラーなどの撹拌装置を備えた容器に、各成分を順次添加して撹拌、及び混合する方法が用いられる。ろ過方法としては、例えば、遠心ろ過、及びフィルターろ過などが挙げられる。
【0045】
1.8.物性
処理液組成物のpHは、好ましくは、7以上11以下であるか、8以上10以下である。処理液組成物のpHが上記範囲内にあることにより、連続印字安定性や目詰まり回復性に優れ、ブリードが抑制され、発色性及び浸透性がより向上する傾向にある。
【0046】
処理液組成物の25℃における粘度は、好ましくは、2.50mm2/s以上7.50mm2/s以下であるか、3.00mm2/s以上6.50mm2/s以下であるか、3.20mm2/s以上5.00mm2/s以下である。処理液組成物の25℃における粘度が上記範囲内にあることにより、連続印字安定性に優れ、ブリードが抑制され、発色性及び浸透性がより向上する傾向にある。
【0047】
処理液組成物の表面張力は、好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下であるか、30mN/m以上35mN/m以下である。処理液組成物の表面張力が上記範囲内にあることにより、連続印字安定性や目詰まり回復性に優れ、ブリードが抑制され、発色性及び浸透性がより向上する傾向にある。
【0048】
2.インクセット
本実施形態のインクセットは、上述したインクジェット捺染用処理液組成物と、反応染料を含有するインクジェット捺染インクと、を有する。このようなインクセットを用いることで、処理液組成物の連続印刷安定性及び目詰まり回復性が向上し、得られる記録物が発色性、ブリード現象の抑制、及び浸透性に優れる。
【0049】
インクジェット捺染インクに含まれる反応染料としては、例えば、C.I.リアクティブイエロー3、6、12、18、86;C.I.リアクティブオレンジ2、5、12、13、20;C.I.リアクティブレッド3、4、7、12、13、15、16、24、29、31、32、33、43、45、46、58、59;C.I.リアクティブバイオレット1、2;C.I.リアクティブブルー2、3、5、7、13、14、15、25、26、39、40、41、46、49、176;C.I.リアクティブグリーン5、8;C.I.リアクティブブラウン1、2、7、8、9、11、14;C.I.リアクティブブラック1、2、3、8、10、12、13等が挙げられる。なお、本明細書において反応染料とは、カラーインデックス中で反応染料に分類されている化合物をいう。
【0050】
3.インクジェット記録方法
本実施形態のインクジェット記録方法は、上述したインクジェット捺染用処理液組成物をインクジェット法により記録媒体に付着させる処理液付着工程と、反応染料を含有するインクジェット捺染インクをインクジェット法により記録媒体に付着させるインク付着工程と、を備える。このような記録方法を用いることで、処理液組成物の付着工程において連続印刷安定性及び目詰まり回復性が向上した上で、得られる記録物が発色性、及びブリード現象の抑制に優れるものとなる。
【0051】
本実施形態において「インクジェット法」とは、インクジェットヘッドにおいてインク組成物や処理液をノズルから吐出する方式をいう。このような方式としては、圧力発生手段を駆動させて、インクジェットヘッドの圧力発生室内に充填された組成物をノズルから吐出させる方法や、熱エネルギーを作用させて吐出する方法が挙げられる。ノズル内のインク組成物に圧力を加える方法としては、特に限定されないが、例えば、圧電素子を用いてインク組成物の液滴を吐出するピエゾ方式や、加熱により液滴を吐出するサーマル方式が挙げられる。
【0052】
3.1.処理液付着工程
処理液付着工程は、記録媒体に対して処理液組成物をインクジェット法により付着させる工程である。処理液付着工程において、記録媒体に付着させる尿素の付着量は、4g/m2以上9g/m2以下であると好ましい。付着させる尿素の量を上記の範囲にすることで、得られる記録物の発色性が向上し、ブリード現象が抑制される傾向にある。
【0053】
3.2.インク付着工程
インク付着工程では、上記処理液組成物が付着した部分の上に、さらに捺染インクをインクジェット法により付着させる工程である。
【0054】
本実施形態のインクジェット記録方法は、処理液付着工程とインク付着工程とは、同じパスで行っても、異なるパスで行ってもよい。このなかでも、処理液付着工程とインク付着工程とが、同じパスで行われると好ましい。上述の捺染用処理液組成物を用いることにより、処理液付着工程後、すぐにインク付着工程を行うことが可能となる。また、このように、処理液付着工程とインク付着工程とが同じパスで行われると、乾燥に必要とされる加熱エネルギーを少なくすることができ、記録物の生産性に優れる。
【0055】
3.3.乾燥工程
乾燥工程は、処理液付着工程及びインク付着工程後に布帛を加熱することにより乾燥させる工程である。乾燥手段としては、公知の乾燥手段を用いることができる。本実施形態において、乾燥工程は、インク付着工程後のみに行ってもよい。上述の処理液組成物を用いると、処理液付着工程後、乾燥工程を行わずインク付着工程を行うことができ、乾燥に必要とされる加熱エネルギーを少なくすることができるため、記録物の生産性に優れる。
【0056】
3.4.その他の工程
本実施形態の記録方法は、上記の工程に加え、必要に応じてその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程として、例えば、上記処理液付着工程の後かつインク付着工程の前に布帛を自然乾燥させる工程を行ってもよい。
【0057】
4.記録媒体
本実施形態に用いる記録媒体は、特に制限されないが、布帛であってもよく、布帛を構成する繊維としては、例えば、木綿、絹、羊毛といった天然繊維、またレーヨン、キュプラ等の再生繊維、あるいはこれらの天然繊維と再生繊維の混紡品や、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維等の人工繊維との混紡品等があげられる。
【0058】
5.インクジェット記録装置
処理液組生物及び捺染インクをインクジェット記録装置により記録塩に付着させる際、用いるインクジェット記録装置としては、特に限定されず、シリアル型、及びライン型のいずれでも使用することができる。インクジェット記録装置の一例として、図1に、シリアル型記録装置の斜視図を示す。図1に示すように、シリアル型記録装置10は、搬送部120と、記録部130とを備えている。搬送部120は、シリアル型記録装置に給送された記録媒体Fを記録部130へと搬送し、記録後の記録媒体をシリアル型記録装置の外に排出する。具体的には、搬送部120は、各送りローラーを有し、送られた記録媒体Fを副走査方向T1へ搬送する。
【0059】
また、記録装置における記録部130は、搬送部120から送られた記録媒体Fに対して処理液組成物及び捺染インク吐出するノズルを有するインクジェットヘッド131を搭載するキャリッジ134と、キャリッジ134を記録媒体Fの主走査方向S1、S2に移動させるキャリッジ移動機構135を備える。
【0060】
また、記録装置における記録部130は、処理液組成物及び捺染インクを吐出するノズルを有する。
【0061】
シリアル型記録装置の場合には、インクジェットヘッド131として記録媒体の幅より小さい長さであるヘッドを備え、ヘッドが移動し、複数パス(マルチパス)で記録が行われる。また、シリアル型記録装置では、所定の方向に移動するキャリッジ134にヘッド131が搭載されており、キャリッジの移動に伴ってヘッドが移動することにより記録媒体上にインク組成物を吐出する。これにより、2パス以上(マルチパス)で付着が行われる。なお、パスを主走査ともいう。パスとパスの間には記録媒体を搬送する副走査を行う。つまり主走査と副走査を交互に行う。
【実施例0062】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0063】
1.捺染用処理液組成物の調製
表1~3に記載の組成となるように、混合物用タンクに各成分を入れ、混合攪拌し、さらにメンブランフィルターでろ過することにより各例の捺染用処理液組成物を得た。なお、表中の各例に示す各成分の数値は特段記載のない限り質量%を表す。
【0064】
表1~3で使用した製品成分の詳細は以下のとおりである。
[水溶性有機溶剤]
・1,3-ブチレングリコール
[ポリエチレングリコール]
・PEG 400(富士フィルム和光純薬社製)
・PEG 1000(富士フィルム和光純薬社製)
・PEG 1500(ナカライテスク社製)
・PEG 6000(富士フィルム和光純薬社製)
・PEG 10000(富士フィルム和光純薬社製)
・PEG 12000(富士フィルム和光純薬社製)
[界面活性剤]
・オルフィンPD-002W(商品名、アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製)
【0065】
2.インクセットの作製
以下の4つのタイプの構成を有するインクセットを用いて各種評価を実施した。処理液組成物以外の反応染料インクは、市販品であるGENESTA(セイコーエプソン株式会社製)を用いた。各例において用いるインクセットの記号を表1~表3に示す。
・タイプ1
処理液組成物を1スロットと、反応染料インクを7スロット(7色)でインクセットを構成した。反応染料インクの7色としては、イエロー、クリムゾン、シアン、ブラック、ブルー、オレンジ、及びグレイを用いた。
・タイプ2
処理液組成物を2スロットと、反応染料インクを6スロット(6色)でインクセットを構成した。反応染料インクの6色としては、イエロー、クリムゾン、シアン、ブラック、ブルー、及びオレンジを用いた。
・タイプ3
処理液組成物を3スロットと、反応染料インクを5スロット(5色)でインクセットを構成した。反応染料インクの5色としては、イエロー、クリムゾン、シアン、ブラック、及びブルーを用いた。
・タイプ4
処理液組成物を4スロットと、反応染料インクを4スロット(4色)でインクセットを構成した。反応染料インクの4色としては、イエロー、クリムゾン、シアン、及びブラックを用いた。
【0066】
3.記録方法
処理液組成物と各反応染料インクを、Monna Lisaインクジェット捺染機(Monna Lisa Evo Tre 16-180、セイコーエプソン株式会社製)にセットし、画像デザインとベタパターンを、900×600dpi、4パスで印刷した。
【0067】
本実施例では、2つのタイプの記録方法により記録を行った。処理液組成物と反応染料インクを同じパスで同時印刷を行う方法(タイプA)と、処理液組成物を付着させるパスと反応染料インクを付着させるパスを別のパスで行う方法(タイプB)とで区別した。タイプBの印刷では、1パス目及び2パス目では処理液組成物を吐出し、3パス目及び4パス目では反応染料インクを吐出した。なお、処理液組成物の尿素の付着量は8.7g/m2とした。
【0068】
印刷に用いる生地(記録媒体)としては、下記の3種類のうち1種を用いた。
・生地A:コットン(厚さ0.30mm)
(「100%コットン」、Epson Como Printing Technologies Srl社製)
・生地B:厚手コットン(厚さ0.61mm)
(「100%コットン」、Epson Como Printing Technologies Srl社製)
・生地C:T-シャツ生地
(「92%コットン, 8%エラストマー」、Epson Como Printing Technologies Srl社製)
【0069】
全ての印刷物は、印刷後、高温スチーマー(辻井染機工業株式会社製、「HT-3-550型」)を使用し、102℃で10分の条件で処理した後、乾燥させることにより記録物を得た。
【0070】
上記記録方法において、処理液組成物(詳細は下記に示す)としてを、反応染料インクとして上記GENESTAの8色(イエロー・クリムゾン・シアン・ブラック・ブルー・オレンジ・グレイ・レッド)を使用し、上記同様のデザインで印刷したものを評価の基準となるサンプル(以下、「基準サンプル」という。)として用いた。
【0071】
(処理液組成物の組成)
ヒドロキシエチルセルロース(富士フィルム和光純薬社製) :3質量%
尿素(富士フィルム和光純薬社製) :10質量%
メタ-ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬社製):3質量%
炭酸水素ナトリウム(富士フィルム和光純薬社製) :4質量%
水:残り
【0072】
4.評価方法
4.1.発色性
上記方法により得られた印刷物と基準サンプルとを比較して評価を行った。評価基準は以下の通りであり、その結果を表1~表3に示す。
(評価基準)
A:基準サンプルと比べ、同程度又はより良い発色であった
B:基準サンプルと比べ、やや発色が劣るが、実用上問題ない程度の発色であった
C:基準サンプルと比べ、明らかに発色が劣る
D:基準サンプルと比べ、著しく発色が劣る
【0073】
4.2.浸透性
上記方法により得られた印刷物と基準サンプルに対して、画像の状態を目視によって比較し、以下の基準により評価した。その評価結果を表1~表3に示す。
(評価基準)
A:基準サンプルと比べ、同程度又はより良い品質の画像であった
B:基準サンプルと比べ、印刷部分のインクの埋まり方においてやや劣るが、実用上問題ないレベルであった
C:基準サンプルと比べ、印刷部分に白茶けた箇所があった
D:基準サンプルと比べ、印刷部分に白茶けた箇所があることに加え、ベタパターンで印刷された部分にむらが生じた
【0074】
4.3.ブリード
上記方法により得られた印刷物と基準サンプルに対して、滲みの状態を目視によって比較し、以下の基準により評価した。その評価結果を表1~表3に示す。
(評価基準)
A:基準サンプルと同様に、滲みの無い画像が得られた
B:基準サンプルと比べ、細線部分においてやや滲みが見られるが、実用上問題ないレベルであった
C:基準サンプルと比べ、細線部分で明らかに滲みが見られた
D:基準サンプルと比べ、細線部分で著しく滲みが見られた
【0075】
4.4.連続印刷安定性
上記方法により得られた印刷物の状態を確認した。その評価基準は以下の通りであり、結果を表1~表3に示す。
(評価基準)
A:1000m連続印刷して得られた基準サンプルの印刷品質に変化はない
B:1000m連続印刷した際、最後50m分の基準サンプルに関し、ごくわずかに発色低下が見られたが、実使用上、全く問題にならない
C:1000m連続印刷した際、前半500m分の基準サンプルに関し印刷品質に問題はないが、500mを過ぎてくると、基準サンプルの発色が徐々に薄くなった
D:1000m連続印刷した際、はじめの100m分の評価サンプルの印刷品質には問題はないが、100mを過ぎてくると、基準サンプルの発色が徐々に薄くなり、最終的に印刷デザインがほとんどなくなった
【0076】
4.5.目詰まり回復性
各インクセットを搭載したインクジェット捺染機(Monna Lisa Evo Tre 16-180、セイコーエプソン株式会社製)を用いてノズルチェックパターンを印刷して充填不良・ノズル目詰まりの無いことを確認してから、ヘッドをホームポジションに戻した状態にして、室温環境下で2週間放置した。放置後、ノズルチェックパターンを印刷してノズルの吐出状況を観察することで、インク組成物のインクジェットヘッドの目詰まり回復性を評価した。その評価基準は以下の通りであり、結果を表1~表3に示す。
(評価基準)
A:クリーニング動作が2回以内で、全ノズルからインク組成物が正常吐出された
B:クリーニング動作が3回で、全ノズルからインク組成物が正常吐出された
C:クリーニング動作が4回以上で、全ノズルからインク組成物が正常吐出された
D:クリーニング動作を4回以上行っても正常吐出されないノズルがあった
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
5.評価結果
表1~3に、各例で用いた処理液の組成、並びに評価結果を示した。表1~3から、尿素と、塩素酸ナトリウムと、分子量1000超10000未満のポリエチレングリコールと、水と、を含有するインクジェット捺染用処理液組成物を用いて記録を行うことにより、得られる記録物が発色性、浸透性、連続印刷安定性、及び目詰まり回復性に優れ、ブリード現象を抑制できることが分かる。
【符号の説明】
【0081】
10…シリアル型記録装置、120…搬送部、130…記録部、131…インクジェットヘッド、134…キャリッジ、135…キャリッジ移動機構、F…記録媒体、S1,S2…主走査方向、T1…副走査方向。
図1