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特開2024-128658情報処理方法、情報処理装置、情報処理プログラム、械学習済みモデルの生成方法、及び機械学習済みモデル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128658
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、情報処理プログラム、械学習済みモデルの生成方法、及び機械学習済みモデル
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240913BHJP
   G16H 40/60 20180101ALI20240913BHJP
【FI】
A61B5/00 102B
G16H40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037755
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 麻見
(72)【発明者】
【氏名】永田 里恵
(72)【発明者】
【氏名】金光 陽子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博則
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 勇志
(72)【発明者】
【氏名】井上 美帆
(72)【発明者】
【氏名】レイ ジェフ
【テーマコード(参考)】
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XA07
4C117XB01
4C117XB02
4C117XB04
4C117XB15
4C117XE04
4C117XE15
4C117XJ13
4C117XJ52
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生体情報の被測定者の管理に役立てることが可能な情報処理方法、情報処理装置、情報処理プログラム、機械学習済みモデルの生成方法、及び機械学習済みモデルを提供する。
【解決手段】プロセッサ11は、生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた所定期間分の生体情報の測定実績に関する測定関連情報を取得し、前記測定関連情報に基づいて、前記所定期間よりも後の未来の期間において前記被測定者が生体情報を継続して測定する可能性の大きさを示す測定傾向情報を導出し、前記測定傾向情報に基づく処理を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサが、
生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた所定期間分の生体情報の測定実績に関する測定関連情報を取得し、
前記測定関連情報に基づいて、前記所定期間よりも後の未来の期間において前記被測定者が生体情報を継続して測定する可能性の大きさを示す測定傾向情報を導出し、
前記測定傾向情報に基づく処理を行う、情報処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記プロセッサは、前記測定関連情報を、機械学習済みのモデルに入力して、前記測定傾向情報を前記モデルから取得する、情報処理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理方法であって、
前記測定実績は、前記生体情報の測定値を含む、情報処理方法。
【請求項4】
請求項2に記載の情報処理方法であって、
前記測定実績は、前記所定期間における生体情報の測定タイミングを含み、
前記測定関連情報は、前記測定タイミングの分布の特徴を示す情報を含む、情報処理方法。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載の情報処理方法であって、
前記プロセッサは、
前記被測定者の生活状況に関する測定者情報を取得し、
前記測定者情報を前記モデルに更に入力して、前記モデルから前記測定傾向情報を得る、情報処理方法。
【請求項6】
請求項2から4のいずれか1項に記載の情報処理方法であって、
前記プロセッサは、
前記被測定者が利用する前記生体情報測定装置の機種情報を取得し、
前記機種情報を前記モデルに更に入力して、前記モデルから前記測定傾向情報を得る、情報処理方法。
【請求項7】
請求項2から4のいずれか1項に記載の情報処理方法であって、
前記モデルは、被測定者に対して行われた所定期間分の生体情報の測定実績に関する測定関連情報と、前記所定期間の後に当該被測定者に対して生体情報の測定を促す介入が行われたか否かを示す介入情報とを学習用データとして学習して生成されたものであり、
前記プロセッサは、
取得した前記測定関連情報と介入を行ったことを示す介入あり情報を前記モデルに入力し、前記モデルから取得した前記測定傾向情報に基づく前記処理を行い、
取得した前記測定関連情報と介入を行わなかったことを示す介入なし情報を前記モデルに入力し、前記モデルから取得した前記測定傾向情報に基づく前記処理を行う、情報処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理方法であって、
前記学習用データに含まれる前記介入が行われたことを示す前記介入情報は、介入が実施された時間帯の情報が含まれ、
前記プロセッサは、取得した前記測定関連情報と特定の時間帯に介入を行う情報とを前記モデルに入力する処理を、前記時間帯を変えて複数回行い、前記複数回の処理で前記モデルから出力された前記測定傾向情報に基づく前記処理を行う、情報処理方法。
【請求項9】
請求項7に記載の情報処理方法であって、
前記学習用データに含まれる前記介入が行われたことを示す前記介入情報は、実施された介入の内容の情報が含まれ、
前記プロセッサは、取得した前記測定関連情報と前記介入の内容の情報とを前記モデルに入力する処理を前記内容の情報を変えて複数回行い、前記複数回の処理で前記モデルから出力された前記測定傾向情報に基づく前記処理を行う、情報処理方法。
【請求項10】
生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた所定期間分の生体情報の測定実績に関する測定関連情報を取得し、
前記測定関連情報に基づいて、前記所定期間よりも後の未来の期間において前記被測定者が生体情報を継続して測定する可能性の大きさを示す測定傾向情報を導出し、
前記測定傾向情報に基づく処理を行う、プロセッサを備える情報処理装置。
【請求項11】
生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた所定期間分の生体情報の測定実績に関する測定関連情報を取得するステップと、
前記測定関連情報に基づいて、前記所定期間よりも後の未来の期間において前記被測定者が生体情報を継続して測定する可能性の大きさを示す測定傾向情報を導出するステップと、
前記測定傾向情報に基づく処理を行うステップと、をプロセッサに実行させる情報処理プログラム。
【請求項12】
プロセッサが、
生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた過去の一定期間分のうちの所定期間における生体情報の測定実績に関する測定関連情報と、前記一定期間のうちの前記所定期間よりも後の期間において前記被測定者が生体情報を継続して測定したか否かの情報とを学習用データとして複数取得し、
前記複数の学習用データに基づく機械学習をプログラムに実行させて、生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた所定期間分の生体情報の測定実績に関する測定関連情報が入力されると、当該所定期間よりも後の未来の期間において当該被測定者が生体情報を継続して測定する可能性の大きさを示す測定傾向情報を出力する機械学習済みモデルを生成する、機械学習済みモデルの生成方法。
【請求項13】
生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた過去の一定期間分のうちの所定期間における生体情報の測定実績に関する測定関連情報と、前記一定期間のうちの前記所定期間よりも後の期間において前記被測定者が生体情報を継続して測定したか否かの情報とを学習用データとして機械学習がなされた機械学習済みモデルであって、
生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた所定期間分の生体情報の測定実績に関する測定関連情報を入力として、当該所定期間よりも後の未来の期間において当該被測定者が生体情報を継続して測定する可能性の大きさを示す測定傾向情報を出力する処理をプロセッサに実行させる機械学習済みモデル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理装置、情報処理プログラム、械学習済みモデルの生成方法、及び機械学習済みモデルに関する。
【背景技術】
【0002】
健康管理のために、体重、血圧、又は血糖等の生体情報の測定を継続的に行うことが求められる場合がある。しかしながら、被測定者によっては、生体情報の測定は忘れがちになる。特許文献1には、ユーザの生体情報の測定データが取得され、取得されたデータに基づいて双六におけるユーザのコマが進められることにより、ユーザが生体情報を測定するためのモチベーションを上げることができる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-3569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医師や看護師等の医療従事者にとっては、自身の担当する患者が継続的に生体情報の測定を行ってもらえるように、患者を管理する必要がある。しかし、患者と行動を共にしていない医療従事者にとって、患者が生体情報を測定し続けるかどうかを判断することは難しい。
【0005】
本開示の目的は、生体情報の被測定者の管理に役立てることが可能な情報処理方法、情報処理装置、情報処理プログラム、機械学習済みモデルの生成方法、及び機械学習済みモデルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の技術は以下の通りである。なお、括弧内には、以降の実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0007】
(1)
プロセッサ(プロセッサ11)が、
生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた所定期間分の生体情報の測定実績に関する測定関連情報を取得し、
上記測定関連情報に基づいて、上記所定期間よりも後の未来の期間において上記被測定者が生体情報を継続して測定する可能性の大きさを示す測定傾向情報を導出し、
上記測定傾向情報に基づく処理を行う、情報処理方法。
【0008】
(1)によれば、被測定者の測定関連情報を取得できれば、その被測定者が未来の期間において生体情報を継続する可能性がどの程度であるかを判定できる。この結果、生体情報を継続する可能性が低いと判定できる場合には、その被測定者に対して生体情報の測定を促す等の措置が可能となり、被測定者が生体情報を継続して測定する可能性を高めることができる。
【0009】
(2)
(1)に記載の情報処理方法であって、
上記プロセッサは、上記測定関連情報を、機械学習済みのモデルに入力して、上記測定傾向情報を上記モデルから取得する、情報処理方法。
【0010】
(2)によれば、機械学習済みモデルを定期的に学習させていくことで、測定傾向情報の導出精度を高めることができ、被測定者の管理をより適切に行うことが可能となる。
【0011】
(3)
(2)に記載の情報処理方法であって、
上記測定実績は、上記生体情報の測定値を含む、情報処理方法。
【0012】
(3)によれば、被測定者から測定された測定値を収集することで、その被測定者の測定傾向情報を導出できるようになるため、被測定者に対して特別な作業をさせることなく、測定傾向情報を容易に導出可能となる。
【0013】
(4)
(3)に記載の情報処理方法であって、
上記測定関連情報は、上記所定期間における上記測定値の代表値を含む、情報処理方法。
【0014】
(4)によれば、被測定者から測定された測定値を収集することで、その被測定者の測定傾向情報を導出できるようになるため、被測定者に対して特別な作業をさせることなく、測定傾向情報を容易に導出可能となる。
【0015】
(5)
(3)に記載の情報処理方法であって、
上記測定関連情報は、上記所定期間における上記測定値の変動傾向を示す情報を含む、情報処理方法。
【0016】
(5)によれば、被測定者から測定された測定値を収集することで、その被測定者の測定傾向情報を導出できるようになるため、被測定者に対して特別な作業をさせることなく、測定傾向情報を容易に導出可能となる。
【0017】
(6)
(2)に記載の情報処理方法であって、
上記測定実績は、上記所定期間における生体情報の測定タイミングを含み、
上記測定関連情報は、上記測定タイミングの分布の特徴を示す情報を含む、情報処理方法。
【0018】
(6)によれば、被測定者から生体情報が測定された測定タイミングを収集することで、その被測定者の測定傾向情報を導出できるようになるため、被測定者に対して特別な作業をさせることなく、測定傾向情報を容易に導出可能となる。
【0019】
(7)
(6)に記載の情報処理方法であって、
上記情報は、上記所定期間において最後に上記生体情報が測定されたタイミングから上記基準時点までの経過時間を含む、情報処理方法。
【0020】
(7)によれば、被測定者から生体情報が測定された測定タイミングを収集することで、その被測定者の測定傾向情報を導出できるようになるため、被測定者に対して特別な作業をさせることなく、測定傾向情報を容易に導出可能となる。
【0021】
(8)
(6)に記載の情報処理方法であって、
上記情報は、上記所定期間の一部であって上記基準時点から既定時間前までの期間における上記生体情報の測定回数を含む、情報処理方法。
【0022】
(8)によれば、被測定者から生体情報が測定された測定タイミングを収集することで、その被測定者の測定傾向情報を導出できるようになるため、被測定者に対して特別な作業をさせることなく、測定傾向情報を容易に導出可能となる。
【0023】
(9)
(2)から(8)のいずれかに記載の情報処理方法であって、
上記プロセッサは、
上記被測定者の生活状況に関する測定者情報を取得し、
上記測定者情報を上記モデルに更に入力して、上記モデルから上記測定傾向情報を得る、情報処理方法。
【0024】
(9)によれば、被測定者の測定者情報と測定関連情報を用いて、その被測定者の測定傾向情報を導出できるようになるため、測定傾向情報の導出精度を高めることができる。
【0025】
(10)
(9)に記載の情報処理方法であって、
上記測定者情報は、上記所定期間において上記被測定者が最後に通院したタイミング、上記被測定者の同居人の有無、又は上記被測定者の罹患している病名を含む、情報処理方法。
【0026】
(10)によれば、被測定者の生活状況に応じて測定傾向情報を導出できるようになるため、測定傾向情報の導出精度を高めることができる。
【0027】
(11)
(2)から(8)のいずれかに記載の情報処理方法であって、
上記プロセッサは、
上記被測定者が利用する上記生体情報測定装置の機種情報を取得し、
上記機種情報を上記モデルに更に入力して、上記モデルから上記測定傾向情報を得る、情報処理方法。
【0028】
(11)によれば、被測定者の使用している生体情報測定装置の機種に応じて測定傾向情報を導出できるようになるため、測定傾向情報の導出精度を高めることができる。
【0029】
(12)
(2)から(11)のいずれかに記載の情報処理方法であって、
前記モデルは、被測定者に対して行われた所定期間分の生体情報の測定実績に関する測定関連情報と、前記所定期間の後に当該被測定者に対して生体情報の測定を促す介入が行われたか否かを示す介入情報とを学習用データとして学習して生成されたものであり、
前記プロセッサは、
取得した前記測定関連情報と介入を行ったことを示す介入あり情報を前記モデルに入力し、前記モデルから取得した前記測定傾向情報に基づく前記処理を行い、
取得した前記測定関連情報と介入を行わなかったことを示す介入なし情報を前記モデルに入力し、前記モデルから取得した前記測定傾向情報に基づく前記処理を行う、情報処理方法。
【0030】
(12)によれば、介入ありの場合の測定傾向情報と介入なしの場合の測定傾向情報を例えば比較することができ、この比較によって、被測定者に対して介入するべきかどうかの判断を支援することができる。
【0031】
(13)
(12)に記載の情報処理方法であって、
前記学習用データに含まれる前記介入が行われたことを示す前記介入情報は、介入が実施された時間帯の情報が含まれ、
前記プロセッサは、取得した前記測定関連情報と特定の時間帯に介入を行う情報とを前記モデルに入力する処理を、前記時間帯を変えて複数回行い、前記複数回の処理で前記モデルから出力された前記測定傾向情報に基づく前記処理を行う、情報処理方法。
【0032】
(13)によれば、介入を行う時間帯毎の測定傾向情報を例えば比較することができ、この比較によって、被測定者に対して介入する場合にはどの時間帯に介入するのが効果的かの判断が可能となる。
【0033】
(14)
(12)に記載の情報処理方法であって、
前記学習用データに含まれる前記介入が行われたことを示す前記介入情報は、実施された介入の内容の情報が含まれ、
前記プロセッサは、取得した前記測定関連情報と前記介入の内容の情報とを前記モデルに入力する処理を前記内容の情報を変えて複数回行い、前記複数回の処理で前記モデルから出力された前記測定傾向情報に基づく前記処理を行う、情報処理方法。
【0034】
(14)によれば、介入する内容毎に測定傾向情報を例えば比較することができ、この比較によって、被測定者に対して介入する場合にはどのような内容で介入するのが効果的かの判断が可能となる。
【0035】
(15)
生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた所定期間分の生体情報の測定実績に関する測定関連情報を取得し、
上記測定関連情報に基づいて、上記所定期間よりも後の未来の期間において上記被測定者が生体情報を継続して測定する可能性の大きさを示す測定傾向情報を導出し、
上記測定傾向情報に基づく処理を行う、プロセッサ(プロセッサ11)を備える情報処理装置(情報処理サーバ10)。
【0036】
(16)
生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた所定期間分の生体情報の測定実績に関する測定関連情報を取得するステップと、
上記測定関連情報に基づいて、上記所定期間よりも後の未来の期間において上記被測定者が生体情報を継続して測定する可能性の大きさを示す測定傾向情報を導出するステップと、
上記測定傾向情報に基づく処理を行うステップと、をプロセッサ(プロセッサ11)に実行させる情報処理プログラム。
【0037】
(17)
プロセッサ(プロセッサ11)が、
生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた過去の一定期間分のうちの所定期間(期間T1)における生体情報の測定実績に関する測定関連情報と、上記一定期間のうちの上記所定期間よりも後の期間(期間T2)において上記被測定者が生体情報を継続して測定したか否かの情報とを学習用データとして複数取得し、
上記複数の学習用データに基づく機械学習をプログラムに実行させて、生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた所定期間分の生体情報の測定実績に関する測定関連情報が入力されると、その所定期間よりも後の未来の期間においてその被測定者が生体情報を継続して測定する可能性の大きさを示す測定傾向情報を出力する機械学習済みモデル(機械学習済みモデル13)を生成する、機械学習済みモデルの生成方法。
【0038】
(18)
生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた過去の一定期間分のうちの所定期間(期間T1)における生体情報の測定実績に関する測定関連情報と、上記一定期間のうちの上記所定期間よりも後の期間(期間T2)において上記被測定者が生体情報を継続して測定したか否かの情報とを学習用データとして機械学習がなされた機械学習済みモデル(機械学習済みモデル13)であって、
生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた所定期間分の生体情報の測定実績に関する測定関連情報を入力として、その所定期間よりも後の未来の期間においてその被測定者が生体情報を継続して測定する可能性の大きさを示す測定傾向情報を出力する処理をプロセッサ(プロセッサ11)に実行させる機械学習済みモデル(機械学習済みモデル13)。
【発明の効果】
【0039】
本開示によれば、生体情報の被測定者の管理に役立てることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、管理システム100の概略構成を示す模式図である。
図2図2は、測定データを模式的に示す図である。
図3図3は、機械学習済みモデルの生成方法を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、ユーザXの測定データを模式的に示す図である。
図5図5は、管理システム100の変形例を示す図である。
図6図6は、施設端末40の表示装置に表示される画面例を示す図である。
図7図7は、施設端末40の表示装置に表示される他の画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(本開示の情報処理方法の概要)
情報処理方法は、プロセッサが、体重計、血圧計、又は血糖計等の生体情報測定装置によって被測定者に対して行われた所定期間分の生体情報の測定実績に関する測定関連情報を取得し、この測定関連情報に基づいて、上記所定期間よりも後の未来の期間において上記被測定者が生体情報を継続して測定する可能性の大きさを示す測定傾向情報を導出し、この測定傾向情報に基づく処理を行うものである。
【0042】
測定関連情報は、上記の所定期間における生体情報の測定値の大きさや変化の傾向を示す情報、或いは、上記の所定期間における生体情報の測定タイミングの分布の特徴を示す情報が好ましく用いられる。測定傾向情報は、被測定者が未来の期間において生体情報を継続する確率の情報が好ましく用いられる。このように、被測定者による生体情報の測定実績から、その被測定者が未来においてどれだけ生体情報を継続して測定するのかを予測することで、被測定者に対して適切なアドバイス等が可能となり、被測定者に生体情報を継続して測定してもらえるようになる。
【0043】
以下、本開示の情報処理方法を実行する装置を含む管理システムの構成例について説明する。
【0044】
(システム構成)
図1は、管理システム100の概略構成を示す模式図である。管理システム100は、体重、血圧、脈拍、又は血糖等の生体情報の管理を必要とされた人(以下、ユーザと記載)が、生体情報を継続して測定できるように支援するためのシステムである。管理システム100は、情報処理サーバ10と、測定データ管理サーバ20と、施設端末40と、複数のユーザ端末50と、を備え、これらがインターネット等のネットワーク30に接続可能に構成されている。
【0045】
ユーザ端末50は、ユーザが所持するスマートフォン等の電子機器である。ユーザの所持する体重計、血圧計、脈拍計、又は血糖計等の生体情報測定装置と、ユーザ端末50と、は通信可能に接続され、この生体情報測定装置で測定された測定データは、ユーザ端末50から測定データ管理サーバ20へと送信される。測定データは、体重、血圧値、脈拍数、又は血糖値等の生体情報の測定値と、測定日時の情報と、を含む。以下では、生体情報測定装置が血圧計であり、測定値が血圧値(好ましくは最高血圧)である例について説明する。
【0046】
測定データ管理サーバ20は、ユーザ端末50から送信されてきた測定データを、ユーザを識別する情報と対応付けてデータベースに記憶して、ユーザ毎の測定データの管理を行う。図2は、測定データを模式的に示す図である。図2には、ユーザAの測定データD1が示されている。
【0047】
測定データは、測定日時とその測定日時で測定された測定値(血圧値)のセットを複数含む。図2の例では、測定値としての最高血圧の大きさが棒グラフとして示されている。棒グラフが存在しない日時は、測定が行われなかった日時を表している。このような測定データは、多数のユーザから長期間にわたって収集されてデータベースに蓄積される。
【0048】
測定データ管理サーバ20には、後述の機械学習済みモデル13の生成に用いる教師データの抽出対象となるサンプルデータ群が含まれる。このサンプルデータ群に含まれる各測定データは、例えば、測定データ管理サーバ20に対してユーザの利用登録がなされた日を開始日とした所定の期間T1における測定実績(測定したタイミングと測定された測定値を含む)と、期間T1の最終日の次の日を開始日とした所定の期間T2における測定実績と、を含む。期間T1と期間T2は、それぞれ、特に限定されるものではないが、期間T1よりも期間T2の方が長く設定される。一例として、期間T1は30日間であり、期間T2は90日間である。
【0049】
施設端末40は、病院等の医療施設に設置されたパーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット型端末等の電子機器である。施設端末40から測定データ管理サーバ20にアクセスすることで、特定のユーザの測定データを施設端末40にダウンロードして参照することが可能である。施設端末40には、例えば、有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ又は液晶ディスプレイ等の表示装置、又は、スピーカ等が含まれる。
【0050】
情報処理サーバ10は、プロセッサ11と、記憶部12と、を備える。記憶部12は、RAM(Random Access Memory)等のワークメモリの他、例えばハードディスク又はフラッシュメモリ等の非一時的な記憶媒体を含んで構成される。記憶部12には、情報処理サーバ10が情報処理方法を実行するための情報処理プログラムが記憶される。
【0051】
プロセッサ11は、ソフトウエア(プログラム)を実行して各種機能を果たす汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、又は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等である。プロセッサ11は、1つのプロセッサで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合せ(例えば、複数のFPGAや、CPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。プロセッサ11のハードウエア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。プロセッサ11が複数のプロセッサで構成される場合、この複数のプロセッサの設置場所は同じ装置内である必要はなく、ネットワーク30を介して分散配置された複数の装置のそれぞれに設けられていてもよい。
【0052】
記憶部12には、機械学習済みモデル13が記憶されている。機械学習済みモデル13は、プログラムにより構成された学習モデルに、教師データを用いて機械学習を実行させることで生成されたものである。機械学習済みモデル13は、情報処理サーバ10のプロセッサ11によって生成されてもよいし、情報処理サーバ10とは別のコンピュータのプロセッサによって生成されてもよい。以下では、プロセッサ11が機械学習済みモデル13を生成するものとして、機械学習済みモデル13の生成方法について説明する。
【0053】
(機械学習済みモデルの生成方法)
図3は、機械学習済みモデルの生成方法を説明するためのフローチャートである。
プロセッサ11は、測定データ管理サーバ20から、上述したサンプルデータ群を取得する(ステップS1)。次に、プロセッサ11は、取得したサンプルデータ群の各測定データにおける期間T1のデータに基づいて、この期間T1における血圧値の測定実績に関する測定関連情報(換言すると、測定実績の特徴を示す情報)を導出する(ステップS2)。
【0054】
測定関連情報には、例えば、期間T1中の測定値の特徴を示す第1情報、又は、期間T1中の測定タイミングの分布の特徴を示す第2情報等が含まれる。
【0055】
第1情報は、例えば、期間T1における血圧値の代表値である。代表値とは、期間T1に測定された血圧値の平均値、期間T1に測定された血圧値のうちの最小と最大を除いたものの平均値、又は、期間T1に測定された血圧値の中央値等である。
【0056】
他の例として、第1情報は、期間T1における血圧値の変動傾向を示す情報である。変動傾向を示す情報とは、例えば、図2に示した測定データD1の期間T1における血圧値の時系列変化を示す直線L1を最小二乗法等で導出したときのその直線L1の傾きである。第1情報は、期間T1における血圧値の変化が分かる図2に示すグラフの画像としてもよい。
【0057】
第2情報は、例えば、期間T1のうち、期間T2に近い期間において測定回数が少なくなっているか否かを示す情報である。第2情報は、例えば、期間T1を複数のグループに分割し、この複数のグループのうちの期間T2に最も近いグループ(期間T1の最終日から既定時間前までの期間)における血圧値の測定回数を用いることができる。他の例として、第2情報は、期間T1において最後に血圧値が測定された日時から期間T1の終了日までの経過時間を用いることができる。
【0058】
次に、プロセッサ11は、取得したサンプルデータ群の各測定データにおける期間T2のデータに基づいて、この期間T2においてユーザが血圧値の測定を継続したか否かを示す測定継続情報を導出する(ステップS3)。ユーザが血圧値の測定を継続するとは、期間T2における血圧値の測定回数が所定値(一例として3回)以上となることを言う。測定継続情報は、期間T2における血圧値の測定回数が所定値以上であれば、継続したことを示す情報(例えば“1”や“True”)となり、期間T2における血圧値の測定回数が所定値未満であれば、継続しなかったことを示す情報(例えば“0”や“False”)となる。
【0059】
プロセッサ11は、各測定データに基づいて導出した測定関連情報及び測定継続情報を、教師データのデータセットとし、これら複数のデータセットに基づく機械学習を学習モデルに実行させて、機械学習済みモデル13を生成する。
【0060】
機械学習済みモデル13は、血圧計によってユーザに対して行われた所定期間(期間T1と同じ長さの期間)分の血圧値の測定実績に関する測定関連情報が入力されると、当該所定期間よりも後の未来の期間(期間T2と同じ長さの期間)において当該ユーザが血圧値を継続して測定する可能性の大きさを示す測定傾向情報を出力するように、各種パラメータを学習したものである。測定傾向情報は、好ましくは、上記未来の期間においてユーザが血圧値を継続して測定する確率(又は継続して測定しない確率)を示す情報である。
【0061】
このように、機械学習済みモデル13は、膨大な量の測定関連情報とそれに対応する測定継続情報に基づいて、特定のユーザの過去の測定データから得られた測定関連情報に対して、そのユーザが未来の期間において測定を継続する確率を推測して出力するように、機械学習がなされたモデルとなっている。機械学習の方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ロジスティック回帰、決定木、ランダムフォレスト、勾配ブースティング決定木、ニューラルネットワーク等の任意の手法を用いることができる。
【0062】
過去に取得された膨大な量の測定データを統計的に分析した結果によれば、期間T1において血圧値が高い傾向にあるユーザ(血圧値の代表値が大きいユーザ)は、その後の期間T2において、血圧値の測定を継続しなくなる傾向にある。これは、継続的に測定している血圧値が高い状態にあることで、測定継続に対するモチベーションが低下することが要因と言える。また、上記結果によれば、期間T1において血圧値が上昇傾向にあるユーザは、その後の期間T2において、血圧値の測定を継続しなくなる傾向にある。これは、継続的に測定している血圧値が改善せずに悪化傾向にあることで、ユーザの測定継続に対するモチベーションが低下することが要因と言える。
【0063】
また、上記結果によれば、期間T1における期間T2に近い期間(例えば期間T1を前半と後半に分けたときの後半の期間)において、測定回数が少ないユーザは、その後の期間T2において、血圧値の測定を継続しなくなる傾向がある。また、上記結果によれば、期間T1における最後の測定タイミングから期間T1の終わりまでの時間が長いユーザ(直近でしばらく測定を行っていないユーザ)は、その後の期間T2において、血圧値の測定を継続しなくなる傾向にある。なお、これらの考えは、体重や血糖値等の他の生体情報についても同様のことが言える。
【0064】
したがって、測定関連情報及び測定継続情報のセットを機械学習させることで、特定のユーザの測定データから求められた測定関連情報から、そのユーザが未来の期間において血圧値の測定を継続する可能性を推測するモデルを生成することが可能となる。
【0065】
(機械学習済みモデルの利用)
プロセッサ11は、このようにして生成した機械学習済みモデル13を用いて、期間T1と同じ長さの期間T3分の測定データしか取得できていないユーザが、期間T3よりも後の未来の期間(期間T2と同じ長さの期間)において、血圧値の測定を継続する可能性の大きさがどの程度となるかを推測し、その推測結果に基づく処理を行う。
【0066】
例えば、図4に示すように、期間T3分の測定データDXが得られている特定のユーザXが、期間T3より後の未来の期間において測定を継続するかどうかを、医療従事者が知りたい場合を想定する。医療従事者は、施設端末40を操作して、期間T3の最終日の時点でユーザXの測定データDXを読み込み、この測定データDXを情報処理サーバ10に送信して、この最終日よりも後の未来の期間におけるユーザXの測定継続確率の推測の依頼を行う。
【0067】
情報処理サーバ10のプロセッサ11は、測定データDXを受信すると、この測定データDXに基づいて、期間T3の測定実績に関する測定関連情報を導出する。例えば、プロセッサ11は、測定データDXの期間T3における血圧値の代表値(平均値又は中央値等)を測定関連情報として導出する。なお、測定データDXに基づく測定関連情報の導出は、施設端末40のプロセッサが行う構成であってもよい。この場合には、施設端末40のプロセッサは、導出した測定関連情報を情報処理サーバ10に送信して、測定継続確率の推測の依頼を行う。
【0068】
次に、プロセッサ11は、プロセッサ11自体が導出した測定関連情報、又は、施設端末40から受信した測定関連情報を機械学習済みモデル13に入力し、ユーザXが期間T3の後の未来の期間において血圧値の測定を継続する可能性の大きさを示す測定傾向情報(好ましくは確率の情報)を、機械学習済みモデル13から取得する。
【0069】
プロセッサ11は、この測定傾向情報を取得すると、この測定傾向情報を施設端末40の表示装置に表示させたり、施設端末40のスピーカから音声で出力させたりする処理を行う。プロセッサ11は、この測定傾向情報を電子メール等の形で施設端末40に送信してもよい。
【0070】
医療従事者は、例えば施設端末40の表示装置に表示された測定傾向情報を見ることで、今後、ユーザXが血圧値の測定を継続する傾向にあるのかどうかを判断できる。例えば、医療従事者は、測定傾向情報(測定継続する確率)が低い場合には、ユーザXに対して、血圧値の測定を促す介入(ユーザXの所持するユーザ端末50にインストールされているアプリを利用した通知、電子メールの送信、又は電話等)を積極的に行う。これにより、ユーザXが血圧値を継続して測定する可能性を高めることができる。こういった介入が適切に実行できることにより、ユーザX自身の健康意識の向上や、ユーザXの血圧値の変化を詳細に判断できることによる診断精度の向上等が期待でき、ユーザXの健康増進に寄与できる。
【0071】
なお、機械学習済みモデル13を生成するためのサンプルデータ群の各測定データは、測定日時と測定値を含むものとしたが、機械学習済みモデル13に入力する測定関連情報として第2情報(測定タイミングの分布の特徴を示す情報)を用いる場合には、この各測定データには、少なくとも測定日時が含まれていればよく、測定値は含まれなくてもよい。
【0072】
(機械学習済みモデルの変形例)
機械学習済みモデル13は、測定関連情報及び測定実績情報を教師データとして機械学習して得られるものとしたが、この教師データに測定者情報を更に含めて機械学習を実行させてもよい。測定者情報とは、サンプルデータ群の各測定データの測定元のユーザの生活状況に関する情報である。測定者情報は、例えば、期間T1においてユーザが最後に通院したタイミングの情報、ユーザの同居人の有無の情報、又は、ユーザの罹患している病名の情報等である。この場合、測定データ管理サーバ20によってデータベースに記憶されるサンプルデータ群の各測定データには、各測定データの取得元のユーザの生活状況に関する測定者情報が更に追加される。
【0073】
そして、プロセッサ11は、サンプルデータ群の各測定データに含まれる測定者情報と、この各測定データから求めた測定関連情報とを組み合わせた情報を教師データとし、この各測定データから求めた測定継続情報を教師データとし、この教師データのセットに基づいて学習プログラムに機械学習を実行させて、機械学習済みモデル13を生成する。これにより、測定者情報及び測定関連情報のセットが入力されたときに、このセットに対応するユーザが未来の期間において測定を継続する可能性の大きさを示す測定傾向情報を出力する機械学習済みモデル13を生成することができる。
【0074】
このように、ユーザの測定者情報を更に利用することで、そのユーザが未来の期間において生体情報の測定を継続するかどうかの推測をより高精度に行うことができる。例えば、期間T1において通院したことのあるユーザと、期間T1において通院していないユーザとでは、前者の方が健康意識は高まっているため、測定を継続する可能性は高い。また、同居人がいるユーザと、同居人がいないユーザとでは、測定忘れ等を指摘する人の存在する前者の方が、測定を継続する可能性は高い。このような生活状況による測定継続の傾向を学習することで、ユーザが測定継続する可能性の大きさを精度よく推測することができる。
【0075】
なお、上述した測定者情報の代わりに、ユーザが生体情報の測定に用いている生体情報測定装置の機種情報を用いてもよい。生体情報測定装置の使い勝手(通信のしやすさや測定のしやすさ等)によっても、測定継続の傾向は変化し得る。このため、このような使用機種による傾向を学習することで、ユーザが測定継続する可能性の大きさをより精度よく推測することができる。
【0076】
(管理システムの第一変形例)
図5は、管理システム100の変形例を示す図である。図5に示す管理システム100では、記憶部12に記憶される機械学習済みモデルが、機械学習済みモデル13Aと機械学習済みモデル13Bの2つに変更された点が図1と相違する。
【0077】
図5に示す管理システム100では、測定データ管理サーバ20によってデータベースに記憶されるサンプルデータ群として、期間T2において血圧の測定を促す介入が行われたユーザの測定データからなる介入ありサンプルデータ群と、期間T2において血圧の測定を促す介入が行われていないユーザの測定データからなる介入なしサンプルデータ群と、が存在する。介入ありサンプルデータ群の各測定データには、介入ありを示す情報(例えば“1”)が関連付けられる。介入なしサンプルデータ群の各測定データには、介入なしを示す情報(例えば“0”)が関連付けられる。
【0078】
機械学習済みモデル13Aは、介入ありサンプルデータ群の各測定データに基づいて生成された測定関連情報及び測定継続情報の教師データセットを機械学習することで生成されたモデルであり、第1モデルを構成する。
【0079】
機械学習済みモデル13Bは、介入なしサンプルデータ群の各測定データに基づいて生成された測定関連情報及び測定継続情報の教師データセットを機械学習することで生成されたモデルであり、第2モデルを構成する。
【0080】
図5に示す管理システム100では、プロセッサ11は、例えば、図4に示すユーザXの測定データDXに基づいて導出した測定関連情報を、機械学習済みモデル13Aと機械学習済みモデル13Bのそれぞれに入力し、機械学習済みモデル13Aと機械学習済みモデル13Bのそれぞれから出力された測定傾向情報に基づく処理を行う。
【0081】
例えば、プロセッサ11は、機械学習済みモデル13Aと機械学習済みモデル13Bのそれぞれから出力された測定傾向情報を併せて施設端末40の表示装置に表示させたり、これら2つの測定傾向情報(確率)の差を、介入を実施することによる効果として、施設端末40の表示装置に表示させたりする。具体的には、「ユーザXは、今後の測定の継続確率は30%ですが、介入を行うことで、その確率を60%まで引き上げることが可能です」といったメッセージを表示装置に表示させる。このように、介入による効果が明示されることで、医療従事者は、ユーザXに対して介入すべきかどうかの判断を迷わずにすむようになる。
【0082】
なお、記憶部12には、機械学習済みモデル13Aとして、介入を行った時間帯の異なる複数種類を用意して記憶しておいてもよい。例えば、機械学習済みモデル13Aとして、午前(例えば9時から12時)に介入が行われたユーザのサンプルデータ群の各測定データに基づいて生成された測定関連情報及び測定継続情報の教師データセットを機械学習することで生成された午前介入モデルと、午後(例えば12時から17時)に介入が行われたユーザのサンプルデータ群の各測定データに基づいて生成された測定関連情報及び測定継続情報の教師データセットを機械学習することで生成された午後介入モデルと、を生成しておく。
【0083】
そして、プロセッサ11は、例えば、図4に示すユーザXの測定データDXに基づいて導出した測定関連情報を、機械学習済みモデル13Aのうちの午前介入モデルと、機械学習済みモデル13Aのうちの午後介入モデルと、機械学習済みモデル13Bのそれぞれに入力し、各モデルから出力された測定傾向情報に基づく処理(例えば図6に示す画面G1を表示する処理)を行う。この処理によって、介入の有無による測定継続の確率の変化だけでなく、介入を行う場合に、午前に介入したときと午後に介入したときとでどちらの方が、確率が上がるのかといったことも分かるようになる。例えば最も効果が高まる時間帯(図6の例では午前)においてユーザに介入することで、ユーザが血圧測定を継続する可能性をより高めることができる。
【0084】
また、記憶部12には、機械学習済みモデル13Aとして、介入内容の異なる複数種類を用意して記憶しておいてもよい。例えば、機械学習済みモデル13Aとして、電話による介入が行われたユーザのサンプルデータ群の各測定データに基づいて生成された測定関連情報及び測定継続情報の教師データセットを機械学習することで生成された電話介入モデルと、アプリの通知による介入が行われたユーザのサンプルデータ群の各測定データに基づいて生成された測定関連情報及び測定継続情報の教師データセットを機械学習することで生成されたアプリ介入モデルと、を生成する。
【0085】
そして、プロセッサ11は、例えば、図4に示すユーザXの測定データDXに基づいて導出した測定関連情報を、機械学習済みモデル13Aのうちの電話介入モデルと、機械学習済みモデル13Aのうちのアプリ介入モデルと、機械学習済みモデル13Bのそれぞれに入力し、各モデルから出力された測定傾向情報に基づく処理(例えば図7に示す画面G2を表示する処理)を行う。この処理によって、介入の有無による継続確率の変化だけでなく、介入を行う場合に、その介入の内容によって確率がどのように変化するかも分かるようになる。例えば最も効果が高まる内容(図7の例では電話)でユーザに介入することで、ユーザが血圧測定を継続する可能性をより高めることができる。なお、介入内容としては、介入時にユーザに伝えたメッセージの内容を含めてもよい。
【0086】
(管理システムの第二変形例)
機械学習済みモデル13Aと機械学習済みモデル13Bは、1つの機械学習済みモデル(13Cと記載する)で実現することもできる。つまり、機械学習済みモデル13Cは、サンプルデータ群の各測定データに基づいて生成された測定関連情報及び当該測定データに関連付けられた介入の有無を示す介入情報と当該測定データに基づいて生成された測定継続情報との教師データセットを機械学習することで生成されたモデルとすればよい。
【0087】
プロセッサ11は、例えば、図4に示すユーザXの測定データDXに基づいて測定関連情報を導出し、その測定関連情報と介入ありを示す情報とを機械学習済みモデル13Cに入力して、機械学習済みモデル13Cから出力された第1測定傾向情報(将来介入した場合の測定継続傾向)を取得し、その測定関連情報と介入なしを示す情報とを機械学習済みモデル13Cに入力して、機械学習済みモデル13Cから出力された第2測定傾向情報(将来介入しない場合の測定継続傾向)を取得し、第1測定傾向情報及び第2測定傾向情報に基づく処理を行う。
【0088】
例えば、プロセッサ11は、第1測定傾向情報及び第2測定傾向情報を併せて施設端末40の表示装置に表示させたり(図6、7の上図参照)、これら第1測定傾向情報及び第2測定傾向情報(確率)の差を、介入を実施することによる効果として、施設端末40の表示装置に表示させたりする。
【0089】
この第二変形例で用いる教師データセットにおける介入情報のうち、介入ありの情報には、更に、介入を行った時間帯の情報(以下、介入時間帯情報と記載)が付加されていてもよい。
【0090】
この場合、プロセッサ11は、例えば、図4に示すユーザXの測定データDXに基づいて測定関連情報を導出し、その測定関連情報と午前に介入ありを示す情報とを機械学習済みモデル13Cに入力して、機械学習済みモデル13Cから出力された第3測定傾向情報(将来、午前に介入を行う場合の測定傾向)を取得し、その測定関連情報と午後に介入ありを示す情報とを機械学習済みモデル13Cに入力して、機械学習済みモデル13Cから出力された第4測定傾向情報(将来、午後に介入を行う場合の測定傾向)を取得し、第3測定傾向情報及び第4測定傾向情報に基づく処理を行う。
【0091】
例えば、プロセッサ11は、第3測定傾向情報及び第4測定傾向情報を併せて施設端末40の表示装置に表示させたり(図6の下図参照)、これら第3測定傾向情報及び第4測定傾向情報(確率)の差を、介入の時間帯の違いによる効果として、施設端末40の表示装置に表示させたりする。
【0092】
また、上述した介入時間帯情報に代えて、実施した介入の内容の情報(介入内容情報)を用いてもよい。この場合、プロセッサ11は、例えば、図4に示すユーザXの測定データDXに基づいて測定関連情報を導出し、その測定関連情報と特定の介入内容を示す情報とを機械学習済みモデル13Cに入力する処理を、介入内容を変えて、複数回行う。プロセッサ11は、これら複数回の処理で機械学習済みモデル13Cから出力された複数の測定傾向情報(将来介入を実施する場合の介入内容毎の測定傾向)を取得し、この複数の測定傾向情報に基づく処理を行う。
【0093】
例えば、プロセッサ11は、複数の測定傾向情報を併せて施設端末40の表示装置に表示させたり(図7の下図参照)、これら複数の測定傾向情報(確率)の差を、介入内容の違いによる効果として、施設端末40の表示装置に表示させたりする。
【0094】
ここまでの説明では、プロセッサ11が、機械学習済みモデルを用いて、測定関連情報から測定傾向情報を導出するものとした。しかし、測定関連情報と測定傾向情報との対応を記憶したテーブルを生成して記憶部12に記憶しておき、プロセッサ11が、ユーザXの測定データに基づいて導出した測定関連情報とこのテーブルとに基づいて、ユーザXの未来の測定傾向情報を導出するようにしてもよい。
【0095】
例えば、サンプルデータ群の測定データを、期間T1における血圧値の代表値の大きさで複数にグループ分けし、各グループに属する測定データに対応した測定継続情報から、各グループにおいて、(測定を継続したユーザの数/グループ内のユーザの総数)を継続確率として求める。このようにして求めた継続確率とグループとを対応付けて、上記テーブルを生成すればよい。プロセッサ11は、ユーザXの測定関連情報を取得すると、その測定関連情報が属するグループを特定し、特定したグループに対応する継続確率を上記テーブルから取得すればよい。前述してきたように機械学習済みモデルを用いる場合には、サンプルデータが蓄積される毎に、機械学習を行って、モデルによる継続確率の推測精度を高めることができる。このため、機械学習済みモデルを用いることがより好ましい。
【符号の説明】
【0096】
D1 測定データ
T1,T2,T3 期間
L1 直線
10 情報処理サーバ
11 プロセッサ
12 記憶部
13,13A,13B 機械学習済みモデル
20 測定データ管理サーバ
30 ネットワーク
40 施設端末
50 ユーザ端末
100 管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7