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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128659
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】化粧用コンパクト容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
A45D34/04 560
A45D34/04 525B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037756
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】516072801
【氏名又は名称】ビオールオーガニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】工藤 洋史
(72)【発明者】
【氏名】工藤 由美
(57)【要約】
【課題】使いやすさ、特に化粧料を使い切った後のリフィルという作業をするときの使いやすさを向上させる。
【解決手段】容器本体10と、容器本体10の一側にヒンジ結合されて開閉可能な容器蓋20と、容器本体10の一側にヒンジ結合されて容器蓋20の動きとは別に開閉可能な、容器本体10と容器蓋20との間に位置する中蓋部材30と、該中蓋部材30の裏面32と容器本体10との間に配置される、内容物として化粧料が充填された可撓性を有する保存容器70と、該保存容器70の注入口が固着されていて、中蓋部材30の被係合部33に係脱する係合部43を有し、裏面32に沿ってスライドさせることにより該中蓋部材30に着脱可能である装着部材40と、を備え、中蓋部材30の裏面32側に、保存容器70の一部を挿通可能な支持部34が設けられている、化粧用コンパクト容器1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、
前記容器本体の一側にヒンジ結合されて開閉可能な容器蓋と、
前記容器本体の一側にヒンジ結合されて前記容器蓋の動きとは別に開閉可能な、前記容器本体と前記容器蓋との間に位置する中蓋部材と、
該中蓋部材の裏面と前記容器本体との間に配置される、内容物として化粧料が充填された可撓性を有する保存容器と、
該保存容器の注入口が固着されていて、前記中蓋部材の被係合部に係脱する係合部を有し、前記裏面に沿ってスライドさせることにより該中蓋部材に着脱可能である装着部材と、
を備え、
前記中蓋部材の前記裏面側に、前記保存容器の一部を挿通可能な支持部が設けられている、化粧用コンパクト容器。
【請求項2】
前記装着部材の前記係合部と前記中蓋部材の被係合部のいずれか一方は、前記中蓋部材に対して当該装着部材をスライドさせる方向に延びる溝部で構成され、他方は該溝部に嵌まる大きさの突部で構成されている、請求項1に記載の化粧用コンパクト容器。
【請求項3】
前記溝部は、前記装着部材の両側部に設けられている、請求項2に記載の化粧用コンパクト容器。
【請求項4】
前記溝部の端部に、当該溝部の他の部分よりも幅広な導入部が形成されている、請求項3に記載の化粧用コンパクト容器。
【請求項5】
前記導入部がテーパー状である、請求項4に記載の化粧用コンパクト容器。
【請求項6】
前記保存容器はアルミ製のパウチ容器である、請求項1に記載の化粧用コンパクト容器。
【請求項7】
前記支持部は、前記パウチ容器が固着された前記装着部材を前記中蓋部材に装着する途中で当該パウチ容器の一部が当接する位置に配置されている、請求項6に記載の化粧用コンパクト容器。
【請求項8】
前記支持部の幅は、前記パウチ容器の最大幅よりも小さい、請求項7に記載の化粧用コンパクト容器。
【請求項9】
前記支持部は、帯状に形成されている、請求項8に記載の化粧用コンパクト容器。
【請求項10】
前記容器本体に対する前記容器蓋の開閉軸の延長上に、前記容器本体に対する前記中蓋部材の開閉軸が配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の化粧用コンパクト容器。
【請求項11】
前記容器本体に対する前記容器蓋の開閉軸と、前記容器本体に対する前記中蓋部材の開閉軸とが同一軸上とはならない位置に平行に配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の化粧用コンパクト容器。
【請求項12】
前記装着部材は、使用者が押圧することにより作動する作動部と、該作動部の動きに連動して前記化粧料に圧を与えるポンプ部と、該ポンプ部により圧が与えられた化粧料の少なくとも一部を排出する排出口と、を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の化粧用コンパクト容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用コンパクト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料を手軽に持ち運べるようにした化粧用コンパクト容器の問題点としては、化粧料が内容器の外部に露出されるときに揮発性原料が揮発して固まってしまう、パフに定量の化粧料を付けることが難しいため化粧料を浪費してしまう、といったものがあった。
【0003】
従来、このような問題の解決を図った化粧用コンパクト容器として、(i)容器蓋がヒンジ結合された容器本体と、(ii)中央にポンプ装着部が形成され、ポンプ装着部の外周縁の一側に、水平方向に内容物流入口が形成された内容物排出フレームと、(iii)ポンプ装着部に、垂直に装着されるポンプと、(iv)ポンプの上部に形成される排出板と、(v)内容物流入口に、水平に装着される内容物保存容器と、(vi)パフ内蔵空間が上部に形成され、内容物排出フレームと内容物保存容器を容器本体に固定させる固定部材とからなり、垂直に装着されたポンプに内容物保存容器が、水平に結合されることにより、ポンプ設置空間と内容物保存容器設置空間とが分離されて多くの量の内容物を保存することができる、ポンプの側面に水平に内容物保存容器が結合されたコンパクト容器が提案されている(例えば特許文献1参照)。このようなコンパクト容器では、内容物排出フレームからの内容物保存容器の結合および分離を容易に行えるように形成することで、内容物を全部使った内容物保存容器についてのリフィルがより容易なものとなる(例えば特許文献1の段落0014等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6698814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のごとき従来の化粧用コンパクト容器は、使いやすさ、特に化粧料を使い切った後のリフィルという作業をするときの使いやすさという観点からすればまだ改良の余地があるものであった。
【0006】
また、従来の化粧用コンパクト容器は、内容物保存容器がプラスチック素材により密閉されていたため、内容物の残量を知ることができず、また使い終わったかどうかの確認もできないものであった。更には内容物保存容器の隅に残った内容物をポンプによって完全に排出させることもできないものであった。
【0007】
そこで、本発明は、使いやすさ、特に化粧料を使い切った後のリフィルという作業をするときの使いやすさを向上させ、また、内容物の残量や使い終わったかどうかの確認ができるとともに、内容物を使い切ることができるようにした化粧用コンパクト容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
容器本体と、
容器本体の一側にヒンジ結合されて開閉可能な容器蓋と、
容器本体の一側にヒンジ結合されて容器蓋の動きとは別に開閉可能な、容器本体と容器蓋との間に位置する中蓋部材と、
該中蓋部材の裏面と容器本体との間に配置される、内容物として化粧料が充填された可撓性を有する保存容器と、
該保存容器の注入口が固着されていて、中蓋部材の被係合部に係脱する係合部を有し、裏面に沿ってスライドさせることにより該中蓋部材に着脱可能である装着部材と、
を備え、
中蓋部材の裏面側に、保存容器の一部を挿通可能な支持部が設けられている、化粧用コンパクト容器である。
【0009】
従来の化粧用コンパクト容器だと、中蓋部材が容器本体から分離可能であり、元の位置に戻すときの正しい向きや位置がわからなくなってしまうおそれがあるため、そういった場合に手間取る場合があるばかりか、使用者に煩わしさを感じさせてしまいかねない。この点、本態様の化粧用コンパクト容器においては、中蓋部材が容器本体にヒンジ結合されているため、当該中蓋部材が容器本体から分離可能である場合に生じうるような煩わしさがなく、そのぶん使いやすさに優れる。
【0010】
また、可撓性がある保存容器を、その注入口だけ装着部材に固着した状態のままだと、保存容器ごと装着部材を中蓋部材に向けスライドさせながら装着し、それから中蓋部材を閉めるという一連のリフィル作業の間、保存容器の姿勢が定まりづらく、作業がしづらい。この点、本態様の化粧用コンパクト容器においては、中蓋部材に設けた支持部を用いて保存容器の一部を支持した状態とすることができるため、装着部材を中蓋部材に向けスライドさせながら装着し、それから中蓋部材を閉めるという一連のリフィル作業が迅速かつ確実なものとなり、そのぶん使いやすさに優れる。
【0011】
さらに、本態様の化粧用コンパクト容器においては、化粧料が充填されたリフィル用の容器として、可撓性を有する保存容器を用いていることから、内容物の残量を確認することが困難な従前のプラスチック素材の容器などとは異なり、可撓性を有する袋のしぼみの状態を見ることで残量を把握ないしは確認することが容易である。また、手指によって可撓性を有する袋内の内容物をポンプ方向に押しやることで内容物を使い切ることもまた容易である。
【0012】
上記のごとき化粧用コンパクト容器において、装着部材の係合部と中蓋部材の被係合部のいずれか一方は、中蓋部材に対して当該装着部材をスライドさせる方向に延びる溝部で構成され、他方は該溝部に嵌まる大きさの突部で構成されていてもよい。
【0013】
上記のごとき化粧用コンパクト容器において、溝部は、装着部材の両側部に設けられていてもよい。
【0014】
上記のごとき化粧用コンパクト容器において、溝部の端部に、当該溝部の他の部分よりも幅広な導入部が形成されていてもよい。
【0015】
上記のごとき化粧用コンパクト容器における導入部がテーパー状であってもよい。
【0016】
上記のごとき化粧用コンパクト容器において、保存容器はアルミ製のパウチ容器であってもよい。
【0017】
上記のごとき化粧用コンパクト容器において、支持部は、パウチ容器が固着された装着部材を中蓋部材に装着する途中で当該パウチ容器の一部が当接する位置に配置されていてもよい。
【0018】
上記のごとき化粧用コンパクト容器において、支持部の幅は、パウチ容器の最大幅よりも小さいものであってもよい。
【0019】
上記のごとき化粧用コンパクト容器において、支持部は、帯状に形成されていてもよい。
【0020】
上記のごとき化粧用コンパクト容器において、容器本体に対する容器蓋の開閉軸の延長上に、容器本体に対する中蓋部材の開閉軸が配置されていてもよい。
【0021】
上記のごとき化粧用コンパクト容器において、容器本体に対する容器蓋の開閉軸と、容器本体に対する中蓋部材の開閉軸とが同一軸上とはならない位置に平行に配置されていてもよい。
【0022】
上記のごとき化粧用コンパクト容器において、装着部材は、使用者が押圧することにより作動する作動部と、該作動部の動きに連動して化粧料に圧を与えるポンプ部と、該ポンプ部により圧が与えられた化粧料の少なくとも一部を排出する排出口と、を有していてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、使いやすさ、特に化粧料を使い切った後のリフィルという作業をするときの使いやすさを向上させ、また、内容物の残量や使い終わったかどうかの確認ができるとともに、内容物を使い切ることができるようにした化粧用コンパクト容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】化粧用コンパクト容器において保存容器ごと装着部材を中蓋部材に向けスライドさせながら装着し、それから中蓋部材を閉めるという一連のリフィル作業について説明する斜視図である。
図2】保存容器ごと装着部材を中蓋部材に向けてスライドさせた状態を示す斜視図である。
図3】保存容器ごと装着部材を中蓋部材に向けてさらにスライドさせた状態を示す斜視図である。
図4】装着部材を中蓋部材に装着した状態を示す斜視図である。
図5】化粧用コンパクト容器の容器本体と容器蓋を分離した状態で示す斜視図である。
図6】装着部材が装着された状態の中蓋部材の平面図である。
図7】中蓋部材の平面図である。
図8】中蓋部材を、被係合部がある側から、装着部材をスライドさせる方向に沿って見た図である。
図9】化粧用コンパクト容器の内部の構成例を示す断面図である。
図10図9中における装着部材の部分を拡大して示す図である。
図11】装着部材のハウジングを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明にかかる化粧用コンパクト容器1の好適な実施形態について詳細に説明する(図1図11参照)。
【0026】
本発明の一実施形態における化粧用コンパクト容器1は、容器本体10、容器蓋20、中蓋部材30、装着部材40を含んでおり、パウチ容器(保存容器)70ごと装着部材40を着脱することができるように構成されている(図1等参照)。
【0027】
容器本体10は、装着部材40やパウチ容器70を収納可能なスペースを形成する、皿状の容器で構成されている(図5図9等参照)。この容器本体10には、容器蓋20の開閉軸21を支持する軸受部11と、中蓋部材30の開閉軸31を支持する軸受部13と、が設けられている(図5参照)。容器本体10の正面側(ヒンジ結合される側と逆の側)には、容器蓋20の爪部24が嵌まる大きさの凹部14が設けられている(図4等参照)。
【0028】
容器蓋20は、容器本体10の一側にヒンジ結合(あるいはピン結合)され、容器本体10とともに化粧用コンパクト容器1のケーシング(外郭)を構成する部材である(図5等参照)。本実施形態の容器蓋20は、正面側(ヒンジ結合される側と逆の側)から見て左右に開閉軸21を有しており、それぞれの開閉軸21が容器本体10の2か所の軸受部11のそれぞれにおいて軸支される(図5等参照)。容器蓋20の正面側には、容器本体10の凹部14に嵌まる爪部24が設けられている(図4等参照)。
【0029】
中蓋部材30は、容器本体10と容器蓋20との間において容器本体10の一側にヒンジ結合されていて、容器蓋20が開いた状態においてこの容器蓋20の動きとは独立して開閉可能な部材である(図1等参照)。本実施形態の中蓋部材30は、その開閉軸31を容器本体10の軸受部13に軸支されている(図5図6参照)。また、中蓋部材30の側方に向かって延びる一対のレール部37には、装着部材40の溝部(係合部)43が係脱する突部(被係合部)33が設けられている(図7等参照)。中蓋部材30の表面35には、化粧用パフ(図示省略)を収容することが可能な、凹部からなる収容スペース36が設けられている(図6図7参照)。中蓋部材30の裏面32には、ブリッジ部34が設けられている(図8等参照)。
【0030】
ブリッジ部34は、中蓋部材30の裏面32側にパウチ容器70の一部を挿通可能に設けられているもので、一部が挿通されたパウチ容器70を支持する部材として機能する(図3図4等参照)。ブリッジ部34の位置や形状は、容器本体10の内側に収まるものであれば特に限定されることはないが、パウチ容器70を支持するという観点からすれば、当該パウチ容器70を支持するに足る幅の帯状に形成されていれば好適であり、また、当該パウチ容器70の中央付近を支持するように配置されていると好適である(図4等参照)。ただしこれは好適例にすぎず、この他、ブリッジ部34は、中央が分断されて中割れした2つの片持ち片で構成されるなどしていてもよい。また、化粧用コンパクト容器1の前後方向(凹部14等がある正面と、軸受部11,13がある背面とを結ぶ方向をいい、図1において符号Lで示す)におけるブリッジ部34の幅は、パウチ容器70の最大幅より小さくてもよい。化粧料の充填量といった事情で、ブリッジ部34の幅を超えるような最大幅を有するパウチ容器70を採用するという要請や実際に採用される見込みはあり得るのだが、幅広であればあるほど、中蓋部材30を閉める際にパウチ容器70の一部が中蓋部材30と容器本体10との間に挟まりやすくなり、そうすると使い勝手が劣ってしまうことは想像に難くない。この点、本実施形態の化粧用コンパクト容器1においては、パウチ容器70の最大幅より幅狭のブリッジ部34に、当該パウチ容器70の両側を折り曲げるようにして挿通させることにより、両側が折り曲げられた状態に維持されるようになるから、中蓋部材30を閉める際にパウチ容器70の一部が中蓋部材30と容器本体10との間に挟まれるのを抑止しやすくなる。上記の観点からすると、ブリッジ部34は、パウチ容器70が固着された装着部材40を中蓋部材30に装着する途中で当該パウチ容器70の一部が当接する位置に配置されていてもよい。こうした場合、ブリッジ部34の幅とパウチ容器70の最大幅の大小関係に関わらず、当接した部分のパウチ容器70の側部を内側に折り返すようにしながらブリッジ部34に挿通することで、上記と同様、パウチ容器70の一部が中蓋部材30と容器本体10との間に挟まれるのを抑止しやすくなる。
【0031】
突部(被係合部)33は、装着部材40の溝部43と係合するようにレール部37に設けられている(図7図8等参照)。本実施形態では、一対のレール部37の内側の対向する位置に、装着部材40のスライド方向(本実施形態の場合は、上記した前後方向に垂直な、図1において符号Hで示す左右方向となる)に延びる一対の突部33を設けている(図7参照)。
【0032】
なお、上記のごとき化粧用コンパクト容器1において、容器本体10に対する容器蓋20の開閉軸21の延長上に、容器本体10に対する中蓋部材30の開閉軸31が配置されていてもよいし、容器本体10に対する容器蓋20の開閉軸21と、容器本体10に対する中蓋部材30の開閉軸31とが同一軸上とはならない位置に平行に配置されていてもよい。
【0033】
装着部材40は、パウチ容器70のスパウト71が固着されていて、化粧料をリフィルする際、当該パウチ容器70ごと着脱する部材として構成されている(図1等参照)。本実施形態の装着部材40は、溝部(係合部)43と導入部44を備えている(図2等参照)。
【0034】
溝部(係合部)43は、中蓋部材30に対して装着部材40をスライドさせる方向(本実施形態の場合は、上述したように左右方向)に延び、その内部に嵌まって係合した中蓋部材30の突部33が相対移動可能に、装着部材40の両側部42に設けられている(なお、図1図4では両側部42のうち正面側を向くもののみを図示している)。また、溝部43のうち突部33側を向く端部には、当該溝部43の他の部分よりも幅広な導入部44が形成されている(図1等参照)。導入部44は、溝部43内に突部33を導入しやすい形状、たとえばテーパー状になっており、装着部材40を中蓋部材30に装着する際の作業が行いやすくなっている。
【0035】
本実施形態の装着部材40は、さらに、化粧料を排出する機構などを構成する部材としてポンプ部50、排出口51、パレット(作動部)52、ハウジング64等を備える(図9図11参照)。
【0036】
パレット52は、使用者が押圧することにより動作軸Aに沿って下方に動き、押圧力を開放するとスプリング59の付勢力で元の位置に戻るように設けられた部材である(図9参照)。パレット52には、化粧料の排出口51と、この排出口51を塞ぐように配置されるパレットプラグ58とが設けられている(図10参照)。
【0037】
ポンプ部50は、パレット52の動きに連動して化粧料に圧を与えるポンプとして機能するように構成されている。本実施形態のポンプ部50は、ステム53、パレットプラグ58、スプリング59、シリンダー60、ピストン61、プロップ62、ディスクバルブ63、ハウジング64を備えている(図9図11参照)。
【0038】
ハウジング64は、ステム53やスプリング59等の各種部材が配置される筐体として形成されている(図11等参照)。ハウジング64の底部にインナーキャップ65が設けられている(図2等参照)。ハウジング64の中央に設けられたポンプ装着部64aには、シリンダー60、ピストン61、プロップ62、ディスクバルブ63が配置される。ハウジング64の側部に設けられた化粧料流入口64bには、パウチ容器70のスパウト71が接続される(図1図9等参照)。
【0039】
ステム53は、ポンプ部50の上部に配置されてパレット52を下方から支持している部材であり、動作軸Aに沿って上下方向に移動可能に設けられている(図9等参照)。また、ステム53は、その下側に配置されたスプリング59によって上方に付勢されている(図10参照)。
【0040】
スプリング59は、ステム53を上方に付勢する部材として設けられている(図10参照)。本実施形態では、動作軸Aを挟む2か所のそれぞれに計2つのスプリング59を設けている。
【0041】
シリンダー60は、ハウジング64のポンプ装着部64aに配置されるチャプレット(冠)状の部材である。
【0042】
ピストン61は、シリンダー60の内部で動作軸Aに沿って上下方向に往復動する部材である(図10参照)。本実施形態のピストン61は、使用者がパレット52を押圧したときの当該パレット52とステム53の動きに連動するように設けられている。
【0043】
プロップ62は、ピストン61の下端に配置されてリング状突起を形成する部材である(図10参照)。
【0044】
ディスクバルブ63は、ハウジング64の底部に設けられる逆止弁であり、化粧料が一方向にのみ(本実施形態の場合であれば、化粧料流入口64bから排出口51に向かう方向にのみ)送られるように機能する(図9図10参照)。
【0045】
上述のようにパレット52やポンプ部50等が構成された本実施形態の化粧用コンパクト容器1においては、使用者がパレット52を押圧して動作軸Aに沿って下方に押し込むことにより、ポンプ部50の作用によって化粧料を押圧し、排出口51から所定量の化粧料を排出することができる。
【0046】
また、本実施形態のごとき化粧用コンパクト容器1において、化粧料をリフィルする際は以下のようなリフィル作業をすればよい。まず、容器蓋20を開き、容器本体10にヒンジ結合されている中蓋部材30を開いた状態として、中蓋部材30のレール部37に向けてリフィル部材(パウチ容器70+装着部材40)をパウチ容器70の底部側から差し込みスライドさせていく(図1図2参照)。また、スライドの途中で、パウチ容器70一部をブリッジ部34に挿通させる(図3参照)。パウチ容器70の幅がブリッジ部34の幅よりも大きいといった場合には、当該パウチ容器70の一方の側部あるいは両側部を折り曲げるようにして挿通させればよい。また、スライドの途中で、装着部材40の溝部43を中蓋部材30のレール部37の突部33に宛がい、溝部43と突部33とが係合した状態としたら、その後は溝部43の形状に沿ってさらに装着部材40をスライドさせればよい(図3参照)。なお、溝部43の端部に導入部44が設けられているため、溝部43と突部33とを係合させる際、溝部43内に突部33を導入しやすい。突部33が溝部43の終端に突き当たる等して装着部材40が止まるまでスライドさせたら(図4状態)。そのまま中蓋部材30を閉めればよい。中蓋部材30を閉める際、ブリッジ部34が、パウチ容器70の一部を支持して姿勢が定まりやすくした状態を保つとともに、パウチ容器70の一部が中蓋部材30と容器本体10との間に挟まれにくくするため、装着部材40を中蓋部材30に装着してから中蓋部材30を閉めるまでの一連のリフィル作業が迅速かつ確実なものとなり、そのぶん使いやすさに優れる。しかも、本実施形態の化粧用コンパクト容器1によれば容器本体10から中蓋部材30を取り外さずにリフィル作業をすることができるので、中蓋部材30が容器本体10から分離可能である場合に生じうるような煩わしさがない。また、中蓋部材30が容器本体10から分離できなくても特に支障なくリフィル作業を行うことが可能である(図1図4参照)。
【0047】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。たとえば、上述の実施形態では、中蓋部材30に突部33、装着部材40に溝部43をそれぞれ設けた例を説明したがこれは一例にすぎず、凹凸がこれとは逆の形態(中蓋部材30に溝、装着部材40に突起を設けた形態)としてもよい。要は、中蓋部材30と装着部材40のいずれか一方に形成された係合部が他方に形成された被係合部に係合する形になっていれば具体的な構成は問われない。
【0048】
また、本実施形態では化粧料が充填された容器がパウチ容器である場合について説明したがこれも一例として挙げたものにすぎず、可撓性があるパウチ容器以外の種々の容器であってもよい。パウチ容器70には例えばアルミ製のものを採用することができるが材質はとくに限定されず、フィルム製などであってもよい。また、パウチ容器70を少なくとも一部を透明ないしは半透明にして、中の化粧料やその残量が視認できるようにしてもよい。要は、化粧料を保存したリフィル用の容器は可撓性のある袋状のものであればよく、それに適したものであれば、プラスチック製でも金属製でも紙製でもよいし、複数の材料を重ねたラミネート状の容器であってもよい。
【0049】
ちなみに、化粧料がいわゆる自然由来原料の場合、プラスチック製の容器との相性が悪い場合があり、とくに、海外を含む気温の高い地域へ搬送したり当該地域で使用したりする場合に課題を抱えることが起こり得た。この点、上述のようなアルミ製のパウチ容器70を採用することは、こういった自然由来原料の化粧料を高温下で保存することに向くという利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、化粧用コンパクト容器に適用して好適である。
【符号の説明】
【0051】
1…化粧用コンパクト容器
10…容器本体
11…軸受部
13…軸受部
14…凹部
20…容器蓋
21…開閉軸
24…爪部
30…中蓋部材
31…開閉軸
32…裏面
33…突部(被係合部)
34…ブリッジ部(支持部)
35…表面
36…収容スペース
37…レール部
40…装着部材
42…側部
43…溝部(係合部)
44…導入部
50…ポンプ部
51…排出口
52…パレット(作動部)
53…ステム
58…パレットプラグ
59…スプリング
60…シリンダー
61…ピストン
62…プロップ
63…ディスクバルブ
64…ハウジング
64a…ポンプ装着部
64b…化粧料流入口
65…インナーキャップ
70…パウチ容器(保存容器)
71…スパウト(注入口)
A…動作軸
H…左右方向
L…前後方向(凹部14等がある正面と、軸受部11,13がある背面とを結ぶ方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11