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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128661
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】医療用機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20240913BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240913BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240913BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20240913BHJP
   A61N 1/02 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
A61B5/022 F
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J50/80
A61N1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037759
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 恵太
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 健治
(72)【発明者】
【氏名】竹内 昌平
【テーマコード(参考)】
4C017
5G503
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AB01
4C017AD01
4C017BC07
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503DA07
5G503GB08
5G503GD04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザが利用したい時にすぐに利用できる安価な医療用機器を提供する。
【解決手段】血圧測定装置100は、給電装置からの電力を無線により受電する受電部16と、受電部16を含み、使用時に載置面に載置される本体部10と、を備え、受電部16で受電中の電力により血圧情報の測定動作が可能に構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電装置からの電力を無線により受電する受電部と、
前記受電部を含み、使用時に載置面に載置される本体部と、
使用時に生体に接触される接触部と、を備え、
前記受電部で受電中の電力により、前記接触部を介した測定又は治療が可能に構成された医療用機器。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用機器であって、
前記受電部は、前記給電装置と通信して、前記医療用機器において定められた最大電圧以下の電圧を前記給電装置に送信させる医療用機器。
【請求項3】
請求項2に記載の医療用機器であって、
生体情報を測定するものであり、
前記本体部は、測定時に作動するアクチュエータを含み、
前記受電部から前記アクチュエータに供給される電圧の低下を抑制するコンデンサを備える医療用機器。
【請求項4】
請求項3に記載の医療用機器であって、
前記受電部は、前記給電装置との間で通信が可能であり、
前記本体部は、測定用デバイスと、前記測定用デバイスの出力信号を処理する回路と、を含む処理回路を備え、
前記受電部から前記処理回路に至る経路に設けられた、前記受電部と前記給電装置との通信に用いる周波数帯の信号を低減するフィルタ回路を備える医療用機器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の医療用機器であって、
前記本体部は、前記載置面と対面する平面部を有し、
前記平面部には、前記給電装置を受容する凹部が設けられている医療用機器。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の医療用機器であって、
二次電池及び二次電池を充電する充電回路が非搭載である医療用機器。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の医療用機器であって、
前記本体部は、外部機器と接続するための外部に露出するコネクタを持たない医療用機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用機器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用機器の1つである電子血圧計としては、一次電池、AC(Alternating Current)アダプタ、又は二次電池によって駆動されるものが知られている。例えば、特許文献1には、電源部として一次電池と二次電池を含む血電子圧計が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-142371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子血圧計又は心電計等の医療用測定機器は、医療用の規格を満たす必要がある。したがって、医療用測定機器を例えばACアダプタにより作動させる場合には、医療用測定機器に対して専用のACアダプタを用意したり、そのACアダプタと接続する機器側のコネクタ部分の防水対策や静電気対策を行ったりする必要があり、医療用測定機器の製造コストの増加要因となっている。二次電池とその充電回路とを搭載する医療用測定機器は、二次電池を充電するためのACアダプタが必要となり、同様に製造コストの増加要因となる。また、二次電池の残量が少ないときには測定動作が不能となる。なお、低周波治療器又はネブライザ等の医療用治療機器でも同様の課題がある。
【0005】
本開示の目的は、ユーザが利用したい時にすぐに利用できる安価な医療用機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の技術は以下の通りである。なお、括弧内には、以降の実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0007】
(1)
給電装置(給電装置40)からの電力を無線により受電する受電部(受電部16)と、
上記受電部を含み、使用時に載置面(載置面200)に載置される本体部(本体部10)と、
使用時に生体に接触される接触部(カフ20)と、を備え、
上記受電部で受電中の電力により、上記接触部を介した測定又は治療が可能に構成された医療用機器(血圧測定装置100)。
【0008】
(1)によれば、無線で供給される電力によって測定又は治療が可能となるため、有線で電力を受けるための回路等が不要となり、機器の製造コストを下げることができる。
【0009】
(2)
(1)に記載の医療用機器であって、
上記受電部は、上記給電装置と通信して、上記医療用機器において定められた最大電圧以下の電圧を上記給電装置に送信させる医療用機器。
【0010】
(3)
(1)又は(2)に記載の医療用機器であって、
生体情報を測定するものであり、
上記本体部は、測定時に作動するアクチュエータ(モータ64)を含み、
上記受電部から上記アクチュエータに供給される電圧の低下を抑制するコンデンサ(コンデンサ65)を備える医療用機器。
【0011】
(3)によれば、アクチュエータの作動初期における電圧の低下をコンデンサによって防ぐことができる。このため、測定を安定して行うことができる。
【0012】
(4)
(3)に記載の医療用機器であって、
上記受電部は、上記給電装置との間で通信が可能であり、
上記本体部は、測定用デバイス(圧力センサ32)と、上記測定用デバイスの出力信号を処理する回路(発振回路33及びプロセッサ11)とを含む処理回路(処理回路61)を備え、
上記受電部から上記処理回路に至る経路に設けられた、上記受電部と上記給電装置との通信に用いる周波数帯の信号を低減するフィルタ回路(フィルタ回路62)を備える医療用機器。
【0013】
(4)によれば、受電部と給電装置との通信に用いる周波数帯の信号がノイズとなって測定用デバイスの出力信号に混入するのを防いで、測定の精度を高めることができる。
【0014】
(5)
(1)から(4)のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記本体部は、上記載置面と対面する平面部(設置面10A)を有し、
上記平面部には、上記給電装置を受容する凹部(凹部10E)が設けられている医療用機器。
【0015】
(5)によれば、給電装置と本体部との位置ずれが抑制できるため、測定動作を安定して行うことができる。
【0016】
(6)
(1)から(5)のいずれかに記載の医療用機器であって、
二次電池及び二次電池を充電する充電回路が非搭載である医療用機器。
【0017】
(6)によれば、二次電池と充電回路を持つ構成と比べると、機器の製造コストを下げることができる。また、二次電池を充電するための充電装置を機器に同梱する必要がなく、機器を安価に提供可能となる。
【0018】
(7)
(1)から(6)のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記本体部は、外部機器と接続するための外部に露出するコネクタを持たない医療用機器。
【0019】
(7)によれば、外部に露出するコネクタを持つ構成と比べると、防水対策や静電気対策、逆電位テスト等が不要となるため、機器の製造コストを下げることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザが利用したい時にすぐに利用できる安価な医療用機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、血圧測定装置100の概略構成を示す模式図である。
図2図2は、図1に示す血圧測定装置100を設置面側から見た斜視図である。
図3図3は、図1に示す血圧測定装置100の構成を示すブロック図である。
図4図4は、本体部10の回路構成の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(本開示の医療用機器の概要)
本開示の医療用機器は、給電装置からの電力を無線により受電する受電部と、上記受電部を含み、使用時に載置面に載置される本体部と、を備え、上記受電部で受電中の電力により作動可能に構成されたものである。載置面に載置されるとは、載置面と本体部とが直接接触する状態の他に、載置面と本体部とが他の装置を介して間接的に接触している状態(換言すると、載置面と本体部が十分に近い距離で対面した状態)も含まれる。
【0023】
この構成によれば、給電装置との間で有線接続のためのコネクタが不要となるため、医療用の規格を満たすことが容易となる。また、このコネクタが不要になることから、医療用機器のコネクタの構造に合わせた給電装置をユーザが用意する必要はなく、汎用の給電装置を用いて医療用機器を作動させることができる。この結果、専用の外部の給電装置が不要となり、医療用機器の製造コストを低減することができる。また、外部の給電装置からの電力で作動可能なため、電池残量等の影響を受けずに、利用したいときにすぐに利用が可能となる。
【0024】
以下、医療用機器の一例である医療用測定機器の構成例について説明する。以下では、医療用測定機器として、生体情報としての血圧情報を測定する血圧測定装置を例にして説明する。「血圧情報」とは、循環器系の特徴を示す情報であり、脈波、及び脈波より算出可能な指標、例えば、最高血圧、最低血圧、平均血圧値、脈拍、AI(Augmentation Index)値等を含む。
【0025】
(血圧測定装置)
図1は、血圧測定装置100の概略構成を示す模式図である。図2は、図1に示す血圧測定装置100を設置面側から見た斜視図である。図3は、図1に示す血圧測定装置100の構成を示すブロック図である。
【0026】
血圧測定装置100は、ユーザ(被測定者)の血圧情報を測定するものであり、本体部10と、ユーザの測定部位(例えば上腕)に巻き付け可能なカフ20と、本体部10とカフ20を接続するエアチューブ31と、を備える。カフ20は、血圧測定装置100の使用時において生体に接触する接触部を構成する。
【0027】
本体部10は、図1の例では5面体であり、血圧測定装置100の使用時(血圧情報の測定時)には、机又は床等の載置面200に載置される。本体部10は、血圧測定装置100の使用時において載置面200と対面する設置面10A(図2参照)と、設置面10Aと所定の角度をなす表面10Bと、設置面10Aに対して略垂直な一対の側面10Cと、背面10Dとを有している。表面10Bには、表示部12と操作部14が設けられている。設置面10Aは、使用時において載置面200と対面する平面部を構成している。
【0028】
図2に示すように、設置面10Aは、略平坦な面となっており、図2の例では、その中央部に矩形状の凹部10Eが設けられている。本体部10の内部には、乾電池や充電池等の電池5を着脱可能な図示省略の電池装着部が設けられている。凹部10Eの底面には、この電池装着部を開閉するヒンジ式の電池蓋10Fが設けられている。電池蓋10Fを開閉することで、本体部10に対する電池5の着脱が可能となる。
【0029】
本体部10は、非分解状態で取り外し不能な二次電池や、二次電池を充電する充電回路等は非搭載である。また、本体部10は、ACアダプタ、パーソナルコンピュータ、又はスマートフォン等の外部機器と有線にて電気的に接続することは不能となっている。つまり、本体部10の外表面は、外部機器と接続するためのコネクタが露出しない構成となっている。これらの構成により、本体部10を製造する際に、防水性能等の医療用規格を容易に満たすことができ、血圧測定装置100の製造コストを低減することができる。また、コネクタが露出しないことで、本体部10の筐体の成形も容易となり、製造コストを低減することができる。また、二次電池及びその充電回路を搭載しないことで、本体部10の軽量化、低コスト化、及び小型化を図ることができる。また、専用の充電用のACアダプタが不要となる。
【0030】
血圧測定装置100は、無線で電力を供給(無線給電)可能な給電装置40から供給される電力により、カフ20を介した血圧情報の測定が可能に構成されている。図1には、載置面200に設置された給電装置40が示されている。給電装置40は、電力を送信する送電部41と、送電部41と外部電源(例えばコンセントや蓄電池等)を接続するケーブル42と、を備える。
【0031】
給電装置40は、血圧測定装置100のために専用に設計されたものではなく、汎用の装置を用いることができる。給電装置40は、例えば、ワイヤレスパワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium)が策定したワイヤレス給電の国際標準規格Qi(チー)に準拠した装置とすることが好ましい。Qi規格に準拠した装置とすることで、血圧測定装置100とは別の例えばスマートフォンやスマートウォッチの充電のために用いる機器を、血圧測定装置100のために利用できる。ここでは、給電装置40がQi規格に準拠した装置として説明する。この場合、送電部41は、例えば電磁誘導方式によって電力を送信可能なものであり、図3に示すように、送電側コイル41Aと、送電回路41Bと、を備える。送電回路41Bには、送電側コイル41Aの駆動回路、駆動回路を制御するプロセッサ、及び、送電先との通信に必要な処理を行う回路等が含まれる。なお、送電部41は、他の方式によって電力を送信可能なものであってもよい。
【0032】
図1の例では、給電装置40の送電部41は矩形平板状を成している。しかし、送電部41の形状は、これに限定されるものではない。給電装置40をQi規格に準拠した装置とする場合には、送電部41の形状は、矩形平板状又は円形平板状であることが多い。また、送電部41の形状やサイズは、給電装置40の製造メーカや機種によって様々である。本体部10の凹部10Eは、送電部41の一般的な形状やサイズを考慮して設計されており、多くの形状及びサイズの送電部41が収容可能に構成されている。
【0033】
血圧測定装置100を使用する際には、ユーザは、載置面200に載置された送電部41の上方に本体部10の凹部10Eを配置し、その状態で、凹部10Eの底面と送電部41とを接触させる。送電部41の厚みが凹部10Eの深さ以下である場合には、設置面10Aのほぼ全域が載置面200に接触するため、本体部10を載置面200に安定して載置可能である。送電部41の厚みが凹部10Eの深さよりも大きい場合でも、送電部41のサイズが十分に大きければ、送電部41を介して、載置面200に本体部10を安定して載置可能である。
【0034】
なお、本体部10の凹部10Eは必須ではなく省略してもよい。この場合には、送電部41として十分に大きいサイズのもの用いることをユーザに推奨することが好ましい。例えば、設置面10Aの平面積と同等又はそれ以上の平面積を持つ送電部41を用いる場合には、凹部10Eが存在しなくとも、送電部41を介して、載置面200に本体部10を安定して載置可能である。
【0035】
送電部41に磁石が設けられる場合には、本体部10の設置面10Aに、この磁石と磁力によって固着可能な磁石や金属を内蔵しておくことで、本体部10と送電部41の相対位置を容易に固定することができ、好ましい。このようにした場合にも、凹部10Eは必須ではなく省略可能である。
【0036】
図3に示すように、本体部10は、エアチューブ31に接続されるエア系30と、エア系30に接続された発振回路33と、カフ20の圧力を調整する調整機構50と、プロセッサ11と、表示部12と、記憶部13と、操作部14と、電源回路15と、受電部16と、を備える。本体部10には、前述した電池装着部が設けられ、この電池装着部には電池5が着脱可能に構成されている。
【0037】
エア系30は、カフ20に設けられた空気袋21内の圧力(カフ圧)を検出するための圧力センサ32と、カフ圧を加圧するために、空気袋21に空気を供給するためのポンプ51と、空気袋21の空気を排出又は封入するために開閉される弁52と、を含む。ポンプ51には、アクチュエータとしてのモータが含まれる。圧力センサ32は、血圧情報の測定に用いられる測定用センサの1つである。
【0038】
圧力センサ32は、一例として静電容量形の圧力センサであり、カフ圧により容量値が変化する。発振回路33は、圧力センサ32に接続されており、圧力センサ32の容量値に応じた発振周波数の信号をプロセッサ11に出力する。プロセッサ11は、発振回路33から得られる信号を圧力に変換しカフ圧を検出する。なお、発振回路33に代えて、増幅回路と脈波抽出用のフィルタ回路とを用いてもよい。
【0039】
調整機構50は、プロセッサ11から与えられる制御信号に基づいてカフ圧を調整する機構である。調整機構50は、エア系30の一部であるポンプ51及び弁52に加えて、ポンプ駆動回路53と弁駆動回路54とを備える。ポンプ駆動回路53は、プロセッサ11から与えられる制御信号に基づいてポンプ51を駆動する。弁駆動回路54は、プロセッサ11から与えられる制御信号に基づいて弁52の開閉制御を行う。
【0040】
表示部12は、例えば有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ又は液晶ディスプレイ等によって構成され、測定された血圧情報等を表示する。
【0041】
記憶部13は、RAM(Random Access Memory)等のワークメモリの他、例えばフラッシュメモリ等の非一時的な記憶媒体を含んで構成される。この記憶媒体には、測定された血圧情報等の各種の情報が記憶される。また、この記憶媒体には、プロセッサ11が実行する制御プログラムが記憶される。
【0042】
操作部14は、ユーザからの入力を受け付けるボタン又はタッチパネル等の入力手段であり、ユーザから、電源のON/OFF、血圧情報の測定開始、及び項目の選択等の各種操作を受け付ける。操作部14には、例えば、血圧情報の測定開始を指示するための測定開始ボタンが含まれる。
【0043】
プロセッサ11は、本体部10の各部を統括制御する。プロセッサ11は、ソフトウエア(プログラム)を実行して各種機能を果たす汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、又は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等である。プロセッサ11は、1つのプロセッサで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合せ(例えば、複数のFPGAや、CPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。プロセッサ11のハードウエア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0044】
プロセッサ11は、操作部14に含まれる測定開始ボタンの押圧を検出すると、測定開始の指示を受け付け、機器による測定動作を開始する。測定動作には、カフ20を加圧する処理、適切なカフ圧下で得られる圧力センサ32の出力に基づいて血圧情報を導出する処理、及び導出した血圧情報を記憶及び表示部12に表示させる処理等が含まれる。
【0045】
受電部16は、給電装置40が準拠している規格(好ましくはQi規格)に準拠した受電モジュールを構成しており、受電回路16Aと、受電側コイル16Bと、を備える。受電側コイル16Bは、例えば、図2に示した電池蓋10Fに内蔵されている。受電側コイル16Bは、凹部10Eの底面に、電池蓋10Fの周囲を取り囲むように内蔵されていてもよい。
【0046】
電源回路15は、電池装着部に装着された電池5から供給される電力から、本体部10の各部の電源電圧を生成して本体部10の各部に供給する。また、電源回路15は、受電回路16Aから供給される電力(給電装置40から送信された電力)から電源電圧を生成して、本体部10の各部に供給する。血圧測定装置100は、例えば、電池5から供給される電力のみで作動する電池作動モードと、給電装置40から送信されてくる電力のみで作動する無線給電作動モードと、を搭載しており、プロセッサ11の制御によってこれらのモードが切り替えられる。無線給電作動モードにて作動中であっても、一部の処理(例えば測定開始ボタンの検出処理や、表示部12の表示処理等)を電池5からの電力で行うようにしてもよい。
【0047】
図4は、本体部10の回路構成の要部を示す図である。図4に示すように、本体部10には、ポンプ51に含まれるモータ64と、処理回路61と、が含まれる。処理回路61は、血圧情報の導出に必要な処理を行うデバイス、例えば、図3に示した圧力センサ32、発振回路33、及びプロセッサ11が含まれる。
【0048】
電源回路15には、定電流回路63とモータ64の直列回路と、コンデンサ65と、処理回路61と、が並列接続されている。電源回路15により生成された電源電圧が供給される電源ラインVLには、定電流回路63が接続され、定電流回路63にはモータ64が接続され、モータ64はグランドに接続されている。定電流回路63は、電源ラインVLに流れる突入電流等によるモータ64の動作への影響を抑制する。
【0049】
コンデンサ65は、図の例では分解電解コンデンサで構成されており、定電流回路63及びモータ64の直列回路に並列接続されている。コンデンサ65は、モータ64の作動初期に生じ得る電源電圧の電圧降下を補う(抑制する)ために設けられる。電源回路15からモータ64に至る電力経路にコンデンサ65が接続されていることで、電圧降下を抑制して、モータ64を安定して動作させることができる。
【0050】
電源ラインVLには、フィルタ回路62を介して、処理回路61の電源端子が接続されている。フィルタ回路62は、抵抗器62Aと、インダクタ62Bと、コンデンサ62Cと、を有するローパスフィルタ回路である。
【0051】
送電部41と受電部16とが通信可能に構成されている場合には、その通信周波数帯(Qi規格の場合は、110kHzから205kHz程度の周波数帯)の通信ノイズが電源電圧に混入する可能性がある。この通信ノイズが処理回路61に入力されると、カフ圧及び脈波の検出精度(換言すると、血圧情報の導出精度)に影響を及ぼす可能性がある。本形態では、フィルタ回路62を、上記の通信周波数帯の信号を遮断する特性を持つものとしている。このように、電源回路15から処理回路61に至る電力経路にフィルタ回路62が設けられていることで、処理回路61に入力される通信ノイズを低減して、血圧情報を高精度に導出することが可能となる。なお、フィルタ回路62は、上述した通信ノイズを低減できるものであればよく、図示した構成に限定されるものではない。例えば、抵抗器とコンデンサの組み合わせで構成してもよいし、インダクタとコンデンサの組み合わせで構成してもよいし、パイ型やT型のものとしてもよい。
【0052】
なお、受電部16は、送電部41と通信して、送電部41から必要以上に大きな電力(電圧)が供給されないように制御することが好ましい。具体的には、受電部16は、送電部41から電力を受けるにあたり、血圧測定装置100の仕様(受電可能な最大電圧等)を送電部41に送信する。送電部41は、この仕様に基づいて、受電部16に送信する電力(電圧)を、血圧測定装置100が受電可能な最大電圧以下とし、受電部16に電力を供給する。このようにすることで、血圧測定装置100が意図した適切な電圧のみ、給電装置40から受電することが可能になる。この結果、厳格な医療規格に適合させることが可能になる。
【0053】
(実施形態の効果)
血圧測定装置100によれば、無線で供給される電力によって測定動作が可能となるため、有線で電力を受けるための回路やコネクタが不要となり、製造コストを下げることができる。また、本体部10を給電装置40の上に置くだけで血圧情報の測定が可能となるため、測定作業を容易とすることができ、ユーザの満足度を向上させることができる。
【0054】
血圧測定装置100において電池装着部は必須ではなく、省略してもよい。この場合には、電池蓋10Fは不要である。
【0055】
本開示の技術を好ましく適用できるのは、測定動作時に、載置面200に載置される部分(上記例では本体部10)と、生体に接触する接触部(上記例ではカフ20)と、を備える医療用測定機器である。使用時に全体が移動し得る医療用測定機器(例えば、心電や脈拍を測定可能なスマートウォッチ、或いは、手首式血圧計等)では、測定動作時に無線で電力を安定供給することが難しいためである。このような医療用計測機器としては、カフと本体部とが分離された血圧測定装置以外に、例えば、体重計、体組成計、又は心電計等が挙げられる。
【0056】
また、低周波治療器やネブライザ等の医療用治療機器であっても、使用時において生体に接触する部分と、主制御を行う部分とが、が分離しており、主制御を行う部分が載置面に載置して使用されるものであれば、本開示の技術を適用することで、医療用治療機器を安価に提供できる。
【0057】
例えば、低周波治療器は、体表面に装着される電極パッドと、電極パッドへの通電制御等を行う本体部と、を備えるため、この本体部が受電部16により受電する電力で作動する構成とすればよい。また、ネブライザは、口やその周囲に接触されるマスクやマウスピースと、マスクやマウスピースから放出するエアロゾルを生成するための制御を行う本体部と、を備えるため、この本体部が受電部16により受電する電力で作動する構成とすればよい。医療用測定機器と医療用治療機器を総称して医療用機器と定義することができる。
【符号の説明】
【0058】
5 電池
10 本体部
10A 設置面
10B 表面
10C 側面
10D 背面
10E 凹部
10F 電池蓋
100 血圧測定装置
11 プロセッサ
12 表示部
13 記憶部
14 操作部
15 電源回路
16 受電部
16A 受電回路
16B 受電側コイル
20 カフ
21 空気袋
30 エア系
31 エアチューブ
32 圧力センサ
33 発振回路
40 給電装置
41 送電部
41A 送電側コイル
41B 送電回路
42 ケーブル
50 調整機構
51 ポンプ
52 弁
53 ポンプ駆動回路
54 弁駆動回路
61 処理回路
62 フィルタ回路
62A 抵抗器
62B インダクタ
62C コンデンサ
63 定電流回路
64 モータ
65 コンデンサ
図1
図2
図3
図4