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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128662
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】緩衝装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/023 20060101AFI20240913BHJP
   F16F 13/00 20060101ALI20240913BHJP
   F16F 9/10 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
F16F15/023 A
F16F13/00
F16F9/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037761
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】523331865
【氏名又は名称】株式会社スペースシーファイブ
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(72)【発明者】
【氏名】萩原 一郎
(72)【発明者】
【氏名】趙 希禄
【テーマコード(参考)】
3J047
3J048
3J069
【Fターム(参考)】
3J047AA08
3J047AA13
3J047AB01
3J047CA02
3J048AA02
3J048AA06
3J048AC04
3J048BC02
3J048BE03
3J069AA39
3J069EE01
(57)【要約】
【課題】従来のダンパーに比べて、減衰可能範囲に対して設置スペースを小型化すること。
【解決手段】内部に流体を収容可能な中空筒状で伸縮可能に構成され、第2の物体(3)に一端部が支持され且つ第1の物体(2)と第2の物体(3)とを結ぶ直線方向に対して湾曲する第1の伸縮部(11)および第2の伸縮部(12)と、第1の伸縮部(11)および第2の伸縮部(12)の筒の軸線に交差する断面の面積よりも小さい断面積の孔部(13a)を有し、第1の物体(2)に支持され且つ第1の伸縮部(11)の他端部と第2の伸縮部(12)の他端部との間に配置され、孔部(13a)を通じて流体が移動可能な減衰部(13)と、を備えた緩衝装置(1)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の物体と第2の物体との間の緩衝をする緩衝装置であって、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第2の物体に一端部が支持され、且つ、第1の物体と第2の物体とを結ぶ直線方向に対して湾曲する第1の伸縮部と、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第2の物体に一端部が支持され、且つ、第1の物体と第2の物体とを結ぶ直線方向に対して湾曲する第2の伸縮部と、
前記第1の伸縮部および第2の伸縮部の筒の軸線に交差する断面の面積よりも小さい断面積の孔部を有し、前記第1の物体に支持され且つ前記第1の伸縮部の他端部と前記第2の伸縮部の他端部との間に配置され、前記孔部を通じて流体が移動可能な減衰部と、
を備えたことを特徴とする緩衝装置。
【請求項2】
第1の物体と第2の物体との間の緩衝をする緩衝装置であって、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第1の物体に一端部が支持された第1の伸縮部と、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第1の伸縮部の内部に収容された第2の伸縮部と、
前記第1の伸縮部の内部と前記第2の伸縮部の内部とを接続する流路を有し、前記第2の物体に支持され且つ前記第1の伸縮部の他端部と前記第2の伸縮部の他端部とが支持された減衰部と、
前記第1の伸縮部および第2の伸縮部の筒の軸線に交差する断面の面積よりも小さい断面積を有する前記流路と、
を備えたことを特徴とする緩衝装置。
【請求項3】
第1の物体と第2の物体との間の緩衝をする緩衝装置であって、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の第1の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第1の物体に一端部が支持された第1の伸縮部と、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の第2の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第2の物体に一端部が支持され且つ前記第1の軸線方向とは交差する方向に前記第2の軸線方向が延びるように配置された第2の伸縮部と、
前記第1の伸縮部の内部と前記第2の伸縮部の内部とを接続する流路を有し、前記第2の物体に支持され且つ前記第1の伸縮部の他端部と前記第2の伸縮部の他端部とが支持された減衰部と、
前記第1の伸縮部および第2の伸縮部の筒の軸線に交差する断面の面積よりも小さい断面積を有する前記流路と、
を備えたことを特徴とする緩衝装置。
【請求項4】
複数の前記第2の伸縮部と、
前記第1の伸縮部に接続される第1の流路部と、前記第1の流路部から分岐して各第2の伸縮部に延びる第2の流路部と、を有する前記流路と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の緩衝装置。
【請求項5】
第1の物体と第2の物体との間の緩衝をする緩衝装置であって、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の第1の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第1の物体に一端部が支持された第1の伸縮部と、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の第2の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第1の物体に一端部が支持され且つ前記第1の軸線方向とは交差する方向に前記第2の軸線方向が延びるように配置された第2の伸縮部と、
前記第1の伸縮部の内部と前記第2の伸縮部の内部とを接続する流路を有し、前記第2の物体に支持され且つ前記第1の伸縮部の他端部と前記第2の伸縮部の他端部とが支持された減衰部と、
前記第1の伸縮部および第2の伸縮部の筒の軸線に交差する断面の面積よりも小さい断面積を有する前記流路であって、前記第1の物体の外面を囲んで形成された前記流路と、
を備えたことを特徴とする緩衝装置。
【請求項6】
前記第1の軸線方向に沿って前記第1の物体を挟んで前記第1の伸縮部に対向して配置され、弾性変形可能な第1の弾性部材と、
前記第2の軸線方向に沿って前記第1の物体を挟んで前記第2の伸縮部に対向して配置され、弾性変形可能な第2の弾性部材と、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の緩衝装置。
【請求項7】
前記筒の軸方向に沿って山折り線と谷折り線が交互に形成された蛇腹状の前記第1の伸縮部と、
前記筒の軸方向に沿って山折り線と谷折り線が交互に形成された蛇腹状の前記第2の伸縮部と、
外方から見た場合の前記山折り線の外周に沿って支持されて、前記第1の伸縮部および前記第2の伸縮部の外方への膨張を規制する規制部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の緩衝装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の物体と第2の物体との間の緩衝を行う緩衝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機や鉄道、自動車等の車両における乗客の揺れの軽減や事故時の被害の軽減、貴重品等の運搬時の破損の抑制、あるいは、建造物等の地震時の揺れの軽減等のために、対象物の移動や移動速度を減衰させるダンパー(制振装置、緩衝装置、減衰装置)が知られている。
【0003】
図12は従来のダンパーの説明図である。
図12において、従来のダンパー01は、筒状のシリンダー02と、シリンダー02内を軸方向に移動可能なピストン03とを有する。ダンパー01では、ピストン03の先端部の円板03aに減衰孔03bが形成されている。ピストン03側に制振対象の対象物が接続され、シリンダー02側が固定される場合では、ピストン03がシリンダー02内で軸方向に移動すると、円板03aの下側から上側に流体が減衰孔03bを通じて移動し、その際の流体の移動抵抗で、ピストン03の移動が抑制され、対象物の緩衝、制振が行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(従来技術の問題点)
従来技術のダンパー01では、制振可能な範囲(振動や移動を減衰させることが可能な範囲)が、ピストン03の移動可能範囲となる。したがって、ダンパー01を設置する際に必要な空間としてピストン03が最も伸びた状態が前提となる。この状態では、シリンダー02とピストン03の軸方向の長さは、ピストン03の移動可能範囲の約2倍となり、制振可能範囲(ピストン03の移動可能範囲)に対して、約2倍のスペースを確保する必要がある。したがって、ダンパー01の制振可能範囲に対して、広い設置スペースが必要となっており、ダンパー01を設置することが困難な場合がある。
また、ピストン03は、シリンダー02の軸方向に沿った直線的な1軸方向にしか移動できず、ダンパー01では、1軸方向の制振しかできない問題もあった。
【0005】
本発明は、従来のダンパーに比べて、減衰可能範囲に対して設置スペースを小型化することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の緩衝装置は、
第1の物体と第2の物体との間の緩衝をする緩衝装置であって、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第2の物体に一端部が支持され、且つ、第1の物体と第2の物体とを結ぶ直線方向に対して湾曲する第1の伸縮部と、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第2の物体に一端部が支持され、且つ、第1の物体と第2の物体とを結ぶ直線方向に対して湾曲する第2の伸縮部と、
前記第1の伸縮部および第2の伸縮部の筒の軸線に交差する断面の面積よりも小さい断面積の孔部を有し、前記第1の物体に支持され且つ前記第1の伸縮部の他端部と前記第2の伸縮部の他端部との間に配置され、前記孔部を通じて流体が移動可能な減衰部と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項2に記載の発明の緩衝装置は、
第1の物体と第2の物体との間の緩衝をする緩衝装置であって、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第1の物体に一端部が支持された第1の伸縮部と、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第1の伸縮部の内部に収容された第2の伸縮部と、
前記第1の伸縮部の内部と前記第2の伸縮部の内部とを接続する流路を有し、前記第2の物体に支持され且つ前記第1の伸縮部の他端部と前記第2の伸縮部の他端部とが支持された減衰部と、
前記第1の伸縮部および第2の伸縮部の筒の軸線に交差する断面の面積よりも小さい断面積を有する前記流路と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
前記技術的課題を解決するために、請求項3に記載の発明の緩衝装置は、
第1の物体と第2の物体との間の緩衝をする緩衝装置であって、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の第1の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第1の物体に一端部が支持された第1の伸縮部と、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の第2の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第2の物体に一端部が支持され且つ前記第1の軸線方向とは交差する方向に前記第2の軸線方向が延びるように配置された第2の伸縮部と、
前記第1の伸縮部の内部と前記第2の伸縮部の内部とを接続する流路を有し、前記第2の物体に支持され且つ前記第1の伸縮部の他端部と前記第2の伸縮部の他端部とが支持された減衰部と、
前記第1の伸縮部および第2の伸縮部の筒の軸線に交差する断面の面積よりも小さい断面積を有する前記流路と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の緩衝装置において、
複数の前記第2の伸縮部と、
前記第1の伸縮部に接続される第1の流路部と、前記第1の流路部から分岐して各第2の伸縮部に延びる第2の流路部と、を有する前記流路と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記技術的課題を解決するために、請求項5に記載の発明の緩衝装置は、
第1の物体と第2の物体との間の緩衝をする緩衝装置であって、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の第1の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第1の物体に一端部が支持された第1の伸縮部と、
内部に流体を収容可能な中空筒状に形成され且つ筒の第2の軸線方向に沿って伸縮可能に構成されると共に、前記第1の物体に一端部が支持され且つ前記第1の軸線方向とは交差する方向に前記第2の軸線方向が延びるように配置された第2の伸縮部と、
前記第1の伸縮部の内部と前記第2の伸縮部の内部とを接続する流路を有し、前記第2の物体に支持され且つ前記第1の伸縮部の他端部と前記第2の伸縮部の他端部とが支持された減衰部と、
前記第1の伸縮部および第2の伸縮部の筒の軸線に交差する断面の面積よりも小さい断面積を有する前記流路であって、前記第1の物体の外面を囲んで形成された前記流路と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の緩衝装置において、
前記第1の軸線方向に沿って前記第1の物体を挟んで前記第1の伸縮部に対向して配置され、弾性変形可能な第1の弾性部材と、
前記第2の軸線方向に沿って前記第1の物体を挟んで前記第2の伸縮部に対向して配置され、弾性変形可能な第2の弾性部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の緩衝装置において、
前記筒の軸方向に沿って山折り線と谷折り線が交互に形成された蛇腹状の前記第1の伸縮部と、
前記筒の軸方向に沿って山折り線と谷折り線が交互に形成された蛇腹状の前記第2の伸縮部と、
外方から見た場合の前記山折り線の外周に沿って支持されて、前記第1の伸縮部および前記第2の伸縮部の外方への膨張を規制する規制部材と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、減衰可能範囲に対して約2倍の設置スペースが必要な一軸方向の制振を行う従来のダンパーに比べて、湾曲する2つの伸縮部の伸縮で制振を行うことができると共に、減衰可能範囲に対して設置スペースを小型化することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、第2の伸縮部を第1の伸縮部の内部に収容された構成で移動を減衰させることができ、減衰可能範囲に対して約2倍の設置スペースが必要な一軸方向の制振を行う従来のダンパーに比べて、減衰可能範囲に対して設置スペースを小型化することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、第1の伸縮部の軸方向と第2の伸縮部の軸方向とが交差して配置されており、減衰可能範囲に対して約2倍の設置スペースが必要な一軸方向の制振を行う従来のダンパーに比べて、減衰可能範囲に対して設置スペースを小型化することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、第2の伸縮部が1つの場合に比べて、伸縮部間で流動可能な流体の許容量を拡大できる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、第1の伸縮部の軸方向と第2の伸縮部の軸方向とが交差して配置されており、減衰可能範囲に対して約2倍の設置スペースが必要な一軸方向の制振を行う従来のダンパーに比べて、減衰可能範囲に対して設置スペースを小型化することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、弾性部材を設けない場合に比べて、弾性力で物体の移動を減衰させることができ、減衰性能を向上させることができる。また、弾性部材の弾性力で、第1の物体を移動前の位置に復帰させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、規制部材を有しない場合に比べて、伸縮部の膨張を抑制でき、減衰性能の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は本発明の緩衝装置の一例の全体説明図である。
図2図2図1の要部断面図である。
図3図3は実施例1においてダンパーチューブにワイヤが設けられていない場合の作用説明図である。
図4図4は実施例2の緩衝装置の説明図である。
図5図5は実施例3の緩衝装置の説明図であり、要部断面図である。
図6図6は実施例3の作用説明図であり、図6Aは第1ダンパーチューブが伸びた状態の説明図、図6Bは第1ダンパーチューブが縮んだ状態の説明図である。
図7図7は実施例4の緩衝装置の斜視図である。
図8図8図7のVIII-VIII線断面図である。
図9図9は実施例4の変更例の説明図である。
図10図10は実施例5の緩衝装置の説明図であり、図10Aは平面図、図10Bは斜視図である。
図11図11図10AのXI-XI線断面図である。
図12図12は従来のダンパーの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例0021】
図1は本発明の緩衝装置の一例の全体説明図である。
図2図1の要部断面図である。
図1において、本発明の緩衝装置の一例としてのダンパー1は、第1の物体の一例としての被制振物2と、第2の物体の一例としての固定壁3との間に設置されている。実施例1の固定壁3は、二又形状に形成されている。なお、実施例1の被制振物2は、固定壁3に対して、支持体の一例としての連結プレート4を介して連結されている。連結プレート4は、一端部である固定端部4aで固定壁3の二又の分岐の根元部分に支持されており、他端部である自由端部4bに被制振物2が支持されている。したがって、実施例1の被制振物2は、固定壁3に対して固定端部4aを中心として弧状に振動するように移動可能である。
【0022】
図1図2において、実施例1のダンパー1は、第1の伸縮部の一例としての第1ダンパーチューブ11と、第2の伸縮部の一例としての第2ダンパーチューブ12と、第1ダンパーチューブ11と第2ダンパーチューブ12との間に配置された減衰部13とを有する。
第1ダンパーチューブ11は、中空の筒状に形成されている。また、第1ダンパーチューブ11は、筒の軸方向に沿って山折り線11aと谷折り線11bが交互に形成された蛇腹状に形成されている。さらに、実施例1の第1ダンパーチューブ11は、被制振物2の弧状の振動の方向に沿って、湾曲する形状に形成されている。したがって、第1ダンパーチューブ11は、被制振物2の振動の弧の方向(筒の軸方向)に沿って伸縮可能に構成されている。
【0023】
第1ダンパーチューブ11の内部には、流体の一例であって、液体の一例としての圧油が収容されている。
また、第1ダンパーチューブ11には、山折り線11aの部分の外周に沿って、規制部材の一例としてのワイヤ14が支持されている。ワイヤ14は第1ダンパーチューブ11の外周を囲む形で配置されており、内部の圧油の圧力が高くなって第1ダンパーチューブ11が外方に膨張しようとしても、ワイヤ14が第1ダンパーチューブ11の外方への膨張を規制する(膨張を抑制する)。
実施例1の第2ダンパーチューブ12は、第1ダンパーチューブ11と同様に構成されている。
【0024】
減衰部13は、被制振物2に固定されている。図2において、減衰部13には、孔部の一例として、第1ダンパーチューブ11の内部と第2ダンパーチューブ12の内部とを接続する減衰孔13aが形成されている。減衰孔13aは、第1ダンパーチューブ11および第2ダンパーチューブ12の筒の軸線に交差する断面の断面積A1(山折り線11aよりも断面積の小さい谷折り線11bの部分の断面積)よりも小さい断面積A2を有する。
前記第1ダンパーチューブ11、第2ダンパーチューブ12、減衰部13、ワイヤ14等により、実施例1のダンパー1が構成されている。
【0025】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1のダンパー1では、被制振物2が、一例として、第1ダンパーチューブ11が伸びる方向に振動する場合、第1ダンパーチューブ11が伸び且つ第2ダンパーチューブ12が縮もうとする。したがって、第1ダンパーチューブ11の内部の容積が増加し、第2ダンパーチューブ12の内部の容積が減少する。これに伴って、圧油が第2ダンパーチューブ12から第1ダンパーチューブ11に移動しようとする。ここで、減衰孔13aの断面積A2がダンパーチューブ11,12の断面積A1よりも小さい。したがって、圧油の移動に対する抵抗が発生し、第1ダンパーチューブ11の伸びと第2ダンパーチューブ12の縮みが抑制され、被制振物2の移動も抑制される。したがって、外乱等で被制振物2が振動しようとした場合に、ダンパー1が制動することが可能であり、被制振物2の緩衝が可能である。
実施例1のダンパー1では、ダンパーチューブ11,12の伸縮範囲が制振可能範囲に対応し、従来のシリンダー02とピストン03とを有するダンパー01に比べて、全体として、設置スペースを小型化しやすい。
【0026】
特に、実施例1では、ダンパー1のダンパーチューブ11,12が被制振物2の移動方向である弧に沿って湾曲している。従来公知のダンパーは、ピストンの移動方向である直線方向に沿った移動しかできず、弧状の方向の制振の場合は、スライダのような追加部品が必要であったり、連結部分を長孔形状にする等の変更が必要であった。追加部品が必要になると、部品点数が増加して構成が複雑化することで故障しやすくなる問題があった。また、長孔形状にする場合、連結部分にあそびが発生し、挙動に遅れが出たり、作動時に異音が発生しやすい等の問題があった。これらに対して、実施例1では、弧状に湾曲するダンパーチューブ11,12を有しており、故障の発生や挙動の遅れ、異音等の発生が抑制される。
【0027】
図3は実施例1においてダンパーチューブにワイヤが設けられていない場合の作用説明図である。
また、実施例1では、ダンパーチューブ11,12にワイヤ14が支持されている。ワイヤ14が設けられていない場合、図3に示すように、圧油が流入する際に、ダンパーチューブ11,12が軸方向に延びるのではなく、径方向に膨張する恐れがある。径方向に膨張すると、ダンパーチューブ11,12の伸縮が想定した伸縮とならず、制振能力が低下する恐れがある。これに対して、実施例1では、ワイヤ14が設けられており、ダンパーチューブ11,12の膨出が抑制される。よって、ダンパー1の制振能力の低下が抑制される。なお、ワイヤ14を山折り線11aの部分に設ける構成を例示したが、これに限定されず、谷折り線11bの部分に設けることも可能である。また、ダンパーチューブ11,12が、膨出しにくい剛性の高い材料を使用する場合にはワイヤ14を設けない構成とすることも可能である。
【実施例0028】
図4は実施例2の緩衝装置の説明図である。
次に、本発明の実施例2の説明を行うが、実施例1と異なる点について説明をし、実施例1と同様の構成については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
図4において、実施例2の被制振物2′は、S字状に湾曲するガイドレール21上をガイドされるスライダ22を有する。そして、実施例2のダンパー1′は、ガイドレール21に沿って湾曲する第1ダンパーチューブ11′および第2ダンパーチューブ12′を有する。
【0029】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2のダンパー1′は、S字状の軌跡に沿って移動する被制振物2′の移動方向に沿って各ダンパーチューブ11′,12′が伸縮する。従来の1軸方向にしか移動できないダンパーでは、S字状に移動する被制振物2′の制振は困難であったが、実施例2のダンパー1′は、被制振物2′を制振可能であると共に、実施例1と同様に、故障の発生等も抑制される。
なお、実施例2では、S字状に移動する被制振物2′について例示したが、これに限定されない。実施例1の弧状の湾曲や実施例2のS字以外の曲線状の軌跡にも対応可能であり、斜め方向の直線的な軌跡等にも対応可能である。
【実施例0030】
図5は実施例3の緩衝装置の説明図であり、要部断面図である。
次に、本発明の実施例3の説明を行うが、実施例1と異なる点について説明をし、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
図5において、実施例3の緩衝装置の一例としてのダンパー31は、第1の物体の一例としての被制振部32と、第2の物体の一例としての固定部33との間に設置されている。実施例3の被制振部32と固定部33とは、一例として、上下に平行、対向して配置されている。
【0031】
実施例3のダンパー31は、第1の伸縮部の一例としての第1ダンパーチューブ41と、第2の伸縮部の一例としての第2ダンパーチューブ42と、減衰部43とを有する。実施例3の減衰部43は、固定部33に支持されている。
第1ダンパーチューブ41は外側の蛇腹構造(外殻)41aと内側の蛇腹構造(内殻)41bを備え、外側の蛇腹構造41aと内側の蛇腹構造41bの間には圧油等の流体が充填されている。第1ダンパーチューブ41の内側の蛇腹構造41bのさらに内側は中空となっている。
第1ダンパーチューブ41の一端部は、被制振部32に支持され、第1ダンパーチューブ41の他端部は減衰部43に支持されている。
実施例3の第2ダンパーチューブ42は、第1ダンパーチューブ41の内部の中空部分に収容されている。すなわち、第2ダンパーチューブ42の外径は、第1ダンパーチューブ41の内径よりも小径に形成されており、軸方向の長さも第1ダンパーチューブ41の長さよりも短く形成されている。第2ダンパーチューブ42の一端部は減衰部43に支持され、他端部は封止壁46で封止されている。
【0032】
実施例3の第1ダンパーチューブ41および第2ダンパーチューブ42は、実施例1とは異なり、蛇腹状に構成されている。
減衰部43には、第1ダンパーチューブ41の内部と第2ダンパーチューブ42の内部とを接続する流路43aが形成されている。流路43aの断面積は、第1ダンパーチューブ41の断面積および第2ダンパーチューブ42の断面積よりも小さく形成されている。
【0033】
図6は実施例3の作用説明図であり、図6Aは第1ダンパーチューブが伸びた状態の説明図、図6Bは第1ダンパーチューブが縮んだ状態の説明図である。
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3のダンパー31は、被制振部32が固定部33に対して図6Aに示すように離間する方向に移動した場合、または図6Bに示すように接近する方向に移動した場合、第1ダンパーチューブ41が伸長(図6A)または短縮(図6B)する力を受ける。これに伴い第1ダンパーチューブ41内の圧油が流路43aを通じて第2ダンパーチューブ42との間で移動しようとするが、流路43aの断面積が狭く形成されており、伸縮の抵抗となる。したがって、被制振部32が制振される。
第2ダンパーチューブ42が第1ダンパーチューブ41の内部に収容された実施例3のダンパー31では、シリンダー02とピストン03とを有する従来のダンパー01に対して、全体として、軸方向の長さを短くすることが可能であり、制振可能範囲に対して、ダンパー31の全体を小型化することが可能である。
【実施例0034】
図7は実施例4の緩衝装置の斜視図である。
図8図7のVIII-VIII線断面図である。
次に、本発明の実施例4の説明を行うが、実施例1と異なる点について説明をし、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
図7図8において、実施例4の緩衝装置の一例としてのダンパー51は、第1の物体の一例としての被制振部52と、第2の物体の一例としての固定部53との間に設置されている。実施例4の被制振部52と固定部53とは、一例として、被制振部52が上方、固定部53が水平方向に配置されている。固定部53は金属板やその他弾力のある素材であってもよい。
【0035】
実施例4のダンパー51は、第1の伸縮部の一例としての第1ダンパーチューブ61と、第2の伸縮部の一例としての第2ダンパーチューブ62と、減衰部63とを有する。
実施例4の第1ダンパーチューブ61の一端部には、第1面板61aが支持されており、第1面板61aが被制振部52に接触している。第1ダンパーチューブ61の他端部は減衰部63の上面に支持されている。実施例4の第1ダンパーチューブ61は、軸方向が上下方向に沿って延びている。
実施例4の第2ダンパーチューブ62は、一端部に第2面板62aが支持されており、第2面板62aが固定部53に接触している。第2ダンパーチューブ62の他端部は減衰部63の側面に支持されている。実施例4の第2ダンパーチューブ62は、軸方向が水平方向に沿って延びている。なお、実施例4では、第2ダンパーチューブ62は、直方体状の減衰部63の4つの側面のそれぞれに設けられている。すなわち、実施例4では、第2ダンパーチューブ62は合計で4つ設けられている。なお、実施例4では、第2ダンパーチューブ62を4つ設ける構成を例示したがこれに限定されない。3つ以下とすることも可能であるし、5つ以上とすることも可能である。
なお、実施例4の各ダンパーチューブ61,62は、実施例3のダンパーチューブ41,42と同様に、蛇腹状に形成されている。
【0036】
減衰部63の内部には、流路64が形成されている。実施例4の流路64は、第1ダンパーチューブ61の他端部に接続される第1の流路部64aと、第2ダンパーチューブ62の他端部に接続される第2の流路部64bとを有する。実施例4では、第2の流路部64bは、4つの第2ダンパーチューブ62に対応して4本設けられており、4つの第2の流路部64bは第1の流路部64aの端部から4方向に分岐する形で形成されている。各流路部64a,64bの流路断面積は、各ダンパーチューブ61,62の断面積よりも小さく形成されている。
【0037】
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4のダンパー51は、被制振部52が上下方向に移動(振動)した場合、第1ダンパーチューブ61が伸縮する力を受ける。これに伴い第1ダンパーチューブ61内の圧油が流路64を通じて第2ダンパーチューブ62との間で移動し、第2ダンパーチューブ62内の圧油の油圧が増減する。実施例4では、流路部64a,64bの断面積が小さく形成されており、圧油が移動しようとする際に、第1ダンパーチューブ61の伸縮の抵抗となる。したがって、被制振部52が制振される。
特に、実施例4では、第2ダンパーチューブ62が4つ設けられており、1つのみの場合に比べて、4つの第2ダンパーチューブ62で許容される油圧の増減幅を拡大でき、第1ダンパーチューブ61で制振可能な衝撃の強さへの対応幅も拡大可能である。
実施例4のダンパー51では、第1ダンパーチューブ61と第2ダンパーチューブ62の軸方向(伸縮方向)が異なる方向となっており、1軸方向に伸縮する従来のダンパー01に比べて、1軸方向の長さを短くすることが可能である。よって、制振可能範囲に対して、ダンパー51の全体を小型化することも可能である。
【0038】
図9は実施例4の変更例の説明図である。
実施例4では、減衰部63に第2ダンパーチューブ62の他端部を直接接続する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、図9に示すように、減衰部63と第2ダンパーチューブ62とを、連結部材の一例としての連結チューブ66を介して連結する構成とすることも可能である。このように構成することで、ダンパー51を設置する空間の自由度を高めることも可能である。また、第2ダンパーチューブ62の一端側を固定部53ではなく、被制振部52とは異なる制振対象の部位に接触させて、第1ダンパーチューブ61と第2ダンパーチューブ62とで異なる被制振部の制振を行うように構成することも可能である。
また、第2ダンパーチューブ62の数に制限はなく、実施例に例示したものに限定されない。そして、複数の第2ダンパーチューブ62を設けることで必要な減衰性能を持たせることが可能である。
【実施例0039】
図10は実施例5の緩衝装置の説明図であり、図10Aは平面図、図10Bは斜視図である。
図11図10AのXI-XI線断面図である。
次に、本発明の実施例5の説明を行うが、実施例1と異なる点について説明をし、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
図10図11において、実施例5の緩衝装置の一例としてのダンパー71は、第1の物体の一例としての移動台車72と、第2の物体の一例としての床面73との間に設置されている。
実施例5の移動台車72は底部にボールローラ72aが支持されている。移動台車72は、床面73上を移動可能に構成されている。実施例5の移動台車72は、外形が、一例として、六角柱状に形成されている。
【0040】
実施例5のダンパー71は、第1の伸縮部の一例としての第1ダンパーチューブ81と、第2の伸縮部の一例としての第2ダンパーチューブ82と、第3の伸縮部の一例としての第3ダンパーチューブ83と、減衰部84とを有する。
実施例5の減衰部84は、移動台車72を囲む壁面状に形成されている。したがって、実施例5では、六角柱状の移動台車72に対応して、平面視で六角筒状の壁面で構成されている。減衰部84は、底面が床面73の上面に固定されている。減衰部84の内部には、圧油が流動可能な流路84aが形成されている。
【0041】
実施例5の第1ダンパーチューブ81の一端部には、移動台車72が支持されている。第1ダンパーチューブ81の他端部は、減衰部84の内周面に支持されている。第1ダンパーチューブ81の内部の空間には圧油が収容されており、第1ダンパーチューブ81の内部空間は流路84aに接続されている。実施例5の第1ダンパーチューブ81は、軸方向が水平方向に沿って延びている。
実施例5の第2ダンパーチューブ82および第3ダンパーチューブ83は、第1ダンパーチューブ81に対して、平面視で120°回転した位置に配置されているだけで、第1ダンパーチューブ81と同様に構成されている。
実施例5の各ダンパーチューブ81~83は、実施例3のダンパーチューブ41,42と同様に、蛇腹状に形成されている。
【0042】
実施例5のダンパー71では、第1ダンパーチューブ81に対して移動台車72を挟んで対向する位置に、第1の弾性部材の一例としての第1弾性バネ86が配置されている。第1弾性バネ86は、一端部が移動台車72の側面に支持され、他端部が減衰部84の内周面に支持されている。
また、第2ダンパーチューブ82、第3ダンパーチューブ83に対しても、第1弾性バネ86と同様に、第2の弾性部材の一例としての第2弾性バネ87、第3の弾性部材の一例としての第3弾性バネ88がそれぞれ配置されている。
したがって、実施例5のダンパー71は、六角柱状の移動台車72の6つの側面に対して、周方向に沿って、ダンパーチューブ81~83と弾性バネ86~88が交互に配置されている。
【0043】
(実施例5の作用)
前記構成を備えた実施例5のダンパー71は、移動台車72(あるいは移動台車72の上面に支持された制振対象物)が水平方向に移動(振動)した場合、各ダンパーチューブ81~83が伸縮する力を受ける。これに伴い各ダンパーチューブ81~83内の圧油が流路84aを通じてダンパーチューブ81~83間を移動する。このとき、流路84aの断面積が、各ダンパーチューブ81~83の内部空間の断面積よりも小さく形成されており、圧油が移動しようとする際に、各ダンパーチューブ81~83の伸縮の抵抗となる。したがって、移動台車72が制振される。
また、実施例5では、各ダンパーチューブ81~83に対向して弾性バネ86~88が配置されている。したがって、弾性バネ86~88の弾性力が移動台車72の移動に対する抵抗力を作用させることも可能である。よって、弾性バネ86~88を有しない場合に比べて、制振性能が向上する。
【0044】
特に、各ダンパーチューブ81~83は、移動台車72の移動時の加速度に比例して抵抗力を作用させるが、弾性バネ86~88は移動台車72の移動時の移動距離に比例して抵抗力(弾性力)を作用させる。したがって、単一のパラメータ(加速度、移動距離)のみに応じた抵抗力を作用させる構成に比べて、異なるパラメータ(加速度、移動距離)に応じた抵抗力を作用させる実施例5のダンパー71は制振性能を向上させることが期待できる。
さらに、実施例5の弾性バネ86~88は、制振後の移動台車72の位置が減衰部84の中央の位置から移動している場合には、3つの弾性バネ86~88のつり合いの力で中央の位置に戻すことが可能である。したがって、制振後に中央の位置に復帰させない場合は、ダンパーチューブ81~83が伸びた状態または縮んだ状態のままとなり、次回の制振時に想定された制振性能が発揮できない場合がある。これに対して、実施例5では、制振後に移動台車72が中央の位置に復帰され、次回の制振時に所定の制振性能を発揮することができ、安定した制振性能を発揮できる。
また、弾性バネ86~88は実施例1から4と同様に必須の構成ではなく、移動台車72を中央の位置に復帰させる必要がなく、平面方向の振動を吸収する目的の為であれば省略することも可能である。
【0045】
実施例5のダンパー71では、制振可能範囲の約2倍の設置スペースが必要な従来のダンパー01に比べて、制振可能範囲がダンパーチューブ81~83の伸縮可能範囲であり、全体として、ダンパー71を小型化することも可能である。
なお、実施例5では、移動台車72の形状が六角柱状に形成され、ダンパーチューブ81~83を3つ、弾性バネ86~88を3つ設けた構成を例示したが、これに限定されない。例えば、移動台車72を四角柱状にして、ダンパーチューブと弾性バネを2組ずつとすることも可能であるし、移動台車72を八角柱状にして、ダンパーチューブと弾性バネを4組ずつとする等、移動台車の外形形状は設計や仕様等に応じて適宜変更可能であるし、ダンパーチューブおよび弾性バネの数は移動台車の外形に応じて2組以下としたり4組以上にしたり等変更可能である。
【0046】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)~(H02)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、ダンパーチューブ11,12,11′,12′,41,42,61,62,81,82,83として、蛇腹状の部材を使用する場合を例示したがこれに限定されない。例えば、螺旋型の折り畳み構造物や反転螺旋型の折り畳み構造物(例えば、特開2015-33772号公報参照)等を適用することも可能である。したがって、実施例1,2では、湾曲する螺旋型または反転螺旋型の折り畳み構造物を使用可能であるし、実施例3~5では円筒状または角筒状の螺旋型または反転螺旋型の折り畳み構造物を使用可能である。
(H02)前記実施例において、ダンパーチューブ11,12,11′,12′,41,42,61,62,81,82,83として、一端部と他端部とで端部の形状が同一の筒状のものを例示したが、これに限定されない。例えば、一端部よりも他端部の方が断面積が大きな筒状の形状、すなわち、円錐状や角錐状の構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1,1′,31,51,71…緩衝装置、
2,2′,32,52,72…第1の物体、
3,33,53,73…第2の物体、
11,11′,41,61,81…第1の伸縮部、
12,12′,42,62,82…第2の伸縮部、
13,43,63,84…減衰部、
13a…孔部、
14…規制部材、
43a,64,84a…流路、
64a…第1の流路部、
64b…第2の流路部、
86…第1の弾性部材、
87…第2の弾性部材。
図1
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