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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128663
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】フィルタ装置及び濾過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/50 20060101AFI20240913BHJP
   B01D 29/07 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B01D29/26 B
B01D29/06 510D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037766
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000178675
【氏名又は名称】ヤマシンフィルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】北島 信行
(72)【発明者】
【氏名】橋本 茂
(72)【発明者】
【氏名】岡本 美信
(72)【発明者】
【氏名】中岡 英雄
(72)【発明者】
【氏名】内山 裕司
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA07
4D116AA30
4D116BB01
4D116BC05
4D116BC13
4D116BC23
4D116BC27
4D116BC28
4D116BC44
4D116BC46
4D116BC47
4D116BC76
4D116DD01
4D116DD05
4D116EE01
4D116EE03
4D116EE08
4D116FF12B
4D116FF16B
4D116GG02
4D116GG12
4D116GG13
4D116KK06
4D116QA14C
4D116QA14D
4D116QA14E
4D116QA14F
4D116QB03
4D116QB19
4D116QB24
4D116QB26
4D116QC04A
4D116QC04B
4D116QC23A
4D116UU09
4D116VV05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作動油に含まれる気泡の流出を防ぐことができるフィルタ装置を提供する。
【解決手段】ケース12と、ケースに流体を流入させる第1流入部と、ケースの内部に設けられた第1フィルタエレメント11と、第1フィルタエレメントで濾過された濾過後流体を第1濾過ユニット10から流出させる第1流路S4、S5を有する第1流出部とからなる第1濾過ユニットと、第2フィルタエレメント22と、第1流出部と第2フィルタエレメントとの間に設けられ、第1流路と第2フィルタエレメントの中空部を連通させる第2流路を有する第2流入部と、第2フィルタエレメントの中空部と外部とを連通させる第3流路24cを有する第2流出部とからなる第2フィルタユニット20と、第1流路、前記第2流路又は第3流路の少なくとも1つを覆う濾過部を有する第3濾過ユニット30とからなるフィルター装置である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1濾過ユニットと、
前記第1濾過ユニットの下側に、平面視において前記第1濾過ユニットと重なるように設けられた第2濾過ユニットと、
前記第1濾過ユニット又は前記第2濾過ユニットに設けられた第3濾過ユニットと、
を備え、
前記第1濾過ユニットは、
ケースと、
前記ケースに設けられており、前記ケースの内部に流体を流入させる第1流入部と、
前記ケースの内部に設けられており、前記流体が通過することで前記流体を濾過する筒状の第1フィルタエレメントと、
前記ケースに設けられており、前記第1フィルタエレメントで濾過された後の濾過後流体を前記第1濾過ユニットから流出させる第1流路を有する第1流出部と、を有し、
前記第2濾過ユニットは、
タンク内部に設けられている筒状の第2フィルタエレメントと、
前記第1流出部と前記第2フィルタエレメントとの間に設けられ、前記第1流路と前記第2フィルタエレメントの中空部を連通させる第2流路を有する第2流入部と、
前記第2フィルタエレメントの下方に設けられ、前記第2フィルタエレメントの中空部と前記第2フィルタエレメントの外部とを連通させる第3流路を有する第2流出部と、を有し、
前記第3濾過ユニットは、前記第1流路、前記第2流路又は前記第3流路の少なくとも1つを覆う濾過部を有する
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
前記第2濾過ユニットは、前記第2フィルタエレメントの上端側に設けられた上端部材を有し、
前記上端部材には、前記第2流路が形成されており、
前記第3濾過ユニットは、板状の網状部材で形成されており、前記第2流路を覆うように前記上端部材に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記第2流出部は、前記第2フィルタエレメントの下端側に設けられた下端部材を有し、
前記下端部材には、前記第3流路が形成されており、
前記第3濾過ユニットは、前記第3流路を覆うように前記第2濾過ユニットの中空部に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記濾過部は、網状部材を筒状にした部材であり、
前記第3濾過ユニットは、前記濾過部の一方の端を覆うプレートを有し、
前記濾過部の前記プレートが設けられていない側の端は、前記下端部材に設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記第1濾過ユニット又は前記第2濾過ユニットに設けられた排圧バルブを備え、
前記ケースは、フィルタケースと、前記フィルタケースの上側が設けられた蓋部材とを有し、
前記蓋部材は、前記第1流入部と、前記第1流入部を介して前記蓋部材の内部に流入した作動油を流出させる第3流出部と、を有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
タンクと、
前記タンクの上面から前記タンクの内部に突出するように設けられた第1濾過ユニットと、
前記第1濾過ユニットの下側に、平面視において前記第1濾過ユニットと重なるように設けられた第2濾過ユニットと、
前記第1濾過ユニット又は前記第2濾過ユニットに設けられた第3濾過ユニットと、
を備え、
前記第1濾過ユニットは、
ケースと、
前記ケースに設けられており、前記ケースの内部に流体を流入させる第1流入部と、
前記ケースの内部に設けられており、前記流体が通過することで前記流体を濾過する筒状の第1フィルタエレメントと、
前記ケースに設けられており、前記第1フィルタエレメントで濾過された後の濾過後流体を前記第1濾過ユニットから流出させる第1流路を有する第1流出部と、を有し、
前記第2濾過ユニットは、
前記タンクの内部に設けられている筒状の第2フィルタエレメントと、
前記第1流出部と前記第2フィルタエレメントとの間に設けられ、前記第1流路と前記第2フィルタエレメントの中空部とを連通させる第2流路を有する第2流入部と、
前記第2フィルタエレメントの下方に設けられ、前記第2フィルタエレメントの中空部と前記第2濾過ユニットの外部とを連通させる第3流路を有する第2流出部と、を有し、
前記第3濾過ユニットは、前記第1流路、前記第2流路又は前記第3流路の少なくとも1つを覆う濾過部を有する
ことを特徴とする濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置及び濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体を貯留するタンクに取り付けられており、上端が開口している有底筒形状のフィルタケースと、フィルタケースの内部に設けられており、筒形状の第1濾材を有するフィルタエレメントと、フィルタケースの上端を覆うように、フィルタケース及びフィルタエレメントに設けられた蓋体であって、フィルタエレメントの内部の空間とフィルタケースの外部の空間とを連通する空気抜き孔を有する蓋体と、フィルタケースの内部かつフィルタエレメントの外部の空間へ液体を流入させる流入部と、フィルタエレメントの内部の空間とフィルタケースの外部の空間とを連通する流出部と、流出部に設けられた背圧バルブと、を備えたフィルタ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/218357号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明は、アイドリング時に背圧バルブを閉状態とし、エンジンが稼働して初めて背圧バルブを開状態とすることで、エンジン稼働前にフィルタケース内部にある空気(イニシャルエア)が流出部から流出されないようにしている。しかしながら、特許文献1に記載の発明では、エンジンが稼働した後でフィルタ装置に流入する作動油に気泡が含まれる場合には、気泡を除去することが困難である。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、流体に含まれる気泡の流出を防ぐことができるフィルタ装置及び濾過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るフィルタ装置は、例えば、第1濾過ユニットと、前記第1濾過ユニットの下側に、平面視において前記第1濾過ユニットと重なるように設けられた第2濾過ユニットと、前記第1濾過ユニット又は前記第2濾過ユニットに設けられた第3濾過ユニットと、を備え、前記第1濾過ユニットは、ケースと、前記ケースに設けられており、前記ケースの内部に流体を流入させる第1流入部と、前記ケースの内部に設けられており、前記流体が通過することで前記流体を濾過する筒状の第1フィルタエレメントと、前記ケースに設けられており、前記第1フィルタエレメントで濾過された後の濾過後流体を前記第1濾過ユニットから流出させる第1流路を有する第1流出部と、を有し、前記第2濾過ユニットは、タンク内部に設けられている筒状の第2フィルタエレメントと、前記第1流出部と前記第2フィルタエレメントとの間に設けられ、前記第1流路と前記第2フィルタエレメントの中空部を連通させる第2流路を有する第2流入部と、前記第2フィルタエレメントの下方に設けられ、前記第2フィルタエレメントの中空部と前記第2フィルタエレメントの外部と連通させる第3流路を有する第2流出部と、を有し、前記第3濾過ユニットは、前記第1流路、前記第2流路又は前記第3流路の少なくとも1つを覆う濾過部を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の態様に係るフィルタは、例えば、タンクと、前記タンクの上面から前記タンクの内部に突出するように設けられた第1濾過ユニットと、前記第1濾過ユニットの下側に、平面視において前記第1濾過ユニットと重なるように設けられた第2濾過ユニットと、前記第1濾過ユニット又は前記第2濾過ユニットに設けられた第3濾過ユニットと、を備え、前記第1濾過ユニットは、ケースと、前記ケースに設けられており、前記ケースの内部に流体を流入させる第1流入部と、前記ケースの内部に設けられており、前記流体が通過することで前記流体を濾過する筒状の第1フィルタエレメントと、前記ケースに設けられており、前記第1フィルタエレメントで濾過された後の濾過後流体を前記第1濾過ユニットから流出させる第1流路を有する第1流出部と、を有し、前記第2濾過ユニットは、前記タンクの内部に設けられている筒状の第2フィルタエレメントと、前記第1流出部と前記第2フィルタエレメントとの間に設けられ、前記第1流路と前記第2フィルタエレメントの中空部とを連通させる第2流路を有する第2流入部と、前記第2フィルタエレメントの下方に設けられ、前記第2フィルタエレメントの中空部と前記第2濾過ユニットの外部とを連通させる第3流路を有する第2流出部と、を有し、前記第3濾過ユニットは、前記第1流路、前記第2流路又は前記第3流路の少なくとも1つを覆う濾過部を有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るフィルタ装置によれば、濾過部を有する第3濾過ユニットが、第1流路、第2流路又は第3流路の少なくとも1つを覆うように設けられている。これにより、流体が第3濾過ユニットを通過する際に気泡が除去されるため、流体に含まれる気泡がフィルタ装置から流出することを防ぐことができる。
【0009】
前記第2濾過ユニットは、前記第2フィルタエレメントの上端側に設けられた上端部材を有し、前記上端部材には、前記第2流路が形成されており、前記第3濾過ユニットは、板状の網状部材で形成されており、前記第2流路を覆うように前記上端部材に設けられていてもよい。これにより、フィルタ装置の構造を簡素化することができる。
【0010】
前記第2流出部は、前記第2フィルタエレメントの下端側に設けられた下端部材を有し、前記下端部材には、前記第3流路が形成されており、前記第3濾過ユニットは、前記第3流路を覆うように前記第2濾過ユニットの中空部に設けられていてもよい。第2濾過ユニットの中空部は広いため、第3濾過ユニットの形状の自由度が高くなる。
【0011】
前記濾過部は、網状部材を筒状にした部材であり、前記第3濾過ユニットは、前記濾過部の一方の端を覆うプレートを有し、前記濾過部の前記プレートが設けられていない側の端は、前記下端部材に設けられていてもよい。これにより、第3濾過ユニットの濾過面積を増やすことができる。
【0012】
前記第1濾過ユニット又は前記第2濾過ユニットに設けられた排圧バルブを備え、前記ケースは、フィルタケースと、前記フィルタケースの上側が設けられた蓋部材とを有し、前記蓋部材は、前記第1流入部と、前記第1流入部を介して前記蓋部材の内部に流入した作動油を流出させる第3流出部と、を有してもよい。これにより、フィルタ装置内部の圧力に応じて流体の流れを変えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、流体に含まれる気泡の流出を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態であるフィルタ装置1が内部に設けられたタンク100の概略を示す図である。
図2】フィルタ装置1の概略を示す断面図である。
図3】フィルタ装置1の概略を示す断面図であり、要部を拡大した図である。
図4】フィルタ装置1Aの概略を示す断面図である。
図5】フィルタ装置1Bの概略を示す断面図である。
図6】フィルタ装置2の概略を示す断面図である。
図7】フィルタ装置2の概略を示す断面図であり、要部を拡大した図である。
図8】フィルタ装置2Aの概略を示す断面図である。
図9】フィルタ装置3の概略を示す断面図である。
図10】フィルタ装置4の概略を示す断面図である。
図11】フィルタ装置4Aの概略を示す断面図である。
図12】フィルタ装置4Bの概略を示す断面図である。
図13】フィルタ装置5の概略を示す断面図である。
図14】フィルタ装置5Aの概略を示す断面図である。
図15】フィルタ装置6の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明のフィルタ装置は、作業機械(油圧ショベル、ホイールローダ等)の油圧装置へ供給する作動油の油圧回路内に設けられており、作動油を濾過する。ただし、本発明のフィルタ装置が設けられているのは油圧回路に限られず、また、フィルタ装置が濾過する流体は作動油に限られない。また、本発明は、フィルタ装置のみでなく、タンクに設けられた濾過装置として提供することができる。
【0016】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の一実施形態であるフィルタ装置1が内部に設けられたタンク100の概略を示す図である。図1では、タンク100の要部を透視し、かつ一部部品を断面で図示している(ただし、断面を示すハッチングを省略している)。
【0017】
タンク100は、作動油の油圧回路内に設けられており、作動油Lを貯留する。油圧回路において、作動油Lは、油圧装置を通ってタンク100へ導入される。
【0018】
タンク100は、例えば箱形のタンク本体101を備えており、このタンク本体101はその内部が空洞である。タンク本体101の内部には、主としてフィルタ装置1が設けられている。
【0019】
タンク本体101の上面101aには、フィルタ装置1が挿入される孔101bが形成されている。上面101aの上面にフィルタ装置1の蓋部材14等(後に詳述)が設けられていることで、フィルタ装置1がタンク本体101に固定される。
【0020】
フィルタ装置1は、主として、第1濾過ユニット10と、第2濾過ユニット20と、第3濾過ユニット30と、を有する。
【0021】
第2濾過ユニット20は、第1濾過ユニット10の下側に、平面視において(z方向から見て)第1濾過ユニット10と重なるように設けられている。第2濾過ユニット20は、タンク本体101の底面101c近傍に設けられている。第3濾過ユニット30は、第1濾過ユニット10又は第2濾過ユニット20に設けられている。
【0022】
第1濾過ユニット10及び第2濾過ユニット20は、中心軸axの向きが略同一であり、z方向に沿っている。本実施の形態では、第1濾過ユニット10、第2濾過ユニット20及び第3濾過ユニット30の中心軸axが一致しているが、これらは一致しなくてもよい。
【0023】
タンク本体101の底面101cには、孔101dが形成されている。孔101dには、第2濾過ユニット20の下端部が挿入されている。
【0024】
図2は、フィルタ装置1の概略を示す断面図である。図3は、フィルタ装置1の概略を示す断面図であり、要部を拡大した図である。図2では、断面を示すハッチングを省略している。
【0025】
第1濾過ユニット10は、フィルタエレメント11と、フィルタケース12と、内部部品13と、蓋部材14と、バルブ15と、を有する。
【0026】
フィルタエレメント11(本発明の第1フィルタエレメントに相当)は、全体として筒状(ここでは、円筒形状)の部材であり、フィルタケース12の内部に設けられている。フィルタエレメント11は、作動油が通過することで作動油を濾過する。フィルタエレメント11は、主として、内筒111と、濾材112と、プレート113、114と、を有する。
【0027】
濾材112は、作動油を濾過するためのものであり、径方向に厚みを有する略円筒形状である。濾材112は、合成樹脂や紙等を用いたろ紙をひだ折りにし、ひだ折りにしたろ紙の両端を連結して円筒形状に丸めることによって形成されている。
【0028】
内筒111は、金属製の略円筒形状の部材であり、濾材112の内側に設けられている。内筒111の高さと濾材112の高さとは、略同じである。内筒111には、作動油が通過する孔111aが略全面に形成されている。
【0029】
内筒111及び濾材112の下端にはプレート113が設けられ、上端にはプレート114が設けられている。プレート113及びプレート114は、円板状又は有底円筒形状の部材であり、樹脂又は金属を用いて形成されている。プレート113は、略中央に開口部113aが形成されている。
【0030】
プレート114には、バルブ15が設けられている。バルブ15は、バイパスバルブであり、フィルタエレメント11の内部(空間S3)の圧力と外部(空間S2)の圧力との差に応じて開閉する。
【0031】
フィルタケース12は、全体として有底円筒形状の部材であり、金属により形成されている。フィルタケース12の上側には、蓋部材14が設けられている。フィルタケース12及び蓋部材14(本発明のケースに相当)の内部には、フィルタエレメント11が設けられている。
【0032】
フィルタケース12は、主として、第1ケース121と、第2ケース122と、取付部材123、124と、を有する。第1ケース121の上側に第2ケース122が一体形成されている。なお、取付部材123、124は必須ではない。
【0033】
第1ケース121及び第2ケース122は、筒状(ここでは、円筒形状)の部材である。第1ケース121の上側(+z側)に第2ケース122が設けられている。第1ケース121の下側(-z側)には第2濾過ユニット20が設けられており、第2ケース122の上側に蓋部材14が設けられている。
【0034】
第1ケース121の内部には、内部部品13が設けられている。内部部品13は、フィルタケース12の一部である。
【0035】
内部部品13は、主として、第1部品131と、第2部品132とを有する。本実施の形態では、第1ケース121の中空部に設けられた板状部121aに内部部品13が設けられているが、第1ケース121の内部に内部部品13を設ける形態はこれに限られない。
【0036】
第2部品132は、第1ケース121の中空部を塞ぐように設けられており、第1ケース121の内部を3つの空間S1、S4、S5に分割する。板状部121a及び第2部品132より上側の空間が空間S1であり、板状部121a及び第2部品132より下側の空間が空間S5である。
【0037】
第1部品131は、空間S1に設けられている。第1部品131には、第1ケース121の側面に形成された孔121cに設けられており、図示しない流入管が設けられている。第1部品131は、フィルタケース12の内部に作動油を流入させる流入部(本発明の第1流入部に相当)である。空間S1は、流入部からフィルタ装置1に流入した作動油Lが最初に流入する空間である。作動油は、空間S1から第1ケース121とフィルタエレメント11との間の空間である空間S2に流入する。
【0038】
第2部品132は、中心軸axに沿って延設された筒状部132aを有する。筒状部132aの中空部132bは、筒状部132a、すなわち第2部品132を貫通している。
【0039】
筒状部132aの下端は、板状部121aに形成された孔121bに挿入されている。また、筒状部132aの上端近傍に設けられた凸部132cにプレート113が当接し、開口部113aに筒状部132aが挿入されることで、筒状部132aの上端がフィルタエレメント11に挿入されている。したがって、中空部132b(空間S4)は、フィルタエレメント11の中空部(空間S3)と、第1ケース121の第2部品132よりも下側の空間(空間S5)とを連通する。
【0040】
空間S4、S5(本発明の第1流路に相当)を形成する第2部品132及び第1ケース121は、フィルタエレメント11で濾過された後の流体(本発明の濾過後流体に相当)を流出させる流出部(本発明の第1流出部に相当)である。また、第1ケース121の空間S5を形成する部分には、孔121dが複数形成されている。ただし、孔121dは必須ではない。
【0041】
蓋部材14は、フィルタケース12の上部の開口端を覆う略板状の部材である。蓋部材14は、フィルタケース12(ここでは、取付部材124)に対して着脱可能に設けられている。
【0042】
蓋部材14は、第1蓋141と、第2蓋142と、を有する。第1蓋141は、円筒形状であり、中空部141aが形成されている。第2蓋142は、板状であり、中空部141aを覆うように設けられている。第2蓋142の下面142aと、プレート114との間には、弾性部材143が設けられている。
【0043】
蓋部材14(ここでは、第2蓋142)がフィルタケース12から取り外されると、フィルタエレメント11がフィルタケース12の上部の開口端から抜き出せるようになる。蓋部材14がフィルタケース12に取り付けられると、弾性部材143がプレート114と第2蓋142との間に挟持され、弾性部材143の付勢力によりプレート114、すなわちフィルタエレメント11が-z方向に押圧される。これにより、フィルタエレメント11がフィルタケース12の内部に設けられる。
【0044】
なお、本実施の形態では、蓋部材14が第1蓋141と第2蓋142とを有するが、蓋部材14の形態はこれに限られない。例えば、蓋部材14は一部品でもよい。
【0045】
第2濾過ユニット20は、例えば、油圧ポンプへの異物の進入を防止するためのサクションストレーナである。第2濾過ユニット20は、主として、筒状部21と、濾材22と、上端部材23と、下端部材24とを有する。
【0046】
筒状部21は、金属製の略円筒形状の部材であり、側面に複数の孔21aが形成されている。濾材22は、金属の線材を織ることにより形成された金網をひだ折りにし、ひだ折りにした金網の両端を連結して円筒形状に丸めることによって形成されている。濾材22は、筒状部21の外側に設けられている。ただし、筒状部21は必須ではない。また、濾材22の形態もこれに限られない。
【0047】
上端部材23は、筒状部21及び濾材22(本発明の第2フィルタエレメントに相当)の上端側に設けられている。なお、上端部材23は、筒状部21及び濾材22の上端に直接設けられていてもよいし、部材を介して筒状部21及び濾材22の上側に設けられていてもよい。上端部材23は、筒状部21及び濾材22が挿入される凹部23aと、凹部23aに設けられた筒状部23bとを有する。筒状部23bは凹部23aから上向きに(第1濾過ユニット10に向けて)突出しており、筒状部23bが第1ケース121に挿入された状態で筒状部23bと第1ケース121とが固定される。その結果、上端部材23に第1ケース121が設けられている。ただし、上端部材23に第1ケース121を設ける形態はこれに限られない。
【0048】
凹部23aの中空部23c(本発明の第2流路に相当)は、空間S4(中空部132b)及び濾材22の中空部(空間S6)を連通し、フィルタエレメント11で濾過された流体は、中空部23cを通過する。
【0049】
下端部材24は、筒状部21及び濾材22の下端側に設けられている。なお、下端部材24は、筒状部21及び濾材22の下端に直接設けられていてもよいし、部材を介して筒状部21及び濾材22の下側に設けられていてもよい。下端部材24は、筒状部21及び濾材22が挿入される凹部24aと、タンク100の孔101dに挿入される筒状部24bを有する。下端部材24の中空部24c(本発明の第3流路に相当)は、濾材22の中空部と第2濾過ユニット20の外部とを連通する。
【0050】
第3濾過ユニット30は、金属の線材を織ることにより形成された金網で形成された板状の濾過部である。第3濾過ユニット30は、中空部23cを覆うように上端部材23に設けられている。第3濾過ユニット30の濾過部を構成する金網の網目は、濾材22の網目と同様の細かさか、濾材22の網目より細かい網目である。
【0051】
なお、第3濾過ユニット30を構成する濾過部は、網状部材であればよく、金網に限定されない。例えば、第3濾過ユニット30の濾過部は、樹脂の線材を織ったり、樹脂の線材を付着させたりして蜘蛛の巣状や網状にしたメッシュ、紐等を編んで形成された網でもよい。本発明の網状部材は、これらの金網、メッシュ、網等を含む概念である。また、第3濾過ユニット30は、網状部材で形成された濾過部の周縁に、他の部材(例えば、中空円板状の部材)が設けられていてもよい。さらに、第3濾過ユニット30は平板に限られない。第3濾過ユニット30は板状であればよく、例えば湾曲(例えば、波状)を有する板、凹凸を有する板、籠(椀)状に湾曲した板等も板状に含まれる。
【0052】
次に、このように構成されたフィルタ装置1の機能について、図2、3を用いて説明する。図2、3の矢印は、作動油の流れを示す。
【0053】
油圧装置の動作中は、作動油が油圧回路内を流れている。作動油は、第1部品131を介して空間S1に流入する。作動油は、空間S1からフィルタエレメント11の外側の空間(空間S2)に流入し、フィルタエレメント11の外側から内側へ向って流れることで濾過されて空間S3に流入する。濾過後の作動油は、下向きに流れて空間S3から空間S4、S5に流入する。
【0054】
空間S5に流入した作動油は、流量に応じて一部が孔121dを介してタンク100内に流出するが、大部分は空間S6に流入する。このとき、作動油が第3濾過ユニット30を通過する。
【0055】
第3濾過ユニット30は金網で形成されているため、作動油は第3濾過ユニット30を通過できるが気泡はほとんど通過できず、特に大きな気泡は第3濾過ユニット30を通過できない。これにより、作動油から気泡が除去される。
【0056】
第3濾過ユニット30を通過して空間S6に流入した作動油は、流量に応じて一部が濾材22を介してタンク100に流出したりタンク100から流入したりするが、大部分は中空部24cを介してフィルタ装置1から流出する。フィルタ装置1から流出した作動油は、油圧回路のポンプに導かれる。
【0057】
濾過を繰り返すと濾材112に目詰まりが生じるため、フィルタエレメント11の交換を行なう。蓋部材14をフィルタケース12から取り外し、その後フィルタエレメント11を上方へ引き抜く。その結果、フィルタエレメント11がフィルタケース12の上部の開口端から抜き出される。その後、交換後の新しいフィルタエレメント11をフィルタケース12の上部の開口端から挿入し、蓋部材14をフィルタケース12に取り付けると、新しいフィルタエレメント11がフィルタケース12及び蓋部材14の内部に設けられる。
【0058】
本実施の形態によれば、中空部23cを覆うように第3濾過ユニット30を設けることで、作動油に含まれる気泡の流出を防ぐことができる。また、第3濾過ユニット30を板状として上端部材23に設けることで、フィルタ装置1の構造を簡素化することができる。構造が複雑化すると、製造時や使用中に不具合が発生しやすくなるが、フィルタ装置1の構造を簡素化することで不具合が発生しにくくすることができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、第3濾過ユニット30が板状の金網(濾過部)からなるが、第3濾過ユニット30の形態はこれに限られない。例えば、板状の部材に孔を形成し、その孔を板状の金網(濾過部)で覆った部材を第3濾過ユニット30としてもよい。
【0060】
また、本実施の形態では、第3濾過ユニット30が中空部23cを覆うように第2濾過ユニット20に設けられていたが、第3濾過ユニット30が設けられる位置はこれに限られない。例えば、第3濾過ユニット30は、孔121bを覆うように第1濾過ユニット10に設けられていてもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、板状の金網からなる第3濾過ユニット30が中空部23cを覆うように設けられていたが、第3濾過ユニット30が中空部23cを覆うように設けられる形態はこれに限られない。例えば、スチールウール等で形成された濾過部を有する第3ユニットが中空部23cに挿入されていてもよい。この場合には、濾過部に気泡が捉えられることで、気泡の排出を防ぐことができる。ただし、流量が多くなったときに濾過部捉えられた気泡が作動油と共に排出されてしまう恐れもあるため、気泡はほとんど通過できない網状部材を第3濾過ユニット30に用いることが望ましい。
【0062】
また、本実施の形態では、フィルタ装置1全体がタンク100の内部に設けられていたが、タンク100の形態はこれに限られない。例えば、フィルタ装置1の板状部121aよりも下側の部分のみがタンク100の内部に設けられていてもよい。また、孔121dが設けられていない場合には、第2濾過ユニット20のみがタンク100の内部に設けられていてもよい。
【0063】
<第1の実施の形態の変形例1>
図4は、変形例にかかるフィルタ装置1Aの概略を示す断面図である。フィルタ装置1Aは、排圧バルブ16が設けられている点でフィルタ装置1と異なる。図4では、断面を示すハッチングを省略している。なお、フィルタ装置1と同一の部分については説明を省略する。
【0064】
フィルタ装置1Aは、主として、第1濾過ユニット10Aと、第2濾過ユニット20と、第3濾過ユニット30と、を有する。第1濾過ユニット10Aは、フィルタエレメント11と、フィルタケース12と、内部部品13と、蓋部材14と、バルブ15と、排圧バルブ16とを有する。
【0065】
排圧バルブ16は、中空部132bを覆うように第2部品132に設けられている。排圧バルブ16は、空間S1~S3の圧力が設定された圧力になると開き、作動油を空間S3から空間S4に流入させる。したがって、アイドリング時等の作動油の流量が少ない場合には、排圧バルブ16は開かない。
【0066】
排圧バルブ16を設けることで、油圧装置の動作時に流量が増した時に、フィルタ装置1Aで濾過された油を一定の圧力でポンプに流すことができる。
【0067】
<第1の実施の形態の変形例2>
図5は、変形例にかかるフィルタ装置1Bの概略を示す断面図である。フィルタ装置1Bは、排圧バルブ25が設けられている点でフィルタ装置1と異なる。図5では、断面を示すハッチングを省略している。なお、フィルタ装置1と同一の部分については説明を省略する。
【0068】
フィルタ装置1Bは、主として、第1濾過ユニット10と、第2濾過ユニット20Aと、第3濾過ユニット30と、を有する。第2濾過ユニット20Aは、主として、筒状部21と、濾材22と、上端部材23Aと、下端部材24と、排圧バルブ25とを有する。
【0069】
上端部材23Aは、筒状部21及び濾材22の上端に設けられている。上端部材23は、筒状部21及び濾材22が挿入される凹部23aと、凹部23aに設けられた筒状部23bと、取付部24dとを有する。取付部24dは、排圧バルブ25が取り付けられる部材であり、中空部23cに設けられている。
【0070】
排圧バルブ25は、空間S1~S5の圧力が設定された圧力になると開き、作動油を空間S5から空間S6に流入させる。したがって、アイドリング時等の作動油の流量が少ない場合には、排圧バルブ25は閉じており、取付部24d及び排圧バルブ25が中空部23cを覆う。
【0071】
排圧バルブ25を設けることで、油圧装置の動作時に流量が増した時に、フィルタ装置1Bで濾過された油を一定の圧力でポンプに流すことができる。
【0072】
<第2の実施の形態>
図6は、第2の実施の形態に係るフィルタ装置2の概略を示す断面図である。図7は、フィルタ装置2の概略を示す断面図であり、要部を拡大した図である。図6では、断面を示すハッチングを省略している。なお、フィルタ装置1と同一の部分については説明を省略する。
【0073】
フィルタ装置2は、主として、第1濾過ユニット10と、第2濾過ユニット20Bと、第3濾過ユニット30Aと、を有する。第3濾過ユニット30Aは、第2濾過ユニット20Bの中空部(空間S6)に設けられている。
【0074】
第2濾過ユニット20Bは、主として、筒状部21と、濾材22と、上端部材23と、下端部材24Aとを有する。
【0075】
下端部材24Aは、筒状部21及び濾材22の下端に設けられている。下端部材24は、凹部24aと、筒状部24bと、取付部24dを有する。取付部24dは、筒状部24bの上端に形成されており、第3濾過ユニット30Aが設けられている。ただし、第3濾過ユニット30Aを下端部材24Aに取り付ける形態はこれに限られない。
【0076】
第3濾過ユニット30Aは、中空部24cを覆うように設けられている。第3濾過ユニット30Aは、主として、筒状部31と、濾材32と、上端部材33と、下端部材34とを有する。
【0077】
筒状部31は、金属製の略円筒形状の部材であり、側面に複数の孔31aが形成されている。濾材32は、金属の線材を織ることにより形成された金網をひだ折りにし、ひだ折りにした金網の両端を連結して円筒形状に丸めることによって形成された濾材(いわゆるプリーツ濾材)である。濾材32は、筒状部21の外側に設けられている。濾材32の網目は、濾材22の網目と同様の細かさか、濾材22の網目より細かい網目である。
【0078】
なお、筒状部31は必須ではない。また、濾材32は、金網に限らず、メッシュ等の網状部材をひだ折りにして形成されたプリーツ濾材であってもよい。
【0079】
上端部材33は、筒状部31及び濾材32の上端に設けられている。上端部材33は、は、筒状部31及び濾材32が挿入される凹部33aと、凹部33aの中空部を覆う板状部33bとを有する。したがって、作動油は上端部材33を通過できない。
【0080】
下端部材34は、筒状部31及び濾材32の下端に設けられている。下端部材34は、筒状部31及び濾材32が挿入される凹部34aを有する。凹部34aの内側は中空部34bであり、作動油が通過可能である。
【0081】
図6、7の矢印は、作動油の流れを示す。空間S1から空間S2に流入した作動油は、フィルタエレメント11の外側から内側へ向って流れることで濾過されて、空間S3に流入する。濾過後の作動油は、下向きに流れて空間S3から空間S4、S5に流入する。
【0082】
空間S5に流入した作動油は、流量に応じて(例えば、タンク100に流入する流量が多い場合には)一部が孔121dを介してタンク100内に流出するが、大部分は空間S6に流入する。空間S6に第3濾過ユニット30Aが設けられているため、空間S6に流入した作動油は濾材22を通ってタンク100に流入する。また、油圧回路が動作している間にタンク100に流入する作動油の流量が少なくなった場合には、タンク110に貯留された作動油が、濾材22を通って空間S6に流入する。
【0083】
空間S6に流入した作動油は、濾材32を通過して気泡が除去され、第3濾過ユニット30の中空部(空間S7)に流入する。空間S7に流入した作動油は、中空部24cを介してフィルタ装置1から流出し、油圧回路のポンプに導かれる。
【0084】
本実施の形態によれば、中空部24cを覆うように第3濾過ユニット30Aを設けることで、作動油に含まれる気泡の流出を防ぐことができる。また、第2濾過ユニット20Bの中空部(空間S6)は広いため、第3濾過ユニット30Aの形状の自由度が高くなる。例えば、本実施の形態のように第3濾過ユニット30Aをプリーツ濾材とすることもできるし、板状とすることもできる。
【0085】
また、本実施の形態によれば、濾材32をプリーツ濾材にすることで、濾過面積を増やし、圧力損失を減らすことができる。
【0086】
なお、本実施の形態では、金網をひだ折りにした濾材32を中空部24cを覆うように設けたが、濾材32の形態はこれに限られない。例えば、板状の金網の両端を連結して筒状としたものを濾材として中空部24cを覆うように設けてもよい。ただし、プリーツ濾材を濾材32に用いることで、より濾過面積を増やすことができる。また、板状の濾材を中空部24cを覆うように設けてもよい。
【0087】
また、本実施の形態では、フィルタ装置2が下端部材24Aに設けられた第3濾過ユニット30Aを有したが、フィルタ装置2が第3濾過ユニット30及び第3濾過ユニット30Aを有していてもよい。つまり、フィルタ装置が複数の第3濾過ユニットを有していてもよい。
【0088】
<第2の実施の形態の変形例1>
図8は、変形例にかかるフィルタ装置2Aの概略を示す断面図である。図8では、断面を示すハッチングを省略している。フィルタ装置2Aは、排圧バルブ16が設けられている点でフィルタ装置2と異なる。なお、フィルタ装置1A、2と同一の部分については説明を省略する。
【0089】
フィルタ装置2Aは、主として、第1濾過ユニット10Aと、第2濾過ユニット20Bと、第3濾過ユニット30Aと、を有する。第1濾過ユニット10Aが排圧バルブ16を有するため、油圧装置の動作時に流量が増した時に、フィルタ装置2Aで濾過された油を一定の圧力でポンプに流すことができる。
【0090】
<第3の実施の形態>
図9は、第3の実施の形態に係るフィルタ装置3の概略を示す断面図である。図9では、断面を示すハッチングを省略している。なお、フィルタ装置1と同一の部分については説明を省略する。
【0091】
フィルタ装置3は、主として、第1濾過ユニット10と、第2濾過ユニット20Cと、第3濾過ユニット30Bと、を有する。第3濾過ユニット30Bは、第2濾過ユニット20Cに設けられている。
【0092】
第2濾過ユニット20Cは、主として、筒状部21と、濾材22と、上端部材23Bと、下端部材24とを有する。
【0093】
上端部材23Bは、筒状部21及び濾材22の上端に設けられている。上端部材23Bは、筒状部21及び濾材22が挿入される凹部23aと、凹部23aに設けられた筒状部23bと、取付部23eとを有する。取付部23eは、第3濾過ユニット30Bが取り付けられる部材であり、中空部23cに設けられている。取付部23eには、孔23f(本発明の第2流路に相当)が形成されている
【0094】
第3濾過ユニット30Bは、孔23fを覆うように設けられている。第3濾過ユニット30Bの外側の空間が空間S5であり、第3濾過ユニット30Bの内側の空間が空間S8である。
【0095】
第3濾過ユニット30Bは、主として、濾材35と、上端部材36とを有する。濾材35は、金網、メッシュ等の網状部材の両端を連結して筒状に形成されている。濾材35の網目は、濾材22の網目と同様の細かさか、濾材22の網目より細かい網目である。なお、本発明において、筒状とは、軸と直交する面における断面形状が円形の円筒に限られない。例えば、濾材35の軸と直交する面における断面形状が多角形状、楕円形状等であってもよい。
【0096】
濾材35の上端には、上端部材36が設けられている。上端部材36は、濾材35の中空部を覆う。したがって、作動油は上端部材36を通過できない。
【0097】
濾材35の下端は、取付部23eに設けられている。平面視において、孔23fは、濾材35と重なる位置又は濾材35の内側に位置する。例えば、濾材35の下端が孔23fの周縁に沿って設けられている。
【0098】
図9の矢印は、作動油の流れを示す。空間S1に流入した作動油は、フィルタエレメント11の外側から内側へ向って流れることで濾過されて、空間S3に流入する。濾過後の作動油は、下向きに流れて空間S3、空間S4を介して空間S5に流入する。
【0099】
空間S5に流入した作動油は、濾材35を通過することで気泡が除去され、空間S8を介して空間S6に流入する。その後、作動油は、中空部24cを介してフィルタ装置1から流出し、油圧回路のポンプに導かれる。
【0100】
本実施の形態によれば、孔23fを覆うように第3濾過ユニット30Bを設けることで、作動油に含まれる気泡の流出を防ぐことができる。また、濾材35を筒状とすることで、板状の第3濾過ユニット30に比べて濾過面積を増やすことができる。
【0101】
なお、本実施の形態のフィルタ装置3は排圧バルブを有しないが、排圧バルブを設けてもよい。例えば、第2濾過ユニット20に変えて、排圧バルブ25を有する第2濾過ユニット20Aを用いてもよい。
【0102】
<第4の実施の形態>
図10は、第4の実施の形態に係るフィルタ装置4の概略を示す断面図である。図10では、断面を示すハッチングを省略している。フィルタ装置4は、第1の実施の形態のフィルタ装置1に対して、流入部が蓋部材に設けられている点に特徴がある。以下、フィルタ装置1と同一の部分については説明を省略する。
【0103】
フィルタ装置4は、主として、第1濾過ユニット10Cと、第2濾過ユニット20と、第3濾過ユニット30と、を有する。第1濾過ユニット10Cは、フィルタエレメント11と、フィルタケース12Bと、内部部品13Aと、蓋部材14Aと、バルブ15とを有する。
【0104】
フィルタケース12Bは、全体として筒状(ここでは、円筒形状)の部材であり、金属により形成されている。フィルタケース12は、主として、第1ケース121Bと、第2ケース122Aと、取付部材123、124と、を有する。第1ケース121Bと第1ケース121及び第2ケース122Aと第2ケース122は、z方向の高さが異なる。
【0105】
第1ケース121Bの内部には、内部部品13Aが設けられている。内部部品13Aは、第1ケース121Bの中空部を塞ぐように板状部121aに設けられており、第1ケース121Bの内部を3つの空間S2、S4、S5に分割する。板状部121a及び内部部品13Aより上側の空間が空間S2であり、板状部121a及び内部部品13Aより下側の空間が空間S5である。
【0106】
内部部品13Aは、主として、板状部13aと、筒状部13bとを有する。板状部13aは、板状部121aに沿って設けられており、プレート113が当接する。
【0107】
筒状部13bは、中心軸axに沿って延設しており、筒状部13bの中空部13cは、空間S4である。中空部13cは、筒状部13b、すなわち内部部品13Aを貫通している。空間S4、S5を形成する内部部品13A及び第1ケース121は、フィルタエレメント11で濾過された流体を流出させる流出部(本発明の第1流出部に相当)である。
【0108】
筒状部13bの下端は、孔121bに挿入されている。また、開口部113aに筒状部13bが挿入されることで、筒状部13bの上端がフィルタエレメント11に挿入される。したがって、中空部13c(空間S4)は、空間S3と空間S5とを連通する。
【0109】
蓋部材14Aは、フィルタケース12Bの上部の開口端を覆う略板状の部材である。蓋部材14Aは、フィルタケース12B(ここでは、取付部材124)に対して着脱可能に設けられている。フィルタケース12B及び蓋部材14A(本発明のケースに相当)の内部には、フィルタエレメント11が設けられている。
【0110】
蓋部材14Aは、第1蓋141Aと、第2蓋142と、を有する。第1蓋141Aは、円筒形状であり、中空部141aが形成されている。また、第1蓋141Aの側面には、筒状部141bが設けられており、筒状部141bの中空部141cから空間S1に作動油が流入する。筒状部141bは、フィルタケース12の内部に流体を流入させる流入部(本発明の第1流入部に相当)である。
【0111】
図10の矢印は、作動油の流れを示す。作動油は、筒状部141b(中空部141c)を介して空間S1(ここでは、中空部141a)に流入する。作動油は、空間S1からフィルタエレメント11の外側の空間(空間S2)に流入し、フィルタエレメント11の外側から内側へ向って流れることで濾過されて空間S3に流入する。濾過後の作動油は、下向きに流れて空間S3から空間S4、S5に流入する。
【0112】
空間S5に流入した作動油は、流量に応じて一部が孔121dを介してタンク100内に流出するが、大部分は空間S6に流入する。このとき、作動油が第3濾過ユニット30を通過する。このとき、作動油中の気泡が除去される。
【0113】
第3濾過ユニット30を通過して空間S6に流入した作動油は、流量に応じて一部が濾材22を介してタンク100に流出したりタンク100から流入したりするが、大部分は中空部24cを介してフィルタ装置1から流出する。フィルタ装置1から流出した作動油は、油圧回路のポンプに導かれる。
【0114】
本実施の形態によれば、フィルタ装置1と同様に、中空部23cを覆うように第3濾過ユニット30を設けることで、作動油に含まれる気泡の流出を防ぐことができる。
【0115】
<第4の実施の形態の変形例1>
図11は、変形例にかかるフィルタ装置4Aの概略を示す断面図である。フィルタ装置4Aは、排圧バルブ16が設けられている点でフィルタ装置4と異なる。図11では、断面を示すハッチングを省略している。なお、フィルタ装置1、1A、4と同一の部分については説明を省略する。
【0116】
フィルタ装置4Aは、主として、第1濾過ユニット10Dと、第2濾過ユニット20と、第3濾過ユニット30と、を有する。第1濾過ユニット10Dは、フィルタエレメント11と、フィルタケース12Bと、内部部品13Aと、蓋部材14Aと、バルブ15と、排圧バルブ16とを有する。
【0117】
排圧バルブ16は、中空部13cを覆うように筒状部13bに設けられている。これにより、油圧装置の動作時に流量が増した時に、フィルタ装置4Aで濾過された油を一定の圧力でポンプに流すことができる。
【0118】
なお、排圧バルブ16を有するフィルタ装置4Aにおいては、蓋部材14Aに筒状部141bとは異なる筒状部(図示省略)が設けられていてもよい。この筒状部は、筒状部141bを介して空間S1に流入した作動油を流出させる流出部(本発明の第2流出部に相当)である。中空部24cから流出した作動油がメインポンプに導かれるのに対し、この流出部から流出した作動油はチャージポンプ等のメインポンプとは異なるポンプに導かれる。
【0119】
<第4の実施の形態の変形例2>
図12は、変形例にかかるフィルタ装置4Bの概略を示す断面図である。フィルタ装置4Bは、排圧バルブ25が設けられている点でフィルタ装置4と異なる。図5では、断面を示すハッチングを省略している。なお、フィルタ装置1、1B、4と同一の部分については説明を省略する。
【0120】
フィルタ装置4Bは、主として、第1濾過ユニット10Cと、第2濾過ユニット20Aと、第3濾過ユニット30と、を有する。第2濾過ユニット20Aに排圧バルブ25を設けることで、油圧装置の動作時に流量が増した時に、フィルタ装置1Bで濾過された油を一定の圧力でポンプに流すことができる。
【0121】
なお、排圧バルブ25を有するフィルタ装置4Bにおいては、フィルタ装置4Aと同様に、蓋部材14Aに筒状部141bとは異なる筒状部(本発明の第3流出部に相当)が設けられていてもよい。
【0122】
<第5の実施の形態>
図13は、第5の実施の形態に係るフィルタ装置5の概略を示す断面図である。図13では、断面を示すハッチングを省略している。フィルタ装置5は、第2の実施の形態のフィルタ装置2に対して、流入部が蓋部材に設けられている点に特徴がある。以下、フィルタ装置1~4と同一の部分については説明を省略する。
【0123】
フィルタ装置5は、主として、第1濾過ユニット10Cと、第2濾過ユニット20Bと、第3濾過ユニット30Aと、を有する。
【0124】
本実施の形態によれば、フィルタ装置2と同様に、中空部24cを覆うように第3濾過ユニット30Aを設けることで、作動油に含まれる気泡の流出を防ぐことができる。
【0125】
<第5の実施の形態の変形例1>
図14は、変形例にかかるフィルタ装置5Aの概略を示す断面図である。図14では、断面を示すハッチングを省略している。フィルタ装置5Aは、排圧バルブ16が設けられている点でフィルタ装置5と異なる。フィルタ装置5Aは、主として、第1濾過ユニット10Dと、第2濾過ユニット20Bと、第3濾過ユニット30Aと、を有する。排圧バルブ16により、油圧装置の動作時に流量が増した時に、フィルタ装置5Aで濾過された油を一定の圧力でポンプに流すことができる。
【0126】
<第6の実施の形態>
図15は、第6の実施の形態に係るフィルタ装置6の概略を示す断面図である。図15では、断面を示すハッチングを省略している。フィルタ装置6は、第3の実施の形態のフィルタ装置3に対して、流入部が蓋部材に設けられている点に特徴がある。以下、フィルタ装置1~4と同一の部分については説明を省略する。
【0127】
フィルタ装置6は、主として、第1濾過ユニット10Cと、第2濾過ユニット20Cと、第3濾過ユニット30Bと、を有する。第3濾過ユニット30Bは、第2濾過ユニット20Cに設けられている。
【0128】
本実施の形態によれば、フィルタ装置3と同様に、孔23fを覆うように第3濾過ユニット30Bを設けることで、作動油に含まれる気泡の流出を防ぐことができる。
【0129】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。
【0130】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、「略直交」とは、厳密に直交の場合には限られず、例えば数度程度の誤差を含む概念である。また、例えば、単に直交、平行、一致等と表現する場合において、厳密に直交、平行、一致等の場合のみでなく、略平行、略直交、略一致等の場合を含むものとする。
【0131】
また、本発明において「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、端近傍という場合に、端の近くのある範囲の領域であって、端を含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0132】
1、1A、1B、2、2A、3、4、4A、4B、5、5A、6:フィルタ装置
10、10A、10C、10D:第1濾過ユニット
11 :フィルタエレメント
12、12B:フィルタケース
13、13A:内部部品
13a :板状部
13b :筒状部
13c :中空部
14、14A:蓋部材
15 :バルブ
16 :排圧バルブ
20、20A、20B、20C:第2濾過ユニット
21 :筒状部
21a :孔
22 :濾材
23、23A、23B:上端部材
23a :凹部
23b :筒状部
23c :中空部
23d :取付部
23e :取付部
23f :孔
24、24A:下端部材
24a :凹部
24b :筒状部
24c :中空部
25 :排圧バルブ
30、30A、30B:第3濾過ユニット
31 :筒状部
31a :孔
32、35:濾材
33、36:上端部材
33a :凹部
33b :板状部
34 :下端部材
34a :凹部
34b :中空部
100 :タンク
101 :タンク本体
101a :上面
101b :孔
101c :底面
101d :孔
110 :タンク
111 :内筒
111a :孔
112 :濾材
113、114:プレート
113a :開口部
121、121B:第1ケース
121a :板状部
121b、121c、121d:孔
122、122A:第2ケース
123、124:取付部材
131 :第1部品
132 :第2部品
132a :筒状部
132b :中空部
132c :凸部
141、141A:第1蓋
141a :中空部
141b :筒状部
141c :中空部
142 :第2蓋
142a :下面
143 :弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15