(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128677
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】測距装置、測距システム、および測距方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/497 20060101AFI20240913BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G01S7/497
G01C3/06 120Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037800
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】森田 浩光
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA01
2F112CA04
2F112CA05
2F112DA02
2F112DA10
2F112DA11
2F112DA15
2F112DA21
2F112DA25
2F112DA26
2F112DA28
2F112EA05
2F112GA01
5J084AC02
5J084AC04
5J084AC07
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA20
5J084BA36
5J084BA38
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5J084BA50
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB11
5J084BB25
5J084BB26
5J084BB28
5J084CA03
5J084DA02
5J084EA11
5J084EA19
5J084EA22
(57)【要約】
【課題】物体の三次元位置の測定精度に優れた測距装置、測距システムおよび測距方法を提供すること。
【解決手段】本測距装置(100)は、照射された光に対する物体の反射光および散乱光の少なくとも一方である戻り光に基づき、前記物体までの距離を測定する測距装置であって、照射される前記光を走査させる光走査部と、前記戻り光を受光し、受光した前記戻り光に基づく受光信号を出力する受光部と、前記光走査部により走査される前記光の走査角度または走査位置のどちらか一方に関する情報を補正する補正部と、前記走査角度または走査位置のどちらか一方ごとで、前記受光部からの前記受光信号に基づいて得られる前記物体までの距離に関する情報と、前記補正部により補正された前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に関する情報と、を出力する出力部と、を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射された光に対する物体の反射光および散乱光の少なくとも一方である戻り光に基づき、前記物体までの距離を測定する測距装置であって、
照射される前記光を走査させる光走査部と、
前記戻り光を受光し、受光した前記戻り光に基づく受光信号を出力する受光部と、
前記光走査部により走査される前記光の走査角度または走査位置のどちらか一方に関する情報を補正する補正部と、
前記走査角度または走査位置のどちらか一方ごとで、前記受光部からの前記受光信号に基づいて得られる前記物体までの距離に関する情報と、前記補正部により補正された前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に関する情報と、を出力する出力部と、を有する、測距装置。
【請求項2】
前記補正部は、予め取得された前記走査角度と前記走査角度の誤差との対応を示す情報を参照して、前記走査角度に関する情報を補正するか、または、予め取得された前記走査位置と前記走査位置の誤差との対応を示す情報を参照して、前記走査位置に関する情報を補正する、請求項1に記載の測距装置。
【請求項3】
前記走査角度と前記走査角度の誤差との対応を示す情報、または前記走査位置と前記走査位置の誤差との対応を示す情報のどちらか一方を格納する格納部を有する、請求項2に記載の測距装置。
【請求項4】
前記光走査部は、直交する二軸それぞれの方向に前記光を走査させ、
前記対応を示す情報は、前記二軸を含む仮想平面内において三角格子を形成するように配置された複数の格子点ごとに、前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に対応する誤差に関する情報を含み、
前記補正部は、前記格子点に対応する前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方を補正する、請求項2に記載の測距装置。
【請求項5】
前記補正部は、3つの前記格子点の間に位置する点に対応する前記走査角度に関する情報を、3つの前記格子点の位置に基づく内挿補間演算により得られる前記走査角度の誤差に関する情報を用いて補正するか、または3つの前記格子点の間に位置する点に対応する前記走査位置に関する情報を、3つの前記格子点の位置に基づく内挿補間演算により得られる前記走査位置の誤差に関する情報を用いて補正する、請求項4に記載の測距装置。
【請求項6】
前記三角格子は、正三角形格子である、請求項4に記載の測距装置。
【請求項7】
照射された光に対する物体の反射光および散乱光の少なくとも一方である戻り光に基づき、前記物体までの距離を測定する測距装置と、前記測距装置と通信可能に接続される情報処理装置と、を有する測距システムであって、
照射される前記光を走査させる光走査部と、
前記戻り光を受光し、受光した前記戻り光に基づく受光信号を出力する受光部と、
前記光走査部により走査される前記光の走査角度または走査位置のどちらか一方に関する情報を補正する補正部と、
前記走査角度または走査位置のどちらか一方ごとで、前記受光部からの前記受光信号に基づいて得られる前記物体までの距離に関する情報と、前記補正部により補正された前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に関する情報と、を出力する出力部と、を有する、測距システム。
【請求項8】
前記情報処理装置は、前記補正部を有し、
前記測距装置は、予め取得された、前記走査角度および前記走査位置の少なくとも一方と誤差との対応を示す情報を格納する格納部と、
前記物体までの距離に関する情報と、前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に関する情報と、前記対応を示す情報と、を前記情報処理装置に送信する送信部と、を有し、
前記補正部は、前記測距装置から受信した前記対応を示す情報を参照して、前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に関する情報を補正する、請求項7に記載の測距システム。
【請求項9】
前記対応を示す情報は、直交する2軸を含む仮想平面内において三角格子を形成するように配置された格子点ごとに、前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に対応する誤差に関する情報を含み、
前記補正部は、3つの前記格子点の間に位置する点に対応する前記走査角度に関する情報を、3つの前記格子点の位置に基づく内挿補間演算により得られる前記走査角度の誤差に関する情報を用いて補正するか、または3つの前記格子点の間に位置する点に対応する前記走査位置に関する情報を、3つの前記格子点の位置に基づく内挿補間演算により得られる前記走査位置の誤差に関する情報を用いて補正する、請求項8に記載の測距システム。
【請求項10】
照射された光に対する物体の反射光および散乱光の少なくとも一方である戻り光に基づき、前記物体までの距離を測定する測距装置による測距方法であって、前記測距装置が、
光走査部により、照射される前記光を走査させ、
受光部により、前記戻り光を受光し、受光した前記戻り光に基づく受光信号を出力し、
補正部により、前記光走査部により走査される前記光の走査角度または走査位置のどちらか一方に関する情報を補正し、
出力部により、前記走査角度または走査位置のどちらか一方ごとで、前記受光部からの前記受光信号に基づいて得られる前記物体までの距離に関する情報と、前記補正部により補正された前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に関する情報と、を出力する、測距方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測距装置、測距システム、および測距方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照射された光に対する物体の反射光および散乱光の少なくとも一方である戻り光に基づき、物体までの距離を測定する測距装置、測距システムおよび測距方法が知られている。この測距装置、測距システムおよび測距方法は、ロボット、自動車、飛行体等の移動体に搭載され、移動体の周囲に存在する物体を認識する用途等において使用される。
【0003】
上記測距装置として、照射する光をスキャンするアクチュエータを備え、光の照射に対する反射点からの反射光を検出することで、測距装置の測距結果を補正するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アクチュエータ等の光走査部により走査される照射光の走査角度または走査位置は、光走査部に含まれる反射面の傾き誤差等に応じて、誤差を含む場合がある。照射光の走査角度または走査位置の誤差は、測距装置により得られる物体の三次元位置の測定精度を低下させる。特許文献1に記載の測距装置は、反射点までの距離を補正することについて開示しているものの、照射光の走査角度または走査位置の補正については開示していない。
【0006】
本発明は、物体の三次元位置の測定精度に優れた測距装置、測距システムおよび測距方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本測距装置(100)は、照射された光に対する物体の反射光および散乱光の少なくとも一方である戻り光に基づき、前記物体までの距離を測定する測距装置であって、照射される前記光を走査させる光走査部と、前記戻り光を受光し、受光した前記戻り光に基づく受光信号を出力する受光部と、前記光走査部により走査される前記光の走査角度または走査位置のどちらか一方に関する情報を補正する補正部と、前記走査角度または走査位置のどちらか一方ごとで、前記受光部からの前記受光信号に基づいて得られる前記物体までの距離に関する情報と、前記補正部により補正された前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に関する情報と、を出力する出力部と、を有する。
【0008】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、物体の三次元位置の測定精度に優れた測距装置、測距システムおよび測距方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る測距装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1の測距装置における光源および受光部周辺の一例の斜視図である。
【
図3】光分割部材による光分割の様子の一例を示す図であり、
図3(a)は光分割部材の側面図、
図3(b)は光の入射方向側から視た光分割部材の斜視図、
図3(c)は光分割部材の正面図である。
【
図4】実施形態に係る測距装置における光走査部の構成例を示す斜視図である。
【
図5】実施形態に係る測距装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】実施形態に係る測距装置における同期検出部の構成例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る測距装置における制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図8】実施形態に係る測距装置における受光部基板の構成例を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係る測距装置における制御部の機能構成例を示す図である。
【
図10】第1実施形態に係る測距装置における処理例を示すフロー図である。
【
図11】第1実施形態に係る測距装置における対応情報を説明する図である。
【
図12】
図11の対応情報の内挿補間について説明する図である。
【
図13】二等辺三角形格子を用いた内挿補間例を説明する図である。
【
図14】正三角形格子を用いた内挿補間例を説明する図である。
【
図15】第2実施形態に係る測距システムの構成例を示すブロック図である。
【
図16】第2実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図17】第2実施形態に係る測距装置における制御部の機能構成例を示すブロック図である。
【
図18】第2実施形態に係る情報処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図19】第2施形態に係る測距システムにおける処理例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0012】
以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための測距装置、測距システムおよび測距方法を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0013】
以下に示す図でX軸、Y軸およびZ軸により方向を示す場合がある。X軸、Y軸およびZ軸は、相互に交差する。Z軸に沿うZ方向は、実施形態に係る測距装置が備える回転ステージの回転軸に沿う方向を示す。X軸に沿うX方向は、実施形態に係る測距装置が備える回転反射体の回転軸に沿う方向を示す。
【0014】
また、X方向で矢印が向いている方向を+X方向、+X方向の反対方向を-X方向と表記し、Y方向で矢印が向いている方向を+Y方向、+Y方向の反対方向を-Y方向と表記し、Z方向で矢印が向いている方向を+Z方向、+Z方向の反対方向を-Z方向と表記する。本明細書における「上面視」とは、図ごとで特に定義した場合を除き、鉛直上方に対応する-Z方向から対象を視ることをいう。-Z方向側が上面側に対応する。但し、これらは測距装置の使用時における向きを制限するものではなく、測距装置は任意の向きに配置可能である。
【0015】
実施形態に係る測距装置は、照射された光に対する物体の反射光および散乱光の少なくとも一方である戻り光に基づき、前記物体までの距離を測定するものである。以下、サービスロボットに搭載される測距装置を一例として説明する。ここで、サービスロボットとは、工場内での資材運搬、接客施設での商品運搬および案内業務、施設内警備、或いは清掃等の主に役務の目的で使用される自律移動型の移動体をいう。サービスロボットに搭載される測距装置は、サービスロボットの進行方向または周囲に存在する物体を検出したり、サービスロボットが動作する施設の施設内地図等を作成したりするために使用される。
【0016】
[実施形態]
<測距装置100の全体構成例>
図1~4を参照して、実施形態に係る測距装置100の構成の一例を説明する。
図1は、測距装置100の全体構成を例示する斜視図である。
図2は、測距装置100における光源および受光部の周辺を例示する斜視図である。
図3は、光分割部材41による光分割の様子の一例を示す図である。
図3(a)は光分割部材41の側面図、
図3(b)は光の入射方向側から視た光分割部材41の斜視図、
図3(c)は光分割部材41の正面図である。
図4は測距装置100における光走査部120を例示する斜視図である。
【0017】
図1~4に示すように、測距装置100は、台部1と、保持部2と、光源3と、第1レンズ4と、穴あきミラー6と、第2レンズ7と、5つの受光部8と、イケール9と、光分割部材41と、光走査部120と、を有する。なお、台部1、保持部2、第1レンズ4、第2レンズ7およびイケール9のそれぞれは、測距装置100の必須構成部ではない。
【0018】
図1に示すように、台部1は、保持部2と回転ステージ10が設けられた平板状の部材である。台部1は、-Z方向側の面上における相互に異なる領域に、保持部2と回転ステージ10とを固定している。回転ステージ10は、台部1の+Y方向側の領域にネジ部材等により固定されている。保持部2は、台部1における回転ステージ10の-Y方向側の領域に、結合部材11を介してネジ部材等により固定されている。
【0019】
台部1は、回転ステージ10は重量が大きい場合があるため、金属材料等の剛性が高い材料を含んで構成されることが好ましい。台部1は、平板状の部材に限られず、回転ステージ10と保持部2を設置可能であれば如何なるものであってもよい。例えばサービスロボットの筐体に保持部2と回転ステージ10が設置される場合には、サービスロボットの筐体が台部に対応する。
【0020】
保持部2は、天井パネル21と背面パネル22とが結合して構成された部材である。天井パネル21および背面パネル22は、それぞれ平板状の部材である。天井パネル21および背面パネル22は、その材質に特段の制限はなく、例えば金属材料または樹脂材料等を適用可能である。
【0021】
図1および
図2に示すように、天井パネル21の+Z方向側の面には、光源3、第1レンズ4および穴あきミラー6が設けられている。背面パネル22の+Y方向側の面には、第2レンズ7および5つの受光部8が設けられている。
【0022】
光源3は、光L0を発する。光源3は、例えばLD(Laser Diode:半導体レーザ)である。光L0は、パルス状のレーザ光である。光源3は、光L0を+Z方向側に発する。但し、光源3は、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等であってもよい。また光L0は、パルス状のレーザ光に限らず、連続波状のレーザ光であってもよい。光L0の波長は、近赤外波長領域等の非可視の波長領域の光であってもよい。非可視の波長領域の光を用いることで、測距装置100は、照射する光を人間に視認させずに測距を行うことができる。
【0023】
第1レンズ4は、光源3からの光L0を透過する。例えば、第1レンズ4は、光L0を略コリメート(略平行化)する。第1レンズ4によりコリメートされた光L0は、光分割部材41に入射する。
【0024】
光分割部材41は、光源3からの光L0を複数の光に分割する。
図3に示すように、光分割部材41は、平面視において略円形の形状を有し、光L0の波長に対して光透過性を有する平板状の部材である。なお、ここでの平面視は、光分割部材41をその法線方向(Z方向)から視ることをいう。光分割部材41は、ガラス、樹脂等の材料を含んで構成される。光分割部材41は、例えば回折素子である。但し、光分割部材41は、回折素子に限定されず、プリズム等であってもよい。
【0025】
光分割部材41の-Z方向側の面、+Z方向の面、またはその両方には、周期構造が形成されている。光分割部材41は、入射される光L0を、周期構造を用いて回折させることにより5つの光L1に分割する。5つの光L1は、分割光L11~L15を含む。分割光L11は、光分割部材41の0次光(透過光)である。分割光L12~L15は、光分割部材41の1次回折光である。但し、光L0が光分割部材41により分割される数は、5つに限らず、要求される空間分解能等に応じて適宜選択可能である。
【0026】
分割光L11~L15は、伝搬方向が相互に異なる平行光束である。分割光L11~L15は、光走査部120により走査される。分割光L11~L15のそれぞれが走査された光である5つの走査光L2は、それぞれ照射領域における異なる位置に照射される。
【0027】
図3(a)に示す光分割部材41による分割角度θLは、2.1度以上であってもよい。分割角度θLとは、光分割部材41により分割された5つの光L1それぞれの、伝搬方向に沿う中心軸同士がなす角度をいう。光分割部材41として回折素子を用いた場合には、分割角度θLは、回折素子による回折光の、伝搬方向に沿う中心軸同士がなす角度である回折角に対応する。
【0028】
ここで、IEC60825-1規格では、レーザ光出射する機器から100mm離れた位置において、直径7mmの受光面を有するセンサにより検出した場合の光強度によってレーザ光に対する安全性を規定している。分割角度θLを2.1度以上とすると、測距装置100から100mm離れた位置の直径7mmの受光面内に、光分割部材41により分割した5つの光L1のうち3つ以下が入射する状態になる。これにより、測距装置100は、IEC60825-1規格に準拠しやすくなる。
【0029】
人の目の瞳径および焦点距離に基づくと、5つの光L1のうちの同一直線上に並ぶ3つが並行して人の目に入射し得る角度は、±2.0度よりも小さい角度である。測距装置100では、光分割部材41による分割角度θLを2.1度以上とすることにより、5つの光L1のうちの同一直線上の3つ以上が並行して人の目に入射することを防止し、人の目に対する安全性を意味するアイセーフを実現できる。また、分割角度θLを2.1度以上のできるだけ小さい角度にすることにより、アイセーフを実現しつつ、測距の空間分解能を向上させることができる。
【0030】
平面視における光分割部材41の外形形状は、略円形に限らず、略矩形、略楕円形、略多角形等であってもよい。また、光分割部材41による分割光の方向は、分割光L11~L15の各方向に限定されず、適宜選択可能である。
【0031】
図1および
図2に示すように、穴あきミラー6は、光分割部材41と光走査部120との間に配置される。穴あきミラー6は、ミラー面62と、ミラー面62に形成され、光源3からの光L0を通過させる貫通孔61と、を含む。穴あきミラー6は、金属、ガラス、樹脂等の材料を含んで構成される。ミラー面62には、アルミニウム等の金属からなる反射膜が形成されている。
【0032】
光源3からの光L0は、第1レンズ4を透過した後、光分割部材41により5つの光L1に分割され、穴あきミラー6の貫通孔61を通過する。貫通孔61を通過した5つの光L1は、光走査部120により走査される。光走査部120による5つの走査光L2が物体により反射または散乱された5つの戻り光Rは、光走査部120における光反射面51およびミラー面62により反射された後、第2レンズ7を透過し、5つの受光部8に入射する。
【0033】
図1および
図4において、光走査部120は、照射される光を走査させる。本実施形態では、光走査部120は、回転反射体5と回転ステージ10とを含み、直交する二軸それぞれの方向に、照射される光を走査させる。直交する二軸は、例えば、回転反射体5の回転軸である第1軸A1と、回転ステージ10の回転軸である第2軸A2である。本明細書に示す例では、第1レンズ4を透過した光L0が光分割部材41により分割された5つの光L1は、それぞれ「照射される光」に対応する。光走査部120は、照射される光を第1軸A1に沿う方向であるX方向(水平方向)、および第2軸A2に沿う方向であるZ方向(垂直方向)へ走査させる。走査光L2は、光走査部120により走査された光である。測距装置100は、走査光L2を照射することで、走査光L2が到達可能な広い範囲に位置する1以上の物体それぞれまでの距離を測定できる。なお、光走査部120は、直交する二軸それぞれの方向に光を走査させるものに限らず、一軸方向に光を走査させるものであってもよい。
【0034】
図1では、図を簡素化するため、5つの光L1のうちの1つのみと、5つの走査光L2のうちの1つのみと、を表示している。また
図1では、5つの走査光L2のうちの1つを、任意のタイミングに+Y方向側に照射される1つのレーザビームとして表示している。なお、光走査部120は、回転反射体5に限らず、揺動ミラー(往復ミラー)等により、5つの光L1のそれぞれを走査させてもよい。
【0035】
回転反射体5は、6つの光反射面51を有し、第1軸A1回りに回転する回転体である。回転反射体5は、回転により光反射面51の角度を変化させることによって、5つの光L1のそれぞれを走査させる。回転反射体5は、例えばポリゴンミラーである。第1軸A1方向から視た回転反射体5の形状は略正六角形である。回転反射体5は、正六角形の各辺に対応する外周面に6つの光反射面51を有する。回転反射体5は、アルミニウム等の金属材料で形成した略正六角柱状の部材の外周面を、切削または鏡面研磨することにより製作できる。但し、回転反射体5は、金属材料または樹脂材料等で形成された回転体の外周面にアルミニウム等を鏡面蒸着することにより製作されてもよい。
【0036】
光反射面51の数は、6つに限定されず、1以上あればよい。ここで、回転反射体5による光の走査角度範囲は、光反射面51の数に応じて異なる。具体的には、光反射面51の数が多いほど走査角度範囲は狭くなり、光反射面51の数が少ないほど走査角度範囲は広くなる。光反射面51の数は、要求される走査角度範囲に応じて適宜決定可能である。
【0037】
回転反射体5には、回転反射体5の中心軸と回転軸が略一致するように第1軸モータが取り付けられている。回転反射体5は、第1軸モータを駆動源にして第1軸A1周りに回転する。5つの光L1は、第1軸A1を中心にした円の円周方向に走査されるということもできる。回転反射体5の回転方向は一定である。例えば、回転反射体5は
図1における第1軸回転方向A11に沿って連続回転する。但し、回転反射体5は、第1軸回転方向A11とは反対方向に連続回転してもよい。
【0038】
図1において、測距装置100からの走査光L2が到達可能な範囲に物体が存在すると、物体からの戻り光Rが測距装置100に戻り、回転反射体5の光反射面51で-Z方向側に、また穴あきミラー6のミラー面62で-Y方向側に反射され、5つの受光部8に到達する。本明細書に示す例では、5つの光L1が反射される光反射面51と戻り光Rが反射される光反射面51は同じ面である。なお、
図1は、ある時刻に+Y方向に照射される走査光L2を示している。走査光L2は時々刻々と照射される方向が変化するため、走査光L2が照射される方向は、ある時刻とは別の時刻には、+Y方向とは異なる方向となる。但し、戻り光Rが測距装置100に戻り、光反射面51により-Z方向側に反射される点は、走査光L2が照射される方向によらずほぼ同じである。
【0039】
第2レンズ7は、物体からの戻り光Rを透過する。例えば第2レンズ7は、5つの戻り光Rを透過し、5つの戻り光Rに1対1で対応する5つの受光部8に向けて集束させる。本明細書に示す例では、第2レンズ7は平凸単レンズである。但し、第2レンズ7は、両凸単レンズ、メニスカス単レンズ、複数のレンズからなる組レンズ等であってもよい。第2レンズ7の材質には、樹脂またはガラスを使用できる。
【0040】
5つの受光部8のそれぞれは、第2レンズ7を透過した戻り光Rを受光し、受光した戻り光Rに基づく第1信号を出力する。この第1信号は、受光信号に対応する。5つの受光部8は、5つの走査光L2それぞれの走査角度ごとでの第1信号を出力する。なお、「走査角度ごと」は、「照射される光が単位時間当たりに走査される角度ごと」を意味する。また、受光部8の数は5つに限定されず、光分割部材41による分割数に合わせて適宜変更可能である。
【0041】
5つの受光部8は、受光部81~85を含む。受光部81~85のそれぞれは、例えばAPD(Avalanche Photodiode:アバランシェフォトダイオード)を含む。但し、受光部81~85のそれぞれは、フォトダイオード(Photodiode)や光電子増倍管等を含んでもよい。
【0042】
図4において、イケール9は、屈曲部を含み、回転反射体5を支持する部材である。イケール9は、-Z方向側の面が回転ステージ10の載置面101に接触し、ネジ部材等により載置面101上に固定されている。イケール9は、+X方向側の面に、基板91を介して回転反射体5を支持する。イケール9は、剛性を高くするために、金属等の高剛性の材料を含んで構成されることが好ましい。
【0043】
回転ステージ10は、回転反射体5を支持するイケール9を第2軸A2周りに回転させることにより、回転反射体5を第2軸A2周りに回転させる。回転反射体5によりZ方向に走査される5つの走査光L2のそれぞれは、回転ステージ10の回転によりX方向に走査される。なお、第1軸A1と第2軸A2が傾くように、回転反射体5と回転ステージ10が配置されてもよい。
【0044】
回転ステージ10は、台部1上において、保持部2が設けられた領域とは異なる領域に設けられている。従って回転ステージ10が回転しても、保持部2、並びに保持部2が保持する光源3および5つの受光部8はそれぞれ不動であり、台部1に固定された状態が維持される。回転ステージ10は、載置面101と、ベアリング102と、マグネット103と、モータコア104と、を有する。
【0045】
載置面101は、第2軸A2に略直交し、第2軸A2周りに回転可能である。載置面101はイケール9を載置する。ベアリング102は、載置面101の回転を滑らかにするために使用される。ベアリング102には、ボールベアリング、クロスローラベアリング等を適用できる。
【0046】
マグネット103は永久磁石からなる。モータコア104はモータを構成するステータの鉄心に該当する部材である。マグネット103とモータコア104とを含んでモータが構成されている。電流に応じてマグネット103が回転することにより、ベアリング102を介して載置面101が回転する。
【0047】
回転ステージ10の回転方向は一定である。回転ステージ10の回転方向は、例えば
図1における第2軸回転方向A21に対応する。但し、回転ステージ10は、第2軸回転方向A21とは反対方向に連続回転してもよい。
【0048】
測距装置100は、光L0の中心軸と第2軸A2とが同軸になるように構成されている。光L0の中心軸は、光L0の伝搬方向に沿う光L0の中心を通る軸を意味する。また同軸とは、複数の軸が略一致していることを意味する。
【0049】
測距装置100は、光源3、回転反射体5、5つの受光部8、回転ステージ10等の構成部の一部または全部を覆うための外装カバーを備えてもよい。外装カバーを備えることで、測距装置100の内部へのゴミや埃等の侵入を防ぎ、回転反射体5等にゴミや埃等が付着することを防止できる。また回転反射体5や回転ステージ10が高速回転すると、回転に伴う風切り音が大きくなる場合がある。外装カバーを設けることにより音が周囲に伝わることを抑制できる。外装カバーの材質には、金属または樹脂材料等を適用可能である。
【0050】
一方、外装カバーを設けると、外装カバーにおける走査光L2が出射する窓以外の部分が走査光L2を遮るため、走査角度範囲が制限され、測距装置100による物体200の検出範囲または測距範囲が制限される場合がある。走査光L2の波長に対して光透過性を有する透明な樹脂材料で外装カバーを構成すると、このような走査角度範囲の制限を緩和できる。
【0051】
図5は、測距装置100の構成を例示するブロック図である。なお、
図5における実線で示した矢印は光の流れを示し、破線で示した矢印は電気信号の流れを示している。測距装置100は、駆動部150と、受発光部110と、出射窓130と、制御部140と、を有する。
【0052】
駆動部150は、回転反射体5および回転ステージ10それぞれを回転させる。駆動部150は、第1軸モータ151と、第2軸モータ152と、同期検出部153と、回転制御部402と、給電部155と、を有する。駆動部150は、同期検出部153から出力される回転反射体5の回転周期に対応する同期信号Snに基づき、回転制御部402の制御下で、第2軸モータ152を回転させる。
【0053】
同期検出部153は、第1軸エンコーダ531と、周期光発光部532と、周期光受光部533と、を有する。同期検出部153は、第1軸エンコーダ531から出力される第1角度検出信号En1に基づいて周期光発光部532に発光させ、周期光発光部532からの光を受光した周期光受光部533により同期信号Snを出力させる。第1角度検出信号En1は、回転反射体5の回転角度の検出信号である。
【0054】
周期光発光部532は、LED等を含んで構成される。周期光発光部532は、第1角度検出信号En1に基づき、例えば第1軸エンコーダ531が回転反射体5の回転原点に対応する角度を検出したタイミングにパルス光Opを発する。
【0055】
周期光受光部533は、フォトダイオード等を含んで構成され、周期光発光部532により発生されたパルス光Opを受光したタイミングに、第2軸ドライバ基板173を介して同期信号Snを回転制御部402に出力する。
【0056】
給電部155は、発電コイル551と、給電コイル552と、を有する。給電部155は、電磁誘導により第1軸モータ151等に非接触給電する。
【0057】
発電コイル551は、電磁誘導により逆起電力を発生し、第1軸モータ151、第1軸エンコーダ531および第1軸ドライバ基板163のそれぞれに給電する。給電コイル552は、発電コイル551に対向配置され、第2軸ドライバ基板173から流れる電流に応じて、電磁誘導により発電コイル551に逆起電力を発生させる。
【0058】
給電部155は、電磁誘導による非接触給電に限定されず、回転接点により接触給電してもよい。回転接点とは、回転体に配置された金属製リングとブラシを介して、回転体に電気的に接続する構成をいう。
【0059】
基板91には、回転反射体5、第1軸モータ151、第1軸エンコーダ531、第1軸ドライバ基板163、周期光発光部532および発電コイル551等が設けられている。回転ステージ10には、第2軸モータ152、第2軸エンコーダ172、第2軸ドライバ基板173、周期光受光部533、給電コイル552等が設けられている。
【0060】
第1軸モータ151は、回転反射体5を回転させる。第1軸モータ151には、DC(Direct Current)モータまたはAC(Alternating Current)モータ等を適用できる。第1軸エンコーダ531は、第1角度検出信号En1を出力する。第1軸エンコーダ531は、例えばロータリエンコーダである。
【0061】
第1軸ドライバ基板163は、第1軸モータ151に駆動信号を供給する電気回路等を含む基板である。第1軸ドライバ基板163は、第1角度検出信号En1に基づき、回転反射体5が所定の第1周波数(回転数)で回転するように制御できる。なお、第1周波数は、第1軸ドライバ基板163により制御されるため、回転制御部402の制御対象ではない。第1軸ドライバ基板163は、給電部155による給電が開始された場合に、第1軸モータ151により回転反射体5の回転を開始させ、給電部155による給電が停止された場合に、第1軸モータ151により回転反射体5の回転を停止させることができる。
【0062】
第2軸モータ152は、DCモータ、ACモータまたはステッピングモータ等の各種モータにより構成できる。第2軸エンコーダ172は、ロータリエンコーダ等により構成され、回転ステージ10の回転角度を検出する。
【0063】
第2軸ドライバ基板173は、第2軸モータ152に駆動信号を供給する電気回路等を含む実装基板である。第2軸ドライバ基板173は、回転制御部402からの第2軸制御信号Dr2に基づき、回転ステージ10を回転させる。また、第2軸ドライバ基板173は、第2軸エンコーダ172により検出された回転ステージ10の第2角度検出信号En2を回転制御部402に出力する。
【0064】
回転制御部402は、第2角度検出信号En2に基づき、回転ステージ10の回転を制御する。ここで、回転ステージ10の回転数である第2周波数は、回転制御部402の制御対象である。
【0065】
受発光部110は、光源基板111と、発光ブロック112と、穴あきミラー6と、穴あきミラーホルダ63と、受光ブロック113と、受光部基板114と、を含む。
【0066】
光源基板111は、制御部140からの発光制御信号Dr1に応じて光源3を発光させる電気回路を含む実装基板である。発光ブロック112は、光源3と、光源ホルダ31と、第1レンズ4と、第1支持部材40と、を含む。光源ホルダ31は光源3を保持する部材である。第1支持部材40は、第1レンズ4を支持する部材である。穴あきミラーホルダ63は、穴あきミラー6を支持する部材である。
【0067】
受光ブロック113は、第2レンズ7と、第2レンズホルダ71と、5つの受光部8と、受光部ホルダ80と、を含む。第2レンズホルダ71は第2レンズ7を保持する部材である。受光部ホルダ80は5つの受光部8を保持する部材である。
【0068】
受光部基板114は、5つの受光部8から得られる第1信号Sに所定の処理を実行した後の第2信号Uを制御部140に出力する電気回路を含む実装基板である。受光部基板114は、第1信号Sに所定の処理を実行することにより、第1信号Sから後段の制御部140によるデータ処理が可能な第2信号Uを得ることができる。但し、第1信号S自体が、後段の制御部140によるデータ処理が可能な信号であってもよい。
【0069】
制御部140は、測距装置100全体の動作を制御する。制御部140は、電気回路または電子回路等を有する制御回路基板を含む。制御部140は、例えば背面パネル22等に設置される。この制御回路基板は、回転反射体5および回転ステージ10が回転しても動かない。
【0070】
制御部140は、受発光部110および光走査部120のそれぞれに電気的に接続しており、信号およびデータを相互に送受可能である。また制御部140は、サービスロボットを制御可能な外部装置300に通信可能に接続している。本実施形態では、回転制御部402は、制御部140内に限らず、制御部140の外部に設けられていてもよい。
【0071】
制御部140は、例えば外部装置300からの測距制御信号Ctに応じて発光制御信号Dr1を出力し、光源基板111に実装された光源3を発光させる。5つの光L1それぞれが走査される5つの走査光L2は、出射窓130を透過して、測距装置100から外部に向けて照射される。
【0072】
出射窓130は、光L0の波長に対して光透過性を有するガラス材料または樹脂材料を含んで構成されている。出射窓130は、測距装置100が装置全体を覆う不透明な外装カバーを備える場合に、走査光L2を透過して出射させる窓として機能する。
【0073】
走査光L2が物体200により反射または散乱された5つの戻り光Rは、出射窓130を透過して回転反射体5の光反射面51に入射する。5つの戻り光Rは、光反射面51により反射され、穴あきミラー6のミラー面により5つの受光部8に向けて反射される。
【0074】
5つの戻り光Rは、第2レンズ7により集光されながら5つの受光部8にそれぞれ入射する。5つの受光部8は、5つの戻り光Rに基づいて、5つの走査光L2の走査角度ごとでの第1信号Sを出力する。受光部基板114は、5つの受光部8から入力した5つの第1信号Sに所定の処理を実行した後の第2信号Uを制御部140に出力する。
【0075】
測距装置100は、例えば、サービスロボットが搭載するバッテリから供給される電力により駆動される。但し、測距装置100は、測距装置100自身が搭載するバッテリから電力供給されてもよい。またサービスロボットは、商用電源からケーブルを用いて給電されてもよい。
【0076】
<同期検出部153の構成例>
図6は、同期検出部153の構成を例示する図である。
図6は、回転ステージ10をYZ平面に沿った仮想平面により切断した断面を模式的に示している。
【0077】
図6に示すように、回転ステージ10は、回転可能な回転部10aと、回転不能な固定部10bと、を含んで構成される。周期光発光部532は、回転部10aにおける載置面101に設けられた発光基板532aに実装される。周期光受光部533は、固定部10bに設けられた受光基板533aに実装される。
【0078】
周期光発光部532は、発光基板532aに入力される第1角度検出信号En1に応じて、周期光発光部532に対向配置された周期光受光部533に向けてパルス光Opを発する。周期光受光部533によるパルス光Opの受光信号は、受光基板533aにより二値信号に変換され、同期信号Snとして回転制御部402に出力される。
【0079】
<制御部140のハードウェア構成例>
図7は、制御部140のハードウェア構成を例示するブロック図である。なお、
図7において、破線のブロックで示した構成部は、アナログ電気回路を含むPWB(Printed Wired Board)を表している。
【0080】
図7に示すように、制御部140は、CPU(Central Processing Unit)141と、Digipot(Digital potentiometer)142と、FPGA(Field Programmable Gate Array)143と、電力生成回路144と、Wireless Tx145と、回転角検出回路146と、メモリ147と、を有する。これらは、システムバスを介して相互に通信可能に接続している。
【0081】
CPU141は、測距装置100全体の動作を制御するプロセッサである。CPU141は、Digipot142を介して、受光部基板114へのバイアス電圧供給と、PLD(Programmable Logic Device)115への電力供給と、をそれぞれ制御する。CPU141は、光源基板111から入力されるAPC(Automatic Power Control)信号APC Sig.に基づいて制御信号S/H/Resetを、FPGA143を介して光源基板111に出力する。CPU141は、制御信号S/H/Resetを出力することで、光源基板111に実装された光源3の発光を制御する。
【0082】
Digipot142は、デジタル制御のポテンショメータである。
【0083】
FPGA143は、主に、受光部基板114から入力される5つの第2信号Uに基づき、物体までの距離に関する情報(以下、距離情報という)を演算により取得する。また、FPGA143は、制御信号FIREをPLD115に出力することにより、PLD115の動作を制御できる。
【0084】
電力生成回路144は、外部電源からPOWER I/F(Interface)301を介して入力される電力から発電コイル551に供給するための一次電力を生成する電気回路である。電力生成回路144により生成された一次電力は、Wireless Tx145を介して発電コイル551に供給される。
【0085】
Wireless Tx145は、発電コイル551に一次電力を無線供給する送信器である。Wireless Tx145から供給される一次電力に応じて発電コイル551および給電コイル552で発生される電力は、受信器であるWireless Tx145を介して第1軸モータ151に供給される。
【0086】
回転角検出回路146は、第1軸エンコーダ531から出力される第1角度検出信号En1から第1軸モータ151の回転角度を検出する。また回転角検出回路146は、第2軸エンコーダ172から出力される第2角度検出信号En2から第2軸モータ152の回転角度を検出する。
【0087】
メモリ147は、ROM(Read Only Memor)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリ、またはRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを含む。メモリ147は、プログラム、データ等を格納できる。
【0088】
<受光部基板114のハードウェア構成例>
図8は、受光部基板114のハードウェア構成を例示するブロック図である。受光部基板114には、受光部8と、処理回路411と、温度センサ412と、が実装されている。
【0089】
受光部8には、電力生成回路144から駆動電圧が供給される。電力生成回路144は、DCDC(Direct Current to Direct Current)ブーストコンバータ441と、Digipot442と、を含む。電力生成回路144は、外部電源から供給される例えば12Vの直流電圧をDCDCブーストコンバータ441により所定の直流電圧に変換し、Digipot442を介して受光部8に供給する。
【0090】
処理回路411は、過負荷回復機能を有し、受光部8からの第1信号Sに所定の処理を実行した後の第2信号Uを出力する電気回路である。処理回路411は、T/Iアンプ(Transimpedance Amplifier)811と、ゲインアンプ812と、コンパレータ813と、を含む。
【0091】
T/Iアンプ811は、受光部8が受光した戻り光の光強度に応じた電流信号である第1信号Sを電圧信号に変換し、ゲインアンプ812に出力する。ゲインアンプ812は、T/Iアンプ811から入力される電圧信号を所定の電圧に増幅し、コンパレータ813に出力する。コンパレータ813は、ゲインアンプ812から入力される電圧信号を閾値thと比較することで二値化処理し、二値化処理結果に対応する第2信号UをFPGA143に出力する。T/Iアンプ811、ゲインアンプ812およびコンパレータ813それぞれにより実行される処理、並びにこれらの2以上の組合せにより実行される処理は、第1信号Sから第2信号Uを得るための所定の処理に対応する。但し、この所定の処理は、これらに限定されるものではなく、T/Iアンプ811、ゲインアンプ812およびコンパレータ813による処理以外の処理が追加または置換されてもよい。
【0092】
温度センサ412は、受光部基板114上の温度を検出し、検出値をFPGA143に出力する。温度センサ412による温度の検出値は、測距装置100による測距結果の補正等に用いられる。
【0093】
FPGA143は、TDC(Time-to-Digital Converter)コントローラ431を含む。TDCコントローラ431は、第2信号Uを受光時刻に関するデジタル信号に変換する電気回路を含む。FPGA143は、TDCコントローラ431による第2信号Uの変換値と、光走査部120による走査光L2の照射時刻に関する照射信号Mと、TDCコントローラ431から入力される受光時刻に関するデジタル信号と、を用いて、物体までの距離情報を演算により取得できる。
【0094】
<制御部140の機能構成例>
図9は、制御部140の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部140は、可変部401と、回転制御部402と、発光制御部403と、距離情報取得部404と、走査情報取得部405と、補正部406と、格納部407と、出力部408と、を有する。回転制御部402は、第1軸回転制御部421と、第2軸回転制御部422と、停止制御部423と、を有する。
【0095】
可変部401、回転制御部402、発光制御部403、距離情報取得部404、走査情報取得部405、補正部406および出力部408の各機能は、
図7に示したFPGA143等により実現される。あるいは、これら各機能の少なくとも一部は、
図7に示したCPU141がメモリ147に格納されたプログラムに規定された処理を実行することにより実現されてもよい。また、これら各機能の少なくとも一部は、複数の回路または複数のプロセッサによって実現されてもよい。また、これら各機能の少なくとも一部は、外部装置300等の制御部140以外の構成部により実現されてもよいし、制御部140と制御部140以外の構成部との分散処理により実現されてもよい。格納部407の機能は、
図7に示したメモリ147によって実現される。
【0096】
可変部401は、以下の式(1)および式(2)における定数αを変更することにより、回転ステージ10の回転周波数である第2周波数fhを変化させる。
fh=M×fv/(N+α) ・・・(1)
0<|α|<1 ・・・(2)
【0097】
式(1)において、Nは、回転ステージ10の1回転中に第1軸A1と交差する方向に走査される5つの走査光L2によって形成される走査線の数を表す。fvは回転反射体5の回転周波数である第1周波数を表す。Mは、回転反射体5の一回転周期中に、Z方向に走査される5つの走査光L2によって形成される走査線の数を表す。m面の回転反射体5であればM=mである。回転反射体5に代えて揺動ミラー(往復ミラー)を用いる場合にはM=2となる。
【0098】
可変部401は、測距装置100に設けられた操作部等の外部からの設定入力情報Seに応じて定数αを変更することができる。
【0099】
第1軸回転制御部421は、給電部155に給電制御信号Stを出力し、給電部155から第1軸モータ151への給電を開始させることにより、第1軸モータ151に回転を開始させる。また第1軸回転制御部421は、給電部155に給電制御信号Stを出力し、給電部155から第1軸モータ151への給電を停止させることにより、第1軸モータ151に回転を停止させる。第1軸回転制御部421は、第1軸モータ151の回転の開始および停止のみを制御し、第1軸モータ151の回転速度等の制御は行わない。
【0100】
第2軸回転制御部422は、同期検出部153からの同期信号Snと、第2軸エンコーダ172からの第2角度検出信号En2と、に基づき、第2軸ドライバ基板173を用いて回転ステージ10の回転を制御する。
【0101】
停止制御部423は、同期検出部153から所定期間、同期信号Snが出力されない場合に、第2軸モータ152による回転ステージ10の回転を停止させる。
【0102】
発光制御部403は、光源基板111を用いて光源3に発光制御信号Dr1を出力することにより、光源3の発光を制御する。また発光制御部403は、光源3が発光し、光走査部120が走査光L2を照射した時刻に対応する照射信号Mを距離情報取得部404に出力する。
【0103】
距離情報取得部404は、5つの受光部8により受光される5つの戻り光Rから得られる5つの第2信号Uに基づいて、物体200との間の距離に関する情報である5つの距離情報Dtを演算により取得する。具体的には、距離情報取得部404は、光源3により光L0が発せられた照射信号Mを発光制御部403から入力し、この照射信号Mから照射時刻t0を取得する。また距離情報取得部404は、受光部基板114から入力した5つの第2信号Uから5つの受光時刻t1を取得する。距離情報取得部404は、照射時刻t0と受光時刻t1を用いて5つの時間差Δtを演算により取得する。距離情報取得部404は、以下の式(3)を演算することによって5つの距離情報Dtを取得できる。
Dt(n)=c×Δt(n)/2 ・・・(3)
【0104】
式(3)において、nは、分割光L11~L15それぞれに対応する自然数である。例えば、Dt(1)は分割光L11に基づき得られる距離情報、Dt(2)は分割光L12に基づき得られる距離情報、Dt(3)は分割光L13に基づき得られる距離情報、Dt(4)は分割光L14に基づき得られる距離情報、Dt(5)は分割光L15に基づき得られる距離情報である。cは光速(約3×108m/s)を表す。時間差Δt(n)は、分割光L11~L15それぞれに対応する時間差を表している。
【0105】
分割光L11~L15は、光源3から同時に発せられた光L0を分割したものであるため、照射時刻t0はいずれも等しい。一方、分割光L11~L15に基づく5つの戻り光Rそれぞれの受光時刻t1は異なる。距離情報取得部404は、分割光L11~L15それぞれに基づく距離情報Dtを並行して演算により取得できる。
【0106】
走査情報取得部405は、光走査部120による走査光L2の走査角度または走査位置のどちらか一方に関する情報を取得する。本明細書に示す例では、走査情報取得部405は、第2角度検出信号En2に基づき、X方向における走査角度に関する情報である水平角度情報Phを取得するとともに、第1角度検出信号En1に基づき、Z方向における走査角度に関する情報である垂直角度情報Pvを取得する。測距装置100は、距離情報Dtに1対1で対応して水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvを取得できる。走査情報取得部405は、走査角度に関する情報としての水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvを、補正部406に出力する。
【0107】
補正部406は、光走査部120により走査される走査光L2の走査角度または走査位置のどちらか一方に関する情報を補正する。本明細書に示す例では、補正部406は、走査情報取得部405により取得された水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvを補正する。補正部406は、補正後の水平角度情報である補正水平角度情報H、および補正後の垂直角度情報である補正垂直角度情報Vを、出力部408に出力する。
【0108】
ここで、光走査部120では、走査される光の走査角度に誤差が含まれる場合がある。例えば、回転反射体5の光反射面51が、製造誤差により、回転反射体5の回転軸である第1軸A1に沿う方向に倒れる面倒れを含むと、走査される光の走査角度に第1軸A1に沿う方向への誤差が生じ、理想的な走査角度に対して実際の走査角度がずれる。また光反射面51の面倒れに限らず、回転反射体5の偏心等により第1軸A1と直交する方向に走査角度の誤差が生じる場合がある。回転ステージ10においても偏心等により第2軸A2と直交する方向に走査角度の誤差が生じる場合がある。これらの走査角度の誤差は、再現性を有して発生する。走査角度の誤差により、走査角度に対応した距離情報Dtを正しく得ることができず、測距装置100による物体の三次元位置の測定精度が低くなる場合がある。
【0109】
本実施形態では、例えば、予め取得された走査光L2の走査角度と該走査角度の誤差との対応を示す情報である対応情報Mpを、格納部407により格納する。この対応情報Mpは、測距装置100に含まれる光走査部120による走査光L2の走査角度を計測し、理想的な走査角度に対する実際の走査角度のずれを走査角度の誤差として求めることにより取得できる。例えば対応情報Mpは、工場で製造された測距装置100が工場から出荷されるまでの間に取得される。但し、対応情報Mpを取得する時期と場所は、測距装置100の使用用途や、利用者への提供形態等に応じて適宜変更できる。
【0110】
走査光L2の走査角度の誤差は、例えば以下のように計測できる。まず測距装置100から所定距離離れた走査面を撮影可能に、CCD(Charge Coupled Device)カメラを設置する。光走査部120により走査面上で走査される走査光L2をCCDカメラにより撮影する。この走査面は、走査光L2を可視化できるスクリーンであってもよいし、仮想的な平面である仮想平面であってもよい。CCDカメラによる撮影画像における走査角度ごとでの理想的な走査光L2の位置は、CCDカメラの位置と測距装置100との位置関係を調整することにより予め定めることができる。走査角度の誤差の計測では、CCDカメラにより撮影した画像における走査光L2の位置の理想的な位置からのずれを、画像処理により検出する。走査光L2の位置の理想的な位置からのずれδの長さδと、測距装置100と走査面との間の距離Lsの長さと、からtan-1(δ/Ls)を演算することで走査角度の誤差を計測できる。上記の走査角度の誤差の計測方法は一例であり、他の方法で走査角度の誤差が計測されてもよい。
【0111】
補正部406は、理想的な走査角度に関する情報に対応する水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvに基づき、格納部407に格納された対応情報Mpを参照して、水平角度情報Phに対応する水平誤差情報Ehおよび垂直角度情報Pvに対応する垂直誤差情報Evを取得する。補正部406は、水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを用い、例えば次の式(4)および式(5)により、水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvを補正した補正水平角度情報Hおよび補正垂直角度情報Vを取得する。補正部406は、取得した補正水平角度情報Hおよび補正垂直角度情報Vを出力部408に出力できる。
H=Ph+Eh ・・・ (4)
V=Pv+Ev ・・・ (5)
【0112】
測距装置100は、走査情報取得部405により、光走査部120により走査される走査光L2の走査位置に関する情報を取得し、補正部406により、光走査部120により走査される走査光L2の走査位置に関する情報を補正してもよい。この走査位置は、走査光L2の走査角度ごとでの位置を意味する。例えば走査位置は、
図1に示した第1軸A1と第2軸A2とを含む仮想平面であって、測距装置100から任意の距離離れた仮想平面内を走査される走査光L2の走査角度ごとでの位置である。走査位置に関する情報を補正する場合には、格納部407は、走査位置と走査位置の誤差との対応を示す情報を格納する。補正部406は、予め取得された走査位置と走査位置の誤差との対応を示す情報を参照して、走査位置に関する情報を補正できる。以降における走査角度に関する情報の補正に関する説明は、走査角度を走査位置に置き換えることで、走査位置に関する情報の補正にも適用できる。また、補正部406は、走査角度または走査位置のどちらか一方に関する情報を補正できれば、上述した方法以外の方法で水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvを補正してもよい。
【0113】
格納部407は、制御部140または測距装置100に設けられる構成に限定されず、測距装置100と通信可能に接続された、制御部140または測距装置100以外の装置に備えられてもよい。
【0114】
出力部408は、走査角度ごとで得られる距離情報Dtと、補正水平角度情報Hおよび補正垂直角度情報Vと、を出力する。なお、出力部408からの距離情報Dt、補正水平角度情報Hおよび補正垂直角度情報Vの出力先は、例えば、
図5に示した外部装置300である。但し、出力部408は、表示装置、記憶装置、通信装置等に上記情報を出力することもできる。
【0115】
<制御部140による処理例>
図10は、制御部140による処理の一例を示すフローチャートである。例えば制御部140は、測距装置100に電源が投入され、測距装置100が起動されたタイミングで
図10の処理を開始する。
【0116】
まず、ステップS11において、制御部140は、可変部401により、走査線間隔またはリフレッシュレートを変更するか否かを判定する。例えば可変部401は、測距装置100の操作部を用いた測距装置100の操作者による設定入力に基づき、走査線間隔またはリフレッシュレートを変更するか否かを判定できる。
【0117】
ステップS11において、変更しないと判定された場合には(ステップS11、NO)、制御部140は、ステップS14に処理を移行する。一方、変更すると判定された場合には(ステップS11、YES)、制御部140は、ステップS12において、可変部401により、設定入力情報Seを受け付ける。
【0118】
続いて、ステップS13において、制御部140は、可変部401により設定入力情報Seに応じて定数αを変更する。これにより、上記の式(1)に応じて、第2周波数fhが変化し、走査線間隔およびリフレッシュレートが変更される。
【0119】
続いて、ステップS14において、制御部140は、第1軸回転制御部421により、給電部155から第1軸モータ151への給電を開始する。第1軸モータ151は、給電部155による給電開始に応じて回転を開始することにより、回転反射体5の回転を開始させる。
【0120】
続いて、ステップS15において、制御部140は、第2軸回転制御部422により、同期検出部153からの同期信号Snと、第2軸エンコーダ172からの第2角度検出信号En2と、に基づき、回転ステージ10の回転を開始させる。以降、回転ステージ10は、第2軸回転制御部422による制御下において回転を続ける。
【0121】
続いて、ステップS16において、制御部140は、発光制御部403により、光源3に発光制御信号Dr1を出力することによって、光源3に光L0を発光させる。以降、光源3は、発光制御部403により光源3の発光を停止するまで、所定の発光周期でパルス状の光L0の発光を継続して行う。
【0122】
続いて、ステップS17において、制御部140は、受光部基板114から出力される5つの第2信号Uを入力する。
【0123】
続いて、ステップS18において、制御部140は、距離情報取得部404により、光源3により光L0が発せられたことを示す照射信号Mを発光制御部403から入力し、照射信号Mから照射時刻t0を取得する。また制御部140は、距離情報取得部404により、受光部基板114から入力した5つの第2信号Uから5つの受光時刻t1を取得する。距離情報取得部404は、照射時刻t0と5つの受光時刻t1を用いて5つの時間差Δtを演算により取得する。
【0124】
続いて、ステップS19において、制御部140は、距離情報取得部404により、5つの時間差Δtを用いて上記の式(3)を演算することによって、5つの距離情報Dtを取得する。
【0125】
続いて、ステップS20において、制御部140は、走査情報取得部405により、第2角度検出信号En2に基づき、X方向における走査角度に関する情報である水平角度情報Phを取得するとともに、第1角度検出信号En1に基づき、Z方向における走査角度に関する情報である垂直角度情報Pvを取得する。走査情報取得部405は、取得した水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvを補正部406に出力する。
【0126】
続いて、ステップS21において、制御部140は、補正部406により、水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvに基づき、対応情報Mpを参照して、水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを取得する。
【0127】
続いて、ステップS22において、制御部140は、補正部406により、水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを用いて水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvを補正し、補正水平角度情報Hおよび補正垂直角度情報Vを取得する、補正部406は、補正水平角度情報Hおよび補正垂直角度情報Vを出力部408に出力する。
【0128】
続いて、ステップS23において、制御部140は、出力部408により、距離情報Dtと、補正水平角度情報Hおよび補正垂直角度情報Vと、を出力する。
【0129】
ステップS17からステップS22までの処理は、適宜順番が変更されてもよいし、各ステップの処理が並行に行われてもよい。例えば、ステップS17からステップS19までの一連の処理よりも先に、ステップS21からステップS23までの一連の処理が行われてもよいし、これら2つの一連の処理が並行に行われてもよい。なお、ステップS16からステップS23までの処理は、光走査部120により変化する走査角度ごとに行われる処理であり、1つの走査角度に対応して行われる処理である。
【0130】
続いて、ステップS24において、制御部140は、停止制御部423により、同期検出部153からの同期信号Snが出力されない期間が所定の期間閾値以下であるか否かを判定する。
【0131】
ステップS24において、期間閾値以下ではないと判定された場合には(ステップS24、NO)、制御部140は、ステップS26に処理を移行する。一方、期間閾値以下であると判定された場合には(ステップS24、YES)、制御部140は、ステップS25において、測距装置100による測距を終了するか否かを判定する。例えば、制御部140は、測距装置100の操作部を用いた操作者の操作入力に基づき測距を終了するか否かを判定できる。
【0132】
ステップS25において、終了しないと判定した場合には(ステップS25、NO)、制御部140は、ステップS16以降の処理を再度行う。つまり、次の走査角度において、ステップS16からステップS23までの処理が行われる。
【0133】
一方、ステップS25において、終了すると判定した場合には(ステップS25、YES)、制御部140は、ステップS26において、第2軸回転制御部422により回転ステージ10の回転を停止させるとともに、発光制御部403により光源3の発光を停止させる。
【0134】
続いて、ステップS27において、制御部140は、第1軸回転制御部421により、給電部155から第1軸モータ151への給電を停止させることにより、第1軸モータ151に回転を停止させる。第1軸モータ151は、給電部155による給電停止に応答して回転を停止し、回転反射体5の回転を停止させる。
【0135】
以上のようにして、制御部140は、測距装置100の動作を制御して測距処理を行い、距離情報Dtと、補正水平角度情報Hおよび補正垂直角度情報Vと、を含む物体の三次元位置に関する情報を出力することができる。
【0136】
<対応情報Mpの一例>
図11は、測距装置100における対応情報Mpの一例を説明する図である。
図11は、光走査部120により走査光L2が走査される二軸を含む仮想平面70において、対応情報Mpに含まれる情報(後述する複数の格子点qa)に対応する位置を示している。仮想平面70は、光走査部120による走査面に対応する。測距装置100は、仮想平面70において、対応情報Mpに対応する矩形フレームの四隅の点Pa1~Pa4を特定することで、対応情報Mpを定義できる。
【0137】
図11に示すように、本実施形態では、仮想平面70内には、複数の三角格子Trを形成するように複数の格子点qaが配置される。仮想平面70内に配置される複数の格子点qaそれぞれの位置は、予め定められている。水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evは、測距装置100が工場から出荷される前のタイミング等において、複数の格子点qaごとに計測され、取得される。対応情報Mpは、複数の格子点qaごとでの水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvと、水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evと、の対応を示している。
【0138】
補正部406は、複数の格子点qaごとで、水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvに基づき、対応情報Mpを参照して水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを取得し、水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvを補正することができる。
【0139】
三角形では、3つの頂点の位置を定義することにより、定義する点の数を最小にして平面を規定できる。従って、本実施形態では、仮想平面70内において三角格子Trを形成するように配置された格子点qaごとに水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを定めることで、仮想平面70内を分割する点の数を最小にしつつ、水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを定めることができる。これにより、例えば矩形格子を形成する格子点ごとに水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを定めた場合と比較して、補正部406による水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvの補正精度を同じ程度にしつつ、処理負荷を低減することができる。
【0140】
なお、対応情報Mpは、水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを含む二次元の情報に限定されない。例えば、光走査部120が照射される光を一軸方向に走査させるものである場合には、水平誤差情報Ehまたは垂直誤差情報Evのどちらか一方を含む一次元の情報であってよい。
【0141】
対応情報Mpのおける格子点qaの数に関し、格子点qaの数が少ないと、仮想平面70内における測距装置100による測距の空間分解能が低くなる。一方、格子点qaの数が多いと、格子点qaの数だけ計測を行って水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを取得する必要があるため、手間と時間がかかる。また、対応情報Mpのデータ量が多くなるほど、格納部407に大きな記憶容量が求められる。そのため、本実施形態では、補正部406は、3つの格子点qaの位置に基づく内挿補間演算により得られる水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを用いて、3つの格子点qaの間に位置する点に対応する水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvを補正してもよい。
【0142】
図12は、上記の内挿補間について説明する図である。
図12は、
図11と同様に、仮想平面70において、対応情報Mpに含まれる複数の格子点qaに対応する位置を示している。補間点qbは、1つの三角格子Trを形成する3つの格子点qaの間に位置する点である。対応情報Mpに含まれる複数の三角格子Trそれぞれの内側には、予め定められた複数の補間点qbがほぼ等間隔で位置する。
【0143】
複数の補間点qbの位置ごとに、水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evが内挿補間演算により算出される。補間点qbの内挿補間演算は、補間点qbが含まれる三角格子Trを形成する3つの格子点qaそれぞれの水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを用いて行うことができる。また内挿補間演算には、スプライン補間法等を使用できる。
【0144】
なお、対応情報Mpは、複数の格子点qaにおける水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを含み、複数の補間点qbにおける水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを含まない。複数の補間点qbにおける水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evは、複数の格子点qaにおける水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを用いて算出される情報である。複数の補間点qbにおける水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを対応情報Mpが含まないようにすることで、対応情報Mpのデータサイズを小さくすることができる。
【0145】
本実施形態では、1つの三角格子Tr内を分割した複数の補間点qbごとで、水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを算出することにより、仮想平面70内における測距装置100による測距の空間分解能を高くしつつ、水平角度情報Phおよび垂直角度情報Pvを補正することができる。水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evの数は少なくてよいため、水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを取得する手間と時間を低減できる。また対応情報Mpのデータ量も少なくてよいため、格納部407の記憶容量を小さくすることができる。
【0146】
また、本実施形態では、三角格子Trは正三角形格子であってもよい。
図13および
図14は、正三角形格子を用いた場合の効果を説明する図である。
図13は、二等辺三角形格子を用いた内挿補間の一例を説明する図である。
図14は、正三角形格子を用いた内挿補間の一例を説明する図である。
【0147】
図13において、格子点qa1~qa3は、二等辺三角形の頂点に対応する。格子点qa1~qa3の間に位置する補間点qb1における水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを内挿補間演算により算出する場合、補間点qb1から格子点qa1~qa3それぞれまでの距離に異方性があるため、内挿補間演算による水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evの取得精度に異方性が生じる場合がある。例えば、
図13におけるZ方向(例えば垂直方向)における取得精度が、X方向(例えば水平方向)における取得精度よりも低くなる等の異方性が生じる。
【0148】
一方、
図14において、格子点qa4~qa6は、正三角形の頂点に対応する。格子点qa4~qa6が正三角形を形成すると、格子点qa4~qa6の間に位置する補間点qb2における水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを内挿補間演算により算出する場合にも、補間点qb2から格子点qa4~qa6それぞれまでの距離に異方性は生じない。従って、本実施形態では、内挿補間演算による水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evの取得精度に異方性を生じさせず、水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを精度よく取得することができる。但し、三角格子は、正三角形格子に限定されるものではなく、二等辺三角形格子であってもよい。
【0149】
<測距装置100の主な作用効果>
以上説明したように、本実施形態では、測距装置100は、光走査部120により走査される走査光L2の走査角度または走査位置のどちらか一方に関する情報を、補正部406により補正する。これにより、光走査部120による走査角度に対応した距離情報Dtを正しく得ることができるため、物体の三次元位置の測定精度に優れた測距装置および測距方法を提供することができる。
【0150】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る測距システムについて説明する。なお、第1実施形態と同じ構成部には同じ符号を付し、重複する説明を適宜省略する。この点は、以降における他の実施形態においても同様とする。
【0151】
<測距システム1000の構成例>
図15は、第2実施形態に係る測距システム1000の構成の一例を示すブロック図である。
図15に示すように、測距システム1000は、測距装置100aと、情報処理装置500と、を有する。情報処理装置500は、無線または有線により、測距装置100aと通信可能に接続される。情報処理装置500と測距装置100aは、LAN(Local Area Network)、インターネット等のネットワークを介して接続されてもよい。ネットワークには、外部PC(Personal Computer)、外部サーバ等の情報処理装置500および測距装置100a以外の装置が接続されてもよい。
【0152】
<情報処理装置500のハードウェア構成例>
図16は、情報処理装置500のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置500は、例えばコンピュータにより構築される。
図16に示すように、情報処理装置500は、CPU501と、ROM502と、RAM503と、HDD/SSD504と、外部I/F505と、を有する。これらは、システムバスBを介して相互に通信可能に接続されている。
【0153】
CPU501は、各種の演算処理を含む制御処理を実行するプロセッサである。ROM502は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する不揮発性メモリである。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される揮発性メモリである。HDD/SSD504は、プログラム等の各種情報、測距装置100aにより取得された情報等を格納する不揮発性メモリである。
【0154】
外部I/F505は、情報処理装置500が測距装置100a等の外部装置と通信するためのインターフェースである。情報処理装置500は、外部I/F505を介して測距装置100a等と通信できる。
【0155】
<測距装置100aの機能構成例>
図17は、測距装置100aにおける制御部140aの機能構成の一例を示すブロック図である。測距装置100aは、制御部140aを有する点が第1実施形態に係る測距装置100と主に異なる。
【0156】
図17に示すように、制御部140aは、送信部409を有する点と、
図9に示した補正部406を有さない点が、制御部140と主に異なる。送信部409の機能は、
図7のFPGA143等により実現される。
【0157】
送信部409は、距離情報取得部404により取得された距離情報Dtと、走査情報取得部405により取得された水平走査角度情報Phおよび垂直走査角度情報Pvと、対応情報Mpと、を情報処理装置500に送信する。
【0158】
<情報処理装置500の機能構成例>
図18は、情報処理装置500の機能構成の一例を示すブロック図である。
図18に示すように、情報処理装置500は、受信部511と、補正部512と、出力部513と、を有する。受信部511および出力部513の各機能は、
図16の外部I/F505等により実現される。補正部512の機能は、
図7に示したFPGA143等により実現される。あるいは、補正部512の機能は、
図16に示したCPU141がメモリ147に格納されたプログラムに規定された処理を実行することにより実現されてもよい。また、補正部512の機能は、情報処理装置500以外の構成部により実現されてもよいし、情報処理装置500と情報処理装置500以外の構成部との分散処理により実現されてもよい。
【0159】
受信部511は、測距装置100aからの距離情報Dtと、水平走査角度情報Phおよび垂直走査角度情報Pvと、対応情報Mpと、を受信し、補正部512に出力する。
【0160】
補正部512は、測距装置100aから受信した対応情報Mpを参照して、水平走査角度情報Phおよび垂直走査角度情報Pvを補正する。本実勢形態では、補正部512は、3つの格子点qaの間に位置する点に対応する水平走査角度情報Phおよび垂直走査角度情報Pvを、3つの格子点qaの位置に基づく内挿補間演算により得られる水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを用いて補正してもよい。補正部512は、補正により得られた補正水平角度情報Hおよび補正垂直角度情報Vを出力部513に出力する。
【0161】
出力部513は、走査角度ごとでの距離情報Dtと、補正水平角度情報Hおよび補正垂直角度情報Vと、を出力する。出力部513からの距離情報Dt、補正水平角度情報Hおよび補正垂直角度情報Vの出力先は、例えば、
図5に示した外部装置300である。但し、出力部513は、表示装置、記憶装置、通信装置等に上記情報を出力してもよい。
【0162】
<測距システム1000における処理例>
図19は、測距システム1000における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【0163】
図19において、まず、ステップS31において、測距システム1000は、測距装置100aの距離情報取得部404により、距離情報Dtを取得する。
【0164】
続いて、ステップS32において、測距システム1000は、測距装置100aの走査情報取得部405により、水平走査角度情報Phおよび垂直走査角度情報Pvを取得する。
【0165】
続いて、ステップS33において、測距システム1000は、測距装置100aの送信部409により、格納部407により格納された対応情報Mpを読み出す。送信部409は、距離情報Dtと、水平走査角度情報Phおよび垂直走査角度情報Pvと、対応情報Mpと、情報処理装置500に送信する。
【0166】
続いて、ステップS34において、情報処理装置500の補正部512は、受信部511を介して、水平走査角度情報Phおよび垂直走査角度情報Pvと、対応情報Mpと、を取得する。補正部512は、対応情報Mpを参照して、水平走査角度情報Phおよび垂直走査角度情報Pvを補正し、補正水平角度情報Hおよび補正垂直角度情報Vを、出力部513を介して出力する。
【0167】
以上のようにして、測距システム1000は、測距処理を行い、距離情報Dtと、補正水平角度情報Hおよび補正垂直角度情報Vと、を含む物体の三次元位置に関する情報を出力することができる。
【0168】
<測距システム1000の作用効果>
以上説明したように、本実施形態では、情報処理装置500が補正部512を有することで、測距装置100aにおける制御部140aの処理負荷を低減できる。また情報処理装置500が制御部140aよりもハイパフォーマンスの処理機能を有するようにすると、制御部140aで補正処理が実行される場合と比較して、測距システム1000における処理時間を短縮することができる。補正部512が内挿補間演算により得られる水平誤差情報Ehおよび垂直誤差情報Evを用いて補正する場合には、処理量が多くなるため、上記の処理負荷低減効果および処理時間短縮効果を顕著に得ることができる。
【0169】
また、測距装置100a固有の情報である対応情報Mpを測距装置100aが有するため、
図18に示す機能構成を有する情報処理装置であれば、任意の情報処理装置と測距装置100aとを組み合わせて測距システム1000を構成できる。例えば、測距装置100aを有するサービスロボットをビルの複数のフロアで使用する場合に、サービスロボットのみを各フロアに持ち運べば、各フロアにあるPC等の情報処理装置と、測距装置100aを組み合わせて測距システム1000を構成できる。これにより、測距システム1000の利便性を高くすることができる。
【0170】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形または変更が可能である。
【0171】
実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係をこれに限定するものではない。
【0172】
実施形態に係る測距装置は、サービスロボットに限らず、自動車、飛行体等の移動体に搭載され、移動体の周囲に存在する物体を認識する用途等において使用可能である。
【0173】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 照射された光に対する物体の反射光および散乱光の少なくとも一方である戻り光に基づき、前記物体までの距離を測定する測距装置であって、照射される前記光を走査させる光走査部と、前記戻り光を受光し、受光した前記戻り光に基づく受光信号を出力する受光部と、前記光走査部により走査される前記光の走査角度または走査位置のどちらか一方に関する情報を補正する補正部と、前記走査角度または走査位置のどちらか一方ごとで、前記受光部からの前記受光信号に基づいて得られる前記物体までの距離に関する情報と、前記補正部により補正された前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に関する情報と、を出力する出力部と、を有する、測距装置である。
<2> 前記補正部は、予め取得された前記走査角度と前記走査角度の誤差との対応を示す情報を参照して、前記走査角度に関する情報を補正するか、または、予め取得された前記走査位置と前記走査位置の誤差との対応を示す情報を参照して、前記走査位置に関する情報を補正する、前記<1>に記載の測距装置である。
<3> 前記走査角度と前記走査角度の誤差との対応を示す情報、または前記走査位置と前記走査位置の誤差との対応を示す情報のどちらか一方を格納する格納部を有する、前記<2>に記載の測距装置である。
<4> 前記光走査部は、直交する二軸それぞれの方向に前記光を走査させ、前記対応を示す情報は、前記二軸を含む仮想平面内において三角格子を形成するように配置された複数の格子点ごとに、前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に対応する誤差に関する情報を含み、前記補正部は、前記格子点に対応する前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方を補正する、前記<2>に記載の測距装置である。
<5> 前記補正部は、3つの前記格子点の間に位置する点に対応する前記走査角度に関する情報を、3つの前記格子点の位置に基づく内挿補間演算により得られる前記走査角度の誤差に関する情報を用いて補正するか、または3つの前記格子点の間に位置する点に対応する前記走査位置に関する情報を、3つの前記格子点の位置に基づく内挿補間演算により得られる前記走査位置の誤差に関する情報を用いて補正する、前記<4>に記載の測距装置である。
<6> 前記三角格子は、正三角形格子である、前記<4>または前記<5>に記載の測距装置である。
<7> 照射された光に対する物体の反射光および散乱光の少なくとも一方である戻り光に基づき、前記物体までの距離を測定する測距装置と、前記測距装置と通信可能に接続される情報処理装置と、を有する測距システムであって、照射される前記光を走査させる光走査部と、前記戻り光を受光し、受光した前記戻り光に基づく受光信号を出力する受光部と、前記光走査部により走査される前記光の走査角度または走査位置のどちらか一方に関する情報を補正する補正部と、前記走査角度または走査位置のどちらか一方ごとで、前記受光部からの前記受光信号に基づいて得られる前記物体までの距離に関する情報と、前記補正部により補正された前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に関する情報と、を出力する出力部と、を有する、測距システムである。
<8> 前記情報処理装置は、前記補正部を有し、前記測距装置は、予め取得された、前記走査角度および前記走査位置の少なくとも一方と誤差との対応を示す情報を格納する格納部と、前記物体までの距離に関する情報と、前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に関する情報と、前記対応を示す情報と、を前記情報処理装置に送信する送信部と、を有し、前記補正部は、前記測距装置から受信した前記対応を示す情報を参照して、前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に関する情報を補正する、前記<7>に記載の測距システムである。
<9> 前記対応を示す情報は、直交する2軸を含む仮想平面内において三角格子を形成するように配置された格子点ごとに、前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に対応する誤差に関する情報を含み、前記補正部は、3つの前記格子点の間に位置する点に対応する前記走査角度に関する情報を、3つの前記格子点の位置に基づく内挿補間演算により得られる前記走査角度の誤差に関する情報を用いて補正するか、または3つの前記格子点の間に位置する点に対応する前記走査位置に関する情報を、3つの前記格子点の位置に基づく内挿補間演算により得られる前記走査位置の誤差に関する情報を用いて補正する、前記<8>に記載の測距システムである。
<10> 照射された光に対する物体の反射光および散乱光の少なくとも一方である戻り光に基づき、前記物体までの距離を測定する測距装置による測距方法であって、前記測距装置が、光走査部により、照射される前記光を走査させ、受光部により、前記戻り光を受光し、受光した前記戻り光に基づく受光信号を出力し、補正部により、前記光走査部により走査される前記光の走査角度または走査位置のどちらか一方に関する情報を補正し、出力部により、前記走査角度または走査位置のどちらか一方ごとで、前記受光部からの前記受光信号に基づいて得られる前記物体までの距離に関する情報と、前記補正部により補正された前記走査角度または前記走査位置のどちらか一方に関する情報と、を出力する、測距方法である。
【符号の説明】
【0174】
1…台部、2…保持部、3…光源、4、4a…第1レンズ、5…回転反射体、6…穴あきミラー、7…第2レンズ、8…5つの受光部、81、82、83、84、85…受光部、800…受光面、9…イケール、10…回転ステージ、10a…回転部、10b…固定部、11…結合部材、21…天井パネル、22…背面パネル、31…光源ホルダ、40…第1支持部材、41…光分割部材、51…光反射面、61…貫通孔、62…ミラー面、63…穴あきミラーホルダ、70…仮想平面、71…第2レンズホルダ、91…基板、100、100a…測距装置、101…載置面、102…ベアリング、103…マグネット、104…モータコア、110…受発光部、111…光源基板、112、112a、112b…発光ブロック、113…受光ブロック、114…受光部基板、115…PLD、120…光走査部、130…出射窓、140、140a…制御部、141…CPU、142…Digipot、143…FPGA、144…電力生成回路、145…Wirwless Tx、146…回転角検出回路、147…メモリ、301…POWER I/F、401…可変部、402…回転制御部、403…発光制御部、404…距離情報取得部、405…走査情報取得部、406…補正部、407…格納部、408…出力部、409…送信部、411…処理回路、412…温度センサ、421…第1軸回転制御部、422…第2軸回転制御部、423…停止制御部、431…TDCコントローラ、441…DCDCブーストコンバータ、442…Digipot、150…駆動部、151…第1軸モータ、152…第2軸モータ、153…同期検出部、155…給電部、163…第1軸ドライバ基板、172…第2軸エンコーダ、173…第2軸ドライバ基板、200…物体、300…外部装置、500…情報処理装置、501…CPU、502…ROM、503…RAM、504…HDD/SSD、505…外部I/F、511…受信部、512…補正部、513…出力部、531…第1軸エンコーダ、532…周期光発光部、532a…発光基板、533…周期光受光部、533a…受光基板、551…発電コイル、552…給電コイル、553…Wireless、811…T/Iアンプ、812…ゲインアンプ、813…コンパレータ、A1…第1軸、A11…第1軸回転方向、A2…第2軸、A21…第2軸回転方向、L0…光、L1…5つの光、L11、L12、L13、L14、L15…分割光、L2…走査光、R…戻り光、Dr1…発光制御信号、Dr2…第2軸制御信号、Ct…測距制御信号、Dt…距離情報、M…照射信号、S…第1信号、U…第2信号、Sn…同期信号、St…給電制御信号、En1…第1角度検出信号、En2…第2角度検出信号、Mp…対応情報、Pa1~Pa4…点、qa、qa1~qa6…格子点、qb、qb1~qb2…補間点、Tr…三角格子、Op…パルス光、t0…照射時刻、t1…受光時刻、Δt…時間差、Ph…水平角度情報、Pv…垂直角度情報、Eh…水平誤差情報、Ev…垂直誤差情報、H…補正水平角度情報、V…補正垂直角度情報