(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128687
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240913BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240913BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H01L29/78 658F
H01L29/78 653C
H01L29/78 652P
H01L29/78 652M
H01L29/78 652K
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037815
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】綾野 智貴
(72)【発明者】
【氏名】安孫子 雄哉
(57)【要約】
【課題】半導体装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】トレンチTR1の内部に、絶縁膜IF1を介してフィールドプレート電極FPを形成する。フィールドプレート電極FPの一部が引き出し部FPaとして残されるように、フィールドプレート電極FPの他部を選択的に除去する。絶縁膜IF1を後退させた後、絶縁膜IF1上に保護膜PF1を形成する。トレンチTR1の内部にゲート絶縁膜GIを形成すると共に、フィールドプレート電極FPを覆うように絶縁膜IF2を形成する。ゲート絶縁膜GI上、絶縁膜IF2上および保護膜PF1上に、導電性膜CF2を形成する。トレンチTR1の外部に位置する導電性膜CF2を除去することで、フィールドプレート電極FP上にゲート電極GEを形成する。この際、引き出し部FPaに接している保護膜PF1上および絶縁膜IF2上に形成された導電性膜CF2は、除去される。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)上面および下面を有する第1導電型の半導体基板を用意する工程、
(b)前記(a)工程後、前記半導体基板の前記上面から前記半導体基板の前記下面に向かって所定の深さに達するように、前記半導体基板に、トレンチを形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記半導体基板の前記上面上および前記トレンチの内部に、第1絶縁膜を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記トレンチの前記内部を埋め込むように、前記第1絶縁膜上に第1導電性膜を形成する工程、
(e)前記(d)工程後、前記トレンチの外部に位置する前記第1導電性膜を除去することで、前記トレンチの前記内部に残された前記第1導電性膜をフィールドプレート電極として形成する工程、
(f)前記(e)工程後、前記フィールドプレート電極の一部が引き出し部として残されるように、前記フィールドプレート電極の他部を選択的に除去する工程、
(g)前記(f)工程後、前記半導体基板の前記上面上に位置する前記第1絶縁膜を除去すると共に、断面視において前記トレンチの前記内部に位置する前記第1絶縁膜の上面の位置が前記フィールドプレート電極の上面の位置よりも低くなるように、前記トレンチの前記内部に位置する前記第1絶縁膜を前記トレンチの底部に向かって後退させる工程、
(h)前記(g)工程後、前記フィールドプレート電極および前記第1絶縁膜を覆うように、前記半導体基板の前記上面上および前記トレンチの前記内部に、第1保護膜を形成する工程、
(i)前記(h)工程後、前記半導体基板の前記上面上に位置する前記第1保護膜を除去すると共に、断面視において前記トレンチの前記内部に位置する前記第1保護膜の上面の位置が前記フィールドプレート電極の前記上面の位置よりも低くなるように、前記トレンチの前記内部に位置する前記第1保護膜を前記トレンチの前記底部に向かって後退させる工程、
(j)前記(i)工程後、前記第1保護膜上に位置する前記トレンチの前記内部にゲート絶縁膜を形成すると共に、前記第1保護膜から露出している前記フィールドプレート電極を覆うように第2絶縁膜を形成する工程、
(k)前記(j)工程後、前記トレンチの前記内部を埋め込むように、前記ゲート絶縁膜上、前記第2絶縁膜上および前記第1保護膜上に、第2導電性膜を形成する工程、
(l)前記(k)工程後、前記トレンチの前記外部に位置する前記第2導電性膜を除去することで、前記フィールドプレート電極上において前記トレンチの前記内部に残された前記第2導電性膜をゲート電極として形成する工程、
を備え、
前記引き出し部に接している前記第1保護膜上および前記第2絶縁膜上に、前記(k)工程で形成された前記第2導電性膜は、前記(l)工程によって除去される、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜および前記第1保護膜は、酸化シリコン膜であり、
前記(g)工程および前記(i)工程は、フッ酸を含む溶液を用いた等方性エッチング処理によって行われる、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程で前記半導体基板の前記上面上に形成された前記第1保護膜の厚さは、前記(c)工程で前記半導体基板の前記上面上に形成された前記第1絶縁膜の厚さよりも薄い、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
(m)前記(l)工程後、前記半導体基板の前記上面上および前記ゲート電極上に、第3絶縁膜を形成する工程、
(n)前記(m)工程後、前記トレンチの前記外部に位置する前記第3絶縁膜および前記ゲート絶縁膜を除去する工程、
を更に備える、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
(о)前記(l)工程の後であって、前記(m)工程の前に、前記半導体基板の前記上面上に、前記フィールドプレート電極のうち前記引き出し部を選択的に開口するパターンを有するレジストパターンを形成する工程、
(p)前記(о)工程の後であって、前記(m)工程の前に前記レジストパターンをマスクとして、前記ゲート絶縁膜、前記第2絶縁膜および前記第1保護膜がエッチングされ難く、且つ、前記第2導電性膜がエッチングされ易い条件下で、エッチング処理を行う工程、
を更に備える、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
(a)上面および下面を有する第1導電型の半導体基板を用意する工程、
(b)前記(a)工程後、前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に、トレンチを形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記半導体基板の前記上面上および前記トレンチの内部に、第1絶縁膜を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記トレンチの前記内部を埋め込むように、前記第1絶縁膜上に第1導電性膜を形成する工程、
(e)前記(d)工程後、前記トレンチの外部の前記第1導電性膜を除去することで、前記トレンチの前記内部に残された前記第1導電性膜をフィールドプレート電極として形成する工程、
(f)前記(e)工程後、前記フィールドプレート電極および前記半導体基板の前記上面上の前記第1絶縁膜を覆うように、第2保護膜を形成する工程、
(g)前記(f)工程後、前記第2保護膜上に、前記フィールドプレート電極の一部を覆い、且つ、前記フィールドプレート電極の他部を開口するパターンを有する第1レジストパターンを形成する工程、
(h)前記(g)工程後、前記第1レジストパターンをマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、前記フィールドプレート電極の前記他部上に形成されている前記第2保護膜を除去する工程、
(i)前記(h)工程後、前記第1レジストパターンをマスクとしてッチング処理を行うことで、前記フィールドプレート電極の前記一部が引き出し部として残されるように、前記フィールドプレート電極の前記他部を選択的に後退させる工程、
(j)前記(i)工程後、前記第1レジストパターンを除去する工程、
(k)前記(j)工程後、前記引き出し部上に形成されている前記第2保護膜、および、前記半導体基板の前記上面上の前記第1絶縁膜を除去すると共に、前記第1絶縁膜の上面の位置が前記フィールドプレート電極の上面の位置よりも低くなるように、前記トレンチの前記内部の前記第1絶縁膜を後退させる工程、
(l)前記(k)工程後、前記第1絶縁膜上に位置する前記トレンチの前記内部に、ゲート絶縁膜を形成すると共に、前記第1絶縁膜から露出している前記フィールドプレート電極を覆うように、第2絶縁膜を形成する工程、
(m)前記(l)工程後、前記トレンチの前記内部を埋め込むように、前記ゲート絶縁膜上、前記第2絶縁膜上および前記第1絶縁膜上に、第2導電性膜を形成する工程、
(n)前記(m)工程後、前記トレンチの前記外部の前記第2導電性膜を除去することで、前記フィールドプレート電極上において前記トレンチの前記内部に残された前記第2導電性膜をゲート電極として形成する工程、
を備え、
前記引き出し部に接している前記第1絶縁膜上および前記第2絶縁膜上に、前記(m)工程で形成された前記第2導電性膜は、前記(n)工程で除去される、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
(o)前記(f)工程前に、前記フィールドプレート電極と、前記半導体基板の前記上面上の前記第1絶縁膜とに対して、平坦化処理を行う工程、
を更に備える、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(o)工程は、
(o1)前記(e)工程時に、前記半導体基板の前記上面上の前記第1絶縁膜をエッチングストッパとして、前記第1導電性膜に対してCMP法による研磨処理を行う工程、
(o2)前記(o1)工程と前記(f)工程との間で、前記半導体基板の前記上面上の前記第1絶縁膜と、前記フィールドプレート電極とに対して異方性エッチング処理を行う工程、
を更に備える、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(o)工程は、
(o3)前記(e)工程後、前記フィールドプレート電極の上面の位置が、前記半導体基板の前記上面上の前記第1絶縁膜の上面の位置よりも低くなるように、前記第1導電性膜に対して異方性エッチング処理を行う工程、
(o4)前記(o3)工程と前記(f)工程との間で、前記半導体基板の前記上面上の前記第1絶縁膜に対して異方性エッチング処理を行う工程、
を更に備える、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜および前記第2保護膜は、酸化シリコン膜であり、
前記(k)工程は、フッ酸を含む溶液を用いた等方性エッチング処理によって行われる、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程で形成された前記第2保護膜の厚さは、前記(k)工程で前記等方性エッチング処理によってエッチングされる酸化シリコン膜の厚さよりも薄い、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
(p)前記(n)工程後、前記半導体基板の前記上面上に、前記フィールドプレート電極のうち前記引き出し部を選択的に開口するパターンを有する第2レジストパターンを形成する工程、
(q)前記(p)工程後、前記第2レジストパターンをマスクとして、前記ゲート絶縁膜および前記第2絶縁膜がエッチングされ難く、且つ、前記第2導電性膜がエッチングされ易い条件下で、エッチング処理を行う工程、
を更に備える、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
(a)上面および下面を有する第1導電型の半導体基板を用意する工程、
(b)前記(a)工程後、前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に、トレンチを形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記半導体基板の前記上面上および前記トレンチの内部に、第1絶縁膜を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記トレンチの前記内部を埋め込むように、前記第1絶縁膜上に第1導電性膜を形成する工程、
(e)前記(d)工程後、前記トレンチの外部の前記第1導電性膜を除去することで、前記トレンチの前記内部に残された前記第1導電性膜をフィールドプレート電極として形成する工程、
(f)前記(e)工程後、前記半導体基板の前記上面上に、前記フィールドプレート電極の一部を覆い、且つ、前記フィールドプレート電極の他部を開口するパターンを有するマスク層を形成する工程、
(g)前記(f)工程後、前記マスク層をマスクとして、前記フィールドプレート電極の前記一部が引き出し部として残されるように、前記フィールドプレート電極の前記他部を選択的に後退させる工程、
(h)前記(g)工程後、前記マスク層をマスクとして、前記マスク層から露出している前記半導体基板の前記上面上の前記第1絶縁膜を除去すると共に、前記マスク層から露出している前記第1絶縁膜の上面の位置が前記フィールドプレート電極の上面の位置よりも低くなるように、前記トレンチの前記内部の前記第1絶縁膜を後退させる工程、
を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
(i)前記(h)工程後、前記マスク層を除去する工程、
(j)前記(i)工程後、前記第1絶縁膜上に位置する前記トレンチの前記内部に、ゲート絶縁膜を形成すると共に、前記第1絶縁膜から露出している前記フィールドプレート電極を覆うように、第2絶縁膜を形成する工程、
(k)前記(j)工程後、前記トレンチの前記内部を埋め込むように、前記ゲート絶縁膜上、前記第2絶縁膜上および前記第1絶縁膜上に、第2導電性膜を形成する工程、
(l)前記(k)工程後、前記トレンチの前記外部の前記第2導電性膜を除去することで、前記フィールドプレート電極上において前記トレンチの前記内部に残された前記第2導電性膜をゲート電極として形成する工程、
を更に備え、
前記マスク層は、第1レジストパターンであり、
前記引き出し部に接している前記第1絶縁膜上および前記第2絶縁膜上に、前記(k)工程で形成された前記第2導電性膜は、前記(l)工程で除去される、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜は、酸化シリコン膜であり、
前記(h)工程は、フッ酸を含む溶液を用いた等方性エッチング処理によって行われる、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
(m)前記(l)工程後、前記半導体基板の前記上面上に、前記フィールドプレート電極のうち前記引き出し部を選択的に開口するパターンを有する第2レジストパターンを形成する工程、
(n)前記(m)工程後、前記第2レジストパターンをマスクとして、前記ゲート絶縁膜および前記第2絶縁膜がエッチングされ難く、且つ、前記第2導電性膜がエッチングされ易い条件下で、エッチング処理を行う工程、
を更に備える、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
(i)前記(h)工程後、前記第1絶縁膜上に位置する前記トレンチの前記内部に、ゲート絶縁膜を形成すると共に、前記第1絶縁膜から露出している前記フィールドプレート電極を覆うように、第2絶縁膜を形成する工程、
(j)前記(i)工程後、前記トレンチの前記内部を埋め込むように、前記ゲート絶縁膜上、前記第2絶縁膜上、前記第1絶縁膜上および前記マスク層上に、第2導電性膜を形成する工程、
(k)前記(j)工程後、前記トレンチの外部の前記第2導電性膜を除去することで、前記フィールドプレート電極上において前記トレンチの前記内部に残された前記第2導電性膜をゲート電極として形成する工程、
(l)前記(k)工程後、前記マスク層を除去する工程、
を更に備え、
前記マスク層は、前記第1絶縁膜、前記第2絶縁膜、前記ゲート絶縁膜、前記第1導電性膜および前記第2導電性膜と異なる材料からなる絶縁膜であり、
前記引き出し部に接している前記マスク層上に、前記(j)工程で形成された前記第2導電性膜は、前記(k)工程で除去される、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜は、酸化シリコン膜であり、
前記(h)工程は、フッ酸を含む溶液を用いた等方性エッチング処理によって行われる、半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法において、
(m)前記(k)工程と前記(l)工程との間で、前記半導体基板の前記上面上に、前記フィールドプレート電極のうち前記引き出し部を選択的に開口するパターンを有するレジストパターンを形成する工程、
(n)前記(m)工程後、前記レジストパターンをマスクとして、前記ゲート絶縁膜、前記第2絶縁膜および前記マスク層がエッチングされ難く、且つ、前記第2導電性膜がエッチングされ易い条件下で、エッチング処理を行う工程、
を更に備える、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、トレンチの内部にゲート電極およびフィールドプレート電極を備えた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のような半導体素子を備えた半導体装置では、トレンチの内部にゲート電極が埋め込まれたトレンチゲート構造が適用されている。トレンチゲート構造の一種として、トレンチの下部にフィールドプレート電極を形成し、トレンチの上部にゲート電極を形成したスプリットゲート構造がある。フィールドプレート電極には、ソース電極からソース電位が供給される。このフィールドプレート電極によってドリフト領域に空乏層を広げることで、ドリフト領域を高濃度化することが可能となり、ドリフト領域の低抵抗化が可能となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、スプリットゲート構造のMOSFETが開示されている。特許文献1のフィールドプレート電極およびゲート電極は、以下のように形成される。まず、トレンチの内部にフィールドプレート電極を形成した後、フィールドプレート電極の上面を後退させる。次に、フィールドプレート電極上のトレンチの内部を埋め込むように、半導体基板上に、ゲート電極用の導電性膜を堆積する。次に、上記導電性膜に対して異方性エッチング処理を行うことで、トレンチの上部にゲート電極が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図50は、本願発明者らが特許文献1などを基にして検討を行った検討例の半導体装置を示している。フィールドプレート電極FPは、ソース電極と電気的に接続するために、引き出し部FPaを含んでいる。引き出し部FPaのフィールドプレート電極FPは、トレンチTR1の下部だけでなく、トレンチTR1の上部にも形成されている。
【0006】
フィールドプレート電極FPは、トレンチTR1の内部に厚い絶縁膜IF1を介して形成される。次に、フィールドプレート電極FPの一部を除去することで、このフィールドプレート電極FPをトレンチTR1の上部からトレンチTR1の下部に向かって後退させるが、フィールドプレート電極FPの他の部分が引き出し部FPaとして残される。次に、絶縁膜IF1の一部を除去することで、この絶縁膜IF1をトレンチTR1の上部からトレンチTR1の下部に向かって後退させる。次に、絶縁膜IF1上のトレンチTR1の内部にゲート絶縁膜GIを形成すると共に、絶縁膜IF1から露出しているフィールドプレート電極FPを覆うように、絶縁膜IF2を形成する。次に、ゲート電極用の導電性膜CF2を堆積する。
【0007】
次に、導電性膜CF2に対して異方性エッチング処理を行うことで、トレンチTR1の上部にゲート電極が形成される。この際、引き出し部FPaの側面に、導電性膜CF2の残渣RSが残される場合がある。MOSFETの動作時には、引き出し部FPaには、例えば0Vのソース電位Vsが供給され、ドリフト領域NV(半導体基板SUB)には、例えば100Vのドレイン電位Vdが供給される。
【0008】
通常は、引き出し部FPaとドリフト領域NVとの間の絶縁耐圧は、絶縁膜IF1の厚さによって維持される。しかし、電気的にフローティング状態の残渣RSが存在していると、引き出し部FPaと残渣RSとの間の容量(
図50を参照)、および、残渣RSとドリフト領域NVとの間の容量(
図50を参照)によって、直列容量が構成される。この直列容量に100Vの電圧が掛かるので、引き出し部FPaとドリフト領域NVとの間の絶縁耐圧が、維持できなくなるという問題がある。
【0009】
特に、絶縁耐圧の向上のために絶縁膜IF1の厚さを厚くすると、絶縁膜IF1を後退させるための等方性エッチング処理の時間を長くする必要があるので、より深い位置まで残渣RSが形成され易くなる。また、ゲート絶縁膜GIと絶縁膜IF2との間のスペースも広くなるので、より大きな残渣RSが形成され易くなる。
【0010】
本願の主な目的は、このような残渣RSの発生を抑制し、半導体装置の信頼性を向上させることにある。その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
一実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、(a)上面および下面を有する第1導電型の半導体基板を用意する工程、(b)前記(a)工程後、前記半導体基板の前記上面から前記半導体基板の前記下面に向かって所定の深さに達するように、前記半導体基板にトレンチを形成する工程、(c)前記(b)工程後、前記半導体基板の前記上面上および前記トレンチの内部に、第1絶縁膜を形成する工程、(d)前記(c)工程後、前記トレンチの前記内部を埋め込むように、前記第1絶縁膜上に第1導電性膜を形成する工程、(e)前記(d)工程後、前記トレンチの外部に位置する前記第1導電性膜を除去することで、前記トレンチの前記内部に残された前記第1導電性膜をフィールドプレート電極として形成する工程、(f)前記(e)工程後、前記フィールドプレート電極の一部が引き出し部として残されるように、前記フィールドプレート電極の他部を選択的に除去する工程、(g)前記(f)工程後、前記半導体基板の前記上面上に位置する前記第1絶縁膜を除去すると共に、断面視において前記トレンチの前記内部に位置する前記第1絶縁膜の上面の位置が前記フィールドプレート電極の上面の位置よりも低くなるように、前記トレンチの前記内部に位置する前記第1絶縁膜を前記トレンチの底部に向かって後退させる工程、(h)前記(g)工程後、前記フィールドプレート電極および前記第1絶縁膜を覆うように、前記半導体基板の前記上面上および前記トレンチの前記内部に、第1保護膜を形成する工程、(i)前記(h)工程後、前記半導体基板の前記上面上の前記第1保護膜を除去すると共に、前記第1保護膜の上面の位置が前記フィールドプレート電極の前記上面の位置よりも低くなるように、前記トレンチの前記内部の前記第1保護膜を前記トレンチの前記底部に向かって後退させる工程、(j)前記(i)工程後、前記第1保護膜上に位置する前記トレンチの前記内部にゲート絶縁膜を形成すると共に、前記第1保護膜から露出している前記フィールドプレート電極を覆うように第2絶縁膜を形成する工程、(k)前記(j)工程後、前記トレンチの前記内部を埋め込むように、前記ゲート絶縁膜上、前記第2絶縁膜上および前記第1保護膜上に、第2導電性膜を形成する工程、(l)前記(k)工程後、前記トレンチの前記外部に位置する前記第2導電性膜を除去することで、前記フィールドプレート電極上において前記トレンチの前記内部に残された前記第2導電性膜をゲート電極として形成する工程、を備える。前記引き出し部に接している前記第1保護膜上および前記第2絶縁膜上に、前記(k)工程で形成された前記第2導電性膜は、前記(l)工程によって除去される。
【0013】
一実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、(a)上面および下面を有する第1導電型の半導体基板を用意する工程、(b)前記(a)工程後、前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に、トレンチを形成する工程、(c)前記(b)工程後、前記半導体基板の前記上面上および前記トレンチの内部に、第1絶縁膜を形成する工程、(d)前記(c)工程後、前記トレンチの前記内部を埋め込むように、前記第1絶縁膜上に第1導電性膜を形成する工程、(e)前記(d)工程後、前記トレンチの外部の前記第1導電性膜を除去することで、前記トレンチの前記内部に残された前記第1導電性膜をフィールドプレート電極として形成する工程、(f)前記(e)工程後、前記フィールドプレート電極および前記半導体基板の前記上面上の前記第1絶縁膜を覆うように、第2保護膜を形成する工程、(g)前記(f)工程後、前記第2保護膜上に、前記フィールドプレート電極の一部を覆い、且つ、前記フィールドプレート電極の他部を開口するパターンを有する第1レジストパターンを形成する工程、(h)前記(g)工程後、前記第1レジストパターンをマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、前記フィールドプレート電極の前記他部上に形成されている前記第2保護膜を除去する工程、(i)前記(h)工程後、前記第1レジストパターンをマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、前記フィールドプレート電極の前記一部が引き出し部として残されるように、前記フィールドプレート電極の前記他部を選択的に後退させる工程、(j)前記(i)工程後、前記第1レジストパターンを除去する工程、(k)前記(j)工程後、前記引き出し部上に形成されている前記第2保護膜、および、前記半導体基板の前記上面上の前記第1絶縁膜を除去すると共に、前記第1絶縁膜の上面の位置が前記フィールドプレート電極の上面の位置よりも低くなるように、前記トレンチの前記内部の前記第1絶縁膜を後退させる工程、(l)前記(k)工程後、前記第1絶縁膜上に位置する前記トレンチの前記内部に、ゲート絶縁膜を形成すると共に、前記第1絶縁膜から露出している前記フィールドプレート電極を覆うように、第2絶縁膜を形成する工程、(m)前記(l)工程後、前記トレンチの前記内部を埋め込むように、前記ゲート絶縁膜上、前記第2絶縁膜上および前記第1絶縁膜上に、第2導電性膜を形成する工程、(n)前記(m)工程後、前記トレンチの前記外部の前記第2導電性膜を除去することで、前記フィールドプレート電極上において前記トレンチの前記内部に残された前記第2導電性膜をゲート電極として形成する工程、を備える。前記引き出し部に接している前記第1絶縁膜上および前記第2絶縁膜上に、前記(m)工程で形成された前記第2導電性膜は、前記(n)工程で除去される。
【0014】
一実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、(a)上面および下面を有する第1導電型の半導体基板を用意する工程、(b)前記(a)工程後、前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に、トレンチを形成する工程、(c)前記(b)工程後、前記半導体基板の前記上面上および前記トレンチの内部に、第1絶縁膜を形成する工程、(d)前記(c)工程後、前記トレンチの前記内部を埋め込むように、前記第1絶縁膜上に第1導電性膜を形成する工程、(e)前記(d)工程後、前記トレンチの外部の前記第1導電性膜を除去することで、前記トレンチの前記内部に残された前記第1導電性膜をフィールドプレート電極として形成する工程、(f)前記(e)工程後、前記半導体基板の前記上面上に、前記フィールドプレート電極の一部を覆い、且つ、前記フィールドプレート電極の他部を開口するパターンを有するマスク層を形成する工程、(g)前記(f)工程後、前記マスク層をマスクとして、前記フィールドプレート電極の前記一部が引き出し部として残されるように、前記フィールドプレート電極の前記他部を選択的に後退させる工程、(h)前記(g)工程後、前記マスク層をマスクとして、前記マスク層から露出している前記半導体基板の前記上面上の前記第1絶縁膜を除去すると共に、前記マスク層から露出している前記第1絶縁膜の上面の位置が前記フィールドプレート電極の上面の位置よりも低くなるように、前記トレンチの前記内部の前記第1絶縁膜を後退させる工程、を備える。
【発明の効果】
【0015】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
【
図2】実施の形態1における半導体装置を示す要部平面図である。
【
図3】実施の形態1における半導体装置を示す要部平面図である。
【
図4】実施の形態1におけるフィールドプレート電極およびゲート電極のレイアウトを示す平面図である。
【
図5】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
【
図6】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図22】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図26】実施の形態2における半導体装置を示す断面図である。
【
図27】変形例1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図28】変形例1における半導体装置を示す断面図である。
【
図29】変形例1における半導体装置を示す要部平面図である。
【
図30】実施の形態3における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図35】変形例2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図42】実施の形態4における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図45】変形例3における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図50】検討例における半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0018】
また、本願において説明されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差し、互いに直交している。本願では、Z方向をある構造体の上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明する。また、本願で用いられる「平面図」または「平面視」などの表現は、X方向およびY方向によって構成される面を「平面」とし、この「平面」をZ方向から見ることを意味する。
【0019】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造>
以下に
図1~
図5を用いて、実施の形態1における半導体装置100について説明する。半導体装置100は、半導体素子としてトレンチゲート構造のMOSFETを含む。実施の形態1のMOSFETは、ゲート電極GEおよびフィールドプレート電極FPを備えたスプリットゲート構造を成している。
【0020】
図1は、半導体装置100である半導体チップの平面図である。
図2は、
図1に示される領域1Aを拡大した要部平面図である。
図3は、
図2の下方の構造体を示し、主に、半導体基板SUBに形成されたトレンチゲート構造を示している。また、
図2に示される孔CH1~CH3の位置は、
図3に示される孔CH1~CH3の位置と一致している。
図4は、フィールドプレート電極FPおよびゲート電極GEのレイアウトを示す平面図である。
図5は、
図2および
図3に示されるA-A線およびB-B線に沿った断面図である。
【0021】
図1は、主に半導体基板SUBの上方に形成される配線パターンを示している。半導体装置100は、セル領域CRと、平面視においてセル領域CRを囲む外周領域ORとを有する。セル領域CRには、複数のMOSFETのような主要な半導体素子が形成される。外周領域ORは、ゲート電極GEにゲート配線GWを接続させるため、および、ターミネーション領域として機能する外周トレンチTR2を形成するため等に用いられる。
【0022】
図1および
図2に示されるように、セル領域CRの大部分は、ソース電極SEで覆われている。平面視において、ゲート配線GWは、ソース電極SEを囲んでいる。また、ここでは図示していないが、ソース電極SEおよびゲート配線GWは、ポリイミド膜のような保護膜で覆われている。上記保護膜の一部には開口部が設けられ、その開口部で露出しているソース電極SEおよびゲート配線GWが、ソースパッドSPおよびゲートパッドGPになる。ソースパッドSP上およびゲートパッドGP上に、外部接続用部材が接続されることで、半導体装置100が、他の半導体チップ、リードフレームまたは配線基板などに電気的に接続される。なお、外部接続用部材は、例えば、アルミニウム、金または銅からなるワイヤであるか、銅板からなるクリップなどである。
【0023】
図3に示されるように、セル領域CRの半導体基板SUBには、複数のトレンチTR1が形成されている。複数のトレンチTR1は、ストライプ状に形成され、それぞれY方向に延在し、X方向において互いに隣接している。
【0024】
図5(
図2および
図3に示されるA-A線に沿った断面図)に示されるように、トレンチTR1の内部において、トレンチTR1の下部にはフィールドプレート電極FPが形成され、トレンチTR1の上部にはゲート電極GEが形成されている。フィールドプレート電極FPおよびゲート電極GEは、トレンチTR1に沿って、Y方向に延在している。
【0025】
図5(
図2および
図3に示されるB-B線に沿った断面図)に示されるように、フィールドプレート電極FPの一部は、引き出し部FPaを成している。引き出し部FPaを構成するフィールドプレート電極FPは、トレンチTR1の内部において、トレンチTR1の下部だけでなく、トレンチTR1の上部にも形成されている。
【0026】
外周領域ORの半導体基板SUBには、外周トレンチTR2が形成されている。外周トレンチTR2は、セル領域CRを囲むように、Y方向およびX方向に延在している。トレンチTR2の幅は、トレンチTR1と同様である。トレンチTR2の内部には、フィールドプレート電極FP(引き出し部FPa)が形成されている。
【0027】
セル領域CRにおいて、引き出し部FPa上には、孔CH3が形成されている。引き出し部FPaは、孔CH3を介してソース電極SEに電気的に接続される。外周領域ORにおいて、ゲート電極GE上には、孔CH2が形成されている。ゲート電極GEは、孔CH2を介してゲート配線GWに電気的に接続される。また、外周領域ORにおいて、フィールドプレート電極FPの一部上には、孔CH3が形成されている。フィールドプレート電極FPは、孔CH3を介してソース電極SEに電気的に接続される。
【0028】
図5に示されるように、トレンチTR1では、ゲート電極GEと、フィールドプレート電極FPの引き出し部FPaとが、半導体基板SUBから露出している。トレンチTR2では、フィールドプレート電極FPが、半導体基板SUBから露出している。
図4は、露出しているフィールドプレート電極FPおよびゲート電極GEの全体的なレイアウトを示している。
図4では、露出しているフィールドプレート電極FPが実線で示され、露出しているゲート電極GEが破線で示されている。
【0029】
以下に
図5を用いて、半導体装置100の断面構造について説明する。
【0030】
なお、実施の形態1では、
図2および
図3に示されるC-C線に沿った断面図は、トレンチの符号TR2が異なるという点以外、B-B線に沿った断面図と同じである。従って、以下ではB-B線に沿った断面図の説明を、C-C線に沿った断面図の説明と兼ねる。
【0031】
図5に示されるように、半導体装置100は、上面TSおよび下面BSを有するn型の半導体基板SUBを備える。半導体基板SUBは、n型のシリコンからなる。半導体基板SUBは、低濃度のn型のドリフト領域NVを有する。本実施の形態では、n型の半導体基板SUB自体が、ドリフト領域NVを構成している。なお、半導体基板SUBは、n型のシリコン基板と、上記シリコン基板上に、エピタキシャル成長法によって燐(P)を導入しながら成長させたn型の半導体層との積層体であってもよい。その場合、低濃度のn型の半導体層がドリフト領域NVを構成し、高濃度のn型のシリコン基板がドレイン領域NDを構成する。
【0032】
図5に示されるように、半導体基板SUBの下部には、n型のドレイン領域NDが形成されている。ドレイン領域NDは、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有している。半導体基板SUBの下面BS下には、ドレイン電極DEが形成されている。ドレイン電極DEは、例えばアルミニウム膜、チタン膜、ニッケル膜、金膜若しくは銀膜のような単層の金属膜、または、これらの金属膜を適宜積層させた積層膜からなる。ドレイン領域NDおよびドレイン電極DEは、セル領域CRおよび外周領域ORに渡って形成されている。半導体基板SUB(ドレイン領域ND、ドリフト領域NV)には、ドレイン電極DEからドレイン電位が供給される。
【0033】
半導体基板SUBには、半導体基板SUBの上面TSから半導体基板SUBの下面BSに向かって所定の深さに達する複数のトレンチTR1が形成されている。各トレンチTR1の深さは、例えば5μm以上且つ7μm以下である。トレンチTR1の内部において、トレンチTR1の下部には、絶縁膜IF1および保護膜PF1を介してフィールドプレート電極FPが形成されている。また、トレンチTR1の内部において、トレンチTR1の上部には、ゲート絶縁膜GIを介してゲート電極GEが形成されている。フィールドプレート電極FPおよびゲート電極GEは、それぞれ、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコン膜からなる。
【0034】
絶縁膜IF1の上面の位置は、フィールドプレート電極FPの上面の位置よりも低くなっている。保護膜PF1は、絶縁膜IF1上のトレンチTR1の内部に形成されている。ゲート絶縁膜GIは、保護膜PF1上のトレンチTR1の内部に形成されている。保護膜PF1から露出しているフィールドプレート電極FPを覆うように、絶縁膜IF2が形成されている。また、ゲート電極GEは、保護膜PF1から露出しているフィールドプレート電極FPと半導体基板SUBとの間にも、ゲート絶縁膜GIおよび絶縁膜IF2を介して形成されている。
【0035】
絶縁膜IF1および保護膜PF1は、半導体基板SUBとフィールドプレート電極FPとの間に形成されている。絶縁膜IF2は、ゲート電極GEとフィールドプレート電極FPとの間に形成されている。ゲート絶縁膜GIは、半導体基板SUBとゲート電極GEとの間に形成されている。これらの膜によって、半導体基板SUB、ゲート電極GEおよびフィールドプレート電極FPは、互いに電気的に絶縁されている。また、ゲート電極GE上には、絶縁膜IF3が形成されている。絶縁膜IF3は、例えば酸化シリコン膜からなる。
【0036】
絶縁膜IF1、保護膜PF1、絶縁膜IF2およびゲート絶縁膜GIは、例えば酸化シリコン膜からなる。絶縁膜IF1の厚さは、絶縁膜IF2およびゲート絶縁膜GIの各々の厚さよりも厚くなっている。トレンチTR1の内部において、絶縁膜IF1および保護膜PF1の各々の厚さは、例えば400nm以上且つ600nm以下である。また、トレンチTR1の内部において、絶縁膜IF2およびゲート絶縁膜GIの各々の厚さは、例えば50nm以上且つ70nm以下である。なお、これらの厚さは、X方向における厚さである。
【0037】
図5に示されるように、半導体基板SUBの上部には、トレンチTR1の深さよりも浅くなるように、p型のボディ領域PBが形成されている。ボディ領域PB内には、n型のソース領域NSが形成されている。ソース領域NSは、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有している。
【0038】
半導体基板SUBの上面TS上には、トレンチTR1を覆うように、層間絶縁膜ILが形成されている。層間絶縁膜ILは、例えば酸化シリコン膜からなる。層間絶縁膜ILの厚さは、例えば700nm以上且つ900nm以下である。
【0039】
層間絶縁膜ILには、層間絶縁膜ILおよびソース領域NSを貫通し、且つ、ボディ領域PBに達する孔CH1が形成されている。孔CH1の底部において、ボディ領域PBには、高濃度拡散領域PRが形成されている。高濃度拡散領域PRは、ボディ領域PBよりも高い不純物濃度を有する。
【0040】
層間絶縁膜IL上には、ソース電極SEが形成されている。ソース電極SEは、孔CH1を介してソース領域NS、ボディ領域PBおよび高濃度拡散領域PRに電気的に接続され、これらの不純物領域にソース電位を供給する。
【0041】
図5のB-B断面(
図2および
図3に示されるB-B線に沿った断面図)に示されるように、フィールドプレート電極FPの一部は、フィールドプレート電極FPの引き出し部FPaを成している。引き出し部FPaに接している絶縁膜IF1および保護膜PF1の各々の上面の位置は、引き出し部FPa以外のフィールドプレート電極FPに接している絶縁膜IF1および保護膜PF1の各々の上面の位置よりも高くなっている。
【0042】
保護膜PF1から露出している引き出し部FPaの側面には、絶縁膜IF2が形成されている。また、保護膜PF1上には、絶縁膜IF3が形成されている。なお、絶縁膜IF3は形成されていなくてもよい。また、引き出し部FPaに隣接する半導体基板SUBにはボディ領域PBが形成されているが、このボディ領域PB内には、ソース領域NSは、形成されていない。
【0043】
層間絶縁膜ILには、層間絶縁膜ILを貫通し、且つ、引き出し部FPaに達する孔CH3が形成されている。ソース電極SEは、孔CH3を介して引き出し部FPaに電気的に接続され、フィールドプレート電極FPにソース電位を供給する。
【0044】
ここでは図示していないが、層間絶縁膜ILには、層間絶縁膜ILを貫通し、且つ、ゲート電極GEに達する孔CH2が形成されている。ゲート配線GWは、孔CH2を介してゲート電極GEに電気的に接続され、ゲート電極GEにゲート電位を供給する。
【0045】
孔CH1~CH3の内部には、プラグPGが埋め込まれている。プラグPGは、例えば、バリアメタル膜と、上記バリアメタル膜上に形成された導電性膜とからなる。上記バリアメタル膜は、チタン膜および窒化チタン膜の積層膜からなる。上記導電性膜は、例えばタングステン膜である。
【0046】
ソース電極SEおよびゲート配線GWは、例えば、バリアメタル膜と、上記バリアメタル膜上に形成された導電性膜とからなる。上記バリアメタル膜は、例えばチタンタングステン膜であり、上記導電性膜は、例えば銅またはシリコンが添加されたアルミニウム合金膜である。
【0047】
<実施の形態1の主な特徴>
実施の形態1では、
図50の検討例と異なり、絶縁膜IF1上に保護膜PF1が形成されている。より具体的には、断面視において、絶縁膜IF1と絶縁膜IF2との間に保護膜PF1が位置している。このため、断面視における引き出し部FPaの上面と保護膜PF1の上面との間隔が、検討例における間隔よりも、近くなっている。例えば、断面視における引き出し部FPaの上面から保護膜PF1の上面までの距離は、100nm以下である。従って、ゲート電極GE用の導電性膜CF2をエッチングした際に、引き出し部FPaの周囲に形成された導電性膜CF2が、除去される。
【0048】
すなわち、絶縁膜IF2を介した引き出し部FPaの側面上に、検討例のような残渣RSが形成され難くなっている。このため、引き出し部FPaとドリフト領域NVとの間の絶縁耐圧が維持できるので、半導体装置100の信頼性を向上させることができる。
【0049】
<半導体装置の製造方法>
以下に
図6~
図21を用いて、半導体装置100の製造方法に含まれる各製造工程について説明する。
【0050】
まず、
図6に示されるように、上面TSおよび下面BSを有するn型の半導体基板SUBを用意する。上述のように、半導体基板SUBは、n型のシリコン基板と、エピタキシャル成長法によって上記シリコン基板上に形成されたn型の半導体層との積層体であってもよい。
【0051】
次に、
図7に示されるように、半導体基板SUBの上面TSから半導体基板SUBの下面BSに向かって所定の深さに達するように、半導体基板SUBにトレンチTR1を形成する。まず、半導体基板SUB上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、例えば酸化シリコン膜を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術および異方性エッチング処理によって、上記酸化シリコン膜をパターニングすることで、ハードマスクHMを形成する。次に、ハードマスクHMをマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、半導体基板SUBにトレンチTR1を形成する。その後、例えばフッ酸を含む溶液を用いたウェットエッチング処理によって、ハードマスクHMを除去する。
【0052】
次に、
図8に示されるように、まず、トレンチTR1の内部および半導体基板SUBの上面TS上に、絶縁膜IF1を形成する。絶縁膜IF1は、例えば熱酸化処理によって形成された酸化シリコン膜である。なお、絶縁膜IF1は、熱酸化処理によって形成された第1酸化シリコン膜と、上記第1酸化シリコン膜上に、CVD法によって形成された第2酸化シリコン膜との積層膜であってもよい。
【0053】
次に、トレンチTR1の内部を埋め込むように、例えばCVD法によって、絶縁膜IF1上に導電性膜CF1を形成する。導電性膜CF1は、例えばn型の多結晶シリコン膜である。トレンチTR1の内部に導電性膜CF1を良好に埋め込むために、導電性膜CF1の成膜を、複数回(例えば、第1多結晶シリコン膜の成膜と、第2多結晶シリコン膜の成膜との2回)に分けて行ってもよい。
【0054】
次に、
図9に示されるように、トレンチTR1の外部に位置する導電性膜CF1を除去することで、トレンチTR1の内部に残された導電性膜CF1をフィールドプレート電極FPとして形成する。
【0055】
具体的には、まず、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いた研磨処理によって、トレンチTR1の外部に形成されている導電性膜CF1を除去する。次に、例えばSF
6ガスを用いたエッチング処理を行うことで、トレンチTR1の内部における導電性膜CF1の上面の位置をトレンチTR1の底部に向かって(すなわち、
図9に示す矢印の方向に)後退させる。これにより、トレンチTR1の内部に残された導電性膜CF1をフィールドプレート電極FPとして形成する。
【0056】
次に、
図10に示されるように、フィールドプレート電極FPの一部が引き出し部FPaとして残されるように、フィールドプレート電極FPの他部を選択的に除去する。
【0057】
具体的には、まず、B-B断面に示されるように、引き出し部FPaとなるフィールドプレート電極FPの一部を選択的に覆うレジストパターンRP1を形成する。次に、レジストパターンRP1をマスクとして、例えばSF
6ガスを用いたエッチング処理を行うことで、引き出し部FPaとならないフィールドプレート電極FPの一部を除去する。すなわち、
図10のA-A断面(
図2および
図3に示されるA-A線に沿った断面図)に示されるように、引き出し部FPaとならないフィールドプレート電極FPの他部をトレンチTR1の底部に向かって(すなわち、
図10に示す矢印の方向に)選択的に後退させる。後退させなかったフィールドプレート電極FPの一部が引き出し部FPaとなる。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP1を除去する。
【0058】
次に、
図11に示されるように、絶縁膜IF1に対してフッ酸を含む溶液を用いた等方性エッチング処理を行う。これにより、半導体基板SUBの上面TS上に位置する絶縁膜IF1を除去すると共に、断面視においてトレンチTR1の内部に位置する絶縁膜IF1の上面の位置がフィールドプレート電極FPの上面の位置よりも低くなるように、トレンチTR1の内部に位置する絶縁膜IF1をトレンチTR1の底部に向かって(すなわち、
図11に示す矢印の方向に)後退させる。
【0059】
この時点で、引き出し部FPa以外のフィールドプレート電極FPに接している絶縁膜IF1の上面の位置は、引き出し部FPaのフィールドプレート電極FPに接している絶縁膜IF1の上面の位置よりも低くなっている。また、半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF1を除去したことで、引き出し部FPaの上面の位置は、
図11のB-B断面に示されるように、半導体基板SUBの上面TSの位置よりも高くなっている。
【0060】
次に、
図12に示されるように、フィールドプレート電極FPおよび絶縁膜IF1を覆うように、例えばCVD法によって、半導体基板SUBの上面TS上およびトレンチTR1の内部に、保護膜PF1を形成する。保護膜PF1は絶縁膜であり、例えば酸化シリコン膜である。
【0061】
また、半導体基板SUBの上面TS上に形成された保護膜PF1の厚さは、
図8の工程で半導体基板SUBの上面TS上に形成された絶縁膜IF1の厚さよりも薄い。
図8の上面TS上の絶縁膜IF1の厚さは、例えば400nm以上且つ600nm以下である。
図12の上面TS上の保護膜PF1の厚さは、例えば200nm以上且つ300nm以下である。
【0062】
次に、
図13に示されるように、保護膜PF1に対してフッ酸を含む溶液を用いた等方性エッチング処理を行う。これにより、半導体基板SUBの上面TS上に位置する保護膜PF1を除去すると共に、断面視においてトレンチTR1の内部に位置する保護膜PF1の上面の位置がフィールドプレート電極FPの上面の位置よりも低くなるように、トレンチTR1の内部に位置する保護膜PF1をトレンチTR1の底部に向かって(すなわち、
図13に示す矢印の方向に)後退させる。
【0063】
前述のように、
図12の工程で形成された保護膜PF1の厚さは
図8の工程で形成された絶縁膜IF1の厚さよりも薄いので、
図13の等方性エッチング処理の時間は
図11の等方性エッチング処理の時間よりも短い。そのため、
図13のエッチング処理で除去する膜の量は、
図11のエッチング処理で除去する膜の量よりも調整(制御)し易い。従って、トレンチTR1の内部において、保護膜PF1の後退量は、絶縁膜IF1の後退量よりも小さくなっている。そのため、B-B断面に示されるように、保護膜PF1の上面の位置を、半導体基板SUBの上面TSの位置および引き出し部FPaの上面の位置に、近づけることができる。この時点で、断面視における引き出し部FPaの上面から保護膜PF1の上面までの距離は、100nm以下である。
【0064】
次に、熱酸化処理を行うことで、
図14に示されるように、保護膜PF1上に位置するトレンチTR1の内部にゲート絶縁膜GIを形成すると共に、保護膜PF1から露出しているフィールドプレート電極FPを覆うように絶縁膜IF2を形成する。
【0065】
次に、トレンチTR1の内部を埋め込むように、例えばCVD法によって、ゲート絶縁膜GI上、絶縁膜IF2上および保護膜PF1上に、導電性膜CF2を形成する。導電性膜CF2は、例えばn型の多結晶シリコン膜である。
【0066】
次に、
図15に示されるように、導電性膜CF2に対してCMP法を用いた研磨処理を行う。これにより、導電性膜CF2の厚さが薄くなり、導電性膜CF2の上面が平坦化される。
【0067】
次に、
図16に示されるように、導電性膜CF2に対して異方性エッチング処理を行うことで、トレンチTR1の外部に位置する導電性膜CF2を除去する。これにより、フィールドプレート電極FP上においてトレンチTR1の内部に残された導電性膜CF2をゲート電極GEとして形成する。
【0068】
なお、トレンチTR1の外部の導電性膜CF2を完全に除去するために、異方性エッチング処理はオーバーエッチングで行われる。そのため、
図16のA-A断面に示されるように、ゲート電極GEの上面の位置は、半導体基板SUBの上面TSの位置よりも若干低くなる。
【0069】
また、この異方性エッチング処理によって、引き出し部FPaに接している保護膜PF1上および絶縁膜IF2上に形成されていた導電性膜CF2は、除去される。すなわち、前述のように、本実施の形態では、絶縁膜IF1上に保護膜PF1を予め形成しているので、
図16の工程の終了時に、絶縁膜IF2を介した引き出し部FPaの側面上に、検討例のような残渣RSは形成され難い。このため、引き出し部FPaとドリフト領域NVとの間の絶縁耐圧が維持できるので、半導体装置100の信頼性を向上させることができる。
【0070】
次に、
図17に示されるように、トレンチTR1を覆うように、例えばCVD法によって、半導体基板SUBの上面TS上およびゲート電極GE上に、絶縁膜IF3を形成する。
【0071】
次に、
図18に示されるように、絶縁膜IF3に対して異方性エッチング処理を行う。これにより、A-A断面に示されるように、ゲート電極GEの一部の上面上には、トレンチTR1の内部に位置するゲート絶縁膜GIに接するように、絶縁膜IF3が残される。また、B-B断面に示されるように、絶縁膜IF2を介した引き出し部FPaの側面上に、絶縁膜IF3が残される。また、この異方性エッチング処理によって、半導体基板SUBの上面TS上のゲート絶縁膜GI、および、引き出し部FPaの上面上の絶縁膜IF2も除去される。なお、前述のように、トレンチTR1の内部に位置するゲート絶縁膜GIは、残存した絶縁膜IF3によって覆われているので、この異方性エッチング処理によって、半導体基板SUBの上面TS上に位置するゲート絶縁膜GIは除去されるが、トレンチTR1の内部に位置するゲート絶縁膜GIは、A-A断面に示されるように、残存する。
【0072】
次に、
図19に示されるように、まず、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、例えばホウ素(B)を導入することで、半導体基板SUBに、p型のボディ領域PBを選択的に形成する。ボディ領域PBは、トレンチTR1の深さよりも浅くなるように形成される。
【0073】
次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、例えば砒素(As)を導入することで、セル領域CRのボディ領域PB内に、n型のソース領域NSを選択的に形成する。なお、引き出し部FPaに隣接するボディ領域PB内には、ソース領域NSを形成しない。その後、半導体基板SUBに対して熱処理を施すことで、ソース領域NSおよびボディ領域PBに含まれる不純物を拡散させる。
【0074】
次に、
図20に示されるように、まず、トレンチTR1を覆うように、例えばCVD法によって、半導体基板SUBの上面TS上に、層間絶縁膜ILを形成する。
【0075】
そして、層間絶縁膜ILに、孔CH1~CH3を形成する。まず、層間絶縁膜IL上に、ソース領域NSが形成されている半導体基板SUBを開口するパターンを有するレジストパターンを形成する。次に、上記レジストパターンをマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、層間絶縁膜ILおよびソース領域NSを貫通し、且つ、ボディ領域PBの内部に達する孔CH1を形成する。次に、イオン注入法によって、孔CH1の底部におけるボディ領域PBに、例えばホウ素(B)を導入することで、p型の高濃度拡散領域PRを形成する。その後、アッシング処理によって上記レジストパターンを除去する。
【0076】
次に、層間絶縁膜IL上に、引き出し部FPa上およびゲート電極GE上を開口するパターンを有するレジストパターンを形成する。次に、上記レジストパターンをマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、層間絶縁膜ILを貫通し、且つ、引き出し部FPaに達する孔CH3を形成する。ここでは図示していないが、孔CH3を形成する工程で、層間絶縁膜ILを貫通し、且つ、ゲート電極GEに達する孔CH2も形成される。その後、アッシング処理によって上記レジストパターンを除去する。
【0077】
なお、孔CH1~CH3を形成する順番は、何れが先であっても構わない。
【0078】
次に、
図21に示されるように、孔CH1~CH3の内部にプラグPGを形成し、層間絶縁膜IL上にソース電極SEおよびゲート配線GWを形成する。
【0079】
具体的には、まず、孔CH1~CH3の内部および層間絶縁膜IL上に、スパッタリング法またはCVD法によって第1バリアメタル膜を形成する。上記第1バリアメタル膜は、例えば窒化チタン膜およびチタン膜の積層膜からなる。次に、上記第1バリアメタル膜上に、CVD法によって第1導電性膜を形成する。上記第1導電性膜は、例えばタングステン膜からなる。次に、CMP法または異方性エッチング処理によって、孔CH1~CH3の外部に形成されている上記第1バリアメタル膜および上記第1導電性膜を除去する。これにより、孔CH1~CH3の内部を埋め込むように、上記第1バリアメタル膜および上記第1導電性膜からなるプラグPGが形成される。
【0080】
次に、層間絶縁膜IL上に、スパッタリング法によって、第2バリアメタル膜を形成する。上記第2バリアメタル膜は、例えばチタンタングステン膜からなる。次に、上記第2バリアメタル膜上に、スパッタリング法によって第2導電性膜を形成する。上記第2導電性膜は、例えば銅またはシリコンが添加されたアルミニウム合金膜である。次に、上記第2バリアメタル膜および上記第2導電性膜をパターニングすることで、ソース電極SEおよびゲート配線GWを形成する。
【0081】
次に、ここでは図示はしないが、ソース電極SE上およびゲート配線GW上に、例えば塗布法によって、例えばポリイミド膜からなる保護膜を形成する。上記保護膜の一部に開口部を形成することで、ソース電極SEおよびゲート配線GWのうち、ソースパッドSPおよびゲートパッドGPになる領域を露出させる。
【0082】
その後、以下の製造工程を経て、
図5に示される構造体が得られる。まず、必要に応じて半導体基板SUBの下面BSを研磨する。次に、半導体基板SUBの下面BSに、イオン注入法によって、例えば砒素(As)などを導入することで、n型のドレイン領域NDを形成する。なお、半導体基板SUBがn型のシリコン基板とn型の半導体層との積層体で構成されている場合、高濃度のn型のシリコン基板がドレイン領域NDを成すので、上述のイオン注入によるドレイン領域NDの形成を省略できる。次に、半導体基板SUBの下面BS下に、スパッタリング法によって、ドレイン電極DEを形成する。
【0083】
(実施の形態2)
以下に
図22~
図26を用いて、実施の形態2における半導体装置100について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0084】
実施の形態1では、保護膜PF1によって導電性膜CF2の残渣RSの発生を抑制したが、実施の形態2では、レジストパターンRP2を用いた異方性エッチング処理によって、残渣RSを除去する。なお、
図22は、実施の形態1の
図11に続く製造工程を示している。
【0085】
まず、熱酸化処理を行うことで、
図22に示されるように、絶縁膜IF1上に位置するトレンチTR1の内部にゲート絶縁膜GIを形成すると共に、絶縁膜IF1から露出しているフィールドプレート電極FPを覆うように絶縁膜IF2を形成する。
【0086】
次に、トレンチTR1の内部を埋め込むように、例えばCVD法によって、ゲート絶縁膜GI上、絶縁膜IF2上および絶縁膜IF1上に、導電性膜CF2を形成する。次に、導電性膜CF2に対してCMP法を用いた研磨処理を行う。
【0087】
次に、
図23に示されるように、導電性膜CF2に対して異方性エッチング処理を行うことで、トレンチTR1の外部に形成されていた導電性膜CF2を除去する。これにより、フィールドプレート電極FP上においてトレンチTR1の内部に残された導電性膜CF2をゲート電極GEとして形成する。
【0088】
また、この異方性エッチング処理によって、絶縁膜IF2を介した引き出し部FPaの上面上に形成されていた導電性膜CF2は除去されるが、絶縁膜IF2を介した引き出し部FPaの側面上に、導電性膜CF2の残渣RSが残される場合がある。
【0089】
次に、
図24に示されるように、まず、半導体基板SUBの上面TS上に、フィールドプレート電極FPのうち引き出し部FPaを選択的に開口するパターンを有するレジストパターンRP2を形成する。引き出し部FPa以外のフィールドプレート電極FPは、レジストパターンRP2によって覆われる。
【0090】
次に、レジストパターンRP2をマスクとして、導電性膜CF2に対して異方性エッチング処理を行う。この異方性エッチング処理は、ゲート絶縁膜GIおよび絶縁膜IF2がエッチングされ難く、且つ、導電性膜CF2がエッチングされ易い条件下で行われる。これにより、絶縁膜IF2を介した引き出し部FPaの側面上に、残渣RSが残されていたとしても、残渣RSを完全に除去できる。
【0091】
次に、
図25に示されるように、トレンチTR1を覆うように、例えばCVD法によって、半導体基板SUBの上面上に、絶縁膜IF3を形成する。次に、絶縁膜IF3に対して異方性エッチング処理を行う。これにより、A-A断面に示されるように、ゲート電極GEの一部の上面上には、ゲート絶縁膜GIに接するように、絶縁膜IF3が残される。また、B-B断面に示されるように、絶縁膜IF2を介した引き出し部FPaの側面上に、絶縁膜IF3が残される。すなわち、先の工程により残渣RSが除去された領域(隙間)は、絶縁膜IF3によって塞がれる。
【0092】
その後、実施の形態1の
図19以降と同様の製造工程を行うことで、
図26に示される構造体が得られる。このように、実施の形態2でも、フィールドプレート電極FP(引き出し部FPa)の側面上に、導電性膜CF2の残渣RSが除去されるので、半導体装置100の信頼性を向上できる。
【0093】
なお、実施の形態2の技術を、実施の形態1等の各実施の形態にも適用することができる。例えば、実施の形態1において、導電性膜CF2に対する異方性エッチング処理を行った後(
図16を参照)であって、絶縁膜IF3を形成する前(
図17を参照)に、本実施の形態2の
図24に示されるレジストパターンRP2を用いた異方性エッチング処理を行ってもよい。それによって、仮に、導電性膜CF2に対する異方性エッチング処理によって導電性膜CF2を除去しきれずに、絶縁膜IF2を介した引き出し部FPaの側面上に導電性膜CF2の残渣RSが残されていたとしても、本実施の形態2の
図24に示される異方性エッチング処理によって、この残渣RSをより確実に除去できる。
【0094】
(変形例1)
以下に
図27~
図29を用いて、実施の形態2の変形例1における半導体装置100について説明する。
【0095】
実施の形態2の技術は、基本的に、半導体装置100に形成されている全ての引き出し部FPaに対して行われるが、変形例1では、一部の引き出し部FPaに対して実施の形態2の技術を行う。
【0096】
具体的には、
図4に示される「外周トレンチTR2のフィールドプレート電極FP(引き出し部FPa)」に対して実施の形態2の技術を行う。すなわち、
図3に示されるC-C線に沿った断面のような、外周トレンチTR2に対して、残渣RSの除去を行う。
【0097】
一方で、
図4に示される「セル領域CR内のフィールドプレート電極FP」、「セル領域CRの終端部のフィールドプレート電極FP」および「ゲートパッドGP下のフィールドプレート電極FP」に対しては、実施の形態2の技術を行わない。少なくとも「セル領域CR内のフィールドプレート電極FP」に対しては、実施の形態2の技術を行わず、敢えて残渣RSを残している。
【0098】
実施の形態2の
図24では、レジストパターンRP2が、引き出し部FPa以外のフィールドプレート電極FPを覆っていた。変形例1では、
図27に示されるように、レジストパターンRP2は、引き出し部FPa以外のフィールドプレート電極FPだけでなく、セル領域CRの引き出し部FPaも覆っており、外周領域ORの引き出し部FPaを開口している。この状態で、レジストパターンRP2をマスクとして、導電性膜CF2に対して、実施の形態2と同様の異方性エッチング処理を行う。
【0099】
外周トレンチTR2のフィールドプレート電極FP(引き出し部FPa)の側面上に形成されていた残渣RSは、上記異方性エッチング処理によって除去される。一方で、トレンチTR1の引き出し部FPaの側面上に形成されていた残渣RSは、ゲート電極GEの一部として残される。
図28に示されるように、この残されたゲート電極GEの一部が、連結部GEaとなる。連結部GEaは、X方向において、絶縁膜IF2を介して引き出し部FPaの両側面上に形成されている。
【0100】
図29は、
図4のトレンチゲートのうち、主に、ゲート電極GEに関する箇所を部分的に拡大した平面図である。
【0101】
ゲート電極GEは、Y方向における第1端部と、Y方向において第1端部と反対側に位置する第2端部とを含む。なお、第1端部は、図中の上側の外周領域ORに位置するゲート電極GEの端部であり、第2端部は、図中の下側の外周領域ORに位置するゲート電極GEの端部である。
【0102】
引き出し部FPaは、第1端部側のゲート電極GEと第2端部側のゲート電極GEとの間の位置するトレンチTR1の内部に形成されている。すなわち、引き出し部FPaによって、ゲート電極GEは図中の上下に分断されている。
【0103】
例えば、孔CH2を形成する際に、エッチング量の不足などが原因で、孔CH2がゲート電極GEに達しない場合がある。すなわち、第1端部側または第2端部側の何れかの孔CH2が非開口となるという虞がある。そうすると、第1端部側または第2端部側の何れかのゲート電極GEを利用しているMOSFETが機能しなくなるという問題がある。
【0104】
このような問題に対して、変形例1では、引き出し部FPaの側面上に連結部GEaが設けられている。連結部GEaは、引き出し部FPaが形成されているトレンチTR1の内部において、第1端部側のゲート電極GEと第2端部側のゲート電極GEとを接続する。
【0105】
例えば、第2端部側の孔CH2が非開口になっており、第2端部側のゲート電極GEにゲート電位が直接供給されない状態になっていたとしても、第2端部側のゲート電極GEには、連結部GEaを介して第1端部側のゲート電極GEからゲート電位が供給される。従って、上述の問題を解消できる。
【0106】
このように、変形例1によれば、外周領域ORにおいて、残渣RSを除去できると共に、セル領域CRにおいて、ゲート電極GEを利用しているMOSFETを正常に機能させることができる。従って、半導体装置100の信頼性を更に向上させることができる。
【0107】
(実施の形態3)
以下に
図30~
図34を用いて、実施の形態3における半導体装置100について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0108】
実施の形態3では、半導体基板SUBの上面TS上に形成された絶縁膜IF1上に、更に保護膜PF2を形成することで、残渣RSの形成を抑制する。なお、
図30は、実施の形態1の
図9に続く製造工程を示している。
【0109】
図30に示されるように、フィールドプレート電極FPおよび半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF1を覆うように、例えばCVD法によって保護膜PF2を形成する。保護膜PF2は、例えば酸化シリコン膜である。保護膜PF2の厚さは、例えば200nm以上且つ550nm以下であり、後述の等方性エッチング処理によってエッチングされる酸化シリコン膜の厚さよりも薄い。
【0110】
図31に示されるように、まず、保護膜PF2上に、実施の形態1と同様に、引き出し部FPaとなるフィールドプレート電極FPの一部を選択的に覆うレジストパターンRP1を形成する。次に、レジストパターンRP1をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、フィールドプレート電極FPの他部上に形成されている保護膜PF2を除去する。
【0111】
次に、レジストパターンRP1をマスクとして、フィールドプレート電極FPに対して、例えばSF6ガスを用いたエッチング処理を行う。これにより、フィールドプレート電極FPの他部を選択的に後退させる。後退させなかったフィールドプレート電極FPの一部が引き出し部FPaとなる。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP1を除去する。
【0112】
なお、フィールドプレート電極FPの他部上に形成されている保護膜PF2を除去した後、レジストパターンRP1を除去してもよい。その場合、フィールドプレート電極FPに対する異方性エッチング処理は、保護膜PF2および絶縁膜IF1がエッチングされ難く、且つ、フィールドプレート電極FPがエッチングされ易い条件下で行われる。
【0113】
図32に示されるように、酸化シリコン膜(保護膜PF2および絶縁膜IF1)に対してフッ酸を含む溶液を用いた等方性エッチング処理を行う。これにより、引き出し部FPa上に形成されている保護膜PF2、および、半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF1を除去する。同時に、絶縁膜IF1の上面の位置がフィールドプレート電極FPの上面の位置よりも低くなるように、トレンチTR1の内部の絶縁膜IF1を後退させる。
【0114】
なお、
図32のB-B断面では、半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF1が若干残されている場合を例示している。しかしながら、この絶縁膜IF1が完全に除去され、B-B断面の半導体基板SUBの上面TSが露出していてもよい。
【0115】
引き出し部FPa上に保護膜PF2が形成されていたので、保護膜PF2の厚さの分、引き出し部FPaに接する絶縁膜IF1の後退量は、
図50の検討例よりも少なくなる。このため、引き出し部FPaの上面の位置と、絶縁膜IF1の上面の位置とが、検討例よりも近くなっている。例えば、引き出し部FPaの上面の位置と、絶縁膜IF1の上面の位置との間の距離は、100nm以下である。
【0116】
図33に示されるように、実施の形態1と同様の手法で、ゲート絶縁膜GIおよび絶縁膜IF2を形成する。次に、トレンチTR1の内部を埋め込むように、ゲート絶縁膜GI上、絶縁膜IF2上および絶縁膜IF1上に、導電性膜CF2を形成する。次に、導電性膜CF2に対してCMP法を用いた研磨処理を行う。
【0117】
図34に示されるように、導電性膜CF2に対して異方性エッチング処理を行うことで、トレンチTR1の外部に形成されていた導電性膜CF2を除去する。これにより、フィールドプレート電極FP上においてトレンチTR1の内部にゲート電極GEを形成する。
【0118】
その後の製造工程は、実施の形態1の
図17以降の製造工程と同様である。
【0119】
上述のように、実施の形態3では、保護膜PF2を形成したことによって、引き出し部FPaの上面の位置と、絶縁膜IF1の上面の位置とが近くなっている。従って、引き出し部FPaに接している絶縁膜IF1上および絶縁膜IF2上に形成されていた導電性膜CF2を、
図34の異方性エッチング処理によって容易に除去できる。このように、実施の形態3の技術によっても、検討例のような残渣RSの形成を抑制できる。
【0120】
(変形例2)
以下に
図35~
図41を用いて、実施の形態3の変形例2における半導体装置100について説明する。
【0121】
変形例2では、保護膜PF2の形成前に、フィールドプレート電極FPと、半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF1とに対して、平坦化処理を行う。
【0122】
図35は、
図8の製造工程の後に、平坦化処理を行った様子を示している。変形例2における平坦化処理としては、例えば2つの手法があり、
図36は、それら2つの手法の詳細を示している。
【0123】
図36に示されるように、「平坦化処理1」では、まず、導電性膜CF1に対してCMP法による研磨処理を行うことで、フィールドプレート電極FPを形成する。この際、半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF1が、エッチングストッパとして機能する。この研磨処理によって、フィールドプレート電極FPおよび絶縁膜IF1の各々の上面が、面一となる。
【0124】
次に、半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF1と、フィールドプレート電極FPとに対して異方性エッチング処理を行う。この異方性エッチング処理は、絶縁膜IF1およびフィールドプレート電極FPの両方が削れやすい条件下で行われる。
【0125】
図36に示されるように、「平坦化処理2」では、まず、導電性膜CF1に対してCMP法による研磨処理を行うことで、フィールドプレート電極FPを形成する。次に、フィールドプレート電極FPの上面の位置が、半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF1の上面の位置よりも低くなるように、フィールドプレート電極FPに対して異方性エッチング処理を行う。
【0126】
次に、半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF1に対して異方性エッチング処理を行う。この異方性エッチング処理は、絶縁膜IF1がエッチングされ難く、且つ、フィールドプレート電極FP(導電性膜CF1)がエッチングされ易い条件下で行われる。
【0127】
「平坦化処理2」の場合、フィールドプレート電極FPの上部付近において、絶縁膜IF1とフィールドプレート電極FPとの間に若干の隙間が生じるが、この隙間は、次工程の保護膜PF2によって埋められる。従って、フィールドプレート電極FPおよび絶縁膜IF1の各々の上面が、実質的に面一となる。
【0128】
図37は、
図35(
図36)に続く製造工程を示している。
図37に示されるように、フィールドプレート電極FPおよび半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF1を覆うように、例えばCVD法によって保護膜PF2を形成する。
【0129】
図38に示されるように、まず、保護膜PF2上に、レジストパターンRP1を形成する。次に、レジストパターンRP1をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、フィールドプレート電極FPの他部上に形成されている保護膜PF2を除去する。次に、レジストパターンRP1をマスクとして、フィールドプレート電極FPに対して異方性エッチング処理を行う。これにより、フィールドプレート電極FPの他部を選択的に後退させる。後退させなかったフィールドプレート電極FPの一部が引き出し部FPaとなる。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP1を除去する。
【0130】
図39に示されるように、保護膜PF2および絶縁膜IF1に対してフッ酸を含む溶液を用いた等方性エッチング処理を行う。これにより、引き出し部FPa上に形成されている保護膜PF2、および、半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF1を除去する。同時に、絶縁膜IF1の上面の位置がフィールドプレート電極FPの上面の位置よりも低くなるように、トレンチTR1の内部の絶縁膜IF1を後退させる。
【0131】
変形例2でも、保護膜PF2の厚さの分、引き出し部FPaに接する絶縁膜IF1の後退量は、
図50の検討例よりも少なくなる。例えば、引き出し部FPaの上面の位置と、絶縁膜IF1の上面の位置との間の距離は、50nm以下である。
【0132】
図40に示されるように、ゲート絶縁膜GIおよび絶縁膜IF2を形成する。次に、トレンチTR1の内部を埋め込むように、ゲート絶縁膜GI上、絶縁膜IF2上および絶縁膜IF1上に、導電性膜CF2を形成する。次に、導電性膜CF2に対してCMP法を用いた研磨処理を行う。
【0133】
図41に示されるように、導電性膜CF2に対して異方性エッチング処理を行うことで、トレンチTR1の外部に形成されていた導電性膜CF2を除去する。これにより、フィールドプレート電極FP上においてトレンチTR1の内部にゲート電極GEを形成する。
【0134】
その後の製造工程は、実施の形態1の
図17以降の製造工程と同様である。
【0135】
上述のように、変形例2でも、実施の形態3と同様に、保護膜PF2を形成したことによって、引き出し部FPaの上面の位置と、絶縁膜IF1の上面の位置とが近くなっている。そして、変形例2では、平坦化処理を行ったことで、フィールドプレート電極FPの上部付近において、絶縁膜IF1とフィールドプレート電極FPとの間に隙間が生じなくなる。
【0136】
そのため、
図39のB-B断面に示されるように、等方性エッチング処理によって絶縁膜IF1を後退させた後、絶縁膜IF1の上面がほぼ平坦になっている。従って、導電性膜CF2の形成時に、上記隙間に導電性膜CF2が入り込むという事が無い。そのため、変形例2では、実施の形態3と比較して、導電性膜CF2の異方性エッチング処理時に、絶縁膜IF1上の導電性膜CF2を更に除去し易くなるので、検討例のような残渣RSの形成を更に抑制できる。
【0137】
(実施の形態4)
以下に
図42~
図44を用いて、実施の形態4における半導体装置100について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0138】
実施の形態4では、同一のマスク層MK1をマスクとして、フィールドプレート電極FPを後退させる工程と、絶縁膜IF1を後退させる工程とを、連続して行う。なお、
図42は、実施の形態1の
図10に続く製造工程を示している。
【0139】
図42に示されるように、まず、
図10でフィールドプレート電極FPの後退に使用したレジストパターンRP1を、マスク層MK1として残しておく。次に、マスク層MK1をマスクとして、マスク層MK1から露出している半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF1を除去する。同時に、マスク層MK1から露出している絶縁膜IF1の上面の位置がフィールドプレート電極FPの上面の位置よりも低くなるように、トレンチTR1の内部の絶縁膜IF1を後退させる。その後、アッシング処理によってマスク層MK1(レジストパターンRP1)を除去する。
【0140】
図43に示されるように、ゲート絶縁膜GIおよび絶縁膜IF2を形成する。次に、トレンチTR1の内部を埋め込むように、ゲート絶縁膜GI上、絶縁膜IF2上および絶縁膜IF1上に、導電性膜CF2を形成する。次に、導電性膜CF2に対してCMP法を用いた研磨処理を行う。
【0141】
図44に示されるように、導電性膜CF2に対して異方性エッチング処理を行うことで、トレンチTR1の外部に形成されていた導電性膜CF2を除去する。これにより、フィールドプレート電極FP上においてトレンチTR1の内部にゲート電極GEを形成する。
【0142】
その後の製造工程は、実施の形態1の
図17以降の製造工程と同様である。
【0143】
実施の形態4では、絶縁膜IF1を後退させる工程時に、引き出し部FPaに接している絶縁膜IF1は、マスク層MK1に覆われており、後退しない。そのため、引き出し部FPaの上面の位置と、絶縁膜IF1の上面の位置とが近くなっている。従って、引き出し部FPaに接している絶縁膜IF1上および絶縁膜IF2上に形成されていた導電性膜CF2を、
図44の異方性エッチング処理によって容易に除去できる。このように、実施の形態4の技術によっても、検討例のような残渣RSの形成を抑制できる。
【0144】
(変形例3)
以下に
図45~
図49を用いて、実施の形態4の変形例3における半導体装置100について説明する。
【0145】
変形例3では、レジストパターンRP1と異なるマスク層MK2を用いて、フィールドプレート電極FPを後退させる工程と、絶縁膜IF1を後退させる工程とを、連続して行う。なお、
図45は、実施の形態1の
図9に続く製造工程を示している。
【0146】
図45に示されるように、フィールドプレート電極FPおよび半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF1を覆うように、例えばCVD法によってマスク層MK2を形成する。マスク層MK2は、絶縁膜IF1、絶縁膜IF2、ゲート絶縁膜GI、フィールドプレート電極FP(導電性膜CF1)およびゲート電極GE(導電性膜CF2)と異なる材料からなる絶縁膜であり、例えば窒化シリコン膜である。マスク層MK2の厚さは、例えば50nm以上且つ200nm以下である。
【0147】
図46に示されるように、まず、マスク層MK2上に、実施の形態1と同様のレジストパターンRP1を形成する。次に、レジストパターンRP1をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、マスク層MK2をパターニングする。マスク層MK2は、レジストパターンRP1の開口パターンに対応した開口パターンを有する。すなわち、マスク層MK2は、フィールドプレート電極FPの一部を覆い、且つ、フィールドプレート電極FPの他部を開口するパターンを有する。
【0148】
次に、マスク層MK2をマスクとして、フィールドプレート電極FPに対して、例えばSF6ガスを用いたエッチング処理を行う。これにより、フィールドプレート電極FPの他部を選択的に後退させる。後退させなかったフィールドプレート電極FPの一部が引き出し部FPaとなる。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP1を除去する。
【0149】
なお、この異方性エッチング処理時には、マスク層MK2と共にレジストパターンRP1もマスクとして使用してもよいが、レジストパターンRP1は、マスク層MK2のパターニング直後に除去されていてもよい。すなわち、マスク層MK2のみをマスクとして、フィールドプレート電極FPを後退させることもできる。
【0150】
図47に示されるように、マスク層MK2をマスクとして、マスク層MK2から露出している半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF1を除去する。同時に、マスク層MK2から露出している絶縁膜IF1の上面の位置がフィールドプレート電極FPの上面の位置よりも低くなるように、トレンチTR1の内部の絶縁膜IF1を後退させる。
【0151】
図48に示されるように、ゲート絶縁膜GIおよび絶縁膜IF2を形成する。なお、引き出し部FPaの上面はマスク層MK2によって覆われているので、引き出し部FPaの上面には、絶縁膜IF2は形成されない。次に、トレンチTR1の内部を埋め込むように、ゲート絶縁膜GI上、絶縁膜IF2上および絶縁膜IF1上に、導電性膜CF2を形成する。次に、導電性膜CF2に対してCMP法を用いた研磨処理を行う。
【0152】
図49に示されるように、導電性膜CF2に対して異方性エッチング処理を行うことで、トレンチTR1の外部に形成されていた導電性膜CF2を除去する。これにより、フィールドプレート電極FP上においてトレンチTR1の内部にゲート電極GEを形成する。
【0153】
その後、異方性エッチング処理、または、燐酸を含む溶液を用いた等方性エッチング処理によって、マスク層MK2を除去する。なお、マスク層MK2の除去は
図47のトレンチTR1の内部の絶縁膜IF1を後退させた直後でも良い。
【0154】
その後の製造工程は、実施の形態1の
図17以降の製造工程と同様である。
【0155】
変形例3では、絶縁膜IF1を後退させる工程時に、引き出し部FPaに接している絶縁膜IF1は、マスク層MK2に覆われており、後退しない。そのため、引き出し部FPaの上面の位置と、絶縁膜IF1の上面の位置とが近くなっている。従って、引き出し部FPaに接しているマスク層MK2上に形成されていた導電性膜CF2を、
図49の異方性エッチング処理によって容易に除去できる。このように、変形例3の技術によっても、検討例のような残渣RSの形成を抑制できる。
【0156】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0157】
以下に上記実施の形態に記載された内容の一部を記載する。
【0158】
[付記1]
(a)上面および下面を有する第1導電型の半導体基板を用意する工程、
(b)前記(a)工程後、前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に、トレンチを形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記半導体基板の前記上面上および前記トレンチの内部に、第1絶縁膜を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記トレンチの前記内部を埋め込むように、前記第1絶縁膜上に第1導電性膜を形成する工程、
(e)前記(d)工程後、前記トレンチの外部の前記第1導電性膜を除去することで、前記トレンチの前記内部に残された前記第1導電性膜をフィールドプレート電極として形成する工程、
(f)前記(e)工程後、前記半導体基板の前記上面上に、前記フィールドプレート電極の一部を覆い、且つ、前記フィールドプレート電極の他部を開口するパターンを有する第1レジストパターンを形成する工程、
(g)前記(f)工程後、第1レジストパターンをマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、前記フィールドプレート電極の前記一部が引き出し部として残されるように、前記フィールドプレート電極の前記他部を選択的に後退させる工程、
(h)前記(g)工程後、第1レジストパターンを除去する工程、
(i)前記(h)工程後、前記半導体基板の前記上面上の前記第1絶縁膜を除去すると共に、前記第1絶縁膜の上面の位置が前記フィールドプレート電極の上面の位置よりも低くなるように、前記トレンチの前記内部の前記第1絶縁膜を後退させる工程、
(j)前記(i)工程後、前記第1絶縁膜上に位置する前記トレンチの前記内部に、ゲート絶縁膜を形成すると共に、前記第1絶縁膜から露出している前記フィールドプレート電極を覆うように、第2絶縁膜を形成する工程、
(k)前記(j)工程後、前記トレンチの前記内部を埋め込むように、前記ゲート絶縁膜上、前記第2絶縁膜上および前記第1絶縁膜上に、第2導電性膜を形成する工程、
(l)前記(k)工程後、前記トレンチの前記外部の前記第2導電性膜を除去することで、前記フィールドプレート電極上において前記トレンチの前記内部に残された前記第2導電性膜をゲート電極として形成する工程、
(m)前記(l)工程後、前記半導体基板の前記上面上に、前記フィールドプレート電極のうち前記引き出し部を選択的に開口するパターンを有する第2レジストパターンを形成する工程、
(n)前記(m)工程後、前記第2レジストパターンをマスクとして、前記ゲート絶縁膜および前記第2絶縁膜がエッチングされ難く、且つ、前記第2導電性膜がエッチングされ易い条件下で、異方性エッチング処理を行う工程、
を備える、半導体装置の製造方法。
【0159】
[付記2]
MOSFETが形成されるセル領域と、平面視で前記セル領域を囲む外周領域とを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)上面および下面を有する第1導電型の半導体基板を用意する工程、
(b)前記(a)工程後、前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記セル領域の前記半導体基板に第1トレンチを形成する共に、前記外周領域の前記半導体基板に第2トレンチを形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記半導体基板の前記上面上、前記第1トレンチの内部および前記第2トレンチの内部に、第1絶縁膜を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記第1トレンチの前記内部および前記第2トレンチの前記内部を埋め込むように、前記第1絶縁膜上に第1導電性膜を形成する工程、
(e)前記(d)工程後、前記第1トレンチの外部および前記第2トレンチの外部の前記第1導電性膜を除去することで、前記第1トレンチの前記内部に残された前記第1導電性膜を第1フィールドプレート電極として形成すると共に、前記第2トレンチの前記内部に残された前記第1導電性膜を第2フィールドプレート電極として形成する工程、
(f)前記(e)工程後、前記半導体基板の前記上面上に、前記第1フィールドプレート電極の一部および前記第2フィールドプレート電極を覆い、且つ、前記第1フィールドプレート電極の他部を開口するパターンを有する第1レジストパターンを形成する工程、
(g)前記(f)工程後、第1レジストパターンをマスクとして、前記第1フィールドプレート電極の前記一部および前記第2フィールドプレート電極が引き出し部として残されるように、前記第1フィールドプレート電極の前記他部を選択的に後退させる工程、
(h)前記(g)工程後、第1レジストパターンを除去する工程、
(i)前記(h)工程後、前記半導体基板の前記上面上の前記第1絶縁膜を除去すると共に、前記第1絶縁膜の上面の位置が前記第1フィールドプレート電極の上面の位置および前記第2フィールドプレート電極の上面の位置よりも低くなるように、前記第1トレンチの前記内部および前記第2トレンチの前記内部の前記第1絶縁膜を後退させる工程、
(j)前記(i)工程後、前記第1絶縁膜上に位置する前記第1トレンチの前記内部および前記第2トレンチの前記内部に、ゲート絶縁膜を形成すると共に、前記第1絶縁膜から露出している前記第1フィールドプレート電極および前記第2フィールドプレート電極を覆うように、第2絶縁膜を形成する工程、
(k)前記(j)工程後、前記第1トレンチの前記内部および前記第2トレンチの前記内部を埋め込むように、前記ゲート絶縁膜上、前記第2絶縁膜上および前記第1絶縁膜上に、第2導電性膜を形成する工程、
(l)前記(k)工程後、前記第1トレンチの前記外部および前記第2トレンチの前記外部の前記第2導電性膜を除去することで、前記第1フィールドプレート電極上において前記第1トレンチの前記内部に残された前記第2導電性膜をゲート電極として形成する工程、
(m)前記(l)工程後、前記半導体基板の前記上面上に、前記第2フィールドプレート電極を選択的に開口するパターンを有する第2レジストパターンを形成する工程、
(n)前記(m)工程後、前記第2レジストパターンをマスクとして、前記ゲート絶縁膜および前記第2絶縁膜がエッチングされ難く、且つ、前記第2導電性膜がエッチングされ易い条件下で、異方性エッチング処理を行う工程、
を備え、
前記第1トレンチは、平面視における第1方向に延在し、
前記第2トレンチは、前記セル領域を囲むように、前記第1方向および平面視で前記第1方向と直交する第2方向に延在し、
前記ゲート電極は、前記第1方向における第1端部と、前記第1方向において前記第1端部と反対側に位置する第2端部とを含み、
前記第1フィールドプレート電極の前記引き出し部は、前記第1端部側の前記ゲート電極と前記第2端部側の前記ゲート電極との間の位置する前記第1トレンチの前記内部に形成され、
前記(l)工程では、前記第2絶縁膜を介して前記第1フィールドプレート電極の前記引き出し部の側面上に、前記第1端部側の前記ゲート電極と前記第2端部側の前記ゲート電極とを接続する連結部が、前記ゲート電極の一部として形成され、
前記(l)工程では、前記第2絶縁膜を介して前記第2フィールドプレート電極の側面上に、前記第2導電性膜の残渣が形成され、
前記残渣は、前記(n)工程で除去される、半導体装置の製造方法。
【0160】
[付記3]
MOSFETが形成されるセル領域と、平面視で前記セル領域を囲む外周領域とを有する半導体装置であって、
上面および下面を有する第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記セル領域の前記半導体基板に形成された第1トレンチと、
前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記外周領域の前記半導体基板に形成された第2トレンチと、
前記第1トレンチの内部において、前記第1トレンチの下部に形成された第1フィールドプレート電極と、
前記第1トレンチの前記内部において、前記第1トレンチの上部に形成され、且つ、前記第1フィールドプレート電極から電気的に絶縁されたゲート電極と、
前記第2トレンチの内部に形成された第2フィールドプレート電極と、
を備え、
前記第1トレンチは、平面視における第1方向に延在し、
前記第2トレンチは、前記セル領域を囲むように、前記第1方向および平面視で前記第1方向と直交する第2方向に延在し、
前記ゲート電極は、前記第1方向における第1端部と、前記第1方向において前記第1端部と反対側に位置する第2端部とを含み、
前記第1フィールドプレート電極の一部は、前記第1端部側の前記ゲート電極と前記第2端部側の前記ゲート電極との間の位置する前記第1トレンチの前記内部において、前記第1トレンチの下部だけでなく、前記第1トレンチの上部にも形成され、且つ、前記第1フィールドプレート電極の引き出し部を成し、
前記引き出し部は、前記第1端部側の前記ゲート電極と前記第2端部側の前記ゲート電極との間の位置する前記第1トレンチの前記内部に形成され、
絶縁膜を介して前記引き出し部の側面上に、前記第1端部側の前記ゲート電極と前記第2端部側の前記ゲート電極とを接続する連結部が、前記ゲート電極の一部として形成され、
前記第2フィールドプレート電極の側面上では、前記ゲート電極および前記連結部を構成する導電性膜が除去されている、半導体装置。
【符号の説明】
【0161】
100 半導体装置
1A 領域
BS 半導体基板の下面
CF1、CF2 導電性膜
CH1、CH2、CH3 孔
CR セル領域
DE ドレイン電極
FP フィールドプレート電極
FPa 引き出し部
GE ゲート電極
GEa 連結部
GI ゲート絶縁膜
GP ゲートパッド
GW ゲート配線
HM ハードマスク
IF1、IF2、IF3 絶縁膜
IL 層間絶縁膜
MK1、MK2 マスク層
ND ドレイン領域
NS ソース領域
NV ドリフト領域
OR 外周領域
PB ボディ領域
PF1、PF2 保護膜
PR 高濃度拡散領域
RP1、RP2 レジストパターン
RS 残渣
SP ソースパッド
SUB 半導体基板
SW ソース配線
TR1 トレンチ
TR2 外周トレンチ
TS 半導体基板の上面