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  • 特開-インレットハウジング 図1
  • 特開-インレットハウジング 図2
  • 特開-インレットハウジング 図3
  • 特開-インレットハウジング 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128699
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】インレットハウジング
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20240913BHJP
   F15B 11/16 20060101ALI20240913BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
F15B11/00 D
F15B11/16 B
F16K27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037837
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 亮
【テーマコード(参考)】
3H051
3H089
【Fターム(参考)】
3H051AA03
3H051BB10
3H051CC01
3H051FF15
3H089AA73
3H089BB02
3H089BB27
3H089CC01
3H089CC12
3H089DA02
3H089DB43
3H089GG02
3H089HH04
3H089HH10
3H089JJ01
(57)【要約】
【課題】小型化を可能にする。
【解決手段】インレットハウジング1は作動油が供給されるポート部11が複数形成されるとともに、複数のポート部11からの作動油が合流する合流部13を内部に有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が供給されるポート部を備えるインレットハウジングであって、
前記ポート部は複数形成されるとともに、複数の前記ポート部からの作動流体が合流する合流部を内部に有する、
インレットハウジング。
【請求項2】
請求項1に記載のインレットハウジングであって、
前記複数の前記ポート部には作動流体が供給される入口ポートが形成される継手が着脱可能であり、
前記複数の前記ポート部に取り付けられる前記入口ポートと前記合流部とを連通する複数の内部流路を有し、
複数の前記入口ポートのそれぞれに対応する内部流路内で最も流路が狭い最小流路部の流路断面積は、前記入口ポートの流路断面積よりも大きい、
インレットハウジング。
【請求項3】
請求項1に記載のインレットハウジングであって、
前記複数の前記ポート部と前記合流部とを連通する複数の内部流路を有し、
前記合流部は、前記複数の内部流路内で最も流路が狭い最小流路部の流路断面積の合計よりも大きい流路断面積を有する、
インレットハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインレットハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には主ポンプからの吐出油が圧油供給用油路を介して供給されるエンドブロックを有する油圧回路構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-227503号公報(例えば、図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のエンドブロックのように作動流体の入口ポートを備えるインレットハウジングでは、入口ポートのサイズにより幅が決まってしまう結果、小型化が制限される虞がある。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、小型化を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は作動流体が供給されるポート部を備えるインレットハウジングであって、ポート部は複数形成されるとともに、複数のポート部からの作動流体が合流する合流部を内部に有することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、単一のポート部をいわば複数のポート部に分割する。このため、同量の作動油の流量を確保するにあたり、単一のポート部の場合と比べて各ポート部のサイズを小さくすることができる。結果、インレットハウジングの幅が縮小可能になる。
【0008】
また本発明は、複数のポート部には作動流体が供給される入口ポートが形成される継手が着脱可能であり、複数のポート部に取り付けられる入口ポートと合流部とを連通する複数の内部流路を有し、複数の入口ポートのそれぞれに対応する内部流路内で最も流路が狭い最小流路部の流路断面積は、入口ポートの流路断面積よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、複数のポートから流入する作動流体の流量が複数の内部流路で絞られないようにすることで圧力損失の発生を抑制でき、これによりインレットハウジング内での圧力損失を低減できる。
【0010】
また本発明は、複数のポート部と合流部とを連通する複数の内部流路を有し、合流部は複数の内部流路内で最も流路が狭い最小流路部の流路断面積の合計よりも大きい流路断面積を有することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、複数の内部流路から流入する作動流体の流量が合流部で絞られないようにすることで圧力損失の発生を抑制でき、これによりインレットハウジング内での圧力損失を低減できる。
【発明の効果】
【0012】
これらの発明によれば、小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る流体圧制御装置の概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係るインレットハウジングの上面図である。
図3図2に示すA-A断面でインレットハウジングを示す図である。
図4】継手を組付けた状態で図3と同様にインレットハウジングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は流体圧制御装置100の概略構成図である。流体圧制御装置100は建設機械、特に油圧ショベルに用いられる。流体圧制御装置100はインレットハウジング1とバルブハウジング2とを備え、バルブハウジング2には油圧シリンダ5が油路を介して接続される。流体圧制御装置100は油圧シリンダ5に給排される作動油を制御することで、油圧シリンダ5の作動を制御する。流体圧制御装置100には複数のバルブハウジング2が設けられるとともに、複数の油圧シリンダ5が接続される。図1では複数のバルブハウジング2としてバルブハウジング21、バルブハウジング22、バルブハウジング23及びバルブハウジング24を例示するとともに、複数の油圧シリンダ5として油圧シリンダ51、油圧シリンダ52及び油圧シリンダ53を例示する。
【0016】
バルブハウジング21は予備として組み込まれたものである。バルブハウジング22には油圧シリンダ51が、バルブハウジング23には油圧シリンダ52が、バルブハウジング24には油圧シリンダ53がそれぞれ油路を介して接続される。複数のバルブハウジング2はインレットハウジング1とともに積層され一体のバルブブロックを構成することで、流体圧制御装置100を構成する。複数の油圧シリンダ5は例えば油圧ショベルのブーム、アーム、バケットといった駆動対象(図示省略)を駆動する。油圧シリンダ5はアクチュエータに相当し、作動油は作動流体に相当する。アクチュエータは油圧シリンダ5のほか油圧モータ等であってもよい。また、作動油のほか水等の非圧縮性流体が作動流体として用いられてもよい。
【0017】
インレットハウジング1は流体圧制御装置100の外部から作動油が供給されるハウジングであり、インレットハウジング1内には作動油を制御する制御バルブは設けられない。従って、インレットハウジング1は油圧シリンダ5に給排される作動油の制御は行わない。インレットハウジング1は複数のポート部11を有する。図1では図示の都合上、後述する継手112(図4参照)を図示省略しているが、各ポート部11は設置部111に継手112を組み付けることで構成される。本実施形態では複数のポート部11の数は2つであるが、3つ以上であってもよい。
【0018】
作動油はポンプ7により各ポート部11を介して流体圧制御装置100内に供給される。各ポート部11には共通のポンプ7から油路(配管)が分岐接続される。各ポート部11には共通のポンプ7からの油路(配管)を継手で分岐させた上で接続してもよい。各ポート部11に対しては別々のポンプが設けられてもよい。インレットハウジング1内に供給された作動油はバルブブロック内に形成された油路を介して各バルブハウジング2に供給される。各バルブハウジング2内には制御バルブが設けられ、制御バルブにより対応する油圧シリンダ5に給排される作動油の制御が行われる。
【0019】
次に、インレットハウジング1についてさらに説明する。
【0020】
図2はインレットハウジング1の上面図である。図3図2に示すA-A断面でインレットハウジング1を示す図である。図4は継手112を組付けた状態で図3と同様にインレットハウジング1を示す図である。図2の上下方向はインレットハウジング1の幅方向に対応し、図2の左右方向はインレットハウジング1の横方向に対応する。図3図4の上下方向はインレットハウジング1の縦方向に対応し、図3図4の左右方向はインレットハウジング1の横方向に対応する。図2図3では図1と同様、継手112については図示省略している。以下では、2つのポート部11のうち一方を第1ポート部11A、他方を第2ポート部11Bとも称す。
【0021】
図2に示すように、複数のポート部11は幅方向の中心位置が互いに同じになるように横方向に並んで配置される。各ポート部11の設置部111はねじ穴部111aと座ぐり部111bとを有する。ねじ穴部111aには雌ねじが形成され、継手112が締め込まれる。従って、複数のポート部11には継手112が着脱可能であり、座ぐり部111bにはシール部材が設けられる。
【0022】
図3図4に示すように、各ポート部11では設置部111に継手112が組み付けられる。継手112は筒状の形状を有し、ねじ部112aと貫通孔112bとを備える。ねじ部112aは継手112の一端部外周に形成される。継手112はねじ部112aをねじ穴部111aに締め付けることで設置部111に固定される。貫通孔112bはねじ部112aの中心軸線に沿って継手112を貫通する。継手112が各ポート部11に取り付けられた状態で、貫通孔112bは作動油が供給される入口ポートを構成し、各ポート部11では作動油が貫通孔112bを介してインレットハウジング1内に流入する。このため、以下では貫通孔112bをポート112bとも称す。
【0023】
インレットハウジング1は複数のポート112bとして、第1ポート部11Aに形成される第1ポート112bAと、第2ポート部11Bに形成される第2ポート112bBとを有する。インレットハウジング1において、複数のポート112bそれぞれは縦方向に沿って延伸する。複数のポート部11はインレットハウジング1の上面以外に設けられてもよく、同じ面に設けられなくてもよい。
【0024】
図2に示すように、インレットハウジング1の幅は座ぐり部111bの座ぐり径よりも僅かに大きく設定される。そのため、インレットハウジング1の幅を縮小しようとしても、ポート部11により縮小が制限され、ポート112bのサイズが大きくなるとポート部11の大きさも大きくなる。
【0025】
このような事情に鑑み、インレットハウジング1では入口ポートが複数のポート112bに分割される。これにより、複数のポート112b全体と同量の作動油の流量を一つの入口ポートで確保しようとする場合と比べ、各ポート112bのサイズを小さくすることができる。結果、インレットハウジング1の小型化が可能になる。また、インレットハウジング1の小型化を通じた流体圧制御装置100の小型化も可能になる。
【0026】
図3図4に示すように、インレットハウジング1は複数の内部流路12と合流部13と排出流路14とを有し、また、これらのほかにタンク流路15を有する。タンク流路15は作動油を貯留するタンクに連通する流路である。ポンプ7から吐出された作動油は、各ポート112bを介してインレットハウジング1内に供給された後、各バルブハウジング2に供給される。
【0027】
内部流路12は複数のポート112b、換言すれば複数のポート部11に取り付けられる入口ポートとしての貫通孔112bと合流部13とをそれぞれ連通する。従って、インレットハウジング1は複数のポート112bと同数の複数の内部流路12を有する。複数の内部流路12は第1ポート112bAに連通する第1内部流路12Aと、第2ポート112bBに連通する第2内部流路12Bとを有する。第1内部流路12Aと第2内部流路12Bとはともに対応するポート112bから縦方向内側に向かって延伸した後、横方向内側に向かって延伸し、合流部13に連通する。第1内部流路12Aと第2内部流路12Bとは合流部13を中心として横方向に互いに概ね対称になるように形成される。
【0028】
各内部流路12は最小流路部12aを有する。第1内部流路12Aは最小流路部12aとして第1最小流路部12aAを有し、第2内部流路12Bは最小流路部12aとして第2最小流路部12aBを有する。第1最小流路部12aAは第1内部流路12Aにおいて他の部分よりも流路が狭い部分、つまり流路断面積が最も小さい部分である。第1最小流路部12aAは第1内部流路12Aにおいて合流部13に連通する側の端部に設けられる。第1最小流路部12aAは第1内部流路12Aにおいて当該端部以外の部分に設けられてもよい。これらのことは、第2最小流路部12aB及び第2内部流路12Bについても同様である。
【0029】
インレットハウジング1では、第1ポート112bAは第1最小流路部12aAよりも流路が狭く、第2ポート112bBは第2最小流路部12aBよりも流路が狭い。つまり、各ポート112bは対応する内部流路12の最小流路断面積よりも小さい流路断面積を有する。換言すれば、複数のポート112bのそれぞれに対応する内部流路12内で最も流路が狭い最小流路部12aの流路断面積は、ポート112bの流路断面積よりも大きい。これにより、複数のポート112bから流入する作動油の流量が複数の内部流路12で絞られないようにすることがきるので、圧力損失の発生が抑制される。結果、インレットハウジング1内での圧力損失が低減される。
【0030】
合流部13は複数のポート112bからの作動油が合流する部分であり、インレットハウジング1内に形成される。合流部13はインレットハウジング1の概ね中央に設けられ、縦方向(従って、各ポート112bの延伸方向)に沿って延伸する。合流部13には複数の内部流路12として第1内部流路12A及び第2内部流路12Bが連通する。第1内部流路12A及び第2内部流路12Bは下流側で合流部13に連通する。
【0031】
合流部13は、第1内部流路12A及び第2内部流路12Bの最小流路断面積の合計、換言すれば、複数の内部流路12内で最も流路が狭い最小流路部12aの流路断面積の合計よりも大きい流路断面積を有する。これにより、第1内部流路12A及び第2内部流路12Bから流入する作動流体の流量が合流部13で絞られないようにすることができるので、圧力損失の発生が抑制される。結果、インレットハウジング1内での圧力損失が低減される。
【0032】
第1内部流路12A及び第2内部流路12Bからの作動油は合流部13において上流側で合流するとともに、下流側に向かって流通する。合流部13では第1内部流路12A及び第2内部流路12Bからの作動油がバルブハウジング2を介さずに合流する。つまり、第1内部流路12A及び第2内部流路12Bからの作動油は、バルブハウジング2内に設けられる制御バルブを介することなく合流部13で直ちに合流する。換言すれば、第1内部流路12A及び第2内部流路12Bと合流部13との接続には制御バルブが関与せず、第1内部流路12A及び第2内部流路12Bと合流部13とは常時連通する構造になっている。
【0033】
合流部13は下流側の端部で排出流路14に連通する。排出流路14は合流部13とインレットハウジング1外とを連通する。排出流路14は合流部13から複数のバルブハウジング2が設けられる側に向かって幅方向(図3図4において紙面に直交する方向)に沿って延伸し、インレットハウジング1外に開口する。排出流路14はインレットハウジング1の隣に配置されたバルブハウジング2つまりバルブハウジング21内に形成された油路に接続する。
【0034】
このように、インレットハウジング1は供給された作動油を合流させるとともに、合流させたままの状態でインレットハウジング1外に排出する。インレットハウジング1では、インレットハウジング1内に供給されてからインレットハウジング1外に排出されるまでの間に、作動油がバルブハウジング2を介することはない。つまり、インレットハウジング1は作動油を制御する流体圧制御装置100において作動油の受け入れに特化したいわば作動油の受け入れ専用のハウジングとして構成される。インレットハウジング1では、各ポート112bから排出流路14までの作動油の各流通経路において、対応するポート112bが最も小さい流路断面積を有する。このため、当該各流通経路を流通する作動油の流量に対しては、対応するポート112bが支配的な影響を有する。
【0035】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0036】
インレットハウジング1は、作動油が供給されるポート部11が複数形成されるとともに、複数のポート部11からの作動油が合流する合流部13を内部に有する。
【0037】
この構成によれば、単一のポート部をいわば複数のポート部11に分割する。このため、同量の作動油の流量を確保するにあたり、単一のポート部の場合と比べて各ポート部11のサイズを小さくすることができる。結果、インレットハウジング1の幅が縮小可能になる。
【0038】
複数のポート部11には作動油が供給されるポート112bが形成される継手112が着脱可能であり、インレットハウジング1は、複数のポート部11に取り付けられるポート112bと合流部13とを連通する複数の内部流路12を有する。複数のポート112bのそれぞれに対応する内部流路12内で最も流路が狭い最小流路部12aの流路断面積は、ポート112bの流路断面積よりも大きい。
【0039】
この構成によれば、複数のポート112bから流入する作動油の流量が複数の内部流路12で絞られないようにすることで圧力損失の発生を抑制でき、これによりインレットハウジング1内での圧力損失を低減できる。
【0040】
インレットハウジング1は、複数のポート部11と合流部13とを連通する複数の内部流路12を有する。合流部13は複数の内部流路12内で最も流路が狭い最小流路部12aの流路断面積の合計よりも大きい流路断面積を有する。
【0041】
この構成によれば、複数の内部流路12から流入する作動流体の流量が合流部13で絞られないようにすることで圧力損失の発生を抑制でき、これによりインレットハウジング1内での圧力損失を低減できる。
【符号の説明】
【0042】
1・・・インレットハウジング、5・・油圧シリンダ(アクチュエータ)、11・・・ポート部、12・・内部流路、12a・・最小流路部、13・・・合流部、112・・・継手、112b・・・貫通孔、ポート(入口ポート)、100・・・流体圧制御装置
図1
図2
図3
図4