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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128704
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20240913BHJP
   F04C 23/02 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
F04B39/00 102H
F04C23/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037848
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫛田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】加納 豊広
(72)【発明者】
【氏名】沖 恭弘
(72)【発明者】
【氏名】上田 元彦
(72)【発明者】
【氏名】堀田 忠資
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB05
3H003AD03
3H003BB03
3H003BB04
3H003CD01
3H003CE02
3H003CF04
3H129AA02
3H129AA15
3H129AB03
3H129BB21
3H129BB32
3H129BB33
3H129CC02
3H129CC09
3H129CC27
(57)【要約】
【課題】簡易な態様で防振部材を配置可能な電動圧縮機を提供する。
【解決手段】電動圧縮機ECPは、外殻を構成する外部ハウジングと、外部ハウジングの内側に収容される回転軸と、回転軸が回転することにより流体を圧縮する圧縮部30と、圧縮部を駆動させる電動モータ50と、防振部材60と、を備える。外部ハウジングは、締結ボルト15によって互いに締結されるモータハウジング12および吐出ハウジング14を含んでいる。防振部材60は、外部ハウジングの内側において、圧縮部30および電動モータ50を含む内部構造体STと外部ハウジングとの間に介在して振動の伝達を抑制する。防振部材60は、締結ボルト15による締結力を受けて弾性変形した状態で、内部構造体STと外部ハウジングとの間に配置される弾性体61を含んでいる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動圧縮機であって、
外殻を構成する外部ハウジング(12、14)と、
前記外部ハウジングの内側に収容される回転軸(20)と、
前記回転軸が回転することにより流体を圧縮する圧縮部(30)と、
前記圧縮部を駆動させる電動モータ(50)と、
前記外部ハウジングの内側において、前記圧縮部および前記電動モータを含む内部構造体(ST)と前記外部ハウジングとの間に介在して振動の伝達を抑制する防振部材(60)と、を備え、
前記外部ハウジングは、締結部材(15)によって互いに締結される第1ハウジング部材(12)および第2ハウジング部材(14)を含み、
前記防振部材は、前記締結部材による締結力を受けて弾性変形した状態で、前記内部構造体と前記外部ハウジングとの間に配置される弾性部材(61、65)を含んでいる、電動圧縮機。
【請求項2】
前記第1ハウジング部材および前記第2ハウジング部材は、前記回転軸の軸方向に対向して配置され、前記締結部材によって前記回転軸の軸方向に締結されており、
前記弾性部材は、少なくとも一部が、前記締結力を受けて前記回転軸の軸方向に交差する方向に弾性変形した状態で、前記内部構造体と前記外部ハウジングとの間に配置されている、請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記内部構造体および前記弾性部材の少なくとも一方は、他方と接触する部分が前記回転軸の軸方向に直交する方向に対して傾斜している、請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記弾性部材および前記外部ハウジングの少なくとも一方は、他方と接触する部分が前記回転軸の軸方向に直交する方向に対して傾斜している、請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記弾性部材は、ゴムを含む弾性体(61)を含んで構成されている、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電動圧縮機。
【請求項6】
前記弾性体は、前記回転軸の軸方向および前記回転軸の軸方向に直交する方向それぞれにおいて、前記外部ハウジングと前記内部構造体とで挟持されるように、前記外部ハウジングと前記内部構造体との間に配置されている、請求項5に記載の電動圧縮機。
【請求項7】
前記防振部材は、前記弾性部材とは別に、追加弾性部材(64)を含んでおり、
前記弾性部材は、前記回転軸の軸方向において、前記外部ハウジングと前記内部構造体とで挟持されるように、前記外部ハウジングと前記内部構造体との間に配置されており、
前記追加弾性部材は、前記回転軸の軸方向に直交する方向において、前記外部ハウジングと前記内部構造体とで挟持されるように、前記外部ハウジングと前記内部構造体との間に配置されている、請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項8】
前記弾性部材は、金属製のバネ部材(65)を含んで構成されている、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電動圧縮機。
【請求項9】
前記外部ハウジングおよび前記内部構造体の少なくとも一方には、前記回転軸に直交する方向における前記バネ部材の移動を規制する移動規制部(PC、PM、DM、PW1、PW2)が設けられている、請求項8に記載の電動圧縮機。
【請求項10】
前記防振部材は、前記外部ハウジングおよび前記内部構造体における前記弾性部材との接触部分よりも硬度の高い材料で構成される保護部材(66)を含み、前記外部ハウジングおよび前記内部構造体の少なくとも一方と前記バネ部材との間に前記保護部材が配置される、請求項8に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮要素と電動要素とからなる構造体を上下一対の中吊りバネと吐出管によって、密閉容器の内側に支持する中吊り機構を備える電動圧縮機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-1497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の電動圧縮機は、圧縮要素および電動要素を収容した密閉容器を用意した後、密閉容器に設けた穴から中吊りバネを入れて構造体に装着し、さらに当該穴をストップリングで塞ぐといった工程を経て得られるようになっている。このように、特許文献1に記載の電動圧縮機は、中吊りバネのような防振部材の追加に伴って製造工程が複雑化して、製造コストが増加する。このことは、本発明者らの鋭意検討の末に見い出された。
【0005】
本開示は、簡易な態様で防振部材を配置可能な電動圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
電動圧縮機であって、
外殻を構成する外部ハウジング(12、14)と、
外部ハウジングの内側に収容される回転軸(20)と、
回転軸が回転することにより流体を圧縮する圧縮部(30)と、
圧縮部を駆動させる電動モータ(50)と、
外部ハウジングの内側において、圧縮部および電動モータを含む内部構造体(ST)と外部ハウジングとの間に介在して振動の伝達を抑制する防振部材(60)と、を備え、
外部ハウジングは、締結部材(15)によって互いに締結される第1ハウジング部材(12)および第2ハウジング部材(14)を含み、
防振部材は、締結部材による締結力を受けて弾性変形した状態で、内部構造体と外部ハウジングとの間に配置される弾性部材(61、65)を含んでいる。
【0007】
このように、内部構造体と外部ハウジングとの間に防振部材が介在していれば、内部構造体の振動が外部ハウジングを介して電動圧縮機の周囲に伝わることを抑制することができる。特に、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とを締結部材によって締結する際の締結力によって弾性部材が外部ハウジングと内部構造体との間に組み付けられているので、防振部材が簡易な態様で配置されている。このように本開示の電動圧縮機では、外部ハウジングの組立工程において、弾性部材の配置と弾性部材の弾性変形とを行うことができるので、従来よりも簡易な態様で防止部材を配置することができる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る電動圧縮機を含む冷凍サイクルの概略構成図である。
図2】第1実施形態に係る電動圧縮機の模式的な断面図である。
図3】第1実施形態の防振部材に用いられる弾性体の模式的な平面図である。
図4】モータハウジングおよび吐出ハウジングの内側における弾性体の配置を説明するための説明図である。
図5】電動圧縮機の製造工程の一例を説明するための説明図である。
図6】モータハウジングへの第1防振ゴムの組付工程を説明するための説明図である。
図7】吐出ハウジングへの第2防振ゴムの組付工程を説明するための説明図である。
図8】モータハウジングへの内部構造体の組付工程を説明するための説明図である。
図9】モータハウジングおよび吐出ハウジングの組付工程を説明するための説明図である。
図10】弾性体の第1変形例を説明するための説明図である。
図11】弾性体の第2変形例を説明するための説明図である。
図12】第2実施形態に係る電動圧縮機の模式的な断面図である。
図13】第3実施形態に係る電動圧縮機の模式的な断面図である。
図14】第3実施形態の第1変形例となる電動圧縮機の一部を示す模式的な断面図である。
図15】第3実施形態の第2変形例となる電動圧縮機の一部を示す模式的な断面図である。
図16】第3実施形態の第3変形例となる電動圧縮機の一部を示す模式的な断面図である。
図17】第3実施形態の第4変形例となる電動圧縮機の一部を示す模式的な断面図である。
図18】第3実施形態の第5変形例となる電動圧縮機の一部を示す模式的な断面図である。
図19】第4実施形態に係る電動圧縮機の模式的な断面図である。
図20】第4実施形態の防振部材に用いられる板バネの模式的な平面図である。
図21図20のXXI-XXI断面図である。
図22】第4実施形態の第1変形例となる電動圧縮機の一部を示す模式的な断面図である。
図23】第4実施形態の第1変形例における板バネの位置を規制する部位を説明するための説明図である。
図24】第4実施形態の第2変形例となる電動圧縮機の一部を示す模式的な断面図である。
図25】第4実施形態の第2変形例における板バネの位置を規制する部位を説明するための説明図である。
図26】第4実施形態の第3変形例となる電動圧縮機の一部を示す模式的な断面図である。
図27】第4実施形態の第3変形例における板バネの位置を規制する部位を説明するための説明図である。
図28】第4実施形態の第4変形例となる電動圧縮機の一部を示す模式的な断面図である。
図29】第4実施形態の第5変形例となる電動圧縮機の一部を示す模式的な断面図である。
図30】第4実施形態の第6変形例となる電動圧縮機の一部を示す模式的な断面図である。
図31】第4実施形態の第7変形例となる電動圧縮機の一部を示す模式的な断面図である。
図32】第4実施形態の第7変形例における渦巻バネの位置を規制する部位を説明するための説明図である。
図33】第4実施形態の第8変形例となる電動圧縮機の一部を示す模式的な断面図である。
図34】第4実施形態の第8変形例における渦巻バネの位置を規制する部位を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態について、図1図9を参照して説明する。本実施形態では、本開示の電動圧縮機(以下、圧縮機ECPとする)を、車両用空調装置を構成する冷凍サイクル装置1に適用した例を説明する。
【0012】
冷凍サイクル装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成する。図1に示すように、冷凍サイクル装置1は、圧縮機ECP、放熱器CD、減圧機器EXV、蒸発器EVを含んでいる。圧縮機ECPは、流体である冷媒を圧縮して吐出する機器である。放熱器CDは、圧縮機ECPから吐出された冷媒を第1送風機FAN1から送風される送風空気と熱交換させて放熱させる熱交換器である。減圧機器EXVは、放熱器CDを通過した冷媒を減圧して膨張させる機器である。蒸発器EVは、減圧機器EXVで減圧された冷媒を第2送風機FAN2から送風される送風空気と熱交換させて蒸発させる熱交換器である。なお、放熱器CDは、第1送風機FAN1から送風される送風空気とは異なる熱媒体に対して放熱するように構成されていてもよい。このことは、蒸発器EVについても同様である。
【0013】
冷凍サイクル装置1には、冷媒としてフロン系冷媒が採用されている。冷媒には、圧縮機ECPの内部の各摺動部位を潤滑する潤滑油が混合されている。潤滑油の一部は、冷媒とともにサイクル内を循環する。なお、冷媒は、フロン系冷媒以外の冷媒(例えば、二酸化炭素、プロパン)であってもよい。
【0014】
以下、図2を参照して圧縮機ECPの詳細について説明する。図2は、圧縮機ECPの回転軸20の軸心CLに沿って切断した断面を示す軸方向断面図である。なお、図2中の上下を示す矢印は、圧縮機ECPを車両に搭載した状態における鉛直方向Dgを示している。また、図2では、回転軸20の軸心CLに沿う方向を軸方向Daxとし、回転軸20の軸心CLに直交する方向を径方向Drとしている。これらは、図2以外の図面においても同様である。
【0015】
図2に示すように、圧縮機ECPは、ハウジング10と、回転軸20と、圧縮部30と、電動モータ50とを備える。ハウジング10の内側には、回転軸20、圧縮部30、電動モータ50が収容されている。圧縮機ECPは、回転軸20の軸心CLが略水平方向に延びるとともに、圧縮部30と電動モータ50とが略水平方向に並ぶ姿勢で車両に設置される横置構造である。
【0016】
ハウジング10は、モータハウジング12、吐出ハウジング14、および内部ハウジング16を備える。モータハウジング12、吐出ハウジング14、および内部ハウジング16は、金属材料で構成される。モータハウジング12および吐出ハウジング14は、圧縮機ECPの外殻を構成する外部ハウジングである。モータハウジング12および吐出ハウジング14は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金で構成される。本実施形態では、モータハウジング12および吐出ハウジング14が“外部ハウジング”を構成している。また、モータハウジング12が“第1ハウジング部材”を構成し、吐出ハウジング14が“第2ハウジング部材”を構成している。以下では、モータハウジング12および吐出ハウジング14をまとめて外部ハウジングと呼ぶことがある。
【0017】
モータハウジング12は、内部ハウジング16を収容するものである。モータハウジング12は、軸方向Daxの一方側が開口する有底筒形状である。具体的には、モータハウジング12は、板状の第1底壁部121と、第1底壁部121の外周部分から筒状に延びる第1外周壁部122とを有する。モータハウジング12は、第1底壁部121と第1外周壁部122とが継ぎ目のない一体成形品として構成されている。
【0018】
モータハウジング12は、第1外周壁部122の内側部分に段差面123が形成された段付き形状になっている。段差面123は、軸方向Daxに交差する。本実施形態の段差面123は、回転軸20の径方向Drに沿って延びている。
【0019】
段差面123は、モータハウジング12の内側部分において内径が小となる第1ハウジング部124と、第1ハウジング部124よりも内径が大となる第2ハウジング部125とを繋ぐ面である。第1ハウジング部124は、第1底壁部121に連なる部位である。第1ハウジング部124の内側に内部ハウジング16が収容される。第2ハウジング部125の内側には、軸支持部材40および圧縮部30の一部が収容される。
【0020】
図示しないが、モータハウジング12の第1底壁部121もしくは外周壁部122には、電動モータ50の電気配線等が接続される気密端子が設けられている。電動モータ50は、気密端子を介して図示しないインバータに電気的に接続されている。
【0021】
モータハウジング12には、冷媒の吸込口SPが形成されている。この吸込口SPには、蒸発器EVの冷媒出口側が接続されている。このため、ハウジング10における電動モータ50が配置される空間は、低圧、且つ、低温の雰囲気となっている。このようになっていることで、電動モータ50を冷却して、電動モータ50の効率向上および信頼性向上を図ることができる。
【0022】
吐出ハウジング14は、圧縮部30で圧縮された冷媒が吐出される空間を形成するものである。吐出ハウジング14は、軸方向Daxの他方側が開口する有底筒形状である。具体的には、吐出ハウジング14は、板状の第2底壁部141と、第2底壁部141の外周部分から筒状に延びる第2外周壁部142とを有する。吐出ハウジング14は、第2底壁部141と第2外周壁部142とが継ぎ目のない一体成形品として構成されている。
【0023】
吐出ハウジング14は、吐出ハウジング14における軸方向Daxの他方側の開口縁がモータハウジング12における軸方向Daxの一方側の開口縁に突き合わされた状態で、モータハウジング12に締結ボルト15によって固定されている。モータハウジング12および吐出ハウジング14は圧力容器を構成している。
【0024】
締結ボルト15は、モータハウジング12と吐出ハウジング14とを締結する“締結部材”である。締結ボルト15は、吐出ハウジング14に設けられた貫通穴に挿通される軸部151および軸部151の一端部に設けられた頭部152を有する。締結ボルト15の軸部151が吐出ハウジング14の貫通穴に挿通された状態で、軸部151の他端部がモータハウジング12に締結されることで、モータハウジング12に吐出ハウジング14が取り付けられている。
【0025】
ここで、吐出ハウジング14の貫通穴は、軸方向Daxに沿って延びている。そして、締結ボルト15の軸部151が吐出ハウジング14の貫通穴に挿通された状態で、軸部151の他端部がモータハウジング12に締結されると、軸方向Daxに締結力が作用する。
【0026】
図示しないが、吐出ハウジング14には、冷媒の吐出口が形成されている。この吐出口には、放熱器CDの冷媒入口側が接続されている。吐出口には、冷媒中の潤滑油を分離するオイルセパレータが設置されている。このため、圧縮部30から吐出された冷媒中の潤滑油が吐出ハウジング14の内側に貯留される。図示しないが、モータハウジング12の内側における低圧、低温の冷媒からなる雰囲気と、圧縮部30から吐出される高圧、高温の冷媒からなる雰囲気とを隔離するシール部材が、吐出プレート36と吐出ハウジング14との間に設置されている。
【0027】
回転軸20は、ハウジング10の内側に収容されている。具体的には、回転軸20は、軸心CLがモータハウジング12の第1外周壁部122の中心軸と一致するように、モータハウジング12の内側に配置されている。
【0028】
回転軸20は、軸方向Daxの一方側の端部に、回転軸20の軸心CLから偏心した偏心軸部21が設けられている。偏心軸部21は、回転軸20の本体と一体に構成されている。偏心軸部21は、後述する旋回スクロール34の第1ボス部343に設けられた偏心軸受部344によって支持されている。
【0029】
回転軸20は、偏心軸部21に隣接して外径が拡大された径拡大部22が設けられている。この径拡大部22には、回転軸20の偏心回転を抑えるためのバランスウェイト23が設けられている。
【0030】
回転軸20の内部には、偏心軸受部344、後述する第1軸受部411、第2軸受部17等に潤滑油を供給するオイル供給路24が形成されている。オイル供給路24は、固定スクロール32および旋回スクロール34に形成された図示しない給油経路を介して、吐出ハウジング14の内側に通じている。吐出ハウジング14の内側に貯留された潤滑油は、給油経路およびオイル供給路24を介して、偏心軸受部344、後述する第1軸受部411、第2軸受部17等に供給される。
【0031】
圧縮部30は、スクロール型の圧縮機構として構成されている。圧縮部30は、固定スクロール32、旋回スクロール34、および吐出プレート36を有する。旋回スクロール34、固定スクロール32、および吐出プレート36は、この順序で軸方向Daxに並んで配置されている。固定スクロール32、旋回スクロール34、吐出プレート36は、鉄鋼材料、アルミニウム合金等で構成されている。
【0032】
固定スクロール32は、円板状に形成された固定基板部321と、固定基板部321から軸方向Daxの他方側の旋回スクロール34に向かって突き出る渦巻き状の固定歯部322と、を有する。
【0033】
旋回スクロール34は、円板状に形成された旋回基板部341と、旋回基板部341から軸方向Daxの一方側の固定スクロール32に向かって突き出る渦巻き状の旋回歯部342と、を有する。
【0034】
旋回スクロール34は、旋回基板部341における旋回歯部342とは反対側に円筒形状の第1ボス部343が設けられている。第1ボス部343の内側には、偏心軸受部344が設けられている。偏心軸受部344は、滑り軸受で構成されている。なお、偏心軸受部344は、滑り軸受以外の軸受で構成されていてもよい。
【0035】
また、旋回スクロール34には、オルダムリング35が連結されている。オルダムリング35は、旋回スクロール34が自転することを防止する自転防止機構を構成する。旋回スクロール34は、回転軸20が回転すると、回転軸20の軸心CLを公転中心とする公転運動(すなわち、旋回運動)を行う。なお、自転防止機構は、オルダムリング35以外のもので構成されていてもよい。
【0036】
固定スクロール32および旋回スクロール34との間には、固定歯部322と旋回歯部342とが噛み合って複数箇所で接触することによって、三日月状の作動室31が複数箇所形成される。作動室31は、旋回スクロール34が旋回することによって外周側から中心側へ容積を減少させながら移動する。図示しないが、作動室31には、固定スクロール32の外周側に形成された冷媒吸引口から吸引された冷媒が供給される。作動室31内の冷媒は、作動室31の容積が減少することによって圧縮される。なお、図2等では、都合上、複数個の作動室31のうち1つにだけ符号を付している。
【0037】
固定基板部321の中心部には、作動室31で圧縮された冷媒を吐出する吐出孔323が形成されている。固定基板部321のうち軸方向Daxの一方側の端面には、作動室31への冷媒の逆流を防止する逆止弁をなす図示しないリード弁と、リード弁の最大開度を規制するストッパ324とが設けられている。なお、リード弁およびストッパ324は、固定基板部321に対してボルト325によって締結固定されている。
【0038】
吐出プレート36は、固定スクロール32に隣接して配置されている。吐出プレート36は、固定スクロール32との間に、吐出孔323から吐出された冷媒の吐出脈動を軽減するためのマフラ室361を形成する。吐出プレート36は、カップ形状に形成されている。図示しないが、吐出プレート36の底には、マフラ室361の冷媒を導出する導出口が形成されている。なお、吐出プレート36は、圧縮部30において必須の構成ではない。
【0039】
固定スクロール32および吐出プレート36は、外径が略同じ寸法に設定されている。固定スクロール32および吐出プレート36は、外径が、モータハウジング12の第1ハウジング部124の内径よりも大きく、且つ、第2ハウジング部125の内径よりも小さくなっている。
【0040】
このように構成される圧縮部30は、固定スクロール32および吐出プレート36が、軸支持部材40に対して図示しない取付ボルトによって固定されている。
【0041】
軸支持部材40は、回転軸20を回転可能に支持する第1軸受部411を含んでいる。軸支持部材40は、圧縮部30と電動モータ50との間に配置されている。軸支持部材40は、固定スクロール32との間に、旋回スクロール34、オルダムリング35、回転軸20の一部等を収容する空間を形成している。軸支持部材40は、鉄鋼材料、アルミニウム合金等で構成されている。
【0042】
軸支持部材40は、筒形状を有する。軸支持部材40は、軸方向Daxの一方側から他方側に向かって外径および内径が段階的に縮小されている。具体的には、軸支持部材40は、内径が最小となる小径部位41、外径が最大となる大径部位42、小径部位41と大径部位42を繋ぐ連結部位43を有する。小径部位41、大径部位42、および連結部位43は、一体に構成されている。
【0043】
軸支持部材40は、小径部位41の内周側に第1軸受部411が形成されている。第1軸受部411は、滑り軸受で構成されている。第1軸受部411は、円筒形状の鉄鋼部材、および、その内周面にコーティングされた樹脂層等によって構成されている。なお、第1軸受部411は、軸支持部材40と同じ材料で構成され、軸支持部材40と一体に構成されていてもよい。第1軸受部411は、滑り軸受以外の軸受で構成されていてもよい。
【0044】
軸支持部材40と旋回スクロール34との間には、円環形状に構成されたスラストプレート44が配置されている。スラストプレート44によって、軸支持部材40に対して旋回スクロール34が摺動可能になっている。
【0045】
軸支持部材40は、大径部位42の外径が、固定スクロール32および吐出プレート36と略同じ寸法に設定されている。軸支持部材40は、大径部位42の外径が、モータハウジング12の第1ハウジング部124の内径よりも大きく、且つ、第2ハウジング部125の内径よりも小さくなっている。
【0046】
図示しないが、軸支持部材40には、後述する内部ハウジング16の内側から圧縮部30へ冷媒を導く冷媒導入路が設けられている。この冷媒導入路は、少なくとも軸支持部材40における軸心CLよりも下方側に設けられている。
【0047】
ここで、ハウジング10の内側には、モータハウジング12と内部ハウジング16との間に形成される隙間空間164と冷媒導入路とを連通させる連通流路が設けられている。これにより、隙間空間164に溜まった潤滑油が連通流路を介して、冷媒導入路に導かれる。
【0048】
電動モータ50は、図示しないインバータからの給電により駆動されるインバータ駆動型のDCモータで構成されている。軸支持部材40に対して軸方向Daxの他方側に配置されている。電動モータ50は、圧縮部30を駆動するものであって、回転軸20と一体に回転するロータ52と、ハウジング10に固定されるステータ54を有する。電動モータ50は、ステータ54の内側にロータ52が配置されるインナーロータモータとして構成されている。
【0049】
ロータ52は、内側に回転軸20が圧入等によって固定された円筒形状の部材である。ロータ52の内部には、図示しない永久磁石が配置されている。また、ロータ52の側面には、旋回スクロール34等の偏心回転のアンバランスを相殺するためのバランスウェイト521、522が取り付けられている。
【0050】
ステータ54は、金属製の磁性材からなるステータコア541と、ステータコア541に巻き付けられたコイル542とを有する。ステータ54は、図示しないインバータから電力が供給されると、ロータ52を回転させる回転磁界を発生させる。ステータ54は、焼き嵌めまたは圧入によって内部ハウジング16の筒部161に固定されている。
【0051】
内部ハウジング16は、モータハウジング12の内側に収容されている。内部ハウジング16には、ステータ54が固定されている。内部ハウジング16は、ステータ54と同種の金属材料で構成されている。ステータ54が鉄鋼材料で構成される場合、内部ハウジング16は、ステータ54と同種の鉄鋼材料(例えば、鉄)で構成される。
【0052】
内部ハウジング16は、略カップ形状を有している。内部ハウジング16は、ステータ54が固定される円筒形状の筒部161と、筒部161における圧縮部30に近い側の一端部から回転軸20から離れる方向に突き出るフランジ部162を有する。また、内部ハウジング16は、一端部とは反対側に位置する他端部から回転軸20に近づくように延びて第2軸受部17を支持する支持部163を含んでいる。筒部161、フランジ部162、および支持部163は、一体成形品として構成されている。
【0053】
支持部163は、筒部161の他端部161bに連なる円環形状の底部163aと、底部163aの中心部分に設けられた円筒状の第2ボス部163bとを有する。第2ボス部163bは、一部が径方向Drにおいてステータ54と重なり合うように、軸方向Daxの他方側から一方側に向かって突き出ている。第2ボス部163bの内周側には、第2軸受部17が形成されている。第2軸受部17は、滑り軸受で構成されている。第2軸受部17は、円筒形状の鉄鋼部材、および、その内周面にコーティングされた樹脂層等によって構成されている。なお、第2軸受部17は、内部ハウジング16と同じ材料で構成され、軸支持部材40と一体に構成されていてもよい。第2軸受部17は、滑り軸受以外の軸受で構成されていてもよい。
【0054】
内部ハウジング16は、筒部161の外径が、モータハウジング12の第1ハウジング部124の内径よりも小さくなっている。内部ハウジング16は、フランジ部162の外径が、モータハウジング12の第1ハウジング部124の内径よりも大きく、且つ、第2ハウジング部125の内径よりも小さくなっている。
【0055】
内部ハウジング16は、フランジ部162の全体が、軸方向Daxにおいて、軸支持部材40に対向している。フランジ部162は、固定ボルト18によって軸支持部材40に固定されている。
【0056】
図示しないが、内部ハウジング16は、回転軸20の軸心CLよりも鉛直方向Dgの上方側に、内外を貫通する内外連通部が形成されている。内部ハウジング16の内側とモータハウジング12と内部ハウジング16との隙間空間164とは、鉛直方向Dgにおいて軸心CLよりも下方側において、内部ハウジング16の内外が連通しないように筒部161および底部163aによって区画されている。これにより、モータハウジング12の吸込口からモータハウジング12と内部ハウジング16との隙間空間164に吸い込まれた冷媒は、内外連通部を介して内部ハウジング16の内側に供給される。
【0057】
内部ハウジング16、軸支持部材40、圧縮部30は、この順序で軸方向Daxに並んでいる。内部ハウジング16、軸支持部材40、圧縮部30は、図示しない取付ボルトおよび固定ボルト18によって互いに固定されることで、内部構造体STを構成している。本実施形態では、内部構造体STが、圧縮部30および電動モータ50を含む構造体を構成している。
【0058】
ここで、内部構造体STのうち、電動モータ50は、ロータ52に設けられた永久磁石の磁界とステータ54に設けられたコイル542に流れる電流との相互作用により発生する電磁力によってステータ54に振動が生じる。
【0059】
また、圧縮部30は、回転軸20の軸心CLに対して、アンバランスが極力ゼロになるように仕様を決めるが、実際には、完全に重心を合わせてアンバランスをゼロにすることが難しく、バラツキをもつことがある。このようなバラツキに起因して、回転軸20の軸心CLに対してアンバランスが生ずることで圧縮部30に振動が発生する。
【0060】
このように内部構造体STは、圧縮機ECPの作動時に振動する。このような振動がモータハウジング12および吐出ハウジング14からなる外部ハウジングに伝わると、外部へ放射される音や振動が大きくなってしまう。
【0061】
このことを考慮して、圧縮機ECPには、モータハウジング12および吐出ハウジング14の内側において、内部構造体STとモータハウジング12および吐出ハウジング14との間に介在して振動の伝達を抑制する防振部材60が設けられている。
【0062】
防振部材60は、ゴムを含む弾性体61を含んで構成されている。弾性体61は、締結ボルト15による締結力を受けて弾性変形した状態で、内部構造体STとモータハウジング12および吐出ハウジング14との間に配置される。本実施形態では、弾性体61が“弾性部材”を構成している。
【0063】
弾性体61は、内部構造体STが振動した際に外部ハウジングと内部構造体STとが直に接触しないように、外部ハウジングと内部構造体STとの間に介在して配置されている。弾性体61は、外部ハウジングと内部構造体STと間の隙間を確保する隙間確保部材としても機能する。
【0064】
具体的には、弾性体61は、圧縮部30に対して軸方向Daxの他方側に配置される第1防振ゴム62と、圧縮部30に対して軸方向Daxの一方側に配置される第2防振ゴム63とを備える。換言すれば、弾性体61は、モータハウジング12の内側に配置される第1防振ゴム62と、吐出ハウジング14に配置される第2防振ゴム63とを備える。第1防振ゴム62および第2防振ゴム63は、カーボンナノチューブを含むゴム系の複合材料またはシリコーンゴム等のゴム単体で構成される。なお、第1防振ゴム62および第2防振ゴム63は、ゴムに加えて金属製または樹脂製の基材を含んで構成されていてもよい。
【0065】
図3に示すように、本実施形態の第1防振ゴム62は、円環形状を有している。本実施形態の第2防振ゴム63は、第1防振ゴム62と同様に、円環形状を有している。なお、図3では、第1防振ゴム62の形状が理解し易いように、第1防振ゴム62を構成する部分にドット柄のハッチングを付している。
【0066】
図4に示すように、第1防振ゴム62は、モータハウジング12の段差面123と第2ハウジング部125の内面との間に設けられた第1外側支持部126と、内部構造体STに設けられた第1内側支持部IS1とで挟持されている。第1防振ゴム62は、第1外側支持部126と第1内側支持部IS1とで挟持された際に圧縮されるように、弾性変形される前の厚みが、内部構造体STが振動していない状態での第1外側支持部126と第1内側支持部IS1との隙間よりも大きくなっている。
【0067】
第1外側支持部126は、第1防振ゴム62に対応して円環状になっている。第1外側支持部126は、軸方向Daxに対して傾斜している。具体的には、第1外側支持部126は、軸方向Daxの他方側から一方側に向かって回転軸20の軸心CLから離れるように傾く傾斜面によって構成されている。例えば、第1外側支持部126を構成する傾斜面は、回転軸20の軸心CLに対して30°~60°程度の範囲で傾いている。
【0068】
第1内側支持部IS1は、第1防振ゴム62に対応して円環状になっている。第1内側支持部IS1は、軸方向Daxに対して傾斜している。具体的には、第1内側支持部IS1は、軸方向Daxの他方側から一方側に向かって回転軸20の軸心CLから離れるように傾く傾斜面によって構成されている。例えば、第1内側支持部IS1を構成する傾斜面は、回転軸20の軸心CLに対する傾き角が第1外側支持部126を構成する傾斜面と同程度となっている。
【0069】
内部構造体STは、第1内側支持部IS1が軸方向Daxにおいて第1防振ゴム62を介して第1外側支持部126の一部と重なり合い、径方向Drにおいて第1防振ゴム62を介して第1外側支持部126の一部と重なり合う姿勢で配置されている。なお、第1防振ゴム62は、弾性変形させる前の形状が、第1外側支持部126および第1内側支持部IS1に接する部位が傾斜した形状になっていてもよいし、そのようになっていなくてもよい。
【0070】
また、第2防振ゴム63は、吐出ハウジング14の第2底壁部141の内面と第2外周壁部142の内面との間に設けられた第2外側支持部143と、内部構造体STに設けられた第2内側支持部IS2とで挟持されている。第2防振ゴム63は、第2外側支持部143と第2内側支持部IS2とで挟持された際に圧縮されるように、弾性変形される前の厚みが、内部構造体STが振動していない状態での第2外側支持部143と第2内側支持部IS2との隙間よりも大きくなっている。
【0071】
第2外側支持部143は、第2防振ゴム63に対応して円環状になっている。第2外側支持部143は、軸方向Daxに対して傾斜している。具体的には、第2外側支持部143は、回転軸20の軸方向Daxの一方側から他方側に向かって回転軸20の軸心CLから離れるように傾く傾斜面によって構成されている。例えば、第2外側支持部143を構成する傾斜面は、回転軸20の軸心CLに対して30°~60°程度の範囲で傾いている。
【0072】
第2内側支持部IS2は、第2防振ゴム63に対応して円環状になっている。第2内側支持部IS2は、軸方向Daxに対して傾斜している。具体的には、第2内側支持部IS2は、軸方向Daxの一方側から他方側に向かって回転軸20の軸心CLから離れるように傾く傾斜面によって構成されている。例えば、第2内側支持部IS2を構成する傾斜面は、回転軸20の軸心CLに対する傾き角が第2外側支持部143を構成する傾斜面と同程度となっている。
【0073】
内部構造体STは、第2内側支持部IS2が軸方向Daxにおいて第2防振ゴム63を介して第2外側支持部143の一部と重なり合い、径方向Drにおいて第2防振ゴム63を介して第2外側支持部143の一部と重なり合う姿勢で配置されている。なお、第2防振ゴム63は、弾性変形させる前の形状が、第2外側支持部143および第2内側支持部IS2に接する部位が傾斜した形状になっていてもよいし、そのようになっていなくてもよい。
【0074】
ここで、本実施形態の電動圧縮機ECPの製造工程の一例について、図5図9を参照しつつ説明する。まず、図5のステップS10に示す準備工程では、モータハウジング12、吐出ハウジング14、内部構造体ST、防振部材60を構成する弾性体61を用意する。
【0075】
続くステップS20の防振部材60の配置工程では、防振部材60を構成する弾性体61をモータハウジング12および吐出ハウジング14に取り付ける。この工程では、例えば、図6に示すように、第1防振ゴム62をモータハウジング12の第1外側支持部126と接触するように配置する。また、例えば、図7に示すように、第2防振ゴム63を吐出ハウジング14の第2外側支持部143と接触するように配置する。
【0076】
続くステップS30の内部構造体STの配置工程では、例えば、図8に示すように、第1防振ゴム62が取り付けられたモータハウジング12の内側に内部構造体STを配置する。この際、内部構造体STとモータハウジング12とが第1防振ゴム62を介して接触するように内部構造体STがモータハウジング12の内側に配置される。すなわち、内部構造体STとモータハウジング12とが直に接触しないように、内部構造体STがモータハウジング12の内側に配置される。
【0077】
続くステップS40の外部ハウジングの組付工程では、例えば、図9に示すように、第1防振ゴム62および内部構造体STが取り付けられたモータハウジング12と第2防振ゴム63が取り付けられた吐出ハウジング14とを締結ボルト15によって締結する。この際、弾性体61は、締結ボルト15による締結力を受けて弾性変形する。
【0078】
本実施形態の内部構造体STは、弾性体61との接触部位である第1内側支持部IS1および第2内側支持部IS2が軸方向Daxに対して傾斜している。また、モータハウジング12および吐出ハウジング14は、弾性体61との接触部位である第1外側支持部126および第2外側支持部143が軸方向Daxに対して傾斜している。これらにより、弾性体61は、締結ボルト15による締結力を受けると、軸方向Daxに交差する方向に弾性変形する。この際、内部構造体STには、図4に示すように、軸方向Daxに交差する方向に弾性体61の圧縮反力(すなわち、復元力)Frが作用する。
【0079】
このようにして得られる圧縮機ECPは、内部構造体STと外部ハウジングといった剛体同士が防振部材60の弾性体61を介して接続され、内部構造体STと外部ハウジングとが直に接触しない構造となる。
【0080】
次に、圧縮機ECPの作動について説明する。圧縮機ECPは、図示しないインバータから電動モータ50のステータ54に電力が供給されると、ロータ52および回転軸20が回転するとともに、旋回スクロール34が回転軸20に対して公転運動する。これにより、圧縮部30が駆動されることで、蒸発器EVを通過した低温低圧の冷媒が吸込口からハウジング10の内側に吸い込まれる。
【0081】
具体的には、冷媒は、モータハウジング12と内部ハウジング16と間に形成される隙間空間164に流れた後、内外連通部を介して内部ハウジング16の内側に導入される。内外連通部は、内部ハウジング16における回転軸20の軸心CLよりも上方側に形成されている。冷媒は、比重が小さいガス冷媒が内外連通部を介して内部ハウジング16の内側に導入される一方、比重が大きい液冷媒が隙間空間164に貯留される。本実施形態の第1防振ゴム62は、円環形状となっているので、隙間空間164に液冷媒や異物等を堰き止める部材としても機能する。
【0082】
内部ハウジング16の内側に導入された冷媒は、電動モータ50の各種構成の隙間および軸支持部材40に設けられた冷媒吸入通路を通過した後、固定スクロール32の外周側に形成された冷媒吸引口を介して作動室31に吸入される。作動室31に供給された冷媒は、作動室31の容積の減少に伴って圧縮される。作動室31内の圧力がリード弁の開弁圧に達すると、作動室31で圧縮された冷媒が固定スクロール32の吐出孔323からマフラ室361に吐出される。マフラ室361に吐出された冷媒は、吐出プレート36に設けられた導出口から吐出ハウジング14の内側に流れた後、吐出ハウジング14に設けられた吐出口から圧縮機ECPの吐出冷媒として吐出される。この際、吐出冷媒に含まれる潤滑油は、吐出口に設けられたオイルセパレータによって分離されるとともに、自重によって落下して吐出ハウジング14の下方側に貯留される。そして、潤滑油は、ハウジング10の内部における冷媒の圧力差によってオイル供給路24等を介して、ハウジング12内部の各摺動部位に供給される。摺動部位に供給された潤滑油は、その一部が隙間空間164に流れ込むが、隙間空間164と冷媒導入路とを連通させる連通流路を介して、冷媒導入路に導かれる。
【0083】
ここで、前述したように内部構造体STは、圧縮機ECPの作動時に振動する。このような振動がモータハウジング12および吐出ハウジング14からなる外部ハウジングに伝わると、外部への放射される音や振動が大きくなってしまう。
【0084】
これに対して、本実施形態の圧縮機ECPは、防振部材60を介して、内部構造体STがモータハウジング12および吐出ハウジング14と接続されている。このため、防振部材60によって圧縮部30および電動モータ50で生ずる振動が外部ハウジングに伝達されることを抑制することができる。
【0085】
また、従来技術では、弾性部材の組立、圧縮工程は外部ハウジングの組立工程とは独立しており、別に設ける必要があったが、本実施形態の防振部材60は、外部ハウジングの組立工程で弾性体61の組立、圧縮工程を兼ねている。具体的には、モータハウジング12と吐出ハウジング14とを締結ボルト15によって締結する際の締結力によって弾性体61が外部ハウジングと内部構造体STとの間に組み付けられている。
【0086】
したがって、本実施形態の圧縮機ECPでは、弾性体61の配置と弾性体61の弾性変形とを行うことができるので、従来よりも簡易な態様で防振部材60を配置して、製造コストの低減を図ることができる。
【0087】
また、本実施形態の圧縮機ECPは、以下の特徴を備える。
【0088】
(1)モータハウジング12および吐出ハウジング14は、軸方向Daxに対向して配置され、締結ボルト15によって軸方向Daxに締結されている。そして、弾性体61は、少なくとも一部が、締結力を受けて軸方向Daxに交差する方向に弾性変形した状態で、内部構造体STと外部ハウジングとの間に配置されている。これによれば、弾性体61の圧縮反力が軸方向Daxだけでなく、軸方向Daxに交差する方向にも作用する。したがって、軸方向Daxの振動だけでなく、軸方向Daxに交差する方向の振動を防振部材60で減衰させることができる。
【0089】
ここで、締結ボルト15の締結力が作用する軸方向Daxのみに弾性体61が圧縮されている場合、軸方向Daxに交差する方向に作用する内部構造体STの荷重を弾性体61で支えることが難しい。例えば、弾性体61がゴム単体で構成されている場合、軸方向Daxに直交する方向に作用する荷重は、弾性体61を構成するゴムのせん断力のみで支えることになり、ゴムの耐久性が低くなってしまう。これに避けるために、別の弾性部材で軸方向Daxに直交する方向に作用する荷重を支えることが考えられるが、この場合、別の弾性部材を配置したり圧縮したりする工程が必要となってしまう。
【0090】
これらに対して、本実施形態では、弾性体61の少なくとも一部が、締結力を受けて軸方向Daxに交差する方向に弾性変形した状態で配置されている。このため、軸方向Daxに直交する方向に作用する荷重を弾性体61のせん断力だけではなく圧縮反力によって支えることができる。したがって、本実施形態の圧縮機ECPによれば、部品点数の増加および組付工数の増加を招くことなく、簡易に耐久性を確保することができる。
【0091】
(2)内部構造体STおよび弾性体61の少なくとも一方は、他方と接触する部分が軸方向Daxに直交する方向に対して傾斜している。これによれば、締結ボルト15による締結力によって弾性体61を軸方向Daxに交差する方向に弾性変形させ易いといったメリットがある。
【0092】
(3)弾性体61および外部ハウジングの少なくとも一方は、他方と接触する部分が軸方向Daxに直交する方向に対して傾斜している。これによれば、締結ボルト15による締結力によって弾性体61を軸方向Daxに交差する方向に弾性変形させ易いといったメリットがある。
【0093】
(4)防振部材60の弾性部材は、ゴムを含む弾性体61を含んで構成されている。このように、ゴムを含む弾性体61で弾性部材を構成すれば、内部構造体STおよび外部ハウジングそれぞれの弾性体61との接触面積を確保して接触面圧が抑えられる。このため、弾性体61を介在させることに伴う外部ハウジングや内部構造体STの摩耗や変形を抑制することができる。また、ゴムの減衰効果によって内部構造体STの振動が外部ハウジングに伝わり難くすることができる。
【0094】
(5)弾性体61は、軸方向Daxおよび軸方向Daxに直交する方向それぞれにおいて、外部ハウジングと内部構造体STとで挟持されるように、外部ハウジングと内部構造体STとの間に配置されている。これによれば、軸方向Daxの振動だけでなく、軸方向Daxに交差する方向の振動を防振部材60で減衰させることができる。
【0095】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の弾性体61は、円環形状に形成されたもので構成されているが、これとは異なる形状になっていてもよい。
【0096】
(第1変形例)
例えば、図10に示すように、弾性体61は、第1分割体61A、第2分割体61B、第3分割体61Cといった3つの分割体で構成されていてもよい。弾性体61は、内部構造体STを三点以上で支持できるように、第1分割体61A、第2分割体61B、第3分割体61Cが回転軸20の周方向に間隔をあけて配置されていることが望ましい。
【0097】
(第2変形例)
また、例えば、図11に示すように、弾性体61は、第1分割体61A、第2分割体61B、第3分割体61C、第4分割体61Dといった4つの分割体で構成されていてもよい。なお、弾性体61は、内部構造体STを三点以上で支持可能になっていれば、2つの分割体で構成されていてもよいし、5つ以上の分割体で構成されていてもよい。
【0098】
(第3変形例)
内部構造体STおよび弾性体61の少なくとも一方は、他方と接触する部分が軸方向Daxに直交する方向に対して傾斜していることが望ましいが、そのようになっていなくてもよい。また、弾性体61および外部ハウジングの少なくとも一方は、他方と接触する部分が軸方向Daxに直交する方向に対して傾斜していることが望ましいが、そのようになっていなくてもよい。
防振部材60の弾性部材は、ゴムを含む弾性体61を含んで構成されていることが望ましいが、これに限らず、ゴムを含む複合材料で構成された弾性体61や樹脂製の弾性体61を含んで構成されていてもよい。
【0099】
弾性体61は、軸方向Daxおよび軸方向Daxに直交する方向それぞれにおいて、外部ハウジングと内部構造体STとで挟持されるように、外部ハウジングと内部構造体STとの間に配置されていることが望ましいが、そのようになっていなくてもよい。
【0100】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図12を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0101】
図12に示すように、防振部材60は、第1防振ゴム62を第1底壁部121に近接して配置し、内部構造体STにおける軸方向Daxの両端部を第1防振ゴム62と第2防振ゴム63とで支持する構造になっている。具体的には、第1防振ゴム62は、モータハウジング12の第1底壁部121の内面と第1外周壁部122の内面との間に設けられた第1外側支持部126と、内部構造体STに設けられた第1内側支持部IS1とで挟持されている。
【0102】
第1外側支持部126は、第1防振ゴム62に対応して円環状になっている。第1外側支持部126は、第1実施形態で説明したものと同様に、軸方向Daxに対して傾斜している。
【0103】
第1内側支持部IS1は、第1防振ゴム62に対応して円環状になっている。第1内側支持部IS1は、第1実施形態で説明したものと同様に、軸方向Daxに対して傾斜している。
【0104】
内部構造体STは、第1内側支持部IS1が軸方向Daxにおいて第1防振ゴム62を介して第1外側支持部126の一部と重なり合い、径方向Drにおいて第1防振ゴム62を介して第1外側支持部126の一部と重なり合う姿勢で配置されている。
【0105】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の電動圧縮機ECPは、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0106】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態の防振部材60は、内部構造体STにおける軸方向Daxの両端部を含む2箇所を防振ゴムで支持する構造になっているがこれに限定されない。防振部材60は、3つ以上の防振ゴムで支持される構造になっていてもよい。例えば、防振部材60は、内部構造体STにおける軸方向Daxの両端部および内部構造体STにおける段差面123に対応する部位を含む3箇所を防振ゴムで支持する構造になっていてもよい。なお、防振部材60を構成する複数の防振ゴムは、所定の接続部材を介して互いに接続されることで1つの部品として構成されていてもよい。
【0107】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図13を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0108】
図13に示すように、防振部材60は、締結ボルト15による締結力を受けて弾性変形する弾性体61とは別に、追加弾性体64を含んでいる。本実施形態では、追加弾性体64が“追加弾性部材”に対応している。
【0109】
弾性体61は、回転軸20の軸方向Daxにおいて、外部ハウジングと内部構造体STとで挟持されるように、外部ハウジングと内部構造体STとの間に配置されている。本実施形態の弾性体61は、圧縮部30に対して軸方向Daxの他方側に配置される第1防振ゴム62と、圧縮部30に対して軸方向Daxの一方側に配置される第2防振ゴム63とを備える。第1防振ゴム62および第2防振ゴム63は、円環形状を有している。第1防振ゴム62および第2防振ゴム63は、主に内部構造体STにおける軸方向Daxへの振動を減衰させる。
【0110】
具体的には、第1防振ゴム62は、モータハウジング12の第1底壁部121の内面と、内部構造体STのうち軸方向Daxにおいて第1底壁部121に対向する第1内側支持部IS1とで挟持されている。第1底壁部121および第1内側支持部IS1は、それぞれ軸方向Daxに直交する方向に沿って延びている。第1防振ゴム62は、軸方向Daxの厚みが、内部構造体STが振動していない状態で想定した第1底壁部121の内面と第1内側支持部IS1との隙間寸法を超える大きさになっている。
【0111】
また、第2防振ゴム63は、吐出ハウジング14の第2底壁部141の内面と内部構造体STのうち軸方向Daxにおいて第2底壁部141に対向する第2内側支持部IS2とで挟持されている。第2底壁部141および第2内側支持部IS2は、それぞれ軸方向Daxに直交する方向に沿って延びている。第2防振ゴム63は、軸方向Daxの厚みが、内部構造体STが振動していない状態で想定した第2底壁部141の内面と第2内側支持部IS2との隙間寸法を超える大きさになっている。
【0112】
第1防振ゴム62および第2防振ゴム63は、締結ボルト15による締結力を受けて弾性変形した状態で、内部構造体STとモータハウジング12および吐出ハウジング14との間に配置されている。
【0113】
追加弾性体64は、回転軸20の軸方向Daxに直交する方向において、外部ハウジングと内部構造体STとで挟持されるように、外部ハウジングと内部構造体STとの間に配置されている。
【0114】
追加弾性体64は、圧縮部30に対して軸方向Daxの他方側に配置される第1追加ゴム641と、圧縮部30に対して軸方向Daxの一方側に配置される第2追加ゴム642とを備える。
【0115】
第1追加ゴム641および第2追加ゴム642は、円環形状を有している。第1追加ゴム641および第2追加ゴム642は、主に内部構造体STにおける軸方向Daxに直交する方向への振動を減衰させる。
【0116】
具体的には、第1追加ゴム641は、モータハウジング12の第1外周壁部122の内面と、内部構造体STのうち回転軸20の径方向Drにおいて第1外周壁部122に対向する第3内側支持部IS3とで挟持されている。第1外周壁部122および第3内側支持部IS3は、それぞれ軸方向Daxに沿って延びている。第1追加ゴム641は、径方向Drの厚みが、内部構造体STが振動していない状態で想定した第1外周壁部122の内面と第3内側支持部IS3との隙間寸法を超える大きさになっている。
【0117】
また、第2追加ゴム642は、モータハウジング12の第1外周壁部122の内面と内部構造体STのうち軸方向Daxに直交する方向において第1外周壁部122に対向する第4内側支持部IS4とで挟持されている。第1外周壁部122および第4内側支持部IS4は、それぞれ軸方向Daxに直交する方向に沿って延びている。第2追加ゴム642は、径方向Drの厚みが、内部構造体STが振動していない状態で想定した第1外周壁部122の内面と第4内側支持部IS4との隙間寸法を超える大きさになっている。なお、第2追加ゴム642は、吐出ハウジング14の第2外周壁部142の内面と内部構造体STとで挟持されていてもよい。
【0118】
第1追加ゴム641および第2追加ゴム642は、弾性変形した状態で、内部構造体STとモータハウジング12および吐出ハウジング14との間に配置されている。なお、第1追加ゴム641および第2追加ゴム642は、第1防振ゴム62および第2防振ゴム63とは異なり、締結ボルト15による締結力によって弾性変形するわけではない。
【0119】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の電動圧縮機ECPは、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0120】
また、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0121】
(1)本実施形態の防振部材60は、弾性体61とは別に、追加弾性体64を含んでいる。弾性体61は、軸方向Daxにおいて、外部ハウジングと内部構造体STとで挟持されている。また、追加弾性体64は、軸方向Daxに直交する方向において、外部ハウジングと内部構造体STとで挟持されている。これによると、内部構造体STが振動した場合、軸方向Daxの振動成分が弾性体61で減衰され、軸方向Daxに直交する方向の振動成分が追加弾性体64で減衰される。このように、本実施形態の電動圧縮機ECPについても、軸方向Daxの振動だけでなく、軸方向Daxに交差する方向の振動を防振部材60で減衰させることができる。
【0122】
(第3実施形態の変形例)
第3実施形態の弾性体61および追加弾性体64は、上述したものは配置や形状などが異なっていてもよい。なお、特に支障が生じない範囲であれば、上記の実施形態で示した防振部材60の構成要素および以下の変形例で示す防振部材60の構成要素の組み合わせを部分的に変更することができる。
【0123】
(第1変形例)
例えば、図14に示すように、第1防振ゴム62は、モータハウジング12の段差面123と、内部構造体STのうち軸方向Daxにおいて段差面123に対向する第1内側支持部IS1とで挟持されていてもよい。第1変形例では、段差面123が外側支持部126を構成する。
【0124】
(第2変形例)
第3実施形態の弾性体61は、第1防振ゴム62と第1追加ゴム641とが別体で構成されているが、これに限定されない。例えば、図15に示すように、第1防振ゴム62は、軸方向Daxにて外部ハウジングと内部構造体STに挟持される第1弾性部位621と、軸方向Daxに直交する方向にて外部ハウジングと内部構造体STに挟持される第1追加部位622とを含んでいてもよい。本変形例では、第1弾性部位621が段差面123と内部構造体STのうち軸方向Daxにて段差面123に対向する第1内側支持部IS1とで挟持されている。また、第1追加部位622が軸方向Daxに直交する方向にて、第1外周壁部122の内面と内部構造体STとで挟持されている。
【0125】
(第3変形例)
また、図16に示すように、第1防振ゴム62は、第1弾性部位621がモータハウジング12の第1底壁部121の内面と内部構造体STのうち軸方向Daxにて第1底壁部121に対向する第1内側支持部IS1とで挟持されていてもよい。なお、本変形例では、第1追加部位622が軸方向Daxに直交する方向にて、第1外周壁部122の内面と内部構造体STとで挟持されている。
【0126】
(第4変形例)
また、図17に示すように、第2防振ゴム63は、軸方向Daxにて外部ハウジングと内部構造体STに挟持される第2弾性部位631と、軸方向Daxに直交する方向にて外部ハウジングと内部構造体STに挟持される第2追加部位632とを含んでいてもよい。本変形例では、第2弾性部位631が第2底壁部141の内面と内部構造体STのうち軸方向Daxにて第2底壁部141に対向する第2内側支持部IS2とで挟持されている。また、第2追加部位632が軸方向Daxに直交する方向にて、第2外周壁部142の内面と内部構造体STとで挟持されている。
【0127】
(第5変形例)
また、図18に示すように、第1防振ゴム62は、モータハウジング12の第1外側支持部126に接する部位が軸方向Daxに対して90°未満の角度で傾斜し、内部構造体STに接する部位が内部構造体STにおける角部分に対応する形状になっている。具体的には、第1外側支持部126は、軸方向Daxに対して傾斜している。また、第1内側支持部IS1は、軸方向Daxに沿って延びる面と軸方向Daxに直交する方向に沿って延びる面と有している。このように、第1外側支持部126が軸方向Daxに対して傾斜していれば、締結ボルト15による締結力によって弾性体61を軸方向Daxに交差する方向に弾性変形させ易いといったメリットがある。このことは、第1内側支持部IS1が軸方向Daxに対して90°未満の角度で傾斜している場合も同様である。
【0128】
(第6変形例)
第3実施形態の追加弾性体64は、円環形状に形成されたもので構成されているが、これとは異なる形状になっていてもよい。例えば、追加弾性体64は、複数の分割体で構成されていてもよい。
【0129】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図19図21を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0130】
図19に示すように、防振部材60は、金属製のバネ部材65を含んで構成されている。バネ部材65は、締結ボルト15による締結力を受けて弾性変形した状態で、内部構造体STとモータハウジング12および吐出ハウジング14との間に配置される。本実施形態では、バネ部材65が“弾性部材”を構成している。
【0131】
バネ部材65は、圧縮部30に対して軸方向Daxの他方側に配置される第1板バネ651と、圧縮部30に対して軸方向Daxの一方側に配置される第2板バネ652とを備える。換言すれば、バネ部材65は、第1板バネ651がモータハウジング12の内側に配置され、第2板バネ652が吐出ハウジング14に配置されている。
【0132】
図20および図21に示すように、第1板バネ651は、円錐台状の外形形状を有し、互いに交差する二方向に弾性変形可能な金属製の皿バネで構成されている。また、第2板バネ652は、第1板バネ651と同様に、金属製の皿バネで構成されている。本実施形態の第1板バネ651および第2板バネ652それぞれは、1つ皿バネで構成されていているが、これに限らず、複数の皿バネで構成されていてもよい。
【0133】
第1板バネ651は、小径となる部位が軸方向Daxの一方側に位置し、大径となる部位が軸方向Daxの他方側に位置する姿勢で配置されている。第1板バネ651は、軸方向Daxの他方側の端部がモータハウジング12の段差面123に連なる角部に接し、軸方向Daxの一方側の端部が内部構造体STにおける圧縮部30と電動モータ50との間の角部に接するように配置されている。
【0134】
また、第1板バネ651は、締結ボルト15による締結力を受けて小径側の径が小さくなり、大径側の径が大きくなるように弾性変形した状態で、モータハウジング12と内部構造体STとで挟持されている。
【0135】
第1板バネ651は、所望のバネ特性が得られるように、中心に沿った方向の寸法の大きさが設定されている。なお、第1板バネ651は、バネ特定を変更するために、一部に切り欠きが設けられていてもよい。このことは、第2板バネ652についても同様である。
【0136】
第2板バネ652は、大径となる部位が軸方向Daxの一方側に位置し、小径となる部位が軸方向Daxの他方側に位置する姿勢で配置されている。第2板バネ652は、軸方向Daxの一方側の端部が吐出ハウジング14の第2底壁部141と第2外周壁部142との間の角部に接し、軸方向Daxの他方側の端部が内部構造体STにおける第2底壁部141に対向する部位に接するように配置されている。
【0137】
また、第2板バネ652は、締結ボルト15による締結力を受けて小径側の径が小さくなり、大径側の径が大きくなるように弾性変形した状態で、吐出ハウジング14と内部構造体STとで挟持されている。
【0138】
具体的には、内部構造体STには、第2底壁部141に対向する部位に軸方向Daxの一方側に向かって突き出る圧縮側凸部PCが設けられている。第2板バネ652は、軸方向Daxの他方側の端部が圧縮側凸部PCの根元側と接するように配置されている。第2板バネ652は、圧縮側凸部PCによって軸方向Daxに直交する方向への移動が規制されている。本実施形態では、圧縮側凸部PCが“移動規制部”を構成している。
【0139】
本実施形態の圧縮機ECPは、防振部材60のバネ部材65を介して、内部構造体STがモータハウジング12および吐出ハウジング14と接続されている。このため、バネ部材65によって圧縮部30および電動モータ50で生ずる振動が外部ハウジングに伝達されることを抑制することができる。
【0140】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の電動圧縮機ECPは、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0141】
また、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0142】
(1)防振部材60の弾性部材は、金属製のバネ部材65を含んで構成されている。このように、金属製のバネ部材65で弾性部材を構成しても、バネ部材65の減衰効果によって内部構造体STの振動が外部ハウジングに伝わり難くすることができる。
【0143】
(2)また、内部構造体STには、軸方向Daxに直交する方向におけるバネ部材65の移動を規制する圧縮側凸部PCが設けられている。このようになっていれば、内部構造体STが回転軸20に交差する方向に振動した際にバネ部材65が回転軸20に直交する方向に移動してしまうことを抑制することができる。
(3)本例のバネ部材65は、締結ボルト15による締結力を受けて小径側の径が小さくなり、大径側の径が大きくなるように弾性変形した状態で、外部ハウジングと内部構造体STとで挟持される。これによると、外部ハウジングの組付け前の状態では、外部ハウジングとバネ部材65との間や内部構造体STとバネ部材65との間に、空隙を有する状態で、バネ部材65を組み付けることができる。したがって、本実施形態の電動圧縮機ECPは、組付け性が容易になるとともに、組付け時に部品間での摺動による摩耗粉の発生を抑制することができる。なお、組付け性の改善は、モータハウジング12と第1板バネ651との関係だけでなく、吐出ハウジング14と第2板バネ652との関係についても同様に得られる。
【0144】
(第4実施形態の変形例)
防振部材60のバネ部材65は、上述したものは配置や形状などが異なっていてもよい。なお、特に支障が生じない範囲であれば、上記の実施形態で示した構成要素および以下の変形例で示す構成要素の組み合わせを部分的に変更することができる。
【0145】
(第1変形例)
図22に示すように、第1板バネ651は、軸方向Daxの他方側の端部が第1底壁部121と第1外周壁部122との間の角部に接し、軸方向Daxの一方側の端部が内部構造体STにおける第1底壁部121に対向する部位に接するように配置されていてもよい。この場合、第1板バネ651の径方向Drへの移動が規制されるように、例えば、図23に示すように、内部構造体STにおける第1底壁部121に対向する部位にモータ側凸部PMが設けられていることが望ましい。本変形例では、モータ側凸部PMが“移動規制部”を構成している。
【0146】
(第2変形例)
図24に示すように、第1板バネ651は、大径となる部位が軸方向Daxの一方側に位置し、小径となる部位が軸方向Daxの他方側に位置する姿勢で配置されていてもよい。この場合、第1板バネ651の径方向Drへの移動が規制されるように、図25に示すように、内部構造体STにおける第1底壁部121に対向する部位にモータ側凹部DMが設けられ、第1底壁部121に底壁側凸部PW1が設けられていることが望ましい。本変形例では、モータ側凹部DMおよび底壁側凸部PW1が“移動規制部”を構成している。
【0147】
(第3変形例)
図26に示すように、第2板バネ652は、小径となる部位が軸方向Daxの一方側に位置し、大径となる部位が軸方向Daxの他方側に位置する姿勢で配置されていてもよい。この場合、第2板バネ652の径方向Drへの移動が規制されるように、例えば、図27に示すように、内部構造体STにおける第2底壁部141に対向する部位に圧縮側凹部DPが設けられ、第2底壁部141に底壁側凸部PW2が設けられていることが望ましい。本変形例では、圧縮側凹部DPおよび底壁側凸部PW2が“移動規制部”を構成している。
【0148】
(第4変形例)
ここで、弾性部材として金属製のバネ部材65を用いる場合、フレッチング摩耗や接触部分の圧力が高まること等によって外部ハウジングおよび内部構造体STが変形したり損傷したりしてしまうことがある。
【0149】
このため、外部ハウジングおよび内部構造体STの少なくとも一方とバネ部材65との間には、外部ハウジングおよび内部構造体STにおけるバネ部材65との接触部分よりも硬度の高い材料で構成される保護部材66が配置されていることが望ましい。すなわち、防振部材60は、前述の保護部材66を含み、当該保護部材66が外部ハウジングおよび内部構造体STの少なくとも一方とバネ部材65との間に配置されていることが望ましい。保護部材66は、例えば、外部ハウジングがアルミダイキャストやアルミ鋳造物で構成されている場合、アルミニウムよりも、高強度、且つ、高硬度な鉄系の材料で構成される。
【0150】
例えば、第4実施形態の第1板バネ651を用いる場合、図28に示すように、モータハウジング12および内部構造体STの双方と第1板バネ651との間に、保護部材66が配置されていることが望ましい。保護部材66は、例えば、円筒部の端部に円筒部の中心に向けて突き出る円環部を接続した第1スリーブ661、円筒部の端部に円筒部の中心から離れる方向に突き出る円環部を接続した第2スリーブ662を用いることができる。
【0151】
本変形例の如く、防振部材60に保護部材66が含まれていれば、フレッチング摩耗や接触部分の圧力が高まること等による外部ハウジングおよび内部構造体STの変形や損傷を抑制することができる。なお、本変形例の第1スリーブ661は、円環部を有しているので、隙間空間164に液冷媒や異物等を堰き止める部材としても機能する。なお、保護部材66は、バネ部材65と一体の成形品として構成されていてもよい。
【0152】
(第5変形例)
また、例えば、上記の第1変形例で示した第1板バネ651を用いる場合、図29に示すように、モータハウジング12と第1板バネ651との間に、保護部材66が配置されていることが望ましい。なお、保護部材66は、内部構造体STと第1板バネ651との間に配置されていてもよい。
【0153】
(第6変形例)
また、例えば、上記の第3変形例で示した第2板バネ652を用いる場合、図30に示すように、吐出ハウジング14および内部構造体STの双方と第2板バネ652との間に、保護部材66が配置されていることが望ましい。保護部材66は、例えば、円筒部の端部に円筒部の中心に向けて突き出る円環部を接続した第3スリーブ663、円筒部の端部に円筒部の中心から離れる方向に突き出る円環部を接続した第4スリーブ664を用いることができる。
【0154】
(第7変形例)
バネ部材65は、皿バネ等の板バネではなく、互いに交差する二方向に弾性変形可能な金属製の渦巻バネで構成されていてもよい。例えば、図31に示すように、バネ部材65は、第1板バネ651の代わりに、竹の子バネや円錐コイルバネ等の第1渦巻バネ653を含んで構成されていてもよい。
【0155】
具体的には、第1渦巻バネ653は、小径となる部位が軸方向Daxの他方側に位置し、大径となる部位が軸方向Daxの一方側に位置する姿勢で配置されている。なお、第1渦巻バネ653は、大径となる部位が軸方向Daxの他方側に位置し、小径となる部位が軸方向Daxの一方側に位置する姿勢で配置されていてもよい。
【0156】
本例では、第1渦巻バネ653の径方向Drへの移動が規制されるように、図32に示すように、内部構造体STにおける第1底壁部121に対向する部位にモータ側凸部PMが設けられ、第1底壁部121に底壁側凸部PW1が設けられていることが望ましい。本変形例では、モータ側凸部PMおよび底壁側凸部PW1が“移動規制部”を構成している。
【0157】
(第8変形例)
また、例えば、図33に示すように、バネ部材65は、第2板バネ652の代わりに、竹の子バネや円錐コイルバネ等の第2渦巻バネ654を含んで構成されていてもよい。具体的には、第2渦巻バネ654は、大径となる部位が軸方向Daxの他方側に位置し、小径となる部位が軸方向Daxの一方側に位置する姿勢で配置されている。なお、第2渦巻バネ654は、小径となる部位が軸方向Daxの他方側に位置し、大径となる部位が軸方向Daxの一方側に位置する姿勢で配置されていてもよい。
【0158】
本例では、第2渦巻バネ654の径方向Drへの移動が規制されるように、図34に示すように、内部構造体STにおける第2底壁部141に対向する部位に圧縮側凸部PCが設けられ、第2底壁部141に底壁側凸部PW2が設けられていることが望ましい。本変形例では、圧縮側凸部PCおよび底壁側凸部PW2が“移動規制部”を構成している。
【0159】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0160】
外部ハウジングは、モータハウジング12と吐出ハウジング14とが軸方向Daxに締結されたもので構成されているが、これに限定されない。外部ハウジングは、径方向Drに分割された第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とが締結部材によって径方向Drに締結されたもので構成されていてもよい。
なお、外部ハウジングは、3つ以上のハウジング部材を含んで構成されてもよい。
【0161】
内部ハウジング16は、略カップ形状にものに限定されず、例えば、円筒形状のもので構成されていてもよい。また、内部ハウジング16は、必須ではなく、省略されていてもよい。
【0162】
第1軸受部411および第2軸受部17は、滑り軸受ではなく、例えば、転がり軸受で構成されていてもよい。また、第2軸受部17は、内部ハウジング16以外の要素に設けられていてもよい。
【0163】
圧縮機ECPの圧縮部30は、固定スクロール32および旋回スクロール34を有するスクロール型のものに限定されず、例えば、ピストン型、ベーン型のもので構成されていてもよい。圧縮部30は、その一部が軸方向Daxにおいて吐出ハウジング14に接していてもよい。
【0164】
上述の実施形態では、ハウジング10における電動モータ50が配置される空間が、低圧、且つ、低温の雰囲気となっているものを例示したが、圧縮機ECPは、このようなものに限定されない。例えば、圧縮機ECPは、圧縮部30から吐出された冷媒がハウジング10における電動モータ50が配置される空間に導入され、当該空間が高圧、且つ、高温の雰囲気となっていてもよい。 圧縮機ECPは、軸方向Daxの一方側の防振構造と軸方向Daxの他方側の防振構造とが異なっていてもよい。例えば、軸方向Daxの一方側の防振構造が弾性体61で構成され、軸方向Daxの他方側の防振構造がバネ部材65で構成されていてもよい。
【0165】
上述の実施形態では、車両用空調装置に適用される圧縮機ECPについて説明したが、これに限定されず、圧縮機ECPは、他の空調装置、各種機器の温調装置等にも適用可能である。また、圧縮機ECPは、圧縮部30と電動モータ50とが略水平方向に並ぶ姿勢で設置される横置構造になっているものに限定されない。
【0166】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0167】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0168】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【0169】
(本開示の観点)
本開示は以下の複数の観点を有する。
【0170】
[第1の観点]
電動圧縮機であって、
外殻を構成する外部ハウジング(12、14)と、
前記外部ハウジングの内側に収容される回転軸(20)と、
前記回転軸が回転することにより流体を圧縮する圧縮部(30)と、
前記圧縮部を駆動させる電動モータ(50)と、
前記外部ハウジングの内側において、前記圧縮部および前記電動モータを含む内部構造体(ST)と前記外部ハウジングとの間に介在して振動の伝達を抑制する防振部材(60)と、を備え、
前記外部ハウジングは、締結部材(15)によって互いに締結される第1ハウジング部材(12)および第2ハウジング部材(14)を含み、
前記防振部材は、前記締結部材による締結力を受けて弾性変形した状態で、前記内部構造体と前記外部ハウジングとの間に配置される弾性部材(61、64)を含んでいる、電動圧縮機。
【0171】
[第2の観点]
前記第1ハウジング部材および前記第2ハウジング部材は、前記回転軸の軸方向に対向して配置され、前記締結部材によって前記回転軸の軸方向に締結されており、
前記弾性部材は、少なくとも一部が、前記締結力を受けて前記回転軸の軸方向に交差する方向に弾性変形した状態で、前記内部構造体と前記外部ハウジングとの間に配置されている、第1の観点に記載の電動圧縮機。
【0172】
[第3の観点]
前記内部構造体および前記弾性部材の少なくとも一方は、他方と接触する部分が前記回転軸の軸方向に直交する方向に対して傾斜している、第2の観点に記載の電動圧縮機。
【0173】
[第4の観点]
前記弾性部材および前記外部ハウジングの少なくとも一方は、他方と接触する部分が前記回転軸の軸方向に直交する方向に対して傾斜している、第2または第3の観点に記載の電動圧縮機。
【0174】
[第5の観点]
前記弾性部材は、ゴムを含む弾性体(61)を含んで構成されている、第1ないし4の観点のいずれか1つに記載の電動圧縮機。
【0175】
[第6の観点]
前記弾性体は、前記回転軸の軸方向および前記回転軸の軸方向に直交する方向それぞれにおいて、前記外部ハウジングと前記内部構造体とで挟持されるように、前記外部ハウジングと前記構造体との間に配置されている、第5の観点に記載の電動圧縮機。
【0176】
[第7の観点]
前記防振部材は、前記弾性部材とは別に、追加弾性部材(64)を含んでおり、
前記弾性部材は、前記回転軸の軸方向において、前記外部ハウジングと前記内部構造体とで挟持されるように、前記外部ハウジングと前記内部構造体との間に配置されており、
前記追加弾性部材は、前記回転軸の軸方向に直交する方向において、前記外部ハウジングと前記内部構造体とで挟持されるように、前記外部ハウジングと前記内部構造体との間に配置されている、第1~第6の観点のいずれか1つに記載の電動圧縮機。
【0177】
[第8の観点]
前記弾性部材は、金属製のバネ部材(65)を含んで構成されている、第1ないし第7の観点のいずれか1つに記載の電動圧縮機。
【0178】
[第9の観点]
前記外部ハウジングおよび前記内部構造体の少なくとも一方には、前記回転軸に直交する方向における前記バネ部材の移動を規制する移動規制部(PC、PM、DM、PW1、PW2)が設けられている、第8の観点に記載の電動圧縮機。
【0179】
[第10の観点]
前記防振部材は、前記外部ハウジングおよび前記内部構造体における前記弾性部材との接触部分よりも硬度の高い材料で構成される保護部材(66)を含み、前記外部ハウジングおよび前記内部構造体の少なくとも一方と前記バネ部材との間に前記保護部材が配置される、第8または第9の観点に記載の電動圧縮機。
【符号の説明】
【0180】
12 モータハウジング(外部ハウジング、第1ハウジング部材)
14 吐出ハウジング(外部ハウジング、第2ハウジング部材)
15 締結ボルト(締結部材)
20 回転軸
30 圧縮部
50 電動モータ
60 防振部材
61 弾性体(弾性部材)
65 バネ部材(弾性部材)
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