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  • 特開-温度センサ 図1
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  • 特開-温度センサ 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128709
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】温度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/16 20060101AFI20240913BHJP
   G01K 7/22 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G01K1/16
G01K7/22 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037862
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 利博
(72)【発明者】
【氏名】杉山 達雄
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056DA08
2F056QF04
(57)【要約】
【課題】 熱が封止樹脂から外部に放出することを抑制し、測温精度を向上させることができる温度センサを提供すること。
【解決手段】 絶縁性基板2と、絶縁性基板の上面に設けられた感熱素子3と、絶縁性基板の上面に設けられ感熱素子を覆う断熱層部4と、絶縁性基板の上面に設けられ断熱層部を封止する樹脂封止部5とを備え、断熱層部が、少なくとも気体を含んで樹脂封止部よりも熱伝導率が低い。これにより、断熱性が高く、感熱素子周囲の樹脂封止部から熱が逃げてしまうことを抑制して、測温精度を向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板と、
前記絶縁性基板の上面に設けられた感熱素子と、
前記絶縁性基板の上面に設けられ前記感熱素子を覆う断熱層部と、
前記絶縁性基板の上面に設けられ前記断熱層部を封止する樹脂封止部とを備え、
前記断熱層部が、少なくとも気体を含んで前記樹脂封止部よりも熱伝導率が低いことを特徴とする温度センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の温度センサにおいて、
前記断熱層部が、空気で形成されていることを特徴とする温度センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の温度センサにおいて、
前記断熱層部と前記樹脂封止部との間に、前記樹脂封止部よりも赤外線の反射率が高い材料で形成された赤外線反射カバー部を備えていることを特徴とする温度センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の温度センサにおいて、
前記赤外線反射カバー部が、ドーム状に形成されていることを特徴とする温度センサ。
【請求項5】
請求項3に記載の温度センサにおいて、
前記赤外線反射カバー部が、内面が鏡面となったアルミニウムで形成されていることを特徴とする温度センサ。
【請求項6】
請求項1に記載の温度センサにおいて、
前記断熱層部が、気体を含有した発泡樹脂で形成されていることを特徴とする温度センサ。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の温度センサにおいて、
前記絶縁性基板の下面に接着され前記絶縁性基板よりも熱伝導率の高い材料で形成された高熱伝導ベース基板を備えていることを特徴とする温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い測温特性を有する温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラスエポキシ(ガラエポ)基板やFPC基板等の絶縁性基板をベースにサーミスタ等の感熱素子を搭載した温度センサでは、絶縁性基板上で感熱素子をエポキシ樹脂で封止したものが知られている。
例えば、特許文献1には、圧着端子と、圧着端子上に設置した絶縁性フィルムと、絶縁性フィルム上に設けられた薄膜サーミスタの感熱素子と、絶縁性フィルム上で感熱素子を樹脂で封止した樹脂封止部とを備えた温度センサが記載されている。
【0003】
このような従来の温度センサ101は、PCB基板を用いた場合、例えば図5に示すように、PCB基板102と、PCB基板102の上面に設けられた感熱素子103と、PCB基板102の上面に形成され感熱素子103に一端が接続された一対のパターン配線(図示略)と、感熱素子103をエポキシ樹脂で封止した素子保護部103aとを備えている。
なお、一対のパターン配線105の他端は、一対の外部のリード線106にハンダ107で接続され、PCB基板102の上面全体が樹脂封止部108で封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-161434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、従来の温度センサでは、感熱素子をエポキシ樹脂で直接封止しているため、熱がエポキシ樹脂を介して外部に放出されてしまい、測温精度を向上させることが難しいという不都合があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、熱が封止樹脂から外部に放出することを抑制し、測温精度を向上させることができる温度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る温度センサは、絶縁性基板と、前記絶縁性基板の上面に設けられた感熱素子と、前記絶縁性基板の上面に設けられ前記感熱素子を覆う断熱層部と、前記絶縁性基板の上面に設けられ前記断熱層部を封止する樹脂封止部とを備え、前記断熱層部が、少なくとも気体を含んで前記樹脂封止部よりも熱伝導率が低いことを特徴とする。
【0008】
この温度センサでは、断熱層部が、少なくとも気体を含んで樹脂封止部よりも熱伝導率が低いので、断熱性が高く、感熱素子周囲の樹脂封止部から熱が逃げてしまうことを抑制して、測温精度を向上させることができる。
【0009】
第2の発明に係る温度センサは、第1の発明において、前記断熱層部が、空気で形成されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、断熱層部が、空気で形成されているので、固体材料で形成するよりも高い断熱性を有することができる。
【0010】
第3の発明に係る温度センサは、第1又は第2の発明において、前記断熱層部と前記樹脂封止部との間に、前記樹脂封止部よりも赤外線の反射率が高い材料で形成された赤外線反射カバー部を備えていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、断熱層部と樹脂封止部との間に、樹脂封止部よりも赤外線の反射率が高い材料で形成された赤外線反射カバー部を備えているので、熱が赤外線として外側の樹脂封止部へ放射されてしまうことを防止でき、さらに断熱効果を高めることができる。
【0011】
第4の発明に係る温度センサは、第3の発明において、前記赤外線反射カバー部が、ドーム状に形成されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、赤外線反射カバー部が、ドーム状に形成されているので、内部の断熱層部及び感熱素子に向けて赤外線を集光させて反射させることができる。
【0012】
第5の発明に係る温度センサは、第3又は第4の発明において、前記赤外線反射カバー部が、内面が鏡面となったアルミニウムで形成されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、赤外線反射カバー部が、内面が鏡面となったアルミニウムで形成されているので、赤外線を効率的に内側へ反射することができる。
【0013】
第6の発明に係る温度センサは、第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記断熱層部が、気体を含有した発泡樹脂で形成されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、断熱層部が、気体を含有した発泡樹脂で形成されているので、多孔質で多くの空気を含んでいる発泡樹脂により、高い断熱性を有することができる。
【0014】
第7の発明に係る温度センサは、第1から第6の発明のいずれかにおいて、前記絶縁性基板の下面に接着され前記絶縁性基板よりも熱伝導率の高い材料で形成された高熱伝導ベース基板を備えていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、絶縁性基板の下面に接着され絶縁性基板よりも熱伝導率の高い材料で形成された高熱伝導ベース基板を備えているので、例えばPCB基板の絶縁性基板に対してアルミニウム等の熱伝導率の高い材料の高熱伝導ベース基板を採用することで、測定対象物に接触させた高熱伝導ベース基板を介して測定対象物の熱を効率的に絶縁性基板及び感熱素子に伝えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る温度センサによれば、断熱層部が、少なくとも気体を含んで樹脂封止部よりも熱伝導率が低いので、断熱性が高く、感熱素子周囲の樹脂封止部から熱が逃げてしまうことを抑制して、測温精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る温度センサの第1実施形態において、内部を透過して示す斜視図である。
図2】第1実施形態において、温度センサを示す斜視図である。
図3】第1実施形態において、樹脂封止部を除いた温度センサを示す斜視図である。
図4】本発明に係る温度センサの第2実施形態において、内部を透過して示す斜視図である。
図5】本発明に係る温度センサの従来例において、内部を透過して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る温度センサの第1実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。
【0018】
本実施形態の温度センサ1は、図1から図3に示すように、絶縁性基板2と、絶縁性基板2の上面に設けられた感熱素子3と、絶縁性基板2の上面に設けられ感熱素子3を覆う断熱層部4と、絶縁性基板2の上面に設けられ断熱層部4を封止する樹脂封止部5とを備えている。
上記断熱層部4は、少なくとも気体を含んで樹脂封止部5よりも熱伝導率が低くなっている。
本実施形態では、断熱層部4が、空気で形成されている。すなわち、断熱層部4が、空洞部となっている。
【0019】
また、本実施形態の温度センサ1は、断熱層部4と樹脂封止部5との間に、樹脂封止部5よりも赤外線の反射率が高い材料で形成された赤外線反射カバー部6を備えている。
上記赤外線反射カバー部6は、ドーム状に形成されている。
この赤外線反射カバー部6は、内面が鏡面となったアルミニウムで形成されている。
すなわち、赤外線反射カバー部6は、ドーム状に形成されたアルミニウム部材である。
【0020】
このドーム状の赤外線反射カバー部6を、図3に示すように、絶縁性基板2の上面で感熱素子3を囲んで設置し、赤外線反射カバー部6内に空洞部の断熱層部4を形成した状態で、絶縁性基板2上を樹脂封止することで樹脂封止部5が形成される。
【0021】
また、本実施形態の温度センサ1は、絶縁性基板2の下面に接着され絶縁性基板2よりも熱伝導率の高い材料で形成された高熱伝導ベース基板7を備えている。
上記絶縁性基板2は、例えばPCB基板で形成され、上記高熱伝導ベース基板7は、例えばアルミニウムで形成されている。
【0022】
絶縁性基板2の上面には、感熱素子3に一端が接続された一対のパターン配線(図示略)が形成されている。
なお、パターン配線の他端は、外部のリード線106の芯線106aをハンダ107で接続されている。
【0023】
上記感熱素子3は、例えばチップサーミスタ、フレーク型サーミスタ、薄膜サーミスタ等であり、本実施形態では、感熱素子3としてチップサーミスタを採用している。
上記樹脂封止部5は、例えばエポキシ樹脂で形成されている。
上記断熱層部4は、内部に空気が充填された空洞部であるが、窒素等の気体が充填された空洞部でも構わない。
【0024】
このように本実施形態の温度センサ1では、断熱層部4が、少なくとも気体を含んで樹脂封止部5よりも熱伝導率が低いので、断熱性が高く、感熱素子3周囲の樹脂封止部5から熱が逃げてしまうことを抑制して、測温精度を向上させることができる。
特に、断熱層部4が、空気で形成されているので、固体材料で形成するよりも高い断熱性を有することができる。
【0025】
また、断熱層部4と樹脂封止部5との間に、樹脂封止部5よりも赤外線の反射率が高い材料で形成された赤外線反射カバー部6を備えているので、熱が赤外線として外側の樹脂封止部5へ放射されてしまうことを防止でき、さらに断熱効果を高めることができる。
特に、赤外線反射カバー部6が、内面が鏡面となったアルミニウムで形成されているので、赤外線を効率的に内側へ反射することができる。
【0026】
さらに、絶縁性基板2の下面に接着され絶縁性基板2よりも熱伝導率の高い材料で形成された高熱伝導ベース基板7を備えているので、例えばPCB基板の絶縁性基板2に対してアルミニウム等の熱伝導率の高い材料の高熱伝導ベース基板7を採用することで、測定対象物に接触させた高熱伝導ベース基板7を介して測定対象物の熱を効率的に絶縁性基板2及び感熱素子3に伝えることができる。
【0027】
次に、本発明に係る温度センサの第2実施形態について、図4を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0028】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、断熱層部4が空気で形成されているのに対し、第2実施形態の温度センサ21では、図4に示すように、断熱層部24が、気体を含有した発泡樹脂で形成されている点である。
上記発泡樹脂としては、例えば多孔質で空気を含有したシリコンスポンジ等が採用可能である。
なお、第2実施形態の温度センサ21では、赤外線反射カバー部を備えていない。
【0029】
このように、第2実施形態の温度センサ21では、断熱層部24が、気体を含有した発泡樹脂で形成されているので、多孔質で多くの空気を含んでいる発泡樹脂により、高い断熱性を有することができる。
【0030】
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1,21,101…温度センサ、2…絶縁性基板、3…感熱素子、4,24…断熱層部、5…樹脂封止部、6,26…赤外線反射カバー部、7…高熱伝導ベース基板
図1
図2
図3
図4
図5