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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128712
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】装飾性静電容量型センサーフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/025 20190101AFI20240913BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20240913BHJP
   H01H 36/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B32B7/025
C09J7/30
H01H36/00 J
H01H36/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037867
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】大澤 智文
(72)【発明者】
【氏名】守安 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】野崎 友輔
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
5G046
【Fターム(参考)】
4F100AK01C
4F100AK51C
4F100BA03
4F100CA13A
4F100CB00B
4F100CB00C
4F100GB41
4F100HB00A
4F100JG01C
4F100JG04B
4F100JL10A
4J004AA05
4J004AA07
4J004AA10
4J004AA14
4J004AA15
4J004BA02
4J004FA05
5G046AA11
5G046AB01
5G046AB02
5G046AC22
5G046AD02
(57)【要約】
【課題】従来の照明用スイッチなどに比べて表面に凹凸がなく、かつ、装飾性を付与し得る、各種のスイッチなどに利用可能な装飾性静電容量型センサーフィルムの提供。
【解決手段】本開示の一実施態様の装飾性静電容量型センサーフィルムは、装飾層、少なくとも1つの導電層、及び非導電性接着層を含み、導電層が、非導電性接着層の内部、及び/又は非導電性接着層の片面若しくは両面に配置され、かつ、非導電性接着層の面内方向に対して延在している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾層、少なくとも1つの導電層、及び非導電性接着層を含み、
前記導電層が、前記非導電性接着層の内部、及び/又は前記非導電性接着層の片面若しくは両面に配置され、かつ、前記非導電性接着層の面内方向に対して延在している、
装飾性静電容量型センサーフィルム。
【請求項2】
導電性反応部をさらに含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記導電性反応部は、少なくとも1つの前記導電層の少なくとも一部を越えるような大きさの面積を有する、請求項2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記導電性反応部が、最表面に配置されている、請求項2又は3に記載のフィルム。
【請求項5】
前記導電性反応部が、最表面よりも前記非導電性接着層側に配置されている、請求項2又は3に記載のフィルム。
【請求項6】
前記導電性反応部が、前記非導電性接着層に適用されている、請求項2又は3に記載のフィルム。
【請求項7】
前記導電層が、導電性接着層である、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項8】
前記導電層が、略直線状、略波状、又は略ジグザグ状に配置されている、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項9】
接触型センサーである、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項10】
接触する物体の種類に応じて前記センサーが反応する、請求項9に記載のフィルム。
【請求項11】
物体が接触するときの時間及び回数からなる群から選択される少なくとも一種に応じて前記センサーが反応する、請求項9に記載のフィルム。
【請求項12】
非接触型センサーである、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項13】
請求項1又は2に記載のフィルムが前記非導電性接着層を介して被着体に接着され、かつ、前記導電層の少なくとも一部に電極が接触している、積層物。
【請求項14】
請求項13に記載の積層物、並びに該積層物の前記電極に接続された制御回路及び電源を備え、
前記積層物の前記フィルムから生じた信号を前記制御回路によって制御して電気装置を駆動させる、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、装飾性静電容量型センサーフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、静電容量型のタッチセンサーなどが種々開発されている。
【0003】
特許文献1(特開2016-081582号公報)には、所定の操作面における押圧方向への押圧状態を検出するタッチセンサーであって、静電容量の変化を検出するための第1電極層および第2電極層と、前記第1電極層と前記第2電極層との間に、前記操作面に対する押圧により前記第1電極層と前記第2電極層との間隔を変位可能な変位層とを有し、前記変位層は、ゴム状弾性体中にポリマー型シランカップリング剤を分散させて構成され、かつ前記押圧方向に収縮可能な複数の柱部を少なくとも有し、前記柱部と、前記第1電極層および前記第2電極層の少なくともいずれか一方の層とを一体的に接合してなる、タッチセンサーが記載されている。
【0004】
特許文献2(特開2012-243119号公報)には、第1方向に延びた第1の長パターンの束に対し、平面視でこの第1方向に交差する第2方向に延びた複数の短パターンを導通させて略一定のピッチのメッシュ構造を形成しており、当該第1の長パターンの束が前記第2方向に沿って互いに離間して配置された接触感知用の第1電極パターンと、前記第2方向に延びた第2の長パターンの束に対し、前記第1方向に延びた複数の短パターンを導通させて前記ピッチと同ピッチのメッシュ構造を形成しており、当該第2の長パターンの束が前記第1方向に沿って互いに離間して配置されるとともに、この第2の長パターンと前記第1の長パターンとを導通させずに前記平面視で互いに交差しても前記ピッチと同ピッチのメッシュ構造を形成できる接触感知用の第2電極パターンと、前記ピッチと同ピッチのメッシュ構造で形成され、前記第1電極パターンと前記第2電極パターンとで囲まれた空間を埋めるダミーパターンと、前記平面視で互いに向かい合う前記第1電極パターンと前記ダミーパターンとの間に設けられた第1パターン隙間、並びに、前記平面視で互いに向かい合う前記第2電極パターンと前記ダミーパターンとの間に設けられた第2パターン隙間とを具備し、これら第1パターン隙間及び第2パターン隙間の各間隔は、前記ピッチの略1/2倍の長さに設定されている、静電容量型タッチパネルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-081582号公報
【特許文献2】特開2012-243119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、好適な内装を簡易に施すために、部屋の壁などに装飾性フィルムを適用する場合がある。このとき、例えば、壁面に設置されている照明等のスイッチに対しても、装飾性フィルムを適用する場合がある。しかしながら、このようなスイッチは、壁面とは異なり、一般的には、凹凸部を有しているため、スイッチに対して装飾性フィルムを適用したとしても、図6に示されるように、スイッチの存在が目立ってしまい、部屋全体として好適な内装を得られない場合があった。
【0007】
装飾性フィルムは、壁、又は曲面形状を有する被着体などに貼り合わせて使用されるため、一般的には可撓性を有している。一方、特許文献1及び2に記載されるような、静電容量型のタッチセンサー及びタッチパネルは、一般的には、装飾用途に使用されるものではなく、フィルムのような可撓性を有してないため、このようなタッチセンサー及びタッチパネルを装飾性フィルムとして使用することはできない。
【0008】
本開示は、図6に示されるような従来の照明用スイッチなどに比べて表面に凹凸がなく、かつ、装飾性を付与し得る、各種のスイッチなどに利用可能な装飾性静電容量型センサーフィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一実施態様によれば、装飾層、少なくとも1つの導電層、及び非導電性接着層を含み、導電層が、非導電性接着層の内部、及び/又は非導電性接着層の片面若しくは両面に配置され、かつ、非導電性接着層の面内方向に対して延在している、装飾性静電容量型センサーフィルムが提供される。
【0010】
本開示の別の実施態様によれば、上記のフィルムが非導電性接着層を介して被着体に接着され、かつ、導電層の少なくとも一部に電極が接触している、積層物が提供される。
【0011】
本開示の別の実施態様によれば、上記の積層物、並びに該積層物の電極に接続された制御回路及び電源を備え、積層物のフィルムから生じた信号を制御回路によって制御して電気装置を駆動させる、システムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、従来の照明用スイッチなどに比べて表面に凹凸がなく、かつ、装飾性を付与し得る、各種のスイッチなどに利用可能な装飾性静電容量型センサーフィルムを提供することができる。
【0013】
上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の一実施態様の装飾性静電容量型センサーフィルムの断面を模した図である。
図2図2は、本開示の別の実施態様の装飾性静電容量型センサーフィルムの断面を模した図である。
図3図3は、本開示の別の実施態様の装飾性静電容量型センサーフィルムの断面を模した図である。
図4図4は、本開示の別の実施態様の装飾性静電容量型センサーフィルムの断面を模した図である。
図5図5は、本開示の一実施態様の積層物の構成を示す図である。
図6図6は、装飾性フィルムを適用した従来の照明用スイッチの模式図である。
図7図7は、本開示の一実施態様の装飾性静電容量型センサーフィルムを備える積層物をスイッチとして機能させているときの写真である。
図8図8は、図7の積層物を備えるシステムに関する写真である。
図9図9は、図7の積層物を備えるシステムに関する別の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的で、必要に応じて図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。図面の参照番号について、異なる図面において類似する番号が付された要素は、類似又は対応する要素であることを示す。
【0016】
本開示において「略」とは、製造誤差などによって生じるバラつきを含むことを意味し、±約20%程度の変動が許容されることを意図する。
【0017】
本開示において「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0018】
本開示において「フィルム」には、「シート」と呼ばれる部材も包含される。
【0019】
本開示において「透明」とは、JIS K 7375に準拠して測定される可視光領域(波長400nm~700nm)の平均透過率が、約80%以上をいい、望ましくは約85%以上、又は約90%以上であってよい。平均透過率の上限値については特に制限はないが、例えば、約100%未満、約99%以下、又は約98%以下とすることができる。
【0020】
本開示において「半透明」とは、JIS K 7375に準拠して測定される可視光領域(波長400nm~700nm)の平均透過率が、約80%未満をいい、望ましくは約75%以下であってよく、下地を完全に隠蔽しないことを意図する。
【0021】
以下、必要に応じて図面を参照し、本開示の装飾性静電容量型センサーフィルムについて説明する。
【0022】
図1における装飾性静電容量型センサーフィルム100は、装飾層101と、非導電性接着層103と、導電層105とを含んでいる。
【0023】
以下、本開示の代表的な実施態様を例示する目的で、各構成要素の詳細について一部符号を省略して説明する。
【0024】
本開示の装飾性静電容量型センサーフィルム(単に「センサーフィルム」と称する場合がある。)は、装飾層、少なくとも1つの導電層、及び非導電性接着層を含んでおり、導電層が、非導電性接着層の内部、及び/又は非導電性接着層の片面若しくは両面に配置され、かつ、非導電性接着層の面内方向に対して延在している。少なくともこのような構成を備える本開示のセンサーフィルムは、静電容量型のセンサーとして機能することができるため、図6に示すようなボタン等の突起物のないスイッチなどとして使用することができる。
【0025】
本開示のセンサーフィルムは、少なくとも1つの導電層を含む。本開示のセンサーフィルムは、典型的には、後述するように、少なくとも1つの導電層の少なくとも一部に電極が接続され、さらに制御回路、電源、及び電気装置などが接続された状態で使用され得る。このような状態のセンサーフィルムの導電層(すなわち、電極と接続している導電層、或いは該導電層に接触又は近接する後述の導電性反応部)に指などが接触したり或いは近づいたりすると、指などと導電層との間に静電容量が発生する。このときの指などを接触させたり或いは近づけたりする前と後の静電容量の変化を利用することによって、本開示のセンサーフィルムを静電容量型のセンサーとして機能させることができる。
【0026】
導電層は、1つであってもよいが、複数(例えば2つ以上又は3つ以上)であることが好ましい。例えば、本開示のセンサーフィルムを壁などに貼り付ける施工現場では、スイッチの位置が急遽変更になる場合がある。そのような場合、導電層が複数存在していると、スイッチとして反応させる部位の位置を臨機応変に適宜変更することができる。導電層が複数存在する場合、各導電層は、同一であってもよく、或いは、異なっていてもよい。安定した品質を得る観点から、各導電層は同一であることが好ましい。各導電層は、単層構成であってもよく、又は積層構成であってもよい。
【0027】
導電層が複数存在する場合、導電層の間隔は、異なっていてもよく、或いは略等間隔であってもよい。センサーの安定した反応感度等を得る観点から、導電層の間隔は、略等間隔であることが好ましい。導電層の間隔が略等間隔であると、センサーフィルムの後加工がしやすくなるという利点も奏することができる。導電層の間隔は、センサーの安定した反応感度、後述する導電性反応部の大きさ、後加工性等を考慮して適宜設定することができる。
【0028】
導電層は、図1に示されるように、非導電性接着層103における装飾層101の反対側の片面に配置されてもよく、非導電性接着層103と装飾層101との間に配置されてもよく、或いは、非導電性接着層103の両面に配置されてもよい。または、導電層は、図2及び3に示されるように、非導電性接着層の内部に配置されてもよい。この場合、導電層は、図2に示されるように、非導電性接着層の厚み方向の全体にわたって配置されてもよく、或いは、図3に示されるように、非導電性接着層の厚み方向の一部に配置されてもよい。または、導電層は、非導電性接着層の内部、かつ、非導電性接着層の片面又は両面に配置されてもよい。なかでも、導電層は、非導電性接着層の内部のみに配置されていることが好ましい。このような構成であると、導電層の厚みに伴う凹凸が装飾層に反映されにくいため、より優れた装飾性能を発現させることができる。
【0029】
導電層は、図5に示されるように、非導電性接着層の面内方向に対して延在している。ここで、「延在している」とは、導電層が、非導電性接着層の面内方向に対して伸びるように存在していることを意図する。導電層は、図5に示されるように、センサーフィルム500の端から端まで延在してもよく、或いは、導電層と電極が接続できるように構成されていれば、導電層はセンサーフィルムの端から端まで延在してなくてもよい。本開示のセンサーフィルムは、施工現場で適当なサイズ又は形状にカットされる場合がある。このような場合、導電層がセンサーフィルムの端から端まで延在していると、いかなるサイズ又は形状であっても、導電層に対して電極を好適に接続することができる。
【0030】
導電層の配置形状として特に制限はなく、例えば、図5に示されるように、略直線状(導電層が複数存在する場合は、略ストライプ状)であってもよく、或いは、略波状、又は略ジグザグ状であってもよく、或いは、これらが混合した配置形状であってもよい。生産性、センサーの反応感度等の観点から、導電層の配置形状は、略直線状(導電層が複数存在する場合は、略ストライプ状)であることが好ましい。かかる形状は、各導電層の全体にわたって構成されてもよく、或いは各導電層の一部において構成されてもよい。例えば、センサーフィルムの略中心に1つの導電層が形成されている場合において、かかる導電層の中央付近は後述する導電性反応部のような形状(例えば、略円形状)で構成され、その他の部分においては略直線状の形状で構成されてもよい。導電層が後述する導電性反応部と同様の構成(例えば同様の形状)を有する場合には、その部分は後述する導電性反応部と同様の機能を奏することができる。
【0031】
導電層の厚さとしては特に制限はなく、センサーにおける所望の反応感度等が得られるように、導電層を構成する材料等を踏まえて適宜設定することができる。かかる厚さとしては、例えば、約0.1マイクロメートル以上、約0.5マイクロメートル以上、約1マイクロメートル以上、約5マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以上、又は約20マイクロメートル以上とすることができ、約100マイクロメートル以下、約50マイクロメートル以下、又は約30マイクロメートル以下とすることができる。なお、本開示のセンサーフィルムにおける各層の厚さは、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡を使用して積層構成の厚さ方向断面を測定し、積層構成のうちの目的とする層、例えば、導電層における任意の少なくとも5箇所の厚さの平均値として定義することができる。
【0032】
導電層の幅としては特に制限はなく、センサーにおける所望の反応感度等が得られるように、導電層を構成する材料等を踏まえて適宜設定することができる。ここで、「導電層の幅」とは、1つの導電層が略同形状(例えば、導電層全体が略直線状)である場合には、例えば、図1における導電層105の厚さ方向に垂直な横方向の長さを意図し、1つの導電層が異形状部を有する場合(例えば、センサーフィルムの略中心に1つの導電層が形成されている場合において、かかる導電層の中央付近が異形状部に相当する略円形状で、その他が略直線状であるような形状である場合)には、かかる導電層の上記長さのうちの異形状部以外の長さを意図する。導電層の幅の大きさとしては、例えば、約1mm以上、約3mm以上、約5mm以上、約7mm以上、又は約1cm以上とすることができ、約5cm以下、約4cm以下、約3cm以下、約2cm以下、又は約1cm以下とすることができる。導電層の幅の大きさは、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡を使用し、装飾層の反対側の接着層側から測定したときの導電層における任意の少なくとも5箇所の幅の大きさの平均値として定義することができる。
【0033】
導電層は、センサーフィルムの使用目的等に応じ、全体又は部分的に可視域において、透明、半透明、又は不透明であってもよい。
【0034】
導電層の種類としては特に制限はなく、例えば、導電性めっき層、導電性蒸着層、導電性樹脂層、導線、金属箔、及び金属合金箔を挙げることができる。導電層は、このような構成の導電層を単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。導電層は、例えば、センサーフィルムを構成する装飾層及び/又は非導電性接着層に対して直接的に適用してもよく、或いは、接合層などを介して間接的に適用してもよい。導電性めっき層、導電性蒸着層は、例えば、センサーフィルムを構成する装飾層又は非導電性接着層などに、マスク等を利用して直接適用してもよく、或いは、支持体にめっき又は蒸着を施して形成した積層体を適当なサイズ及び形状にカットして適用してもよい。
【0035】
導電層の調製において使用し得る導電性材料としては特に制限はなく、例えば、ニッケル、クロム、パラジウム、アルミニウム、鉄、銅、銀等の金属、又はこれらの金属のうちの少なくとも一種を含む金属合金、ITO(酸化インジウム錫)等の導電性酸化物、カーボンなどを挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0036】
導電層のなかでも、導電性樹脂層が好ましく、導電性接着層がより好ましい。本開示のセンサーフィルムは、壁などの大型の被着体に適用したり、或いは、施工現場においてフィルムを切断したりする場合がある。導電性樹脂層は、蒸着装置などの大型化に不向きな装置を使用することなく形成し得るため、センサーフィルムの大面積化が可能であり、切断もしやすいため、本開示のセンサーフィルムにおいて好適に使用することができる。さらに、導電性接着層は、例えば、ストライプコーティングなどを使用することによって非導電性接着層と同時に形成することができるため、生産性を向上させることができる。導電性接着層は、導電層自身が接着性能を奏するため、被着体又は他の層に対して好適に接合させることもできる。導電性樹脂層は、フィルムの形態であってもよく、不織布のような形態であってもよく、或いはこれらが組み合わさったような形態であってもよい。
【0037】
導電性樹脂層は、樹脂層に対し、例えば、金属めっき及び/又は金属蒸着を施したり、或いは、導電性フィラーを配合したりすることによって形成することができる。あるいは、金属めっき及び/若しくは金属蒸着を施した樹脂層の片面又は両面に、導電性フィラーを配合した樹脂層を適用した構成の導電性樹脂層を採用することもできる。導電性フィラーとしては特に制限はなく、例えば、上述した導電性材料から構成されるフィラーを用いることができる。導電性フィラーは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。導電性フィラーの配合量としては特に制限はなく、導電性フィラーの種類又は大きさ、要するセンサーの反応感度等に応じて適宜設定することができる。
【0038】
導電樹脂層の調製において使用し得る樹脂材料としては特に制限はない。樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、及びポリフェニレンスルフィド樹脂などの熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン結合を有する樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、及びポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂;及びシリコーンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水添NBR、アクリルゴム、ウレタンゴム、フッ素系ゴム、及び天然ゴムなどのゴム系樹脂を挙げることができる。樹脂材料は単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。ここで、本開示において「ウレタン結合を有する樹脂」とは、ウレタン樹脂の他、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーから選択される少なくとも一種を用いて調製した樹脂なども包含することができ、ウレタン樹脂には、(メタ)アクリルウレタン樹脂なども包含することができる。
【0039】
導電性樹脂層として導電性接着層を採用する場合には、その樹脂材料としては、後述する非導電性接着層の材料を同様に使用することができる。
【0040】
本開示のセンサーフィルムは、装飾層を含む。装飾層としては、次のものに限定されないが、塗装色、例えば、白、黄等の淡色、赤、茶、緑、青、グレー、黒などの濃色を呈するカラー層;木目、石目、幾何学模様、皮革模様などの模様、ロゴ、図形、文字、数字、記号、写真、絵柄などを物品に付与するパターン層;表面に凹凸形状が設けられたレリーフ(浮き彫り模様)層;及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。装飾層は単層構成であってもよく、或いは積層構成であってもよい。
【0041】
装飾層は、次のものに限定されないが、センサーフィルムを構成する層、例えば、非導電性接着層若しくは後述する表面層などの全面又は一部に、直接的に、又は接合層等を介して間接的に適用することができる。
【0042】
カラー層の材料としては、次のものに限定されないが、例えば、カーボンブラック、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、赤色酸化鉄などの無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料、アゾレーキ系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドンレッドなどのキナクリドン系顔料などの有機顔料などの顔料が、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン結合を有する樹脂などのバインダー樹脂に分散された材料を使用することができる。なかでも、耐衝撃性等の観点から、ウレタン結合を有する樹脂が好ましい。
【0043】
カラー層は、このような材料を用い、例えば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、ナイフコートなどのコーティング法により形成することができる。
【0044】
パターン層としては、次のものに限定されないが、例えば、模様、ロゴ、絵柄などのパターンを、グラビアダイレクト印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷、レーザー印刷、スクリーン印刷などの印刷法を用いて、非導電性接着層若しくは後述する表面層などに直接適用したものを採用してもよく、或いは、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、ナイフコートなどのコーティング、打ち抜き、エッチングなどにより形成された模様、ロゴ、絵柄などを有するフィルム、シートなどを使用することもできる。パターン層の材料としては、例えば、カラー層で使用した材料と同様の材料を使用することができる。
【0045】
レリーフ層として、従来公知の方法、例えば、エンボス加工、スクラッチ加工、レーザー加工、ドライエッチング加工、又は熱プレス加工などによる凹凸形状を表面に有する熱可塑性樹脂フィルムを使用することができる。凹凸形状を有する剥離ライナーに硬化性(メタ)アクリル樹脂などの熱硬化性又は放射線硬化性樹脂を塗布し、加熱又は放射線照射により硬化させて、剥離ライナーを取り除くことによりレリーフ層を形成することもできる。
【0046】
レリーフ層に用いられる熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び放射線硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、フッ素系樹脂、PET、PENなどのポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ABS樹脂、アクリロニトリル-スチレン樹脂、ポリスチレン、塩化ビニル、ウレタン結合を有する樹脂などを使用することができる。なかでも、耐衝撃性等の観点から、ウレタン結合を有する樹脂が好ましい。レリーフ層は、カラー層で使用される顔料の少なくとも1種を含んでもよい。
【0047】
装飾層の厚さとしては、要する装飾性等に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、約1マイクロメートル以上、約3マイクロメートル以上、又は約5マイクロメートル以上とすることができ、約200マイクロメートル以下、約150マイクロメートル以下、又は約100マイクロメートル以下とすることができる。
【0048】
本開示のセンサーフィルムは、非導電性接着層を含む。非導電性接着層は、典型的には、被着体に適用され得る層である。非導電性接着層は、図1に示されるように、センサーフィルムの全面に適用されてもよく、或いは、図2に示されるように、センサーフィルムにおいて部分的に適用されてもよい。
【0049】
非導電性接着層は、装飾層に対し、直接的に適用されてもよく、又は他の層(例えば接合層)を介して間接的に適用されてもよい。
【0050】
非導電性接着層の材料としては特に制限はなく、例えば、一般に使用される、(メタ)アクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系などの、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤を使用することができる。本開示において「感圧接着剤」とは、室温で恒久的に粘着性であり、軽い圧力で様々な表面に接着し、相変化(液体から固体へ)を呈さない接着剤を指す。接着剤は架橋剤によって熱架橋又は放射線(例えば電子線又は紫外線)で架橋されたものでもよい。
【0051】
非導電性接着層の厚さとしては特に制限はなく、例えば、約5マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以上、又は約20マイクロメートル以上とすることができ、約100マイクロメートル以下、約80マイクロメートル以下、又は約50マイクロメートル以下とすることができる。
【0052】
本開示のセンサーフィルムは、任意の追加の構成を含み得る。かかる追加の構成としては、例えば、導電性反応部、表面層、接合層、中間フィルム層、及び剥離ライナーからなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。追加の構成は、センサーフィルムの全面に又は一部に適用することができる。追加の構成は、その表面にエンボスパターンなどの3次元形状を有してもよい。
【0053】
いくつかの実施態様において、本開示のセンサーフィルムは、1つ又は複数の導電性反応部を含む。導電性反応部とは、図7に示すように、センサーフィルムの導電性反応部が存在する領域に、指などが接触したり或いは近づいたりすると、指などと導電性反応部との間に静電容量が発生し、その結果、本開示のセンサーフィルムを静電容量型のセンサー(例えばスイッチ)として機能させることができる部分又は構成部材を意図する。導電性反応部は、以下に示すように、導電層とは別体として構成されてもよく、或いは、上述した導電層の形状を調整することによって、導電層と一体として構成されてもよい。センサーとして反応させたい箇所を、例えば施工現場などにおいて自由に設定し得ることから、導電性反応部は、導電層とは別体として構成されていることが好ましい。
【0054】
導電性反応部は、センサーフィルムにおいて、指などが接触したり又は近づいたりしたときに、静電容量の変化が生じ得るような位置に配置すればよい。例えば、センサーフィルムの最表面に配置されてもよく、或いは、最表面よりも非導電性接着層側に配置されてもよい。導電性反応部を最表面よりも非導電性接着層側に配置する場合、導電性反応部は、例えば、装飾層と反対側の非導電性接着層側の面に配置されてもよく(例えば図4のような構成)、装飾層と非導電性接着層との間に配置されてもよく、図1の構成であれば、導電層と非導電性接着層との間に配置されてもよく、或いは、センサーフィルムを構成する任意の他の層間、又は任意の他の層と装飾層、導電層若しく非導電性接着層との間に配置されてもよい。ここで、「最表面」とは、センサーフィルムを被着体に適用したときに、被着体側と反対側の面を意図する。
【0055】
導電性反応部の大きさとしては特に制限はなく、センサーフィルムの使用目的、センサーフィルムにおける導電性反応部の所望の機能等に応じて適宜設定することができる。例えば、導電性反応部は、図5に示すような、少なくとも1つの導電層505の少なくとも一部(例えば導電層の幅)を越えるような大きさの面積を有し得る。図5に示すような大きさの導電性反応部は、図7に示すような意図的に指などを接触させたり又は近づけたりして使用するスイッチなどとして使用する場合に有利である。かかる導電性反応部の大きさ(例えば最大長)としては特に制限はなく、例えば、約3cm以上、約5cm以上、約7cm以上、又は約10cm以上とすることができ、約30cm以下、約20cm以下、約15cm以下、又は約10cm以下とすることができる。
【0056】
導電性反応部は、センサーフィルムの略全面に配置されてもよく、或いは、複数の導電性反応部がセンサーフィルムの全面において点在するように配置されてもよい。このような構成の導電性反応部は、非意図的に使用するセンサー、例えば、センサーフィルムを地面に配置しておき、そこを踏んだり通過したりした場合に反応するようなセンサーなどに使用する場合に有利である。
【0057】
導電性反応部は、導電層の間隔若しくは形状、又は導電性反応部の大きさ若しくは形状などを調整して、複数の導電層を越えるような構成又は複数の導電層と接触するような構成にすることができる。このような構成であると、仮に1つの導電層が断線したとしても、他の導電層でセンサーとしての機能を補完することができる。
【0058】
導電性反応部の形状としては特に制限はない。センサーフィルムを図5に示すように視認したときに示される導電性反応部の形状としては、例えば、略円形状、略多角形状(例えば、略三角形、略正方形、略長方形、略正五角形、略六角形、略正八角形、略台形、略菱形、略星形)、及び略楕円形状を挙げることができる。
【0059】
導電性反応部の種類としては特に制限はなく、例えば、導電性めっき層、導電性蒸着層、導電性樹脂層、金属箔、及び金属合金箔を挙げることができる。これらの材料等に関しては、上述した導電層における材料等を同様に採用することができる。導電性反応部は、このような構成の導電性反応部を単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。導電性反応部は、例えば、センサーフィルムを構成する各層(例えば装飾層、導電層、非導電性接着層)に対して直接的に適用してもよく、或いは、接合層などを介して間接的に適用してもよい。
【0060】
導電性反応部の厚さとしては特に制限はなく、センサーにおける所望の反応感度等が得られるように、導電性反応部を構成する材料等を踏まえて適宜設定することができる。かかる厚さとしては、例えば、約0.1マイクロメートル以上、約0.5マイクロメートル以上、約1マイクロメートル以上、約5マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以上、又は約20マイクロメートル以上とすることができ、約100マイクロメートル以下、約70マイクロメートル以下、約50マイクロメートル以下、又は約30マイクロメートル以下とすることができる。
【0061】
いくつかの実施態様において、本開示のセンサーフィルムは、表面層を含む。表面層の材料としては特に制限はなく、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及び(メタ)アクリル共重合体を含む(メタ)アクリル樹脂、ウレタン結合を有する樹脂(例えばポリウレタン)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メチルメタクリレート-フッ化ビニリデン共重合体(PMMA/PVDF)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-フッ化ビニリデン共重合体(THV)などのフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ナイロン等のポリアミド、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)及びそのアイオノマー、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの共重合体を、単独で又は二種以上ブレンドして使用することができる。表面層は単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。例えば、表面層は、上記樹脂から形成されたフィルムの積層体であってもよく、上記樹脂の多層コーティングであってもよい。表面層はその表面の全面又は一部にエンボスパターンなどの3次元凹凸形状を有してもよい。
【0062】
表面層は、直接又は接合層等を介して装飾層に樹脂組成物をコーティングして形成することができる。表面層のコーティングは、センサーフィルムを被着体に適用する前又は適用した後に実施することができる。あるいは、剥離ライナーに樹脂組成物をコーティングして表面層フィルムを形成し、直接又は接合層等を介して装飾層にそのフィルムをラミネートすることもできる。表面層フィルムは、例えば、硬化性(メタ)アクリル樹脂組成物、反応性ポリウレタン組成物などの樹脂材料を、ナイフコート、バーコート、ブレードコート、ドクターコート、ロールコート、キャストコートなどによって剥離ライナーなどにコーティングし、必要に応じて光又は加熱硬化することによって、形成することができる。
【0063】
表面層として、押出、延伸などによってあらかじめフィルム状に形成されたものを使用してもよい。このようなフィルムは直接又は接合層等を介して装飾層にラミネートすることができる。かかるフィルムとして、平坦性の高いフィルムを使用することで、より表面平坦性の高い外観を物品(積層物)に与えることができる。表面層は、他の層と多層押し出しすることによって形成することもできる。他の層として、例えば、(メタ)アクリルフィルムを使用することができる。(メタ)アクリルフィルムとして、例えば、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリアクリル酸ブチル、(メタ)アクリル共重合体、エチレン/アクリル共重合体、エチレン酢酸ビニル/アクリル共重合体などを含む樹脂をフィルム状にして用いることができる。(メタ)アクリルフィルムは、透明性及び/又は耐擦傷性に優れ、熱及び/又は光に強く、退色及び/又は光沢変化が生じにくい。加えて、可塑剤を使用せずとも成形加工性に優れており、また、可塑剤を使用しなくてもよいため、耐汚染性にも優れている。なかでもPMMAを主成分とするものが好ましい。例えば、他の層として耐擦傷性等に優れる(メタ)アクリル樹脂を用い、表面層として耐薬品性等に優れるETFE、PVDF、PMMA/PVDFなどのフッ素樹脂を用いた場合には、形成される表面層は、両層の性能を兼ね備えたものとなり得る。
【0064】
本開示の表面層は、用途に応じた性能(例えば保護性能)等を阻害しない範囲において、任意成分として、例えば、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、ハードコート材、光沢付与剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒、顔料、染料などを含むことができる。なかでも、ベンゾトリアゾール、Tinuvin(商標)400(BASF社製)などの紫外線吸収剤、Tinuvin(商標)292(BASF社製)などのヒンダードアミン光安定化剤(HALS)などを用いることによって、下層に位置する層の、変色、退色、劣化などを有効に防止することができる。ハードコート材は、表面層中に含まれていてもよく、表面層に別途コーティングしてハードコート層として適用されていてもよい。
【0065】
表面層は、透明、又は部分的に半透明若しくは不透明であってもよい。装飾層の視認性等の観点から、表面層は透明であることが好ましい。
【0066】
表面層の厚さは様々であってよいが、例えば、約1マイクロメートル以上、約5マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以上、約20マイクロメートル以上、又は約30マイクロメートル以上であってもよく、約200マイクロメートル以下、約200マイクロメートル未満、約180マイクロメートル以下、約150マイクロメートル以下、約130マイクロメートル以下、約100マイクロメートル以下、又は約80マイクロメートル以下であってもよい。
【0067】
本開示のセンサーフィルムは、センサーフィルムを構成する各層を接合するために接合層(「プライマー層」などと呼ばれる場合もある。)を用いることができる。
【0068】
接合層は、例えば、ウレタン結合を有する樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、若しくはフェノキシ樹脂、又はこれらの2種以上の樹脂ブレンドを含み得る。一実施態様では、接合層は、ウレタン結合を有する樹脂とフェノキシ樹脂の樹脂ブレンドを含む。
【0069】
接合層の厚さは、約0.1マイクロメートル以上、約0.2マイクロメートル以上、又は約0.5マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以下、約10マイクロメートル未満、約5.0マイクロメートル以下、約2.0マイクロメートル以下、約1.0マイクロメートル以下、約0.5マイクロメートル以下、又は約0.5マイクロメートル未満とすることができる。
【0070】
センサーフィルムは、任意に、例えば、表面層と装飾層との間、装飾層と非導電性接着層との間、導電層と装飾層又は非導電性接着層との間に介在する中間フィルム層を含んでもよい。中間フィルム層は、センサーフィルムの強度を高めることができる。
【0071】
中間フィルム層としては、例えば、ウレタン結合を有する樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、(メタ)アクリル系ポリマー、又はフッ素系ポリマーの樹脂フィルムを使用することができる。中間フィルム層は熱可塑性を有することが好ましい。
【0072】
中間フィルム層の厚さは、約5.0マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以上、又は約15マイクロメートル以上、約200マイクロメートル以下、約100マイクロメートル以下、又は約50マイクロメートル以下とすることができる。
【0073】
本開示のセンサーフィルムは、典型的には、非導電性接着層側の面に対して剥離ライナーが適用され得る。剥離ライナーとして、例えば、紙;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(例えばPET)、及び酢酸セルロースなどのプラスチック材料;このようなプラスチック材料で被覆された紙などを挙げることができる。これらのライナーは、シリコーンなどの剥離剤により剥離処理した表面を有してもよい。
【0074】
剥離ライナーの厚さは、一般に、約5マイクロメートル以上、約15マイクロメートル以上、又は約25マイクロメートル以上とすることができ、約500マイクロメートル以下、約300マイクロメートル以下、又は約250マイクロメートル以下とすることができる。
【0075】
剥離ライナーを除く本開示のセンサーフィルムの最大厚さとしては特に制限はなく、例えば、約50マイクロメートル以上、約70マイクロメートル以上、約100マイクロメートル以上、約150マイクロメートル以上、又は約200マイクロメートル以上とすることができ、約500マイクロメートル以下、約300マイクロメートル以下、又は約250マイクロメートル以下とすることができる。センサーフィルムがこのような厚さであると、センサーフィルムは可撓性を呈し得るため、例えば、凹凸のある被着体又は曲面形状の被着体などに対して追従しやすくなったり、或いは、センサーフィルムを貼り合わせる施工現場等において、必要なサイズに適宜切断できたりするため有利である。ここで、「最大厚さ」とは、センサーフィルムの厚さ方向における最大の厚さを意図し、例えば、図1では、装飾層101の最上部から導電層105の最下部までの長さに相当し、図4では、装飾層401の最上部から導電性反応部407の最下部までの長さに相当する。かかる最大厚みに関しては、株式会社ミツトヨ製のマイクロメーター(型番:VL-50S)を用い、任意の3箇所において測定した値の平均値である。
【0076】
本開示のセンサーフィルムは、上述した装飾層において、例えば、スイッチ等の位置が認識できるような図形又は絵柄(例えばスイッチボタン)を形成してもよく、或いは、装飾層とは別に、例えば、表面層内又は表面層上にかかる図形又は絵柄を形成してもよい。
【0077】
本開示のセンサーフィルムを構成する各層は、本開示の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、任意成分として、例えば、充填剤、補強剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、粘着付与樹脂、触媒、架橋剤、顔料、染料などを含むことができる。任意成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。任意成分の個々の及び合計の配合量は、各層に必要な特性を損なわない範囲で決定することができる。
【0078】
本開示のセンサーフィルムは、例えば、枚葉品であってもよく、ロール状に巻かれたロール体であってもよく、或いは、3次元形状物であってもよい。本開示のセンサーフィルムは、一般的なタッチパネルとは異なり、ロール状に巻くことが可能な可撓性を呈することができる。
【0079】
本開示のセンサーフィルムは、接触型センサーとして機能させてもよく、或いは非接触型センサーとして機能させてもよい。これらは、例えば、検知する静電容量評価値における閾値を適宜規定することによって、接触型又は非接触型に設定することができる。静電容量評価値は、静電容量制御基板(モデル番号ADFCS01、株式会社ビット・トレード・ワン社製(日本国神奈川県相模原市))に付属されているソフトウエアー 静電容量式フィルムセンサ Configuration Tool Ver 1.0.5746.32822を用いて求めることができる。
【0080】
本開示のセンサーフィルムを接触型又は非接触型センサーとして機能させる場合、センサーフィルムは、センサーフィルムに接触する物体又は近づける物体の種類に応じてセンサーが反応するように設計することができる。本開示のセンサーフィルムでは、例えば、接触する物体が手の場合には、約7,000~約9,000の静電容量評価値を呈し、指の場合には、約2,000~約4,000の静電容量評価値を呈し、靴の場合には、約2,000~約3,000の静電容量評価値を呈し、スマートフォンの場合には、約1,000~約2,000の静電容量評価値を呈し得る。このように、本開示のセンサーフィルムは、センサーフィルムに接触する物体又は近づける物体に応じた静電容量評価値の相違を検出することができる。そのため、本開示のセンサーフィルムは、接触する物体又は近づける物体の種類に応じてセンサーが反応するように設計することもできる。接触する物体又は近づける物体の種類としては特に制限はなく、例えば、人体の構成部(例えば、指、手、鼻、腕、肘、爪、背中、尻、脚、足、膝、胸、腹)、靴、服、文具(例えばペン)、カード(例えば入構カード、定期券)、携帯電話(例えばスマートフォン)、及びタイヤなどを挙げることができる。
【0081】
この他、本開示のセンサーフィルムは、センサーフィルムに物体が接触するとき又は物体を近づけたときの時間又は回数に応じた静電容量評価値の相違も検出することができる。そのため、本開示のセンサーフィルムは、センサーフィルムに物体が接触するとき又は物体を近づけたときの時間及び回数からなる群から選択される少なくとも一種に応じてセンサーが反応するように設計することができる。
【0082】
センサーフィルムに物体が接触するとき又は物体を近づけたときに発現させ得る静電容量評価値としては、センサーとして機能し得る限り特に制限はない。本開示のセンサーフィルムは、例えば、約100以上、約200以上、約500以上、約700以上、又は約1,000以上、約30,000以下、20,000以下、15,000以下、又は10,000以下の静電容量評価値を発現させることができる。
【0083】
本開示のセンサーフィルムの製造方法としては特に制限はなく、例えば、以下の手順で製造することができる。
【0084】
例えば、剥離ライナーの上に、装飾層及び非導電性接着層、任意に追加の層を、コーティング法等を用いて各々形成した後、非導電性接着層の上に所定サイズの導電層を適用することによって、本開示のセンサーフィルムを製造することができる。さらに、導電層を覆うように非導電性接着層の上に剥離ライナーをラミネートしてもよい。ここで、コーティング法としては、例えば、ナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、キャストコーター、ノッチバーコーター、グラビアコーター、及びロッドコーター等の公知の方法を使用することができる。
【0085】
本開示の一実施態様によれば、本開示のセンサーフィルムが非導電性接着層を介して被着体に接着され、かつ、導電層の少なくとも一部に電極が接触している、積層物が提供される。なお、上述した導電性反応部は、センサーフィルムに限らず、被着体に適用してもよく、センサーフィルムと被着体の両方に適用してもよい。
【0086】
被着体の材質としては特に制限はなく、例えば、樹脂材料(例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、無機材料(例えば、ガラス、セラミック、コンクリート、石膏、ケイ酸カルシウム、天然石、アスファルト)、ゴム材料、布材(例えば、織物、編物、不織布)、及び木質材料などを挙げることができる。被着体の表面には、表面処理、塗装等が施されてもよい。例えば、被着体に絶縁処理(塗装など)が適用されている場合には、被着体の材料として、金属若しくは金属合金材料(例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス)も用いることができる。
【0087】
被着体の形状としては特に制限はなく、例えば、フィルム又は板のような平坦形状、曲面形状、各種三次元形状などであってもよい。
【0088】
本開示の積層物は、例えば、図9の左側中央に示すように、センサーフィルムの導電層に対して電極が接続されている。これにより、センサーフィルムに物体が接触するとき又は物体を近づけたときに静電容量が発生し、この静電容量の変化を利用することによって、スイッチ等のセンサー機能を発現させることができる。
【0089】
電極は、典型的には、センサーフィルムに物体が接触するとき又は物体を近づけたときに静電容量の変化を検知させたい領域に存在する導電層に対して接触させ得る。例えば、図8の左側に示すセンサーフィルムを含む積層物には、略中央に導電性反応部が備わっている。したがって、かかる積層物においては、この導電性反応部と重なる導電層(中心の導電層)に対して電極が接続される(図9の左側上方の写真)。
【0090】
電極の材質としては特に制限はなく、例えば、金属若しくは金属合金材料(例えば、銅、黄銅、銅タングステン合金、銀タングステン合金)、及び炭素系材料(例えばグラファイト)を挙げることができる。
【0091】
本開示の積層物の使用形態としては特に制限はなく、動産物であってもよく、不動産物であってもよい。例えば、積層物の被着体が、建物の壁面、道路などであれば、その積層物は不動産物になり得る。本開示の積層物の使用形態の具体例としては、車両(例えば自動車、オートバイ、電車)、航空機、船舶、並びに建物及び建造物(例えば、家又はビル内における各種の部屋、扉、窓、床、台所、洗面所、橋、道路)等に使用される外装又は内装部材、家具、電気製品(例えば、テレビ、エアコン、冷蔵庫、パソコン、携帯電話、照明)、標識、誘導具、看板、広告、ポスター、及びマットが挙げられる。
【0092】
本開示の積層物を用いてシステムを構築することもできる。かかるシステムは、例えば、本開示の積層物と、この積層物の電極に接続された制御回路と、電源とを備えることができ、積層物に構成される本開示のセンサーフィルムから生じた静電容量に関する信号を制御回路で制御して電気装置を駆動させるように構成することができる。ここで、本開示において「電気装置を駆動させる」とは、電気装置を稼働させること以外に、電気装置を停止させること、電気装置を操作することなども包含する。
【0093】
本開示のシステムは次に限定されないが、図7図9を参照しながら、以下にその一例を説明する。
【0094】
図8に示す左側上方のサンプルが、本開示の積層物に相当し、右側上方のサンプルが、本開示の電気装置に相当する。そして、図9に示すように、本開示の積層物には、積層物を構成するセンサーフィルムの導電層に対して電極が接続されており、この電極に適用されたリード線を通じて、電源に相当する電力供給ユニットと、制御回路と、電気装置に相当するディスプレイ型LEDモジュールを備えた部材とが全体として回路を構成するように接続されている。かかるシステムの積層物に構成されている本開示のセンサーフィルムにおけるセンサー反応部(導電性反応部が存在している部分)に指などが触れたりすると、図7に示すように、センサーフィルムから生じた静電容量に関する信号が発せられ、その信号が制御回路によって制御されてLEDモジュールが駆動し、LEDが点灯したり、消灯したりする。
【0095】
本開示のシステムは、図7図9に示すように、積層物と電気装置が別体として構成されてもよく、或いは、これらは一体として構成されてもよい。
【0096】
電気装置としては特に制限はなく、例えば、電化製品(例えば、照明、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、電話、テレビ、パソコン、プロジェクター、給湯器、モニター、電気式施錠装置、自動ドア);車両(例えば自動車、オートバイ、電車)、航空機、船舶等の乗り物内の各種電気装置(例えば、カーナビゲーションシステム、オーディオシステム);人、動物、乗り物(例えば自動車、オートバイ、自転車、車いす)などを検知する検知装置を挙げることができる。検知装置は、例えば、検知したことを五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)の少なくともいずれかの感覚で感じ得るような手段を備えた装置とすることができる。かかる手段としては、例えば、映像、音、音楽、匂い、振動などによって検知したことを伝え得る手段が挙げられる。電気装置は、例えば、インターネット回線などとも接続していてもよい。このような場合、インターネット経由で他の電気装置若しくは機械などを遠隔的に駆動又は操作することもできる。
【0097】
本開示のシステムの使用方法としては特に制限はなく、例えば、本開示のシステムを、各種電気装置を操作するためのスイッチとして使用する方法、或いは、人、動物、乗り物などがその場に来たり又は通過したりすることを検知する検知手段として使用する方法などが挙げられる。かかる検知手段は、人などを単に検知するだけではなく、検知した信号に基づいて、各種の電気製品を駆動させるように構成されていてもよい。本開示のシステムを検知手段として使用するとき、人及び乗り物などが接触し得る本開示の積層物は大面積であることが求められる場合がある。一般的なタッチパネル及びタッチセンサーは、大型化には不向きであるが、本開示のセンサーフィルムは、大面積化にも対応できるため、本開示のシステムは上述したような検知手段に対しても好適に使用することができる。
【実施例0098】
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0099】
例1:接触型センサーとしての使用及び導電性反応部に接触させる物体の影響について
約1.5マイクロメートル厚のグラビア印刷装飾層及び約0.5マイクロメートル厚の非導電性アクリル樹脂感圧接着層を有する装飾フィルム(3MTMダイノックTMフィルム FWシリーズ FW-1113、スリーエムジャパン株式会社製(日本国東京都中央区))の接着層に対し、厚さ約50マイクロメートル、幅約0.5cmに切断した、ニッケルメッキポリエステル不織布の両面に導電性粘着層を有する両面導電性テープ(3MTM両面導電性テープ CN4490、スリーエムジャパン株式会社製(日本国東京都中央区))を、図5に示すように、装飾フィルムの端から端にわたって略等間隔に3本配置して導電層を形成し、次いで、直径約10cmの略円形状に切断した両面導電性テープを、略中心に位置する導電層の略中央付近に貼り合わせて導電性反応部を形成し、装飾性静電容量型センサーフィルムを作製した。
【0100】
得られた装飾性静電容量型センサーフィルムの略中心に位置する導電層の片側端部付近に銅製の電極を接続し、さらにこの電極にリード線を接続した後、該フィルムを石膏ボードに貼り合わせて積層物を作製した。得られた積層物、制御回路(モデル番号M5 Stack、M5Stack Technology社製(中国))、及び電力供給ユニット(モデル番号BTF-50-5、BTF-LIGHTING Technology社製(中国))が全体として回路を構成するように、積層物のリード線を通じてこれらを接続してシステムを構築した。静電容量評価値は、静電容量制御基板(モデル番号ADFCS01、株式会社ビット・トレード・ワン社製(日本国神奈川県相模原市))に付属されているソフトウエアー 静電容量式フィルムセンサ Configuration Tool Ver 1.0.5746.32822を用いて求めた。
【0101】
得られたシステムの導電性反応部に何も接触させない状態では、静電容量評価値は約0であった。一方、導電性反応部に対し、手が触れた場合には、静電容量評価値は約7,000~約9,000であり、指が触れた場合には、静電容量評価値は約2,000~約4,000であり、靴底が触れた場合には、静電容量評価値は約2,000~約3,000であり、スマートフォンが触れた場合には、静電容量評価値は約1,000~約2,000であった。
【0102】
以上の結果より、本開示のセンサーフィルムは接触型センサーとして使用し得ることが確認できた。導電性反応部に接触する物体が異なると、生じる静電容量評価値が異なることから、接触する物体の種類に応じてセンサーを反応させ得ることも確認できた。
【0103】
例2:物体が接触するときの時間及び回数の影響について
例1のシステムを使用して、物体が導電性反応部に接触するときの時間及び回数の影響について検討した。
【0104】
指で導電性反応部を、1回、2回、3回と触れると、その触れたタイミングに応じて静電容量評価値が変化することが確認できた。
【0105】
指で導電性反応部に触れる時間を変化させると、その変化に応じて静電容量評価値も変化することが確認できた。
【0106】
以上の結果より、物体が接触するときの時間又は回数に応じてセンサーを反応させ得ることが確認できた。
【0107】
例3:非接触型センサーとしての使用について
例1のシステムを使用して、本開示のセンサーフィルムが非接触型センサーとして使用し得るか検討した。
【0108】
手を導電性反応部に接触させることなく近づけていくと、約0であった静電容量評価値が、約200~約300程度に変化することが確認できた。
【0109】
以上の結果より、本開示のセンサーフィルムは非接触型センサーとして使用し得ることが確認できた。
【0110】
例4:センサー(スイッチ)としての使用について
静電容量検出装置に代えて、図8及び9に示すような、ディスプレイ型モジュールを備えた装置を採用したこと以外は、例1と同様にしてシステムを構築した。ここで、ディスプレイ型モジュールを備えた装置は、以下のようにして作製した。
【0111】
約30cm×約30cm×約6mmの大きさの支持材料(白色の珪酸カルシウム板)の中央部を、図9の右側に示すように、略正方形状に約16cm×約16cmの大きさに切り抜いた後、この支持材料の片側に、約30cm×約30cm×約1mmの大きさの透明なポリ塩化ビニル板と、例1で使用した装飾フィルムとを順に貼り合わせた。次いで、支持材料の切り抜き部にディスプレイ型モジュール(モデル番号WS2812B、BTF-LIGHTING Technology社製(中国))を設置した後、放熱板をさらに適用してディスプレイ型モジュールを備えた電気装置を作製した。
【0112】
得られたシステムにおける導電性反応部を手で触れると、図7に示すようにLEDが点灯した。
【0113】
以上の結果より、本開示のセンサーフィルムは、センサー(例えばスイッチ)として使用し得ることも確認できた。
【0114】
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施態様及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることは当業者には明らかである。
【符号の説明】
【0115】
100、200、300、400、500 装飾性静電容量型センサーフィルム
101、201、301、401 装飾層
103、203、303、403 非導電性接着層
105、205、305、405、505 導電層
407、507 導電性反応部
509 被着体
【0116】
本開示の実施態様の一部を以下の[項目1]-[項目14]に記載する。
[項目1]
装飾層、少なくとも1つの導電層、及び非導電性接着層を含み、
前記導電層が、前記非導電性接着層の内部、及び/又は前記非導電性接着層の片面若しくは両面に配置され、かつ、前記非導電性接着層の面内方向に対して延在している、
装飾性静電容量型センサーフィルム。
[項目2]
導電性反応部をさらに含む、項目1に記載のフィルム。
[項目3]
前記導電性反応部は、少なくとも1つの前記導電層の少なくとも一部を越えるような大きさの面積を有する、項目2に記載のフィルム。
[項目4]
前記導電性反応部が、最表面に配置されている、項目2又は3に記載のフィルム。
[項目5]
前記導電性反応部が、最表面よりも前記非導電性接着層側に配置されている、項目2又は3に記載のフィルム。
[項目6]
前記導電性反応部が、前記非導電性接着層に適用されている、項目2又は3に記載のフィルム。
[項目7]
前記導電層が、導電性接着層である、項目1~6のいずれか一項に記載のフィルム。
[項目8]
前記導電層が、略直線状、略波状、又は略ジグザグ状に配置されている、項目1~7のいずれか一項に記載のフィルム。
[項目9]
接触型センサーである、項目1~8のいずれか一項に記載のフィルム。
[項目10]
接触する物体の種類に応じて前記センサーが反応する、項目9に記載のフィルム。
[項目11]
物体が接触するときの時間及び回数からなる群から選択される少なくとも一種に応じて前記センサーが反応する、項目9に記載のフィルム。
[項目12]
非接触型センサーである、項目1~8のいずれか一項に記載のフィルム。
[項目13]
項目1~12のいずれか一項に記載のフィルムが前記非導電性接着層を介して被着体に接着され、かつ、前記導電層の少なくとも一部に電極が接触している、積層物。
[項目14]
項目13に記載の積層物、並びに該積層物の前記電極に接続された制御回路及び電源を備え、
前記積層物の前記フィルムから生じた信号を前記制御回路によって制御して電気装置を駆動させる、システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9