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特開2024-128721紙葉類投入者の顔面を撮影するカメラ装置を備える紙葉類取扱装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128721
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】紙葉類投入者の顔面を撮影するカメラ装置を備える紙葉類取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 7/00 20160101AFI20240913BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240913BHJP
   G06V 10/74 20220101ALI20240913BHJP
【FI】
G07D7/00 H
G06T7/00 300F
G06T7/00 660A
G06V10/74
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037883
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000230858
【氏名又は名称】日本金銭機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082049
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敬一
(74)【代理人】
【識別番号】100220711
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 朗
(72)【発明者】
【氏名】大河 勝利
(72)【発明者】
【氏名】関 亨
【テーマコード(参考)】
3E041
5L096
【Fターム(参考)】
3E041AA03
3E041DB10
5L096BA18
5L096CA02
5L096FA06
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA69
5L096HA07
5L096JA11
5L096KA09
(57)【要約】
【課題】鑑別装置への紙葉類の投入者毎の投入実績に対応して、紙葉類取扱装置により、投入者毎に異なる特別待遇を提供する。
【解決手段】
紙葉類取扱装置は、紙葉センサ(16)が出力する紙葉類画像情報とカメラ装置(4)が出力する顔面画像情報とを同一の管理符号で記憶する鑑別記憶装置(18)と、鑑別記憶装置(18)に記憶される顔面画像情報とカメラ装置(4)が出力する顔面画像情報とを比較して、顔面の両画像情報が一致するとき、紙葉類画像情報と共に、投入者の顔面画像情報とその紙葉類投入履歴を検索し表示する検索比較装置(20)とを備える。検索比較装置(20)は、各投入者の紙葉類投入履歴に対応する多様な異なる特別待遇を投入者毎に提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鑑別装置の入口に投入される紙葉類を搬送通路に沿って搬送する搬送装置を有する鑑別装置と、
鑑別装置の搬送通路に沿って移動する紙葉類の画像を撮影して、撮影した紙葉類画像情報を出力する紙葉センサと、
紙葉センサから受信する紙葉類画像情報を、正規の紙葉類画像情報と比較して、紙葉類の真贋を判断する鑑別制御装置と、
紙葉類の投入者の顔面を撮影して、顔面画像情報を出力するカメラ装置と、
紙葉センサが出力する紙葉類画像情報と、カメラ装置が出力する顔面画像情報とを同一の管理符号で記憶する鑑別記憶装置と、
鑑別記憶装置に記憶される顔面画像情報とカメラ装置が出力する顔面画像情報とを比較して、顔面の両画像情報が一致するとき、紙葉類画像情報と共に、投入者の顔面画像情報とその紙葉類投入履歴を検索し表示する検索比較装置とを備えることを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
検索比較装置は、紙葉類の真贋を判断する鑑別制御装置の真贋判断の結果に関わらず、投入者の顔面画像情報を介して、鑑別記憶装置に記憶される顔面画像情報を検索し表示する請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
鑑別記憶装置は、各投入者が鑑別装置の入口に投入して、鑑別制御装置が真正と判断した紙葉類の合計金額を算出して記憶し、
検索比較装置は、紙葉類の合計額が一定金額を超える投入者の顔面画像情報を検索して、その時点で又は事後の投入時に賞品をその投入者に提供して、各投入者の紙葉類投入履歴に対応する特別待遇を投入者に提供する請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
鑑別記憶装置に記憶される顔面画像情報とカメラ装置が出力する顔面画像情報とを比較して、顔面の両画像情報が一致しないとき、検索比較装置は、不一致の投入者の顔面画像情報と、紙葉センサから受信する紙葉類画像情報とを同一の管理符号を付して、鑑別記憶装置に記憶する請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項5】
鑑別記憶装置は、紙葉センサが出力する紙葉類画像情報と、カメラ装置が出力する顔面画像情報と、紙葉類画像情報及び顔面画像情報に付与される同一の管理符号とを記憶する情報の集合体を有し、情報の集合体は、紙葉類の種類若しくは金種、投入者の顔面画像類型又は顔面輪郭特徴を基準として体系化される投入者データベースを構成し、電子計算機を備える検索比較装置を用いて投入者データベースを検索する請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項6】
鑑別記憶装置は、各投入者が鑑別装置の入口に投入して、鑑別制御装置が真正と判断した紙葉類の合計金額と、紙葉類の金種を記憶し、
検索比較装置は、紙葉類の金種の合計額が一定金額を超える投入者の顔面画像情報を検索して、各投入者の紙葉類投入履歴に対応する賞品又は特別待遇をその投入者に提供する請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項7】
紙葉類の真贋を判断する鑑別制御装置は、紙葉センサから受信する紙葉類画像情報を、正規の紙葉類画像情報と比較して、紙葉類を真正と判断しないとき、鑑別記憶装置は、その不真正紙葉類画像情報とその投入者の顔面画像と、カメラ装置が出力する顔面画像情報とを同一の管理符号で記憶し、
同一の投入者が、再度紙葉類を鑑別装置の入口に投入して、鑑別制御装置がその紙葉類を不真正と判断したとき、鑑別制御装置は、検索比較装置に不許可信号を送信し、
不許可信号を受信する検索比較装置は、紙葉類画像情報と共に、投入者の顔面画像情報とその紙葉類投入履歴を検索し表示して、不真正紙葉類投入者の紙葉類投入履歴に対応して、作動を停止する請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項8】
鑑別記憶装置は、自己抑制困難者若しくは反社会的対象者に該当する投入者の顔面画像情報とその投入者が投入した紙葉類画像情報を記憶し、
検索比較装置は、投入者の顔面画像情報が自己抑制困難者若しくは反社会的対象者に該当する投入者の顔面画像情報に一致するとき、投入者の紙葉類画像情報と顔面画像情報とを表示する請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項9】
鑑別記憶装置は、紙葉類の投入者の顔面をカメラ装置が撮影したデジタル画像に表示される顔の輪郭と各造作の位置を決定する顔検出器と、顔面のデジタル画像に表示される顔の輪郭の寸法と、各造作の位置間の距離と、輪郭の寸法と各造作の位置間の距離との比率を算出する演算装置とを備え、
鑑別記憶装置は、演算装置が算出する顔の輪郭の寸法と、各造作の位置間の距離と、輪郭の寸法と各造作の位置間の距離との比率を記憶する請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項10】
検索比較装置は、鑑別記憶装置に記憶される顔の輪郭の寸法と、各造作の位置間の距離と、輪郭の寸法と各造作の位置間の距離との比率の比較項目について、カメラ装置が出力する顔面画像情報と比較して、何れかの2以上の比較項目で一致するとき、鑑別記憶装置が記憶する投入者と鑑別装置への投入者とを同一人と判断する請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項11】
自己抑制困難者若しくは反社会的対象者に該当する投入者の顔面画像情報とその投入者が投入した紙葉類画像情報が鑑別記憶装置に記憶されなくても、検索比較装置は、下記項目a~eの何れかの投入者を不適切投入者と判断して、顔面画像情報を自動的に検索して表示する請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
a. 所定時間内に一定の金額を超える紙葉類を単一又は複数の鑑別装置に投入する投入者、
b. 単一又は複数の鑑別装置に2倍以上異なる金額の紙葉類を突然投入する投入者、
c. 3倍以上の異なる金額の紙葉類を単一又は複数の鑑別装置に投入する投入者、
d. 2時間を超過する時間間隔で単一又は複数の鑑別装置に投入する投入者、
e. 異なる複数の鑑別装置に紙葉類を3時間以上投入し続ける投入者。
【請求項12】
鑑別装置の入口に投入される紙葉類を搬送通路に沿って搬送する搬送装置を夫々有し、互いに異なる場所に配置される複数の鑑別装置を備え、
各鑑別装置は、
各搬送通路に沿って移動する紙葉類の画像を撮影して、撮影した画像情報を出力する紙葉センサと、
紙葉センサから受信する紙葉類画像情報を、正規の紙葉類画像情報と比較して、投入される紙葉類の真贋を判断する鑑別制御装置と、
各鑑別装置の紙葉類の投入者の顔面を撮影して、顔面画像情報を出力するカメラ装置と、
紙葉類の真贋を判断する各鑑別制御装置の真贋判断の結果に関わらず、紙葉センサから送信される紙葉類画像情報と、その紙葉類を投入した投入者の顔面画像情報とを同一の管理符号により関連付けて記憶する鑑別記憶装置と、
投入者の顔面画像情報を介して、鑑別記憶装置に記憶される顔面画像情報とを検索して表示する検索比較装置とを備えることを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項13】
投入者の顔面画像情報を介して、検索比較装置により鑑別記憶装置に記憶される顔面画像情報とを検索するとき、検索比較装置は、鑑別記憶装置に記憶される同一類形の顔面画像の投入者を検索する請求項12に記載の紙葉類取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鑑別装置への紙葉類投入者の顔画を撮影するカメラ装置を設けた紙葉類取扱装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
多くの国々で現在問題視されている賭博(ギャンブル)依存症への解決策と対応の強化は、世界中で益々重要となってきた。先進国の賭博依存症患者数の最も多い日本では、遊技施設での賭博依存症対策が必須となっている。ドイツとカナダでは、政府が賭博依存症対策に積極的に取り組んでいる。韓国を含む他の国では、カジノ施設への入場時に、人員のID確認と登録者の照合とを行うと共に、賭博依存症患者本人又は近親者の事前申告と、賭博依存症患者の写真付きIDのカジノ施設での事前登録とを必要とする。これにより、カジノ施設は、賭博依存症患者の入場を拒否して、依存症対応(Responsible Gaming)を行う。カジノ施設の入場門に取り付けられるカメラにより入場者の顔画像を識別し、非依存症患者を認証して、賭博依存症患者の入場が阻止される。尤も、大型の有人装置で運営するドイツ政府の賭博依存症対策では、カジノ施設は、巨額設備負担を必要として、賭博依存症対策が進展しない原因となった。そこで、賭博依存症対策を安価に実施する紙葉類取扱装置が望まれていた。
【0003】
例えば、下記特許文献1は、指紋、網膜、顔、音声認証等の生体情報を検出して認証する装置をベゼルに取り付けて、例えば、会社の従業員の指紋を認証して、会社の自動販売機で食品を購入するベゼルを示す。ベゼルの上部に取り付けられるカメラにより、紙幣画像と投入者の顔面画像を撮影して、自動販売機の不正使用に対する安全性を確保することができる。ベゼルに設けられるカメラは、投入者の顔面に閃光を当てて、投入者の正確な顔面画像を撮影して、投入者の顔面画像情報を個人認識表示として使用することができる。下記特許文献2は、紙幣を投入する計数貸出ユニットのカメラ(図2の符号23aの中)により遊技者の顔を撮影して、遊技者の会員カードの遊技データと関連付けて管理サーバのデータベースに登録し、遊技データがギャンブル依存症の判断条件(投入金額が高額又は遊技時間が長時間等)を満たすとき、遊技を制限して支援者端末に通知する遊技場用管理システムを示す。下記特許文献3は、支援者端末により遊技者の遊技を制限する特許文献2と同様の遊技場用システムを示す。下記特許文献4は、紙幣を投入する貨幣処理装置を内蔵する精算・販売機のカメラ(図1)により撮影した利用者の顔写真を記録し、偽造紙幣を使用した犯人を特定する遊技店の価値記録媒体精算機を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0168022A1号公報
【特許文献2】特許第6924100号公報
【特許文献3】特許第7075801号公報
【特許文献4】特開2008-307163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるベゼルは、紙幣鑑別機への紙幣の投入時に、ベゼル外面に取り付けられる複数のカメラで投入者の顔面を撮影して、投入者の顔面画像情報を保存するが、特許文献1の鑑別装置は、紙幣鑑別機に紙幣を過去に投入した各投入者の投入実績を確認して、投入実績に対応する特別待遇を投入者毎に提供できない。特許文献2~4の遊技場用システム又は価値記録媒体精算機も同様である。特別待遇とは、例えば、投入者の投入実績に対応して、投入者毎に付与される異なる対応措置を意味する。本発明の紙葉類取扱装置は、鑑別装置への紙葉類の投入実績とその投入者を投入者毎に記録し、投入者の投入実績に対応して、異なる対処法、即ち、特別待遇を投入者毎に提供する。紙葉類の多数の投入者による鑑別装置の反復使用状態に紙葉類取扱装置の利用価値があるので、本発明では、紙葉類取扱装置の反復する利用者を特定して、各投入者の紙葉類投入履歴に対応する多様な異なる特別待遇又はサービスを投入者毎に提供して、紙葉類取扱装置の利用を促進することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の紙葉類取扱装置は、鑑別装置(1)の入口(12)に投入される紙葉類を搬送通路(15)に沿って搬送する搬送装置(17)を有する鑑別装置(1)と、鑑別装置(1)の搬送通路(15)に沿って移動する紙葉類の画像を撮影して、撮影した紙葉類画像情報を出力する紙葉センサ(16)と、紙葉センサ(16)から受信する紙葉類画像情報を、正規の紙葉類画像情報と比較して、紙葉類の真贋を判断する鑑別制御装置(14)と、紙葉類の投入者の顔面を撮影して、顔面画像情報を出力するカメラ装置(4)と、紙葉センサ(16)が出力する紙葉類画像情報とカメラ装置(4)が出力する顔面画像情報とを同一の管理符号で記憶する鑑別記憶装置(18)と、鑑別記憶装置(18)に記憶される顔面画像情報とカメラ装置(4)が出力する顔面画像情報とを比較して、顔面の両画像情報が一致するとき、紙葉類画像情報と共に、投入者の顔面画像情報とその紙葉類投入履歴を検索し表示する検索比較装置(20)とを備える。
【0007】
本発明の紙葉類取扱装置では、鑑別制御装置(14)は、紙葉センサ(16)が出力する紙葉類画像情報と、カメラ装置(4)が出力する顔面画像情報とを同一の管理符号で検索記憶装置(18)に自動的に記憶する。検索比較装置(20)は、鑑別記憶装置(18)に記憶される顔面画像情報とカメラ装置(4)が出力する顔面画像情報とを比較して、顔面の両画像情報が一致するとき、投入者毎の紙葉類投入履歴に対応する多様な特別待遇を投入者毎に提供して、紙葉類取扱装置(200)の娯楽性と利便性とを増進する。他面、鑑別記憶装置(18)に記憶される顔面画像情報に行方不明者、被疑者又は容疑者等の捜索対象者の顔面画像情報を、顔面の特徴から検索記憶装置(18)により検索し、両顔面画像情報が比較項目で一致すれば、情報を表示して、捜索者又は警察への協力に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の紙葉類取扱装置の鑑別装置に紙幣を挿入する断面図
図2】鑑別装置に取り付けられるベゼルの拡大断面図
図3】カメラ装置を取り付けるベゼルの分解断面図
図4】カメラ装置を取り付けたベゼルの装入枠の断面図
図5】カメラ装置の装着前のベゼルの装入枠の斜視図
図6】カメラ装置の装着後のベゼルの装入枠の斜視図
図7】蓋の装着前のベゼルの斜視図
図8】ベゼルのカメラ装置と鑑別装置との有線電気接続線を示す斜視図
図9】ベゼル内のカメラ装置と鑑別装置の電気構成図
図10図9に示す電気構成の動作フローチャート
図11図10に続く動作フローチャート
図12】検索比較装置に表示される紙葉類画像情報、顔面画像情報及び紙幣投入履歴を示す表示画面の表示例
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に使用する各用語は、次の意味を有する。用語「紙葉類」は、紙幣、クーポン券、電子マネー及び電子クーポン券を含む何れかの有価媒体をいう。「不真正紙葉」又は「不真正紙幣」は、偽造又は劣化した紙幣及びクーポン券を含む受入拒否対象の投入物をいう。「提供する商品」は、投入者が鑑別装置に投入する紙葉類の総額が所定の金額に達したときに、投入者に追加して提供する賞金又はクーポン券等の物品をいう。「紙葉類投入履歴」は、鑑別記憶装置に記憶される投入者毎の紙葉類の全投入経緯記録である。「特別待遇」は、紙葉類投入履歴に基づく投入者毎の商品又は役務の付加的提供をいう。「提供する役務」は、下記の何れかを意味する:
1.投入者が鑑別装置に投入する紙葉類の総額が所定の金額に達したときに、投入者に追加して提供するゲーム若しくは特別な待遇の提供、
2.不真正紙葉を反復して投入する投入者に対し、鑑別装置への紙葉類の投入を阻止する鑑別装置の機能、
3.紙葉類投入履歴又は鑑別記憶装置に記憶される情報から、ギャンブル依存症又はその予備軍と認定されるべき不適切投入者及び反社会的勢力と認定されるべき投入者に対する鑑別装置への紙葉類の投入を阻止する鑑別装置の機能。
【0010】
前記有価媒体を対象とする「紙葉類」を紙幣として本発明の実施の形態を、図1図10について詳細に以下説明するが、紙幣以外の有価媒体も同様に本発明を適用できることは明らかである。
【0011】
本発明の紙葉類取扱装置の実施の形態を示す図1及び図9の紙幣取扱装置(200)は、鑑別装置(1)の入口(12)に投入される紙幣を搬送通路(15)に沿って搬送する搬送装置(17)を有する鑑別装置(1)と、鑑別装置(1)の搬送通路(15)に沿って移動する紙幣の画像を撮影して、撮影した紙幣画像情報を出力する紙葉センサ(16)と、紙葉センサ(16)から受信する紙幣画像情報を、正規の紙幣画像情報と比較して、紙幣の真贋を判断する鑑別制御装置(14)と、紙幣の投入者の顔面を撮影して、顔面画像情報を出力するカメラ装置(4)と、紙葉センサ(16)が出力する紙幣画像情報とカメラ装置(4)が出力する顔面画像情報とを同一の管理符号で記憶する鑑別記憶装置(18)と、鑑別記憶装置(18)に記憶される顔面画像情報とカメラ装置(4)が出力する顔面画像情報とを比較して、顔面の両画像情報が一致するとき、紙葉類画像情報と共に、投入者の顔面画像情報とその紙幣投入履歴を検索し表示する検索比較装置(20)とを備える。投入者が鑑別装置(1)の入口(12)に紙葉類を挿入する前に、カメラ装置(4)は、投入者の顔面を複数回撮影して、投入者の複数の顔面画像情報を出力し、検索比較装置(20)は、複数の投入者の顔面画像情報から最適な顔面画像情報を選択して、鑑別記憶装置(18)に記憶される過去の顔面画像情報と比較する。
【0012】
本実施の形態では、鑑別装置(1)内に紙葉センサ(16)及び鑑別制御装置(14)を配置し、鑑別装置(1)の入口(12)に取り付けられるベゼル(8)内にカメラ装置(4)を配置する。鑑別装置(1)の外部に配置される鑑別記憶装置(18)及び検索比較装置(20)は、ネットワークインターフェイス(81)を介して紙葉センサ(16)及びカメラ装置(4)と通信接続される。図示しないが、ホストサーバ(100)と一体に又は隣接して別体に鑑別記憶装置(18)、検索比較装置(20)又は鑑別制御装置(14)を配置してもよい。また、ベゼル(8)の外側又は鑑別装置(1)内にカメラ装置(4)を取り付けてもよい。鑑別装置(1)内に鑑別記憶装置(18)及び検索比較装置(20)を配置してもよい。
【0013】
図1に示すベゼル(8)は、枠体(4a)と共にカメラ装置(4)を収容する暗室(4d)を形成する光透過性の蓋(4c)を備え、蓋(4c)は、暗室(4d)外からの光を反射して、暗室(4d)内のカメラ装置(4)の外部からの目視を阻止すると共に、蓋(4c)で覆われるカメラ装置(4)に対する悪戯を防止する作用がある。カメラ装置(4)は、鑑別装置(1)の前面に着座する投入者の顔面画像を、蓋(4c)を介して撮影して、顔面画像情報を鑑別装置(1)内に保存する機能がある。ベゼル(8)から蓋(4c)を除去して、ベゼル(8)の外部に露出するカメラ装置(4)で投入者を撮影し又は撮影前に投入者に撮影を通知してもよい。ベゼル(8)又は鑑別装置(1)の外側にカメラ装置(4)を取り付ける別の実施の形態では、蓋(4c)を省略して、投入者がカメラ装置(4)を目視可能に構成してもよい。
【0014】
図1図2に示すベゼル(8)は、鑑別装置(1)の筐体(1a)に固定される枠体(4a)と、枠体(4a)に取り付けられて投入者の顔又は上半身の画像(映像)を着色画像又は白黒画像で撮影するカメラ装置(4)と、カメラ装置(4)を覆って枠体(4a)に着脱自在に取り付けられる蓋(4c)とを備える。枠体(4a)は、樹脂材料により形成され、蓋(4c)は、ガラス材料又は樹脂材料で形成される。本発明の一実施の形態では、蓋(4c)は、蒸着又は塗布によりニッケル、銀又はアルミニウム等の光透過性かつ光反射性の金属薄膜で被覆したガラス又はアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の光透過性の合成樹脂により形成され、所謂ハーフミラー又はマジックミラーと呼ばれる構造を構成する。ハーフミラーの可視光線透過率は、30%~70%、特に、投入者が枠体(4a)内のカメラ装置(4)を目視困難かつカメラ装置(4)により投入者を撮影可能な50%が好ましい。ねじ又は弾性係止爪等の構造で枠体(4a)に蓋(4c)を着脱自在に取り付けると、蓋(4c)は、カメラ装置(4)を覆いかつカメラ装置(4)を収容する暗室(4d)が形成される。
【0015】
シャッタとシャッタ駆動装置(何れも図示省略)とをカメラ装置(4)に設け、鑑別装置(1)の鑑別制御装置(14)にシャッタ駆動装置を駆動接続して、適切な時期にシャッタを開閉できる。ベゼル(8)の前面の座席に着席する投入者を検出して着座確認信号を発生する着座画像認識装置(図示省略)をカメラ装置(4)に設け、着座画像認識装置の着座確認信号を受信するシャッタ駆動装置により、カメラ装置(4)による撮影を開始できる。シャッタは、グローバルシャッタ又はローリングシャッタから選択できる。フレーム全体を一度に撮影するグローバルシャッタを選択して、投入者の正面画像を短時間に撮影する。
【0016】
図2に示す枠体(4a)は、鑑別装置(1)の正面に垂直に取り付けられる背板(4e)と、背板(4e)に水平に固定されて紙幣を挿入する装入枠(4f)と、装入枠(4f)の頂部に設けられてカメラ装置(4)を支持する支持台(4g)とを備える。カメラ装置(4)は、背板(4e)に固定される装入枠(4f)の支持台(4g)に固定され、図2図4に示すカメラ装置(4)のレンズ(42)の中心光軸は、水平面に対し角度15°~30°傾斜して配置され、カメラ装置(4)が撮影する画面角度範囲45°~80°にカメラ装置(4)が固定され、ベゼル(8)の前方に着座する投入者の顔面を確実に撮影する。
【0017】
図2図4に示すカメラ装置(4)は、投入者の顔面からの光が入射するレンズ(42)を支持するカメラ本体(41)と、貫通孔(45)が形成されてカメラ本体(41)から突出するブラケット(46)とを備え、装入枠(4f)の支持台(4g)は、ねじ孔(4h)を有する。図4及び図5に示す枠体(4a)の装入枠(4f)のねじ孔(4h)とブラケット(46)の貫通孔(45)とにねじ(50)を垂直に装着すると、ねじ(50)軸周りにカメラ本体(41)を回転可能に配置して、ねじ(50)軸に垂直な水平面上でカメラ装置(4)を回転して、カメラ装置(4)が撮影する投入者の顔面への左右水平方向を変更して、適切な撮影角度にカメラ装置(4)を保持できる。支持台(4g)とブラケット(46)との間に適当な厚さのスペーサ(図示せず)を配置して、スペーサの貫通孔にねじ(50)軸を挿入し、カメラ装置(4)の支持台(4g)に対する垂直位置を、ブラケット(46)と共に調整できるので、鑑別装置(1)及びベゼル(8)の設置状況又は被写体若しくは背景の照度等の撮影環境に応じて、支持台(4g)に対してカメラ装置(4)の撮影角度と高さを調整して、所望の撮影画像を得ることができる。サーボモータ等のアクチュエータ(図示せず)により支持台(4g)に対するカメラ装置(4)の水平位置と垂直位置を自動的に微細に調整できる。センサの赤外線信号により投入者の着座状態を追跡しながら、アクチュエータを作動して、カメラ装置(4)が撮影する角度と位置を自動調整すると、好適な顔面画像を撮影できる。
【0018】
カメラ装置(4)のねじ(50)軸周りの回転を一時的に固定するため、図3に示す実施の形態では、周方向に間欠的な環状突起(27)を枠体(4a)の支持台(4g)に設けると共に、周方向に間欠的な環状凹部(28)をカメラ本体(41)のブラケット(46)に設けて、カメラ本体(41)を枠体(4a)の支持台(4g)上に配置したとき、環状突起(27)が環状凹部(28)に篏合して、ブラケット(46)とカメラ装置(4)の回転を阻止できる。ねじ(50)を緩めて、ブラケット(46)を支持台(4g)から僅かに上昇させると、環状突起(27)の篏合が環状凹部(28)から外れて、ブラケット(46)とカメラ装置(4)とを回転して、所望の回転角度位置で環状突起(27)を環状凹部(28)に篏合して、カメラ装置(4)の回転を阻止できる。
【0019】
逆に環状突起(27)をブラケット(46)に設け、環状凹部(28)を支持台(4g)に設けられる環状突起(27)の篏合構造では、枠体(4a)の支持台(4g)とカメラ本体(41)のブラケット(46)との一方に環状突起(27)を設け、支持台(4g)とブラケット(46)の他方に環状凹部(28)を設けて、環状凹部(28)内に回転可能に環状突起(27)を嵌合できる。このように、環状突起(27)を環状凹部(28)内に回転可能に嵌合して、ねじ(50)を緩めない限り、環状突起(27)及び環状凹部(28)周りにカメラ装置(4)を回転可能に確実に支持できる。
【0020】
枠体(4a)の背板(4e)は、例えば、ねじ、弾性係止爪又はフック等の図示しない公知の手段により、鑑別装置(1)の正面に着脱自在に取り付けられる。図7図9に示すように、鑑別装置(1)、ベゼル(8)及び収納装置(2)(図8)を有する紙幣処理装置の組立時に、ベゼル(8)の枠体(4a)に蓋(4c)の取付前又は取付後に、ベゼル(8)を鑑別装置(1)に取り付けると共に、箱状の取手付き収納装置(2)が鑑別装置(1)に装着される。ベゼル(8)内のカメラ装置(4)及びインターフェイス(80)(図9)と鑑別装置(1)の正面に設けられる出入力部とを有線接続して、鑑別装置(1)からカメラ装置(4)及びインターフェイス(80)に電力を供給して、カメラ装置(4)及びインターフェイス(80)と鑑別装置(1)との間で情報通信が行われる。
【0021】
図2及び図6に示す枠体(4a)の装入枠(4f)は、鑑別装置(1)の入口(12)に連絡する挿入口(5)を備える。装入枠(4f)の上部に支持台(4g)が形成され、蓋(4c)は、暗室(4d)内のカメラ装置(4)を覆う湾曲上部(9)と、湾曲上部(9)の下部に一体接合される矩形枠(10)とを備える。蓋(4c)の矩形枠(10)内に挿入される紙幣は、装入枠(4f)の挿入口(5)を通り、鑑別装置(1)の入口(12)に設けられる入口センサ(13)により検出される。鑑別装置(1)の入口(12)に設けられる入口センサ(13)により紙幣の挿入を検出するので、ベゼル(8)には、紙幣検出器を設ける必要がない。図2に示す枠体(4a)は、装入枠(4f)の背後の鑑別装置(1)の前面で枠体(4a)に固定される接続装置(4b)を備える。装入枠(4f)の挿入口(5)と接続装置(4b)により、装入枠(4f)に挿入される紙幣を鑑別装置(1)の入口(12)に案内して、挿入される紙幣を確実に入口センサ(13)に案内する。カメラ装置(4)の撮影開始後に、鑑別装置(1)の入口センサ(13)は、装入枠(4f)の挿入口(5)に挿入される紙幣を検出して、鑑別装置(1)の搬送装置(17)を起動する検出信号を発生する。
【0022】
図1及び図2に示すカメラ装置(4)は、レンズ(42)を通る画像情報を電気信号に変換して、鑑別装置(1)の鑑別制御装置(14)に送信する光電素子(43)を備える。カメラ装置(4)の図示しないシャッタ駆動装置及び光電素子(43)は、鑑別装置(1)の鑑別制御装置(14)に電気的に駆動接続される。カメラ装置(4)は、紙幣取扱装置(200)の利用者(紙幣投入者)の着座状態を検出する検出信号を発生する着座検出装置(図示せず)を備える。別法として、投入者の接近を検知する公知の人感センサ又は着座センサを使用してもよい。着席する投入者がベゼル(8)の挿入口(5)に紙幣を挿入する前に、カメラ装置(4)の着座検出装置、人感センサ又は着座センサの検出信号を発生させて、発生する検出信号に同期して、カメラ装置(4)のシャッタを駆動すると、ベゼル(8)の正面に着座する投入者の顔面画像をカメラ装置(4)により確実に撮影できる。カメラ装置(4)の撮影前又は後に、鑑別装置(1)の入口センサ(13)は、装入枠(4f)の挿入口(5)に挿入される紙幣を検出して、検出信号を発生し、入口センサ(13)の検出信号により、鑑別装置(1)の搬送装置(17)が起動される。別の実施の形態では、着席する投入者を検知する人感センサ又は着座センサを省略して、入口センサ(13)により鑑別装置(1)の搬送装置(17)とカメラ装置(4)とを起動してもよい。
【0023】
鑑別装置(1)の待機状態でも、カメラ装置(4)の着座検出装置を予め作動して、シャッタ作動前に撮影画像を確認できる。即ち、カメラ装置(4)の撮影前画像により着座する投入者の顔を特定する。紙幣の挿入を検出する入口センサ(13)の検出信号に同期して、カメラ装置(4)により撮影すると、カメラ装置(4)から投入者が顔を反らせる危険がある。着席する投入者がベゼル(8)の挿入口(5)に紙幣を挿入する前に、カメラ装置(4)の撮影を開始すると、投入者が紙幣投入する直前(投入者がカメラ装置(4)を見る瞬間)の状態を記録できる。これにより、カメラ装置(4)は、紙幣投入前でも投入者の顔を判別し、投入者が非静止状態、撮影無意識状態で投入者の最適な画像を撮影できる。投入者の最適な顔面画像は、非傾斜で正面を向く顔状態である。正面への有効な閾値を超える顔向数値で撮影することが好ましく、「動く被写体」の「ぶれ画像」を回避して、例えば、連続10枚等撮影した複数画像中の好適な顔面画像を選定できる。投入者は、紙幣の投入時にベゼル(8)を一度は見る為、顔正面の有効値に近づく顔向数値で、最適な顔面画像を撮影することが望ましい。
【0024】
図1及び図2に示す鑑別装置(1)は、装入枠(4f)の挿入口(5)及び入口(12)に連絡する搬送通路(15)と、入口(12)に挿入される紙幣を搬送通路(15)に沿って奥に移動する図9に示す搬送装置(17)と、搬送通路(15)に沿って搬送される紙幣の表面画像を走査する密着イメージセンサ等の紙葉センサ(16)と、紙葉センサ(16)が紙幣を走査して作成する紙幣の表面画像情報を記憶する鑑別記憶装置(18)とを備える。鑑別制御装置(14)は、鑑別記憶装置(18)に記憶される紙幣の表面画像情報を鑑別記憶装置(18)から必要に応じて読み出すことができる。鑑別記憶装置(18)は、紙葉センサ(16)が出力する紙葉類画像情報と、カメラ装置(4)が出力する顔面画像情報と、紙葉類画像情報及び顔面画像情報に付与される同一の管理符号とを記憶する情報の集合体を有し、情報の集合体は、紙葉類の種類若しくは金種又は投入者の顔面画像類型投入者の顔面画像類型又は顔面輪郭特徴を基準とを基準とする体系的な投入者データベースを構成し、電子計算機を備える検索比較装置(20)を用いて投入者データベースの情報を迅速かつ容易に検索できる。鑑別記憶装置(18)は、例えば、数字、アルファベット若しくは記号又はこれらの組み合わせからなる管理符号を作成して、情報の集合体に自動的に付与するので、各情報の集合体をデータベース上で管理できる。
【0025】
カメラ装置(4)は、紙幣取扱装置(200)を利用する紙幣の投入者の顔面を撮影したデジタル画像に表示される顔の輪郭と各造作の位置を決定する図示しない顔検出器と、顔面のデジタル画像に表示される顔の輪郭の寸法と、各造作の位置間の距離と、輪郭の寸法と各造作の位置間の距離との比率を算出する演算装置とを備える。顔検出器は、投入者のデジタル画像から、顔の輪郭と各造作の位置を決定する公知の画像(パターン)認識プログラムを使用できる。投入者の顔面画像情報の特徴を抽出(顔面画像特徴抽出法)するとき、例えば、カメラ装置(4)から顔面画像情報を受信する鑑別制御装置(14)の顔検出器は、紙幣投入者の顔の輪郭の寸法と、両目、鼻、口等の投入者の顔面の各造作の位置間距離と、輪郭の寸法と各造作の位置間の距離との比率の比較項目を抽出して、鑑別記憶装置(18)に記憶させる。鑑別記憶装置(18)は、顔検出器が決定する顔の輪郭と各造作の位置に基づき、演算装置が算出する顔の輪郭の寸法と、各造作の位置間の距離と、輪郭の寸法と各造作の位置間の距離との比率を記憶する。
【0026】
検索比較装置(20)は、紙幣の真贋を判断する鑑別制御装置(14)の真贋判断の結果に関わらず、投入者の顔面画像情報を介して、鑑別記憶装置(18)に記憶される顔面画像情報を検索して、紙葉類画像情報と共に、投入者の顔面画像情報とその紙葉類投入履歴を、検索比較装置(20)と一体又は別体に設けられる画面に表示する。鑑別記憶装置(18)は、検索比較装置(20)により検索された顔面画像情報の管理符号と、今回得られた投入者の顔面画像情報及び紙葉類画像情報とを関連付けて(紐付けして)記憶し、紙幣投入履歴を追加する。鑑別記憶装置(18)に既に記憶される過去の顔面画像情報を検索比較装置(20)が検索したとき、今回撮影された新規の顔面画像情報を過去の顔面画像情報に追加するが、過去の顔面画像情報を削除して、新規の顔面画像情報のみを鑑別記憶装置(18)に記憶し保存してもよい。真正紙幣及び不真正紙幣を鑑別装置(1)の入口(12)に挿入する何れの投入者の顔面画像情報と、紙幣画像情報が鑑別記憶装置(18)に記憶されて、検索比較装置(20)の検索対象となり、紙幣取扱装置(200)に関する防犯性を向上できる。
【0027】
鑑別記憶装置(18)は、各投入者が鑑別装置(1)の入口(12)に投入して、鑑別制御装置(14)が真正と判断した紙幣の合計金額を算出して記憶し、検索比較装置(20)は、紙幣の合計額が一定金額を超える投入者の顔面画像情報を検索して、その時点で又は事後の投入時にその投入者に賞品を提供して、各投入者の紙幣投入履歴に対応する特別待遇を投入者に提供することができる。高額紙幣の投入者に賞品を提供して、紙幣取扱装置(200)の利用を奨励し促進できる。
【0028】
図9は、本発明を代表する紙幣鑑別装置を構成する電気制御ブロック図を示す。ベゼル(8)は、カメラ装置(4)と、カメラ装置(4)に内蔵される光電素子(光電変換素子)(43)とを備える。ベゼル(8)を取り付ける鑑別装置(1)は、搬送通路(15)に挿入される紙幣を検出して検出信号を発生する入口センサ(13)と、挿入された紙幣を搬送通路(15)に沿って搬送する搬送装置(17)と、搬送通路(15)を通過する紙幣の主面画像を走査して紙幣画像を作成する紙葉センサ(16)と、入口センサ(13)の検出信号を受信して、搬送装置(17)を駆動する鑑別制御装置(14)と、時刻信号を発生する計時装置(36)と、紙幣画像から得られる紙幣情報を送信するアンテナ(11)を有する鑑別送受信装置(3)とを備える。鑑別制御装置(14)は、紙幣の主面画像を紙葉センサ(16)から取得すると共に、走査した時刻を計時装置(36)から取得して、鑑別記憶装置(18)に紙幣の主面画像と走査時刻とを記録する。
【0029】
ベゼル(8)の前面の座席に投入者が着席すると、カメラ装置(4)の着座検出装置は、検出信号を発生して、カメラ装置(4)のシャッタ駆動装置が作動される。投入者が装入枠(4f)の挿入口(5)を通じて入口(12)に紙幣を挿入すると、入口センサ(13)は、紙幣が鑑別装置(1)に挿入される毎に、紙幣を検出して検出信号を発生し、鑑別制御装置(14)に検出信号を送信する。鑑別制御装置(14)は、入口センサ(13)の検出信号を受信して、搬送装置(17)を駆動する。このため、紙葉センサ(16)は、搬送通路(15)に沿って搬送される紙幣の表面画像を走査すると共に、カメラ装置(4)は、投入者の変化する顔面画像を連写して、顔面画像ピクセルの相互一致割合を判断するので、鑑別制御装置(14)は、入口センサ(13)が検出信号を発生した直後に取得する顔面画像情報と紙幣の表面画像情報とを対として、計時装置(36)からの現時刻表示と共に鑑別記憶装置(18)に記憶させる。紙幣投入者の顔の輪郭の寸法と、両目、鼻、口等の投入者の顔面の各造作の位置間距離と、輪郭の寸法と各造作の位置間の距離との比率の比較項目は、鑑別記憶装置(18)に記憶される。
【0030】
鑑別制御装置(14)は、鑑別装置(1)に接続されるインターフェイス(80)とアンテナ(91)を介して、紙葉センサ(16)が走査した紙幣画像(紙幣情報)を外部のホストサーバ(100)に鑑別送受信装置(3)から送信し、ホストサーバ(100)に記録される正規の紙幣画像と比較する。走査した紙幣画像が正規の紙幣画像と同一(真札)と鑑別制御装置(14)が判断すると、鑑別制御装置(14)は、搬送装置(17)を駆動して、紙幣を収納装置(2)に搬送して、収納装置(2)に収容する。鑑別制御装置(14)は、鑑別記憶装置(18)に記録される正規の紙幣画像と比較して、紙葉センサ(16)が走査した紙幣の真贋を判断してもよい。収納装置(2)の収納送受信装置(21)及び収納記憶装置(22)は、鑑別装置(1)の鑑別制御装置(14)に電気的に駆動接続される。鑑別制御装置(14)は、鑑別送受信装置(3)及びそのアンテナ(11)を通じて、収納装置(2)の収納送受信装置(21)及びアンテナ(31)にデジタル紙幣情報を送信するので、収納装置(2)の収納記憶装置(22)は、そのデジタル紙幣情報を記憶する。
【0031】
紙葉センサ(16)が走査した紙幣画像をホストサーバ(100)又は鑑別記憶装置(18)に記録される正規の紙幣画像と比較して、走査した紙幣画像が正規の紙幣画像に一致しないと鑑別制御装置(14)が判断すると、鑑別制御装置(14)は、搬送装置(17)を逆転して、不真正紙幣を搬送通路(15)の入口(12)に戻すため、投入者は、ベゼル(8)の挿入口(5)を通じて搬送通路(15)の入口(12)から紙幣を受け取ることができる。真札と同様に、収納装置(2)の収納送受信装置(21)とアンテナ(31)に不真正紙幣のデジタル紙幣情報を送信するので、収納装置(2)の収納記憶装置(22)は、デジタル紙幣情報を記憶する。図9に示す検索比較装置(20)は、紙葉センサ(16)が出力する紙幣画像情報と、カメラ装置(4)が出力する顔面画像情報とを同一の管理符号で鑑別記憶装置(18)に自動的に記憶する。
【0032】
自己抑制困難者若しくは反社会的対象者に該当する投入者の顔面画像情報とその投入者が投入した紙幣画像情報が鑑別記憶装置(18)に記憶されなくても、検索比較装置(20)は、鑑別制御装置(14)の演算装置が算出する顔の輪郭の寸法と、各造作の位置間の距離と、輪郭の寸法と各造作の位置間の距離との比率から、下記項目a~eの投入者を不適切投入者と判断して、顔面画像情報を自動的に検索して表示する。
a. 所定時間内に一定の金額を超える紙幣を単一又は複数の鑑別装置(1)に投入する投入者、
b. 単一又は複数の鑑別装置(1)に2倍以上異なる金額の紙幣を突然投入する投入者、
c. 3倍以上の異なる金額の紙幣を単一又は複数の鑑別装置(1)に投入する投入者、
d. 2時間を超過する時間間隔で単一又は複数の鑑別装置(1)に投入する投入者、
e. 異なる複数の鑑別装置(1)に紙幣を3時間以上投入し続ける投入者。
【0033】
鑑別記憶装置(18)は、投入者の顔面画像を下記5種類に区分して、記憶し、 検索比較装置(20)は、投入者の5種類の顔面画像類型に関する一致も判断する。
1 卵型:眉毛から頬までの顔の縦と両頬間の横の長さが同一比率1:1。
2 丸型:眉毛から頬までの顔の縦の長さが2に対し、横は3の比率2:3。
3 四角形:眉毛から頬までの顔の縦の長さ1に対し、横は、2の比率1:2。
4 逆三角形:眉毛から頬までの顔の縦長さ3に対し、横は2の比率3:2で、ハチ周り(ハチマキを巻く位置)がやや広めである。
5 面長形:眉毛から頬までの顔の縦の長さ3に対し、横は2の比率3:2で、頬にあまり丸みがない。
【0034】
図10及び図11は、ベゼル(8)の動作に連携する紙幣取扱装置(200)の動作シーケンスのフローチャートを示す。ベゼル(8)と鑑別装置(1)とは通常待機状態に保持される(ステップ200)。ベゼル(8)の前面に配置される座席に利用者(投入者)が着席すると、カメラ装置(4)の着座検出装置は、利用者の着席を検出して、ステップ201に進み、カメラ装置(4)の着座検出装置が発生する検出信号により、カメラ装置(4)のシャッタ駆動装置が起動され、カメラ装置(4)は、投入者の顔面を連写する。ステップ202では、カメラ装置(4)は、表情又は身振りにより投入者の変化する顔面を連写して、複数の顔面画像情報を鑑別装置(1)の鑑別制御装置(14)に送信する。
【0035】
ステップ203では、鑑別制御装置(14)は、0.9以上の顔面画像ピクセル単位で相互に一致する割合の顔面画像情報を圧縮して、鑑別記憶装置(18)に記憶させる(ステップ204)。ステップ203では、鑑別制御装置(14)は、非静止状態の投入者を連写して、顔面画像情報が変化して連写するピクセル単位で顔面画像情報の相互に一致する割合が0.9に満たないと、ステップ202に戻り、再度撮影が行われる。
【0036】
ステップ204で顔面画像情報を圧縮して、鑑別記憶装置(18)に記憶した後、ステップ205に進み、利用者が紙幣をベゼル(8)の挿入口(5)に挿入したか否か判断する。利用者が紙幣を挿入口(5)に挿入しないと、ステップ214に進み、鑑別制御装置(14)は、ステップ205に移行後に一定時間経過したか否か判断する。ステップ214にて一定時間経過しないと、ステップ205に戻り、一定時間経過するとステップ200に戻る。
【0037】
ステップ205にて、利用者が紙幣をベゼル(8)の挿入口(5)に挿入すると、入口センサ(13)が発生する紙幣検出信号は、鑑別制御装置(14)に送信され、紙幣検出信号を受信する鑑別制御装置(14)は、搬送装置(17)を駆動して、搬送通路(15)に沿って紙幣を搬送する。その後、処理は、ステップ206に進み、鑑別送受信装置(3)、アンテナ(11)、収納送受信装置(21)及びアンテナ(31)を通じて、鑑別制御装置(14)は、紙葉センサ(16)が走査した紙幣画像情報を収納送受信装置(21)に送信して、収納記憶装置(22)に記憶させる。これと同時に、紙幣の真贋判断を行うため、鑑別制御装置(14)は、搬送装置(17)を駆動して、一時保留(エスクロウ)位置に紙幣を移動して、停止させる。
【0038】
次に、カメラ装置(4)の光電素子(43)は、投入者の顔面画像情報を鑑別制御装置(14)に送信(ステップ207)し、鑑別制御装置(14)は、良好な顔面画像情報を選定する(ステップ208)。また、鑑別制御装置(14)は、紙葉センサ(16)が走査した紙幣画像をホストサーバ(100)又は鑑別記憶装置(18)に記録される正規の紙幣画像と比較して、紙幣の真贋鑑別を行う(ステップ209)。鑑別制御装置(14)は、ステップ209にて走査する紙幣画像が正規の紙幣画像に一致すると判断すると、連続して搬送装置(17)を駆動して、真正と判断した紙幣を収納装置(2)に搬送して、収納装置(2)に収容する(ステップ210)。鑑別制御装置(14)は、走査した紙幣画像が正規の紙幣画像に不一致とステップ209にて判断すると、搬送装置(17)を逆転(ステップ211)して、不真正紙幣を鑑別装置(1)の入口(12)に戻すので、投入者は、ベゼル(8)の挿入口(5)で紙幣を受け取ることができる。
【0039】
不真正紙幣の紙幣画像情報も、真札と同様に、収納装置(2)の収納送受信装置(21)とアンテナ(31)にデジタル紙幣情報を送信するので、収納装置(2)の収納記憶装置(22)は、不真正紙幣のデジタル紙幣情報を記憶する。鑑別制御装置(14)は、真正と判断した紙幣を収納装置(2)に収容(ステップ210)すると、紙幣画像情報と投入者の顔面画像情報とを鑑別記憶装置(18)に送信して、鑑別記憶装置(18)に記憶する(ステップ212)。鑑別制御装置(14)は、ステップ211にて不真正と判断した紙幣を鑑別装置(1)の入口(12)に返却すると、紙幣画像情報と投入者の顔面画像情報とを鑑別記憶装置(18)に送信して、鑑別記憶装置(18)に記憶する(ステップ212)。
【0040】
ステップ212から213に進み、鑑別制御装置(14)は、同一の投入者が引き続き次の紙幣をベゼル(8)に挿入したか判断する。次の紙幣が挿入されないと、ステップ214に進み、ステップ213への移行後、一定時間が経過したか否か判断する(ステップ214)。一定時間経過しないと、ステップ213に戻り、一定時間経過すると、ステップ200に戻る。ステップ213にて、次の紙幣が挿入されると、ステップ215に進み、ステップ206と同様に、鑑別制御装置(14)は、紙葉センサ(16)が走査した紙幣画像情報を収納送受信装置(21)に送信して、収納記憶装置(22)に記憶させる。ステップ213にて同一の投入者が引き続き次の紙幣をベゼル(8)に挿入するとき、カメラ装置(4)は、投入者の顔面を新たに撮影せず、ステップ208で前回選定された良好な顔面画像情報が鑑別記憶装置(18)に記憶される(ステップ216)。
【0041】
鑑別制御装置(14)は、ステップ217にて走査する紙幣画像が正規の紙幣画像に一致すると判断すると、連続して搬送装置(17)を駆動して、真正と判断した紙幣を収納装置(2)に搬送して、収納装置(2)に収容(ステップ218)し、紙幣画像情報と投入者の顔面画像情報とを鑑別記憶装置(18)に送信して、鑑別記憶装置(18)に記憶(ステップ220)して、ステップ213に戻る。鑑別制御装置(14)は、走査した紙幣画像が正規の紙幣画像に不一致とステップ217にて判断すると、搬送装置(17)を逆転して、不真正紙幣を鑑別装置(1)の入口(12)に返却(ステップ219)し、紙幣画像情報と投入者の顔面画像情報とを鑑別記憶装置(18)に送信して、鑑別記憶装置(18)に記憶(ステップ220)して、ステップ213に移行する。ステップ217~219の動作は、ステップ209~211と同様である。
【0042】
本発明の紙幣取扱装置では、紙幣画像情報と投入者の顔面画像情報は、ステップ212にて鑑別記憶装置(18)に送信され、鑑別記憶装置(18)に記憶される。そこで、検索比較装置(20)は、鑑別記憶装置(18)に記憶される顔面画像情報とカメラ装置(4)が出力する顔面画像情報とを比較する。鑑別記憶装置(18)の顔面画像情報と、カメラ装置(4)からの顔面画像情報とを比較するとき、鑑別記憶装置(18)に予め記憶される顔の輪郭の寸法と、両目、鼻、口等の投入者の顔面の各造作の位置間距離と、輪郭の寸法と各造作の位置間の距離との比率の比較項目について、カメラ装置(4)が出力する顔面画像情報と比較して、何れか2以上の比較項目で一致すると、検索比較装置(20)は、鑑別記憶装置(18)が記憶する投入者と鑑別装置(1)への投入者とを同一人と判断する。検索比較装置(20)は、AI顔画像認識システム又はパターン認識装置により同一人と判断してもよい。顔面の両画像情報が一致するとき、紙葉類画像情報と共に、投入者の顔面画像情報とその紙幣投入履歴を検索し表示すると共に、顔面画像情報と共に記憶される投入者毎の紙幣投入履歴に対応する多様な特別待遇を投入者毎に提供する。
【0043】
検索比較装置(20)は、鑑別記憶装置(18)に予め記憶される顔の輪郭の寸法と、両目、鼻、口等の投入者の顔面の各造作の位置間距離と、輪郭の寸法と各造作の位置間の距離との比率の比較項目について、カメラ装置(4)が出力する顔面画像情報と比較して、何れか2以上の比較項目で一致すると、検索比較装置(20)は、鑑別記憶装置(18)に記憶される投入者と鑑別装置(1)への投入者とを同一人と判断する。顔認識に最適な顔面画像の選択は、目、鼻、耳等の顔構成部分に関する特徴点の左右対称性が所定割合以上一致する場合であるが、公知のアルゴリズムによる処理法の説明を省略する。
【0044】
鑑別記憶装置(18)に記憶される顔面画像情報とカメラ装置(4)が出力する顔面画像情報とを比較して、顔面の両画像情報が一致しないとき、検索比較装置(20)は、新規管理符号を作成し、不一致の投入者の顔面画像情報と、紙葉センサ(16)から受信する紙幣画像情報とを同一の新規管理符号を付して、鑑別記憶装置(18)に記憶する。鑑別装置(1)の入口(12)に紙幣を投入する新たな投入者のカメラ装置(4)が出力する顔面画像情報と、その紙幣画像情報とを同一の管理符号を付して、鑑別記憶装置(18)に記憶して、検索比較装置(20)の事後の検索対象に加入することができる。
【0045】
紙幣の多数の利用者が反復して使用する紙幣取扱装置(200)に利用価値があるから、紙幣取扱装置(200)の反復する利用者を特定して、各投入者の紙幣投入履歴に対応する多様な異なる特別待遇を投入者毎に提供して、紙幣取扱装置(200)の利用を促進することができる。多様な異なる特別待遇の提供により、紙幣取扱装置(200)の娯楽性と利便性を向上できる。また、鑑別記憶装置(18)に記憶される顔面画像情報を検索し表示して、行方不明者、被疑者又は容疑者を見つけて、捜索者又は警察に協力することができる。
【0046】
検索比較装置(20)は、投入者の顔面画像情報を介して、鑑別記憶装置(18)に記憶される顔面画像情報を検索し表示する。その目的で、検索比較装置(20)は、鑑別記憶装置(18)の顔検出器に備えられるAI顔画像認識システム又はパターン認識装置により顔面画像情報の同一性を判断してもよい。鑑別記憶装置(18)は、各投入者が鑑別装置(1)の入口(12)に紙幣を投入して、鑑別制御装置(14)が真正と判断した紙幣の合計金額と、紙幣の金種を算出して記憶し、検索比較装置(20)は、紙幣の金種の合計額が一定金額を超える投入者の顔面画像情報を検索して、その時点で又は事後の投入時にその投入者に賞品を提供する。各投入者の紙幣投入履歴に対応する特別待遇を投入者に提供する。
【0047】
紙幣の真贋を判断する鑑別制御装置(14)は、紙葉センサ(16)から受信する紙幣画像情報を、正規の紙幣画像情報と比較して、紙幣を真正と判断しないとき、鑑別記憶装置(18)は、その不真正紙幣画像情報とその投入者の顔面画像と、カメラ装置(4)が出力する顔面画像情報とを同一の管理符号で記憶する。同一の投入者が、再度紙幣を鑑別装置(1)の入口(12)に投入して、鑑別制御装置(14)がその紙幣を不真正と判断したとき、鑑別制御装置(14)は、検索比較装置(20)に不許可信号を送信する。不許可信号を受信する検索比較装置(20)は、紙葉類画像情報と共に、投入者の顔面画像情報とその紙幣投入履歴を検索し表示して、不真正紙幣投入者の紙幣投入履歴に対応して、作動を停止することができる。一定回数を超えて鑑別装置(1)に不真正紙幣を投入する投入者の顔面画像情報から、投入者と投入者が投入した不真正紙幣とを特定して、事後当該投入者による鑑別装置(1)への紙幣の投入を阻止し、紙幣取扱装置(200)の正当な利用を促進する。
【0048】
鑑別記憶装置(18)は、自己抑制困難者若しくは反社会的対象者に該当する投入者の顔面画像情報とその投入者が投入した紙幣画像情報を記憶する。検索比較装置(20)は、投入者の顔面画像情報が自己抑制困難者若しくは反社会的対象者に該当する投入者の顔面画像情報に一致するとき、投入者の紙幣画像情報と顔面画像情報とを表示することができる。鑑別記憶装置(18)は、ギャンブル依存症又はその予備軍と認定されるべき不適切投入者及び反社会的勢力と認定されるべき反社会的投入者の顔面画像情報を記憶する。検索比較装置(20)は、鑑別記憶装置(18)に記憶される不適切投入者又は反社会的投入者の顔面画像情報に一致する顔面画像情報を自動的に検索して表示できる。
【0049】
図9の紙幣取扱装置(200)は、例えば、カジノ場等の遊技場に設置され、ネットワークインターフェイス(81)を介してホストサーバ(100)及び複数のゲーム機(82)に通信接続される。各ゲーム機(82)の筐体(82a)内に鑑別装置(1)が各々配置され、ゲーム機(82)と鑑別装置(1)の各制御装置が各々通信接続される。鑑別装置(1)の入口(12)に投入される紙幣を搬送通路(15)に沿って搬送する搬送装置(17)を夫々有する複数の鑑別装置(1)は、互いに異なる場所に配置される。各鑑別装置(1)は、図9に示すネットワークインターフェイス(81)に接続される。各鑑別装置(1)は、各搬送通路(15)に沿って移動する紙幣の画像を撮影して、撮影した紙幣画像情報を出力する紙葉センサ(16)と、紙葉センサ(16)から受信する紙幣画像情報を、正規の紙幣画像情報と比較して、投入される紙幣の真贋を判断する鑑別制御装置(14)と、各鑑別装置(1)の入口(12)に紙幣を投入する投入者の顔面を撮影して、顔面画像情報を出力するカメラ装置(4)とを備える。ネットワークインターフェイス(81)を介して各鑑別装置(1)に通信接続される外部装置は、紙幣の真贋を判断する各鑑別制御装置(14)の真贋判断の結果に関わらず、紙葉センサ(16)から送信される紙幣画像情報と、その紙幣を投入した投入者の顔面画像情報とを同一の管理符号により関連付けて記憶する鑑別記憶装置(18)と、投入者の顔面画像情報を介して、鑑別記憶装置(18)に記憶される顔面画像情報を検索して表示する検索比較装置(20)とを備える。
【0050】
図12は、検索比較装置(20)に表示される紙葉類画像情報、顔面画像情報及び紙幣投入履歴を示す表示画面の表示例である。鑑別記憶装置(18)は、鑑別装置(1)の入口(12)に遊技者が投入した紙幣画像及び紙幣番号と、鑑別装置(1)のベゼル(8)内のカメラ装置(4)が撮影した遊技者の顔画像とを関連付けて、管理符号(Face No.)が付与された情報の集合体に保存する。遊技者が投入した紙幣が正常紙幣(ordinary banknote)のとき、遊技者の顔画像を正常人物として記録する。同一人物による投入金額の合計を管理して、投入金額の合計が高額の遊技者に対して、特別待遇を提供する。例えば、カジノ場の特別待遇では、飲み物等の飲食物、ホテル等の宿泊施設、レンタカー等の移動手段又は他の商品及び役務を値引き又は無料とするクーポン券をゲーム機(82)の印刷装置(不図示)から発行する。ホストサーバ(100)を通じて、遊技者の携帯端末(70)に電子クーポン券を送信してもよい。
【0051】
遊技者が投入した紙幣を偽造紙幣(suspect banknote)として返却するとき、遊技者の顔画像を危険人物として記録し、以後、その遊技者を危険人物として検知する。ギャンブル依存者を事前に登録し、鑑別装置(1)の入口(12)に紙幣を投入する遊技者の顔画像と照合して、遊技者がギャンブル依存者か否か検知する。投入時間、投入時間間隔又は投入金額の増加率等のギャンブル依存症の判断条件により、カジノ場独自にギャンブル依存者を判断して、ゲーム機(82)の作動を停止し、以後の遊技を禁止してもよい。ギャンブル依存者、自己抑制困難者、危険人物又は反社会的対象者等の管理対象者を管轄する国、地方公共団体、警察等の行政機関又は医療施設等の民間団体のサーバにホストサーバ(100)を通信接続して、遊技者の顔面画像情報と一致する管理対象者の顔面画像情報を検索比較装置(20)により検索してもよい。
【0052】
図12に示す検索比較装置(20)の表示画面に示すように、カメラ装置(4)が撮影した遊技者がギャンブル依存者と判断されたとき、カジノ施設又は紙幣処理装置の管理者は、遊技者を依存者登録(Addiction Registration)し、鑑別記憶装置(18)に記憶される情報を更新登録(Register now)する。以後、ギャンブル依存者登録された遊技者がゲーム機(82)を作動すると、検索比較装置(20)の表示画面に依存者登録(Addiction Registration)が表示されて、管理者に警告することができる。ゲーム機(82)に取り付けられるベゼル(8)のカメラ装置(4)により、カジノ施設は、従来の入場ゲートの巨額認証設備を設けずに、ギャンブル依存症対策を実施できる。また、遊技者がゲーム機(82)に紙幣を投入した状態でもゲーム機の作動を停止できる。顔面画像を非公開で登録すると、肖像権侵害問題も回避できる。
【0053】
本発明の実施の形態は、変更が可能である。例えば、図9に示すように、携帯端末(70)と遠隔通信するインターフェイス(80)をベゼル(8)内に設けてもよい。携帯端末(70)は、例えば、タッチパネルからなる表示部(75)を備えるスマートフォン又はタブレット端末である。インターフェイス(80)を通じて、鑑別記憶装置(18)に記憶される顔面画像情報及び紙幣画像並びに収納装置(2)の収納記憶装置(22)に記憶されるデジタル紙幣情報の全て又はその何れかを携帯端末(70)の送受信部(74)に送信して、携帯端末(70)の表示部(75)の画面に顔面画像情報及び紙幣画像を表示して、管理者が顔面画像情報、紙幣画像又は紙幣画像情報を閲覧でき又は記憶部(72)にこれらの情報を記憶させることができる。カメラ装置(4)から送信される顔面画像情報と紙葉センサ(16)から送信される紙幣画像情報とを鑑別記憶装置(18)に一時的に記憶し、携帯端末(70)に送信して表示部(75)に表示するので、例えば、紙幣処理装置の管理者は、管理者の携帯端末(70)に顔面画像情報と紙幣画像情報とを送信して表示部(75)に表示し、入金額に疑義を唱える投入者に提示することができる。
【0054】
顔面画像情報は、ネットワークインターフェイス(81)を介して鑑別装置(1)に通信接続されるホストサーバ(100)に記憶され、紙幣画像情報は、収納装置(2)の収納記憶装置(22)に記憶され、その後、鑑別記憶装置(18)から顔面画像情報及び紙幣画像情報が消去される。鑑別記憶装置(18)から一時記憶情報を削除して、記憶容量の限られる鑑別記憶装置(18)を有効に使用することができる。ネットワークインターフェイス(81)を介して、ベゼル(8)のインターフェイス(80)をゲーム機(82)、危険人物の顔面画像を記憶するホストサーバ(100)及び警報装置(101)に接続して、カメラ装置(4)の光電素子(43)から送信される顔面画像情報をホストサーバ(100)の危険人物の顔面画像と比較して、これらが一致したときに、鑑別装置(1)の作動を停止し又は警報装置(101)を作動して、周囲に対し視覚的又は音響的警報信号を発生して、高い防犯効果が得られる。顔面画像情報及び顔認証の結果は、ネットワークインターフェイス(81)を介して、管理者の管理端末(不図示)に送信され、各情報及び結果を閲覧できる。
【0055】
前記実施の形態では、カメラ装置(4)の着座検出装置、人感センサ又は着座センサの検出信号によりカメラ装置(4)による撮影を開始するが、他のセンサにより紙幣投入前の投入者の動作又は投入者の接近を検知してカメラ装置(4)による撮影を開始してもよい。また、自動車のドライブレコーダと同様に、カメラ装置(4)を常時駆動し、カメラ装置(4)の撮影画像を一時的に記憶装置に記録しておき、紙幣の投入を検知すると、その前後の画像を切り出し、最も画像の記録又は認識に適する投入者の顔面画像を取得してもよい。また、静止画像に限らず、カメラ装置(4)により投入者の動画を撮影して、鑑別記憶装置(18)に投入者の動画を記憶すると、投入者が持参する写真をカメラ装置(4)に撮影させて、投入者の身代わりに他人の顔画像情報を鑑別記憶装置(18)に記憶させる不正を防止できる。動く投入者の連続撮影画像と、最終的に記録される最適な画像との関連性を比較して、連続撮影時の顔面と投入者による持参写真の顔面との差異を検出して、持参写真による投入者の身代わり(なりすまし)行為を検知してもよい。また、例えば、鑑別装置(1)の入口(12)からの紙幣を引き抜く投入者の不正行為をカメラ装置(4)で撮影して動画を記憶すると、不正行為に対応又は不正行為の証拠として警察等の犯罪捜査機関に通報することができる。
【0056】
本発明の紙葉類取扱装置の撮影画像を活用する様々な運用法が可能である。例えば、顔認証の利用用途では、顧客管理(ブラックリスト、ロイヤル顧客リスト)、投入者情報管理(性別、年齢、客風、時間帯、購入好み等)が挙げられる。また、本実施の形態の紙幣処理装置は、紙幣及びクーポン券等の有価紙葉に限らず、運転免許証、パスポート、IDカード等の本人確認書類を読み込み可能としてもよい。この場合、紙幣処理装置により、カメラ装置(4)が撮影した顔面画像と本人確認書類とを比較して、投入者の本人確認を実施できる。更に、カメラ装置(4)が撮影した顔面画像を利用して、ギャンブル依存症(個人申告)の登録等のアプリケーションを紙幣処理装置で実施してもよい。
【0057】
カメラ装置(4)により2次元コードを読み取り可能としてもよい。これによりキャッシュレス電子決済に対応することができる。また、スマートフォン等の携帯端末(70)の表示部(75)に表示した2次元コードを読み込み、購入メニュー等の操作端末として利用してもよい。更に、入場料の支払い、入退室管理、会員証、プレーヤーズカード、アワードカード、自動販売機での購入時のクーポン券の受け取り(商品交換、割引、ポイント付加)、食券購入時のクーポン券の受け取り(商品交換、割引、ポイント付加等)、レンタル機器(自動販売機)の返却管理、交通定期券の代用、納金端末のID管理、レジ入金端末のID管理、ガソリンスタンドの支払い(割引、ポイント付加)、セルフレジ支払い(割引、ポイント付加)に本発明を利用してもよい。
【0058】
カメラ装置(4)の撮影は、体温検知、暗視カメラ、TITOチケットの代用(顔認証)、プレーヤーズカード又はアワードカードの代用(顔認証)、運転免許書と顔の複合認証(なりすまし防止)、ゲーミング市場でのプレーヤー観察、顔認証支払い、機器いたずら時の証拠記録、人々の動線又は混み具合情報への活用、モーションコントロールの活用、ゲームの表情読み取りによる嗜好分析、犯罪心理による行動分析に利用してもよい。動作する投入者の連続撮影画像と、IDカード又は運転免許書の顔写真とを比較して、投入者のなりすましを防止できる。カメラ装置(4)により投入者の動画を撮影し、年齢による動作仕草の傾向から機械学習させて、年齢認証の精度を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の紙幣取扱装置は、紙幣等の有価媒体を利用する種々の技術分野、例えば、ゲーム機、現金自動預払機、券売機、精算機又は自動販売機等の金融省力化分野に使用することができる。
【符号の説明】
【0060】
(1)・・鑑別装置、 (4)・・カメラ装置、 (4a)・・枠体、 (4b)・・接続装置、 (4c)・・蓋、 (4d)・・暗室、 (5)・・挿入口、 (8)・・ベゼル、 (9)・・湾曲上部、 (10)・・矩形枠、 (11)・・筐体、 (12)・・入口、 (13)・・入口センサ、 (14)・・鑑別制御装置、 (15)・・搬送通路、 (16)・・紙葉センサ、 (17)・・搬送装置、 (18)・・鑑別記憶装置、 (20)・・検索比較装置、 (21)・・収納送受信装置、 (22)・・収納記憶装置、 (27)・・環状突起、 (28)・・環状凹部、 (41)・・カメラ本体、 (42)・・レンズ、 (43)・・光電素子、 (45)・・貫通孔、 (50)・・ねじ、 (80)・・インターフェイス、 (81)・・ネットワークインターフェイス、 (82)・・ゲーム機、 (100)・・ホストサーバ、 (200)・・紙葉類取扱装置、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12