(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128723
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
G08G1/01 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037885
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】花田 好久
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB13
5H181DD07
5H181FF05
5H181FF10
5H181MB02
(57)【要約】
【課題】交通違反を効果的に検知することができるプログラム及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、プロセッサによって実行されるプログラムは、前記プロセッサに、アンテナを用いて車両の位置を示す位置情報を時系列で取得する機能と、前記位置情報に基づいて車両の移動状況を特定する機能と、交通ルールを示す交通ルール情報を取得する機能と、前記車両の移動状況と前記交通ルールとに基づいて交通違反に関する違反情報を生成する機能と、を実現させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサによって実行されるプログラムであって、
前記プロセッサに、
アンテナを用いて車両の位置を示す位置情報を時系列で取得する機能と、
前記位置情報に基づいて車両の移動状況を特定する機能と、
交通ルールを示す交通ルール情報を取得する機能と、
前記車両の移動状況と前記交通ルールとに基づいて交通違反に関する違反情報を生成する機能と、
を実現させるプログラム。
【請求項2】
前記車両の移動状況は、前記車両のルート及び移動速度を含む、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記交通ルールは、制限速度を示し、
前記違反情報を生成することは、前記車両の移動速度が前記制限速度を超過している場合、制限速度違反が生じたことを示す前記違反情報を生成することである、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記交通ルールは、一方通行規制を示し、
前記違反情報を生成することは、前記車両の進行方向が前記一方通行規制における進行可能な方向と一致しない場合、一方通行違反が生じたことを示す前記違反情報を生成することである、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記違反情報は、前記交通違反の回数を示す、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記違反情報は、前記交通違反が生じた場所及び日時を示す、
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記プロセッサに、
前記違反情報をモニタに表示する機能を実現させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記プロセッサに、
前記車両を運転するユーザの免許証情報を特定するIDと前記違反情報とを対応付けて外部装置に送信する機能を実現させる、
請求項1乃至7の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
プロセッサによって実行される情報処理方法であって、
アンテナを用いて車両の位置を示す位置情報を時系列で取得し、
前記位置情報に基づいて車両の移動状況を特定し、
交通ルールを示す交通ルール情報を取得し、
前記車両の移動状況と前記交通ルールとに基づいて交通違反に関する違反情報を生成する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運転免許証などの情報を表示するモバイル運転免許証アプリケーションが提供されている。ユーザは、モバイル運転免許証アプリケーションがインストールされたユーザ端末を所持した状態で自動車などの車両を運転する。
【0003】
従来、モバイル運転免許証アプリケーションは、ユーザが運転する車両の交通違反を検知することができないという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するため、交通違反を効果的に検知することができるプログラム及び情報処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、プロセッサによって実行されるプログラムは、前記プロセッサに、アンテナを用いて車両の位置を示す位置情報を時系列で取得する機能と、前記位置情報に基づいて車両の移動状況を特定する機能と、交通ルールを示す交通ルール情報を取得する機能と、前記車両の移動状況と前記交通ルールとに基づいて交通違反に関する違反情報を生成する機能と、を実現させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係るモバイル運転免許証システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るデータサーバの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るユーザ端末の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るモバイル運転免許証システムの動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
実施形態に係るモバイル運転免許証システムは、ユーザが所持するユーザ端末を用いて免許証情報を提示する。即ち、ユーザ端末は、モバイル運転免許証として機能する。
【0009】
図1は、モバイル運転免許証システム1の構成例を示す。モバイル運転免許証システム1は、データサーバ10及びユーザ端末20などから構成される。データサーバ10とユーザ端末20とは、互いに通信可能に接続する。また、ユーザ端末20は、ユーザDが運転する車両Vに積載されている。
【0010】
なお、モバイル運転免許証システム1は、
図1が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、モバイル運転免許証システム1から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0011】
データサーバ10は、運転免許証に関する免許証情報をユーザ端末20に提供する。データサーバ10は、ユーザ端末20からのリクエストに従って免許証情報をユーザ端末20に送信する。データサーバ10については、後に詳述する。
【0012】
ユーザ端末20は、ユーザDが所持する端末である。ユーザ端末20は、免許証情報を取得してモバイル運転免許証(mDL)として機能する。ユーザDは、ユーザ端末20を所持した状態で車両Vを運転する。即ち、ユーザ端末20は、ユーザDが車両Vを運転する間において車両Vに積載される。ユーザ端末20については、後に詳述する。
【0013】
次に、データサーバ10について説明する。
図2は、実施形態に係るデータサーバ10の構成例を示す。
図2は、データサーバ10の構成例を示すブロック図である。
図2が示すように、データサーバ10は、プロセッサ11、ROM12、RAM13、NVM14、通信部15、操作部16及び表示部17などを備える。
【0014】
プロセッサ11と、ROM12、RAM13、NVM14、通信部15、操作部16及び表示部17と、は、データバスなどを介して互いに接続する。
なお、データサーバ10は、
図2が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、データサーバ10から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0015】
プロセッサ11は、データサーバ10全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ11は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ11は、内部メモリ、ROM12又はNVM14が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0016】
なお、プロセッサ11がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ11は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0017】
ROM12は、制御プログラム及び制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM12に記憶される制御プログラム及び制御データは、データサーバ10の仕様に応じて予め組み込まれる。
【0018】
RAM13は、揮発性のメモリである。RAM13は、プロセッサ11の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM13は、プロセッサ11からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM13は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0019】
NVM14は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。NVM14は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM14は、データサーバ10の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション及び種々のデータなどを格納する。
【0020】
NVM14は、ユーザDの免許証情報を格納する。
免許証情報は、ユーザDが所持する運転免許証に関する情報である。たとえば、免許証情報は、生体情報(たとえば、顔写真)、住所、氏名、生年月日、国籍、運転免許証の有効期限、運転免許証番号、種別(たとえば、運転可能な車両種別)及び電子署名などから構成される。なお、免許証情報の構成は、特定の構成に限定されるものではない。
また、NVM14は、複数のユーザの免許証情報を格納するものであってもよい。
【0021】
通信部15は、ユーザ端末20などと通信するためのインターフェースである。即ち、通信部15は、所定のネットワークなどを通じてユーザ端末20などとデータを送受信するためのインターフェースである。たとえば、通信部15は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)接続をサポートするインターフェースである。
【0022】
操作部16は、オペレータから種々の操作の入力を受け付ける。操作部16は、入力された操作を示す信号をプロセッサ11へ送信する。操作部16は、タッチパネルから構成されてもよい。
【0023】
表示部17は、プロセッサ11からの画像データを表示する。たとえば、表示部17は、液晶モニタから構成される。操作部16がタッチパネルから構成される場合、表示部17は、操作部16と一体的に形成されてもよい。
たとえば、データサーバ10は、デスクトップPCなどである。
【0024】
次に、ユーザ端末20について説明する。
図3は、実施形態に係るユーザ端末20の構成例を示す。
図3は、ユーザ端末20の構成例を示すブロック図である。
図3が示すように、ユーザ端末20は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、NVM24、通信部25、操作部26、表示部27、スピーカ28及びアンテナ29などを備える。
【0025】
プロセッサ21と、ROM22、RAM23、NVM24、通信部25、操作部26、表示部27、スピーカ28及びアンテナ29と、は、データバスなどを介して互いに接続する。
なお、ユーザ端末20は、
図3が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、ユーザ端末20から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0026】
プロセッサ21は、ユーザ端末20全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ21は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ21は、内部メモリ、ROM22又はNVM24が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0027】
なお、プロセッサ21がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ21は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0028】
ROM22は、制御プログラム及び制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM22に記憶される制御プログラム及び制御データは、ユーザ端末20の仕様に応じて予め組み込まれる。
【0029】
RAM23は、揮発性のメモリである。RAM23は、プロセッサ21の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM23は、プロセッサ21からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM23は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0030】
NVM24は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。NVM24は、たとえば、HDD、SSD又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM24は、ユーザ端末20の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション及び種々のデータなどを格納する。
【0031】
また、NVM24は、モバイル運転免許証アプリケーション及び位置情報アプリケーションなどを格納する。モバイル運転免許証アプリケーション及び位置情報アプリケーションについては、後述する。
【0032】
通信部25は、データサーバ10などと通信するためのインターフェースである。即ち、通信部25は、所定のネットワークなどを通じてデータサーバ10などとデータを送受信するためのインターフェースである。たとえば、通信部25は、有線又は無線のLAN接続をサポートするインターフェースである。
【0033】
操作部26は、オペレータから種々の操作の入力を受け付ける。操作部26は、入力された操作を示す信号をプロセッサ21へ送信する。操作部26は、タッチパネルから構成されてもよい。
【0034】
表示部27は、プロセッサ21からの画像データを表示する。たとえば、表示部27は、液晶モニタから構成される。操作部26がタッチパネルから構成される場合、表示部27は、操作部26と一体的に形成されてもよい。
【0035】
スピーカ28は、プロセッサ21からの制御に従って音を出力する。また、スピーカ28は、アンプなどを備えるものであってもよい。
【0036】
アンテナ29は、ユーザ端末20の位置を検出するためのアンテナである。即ち、アンテナ29は、ユーザ端末20の位置を検出するセンサとして機能する。たとえば、アンテナ29は、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信する。
【0037】
たとえば、ユーザ端末20は、スマートフォン、ウェアラブル端末、タブレットPC又はフィーチャーフォンなどである。また、ユーザ端末20は、カーナビなどであってもよい。
【0038】
次に、データサーバ10が実現する機能について説明する。データサーバ10が実現する機能は、プロセッサ11がROM12又はNVM14などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0039】
まず、プロセッサ11は、免許証情報を登録する機能を有する。
たとえば、ユーザDが運転免許証を取得又は更新した場合、プロセッサ11は、オペレータの操作などに従ってユーザDの免許証情報を生成する。免許証情報を生成すると、プロセッサ11は、生成された免許証情報とユーザDを特定するID(即ち、免許証情報を特定するID)とを対応付けてNVM14に格納する。
【0040】
なお、プロセッサ11は、オペレータの操作などに従って免許証情報を更新してもよい。
【0041】
また、プロセッサ11は、通信部15を通じて免許証情報をユーザ端末20に送信する機能を有する。
【0042】
たとえば、プロセッサ11は、通信部15を通じて、免許証情報を要求するリクエストをユーザ端末20から受信する。当該リクエストは、ユーザDを特定するIDを含む。当該リクエストを受信すると、プロセッサ11は、当該リクエストに含まれるIDに対応する免許証情報をNVM14から取得する。免許証情報を取得すると、プロセッサ11は、通信部15を通じて、取得された免許証情報を含むレスポンスをユーザ端末20に送信する。
【0043】
また、プロセッサ11は、ユーザDの交通違反に関する違反情報を格納する機能を有する。
【0044】
たとえば、プロセッサ11は、通信部15を通じて、違反情報を格納することを指示するリクエストをユーザ端末20から受信する。当該リクエストは、違反情報及びIDを含む。当該リクエストを受信すると、プロセッサ11は、プロセッサ11は、当該リクエストに含まれるIDの免許証情報に違反情報を対応付けてNVM14に格納する。違反情報をNVM14に格納すると、プロセッサ11は、通信部15を通じて、違反情報の格納が完了したことを示すレスポンスをユーザ端末20に送信する。
違反情報については、後に詳述する。
【0045】
次に、ユーザ端末20が実現する機能について説明する。ユーザ端末20が実現する機能は、プロセッサ21がROM22又はNVM24などに格納されるプログラムを実行することで実現される。ここでは、プロセッサ21は、モバイル運転免許証を実現するためのモバイル運転免許証アプリケーション(mDLアプリケーション)の機能として以下の機能を実現する。
【0046】
まず、プロセッサ21は、免許証情報を取得する機能を有する。
プロセッサ21は、mDLアプリケーションの初回起動などにおいて操作部26を通じてユーザDを特定するIDの入力を受け付ける。IDの入力を受け付けると、プロセッサ21は、通信部25を通じて、当該IDに対応する免許証情報を要求するリクエストをデータサーバ10に送信する。
【0047】
当該リクエストを送信すると、プロセッサ21は、通信部25を通じて、当該免許証情報を含むレスポンスをデータサーバ10から受信する。当該レスポンスを受信すると、プロセッサ21は、当該免許証情報をNVM24に格納する。
【0048】
なお、プロセッサ21は、操作部26を通じて所定の操作を入力すると、免許証情報を表示部27に表示するものであってもよい。
【0049】
また、プロセッサ21は、ユーザ端末20(即ち、車両V)の位置を示す位置情報を取得する機能を有する。
【0050】
ここでは、プロセッサ21は、位置情報アプリケーションを実行するものとする。位置情報アプリケーションは、ユーザ端末20の位置を取得する。たとえば、位置情報アプリケーションは、アンテナ29を通じて、GPS衛星から信号を受信する。信号を受信すると、位置情報アプリケーションは、当該信号に基づいてユーザ端末20の位置を算出する。位置情報アプリケーションは、所定の間隔でユーザ端末20の位置を算出する。
【0051】
また、位置情報アプリケーションは、API(Application Programming Interface)などを通じて、ユーザ端末20の位置を示す位置情報を他のアプリケーションに提供する。位置情報アプリケーションは、APIにユーザ端末20の位置を示す位置情報を要求するリクエスト(位置情報リクエスト)を入力すると、位置情報を提供する。
【0052】
たとえば、位置情報アプリケーションは、地図アプリケーション又はナビゲーションアプリケーションなどである。
【0053】
たとえば、プロセッサ21は、mDLアプリケーションの機能として、操作部16などを通じて、車両Vの運転を開始することを示す操作をユーザDから入力する。当該操作を入力すると、プロセッサ21は、位置情報リクエストを位置情報アプリケーションのAPIに入力する。位置情報リクエストをAPIに入力すると、プロセッサ21は、位置情報を位置情報アプリケーションから取得する。
【0054】
ここでは、プロセッサ21は、所定の間隔で位置情報を位置情報アプリケーションから取得する。即ち、プロセッサ21は、位置情報を時系列で取得する。
【0055】
なお、プロセッサ21は、他の方法で車両Vの運転が開始したことを検知してもよい。また、プロセッサ21が車両Vの運転が開始したことを検知する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0056】
また、プロセッサ21は、取得された位置情報に基づいて、交通違反に関する違反情報を生成する機能を有する。
【0057】
たとえば、プロセッサ21は、操作部26を通じて、車両Vの運転が終了したことを示す操作を入力する。当該操作を入力すると、プロセッサ21は、位置情報の取得を終了する。なお、プロセッサ21は、他の方法で車両Vの運転が終了したことを検知してもよい。また、プロセッサ21が車両Vの運転が終了したことを検知する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0058】
位置情報の取得を終了すると、プロセッサ21は、取得された位置情報(時系列の位置情報)に基づいて、車両Vが走行したルート及び当該ルート上の各地点における移動速度を特定する。当該ルート及び移動速度(車両Vの移動状況)を特定すると、プロセッサ21は、当該ルートにおける交通ルールを示す交通ルール情報を取得する。たとえば、交通ルールは、各地点における制限速度、各地点における一方通行規制などを示す。
【0059】
ここでは、位置情報アプリケーションは、APIを通じて交通ルール情報を提供するものとする。
【0060】
プロセッサ21は、位置情報アプリケーションのAPIに交通ルール情報を要求するリクエスト(交通ルール情報リクエスト)を入力して、交通ルール情報を位置情報アプリケーションから取得する。
【0061】
なお、プロセッサ21は、通信部25を通じて交通ルール情報を外部装置から取得するものであってもよい。
【0062】
交通ルール情報を取得すると、プロセッサ21は、車両Vの移動状況と交通ルール情報が示す交通ルールとが整合するかを判定する。即ち、プロセッサ21は、交通違反が生じたかを判定する。
【0063】
たとえば、プロセッサ21は、各地点において車両Vの移動速度が制限速度を超過したかを判定する。移動速度が制限速度を超過したと判定すると、プロセッサ21は、車両Vの移動状況と交通ルールとが整合しない(即ち、交通違反として制限速度違反が生じた)と判定する。
【0064】
また、プロセッサ21は、車両Vのルートに基づいて、車両Vの進行方向と一方通行規制における進行可能な方向とが一致するかを判定する。両者が一致しないと判定すると、プロセッサ21は、車両Vの移動状況と交通ルールとが整合しない(即ち、交通違反として一方通行違反が生じた)と判定する。
【0065】
なお、プロセッサ21は、交通違反として一旦停止違反が生じたかを判定してもよい。プロセッサ21が判定する交通違反は、特定の構成に限定されるものではない。
【0066】
車両Vの移動状況と交通ルールとが整合しないと判定すると、プロセッサ21は、判定結果に基づいて違反情報を生成する。
【0067】
たとえば、違反情報は、生じた交通違反(速度制限違反又は一方通行違反など)を示す情報、交通違反が生じた場所並びに日時、及び、各交通違反の回数などから構成される。なお、違反情報の構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0068】
また、プロセッサ21は、車両Vの移動状況と交通ルールとが整合すると判定すると、違反情報を生成しなくともよい。
【0069】
また、プロセッサ21は、違反情報を表示部27に表示する機能を有する。
違反情報を生成すると、プロセッサ21は、生成された違反情報(又は、違反情報の一部)を表示部27に表示する。即ち、プロセッサ21は、交通違反を示す情報、交通違反が生じた場所並びに日時、及び、各交通違反の回数などを表示する。
【0070】
なお、プロセッサ21は、操作部26を通じて所定の操作を入力した場合、違反情報を表示部27に表示するものであってもよい。
【0071】
また、プロセッサ21は、違反情報をデータサーバ10に格納する機能を有する。
違反情報を生成すると、プロセッサ21は、通信部25を通じて、生成された違反情報を格納することを指示するリクエストをデータサーバ10に送信する。当該リクエストは、ユーザDを特定するIDと生成された違反情報とを含む。
【0072】
当該リクエストをデータサーバ10に送信すると、プロセッサ21は、通信部25を通じて、違反情報の格納が完了したことを示すレスポンスをデータサーバ10から受信する。
【0073】
次に、モバイル運転免許証システム1の動作例について説明する。
図4は、モバイル運転免許証システム1の動作例について説明するためのシーケンス図である。
【0074】
まず、データサーバ10のプロセッサ11は、ユーザDの免許証情報を登録する(S11)。ユーザDの免許証情報を登録すると、プロセッサ11は、ユーザ端末20からのリクエストに応じて、通信部15を通じてユーザDの免許証情報をユーザ端末20に送信する(S12)。
【0075】
ユーザ端末20のmLDアプリケーションは、通信部25を通じてユーザDの免許証情報を受信しNVM24に格納する。ここで、ユーザDは、車両Vの運転を開始するものとする。
【0076】
ユーザDが車両Vの運転を開始すると、mDLアプリケーションは、位置情報リクエストを位置情報アプリケーションに入力する(S13)。
位置情報アプリケーションは、当該位置情報リクエストに従って位置情報をmDLアプリケーションに供給する(S14)。
【0077】
モバイル運転免許証システム1は、ユーザDが車両Vを運転している間においてS13及びS14を所定の間隔で繰り返す。
ここで、ユーザDは、車両Vの運転を終了したものとする。
【0078】
ユーザDが車両Vの運転を終了すると、mDLアプリケーションは、交通ルール情報リクエストを位置情報アプリケーションに入力する(S15)。
位置情報アプリケーションは、当該交通ルール情報リクエストに従って交通ルール情報をmDLアプリケーションに供給する(S16)。
【0079】
mDLアプリケーションは、交通ルール情報を位置情報アプリケーションから取得する。交通ルール情報を取得すると、mDLアプリケーションは、位置情報に基づく車両Vの移動状況と交通ルール情報が示す交通ルールとが整合するかを判定する(S17)。
【0080】
車両Vの移動状況と交通ルールとが整合しないと判定すると、mDLアプリケーションは、判定結果に基づいて違反情報を生成する(S18)。違反情報を生成すると、mDLアプリケーションは、生成された違反情報を表示部27に表示する(S19)。
【0081】
生成された違反情報を表示部27に表示すると、mDLアプリケーションは、通信部25を通じて、違反情報を格納することを指示するリクエストをデータサーバ10に送信する(S20)。
【0082】
データサーバ10のプロセッサ11は、通信部15を通じて当該リクエストを受信する。当該リクエストを受信すると、プロセッサ11は、当該リクエストに従って、違反情報をユーザDの免許証情報と対応付けてNVM14に格納する(S21)。
【0083】
mDLアプリケーションが車両Vの移動状況と交通ルールとが整合すると判定した場合、又は、データサーバ10のプロセッサ11が違反情報をNVM14に格納した場合、モバイル運転免許証システム1は、動作を終了する。
【0084】
なお、プロセッサ21は、ユーザDが車両Vを運転している間において、交通ルール情報を取得してもよい。この場合、プロセッサ21は、ユーザDが車両Vを運転している間において、車両Vの移動状況と交通ルールとが整合するかを判定する。両者が整合しない場合、プロセッサ21は、交通違反が生じたことを示す警告を出力してもよい。たとえば、プロセッサ21は、表示部27に警告を表示してもよいし、スピーカ28を通じて警告音を出力してもよい。
【0085】
また、モバイル運転免許証システム1は、違反情報に基づいてユーザDに特典又はペナルティを付与してもよい。たとえば、モバイル運転免許証システム1は、交通違反の回数に応じてユーザDに講習を課すことを示す信号を出力してもよい。また、モバイル運転免許証システム1は、交通違反の回数に応じて運転免許証の更新料(たとえば、免除など)を決定してもよい。
【0086】
以上のように構成されたモバイル運転免許証システムは、ユーザ端末を用いて車両の移動状況を特定する。モバイル運転免許証システムは、車両の移動状況と交通ルールとが整合するかを判定する。モバイル運転免許証システムは、両者が整合しないと判定すると、交通違反が生じたことを示す違反情報を生成する。その結果、モバイル運転免許証システムは、交通違反を検知することができる。
【0087】
本実施形態に係るプログラムは、電子機器に記憶された状態で譲渡されてよいし、電子機器に記憶されていない状態で譲渡されてもよい。後者の場合は、プログラムは、ネットワークを介して譲渡されてよいし、記憶媒体に記憶された状態で譲渡されてもよい。記憶媒体は、非一時的な有形の媒体である。記憶媒体は、コンピュータ可読媒体である。記憶媒体は、CD-ROM、メモリカード等のプログラムを記憶可能かつコンピュータで読取可能な媒体であればよく、その形態は問わない。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1…モバイル運転免許証システム、10…データサーバ、11…プロセッサ、12…ROM、13…RAM、14…NVM、15…通信部、16…操作部、17…表示部、20…ユーザ端末、21…プロセッサ、22…ROM、23…RAM、24…NVM、25…通信部、26…操作部、27…表示部、28…スピーカ、29…アンテナ、D…ユーザ、V…車両。