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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128726
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】運行計画生成システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
G08G1/123 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037889
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】仙波 輝
(72)【発明者】
【氏名】岡部 英文
(72)【発明者】
【氏名】久野 真登
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA06
5H181AA14
5H181BB04
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181MA26
(57)【要約】
【課題】適切な時刻帯において、適切な長さの休憩をドライバが取得可能な運行計画を生成する。
【解決手段】利用者を輸送する複数の車両の運行計画を生成する運行計画生成システムであって、乗車希望の停留所と降車希望の停留所とを含む予約情報を取得する予約情報取得部と、前記予約情報に基づいて、前記運行計画を生成する運行計画生成部と、前記車両のドライバが取得すべき休憩時間の長さと、休憩を取得すべき休憩可能時刻帯と、休憩地点と、を記憶する記憶部と、前記運行計画において、前記休憩可能時刻帯と重複する時刻帯のうち、前記車両に乗車中の利用客がいない時刻帯に含まれる時刻帯で、かつ前記車両から利用客がいなくなる停留所から前記休憩地点を経由して次に前記車両に前記利用者が乗車する停留所まで移動する移動時間を、前記休憩時間の長さに加えた休憩所要時間の長さの時刻帯を、休憩時刻帯として決定する休憩時刻帯決定部と、前記休憩時刻帯をドライバに通知する通知部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を輸送する複数の車両の運行計画を生成する運行計画生成システムであって、
乗車希望の停留所と降車希望の停留所とを含む予約情報を取得する予約情報取得部と、
前記予約情報に基づいて、前記運行計画を生成する運行計画生成部と、
前記車両のドライバが取得すべき休憩時間の長さと、休憩を取得すべき休憩可能時刻帯と、休憩地点と、を記憶する記憶部と、
前記運行計画において、前記休憩可能時刻帯と重複する時刻帯のうち、前記車両に乗車中の利用客がいない時刻帯に含まれる時刻帯で、かつ前記車両から利用客がいなくなる停留所から前記休憩地点を経由して次に前記車両に前記利用者が乗車する停留所まで移動する移動時間を、前記休憩時間の長さに加えた休憩所要時間の長さの時刻帯を、休憩時刻帯として決定する休憩時刻帯決定部と、
前記休憩時刻帯をドライバに通知する通知部と、
を備える、運行計画生成システム。
【請求項2】
前記休憩時刻帯決定部は、
前記運行計画において、前記休憩可能時刻帯と重複する時刻帯のうち、前記車両に乗車中の利用客がいない時刻帯を仮休憩時刻帯候補として選出し、
前記仮休憩時刻帯候補のうち、前記休憩所要時間以上の時間長の時刻帯を休憩時刻帯候補として選出し、
前記休憩時刻帯候補において休憩開始時刻が最も早い時刻帯を前記休憩時刻帯として決定する、請求項1に記載の運行計画生成システム。
【請求項3】
前記運行計画生成部は、現在時刻が休憩開始時刻に到達する前に、前記予約情報取得部が前記予約情報を新たに取得した場合に、新たに取得した前記予約情報に基づいて、前記運行計画を更新し、
前記休憩時刻帯決定部は、更新後の前記運行計画に基づいて、前記休憩時刻帯を更新する、請求項1に記載の運行計画生成システム。
【請求項4】
前記運行計画生成部は、現在時刻が休憩開始時刻に到達した後で、前記予約情報取得部が前記予約情報を新たに取得した場合に、前記休憩開始時刻に到達した前記車両の前記運行計画は更新せず、新たに取得した前記予約情報に基づいて、前記休憩開始時刻に到達した前記車両以外の前記車両の前記運行計画を更新する、請求項1に記載の運行計画生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行計画生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗客の乗合を想定した送迎サービスを行う車両の運行計画を生成する際に、ドライバの休憩時間が考慮される。特許文献1には、昼の12時頃から1時間程度の固定された時間を休憩時間とし、休憩時間には車両の運行を行わないように運行計画を生成する技術が開示されている。また、特許文献2には、運行計画候補において、予め昼休憩として設定された長さの空き時間が存在する場合に、昼休憩の時間が確保されていると判断する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-17083号公報
【特許文献2】WO2014/45359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術においては、乗客の利用希望時間が休憩時間と重なる場合には、予約が困難になってしまう。また、特許文献2の技術においては、昼休憩が夕方になるなど、不適切な時刻帯になってしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、適切な時刻帯において、適切な長さの休憩をドライバが取得可能な運行計画を生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の運行計画生成システムは、利用者を輸送する複数の車両の運行計画を生成する運行計画生成システムであって、乗車希望の停留所と降車希望の停留所とを含む予約情報を取得する予約情報取得部と、前記予約情報に基づいて、前記運行計画を生成する運行計画生成部と、前記車両のドライバが取得すべき休憩時間の長さと、休憩を取得すべき休憩可能時刻帯と、休憩地点と、を記憶する記憶部と、前記運行計画において、前記休憩可能時刻帯と重複する時刻帯のうち、前記車両に乗車中の利用客がいない時刻帯に含まれる時刻帯で、かつ前記車両から利用客がいなくなる停留所から前記休憩地点を経由して次に前記車両に前記利用者が乗車する停留所まで移動する移動時間を、前記休憩時間の長さに加えた休憩所要時間の長さの時刻帯を、休憩時刻帯として決定する休憩時刻帯決定部と、前記休憩時刻帯を前記ドライバに通知する通知部と、を備える。
【0007】
運行計画生成システムにおいては、休憩を設定することが可能な休憩可能時刻帯が予め設定されており、休憩可能時刻帯において、予め定められた長さの休憩時間が確保された休憩時刻帯が設定される。したがって、適切な時刻帯において、適切な長さの休憩をドライバが取得可能な運行計画を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】送迎システムの構成図である。
図2】休憩可能時刻帯及び休憩時間の説明図である。
図3図3A及び図3Bは、移動時間情報のデータ構成例を示す図である。
図4】運行計画生成処理を示すフローチャートである。
図5】運行計画の一例を示す図である。
図6図6A及び図6Bは、休憩所要時間の説明図である。
図7】ドライバ装置の表示部の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)送迎システムの構成:
(2)運行計画生成処理:
(3)付記:
【0010】
(1)送迎システムの構成:
図1は、送迎システム1の全体構成を示す図である。送迎システム1は、ユーザ(利用者)からの予約情報に基づいて、ユーザの送迎を行うサービスを実現するためのシステムである。送迎システム1は、乗合での送迎に利用される、複数の車両それぞれの運行計画を生成し、運行計画に沿って、ユーザを輸送するための車両を運行させる。本実施形態の送迎システム1においては、運行計画を生成する際に、ドライバが休憩を取る休憩時刻帯を設定する。ここで、休憩時刻帯とは、例えば、11時~12時というように所定の長さの時間であり、その開始時刻と終了時刻が定められた時刻帯である。さらに、本実施形態においては、ドライバが休憩する際に車両を停車させる休憩地点が予め定められており、休憩地点までの移動時間が加味された時刻帯が休憩時刻帯となる。送迎システム1は、運行計画生成システム10と、ドライバ装置20と、管理者装置30と、ユーザ装置40と、を備えている。運行計画生成システム10、ドライバ装置20、管理者装置30及びユーザ装置40は、ネットワークNを介して互いに通信が可能である。
【0011】
運行計画生成システム10は、管理者装置30において設定された情報と、ユーザ装置40において生成された、乗合の車両の利用に係る予約情報と、に基づいて、複数の車両の運行計画を生成する。ドライバ装置20は、車両のドライバが利用する装置である。ドライバ装置20は、例えば携帯端末装置であるものとする。また、他の例としては、ドライバ装置20は、車両に搭載された車両システムとして実現されてもよい。ドライバ装置20は、ドライバが運転する車両の運行計画や、休憩時刻帯等をドライバに通知する。
【0012】
管理者装置30は、送迎システム1の管理者等が利用する装置であり、例えば、据置型の汎用コンピュータや、携帯型の情報処理装置である。管理者装置30は、管理者等の操作に応じて、休憩設定情報を受け付け、休憩設定情報を運行計画生成システム10に送信する。ここで、休憩設定情報は、休憩可能時刻帯と、休憩時間の長さと、を含む。図2に示すように、休憩可能時刻帯とは、運行計画において、休憩時刻帯を設定可能な時刻帯である。また、休憩時間の長さは、休憩時刻帯の長さである。休憩可能時刻帯及び休憩時間の長さは、いずれも管理者等が任意に設定することができる。本実施形態においては、休憩可能時刻帯として、11時から14時の時刻帯が設定され、休憩時間の長さとして1時間が設定された場合を例に説明する。後述の運行計画を生成する場合には、各車両の休憩時刻帯が休憩可能時刻帯の中に納まるように設定される。
【0013】
管理者装置30はまた、管理者の操作に応じて、車両がユーザを乗車又は降車させる停留所や、ドライバが休憩する際に車両を停車させる休憩地点の位置の入力を受け付け、これらの情報を運行計画生成システム10に送信する。位置は、例えば緯度と経度で指定されるものとする。
【0014】
ユーザ装置40は、送迎サービスを利用するユーザが利用する装置であり、例えば、据置型の汎用コンピュータや、携帯型の情報処理装置である。ユーザ装置40は、ユーザ操作に応じて、送迎サービスの予約情報を受け付け、予約情報を運行計画生成システム10に送信する。予約情報には、ユーザを識別するユーザIDと、予約内容が示される。予約内容には、乗車を希望する停留所と、降車を希望する停留所と、利用人数と、利用時刻帯(乗車時刻帯または降車時刻帯の少なくとも一方)とが含まれる。
【0015】
運行計画生成システム10は、第1制御部100と、第1通信部110と、第1記録媒体120と、を備えている。第1制御部100は、図示しないCPU、RAM、ROM等を備えており、第1記録媒体120やROMに格納されたプログラムを実行する。第1通信部110は、ネットワークNを介して外部の装置と通信を行うための装置である。第1制御部100は、第1通信部110を介してドライバ装置20、管理者装置30及びユーザ装置40と通信を行う。第1記録媒体120は、各種情報及び各種プログラムを記憶する。第1記録媒体120は、地図情報121と、休憩設定情報122と、移動時間情報123と、予約情報124と、を格納している。
【0016】
地図情報121は、ノードとリンクによって定義された区間のネットワークを示している。地図情報121には、ノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の区間の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータが含まれている。ノードは交差点に該当する。
【0017】
休憩設定情報122は、前述のように、管理者装置30から送信される。移動時間情報123には、図3Aに示すように、複数の停留所と、各停留所間の車両での移動時間とが含まれる。移動時間情報123にはさらに、図3Bに示すように、各停留所と各休憩地点の間の、車両での移動時間が含まれる。移動時間情報123は、第1制御部100により生成される。第1制御部100が移動時間情報123を生成する処理については、後述する。
【0018】
予約情報124は、前述のようにユーザ装置40から送信される。予約情報124には、ユーザIDと予約内容が対応付けられている。予約内容には、乗車を希望する停留所と、降車を希望する停留所と、利用人数と、利用時刻帯(乗車時刻帯または降車時刻帯の少なくとも一方)とが含まれる。
【0019】
第1制御部100は、第1記録媒体120やROM等に格納された運行計画生成プログラム101を実行することにより、移動時間設定部102、予約情報取得部103、運行計画生成部104、休憩時刻帯決定部105及び通信処理部106として機能する。すなわち、以下において、移動時間設定部102、予約情報取得部103、運行計画生成部104、休憩時刻帯決定部105及び通信処理部106が実行するものとして記載する処理は、第1制御部100が実行する処理である。
【0020】
移動時間設定部102は、移動時間情報123を生成し、これを第1記録媒体120に格納する。具体的には、移動時間設定部102は、管理者装置30により登録された停留所の地図上の位置に基づいて、2つの停留所の組み合わせすべてについて、2点間の移動時間を求める。移動時間設定部102は、同様に、管理者装置30により登録された停留所と、休憩地点の2つの組み合わせのすべてについて、2点間の移動距離を求める。移動時間設定部102は、2点間の移動時間を求めるに際しては、まずダイクストラ法等の経路探索技術により地点間の経路を求める。そして、移動時間設定部102は、各移動時間を示す移動時間情報123を第1記録媒体120に格納する。予約情報取得部103は、ユーザ装置40から予約情報を取得し、これを第1記録媒体120に格納する。
【0021】
運行計画生成部104は、地図情報121、移動時間情報123、予約情報124、送迎に用いられる車両の数に基づいて、運行計画を生成する。運行計画生成部104は、例えば、PDP(Pickup and Delivery Problem)を解くことにより運行計画を生成する。PDPは、移動に要するコストを評価する目的関数を定義し、各種の制約条件内で当該コストが小さくなるように解を決定する問題であり、種々のアルゴリズムを採用可能である。休憩時刻帯決定部105は、運行計画生成部104により生成された、各車両の運行計画に基づいて、休憩時刻帯を決定する。なお、運行計画生成部104及び休憩時刻帯決定部105の処理は、図4等を参照しつつ後に詳述する。通信処理部106は、運行計画や休憩時刻帯をドライバ装置20に送信する。
【0022】
ドライバ装置20は、第2制御部200と、第2通信部210と、第2記録媒体220と、表示部230と、を備えている。第2制御部200は、図示しないCPU、RAM、ROM等を備えており、第2記録媒体220やROMに格納されたプログラムを実行する。第2通信部210は、ネットワークNを介して外部の装置と通信を行うための装置である。第2制御部200は、第2通信部210を介して運行計画生成システム10と通信を行う。第2記録媒体220は、各種情報及び各種プログラムを記憶する。第2記録媒体220は、例えば、運行計画を格納する。表示部230は、各種情報を表示する。表示部230は、例えば、運行計画を表示する。また、車両が運行計画に沿って車両が走行している間は、表示部230は、次の停留所や、休憩地点等を表示する。
【0023】
(2)運行計画生成処理:
図4は、運行計画生成処理を示すフローチャートである。図4の左側には、運行計画生成システム10の処理を示す。図4の右側には、ドライバ装置20の処理を示す。
【0024】
なお、運行計画生成処理の前提として、前述の通り、運行計画生成システム10の第1記録媒体には、休憩設定情報122と、移動時間情報123と、が登録されているものとする。この状態において、ユーザ装置40において、予約情報が入力されると、運行計画生成処理が開始される。
【0025】
ユーザ装置40において、予約情報が入力されると、予約情報が運行計画生成システム10に送信される。そして、運行計画生成システム10の予約情報取得部103は、第1通信部110を介して、予約情報を取得し、これを第1記録媒体120に格納する(ステップS100)。次に、運行計画生成部104は、予約情報に基づいて、運行計画を生成する(ステップS102)。なお、既に取得済みの予約情報がある場合には、既に取得済みの予約情報と、直前のステップS100の処理において取得した予約情報と、に基づいて、PDPを解くことにより、運行計画を生成する。
【0026】
具体的には運行計画生成部104は、移動時間情報123を参照し、移動時間を移動時間コストとし、さらに、車両の数に応じて、車両コストを求める。そして、運行計画生成部104は、移動時間コストと、車両コストとが最小となるように、各車両への停留所の割り当てと、各車両における停留所の経由順を決定することで、各車両の運行計画を生成する。なお、運行計画生成部104は、経由順を求める際には、各ユーザの乗車と降車の順、乗車希望時刻帯、降車希望時刻帯を、制約条件として課す。運行計画生成部104は、車両の出発時刻に、停留所間の移動時間を加えることで、各停留所への到着時刻を算出する。さらに、運行計画生成部104は、乗車希望時刻帯又は降車希望時刻帯に基づいて、出発時刻を決定する。以上により、乗車希望時刻帯及び降車希望時刻帯に合った運行計画が生成される。
【0027】
次に、休憩時刻帯決定部105は、ステップS102において生成された各車両の運行計画において、仮休憩時刻帯候補を選出する(ステップS104)。ここで、仮休憩時刻帯候補は、休憩時刻帯の候補となる時刻帯である。休憩時刻帯決定部105は、休憩可能時刻帯において、車両に乗客のいない時刻帯を、仮休憩時刻帯候補として選出する。
【0028】
例えば、図5に示すような運行計画が生成されているとする。図5に示す運行計画は、停留所1、停留所2、停留所3、停留所4、停留所5の順に走行する計画である。さらに、この運行計画は、停留所1で乗客U1を乗せ、停留所2で乗客U1を降ろし、その後停留所3に移動し、乗客U2を乗せ、停留所4で乗客U2を降ろし、停留所5で乗客U03を乗せる、という計画を含んでいる。また、停留所2の到着時刻が11:10であり、停留所5の到着時刻が14:30であることから、停留所2から停留所5に移動する間が、休憩可能時刻帯(11時~14時)に含まれる。この場合、乗客がいないのは、停留所2から停留所3への移動期間と、停留所4から停留所5までの移動期間である。このため、停留所2から停留所3への移動時間と、停留所4から停留所5に向かう期間のうち、14時までの期間と、が仮休憩時刻帯候補として選出される。
【0029】
次に、休憩時刻帯決定部105は、各仮休憩時刻帯候補において休憩する場合の休憩地点と、休憩地点までの移動時間と、に基づいて、休憩所要時間を算出する(ステップS106)。本実施形態においては、ドライバは、休憩する際には、予め設定された休憩地点まで移動し、休憩地点に車両を停車させる必要がある。したがって、仮休憩時刻帯候補の期間において、休憩時間と、休憩地点への移動時間と、が確保できなければ、休憩時刻帯として設定することができない。そこで、休憩時刻帯決定部105は、車両から乗客がいなくなる停留所(降車停留所)から、休憩地点まで移動し、当該休憩地点から次に乗客が乗車する停留所(乗車停留所)まで移動する移動時間が最も短くなる休憩地点を特定する。そして、休憩時刻帯決定部105は、降車停留所から休憩地点までの移動時間と、休憩地点から乗車停留所までの移動時間と、休憩時間と、を加算することで、休憩所要時間を求める。
【0030】
例えば、図6Aに示すように停留所2から停留所3へ移動する間に経由する休憩地点として休憩地点Aが、降車停留所から休憩地点までの移動時間と休憩地点から乗車停留所までの移動時間の合計が最も短いとする。この場合には、図6Bに示すように、停留所2から休憩地点Aへの移動時間と、休憩地点Aから停留所3への移動時間と、ドライバの休憩時間(1時間)とを加算した値が休憩所要時間として算出される。
【0031】
次に、休憩時刻帯決定部105は、休憩所要時間よりも長い仮休憩時刻帯候補を休憩時刻帯候補として選出する(ステップS108)。休憩所要時間が1時間20分であったとすると、図5の例では、停留所2と停留所3の間の期間が休憩時刻帯候補として選出される。一方で、停留所4と停留所5の間の期間についても同様に休憩所要時間が求められ、停留所間の期間と比較され、休憩時刻帯候補となり得るか判断される。なお、仮休憩時刻帯候補が複数存在する場合には、複数の仮休憩時刻帯候補それぞれが休憩時刻帯候補として選出される。
【0032】
次に、休憩時刻帯決定部105は、休憩時刻帯が設定可能か否かを判断する(ステップS106)。休憩時刻帯決定部105は、休憩時刻帯候補が1以上選出された場合には、休憩時刻帯が設定可能と判断し、休憩時刻帯候補が1つも選出されなかった場合には、休憩時刻帯が設定不可能と判断する。
【0033】
休憩時刻帯を設定不可能な場合には(ステップS106でN)、第1制御部100は、処理をステップS112へ進める。ステップS112において、運行計画生成部104は、予約情報が割り当てられた車両を除き、他の車両において予約情報に対応した運行が実施されるような運行計画を生成する。例えば、車両1から車両5までの5台の車両が運行する場合において、直前の処理において車両1に予約情報が割り当てられ、車両1において休憩時刻帯が設定不可能であったとする。この場合には、運行計画生成部104は、車両1に予約情報が割り当てられないよう車両1を利用不可能とし、残りの車両2~車両5を利用可能として、運行計画を生成する。これにより、車両1以外の車両が予約情報に対応した送迎を行うような運行計画が生成される。運行計画が生成されると、第1制御部100は、処理をステップS104へ進める。すなわち、この場合には、ステップS104以降において、再度、予約情報に対応した送迎が割り当てられた車両において、休憩時刻帯が設定可能か否かを判断する。
【0034】
休憩時刻帯決定部105は、休憩時刻帯を設定可能な場合には(ステップS110でY)、運行計画を確定し、休憩時刻帯候補のうち開始時刻が最も早い時刻帯を休憩時刻帯として設定する(ステップS114)。次に、通信処理部106は、この運行計画と休憩時刻帯とを、車両のドライバが所持するドライバ装置20に送信する(ステップS116)。ここで、通信処理部106は、休憩時刻帯をドライバに通知する通知部の一例である。運行計画には、経由する停留所とその経由順を示す走行経路と、各停留所の発着時刻と、休憩時刻帯と、休憩時刻帯候補における休憩地点と、休憩地点までの走行経路と、が含まれるものとする。
【0035】
本実施形態においては、新たに予約情報を取得する度に運行計画を生成し直すため、同一車両に対する運行計画が更新される度に、ステップS112において運行計画がドライバ装置20に送信される。なお、他の例としては、運行計画生成処理(ステップS102)において、運行計画生成部104は、既にステップS112においてドライバ装置20に送信済みの運行計画については確定とし、空いている時間を利用して、新たな予約情報に対応した走行を運行計画に追加してもよい。これにより、運行計画が大幅に変更されるのを防ぐことができる。
【0036】
なお、ステップS102の実行タイミングにおいて、既に休憩時刻帯に入り、休憩中、又は休憩地点への移動を開始している車両が存在する場合には、運行計画生成部104は、この車両の休憩時刻帯を除いて、運行計画を生成するものとする。すなわち、運行計画生成部104は、現在時刻(処理時点の時刻)が休憩開始時刻に到達した後で、予約情報を新たに取得した場合には、当該予約情報に基づいて、休憩開始時刻に到達した車両以外の車両の運行計画を更新する。そして、この場合、休憩時刻帯決定部105は、更新後の運行計画に基づいて、休憩開始時刻に到達した車両以外の車両の休憩時刻帯を更新する。
【0037】
ただし、ステップS102の実行タイミングにおいて、既に走行を開始しているが、休憩時刻帯に入っていない車両が存在する場合には、運行計画生成部104は、この車両を処理対象として、運行計画を生成する。そして、この場合には、運行計画生成部104は、運行計画に基づいて、休憩時刻帯を改めて決定する。このように、運行計画生成部104は、現在時刻が休憩開始時刻に到達する前に、予約情報を新たに取得した場合には、当該予約情報に基づいて運行計画を更新する。そして、休憩時刻帯決定部105は、更新後の運行計画に基づいて、休憩時刻帯を更新する。
【0038】
ドライバ装置20においては、第2制御部200は、運行計画生成システム10から運行計画を受信すると(ステップS200)、続いて運行計画を表示部230に表示する(ステップS202)。図7Aは、運行計画の表示例を示す図である。このように、走行経路と、各停留所の発着時刻と、が運行計画として表示される。次に、第2制御部200は、ステップS200において受信した休憩時刻帯を設定する(ステップS204)。次に、第2制御部200は、現在時刻が休憩時刻帯の開始時刻になるまで待機し(ステップS206でN)、開始時刻になると(ステップS206でY)、表示部230に、休憩通知を表示させる(ステップS208)。ここで、休憩通知は、休憩を知らせる通知である。図7Bは、休憩通知の表示例を示す図である。このように、休憩通知は休憩地点を含む。休憩通知は、さらに、休憩地点までの移動経路、移動時間窓を含み、これらも併せて表示されてもよい。
【0039】
このように、本実施形態においては、ドライバ装置20は、休憩時刻帯候補のうち開始時刻が最も早い時刻帯を休憩時刻帯として通知する。ここで、開始時刻が最も早い時刻帯を休憩時刻帯として通知する点について説明する。例えば、休憩可能時刻帯として11時から14時が設定されている状況において、11時の時点で車両から乗客が降車し、乗客いなくなったとする。このとき、新規の予約情報に備えて待機する場合には、ドライバは休憩を取ることができない。そして、12時を過ぎて予約情報が入り、この対応を行った場合には、結果として14時までの間に休憩をとることができいない、といった状況が生じ得る。この場合、11時の時点で休憩を取得すべきであったことが後からわかる。このような状況を避けるために、本実施形態においては、休憩が取得可能になった早いタイミングで、休憩時刻帯を固定し、休憩時刻帯が固定された車両に対しては、休憩時刻帯に重なるような予約が入らないようにする。
【0040】
なお、ステップS206において休憩時刻帯の開始時刻になる前に、新たに、更新後の運行計画を受信する場合がある。この場合には、第2制御部200は、新たに受信した運行計画に従い、ステップS202以降の処理を行うことで、新たに休憩時刻帯を設定する。これにより、運行計画が更新された場合においても、更新を反映し、更新後の運用計画に合わせて休憩通知を行う。これにより、新たに入力された予約情報を反映した上で、ドライバの休憩を確保することができる。
【0041】
以上のように、本実施形態の送迎システム1においては、管理者等により休憩可能時刻帯が予め設定され、この休憩可能時刻帯において、予め定められた長さの休憩時刻帯が確保された休憩時刻帯が設定される。したがって、適切な時刻帯において、適切な長さの休憩をドライバが取得することができる。
【0042】
(3)付記:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。そうした第1の変形例としては、運行計画生成システム10が備える各部(移動時間設定部102、予約情報取得部103、運行計画生成部104、休憩時刻帯決定部105及び通信処理部106)の機能の少なくとも一部は、例えば、ドライバ装置20が備えることとしてもよい。
【0043】
例えば、休憩時刻帯決定部をドライバ装置20が備えてもよい。この場合、運行計画生成システム10は、運行計画をドライバ装置20に送信する。そして、ドライバ装置20は、運行計画を受信すると、休憩時刻帯決定部が、運行計画に基づいて、休憩時刻帯を決定する。
【0044】
また、第2の変形例としては、休憩時刻帯決定部は、運行計画生成システム10とドライバ装置20の双方に設けられてもよい。この場合には、運行計画生成システム10の休憩時刻帯決定部及びドライバ装置20の休憩時刻帯決定部は、いずれも運行計画に基づいて、休憩時刻帯を決定する。ただし、この場合、運行計画生成システム10は、処理対象のすべての車両についての休憩時刻帯を決定するのに対し、ドライバ装置20においては、ドライバが運転する車両についての休憩時刻帯のみを決定すればよい。
【0045】
また、第3の変形例としては、運行計画生成システム10の第1記録媒体120に格納される情報の少なくとも一部は、運行計画生成システム10とは別に設けられた装置に格納されているものとしてもよい。例えば、休憩設定情報、移動時間情報及び予約情報は、他の装置に格納されていてもよい。
【0046】
また、第4の変形例としては、上記の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。例えば、図4を参照しつつ説明した、休憩通知表示(ステップS208)は、休憩時刻帯の開始時刻において行われるものとしたが、表示タイミング(通知タイミング)は実施形態に限定されるものではない。他の例としては、休憩通知は、運行計画と共に、ステップS202において表示されてもよい。また、他の例としては、ドライバの操作に応じて、ドライバの所望のタイミングにおいて休憩通知が表示されてもよい。
【0047】
また、第5の変形例としては、休憩時刻帯決定部105は、休憩可能時刻帯において休憩所要時間を確保できる時刻帯を休憩時刻帯として決定すればよく、休憩時刻帯は、このような時刻帯のうち最も早い時刻帯に限定されるものではない。他の例としては、休憩時刻帯は、休憩可能時刻帯において休憩所要時間を確保できる時刻帯を休憩時刻帯のうち、最も遅い時刻帯であってもよい。
【0048】
第6の変形例について説明する。休憩時間の長さ、休憩可能時刻帯、及び休憩地点は、管理者装置30において管理者により設定されるものとしたが、これらの情報は、運行計画生成処理の開始時に第1記録媒体120に格納されていればよく、管理者により設定された情報に限定されるものではない。他の例としては、運行計画生成システム10において、予め基準となる値が設定されていてもよい。
【0049】
さらに、本発明の手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム及びプログラムは、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置で共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、システムの一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0050】
1…送迎システム、10…運行計画生成システム、20…ドライバ装置、30…管理者装置、40…ユーザ装置、100…第1制御部、101…運行計画生成プログラム、102…移動時間設定部、103…予約情報取得部、104…運行計画生成部、105…休憩時刻帯決定部、106…通信処理部、110…第1通信部、120…第1記録媒体、121…地図情報、122…休憩設定情報、123…移動時間情報、124…予約情報、200…第2制御部、210…第2通信部、220…第2記録媒体、230…表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-04-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
次に、休憩時刻帯決定部105は、休憩時刻帯が設定可能か否かを判断する(ステップS110)。休憩時刻帯決定部105は、休憩時刻帯候補が1以上選出された場合には、休憩時刻帯が設定可能と判断し、休憩時刻帯候補が1つも選出されなかった場合には、休憩時刻帯が設定不可能と判断する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
休憩時刻帯を設定不可能な場合には(ステップS110でN)、第1制御部100は、処理をステップS112へ進める。ステップS112において、運行計画生成部104は、予約情報が割り当てられた車両を除き、他の車両において予約情報に対応した運行が実施されるような運行計画を生成する。例えば、車両1から車両5までの5台の車両が運行する場合において、直前の処理において車両1に予約情報が割り当てられ、車両1において休憩時刻帯が設定不可能であったとする。この場合には、運行計画生成部104は、車両1に予約情報が割り当てられないよう車両1を利用不可能とし、残りの車両2~車両5を利用可能として、運行計画を生成する。これにより、車両1以外の車両が予約情報に対応した送迎を行うような運行計画が生成される。運行計画が生成されると、第1制御部100は、処理をステップS104へ進める。すなわち、この場合には、ステップS104以降において、再度、予約情報に対応した送迎が割り当てられた車両において、休憩時刻帯が設定可能か否かを判断する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
本実施形態においては、新たに予約情報を取得する度に運行計画を生成し直すため、同一車両に対する運行計画が更新される度に、ステップS116において運行計画がドライバ装置20に送信される。なお、他の例としては、運行計画生成処理(ステップS102)において、運行計画生成部104は、既にステップS116においてドライバ装置20に送信済みの運行計画については確定とし、空いている時間を利用して、新たな予約情報に対応した走行を運行計画に追加してもよい。これにより、運行計画が大幅に変更されるのを防ぐことができる。