(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128731
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】運行計画生成システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
G08G1/123 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037894
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡部 英文
(72)【発明者】
【氏名】足立 和英
(72)【発明者】
【氏名】仙波 輝
(72)【発明者】
【氏名】久野 真登
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA06
5H181AA14
5H181BB04
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181MA24
(57)【要約】
【課題】、車両が同一の時刻に、同一の停留所に集中するのを防ぐ。
【解決手段】利用者を輸送する複数の車両の運行計画を生成する運行計画生成システムであって、イベントの開催地に対応した乗車地点と、前記利用者が希望する降車地点とを含む予約情報を取得する予約情報取得部と、複数の前記予約情報それぞれに示される前記降車地点と前記乗車地点とに基づいて、前記イベント終了後の、複数の前記車両それぞれの走行経路を決定し、さらに、複数の前記車両それぞれが前記走行経路を走行するのに要する所要時間に応じて、前記乗車地点における、前記車両の出発時刻を異ならせた前記運行計画を生成する運行計画生成部と、を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を輸送する複数の車両の運行計画を生成する運行計画生成システムであって、
イベントの開催地に対応した乗車地点と、前記利用者が希望する降車地点とを含む予約情報を取得する予約情報取得部と、
複数の前記予約情報それぞれに示される前記降車地点と前記乗車地点とに基づいて、前記イベント終了後の、複数の前記車両それぞれの走行経路を決定し、さらに、複数の前記車両それぞれが前記走行経路を走行するのに要する所要時間に応じて、前記乗車地点における、前記車両の出発時刻を異ならせた前記運行計画を生成する運行計画生成部と、
を備えた、運行計画生成システム。
【請求項2】
前記運行計画生成部は、複数の前記車両の前記出発時刻が予め設定された基準間隔ずつ異なる、前記運行計画を生成する、請求項1に記載の運行計画生成システム。
【請求項3】
前記運行計画生成部は、前記利用者の数が、予め設定された人数閾値未満の場合には、前記基準間隔を予め設定された値よりも短くする、請求項2に記載の運行計画生成システム。
【請求項4】
前記運行計画生成部は、前記運行計画に含まれる、前記降車地点の数が予め設定された地点数閾値未満の場合には、前記基準間隔を予め設定された値よりも短くする、請求項2に記載の運行計画生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行計画生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、仕入先から納入先への輸送において、納入先においてトラックが集中するのを避けるために、運行計画の自由度を算出し、自由度に基づいて、移動体の集中を解消するような運行計画を作成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗客の乗合を想定した送迎サービスにおいては、例えば、イベントの終了時刻に合わせて、利用者を乗車させて利用者を輸送するような場合には、車両が1つの停留所に集中してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、車両が同一時刻に、同一の停留所に集中するのを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の運行計画生成システムは、利用者を輸送する複数の車両の運行計画を生成する運行計画生成システムであって、イベントの開催地に対応した乗車地点と、前記利用者が希望する降車地点とを含む予約情報を取得する予約情報取得部と、複数の前記予約情報それぞれに示される前記降車地点と前記乗車地点とに基づいて、前記イベント終了後の、複数の前記車両それぞれの走行経路を決定し、さらに、複数の前記車両それぞれが前記走行経路を走行するのに要する所要時間に応じて、前記乗車地点における、前記車両の出発時刻を異ならせた前記運行計画を生成する運行計画生成部と、を備えた。
【0007】
運行計画生成システムは、予約情報に基づいて、イベント終了後の複数の車両それぞれの走行経路を決定し、さらに走行経路の所要時間に応じて、乗車地点における車両の出発時刻を異ならせる。したがって、車両が同一の時刻に、同一の停留所、すなわち乗車地点に集中するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】移動時間情報のデータ構成例を示す図である。
【
図3】第1運行計画生成処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5Aは、修正前の運行計画を示す図であり、
図5Bは、修正後の運行計画を示す図である。
【
図6】第2運行計画生成処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8Aは、修正前の運行計画を示す図であり、
図8Bは、修正後の運行計画を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)送迎システムの構成:
(2)運行計画生成処理:
(3)付記:
【0010】
(1)送迎システムの構成:
図1は、送迎システム1の全体構成を示す図である。送迎システム1は、ユーザ(利用者)からの予約情報に基づいて、ユーザの送迎(輸送)を行うサービスを実現するためのシステムである。送迎システム1は、乗合での送迎に利用される、複数の車両それぞれの運行計画を生成し、運行計画に沿って、ユーザを輸送するための車両を運行させる。本実施形態の送迎システム1は、例えば、スイミング、体操教室などのイベントの終了時刻において、イベント開催地の最寄りの停留所でユーザを乗車させ、各ユーザの家等の送り先まで届けるサービスを管理する。送迎システム1は、運行計画生成システム10と、ドライバ装置20と、ユーザ装置30と、を備えている。運行計画生成システム10、ドライバ装置20及びユーザ装置30は、ネットワークNを介して互いに通信が可能である。
【0011】
運行計画生成システム10は、ユーザ装置30において生成された、乗合の車両の利用に係る予約情報に基づいて、複数の車両の運行計画を生成する。ドライバ装置20は、車両のドライバが利用する装置である。ドライバ装置20は、例えば携帯端末装置であるものとする。また、他の例としては、ドライバ装置20は、車両に搭載された車両システムとして実現されてもよい。ドライバ装置20は、ドライバが運転する車両の運行計画等をドライバに通知する。
【0012】
ユーザ装置30は、送迎サービスを利用するユーザが利用する装置であり、例えば、据置型の汎用コンピュータや、携帯型の情報処理装置である。ユーザ装置30は、ユーザ操作に応じて、送迎サービスの予約情報を受け付け、予約情報を運行計画生成システム10に送信する。予約情報には、ユーザを識別するユーザIDと、予約内容が示される。予約内容には、乗車を希望する停留所(イベント開催地の最寄りの停留所)と、降車を希望する停留所と、利用人数と、乗車希望時刻とが含まれる。
【0013】
運行計画生成システム10は、第1制御部100と、第1通信部110と、第1記録媒体120と、を備えている。第1制御部100は、図示しないCPU、RAM、ROM等を備えており、第1記録媒体120やROMに格納されたプログラムを実行する。第1通信部110は、ネットワークNを介して外部の装置と通信を行うための装置である。第1制御部100は、第1通信部110を介してドライバ装置20及びユーザ装置30と通信を行う。第1記録媒体120は、各種情報及び各種プログラムを記憶する。第1記録媒体120は、地図情報121と、移動時間情報122と、予約情報123と、を格納している。
【0014】
地図情報121は、ノードとリンクによって定義された区間のネットワークを示している。地図情報121には、ノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の区間の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータが含まれている。ノードは交差点に該当する。
【0015】
移動時間情報122には、
図2に示すように、複数の停留所と、各停留所間の車両での移動時間とが含まれる。予約情報123は、前述のようにユーザ装置30から送信される。予約情報123には、ユーザIDと予約内容が対応付けられている。予約内容には、乗車を希望する停留所と、降車を希望する停留所と、利用人数と、乗車希望時刻とが含まれる。
【0016】
第1制御部100は、第1記録媒体120やROM等に格納された運行計画生成プログラム101を実行することにより、予約情報取得部102、運行計画生成部103及び通信処理部104として機能する。すなわち、以下において、予約情報取得部102、運行計画生成部103及び通信処理部104が実行するものとして記載する処理は、第1制御部100が実行する処理である。
【0017】
予約情報取得部102は、ユーザ装置30から予約情報を取得し、これを第1記録媒体120に格納する。運行計画生成部103は、地図情報121、移動時間情報122、予約情報123、送迎に用いられる車両の数に基づいて、各車両の運行計画を生成する。運行計画には、各車両の走行経路と、各停留所における乗車時刻、降車時刻、乗車人数等が含まれる。運行計画生成部103は、例えば、PDP(Pickup and Delivery Problem)を解くことにより運行計画を生成する。PDPは、移動に要するコストを評価する目的関数を定義し、各種の制約条件内で当該コストが小さくなるように解を決定する問題であり、種々のアルゴリズムを採用可能である。通信処理部104は、運行計画をドライバ装置20に送信する。
【0018】
ドライバ装置20は、第2制御部200と、第2通信部210と、第2記録媒体220と、表示部230と、を備えている。第2制御部200は、図示しないCPU、RAM、ROM等を備えており、第2記録媒体220やROMに格納されたプログラムを実行する。第2通信部210は、ネットワークNを介して外部の装置と通信を行うための装置である。第2制御部200は、第2通信部210を介して運行計画生成システム10と通信を行う。第2記録媒体220は、各種情報及び各種プログラムを記憶する。第2記録媒体220は、例えば、運行計画を格納する。表示部230は、各種情報を表示する。表示部230は、例えば、運行計画を表示する。
【0019】
(2)運行計画生成処理:
運行計画生成システム10は、運行計画生成処理を行う。運行計画生成処理は、予め定められたタイミングで実施される。運行計画生成処理は、例えば、1日に1回というように、定期的に実行される。これにより、処理開始時において、ユーザ装置30により設定され、第1記録媒体120に登録されている予約情報に応じた運行計画が生成される。なお、実行タイミングは、これに限定されるものではなく、運行計画生成処理は、予約情報がユーザ装置30から送信される度に実施されてもよい。
【0020】
例えば、習い事などのイベントの終了時に、イベント開催地の最寄の停留所でイベント参加者を乗せ、自宅などの近くの停留所まで送り届ける運行計画の場合には、第1の運行計画生成処理が実行される。また、イベントの開始時刻に合わせた乗車時刻において、イベント参加者を自宅などの近くの停留所で乗せ、イベント開催地の最寄の停留所まで送り届ける運行計画の場合には、第2の運行計画処理が実行される。以下、第1運行計画及び第2運行計画を、
図3以降を参照しつつ順に説明する。
【0021】
図3は、運行計画生成システム10による第1運行計画生成処理を示すフローチャートである。運行計画生成部103は、第1記録媒体120に格納されている予約情報123を取得する(ステップS100)。次に、運行計画生成部013は、予約情報123及び移動時間情報122に基づいて、PDPを解くことにより運行計画を生成する(ステップS102)。具体的には運行計画生成部103は、移動時間情報122を参照し、移動時間を移動時間コストとし、さらに、車両の数に応じて、車両コストを求める。そして、運行計画生成部103は、移動時間コストと、車両コストとが最小となるように、各車両への停留所の割り当てと、各車両における停留所の経由順(走行経路)を決定することで、各車両の運行計画を生成する。なお、運行計画生成部103は、経由順を求める際には、降車の順、乗車希望時刻、を制約条件として課す。運行計画生成部103は、車両の出発時刻に、停留所間の移動時間を加えることで、各停留所への到着時刻を算出する。以上により、予約情報に合った運行計画が生成される。
【0022】
例えば、イベント開催地の最寄の停留所T0が乗車地点として設定され、降車地点として、停留所T1~停留所T15が指定された、複数の予約情報が第1記録媒体120に記録されているとする。また、利用可能な車両は4台であるとする。この場合、運行計画生成部103は、例えば、
図4及び
図5Aに示すような運行計画を生成する。
【0023】
図4及び
図5Aに示すように、4台の車両に対応した4つの便(便A~便D)の運行計画が生成されたとする。便Aは、停留所T0、T1、T2、T3、T4の順に走行する運行計画である。便Bは、停留所T0、T5、T6、T7、T8の順に走行する運行計画である。便Cは、停留所T0、T9、T10、T11、T12の順に走行する運行計画である。便Dは、停留所T0、T13、T14、T15の順に走行する運行計画である。さらに、各予約情報は、習い事の終了時刻に対応した時刻が乗車希望時刻(出発時刻)として指定されているため、いずれも出発時刻は、同一時刻(
図5Aでは19:00)に設定される。
【0024】
しかしながら、このように、同一時刻に複数の車両が同一の停留所から出発することとなると、1つの停留所に複数の車両が集中することになる。このため、ユーザの乗車に時間が掛かってしまう。また、十分な駐車スペースがない場合には、安全面の問題もある。
【0025】
そこで、本実施形態の運行計画生成システム10は、出発地点における乗車時刻を異ならせるように、運行計画を修正する。具体的には、運行計画生成部103は、まず同一時刻に同一乗車地点から複数の車両が出発するか否かを判断する(ステップS104)。ここで、同一時刻とは、時刻の差分が予め定められた閾値(例えば2分)未満であることを意味する。
図4に示すように各便が停留所T0を乗車地点とし、いずれの出発時刻も19:00である場合には、同一時刻に同一乗車地点から複数の車両が出発すると判断する。
【0026】
運行計画生成部103は、同一時刻に同一乗車地点から複数の車両が出発するような運行計画が生成されていない場合には(ステップS104でN)、処理をステップS108へ進める。運行計画生成部103は、同一時刻に同一乗車地点から複数の車両が出発するような運行計画が生成された場合には(ステップS104でY)、運行計画を修正する(ステップS106)。具体的には、運行計画生成部103は、走行経路における最終の停留所への到着時刻が早い運行計画(便)ほど、出発時刻を遅らせる。ここで、最終の停留所への到着時刻が早い運行計画とは、運行計画に沿って、走行経路を走行するのに要する所要時間の短い運行計画である。
【0027】
例えば、
図4及び
図5Aに示す運行計画においては、最終の停留所への到着時刻は、便A、便B、便C、便Dの順に早くなる。したがって、運行計画生成部103は、この順に、出発時刻がより遅くなるように、運行計画を修正する。すなわち、運行計画生成部103は、出発時刻を異ならせる。さらに、本実施形態においては、運行計画生成部103は、予め設定された基準間隔ずつ出発時刻を異ならせる。例えば、基準間隔が5分に設定されている場合には、出発時刻を5分間隔で異ならせる。これに応じて、到着時刻も変更される。
【0028】
図5Bは、修正後の運行計画を示す図である。運行計画生成システム10は、
図5Bに示すように、最後の停留所への到着時刻が最も遅い便Aの出発時刻を19:00のままとし、これ以外の便の出発時刻を、到着時刻が遅い順に、5分、10分と、基準間隔ずつ遅い時刻にずらす。これにより、便Bの出発時刻は19:05となり、便Cの出発時刻は19:10となり、便Dの出発時刻は19:15となる。
【0029】
このように、出発時刻の変更に伴い、到着時刻も遅くなる。ただし、到着時刻が早い便ほど、出発時刻を遅らせる際の遅らせる分の時間長が長くなるように時刻をずらしている。したがって、予約情報に示された出発時刻である19:00から、最も遅い到着時刻までに要する時間が長くなるのを防ぐことができる。このように、到着時刻が遅い運行計画ほど、出発時刻が早くなるように運行計画を修正することで、一部のユーザの到着時刻が遅くなり過ぎるのを防ぐことができる。また、ずらす時間間隔が、基準間隔として予め定められているので、どの程度ずらすかを演算する必要がなく、処理を簡素化することができる。
【0030】
次に、通信処理部104は、各便に対応した運行計画を、対応するドライバ装置20に送信する(ステップS108)。以上で、第1運行計画生成処理が終了する。なお、ドライバ装置20においては、第2制御部200は、運行計画生成システム10から運行計画を受信すると、運行計画を表示部230に表示する。
【0031】
以上のように、第1運行計画生成処理においては、車両が同一の停留所から同一時刻に出発する場合に、到着時刻に応じて、出発時刻を異ならせる。これにより、同一時刻に、同一の停留所(出発地点)に車両が集中するのを防ぐことができる。
【0032】
図6は、第2運行計画生成処理を示すフローチャートである。ステップS200及びステップS202の処理は、それぞれ
図3を参照しつつ説明したステップS100及びステップS102の処理と同様である。これにより、運行計画が生成される。ここでは、
図7及び
図8Aに示すような運行計画が生成された場合を例に説明する。4台の車両に対し、4つの便(便E~便H)の運行計画が生成されたとする。
【0033】
便Eは、停留所T4、T3、T2、T1、T0の順に走行する運行計画である。便Fは、停留所T8、T7、T6、T5、T0の順に走行する運行計画である。便Gは、停留所T12、T11、T10、T9、T0の順に走行する運行計画である。便Hは、停留所T15、T14、T13、T0の順に走行する運行計画である。さらに、各予約情報は、習い事の開始時刻に対応した時刻が降車希望時刻(到着時刻)として指定されているため、いずれも到着時刻は、同一時刻(
図8Aでは17:00)に設定される。
【0034】
このような場合に、運行計画生成システム10は、到着地点における到着時刻を異ならせるように、運行計画を修正する。具体的には、運行計画生成部103は、まず同一時刻に同一到着地点に複数の車両が到着するか否かを判断する(ステップS204)。
図6に示すように、各便の到着地点が停留所T0であり、いずれの到着時刻も17:00である場合には、同一時刻に同一降車地点に複数の車両が到着すると判断する。
【0035】
運行計画生成部103は、同一時刻に同一降車地点に複数の車両が到着するような運行計画が生成されていない場合には(ステップS204でN)、処理をステップS208へ進める。運行計画生成部103は、同一時刻に同一降車地点に複数の車両が到着するような運行計画が生成された場合には(ステップS204でY)、運行計画を修正する(ステップS206)。その後、通信処理部104は、運行計画をドライバ装置20に送信する(ステップS208)。ステップS206において、運行計画生成部103は、出発時刻が遅い運行計画(便)ほど、到着時刻を早める。ここで、出発時刻が遅い運行計画とは、運行計画に沿って、走行経路を走行するのに要する所要時間の短い運行計画である。
【0036】
例えば、
図7及び
図8Aに示す運行計画においては、出発時刻は、便E、便F、便G、便Hの順に遅くなる。したがって、運行計画生成部103は、この順に到着時刻がより早い時刻になるように、運行計画を修正する。すなわち、運行計画生成部103は、到着時刻を異ならせる。さらに、本実施形態においては、運行計画生成部103は、基準間隔ずつ到着時刻を異ならせる。例えば、基準間隔が5分に設定されている場合には、運行計画生成部103は、到着時刻を5分ずつ異ならせる。これに応じて、出発時刻も変更される。
【0037】
図8Bは、修正後の運行計画を示す図である。運行計画生成システム10は、
図8Bに示すように、出発時刻が最も早い便Eの到着時刻を17:00のままとし、これ以外の便の到着時刻を、出発時刻が早い順に、5分、10分と、基準間隔ずつ早い時刻にずらす。これにより、便Fの到着時刻は16:55となり、便Gの到着時刻は16:50となり、便Hの到着時刻は16:45となる。
【0038】
このように到着時刻の変更に伴い、出発時刻が早まる。ただし、出発時刻が遅い便ほど、出発時刻を早める際の早める分の時間長が長くなるように時刻をずらしている。これにより、出発時刻から予約情報に示された希望時刻までに要する時間が長くなり過ぎるのを防ぐことができる。また、ずらす時間間隔が、基準間隔として予め定められているので、どの程度ずらすかを演算する必要がない。
【0039】
以上のように、本実施形態の運行計画生成システム10は、車両が同一の時刻に、同一の停留所に集中するような運行計画が生成された場合に、車両が当該停留所に滞在する時刻を異ならせるように、運行計画を修正する。これにより、車両が同一の時刻に、同一の停留所に集中するのを避けることができる。さらに、運行計画生成システム10は、運行計画を修正する際に、各便(運行計画)における走行経路を走行するのに要する所要時間を考慮する。これにより、一部のユーザの待ち時間が長くなり過ぎるのを防ぐことができる。
【0040】
(3)付記:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。そうした第1の変形例としては、運行計画生成システム10が備える各部(予約情報取得部102、運行計画生成部103及び通信処理部104)の機能の少なくとも一部は、例えば、ドライバ装置20が備えることとしてもよい。例えば、運行計画生成部103は、ドライバ装置20が備えてもよい。また、上記の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0041】
また、第2の変形例としては、運行計画生成システム10の第1記録媒体120に格納される情報の少なくとも一部は、運行計画生成システム10とは別に設けられた装置に格納されているものとしてもよい。例えば、移動時間情報及び予約情報は、他の装置に格納されていてもよい。
【0042】
また、第3の変形例としては、予約情報は、乗車希望時刻と降車希望時刻の何れかの時刻を含めばよい。降車希望時刻が指定されている場合には、降車希望時刻に合うように、運行計画が生成されればよい。
【0043】
第4の変形例について説明する。運行計画生成処理により、走行経路を走行するのに要する所要時間が第1の時間の第1の運行計画と、所要時間が第1の時間よりも長い第2の時間の第2の運行計画と、が生成されたとする。この場合に、
図3を参照しつつ説明した第1運行計画生成処理のステップS106において、運行計画生成部103は、第1の運行計画の出発時刻を第2の運行計画の出発時刻よりも遅らせればよい。さらに、運行計画生成部103は、所要時間に応じて、出発時刻を異ならせればよく、そのための具体的な処理は実施形態に限定されるものではない。また、
図6を参照しつつ説明した第2運行計画のステップS206において、運行計画生成部103は、第1の運行計画の到着時刻を第2の運行計画の到着時刻よりも早めればよい。さらに、運行計画生成部103は、所要時間に応じて到着時刻を異ならせればよく、そのための具体的な処理は実施形態に限定されるものではない。
【0044】
第5の変形例としては、運行計画生成部103は、予約情報に示されるユーザ(利用者)の数が、予め設定された人数閾値未満の場合には、基準間隔を予め設定された値よりも短くしてもよい。例えば、5分の基準間隔が設定されている場合において、ユーザの数が人数閾値未満の場合には、運行計画生成部103は、基準間隔を2分に短縮してもよい。人数が少ない場合には、乗車、降車に要する時間が少なくて済むため、車両が停留所に滞在する時間を短くできることに対応したものである。
【0045】
第6の変形例としては、運行計画生成部103は、便(運行計画)に含まれる降車地点の数が予め設定された地点数閾値未満の場合には、基準間隔を、予め設定された値よりも短くしてもよい。このように、降車地点数が少ない場合には、利用するユーザの人数が少なく、乗車、降車に要する時間が少なくて済むためである。
【0046】
第7の変形例としては、第1運行計画生成処理において、運行計画生成部103は、出発時刻から到着予定の降車地点への到着時刻までに要する所要時間が最も長い便の所要時間が予め設定された目標時間を超える場合には、基準間隔を短くしてもよい。これにより、到着時刻までにかかる時間が長くなり過ぎるのを避けることができる。
【0047】
第8の変形例としては、第1運行計画生成処理のステップS104においては、運行計画生成部103は、同一時刻に、同一乗車地点から、予め定められた数以上の台数の車両が出発する場合に、運行計画を修正することとしてもよい。停留所の広さ等に応じた台数を定めておくことで、停留所に応じた運行計画の生成が可能となる。
【0048】
さらに、本発明の手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム及びプログラムは、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置で共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、システムの一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0049】
1…送迎システム、10…運行計画生成システム、20…ドライバ装置、30…ユーザ装置、100…第1制御部、101…運行計画生成プログラム、102…予約情報取得部、103…運行計画生成部、104…通信処理部、110…第1通信部、120…第1記録媒体、121…地図情報、122…移動時間情報、123…予約情報、200…第2制御部、210…第2通信部、220…第2記録媒体、230…表示部