(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128735
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】ロック装置及び収納装置
(51)【国際特許分類】
E05C 9/04 20060101AFI20240913BHJP
E05C 21/00 20060101ALI20240913BHJP
E05B 83/30 20140101ALI20240913BHJP
B60R 7/06 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
E05C9/04
E05C21/00 A
E05B83/30 A
B60R7/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037900
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】米山 陽二郎
【テーマコード(参考)】
2E250
3D022
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250LL11
3D022CA08
3D022CC02
3D022CD14
3D022CD17
(57)【要約】
【課題】簡素で安価な構成で、限られたスペースに配置できるロック装置及びこれを備えた収納装置を提供する。
【解決手段】ロック装置1は、一方及び他方のロック体11a,11bと、一方及び他方のロック体11a,11bをそれぞれ移動させる一方及び他方の回動体12a,12bと、を備える。一方の回動体12aと他方の回動体12bとは、一方及び他方のロック体11a,11bの移動方向に並んで配置される。一方のロック体11aと他方のロック体11bとの少なくとも一部は、一方及び他方の回動体12a,12bの軸方向に並んで配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材に対し第二部材をロック可能であるとともにこのロックを解除可能なロック装置であって、
前記第一部材と前記第二部材との一方に設けられたロック受け部に対してそれぞれ相反する方向への移動により端部が挿脱される一方及び他方のロック体と、
前記一方及び他方のロック体をそれぞれ移動させる一方及び他方の回動体と、を備え、
前記一方の回動体と前記他方の回動体とは、前記一方及び他方のロック体の移動方向に並んで配置され、
前記一方のロック体と前記他方のロック体との少なくとも一部は、前記一方及び他方の回動体の軸方向に並んで配置されている
ことを特徴とするロック装置。
【請求項2】
一方の回動体と他方の回動体とが、互いに接触することで連動して回動する
ことを特徴とする請求項1記載のロック装置。
【請求項3】
一方及び他方の回動体は、ピニオンであり、
一方及び他方のロック体は、前記ピニオンと歯合するラック部を有する
ことを特徴とする請求項1記載のロック装置。
【請求項4】
開口部を有する第一部材である本体部と、
前記開口部を開閉可能な第二部材である蓋部材と、
前記本体部と前記蓋部材とのいずれかに設けられ、前記開口部を閉じた状態で前記蓋部材を前記本体部にロックする請求項1ないし3いずれか一記載のロック装置と、
を備えることを特徴とする収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一部材に対し第二部材をロック可能であるとともにこのロックを解除可能なロック装置及びこれを備えた収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両に搭載されるグローブボックスなどの開閉装置において、第一部材である本体部に対して第二部材である蓋体を開閉可能にロックするロック装置が用いられる。このようなロック装置は、ロック体である長尺の一対のロッドの先端部がロック受け部に付勢された状態で挿入されて蓋体をロックしており、乗員などの使用者が手動で操作ハンドルや駆動ノブを動作することで、この操作に応じてロッドが付勢に抗してロック受け部から長手方向に退避することにより、ロックが解除される。
【0003】
例えば、一対のロッドを使用者の操作に連動させるために、駆動ノブの厚み方向にロッドを配置し、これらロッド間に配置したピニオンとロッドに形成されたラック部とを歯合させることにより、ロッドを相反する方向に移動可能としたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-314120号公報 (第3-4頁、
図1-2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の構成では、ノブ、及び、ノブが取り付けられる収納装置の蓋体の厚さ方向、すなわち蓋体で覆われる収納装置の本体部側への突出量が大きくなるので、収納装置内の収納スペースを確保するために収納装置が大型化しがちである。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、簡素で安価な構成で、限られたスペースに配置できるロック装置及びこれを備えた収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のロック装置は、第一部材に対し第二部材をロック可能であるとともにこのロックを解除可能なロック装置であって、前記第一部材と前記第二部材との一方に設けられたロック受け部に対してそれぞれ相反する方向への移動により端部が挿脱される一方及び他方のロック体と、前記一方及び他方のロック体をそれぞれ移動させる一方及び他方の回動体と、を備え、前記一方の回動体と前記他方の回動体とは、前記一方及び他方のロック体の移動方向に並んで配置され、前記一方のロック体と前記他方のロック体との少なくとも一部は、前記一方及び他方の回動体の軸方向に並んで配置されているものである。
【0008】
請求項2記載のロック装置は、請求項1記載のロック装置において、一方の回動体と他方の回動体とが、互いに接触することで連動して回動するものである。
【0009】
請求項3記載のロック装置は、請求項1記載のロック装置において、一方及び他方の回動体は、ピニオンであり、一方及び他方のロック体は、前記ピニオンと歯合するラック部を有するものである。
【0010】
請求項4記載の収納装置は、開口部を有する第一部材である本体部と、前記開口部を開閉可能な第二部材である蓋部材と、前記本体部と前記蓋部材とのいずれかに設けられ、前記開口部を閉じた状態で前記蓋部材を前記本体部にロックする請求項1ないし3いずれか一記載のロック装置と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のロック装置によれば、一つのロック体と回動体との厚み分でロック装置を構成できるため、複雑な部品を必要とすることなく、一方及び他方の回動体と一方及び他方のロック体とからなる、部品点数を抑制した簡素で安価な構成で、省スペースで配置でき、限られたスペースへの取り付けが可能となる。
【0012】
請求項2記載のロック装置によれば、請求項1記載のロック装置の効果に加えて、一方の回動体と他方の回動体とを、例えば別々の駆動装置を用いることなく、簡素な構成で互いに逆方向に連動して回動させることができる。
【0013】
請求項3記載のロック装置によれば、請求項1記載のロック装置の効果に加えて、簡素な構成で、ピニオンである一方及び他方の回動体を介して一方のロック体を容易かつ確実に連動させることができ、信頼性を向上できる。
【0014】
請求項4記載の収納装置によれば、ロック装置の配置スペースが小さく、外形を大型化することなく収納容量を増加させ、かつ、物品を出し入れしやすい収納装置を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態のロック装置を示す正面図であり、(a)はロック状態を示し、(b)はアンロック状態を示す。
【
図3】同上ロック装置を備える収納装置の蓋部材を示す側面図である。
【
図4】同上収納装置の一部を省略した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図5及び
図6において、1はロック装置を示す。ロック装置1は、第一部材に対し第二部材をロック可能であるとともにこのロックを解除可能なものである。例えば、第一部材及び第二部材は任意の開閉装置あるいは収納装置に用いられる。図示される例では、ロック装置1は収納装置2に用いられる。収納装置2は、例えば車両用のグローブボックスである。収納装置2は、開口部3を有する第一部材である本体部4と、この本体部4の開口部3を開閉する第二部材である蓋部材5と、を備える。蓋部材5は、例えばインナ部材5aとアウタ部材5bとの複数の部材を有し、ロック装置1は、蓋部材5においてインナ部材5aとアウタ部材5bとの間の空間部に主として配置される。そして、ロック装置1は、開口部3を閉じた状態で蓋部材5を本体部4にロックするとともに、ロックの解除により蓋部材5が開口部3を開くことが可能となる。
【0018】
ロック装置1は、対をなすロック体11と、対をなす回動体12と、を備える。図示される例では、ロック装置1は、車両の乗員などの使用者によりロックの解除時に操作される被操作体13をさらに備える。
【0019】
なお、以下、使用者側から見た方向を基準として前後方向を規定し、使用者側である図中の矢印FR方向を前側あるいは手前側、その反対方向である矢印RR方向を後側あるいは背後側とする。また、図示される例では、ロック体11は左右方向(矢印L,R方向)に延びて配置されているものとし、これら前後方向及び左右方向に対して直交する方向(矢印U,D方向)を上下方向として説明するが、これに限られず、ロック装置1の設置姿勢によって、左右方向及び上下方向については適宜変更されるものとする。
【0020】
図5に示すロック体11は、ロッド、あるいはピンなどとも呼ばれる長尺状の部材である。ロック体11は、第一方向に移動可能であって、第一部材と第二部材との他方に設けられた穴部などの対をなすロック受け部15(
図1(a)及び
図1(b))に対してそれぞれ移動により一端部側(先端部側)が挿脱されることで、第二部材をロックするスライド部材である。本実施の形態において、ロック体11は、その長手方向に移動可能である。すなわち、本実施の形態では、第一方向とは、ロック体11の長手方向であって、図示される例では左右方向である。
【0021】
本実施の形態において、ロック体11は、左右に対をなし、一方のロック体11aと他方のロック体11bとが設定されている。これらロック体11は、直線状に延びる一端部である外端部17と、直線状に延びる他端部である内端部18と、これら外端部17と内端部18とを傾斜状に連ねる連結部19と、を一体的に有し、連結部19の位置で上下方向にクランク状に屈曲されている。
【0022】
そして、
図4に示すように、一方のロック体11aと他方のロック体11bとは、互いに上下を反転させ、互いの内端部18が上下方向に並ぶように被取付部であるインナ部材5aの前面に取り付けられている。本実施の形態では、例えば一方のロック体11aの内端部18の下方に他方のロック体11bの内端部18が位置し、互いの外端部17が略同一高さとなるように配置される。図示される例では、一方のロック体11aの内端部18と他方のロック体11bの内端部18とが、インナ部材5aの前面に形成された一のガイド部21を上下に挟んで配置され、一方のロック体11aの外端部17の上下、及び、他方のロック体11bの外端部17の上下が、インナ部材5aの前面に形成された他のガイド部22により上下に挟まれて配置されている。
【0023】
なお、一方及び他方のロック体11a,11bの長さについては、収納装置2(
図5)におけるロック装置1の配置に応じて設定され、本実施の形態では一方及び他方のロック体11a,11bの長さは互いに略等しい。また、一方及び他方のロック体11a,11bは、板状であって、前後方向に板厚方向を有するように配置される。
【0024】
そして、
図5に示すように、ロック体11は、外端部17の先端部、つまり連結部19とは反対側の端部側がインナ部材5aに形成された挿通穴部24を介して蓋部材5の側方に突出しており、その挿通穴部24から突出する端部にロック部25が形成されている。ロック部25は、先細に形成され、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、本体部4に形成されたロック受け部15に対して挿脱されることにより、ロック装置1による本体部4に対する蓋部材5の開閉のロック及びロックの解除が可能となっている。
【0025】
また、ロック体11は、内端部18に、回動体12と接続される接続部26が形成されている。接続部26は、内端部18の前面に、ロック体11(内端部18)の長手方向に亘る所定範囲に形成されている。本実施の形態において、接続部26は、回動体12と歯合される平板歯車すなわちラック部である。
【0026】
回動体12は、被操作体13の操作にロック体11を連動させ、一方のロック体11aと他方のロック体11bとを相反する方向に移動させるものである。回動体12は、左右に対をなし、一方の回動体12aと他方の回動体12bとが設定されている。一方の回動体12aが一方のロック体11aを移動させ、他方の回動体12bが他方のロック体11bを移動させる。本実施の形態において、回動体12は、ロック体11の接続部26と歯合される円形歯車すなわちピニオンである。回動体12は、軸部30と、軸部30の全周に形成された歯合部31と、を一体的に有する。本実施の形態において、歯合部31は、軸部30の軸方向の一端部寄りに偏って形成されている。
【0027】
一方の回動体12aと他方の回動体12bとは、軸方向を上下方向とし、互いに上下を反転させ、かつ、互いの歯合部31の一部が直接歯合し合うように左右に並んでインナ部材5aに取り付けられている。すなわち、一方の回動体12aと他方の回動体12bとは、一方及び他方のロック体11a,11bの移動方向に並んで配置されており、互いに逆方向に回動するように連動する。また、一方のロック体11aと他方のロック体11bとの少なくとも一部が、一方及び他方の回動体12a,12bの軸方向である上下方向に並んでいる。本実施の形態では、例えば一方の回動体12aの歯合部31が上側、他方の回動体12bの歯合部31が下側に位置し、ロック体11の接続部26の前側に重ねられて配置されている。そして、回動体12の軸部30の上下両端部が、インナ部材5aの前面に突設された軸受け部33に支持されるとともに、押圧部材であるカバー34により前側から覆われて、インナ部材5aに保持されている。
【0028】
軸受け部33は、一のガイド部21の上方及び下方の位置に形成されている。軸受け部33は、上下方向に板厚を有する板状に形成され、左右に延びている。軸受け部33の先端部である前端部には、回動体12の軸部30を回動可能に支持する円弧状の切欠部が左右一対形成されている。また、軸受け部33には、補強用のリブ36が形成されている。リブ36は、上側の軸受け部33の上部、及び、下側の軸受け部33の下部にそれぞれ形成されている。これらリブ36は、軸受け部33毎に、左右に離れて形成され、軸受け部33の切欠部よりも外方に位置する。
【0029】
また、カバー34は、回動体12を回動可能に支持する機能を備えるとともに、回動体12を介してロック体11をインナ部材5aの前面に押し付ける機能を備える。カバー34は、例えば四角形枠状に形成されている。
図5に示すように、カバー34の後側の上部及び下部に、軸受け部33に重ねられる軸受け部38が突設されている。これら軸受け部38の先端部である後端部には、軸受け部33の切欠部と協働して回動体12の軸部30を回動可能に保持する切欠部38aが形成されている。軸受け部38の幅は、例えばリブ36,36間と略等しく設定されており、軸受け部38とリブ36とによって、インナ部材5aに対するカバー34の左右方向の位置が規制される。したがって、リブ36がカバー34の左右方向の位置を規制する規制部の機能を有する。
【0030】
さらに、カバー34の後側には、カバー34をインナ部材5aに取り付けるための取付部39が突設されている。本実施の形態では、取付部39は、カバー34の左右両側にそれぞれ形成されている。取付部39は、インナ部材5aの前面に突設された取付受け部40に対し、爪嵌合などにより保持されることで、カバー34をインナ部材5aの前面に保持するようになっている。図示される例では、取付受け部40は、左右に離れて一対形成され、これら取付受け部40,40間にカバー34の両側部が配置される。したがって、取付受け部40は、カバー34の左右方向の位置を規制する規制部の機能を有する。
【0031】
そして、被操作体13は、操作ハンドル、あるいなノブなどとも呼ばれる。被操作体13は、可動的に設けられて、ロック装置1が取り付けられた第一部材と第二部材とのいずれか一方(本実施の形態では蓋部材5)から露出し、使用者の操作に応じて基体10に対して動作することによりロック体11を移動させてロック装置1によるロックを解除(アンロック)する部材である。使用者による被操作体13の回動操作が、ロック体11に伝達されるように構成されている。被操作体13は、その位置または姿勢が変わるように動作すれば、スライド可能な構成などとしてもよいが、本実施の形態では、被操作体13は、蓋部材5のアウタ部材5bに形成された開口部42から収納装置2の前方、例えば車室内に露出し、その開口部42に左右方向に回動可能に支持されている。図示される例では、被操作体13は、例えば正面から見て四角形状に形成された板状部材である。
【0032】
本実施の形態では、被操作体13は、ロック体11のいずれか一方、例えば他方のロック体11bと接続される。図示される例では、被操作体13は、加圧部45を備え、この加圧部45が、使用者の操作に伴い他方のロック体11bに形成された受圧部46と当接することで、ロック体11がロックの解除方向、本実施の形態では他方のロック体11bが左側へと、移動するように構成されている。すなわち、本実施の形態では、他方のロック体11bが、被操作体13から直接外力を受けて動作されるロック体であり、一方のロック体11aが、被操作体13の操作に対して一方及び他方の回動体12a,12bを介して間接的に動作されるロック体である。
【0033】
加圧部45及び受圧部46の形状は任意に構成してよいが、本実施の形態では、加圧部45は、被操作体13の後部に突設された一対の爪部であり、受圧部46は、他方のロック体11bの上下に形成された突出部である。
【0034】
また、好ましくは、ロック装置1は、ロック状態を付勢保持する付勢手段48を備える。付勢手段48は、ロック体11のロック部25がロック受け部15に挿入された状態を維持する方向へと、ロック体11あるいは被操作体13のいずれかを付勢する。本実施の形態では、付勢手段48は、インナ部材5aに形成された軸受け部50に保持され、他方のロック体11bとインナ部材5aとの間に設定されている。付勢手段48は、例えばコイルばね、あるいはトーションばねなどが好適に用いられる。付勢手段48の一方の腕部がインナ部材5aの軸受け部50に保持され、他方の腕部が一方のロック体11bに形成された溝状の付勢受け部51に保持される。
【0035】
そして、ロック装置1は、インナ部材5aに対し、一方及び他方のロック体11a,11bを、一及び他のガイド部21,22に保持するように前側から取り付けた後、一方及び他方の回動体12a,12bの軸部30,30を、一方及び他方のロック体11a,11bの前側から上下の軸受け部33の切欠部に嵌合させ、歯合部31,31を一方及び他方のロック体11a,11bの接続部26,26に歯合させる。さらに、カバー34を一方及び他方の回動体12a,12bの前側から、上下の軸受け部38をインナ部材5aの上下の軸受け部33に重ねつつ取付部39を取付受け部40に係合させることで、一方及び他方の回動体12a,12bを覆ってカバー34をインナ部材5aに取り付ける。また、付勢手段48を、インナ部材5aの軸受け部50と他方のロック体11bの付勢受け部51とに亘り、前側から取り付ける。そして、被操作体13を開口部42に取り付けたアウタ部材5bによりインナ部材5aを前側から覆って、ロック装置1を内蔵した蓋部材5が組み立てられる。このように、ロック装置1は、基本的に前側から部品を順次組み付けて組み立てられる。
【0036】
このように組み立てたロック装置1は、蓋部材5が開口部3を閉じた位置で、付勢手段48の付勢により、
図1(a)に示すように、一方及び他方のロック体11a,11bが左右に進出した位置で保持される。そこで、一方及び他方のロック体11a,11bのロック部25,25がロック受け部15,15に挿入された状態で保持され、蓋部材5を本体部4にロックする。
【0037】
また、ロック装置1によるロックを解除する際には、使用者が被操作体13を回動させると、被操作体13の加圧部45が他方のロック体11bの受圧部46に当接して受圧部46を介して他方のロック体11bを付勢に抗して押圧し、他方のロック体11bを左側へと移動させる。これにより、他方のロック体11bの接続部26に対して歯合部31が歯合されている他方の回動体12bが回動するとともに、この他方の回動体12bの歯合部31に対して歯合部31が歯合されている一方の回動体12aが、他方の回動体12bとは反対方向に回動する。そこで、一方の回動体12aの歯合部31に対して接続部26が歯合されている一方のロック体11aが、他方のロック体11bとは反対方向である右側に移動する。したがって、
図1(b)に示すように、各ロック体11のロック部25がロック受け部15から引き抜かれ、ロック装置1によるロックが解除される。
【0038】
上述したように、一実施の形態によれば、一方の回動体12aと他方の回動体12bとを、一方及び他方のロック体11a,11bの移動方向に並んで配置するとともに、一方のロック体11aと他方のロック体11bとの少なくとも一部を、一方及び他方の回動体12a,12bの軸方向に並んで配置することで、例えば回動体を挟んでロック体を配置する構成と比較して、
図2に示すように、一つのロック体11と回動体12との厚みt1分でロック装置1を構成できる。そのため、複雑な部品を必要とすることなく、一方及び他方の回動体12a,12bと一方及び他方のロック体11a,11bとからなる、部品点数を抑制した簡素で安価な構成で、省スペースで配置でき、限られたスペースへの取り付けが可能で、厚みを最小限に抑制した薄型のロック装置1を提供できる。
【0039】
また、一方の回動体12aと他方の回動体12bとが、互いに接触することで連動して回動するため、一方の回動体12aと他方の回動体12bとを、例えば別々の駆動装置を用いることなく、簡素な構成で互いに逆方向に連動して回動させることができる。そのため、例えば被操作体13の操作だけで一方の回動体12aと他方の回動体12bとを容易に駆動させることができる。
【0040】
一方及び他方の回動体12a,12bをピニオンとし、一方及び他方のロック体11a,11bが、ピニオンと歯合するラック部である接続部26を有することにより、簡素な構成で、ピニオンである一方及び他方の回動体12a,12bを介して一方のロック体11a,11bを容易かつ確実に連動させることができ、信頼性を向上できる。
【0041】
しかも、本実施の形態では、各回動体12a,12bについて、一つずつのラック部である接続部26を歯合させるため、2段のギヤ噛み合わせでよく、例えば一つのピニオンを一対のラック部で挟む従来例の構成のように3段のギヤ噛み合わせとする構成と比較して、組み付け時の速さ、及び、正確さに優位性があり、噛み合い精度を確保できる。
【0042】
さらに、ロック装置1は、基本的にロック体11、回動体12、カバー34、と、前側から順次組み付けて構成できるため、組み立ての作業性が良好である。
【0043】
また、カバー34により、回動体12を介してロック体11を前側からインナ部材5aの前面に押し付けて保持しているので、ロック体11がインナ部材5aの前面に全面接することができ、走行時の振動などに起因するロック体11のぶれによるがたつき音が発生しにくい。
【0044】
そして、上記のロック装置1を備えることで、ロック装置1の配置スペースが小さく、外形を大型化することなく収納容量を増加させた収納装置2を構成できる。
【0045】
しかも、ロック装置1は、蓋部材5の入り口付近にあるため、ロック装置1を薄型に構成できることにより、
図3に示すように、ロック装置1が配置されている被配置部の厚みt2を抑制して、蓋部材5を開いた状態での間口55を広く取ることができ、物品を出し入れしやすい収納装置2とすることができる。
【0046】
なお、一実施の形態において、一方及び他方の回動体12a,12bは、直接接触して互いに反対方向に回動するものに限らず、間に任意のギヤ列などを挟むことで、互いに反対方向に回動するように構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、例えば車両用の収納装置の蓋部材をロックするロック装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0048】
1 ロック装置
2 収納装置
3 開口部
4 第一部材である本体部
5 第二部材である蓋部材
11a 一方のロック体
11b 他方のロック体
12a 一方の回動体
12b 他方の回動体
26 ラック部である接続部