(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128738
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/10 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
H02K5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037905
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100120846
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 雅也
(72)【発明者】
【氏名】中野 智彰
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA02
5H605AA03
5H605BB05
5H605CC01
5H605CC03
5H605EA06
5H605EA16
(57)【要約】
【課題】部品数の増加を抑制することができる防塵・防水構造をモータに提供する。
【解決手段】モータ1は、シャフト2と、筒10を有するヨーク3と、ヨーク3に囲まれたステータ5と、シャフト2を支持する軸受6と、軸受6を保持するベース20とを備えている。ベース20は、ヨーク3の筒10に収容されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
筒を有するヨークと、
前記ヨークに囲まれたステータと、
前記シャフトを支持する軸受と、
前記軸受を保持するベースと、
を備え、
前記ベースは、前記ヨークの筒に収容されている、
モータ。
【請求項2】
前記ベースの外周部は、前記筒の内面に向かって延在しており、
前記シャフトの回転軸方向において、前記ベースの外周部と前記筒は対向している、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記ベースの外周部には、孔部が設けられており、
前記孔部にはブッシュが取り付けられており、
前記ブッシュを前記ステータと電気的に接続した配線が通過している、
請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ベースは、前記軸受と前記ステータとを保持しており、
径方向において、前記軸受と前記ステータとの間には、空間が形成されている、
請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記ヨークが取り付けられるロータと、
前記ロータに取り付けられるプロペラと、
を備える、
請求項1から4のいずれかに記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に開示されるように、モータ内部の防塵や防水を図るための防塵・防水構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の防塵・防水構造は、モータに新たな部品を追加することにより形成されるものであり、モータの部品数を多くしている。
【0005】
そこで、本発明は、部品数の増加を抑制することができる防塵・防水構造をモータに提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るモータは、シャフトと、筒を有するヨークと、前記ヨークに囲まれたステータと、前記シャフトを支持する軸受と、前記軸受を保持するベースと、を備え、前記ベースは、前記ヨークの筒に収容されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係るモータの外観を概略的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るモータの外観を概略的に示す他の斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るモータの軸線を含む平面による断面を示すモータの断面図である。
【
図4】
図3におけるベースの外周部及びヨークの筒の近傍を示す部分断面図である。
【
図5】ヨークの構成を概略的に示すヨーク単体の斜視図である。
【
図6】適用対象としてのドローンにおけるモータを示す斜視図である。
【
図7】適用対象としてのドローンにおけるモータを示す他の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るモータ1の外観を概略的に示す斜視図であり、
図2は、モータ1の外観を概略的に示す他の斜視図である。
図3は、モータ1の軸線Xを含む平面による断面を示すモータ1の断面図である。
図1~3に示されるように、モータ1は、シャフト2と、筒10を有するヨーク3と、ヨーク3に囲まれたステータ5と、シャフト2を支持する軸受6と、軸受6を保持するベース20とを備えている。ベース20は、ヨーク3の筒10に収容されている。以下、モータ1について具体的に説明する。なお、図において、複数の部材の全てに符号が付されておらず、符号が省略されている場合もある。
【0009】
モータ1は、例えば、アウターロータ型のブラシレスモータであり、
図1~3に示されるように、扁平な外形を有している。モータ1は、上述のようにステータ5を有しており、また、ロータ4を有している。ロータ4は、軸線Xを回転軸としてステータ5に回転可能に支持されている。なお、本実施形態の以下の説明において、軸線Xが延びる方向を軸線X方向と規定する。また、軸線X方向において、一方の方向側を上側と規定し、他方の方向側を下側と規定する。上側は、
図3において矢印aの方向の側であり、下側は、
図3において矢印b方向の側である。さらに、軸線Xに直交する方向を径方向と規定し、この径方向において、軸線Xに向かう側を内周側、又は径方向における内側と規定し、軸線Xから離れる側を外周側、又は径方向における外側と規定する。また、軸線X周りの方向を周方向と規定する。
【0010】
図2,3に示されるように、ベース20は、軸受6を保持するように作られており、また、ステータ5を保持するように作られている。ロータ4は、軸受6に支持されたシャフト2を有している。ロータ4の外周側の部分には、マグネット7とヨーク3とが取り付けられている。マグネット7は、軸線X周りに環状であり、また、ヨーク3は、軸線X周りに環状である。マグネット7は、外周側から隙間を介してステータ5を覆うように設けられている。ヨーク3は、外周側からマグネット7を介してステータ5を覆うように設けられている。また、ヨーク3は筒10を有している。筒10は、ヨーク3の部分であり、軸線X方向において、マグネット7より下側にあるヨーク3の部分である。
【0011】
ベース20は、具体的には例えば、
図3に示されるように、底部21と、内周側において底部21から上側に延びる部分である内壁部22と、外周側において底部21から上側に延びる部分である外壁部23と、底部21のから外周側に延びる部分である外周部24とを有している。
【0012】
底部21は、後述するように、モータ1が固定される部材である被固定部材に固定される部分である。底部21は、
図2に示されるように、軸線X周りに環状の部分であり、軸線X方向に背向する一対の面である上面21a及び下面21bと、径方向に背向する一対の内周面21c及び外周面21dとを有している。上面21a及び下面21bは、軸線X周りに環状の面であり、軸線Xに交差する平面に沿って広がっている。内周面21c及外周面21dは、軸線X周りに環状の面であり、軸線Xに沿って延びる筒状の面である。また、底部21は、底部21をモータ1の被固定部材に固定するための固定部材によって、被固定部材に固定可能になっており、例えば、固定部材としてのボルトが螺合されるボルト孔部21eが形成されている。ボルト孔部21eは、下面21bから上面21aに向かって形成されている。
【0013】
内壁部22は、軸受6を保持する部分である。内壁部22は、
図3に示されるように、軸線Xに沿って延びる筒状の部分である。内壁部22の内周側に面する面である内周面22aは、軸線Xを中心軸又は略中心軸とする円筒面又は略円筒面となっている。また、内壁部22は、上側の端部に、内周側に突出する環状の部分である鍔部22bを有している。内壁部22は、
図3に示されるように、底部21の上面21aから上側に延びており、また、底部21の上面21aの内周側の端部又は内周側の端部の近傍から延びている。
図3に示されるように、内壁部22の内周面22aが囲む空間は、底部21の内周面21cが囲む空間に連通している。また、内壁部22の内周面22aは、例えば
図3に示されるように、底部21の上面21aよりも軸線X方向において下側まで延びている。
【0014】
外壁部23は、ステータ5を保持する部分である。外壁部23は、
図3に示されるように、軸線Xに沿って延びる筒状の部分である。外壁部23の外周側に面する面である外周面23aは、軸線Xを中心軸又は略中心軸とする円筒面又は略円筒面となっている。外壁部23は、例えば
図3に示されるように、底部21の外周面21dよりも径方向において外周側に設けられており、底部21から外周側に向かって延びる環状の接続部25を介して底部21につながっている。接続部25は、
図2に示されるように、例えば、接続基部25aと、接続片25bとを有している。接続基部25aは、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円環状の部分であり、接続片25bは、接続基部25aを底部21につなげている環状の部分である。外壁部23は、接続基部25aから上側に延びている。
【0015】
外周部24は、ヨーク3の筒10の内面に向かって延在して、軸線X方向において筒10と対向するようになっている。外周部24は、例えば
図3,4に示されるように、接続部25の接続基部25aから外周側に向かって延びる、軸線x周りに円環状の板状の部分であり、軸線X方向に背向する一対の面である上面24a及び下面24bと、外周端面24cとを有している。上面24a及び下面24bは、軸線X周りに環状の面であり、軸線Xに直交する平面に沿って広がっている。外周端面24cは、上面24a及び下面24b夫々の外周側の端の間に延びている面であり、外周側に面している環状の面である。外周部24は、少なくとも下面24bの外周側の環状の部分が、軸線X方向においてヨーク3の筒部10に対向するように、接続部25の接続基部25aから外周側に延びている。また、外周部24の下面24bは、ヨーク3の筒部10に隙間を介して対向するようになっている。外周部24の下面24bは、具体的には例えば、
図3,4に示されるように、軸線Xに直交する平面に平行又は略平行に広がっている。
【0016】
図3,4に示されるように、外周部24には、ステータ5と電気的に接続した配線8を通すための孔部24dが形成されている。なお、
図4は、
図3における外周部24及び筒10の近傍を示す部分断面図である。孔部24dは、外周部24を上面24a及び下面24bとの間で貫通する孔である。孔部24dは、
図4に示されるように、径方向においてヨーク3の筒部10よりも内側に設けられている。孔部24dには、ブッシュ26が取り付けられている。配線8はブッシュ26を貫通しており、ブッシュ26は、孔部24dと孔部24dを通る配線8との間を密閉するようになっている。なお、外周部24には、1つの孔部24dが設けられていてもよく、2つ以上の孔部24dが設けられていてもよい。
【0017】
ベース20は、同一の材料から一体に形成された部材であり、底部21、内壁部22、外壁部23、外周部24、及び接続部25は夫々、一体に形成されたベース20の部分であり、一体につながっている。なお、底部21、内壁部22、外壁部23、外周部24、及び接続部25の少なくとも1つは、他の部分と別体として形成され、他の部分に取り付けられて一体となっていてもよい。ベース20は、例えばアルミニウム等の金属材料又は樹脂材料を含む非磁性材料から形成される。
【0018】
なお、ベース部20の底部21、内壁部22、外壁部23、及び接続部25の形態は、上述の形態に限られない。また、ベース部20は、接続部25を有していなくてもよく、この場合、外壁部23及び外周部24は、底部21に直接つながっている。また、ベース部20において、外周部24は、接続部25を介して底部21につながっておらず、底部21に直接つながっていてもよい。
【0019】
モータ1は、例えば2つの軸受6を有している。2つ軸受6は、
図3に示されるように、ベース20内壁部22の内周面22aに、軸線X方向に配列されて保持されている。軸受6は、内壁部22内に嵌め込まれて、接着剤によって内壁部22の内周面22aに固定されている。なお、軸受6は、内壁部22の内周面22aに圧入、中間嵌め、スキマ嵌め等の任意の方法により固定されてもよい。軸受6は、例えば、ボールベアリングである。なお、軸受6は、例えばスリーブベアリング等の他のベアリングであってもよい。
【0020】
図3に示されるように、ベース20の内壁部22の下側の端の開口には、例えば、薄板状の円盤形状に形成されたプッシャ27が固定される。プッシャ27は、ベース20の内壁部22の鍔部22bと協働して、軸受6に予圧を与える。プッシャ27の外周面には、例えば、雄ねじ(不図示)が形成されている。一方で、内壁部22の下端の開口における内周面22aには雌ねじ(不図示)が形成されている。こうしてプッシャ27は内壁部22の下端の開口にねじ込まれることによって、内壁部22の下端の開口に固定される。プッシャ27は例えばアルミニウム等の金属材料又は樹脂材料から形成される。なお、軸受6は、プッシャ27を用いた定位置予圧によって予圧を付与されているが、軸受6に予圧を与える方法はこれに限られない。例えば、軸受6とプッシャ27との間に、または、軸受6と鍔部22bとの間に、スプリングや板ばね等の弾性部材を配置し、軸受6に対して定圧予圧によって予圧を付与してもよい。
【0021】
図3に示されるように、ステータ5は、ベース20の外壁部23の外周面23aに固定されたステータコア5aと、ステータコア5aに巻かれた複数のコイル5bと、ステータコア5aと各コイル5bとの間に配置された複数のインシュレータ5cとを有している。ステータコア5aは、磁性材料である珪素鋼板等の積層体から形成されており、ステータ5のヨークとして機能する。
【0022】
図3に示されるように、径方向において、ステータ5とベース20の軸受6を保持する内壁部22との間には、環状の空間28が形成されている。
【0023】
ロータ4は、
図2に示されるように、軸受6、6を介してステータ5のベース20の内壁部22に回転可能に支持された概ね円盤状のホルダ31と、ホルダ31の外周端に取り付けられた円筒形状のヨーク3と、ヨーク3の内周面に取り付けられた環状のマグネット7とを有している。マグネット7の内周面は、ステータ5のステータコア5aの外周面に空隙を介して対向している。
【0024】
ホルダ31は、内周側に形成された概ね円筒形状のシャフト2と、外周側に形成された環状の外周部32と、シャフト2及び外周部32を相互に接続する接続部33とを有している。ホルダ31は、同一の材料から一体に形成された部材であり、シャフト2、外周部32、及び接続部33は夫々、一体に形成されたホルダ31の部分であり、一体につながっている。ホルダ31は、例えばアルミニウム等の金属材料又は樹脂材料から一体的に形成されている。なお、ホルダ31において、シャフト2と他の部分とは、互いに別体で形成されていてもよい。この場合、シャフト2と他の部分は、組み立てられて、一体のホルダ31を形成する。
【0025】
シャフト2は、軸線Xを中心軸又は略中心軸とする概ね円筒形状に形成されている。シャフト2は、シャフト2の上端から下端までシャフト2を貫通する貫通孔2aを有している。シャフト2は、軸受6、6の内輪に支持されている。例えば、シャフト2は、軸受6に接着剤を用いた接着によって固定されている。なお、シャフト2の軸受6への固定は、接着に限られない。例えば、軸受6、6が、圧入、中間嵌め、スキマ嵌め等、任意の方法によりシャフト2に固定されてもよい。また、シャフト2に貫通孔2aは形成されなくてもよく、シャフト2は中実の円柱形状を有してもよい。
【0026】
接続部33は、シャフト2と外周部32との間で径方向に延びている。接続部33は、中空の円盤状の形状を有しており、例えば、軸線X方向において上側から下側に向かうに連れて拡径するような形状となっている。
【0027】
外周部32は、接続部33の外周端から下側に延びる、軸線X周りの環状の部分である。外周部32の下端はマグネット7の上端に接触しており、マグネット7は、外周部32に受け止められている。外周部32の上端には、
図1に示されるように、後述するヨーク3の部分と係止可能に形成された被係止部32aが複数形成されている。被係止部32aは、例えば、凹部である。
【0028】
図5は、ヨーク3の構成を概略的に示すヨーク3単体の斜視図である。
図3,5に示されるように、ヨーク3は、軸線X周りに環状の部材であり、軸線Xに沿って筒状に延びている。ヨーク3は、例えば、軸線Xを中心軸又は略中心軸とする円筒形状又は略円筒形状の部分である取付部3aと、軸線Xに沿って筒状に延びている部分である筒10とを有している。筒10は、取付部3aから下側に延びている。ヨーク3は、同一の材料から一体に形成された部材であり、取付部3a及び筒10は夫々、一体に形成されたヨーク3の部分であり、一体につながっている。ヨーク3は、鉄等の磁性材料から形成されている。なお、ヨーク3は、無端環状の部材であってもよく、有端環状の部材であってもよい。
【0029】
ヨーク3の取付部3aの上端には、上側に向かって突出する係止部3bが複数設けられている。係止部3bは、
図1,5に示されるように、ロータ4の外周部32に形成された被係止部32aに係止されるようになっている。係止部3bは、例えば、内周側に突出する部分を有しており、この内周側に突出する部分が、ロータ4の被係止部32aに収容されて、係止部3bが被係止部32aに係止されるようになっている。係止部3bが被係止部32aに係止されることにより、ヨーク22はホルダ21に取り付けられる。
【0030】
ヨーク3の取付部3aの内周面には、マグネット7が取り付けられている。マグネット7は、例えば、接着剤を用いた接着によって、取付部3aに取り付けられている。マグネット7は、例えば、磁性材料から一体的に形成された永久磁石である。マグネット7は、例えば
図3に示されるように、軸線Xを中心軸又は略中心軸とする円筒形状又は略円筒形状を有している。マグネット7は、S極に着磁されたS極領域と、N極に着磁されたN極領域とを有している。S極領域とN極領域とは周方向に交互に配置されている。マグネット7は、単体のマグネットを環状にして形成してもよく、複数のマグネットを環状につなげて形成してもよい。
【0031】
ヨーク3の筒10は、上述のように、ベース20を収容するようになっている。また、ヨーク3の筒10は、ベース20の外周部24が筒10の内面に向かって延在するようになっており、ベース20の外周部24の下面24bが軸線X方向において筒10に隙間を介して対向するようになっている。
図4に示されるように、筒10は、例えば、径方向に延びる環状の部分である対向部11と、対向部11とヨーク3の取付部3aとの間に延びて、取付部3aの下端につながる部分である接続部12とを有している。接続部12は、軸線X周りに環状の部分であり、例えば
図4に示されるように、軸線X方向において上側から下側に向かうに連れて縮径するような形状を有している。接続部12の内周面12aが、径方向において、ベース20の外周部24の外側端部24cに対向するように、接続部12は形成されている。
【0032】
対向部11は、接続部12の下端から内周側に向かって延びている板状の部分である。対向部11は、例えば
図4に示されるように、軸線X方向において背向する一対の面である上面13及び下面14と、内周端面15とを有している。上面13は、上側に面する面であり、下面14は、下側に面する面である。内周端面15は、上面13及び下面14夫々の内周側の端の間に延びる面である。上面13及び下面14は、軸線X周りに円環状の面であり、軸線Xに直交する平面に沿って延びている。内周端面15は、軸線X周りに環状の面である。
【0033】
筒10の対向部11は、軸線X方向においてベース20の外周部24の少なくとも外周側の一部と隙間Sを介して対向するように、内周側に延びている。この隙間Sは、ラビリンスシールとして機能するような幅を有しており、筒10の対向部11とベース20の外周部24とは、ラビリンス構造を形成している。なお、隙間Sの幅とは、軸線X方向における隙間Sの幅である。
【0034】
対向部11は、例えば
図4に示されるように、径方向において、ベース20の外周部24の孔部24dの近傍まで延びている。ただし、軸線X方向において対向部11と孔部24dとは重なっておらず、対向部11の内周端面15は、孔部24dよりも径方向において外側に位置している。これにより、対向部11がブッシュ26や配線8に干渉しないようになっている。
【0035】
対向部11の上面13は、例えば
図4に示されるように、軸線Xに交差する平面に平行又は略平行であり、外周部24の下面24bは、例えば
図4に示されるように、軸線Xに交差する平面に平行又は略平行である。この場合、ラビリンスシールとして機能する隙間Sは、径方向に延びる、幅が一様又は略一様は隙間となる。隙間Sの形態は、これに限られず、ラビリンスシールとして機能する形態であれば他の形態であってもよい。例えば、対向部11の上面13は、外周側に向かって径方向に対して傾いており、同様に、外周部24の下面24bは、外周側に向かって径方向に対して傾いており、隙間Sは、外周側に向かって径方向に対して傾いていてもよい。具体的には例えば、隙間Sは、外周側に向かって、径方向に対して上側又は下側に傾いていてもよい。また、例えば、対向部11の上面13と外周部24の下面24bとは、互いに平行でなくてもよく、隙間Sの幅は一様でなくてもよい。具体的には例えば、隙間Sの幅は、外周側に向かって増加又は減少していてもよい。また、例えば、対向部11の上面13は、曲面又は曲面と平面とが組み合わされた面であってもよく、同様に、外周部24の下面24bは、曲面又は曲面と平面とが組み合わされた面であってもよく、隙間Sは、曲面に沿った隙間又は曲面と平面とが組み合わされた面に沿った隙間であってもよい。また、例えば、対向部11の上面13と、外周部24の下面24bとは、軸線Xを含む平面による断面において、同じ形状でなくてもよい。
【0036】
モータ1は、上述のような構成を有しており、ステータ5のコイル5bに電流が流れると、マグネット7で生じた磁界との相互作用により、ステータ5に対してロータ4が軸線X回りに回転する。こうしてロータ4に取り付けられた回転部材(図示せず)が、ステータ5に取り付けられた外部機器(図示せず)に対して相対回転する。
【0037】
また、ヨーク3の筒部10の対向部11と、ベース20の外周部24とは、上述のようにラビリンスシールとして機能する隙間Sを形成しており、ラビリンス構造となっている。このように、ロータ4とステータ5との間の隙間は、ラビリンスシールとして機能する隙間Sとなっている。また、配線8が通るベース20の外周部24の孔部24dは、ブッシュ26によって密封されている。また、ロータ4のホルダ31の接続部25には孔が形成されていない。このように、モータ1は、防塵・防水機能を有している。また、ラビリンス構造は、モータの構成部品であるヨーク及びベースによって形成されており、モータ1は、ラビリンスシールとして機能する隙間Sを形成するために、モータの構成部品ではない新たな部品を追加することはなく、モータ1の部品数を多くすることはない。なお、モータ1のベース20の底部21は、モータ1の被固定部材に底部21が取り付けられて、底部21の下面21bが被固定部材に接触することにより、密封される。
【0038】
また、ラビリンスシールとして機能する隙間Sは、モータ1の下側に設けられている。モータ1の下側は、比較的、塵や埃、水等の異物に曝されにくい。このため、隙間Sのラビリンスシールとしての機能を、より効果的にすることができる。
【0039】
このように、本発明の実施形態に係るモータ1によれば、部品数の増加を抑制することができる防塵・防水構造をモータに提供することができる。
【0040】
次に、モータ1の組み立てについて説明する。モータ1は、ベース20に、軸受6、ステータ5、ブッシュ26等が取り付けられ、軸受6にロータ4のホルダ31が取り付けられた後に、マグネット7が取り付けられたヨーク3が下側から取り付けられ、組み立てられる。
【0041】
次に、モータ1の適用対象について説明する。モータ1は、例えば、ドローン用のモータであり、
図6,7に示されるように、ドローン50に使用される。ドローン50において、ベース20の底部21の下面21bが、モータ1の被固定部材であるドローン50の腕部51に固定され、ドローン50にモータ1が取り付けられる。また、モータ1のホルダ31にプロペラ52が取り付けられる。なお、モータ1の適用対象は、ドローンに限られない。
【0042】
以上、上記実施形態を通じて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に様々な変更又は改良を加えることができることが当業者には明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0043】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、上述の実施形態は、本発明が利用される利用対象を限定するものではなく、本発明はあらゆるものをその利用対象として含み得る。上記実施形態が備える各構成要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。例えば、本発明は、製造上の公差等の実施において発生する差を含むものである。また、技術的に矛盾しない範囲において、異なる実施形態で示した構成要素同士を部分的に置換し又は組み合わせることができる。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 モータ、2 シャフト、3 ヨーク、3a 取付部、3b 係止部、4 ロータ、5 ステータ、5a ステータコア、5b コイル、5c インシュレータ、6 軸受、7 マグネット、8 配線、10 筒、11 対向部、12 接続部、12a 内周面、13 上面、14下面、15 内周端面、20 ベース、21 底部、21a 上面、21b 下面、21c 内周面、21d 外周面、21e ボルト孔部、22 内壁部、22a 内周面、22b 鍔部、23 外壁部、23a 外周面、24 外周部、24a 上面、24b 下面、24c 外周端面、24d 孔部、25 接続部、25a 接続基部、25b 接続片、26 ブッシュ、27 プッシャ、28 空間、31 ホルダ、32 外周部、32a 被係止部、33 接続部、50 ドローン、51 腕部、52 プロペラ、S 隙間、X 軸線