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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128739
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】食材切断刃の洗浄用治具
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/00 20060101AFI20240913BHJP
   B26D 7/22 20060101ALI20240913BHJP
   B26D 1/02 20060101ALI20240913BHJP
   B26D 3/24 20060101ALI20240913BHJP
   A23L 7/10 20160101ALN20240913BHJP
【FI】
B26D3/00 602A
B26D7/22 A
B26D1/02 C
B26D3/24 Z
A23L7/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037908
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】河野 哲也
【テーマコード(参考)】
3C021
4B023
【Fターム(参考)】
3C021HA02
4B023LE16
4B023LT33
4B023LT64
(57)【要約】
【課題】棒状食材を切断する食材切断刃の洗浄作業を安全かつ確実に行うことができる食切断刃の洗浄用治具を得る。
【解決手段】食材切断刃の洗浄用治具20は、棒状食材切断装置の筐体に着脱自在に装着される切断フレーム11に取り付けられ、切断刃17を洗浄するときに使用される。切断刃17の刃先18に対向させて切断フレーム11の刃枠体14に洗浄用治具20は取り付けられ、洗浄用治具20は切断刃17を覆うガード板21と、ガード板21に設けられガード板21を切断フレーム11に固定するマグネット31a、31bと、ガード板21に形成されて洗浄液を切断刃に案内する多数の貫通孔32とを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦枠片と横枠片を備えた刃枠体および前記縦枠片に沿って相互に平行に延び前記横枠片に取り付けられる複数の切断刃を備え棒状食材切断装置の筐体に着脱自在に装着される切断フレームに、切断刃の洗浄時に取り付けられる食材切断刃の洗浄用治具であって、
前記切断刃の刃先に対向させて前記刃枠体に取り付けられ、前記切断刃を覆うガード板と、
前記ガード板に設けられ、前記ガード板を前記切断フレームに固定する固定部材と、
前記ガード板に形成され、洗浄液を前記切断刃に案内する多数の貫通孔と、
を有することを特徴とする食材切断刃の洗浄用治具。
【請求項2】
前記縦枠片に設けられた刃枠側把手に隣り合う治具側把手を前記ガード板に設け、前記刃枠側把手と前記治具側把手とを同時に握ることができるようにした、
ことを特徴とする請求項1記載の食材切断刃の洗浄用治具。
【請求項3】
前記ガード板の外周に前記ガード板の背面側に屈曲した外周フランジを設けるとともに、相互に平行をなす前記外周フランジの内側に補強フランジを設け、前記ガード板を樹脂材料により成形した、
ことを特徴とする請求項1記載の食材切断刃の洗浄用治具。
【請求項4】
前記固定部材は、磁性材料からなる前記切断フレームに磁気吸着するマグネットである、
ことを特徴とする請求項1記載の食材切断刃の洗浄用治具。
【請求項5】
前記貫通孔は正六角形であり、ハニカム形状に多数の前記貫通孔を前記ガード板に形成した、
ことを特徴する請求項1記載の食材切断刃の洗浄用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き寿司等の棒状食材を切断する食材切断刃の洗浄用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
巻き寿司等の棒状食材を複数個に切断するための棒状食材切断装置が、特許文献1に記載されている。この切断装置は、棒状食材を支持して移動する可動テーブルと、複数本の切断刃が設けられた刃枠つまり刃枠体とを有し、刃枠体は筐体に固定されている。可動テーブルは棒状食材が搭載される搭載位置と、棒状食材を取り出す取出位置との間を往復移動し、搭載位置において搭載された切断前の棒状食材は、可動テーブルにより切断刃に沿って移動しながら切断刃に押し付けられ切断されて取出位置にまで搬送される。取出位置まで搬送されると、棒状食材は複数に切断された状態になる。
【0003】
可動テーブルを搭載位置と取出位置との間を駆動するために、モータにより回転駆動される駆動側のプーリと、駆動側のプーリと従動側のプーリとに掛け渡されるベルトとを備えた駆動機構が切断装置に組み込まれている。可動テーブルはベルトに取り付けられており、モータによりベルトを介して搭載位置と取出位置との間で駆動される。
【0004】
特許文献2に記載される巻き寿司の切断装置は、巻き寿司を支持して上下方向に移動する受け台と、受け台を上下方向に案内するガイドと、駆動側と従動側のプーリに掛け渡されて受け台が連結される無端ベルトと、筐体に固定された刃枠体とを備えており、巻き寿司は搭載位置から取出位置に搬送されて切断刃に押し付けられる過程で複数本の切断刃によって切断される。
【0005】
特許文献3に記載される巻寿司の切断装置は、先端部に巻寿司受が設けられ基端部にフランジが設けられた昇降回動腕と、下端部が水平軸を中心に回動する切断刃枠と、切断刃枠の上端部とフランジとの間に連結された動作用連結杆とを有している。モータによりフランジを回動させると、昇降用回動腕により巻寿司受が切断刃枠に向けて上昇移動するとともに切断刃枠の上端部は下降移動し、巻寿司は複数個に切断される。
【0006】
上述のように、特許文献1、2に記載される切断刃は固定式であるのに対し、特許文献3に記載される切断刃は、昇降回動腕により巻寿司受が上昇するのに伴って、上端部が下降移動するように下端部を中心に回動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-181646号公報
【特許文献2】特開2001-212789号公報
【特許文献3】特開2012-95625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載される棒状食材切断装置の可動テーブルには、切断刃に付着した残渣を除去するためのクリーナが設けられており、クリーナは可動テーブルが取出し位置から搭載位置に移動するときに、切断刃に接触するクリーニング部材を有している。このように、クリーナを食材切断装置に設けると、装置が複雑となってしまい、製造コストが高くなる。
【0009】
クリーナを備えていない食材切断装置においては、複数の切断刃が相互に平行なって組み込まれた四辺形の刃枠つまり刃枠体を食材切断装置から取り外して、洗浄器により切断刃を洗浄するようにしている。作業者が刃枠を操作して切断刃に直接スポンジを当てて洗浄すると、切断刃のシャープな刃先に触れて手や指を傷つけてしまうおそれがある。
【0010】
そこで、食材切断装置から取り外した刃枠を操作して刃先に触れないように切断刃の洗浄を行うために、刃先を覆うように刃枠に装着するようにしたガード板が開発されている。しかしながら、これまで開発されたガード板は、ガード板の側辺を刃枠に引っ掛ける形式であり、ガード板を刃枠に取り付ける際に刃先に触れる恐れがある。また、ガード板を刃先に接触させた状態で切断刃を洗浄すると、ガード板により洗浄液の流れが阻害され、刃先に汚れが残る場合がある。一方、刃先とガード板との間の隙間を大きくすると、洗浄作業に手や指を傷つける恐れがあり、刃先に触れないように洗浄を行うと、汚れが切断刃に残る場合がある。
【0011】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、棒状食材を切断する食材切断刃の洗浄作業を安全かつ確実に行うことができる食切断刃の洗浄用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の食材切断刃の洗浄治具は、縦枠片と横枠片を備えた刃枠体および前記縦枠片に沿って相互に平行に延び前記横枠片に取り付けられる複数の切断刃を備え棒状食材切断装置の筐体に着脱自在に装着される切断フレームに、切断刃の洗浄時に取り付けられる食材切断刃の洗浄用治具であって、前記切断刃の刃先に対向させて前記刃枠体に取り付けられ、前記切断刃を覆うガード板と、前記ガード板に設けられ、前記ガード板を前記切断フレームに固定する固定部材と、前記ガード板に形成され、洗浄液を前記切断刃に案内する多数の貫通孔と、を有することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の食材切断刃の洗浄用治具は、上記請求項1に記載の発明において、前記縦枠片に設けられた刃枠側把手に隣り合う治具側把手を前記ガード板に設け、前記刃枠側把手と前記治具側把手とを同時に握ることができるようにした、ことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の本発明の食材切断刃の洗浄用治具は、上記請求項1において、前記ガード板の外周に前記ガード板の背面側に屈曲した外周フランジを設けるとともに、相互に平行をなす前記外周フランジの内側に補強フランジを設け、前記ガード板を樹脂材料により成形した、ことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の本発明の食材切断刃の洗浄用治具は、上記請求項1において、前記固定部材は、磁性材料からなる前記切断フレームに磁気吸着するマグネットである、ことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の本発明の食材切断刃の洗浄用治具は、前記貫通孔は正六角形であり、ハニカム形状に多数の前記貫通孔を前記ガード板に形成した、ことを特徴する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、棒状食材切断装置の筐体から取り外された切断フレームに洗浄用治具を装着すると、切断フレームの切断刃に対向するガード板には多数の貫通孔が形成されているので、洗浄液が貫通孔を通過して切断刃の刃先に確実に供給され、作業者は安全かつ確実に切断刃を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】巻寿司が搭載位置に搭載された状態の巻寿司切断装置を示す斜視図である。
図2】巻寿司が取出位置まで搬送された状態の巻寿司切断装置を示す斜視図である。
図3】保護カバーが取り除かれた状態の巻寿司切断装置を示す斜視図である。
図4】巻寿司切断装置の筐体から取り外した切断フレームと、本発明の一実施の形態である食材切断刃の洗浄用治具とを対向させた状態を示す斜視図である。
図5】食材切断刃の洗浄用治具の背面側を示す斜視図である。
図6】(A)は食材切断刃の洗浄用治具の正面図であり、(B)は食材切断刃の洗浄用治具の背面図である。
図7】切断フレームに装着された洗浄用治具の背面側を示す斜視図である。
図8図7の正面図である。
図9】(A)は図8における補強リブの部分を示す断面図であり、(B)は図8における補強リブ以外の部分を示す断面図である。
図10】洗浄用治具が装着された切断フレームを洗浄器により洗浄している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
棒状食材切断装置の一例である巻寿司切断装置Mは、図1および図2に示すように、たとえば海藻巻きや玉子巻き等の巻寿司(棒状食材)Rを所定の間隔で複数個に切断するために用いられる装置であり、筐体1を有している。筐体1は上下方向に延びる左右の側壁板2a、2bと、筐体1の前面の上下方向中央部に着脱自在に設けられた保護カバー3とを有し、筐体1の下端部には切断対象である巻寿司Rを搭載するための搭載口4が設けられている。筐体1の上端部には開閉蓋5が設けられており、図2に示すように開閉蓋5が開かれると、筐体1の上端部に設けられた取出口6が外部に露出される。取出口6は搭載口4よりも筐体1の背面側にずれている。
【0021】
筐体1には巻寿司Rを支持する可動テーブル7が移動自在に設けられており、可動テーブル7は筐体1に設けられた図示しないガイドロッドに案内されて、搭載口4と取出口6の間を往復移動する。可動テーブル7を移動させるための図示しない駆動機構は、特許文献1と同様に、筐体の左右両側の上端と下端とに設けられたプーリと、正逆両方向に回転するモータと、プーリおよびモータの出力軸に掛け渡されて可動テーブル7が固定されたベルトとを備えている。モータによってベルトが所定の長さにわたって正逆両方向に移動することにより、可動テーブル7は搭載口4の位置と取出口6の位置との間を上下方向に往復動する。
【0022】
可動テーブル7は底板部7aと起立部7bとを備え、左右方向に所定の間隔を設けて複数のスリット8が可動テーブル7に形成されている。このスリット8は巻寿司の切断位置となるもので、後述する切断刃がスリット8に進入することにより、底板部7aの上で複数個に切断される。底板部7aの左右方向の両端部には巻寿司Rの左右方向の位置を規制する規制板9が設けられており、規制板9によって、切断された巻寿司の両端の大きさは他の部位の大きさに揃えられる。
【0023】
左右の側壁板2a、2bの前面下部には、巻寿司の切断操作を行うときに押下される2つの駆動ボタン10が設けられている。両方の駆動ボタン10が操作されると、可動テーブル7は搭載口4の位置から取出口6の位置まで駆動されるとともに、開閉蓋5が自動的に開放される。取出位置の可動テーブル7から切断された巻寿司が取り除かれた後に、いずれか一方の駆動ボタン10が操作されると、可動テーブル7は搭載口4の位置に戻される。
【0024】
図3は保護カバー3が取り外された状態の巻寿司切断装置Mを示す斜視図であり、筐体1の正面から保護カバー3が取り外されると、筐体1に装着された切断フレーム11が外部に露出される。切断フレーム11は筐体1の正面側に着脱自在に装着されている。
【0025】
図4は筐体1から取り外された切断フレーム11の正面側つまり外面側を示す斜視図であり、切断フレーム11は、左右2本の金属製の縦枠片12a、12bと、縦枠片12a、12bの両端部に取り付けられた金属製の横枠片13a、13bとを備えた四辺形の刃枠体14を有している。
【0026】
それぞれの縦枠片12a、12bの長手方向中央部には、把手15a、15bが取り付けられており、それぞれ刃枠側把手を構成している。それぞれの把手15a、15bは縦枠片12a、12bとともに四辺形の枠を形成し、内部に作業者の手が入り込む開口部16a、16bが形成されている。刃枠体14は複数の切断刃17を有しており、それぞれの切断刃17は相互に平行となって縦枠片12a、12bに沿って延びており、横枠片13a、13bに端部が固定されている。それぞれの切断刃17は、帯状の金属材料により形成されており、切断フレーム11が筐体1に取り付けられると、切断刃17は幅方向が筐体1の前後方向を向く。切断刃17の刃先18は、切断フレーム11の内面側となっている。
【0027】
切断フレーム11は、図3に示すように、下端部つまり切断開始部よりも上端部つまり切断終了部が筐体1の後方にずれており、前後方向に傾斜して筐体1に装着される。この傾斜角度は、可動テーブル7の搭載位置と取出位置との間における傾斜角度よりも大きく設定されている。これにより、筐体1の搭載口4の位置の可動テーブル7に搭載された棒状食材としての巻寿司Rは、可動テーブル7が搭載口4から取出口6に移動すると、切断刃17により複数個に切断される。この切断時には切断刃17は可動テーブル7のスリット8に刃先18側から入り込む。
【0028】
切断フレーム11の外側面と内側面は、図3に示すように、筐体1に装着された状態を基準としており、切断フレーム11の外側面側に把手15a、15bが突出し、刃先18は内側面を向いている。刃枠体14を構成する枠片は切断刃17と平行な枠片を縦枠片とし、これに対して横方向に延びる枠辺を横枠片とする。
【0029】
図4は巻寿司切断装置の筐体から取り外した切断フレームの内側面に、本発明の一実施の形態である食材切断刃の洗浄用治具の正面側を対向させた状態を示す斜視図である。図5は食材切断刃の洗浄用治具の背面側を示す斜視図である。図6(A)は食材切断刃の洗浄用治具の正面図であり、図6(B)は食材切断刃の洗浄用治具の背面図である。
【0030】
洗浄用治具20は、図4および図5に示すように、角部が円弧状に形成されたほぼ四辺形の樹脂製のガード板21を有している。ガード板21は切断フレーム11の刃枠体14の内周面よりもやや小型のサイズであり、刃枠体14の内側に僅かに入り込むようになっている。ガード板21は切断刃17の刃先18に対応する面を正面とし、反対側の面を背面とする。
【0031】
ガード板21の外周には背面側に屈曲した外周フランジ22が設けられている。外周フランジ22は切断フレーム11に装着されると、縦枠片12aに沿って延びる縦フランジ23aと、縦枠片12bに沿って延びる縦フランジ23bと、横枠片13aに沿って延びる横フランジ24aと、横枠片13bに沿って延びる横フランジ24bとを有し、これらは図5に示すように、ループ状に連なっている。
【0032】
ガード板21にはそれぞれの縦フランジ23a、23bに隣接させて開口部25a、25bが形成されており、図5に示すように、それぞれの開口部25a、25bの内周に位置させてガード板21の背面側には仕切り枠26a、26bが設けられている。それぞれの仕切り枠26a、26bは補強フランジ27により連結され、縦フランジ23a、23bは2本の補強フランジ28a、28bにより連結されている。これらの補強フランジ27、28a、28bは相互に平行となって外周フランジ22の内側つまり外周フランジ22により囲まれる領域に設けられている。
【0033】
洗浄用治具20は樹脂材料により成形されており、ガード板21に外周フランジ22、補強フランジ27、28a、28bを設けると、樹脂製の洗浄用治具20の強度が高められ、ガード板21の厚みを薄くすることができる。
【0034】
ガード板21の正面側には、それぞれの縦フランジ23a、23bに隣接させて縦フランジの長手方向中央部に位置させて把手29a、29bが設けられている。それぞれの把手29a、29bは治具側把手を構成しており、刃枠側把手の開口部16a、16bに対応する開口部30a、30bを有し、それぞれの開口部30a、30bには作業者が手を入り込ませることができる。
【0035】
図7は切断フレームに装着された洗浄用治具の背面側を正面として示す斜視図であり、図8図7の正面図である。
【0036】
洗浄用治具20はその正面が切断フレーム11の内面に対向して切断フレーム11に装着される。これにより、ガード板21の正面は切断刃17の刃先18に刃先18を覆うように対向する。洗浄用治具20を切断フレーム11に装着すると、洗浄用治具20の外周面の一部は刃枠体14の内周面に対向する。つまり、洗浄用治具20は刃枠体14の内側に部分的に入り込む。
【0037】
このように、洗浄用治具20を切断フレーム11に装着したときに、洗浄用治具20を切断フレーム11に固定するための固定部材として、図4および図5に示すように、縦フランジ23a、23bには、永久磁石つまりマグネット31a、31bが取り付けられている。それぞれのマグネット31a、31bは、縦フランジ23a、23bに組み込まれており、樹脂製のガード板21を成型するときに、インサート成型される。
【0038】
洗浄用治具20を切断フレーム11に装着すると、それぞれのマグネット31a、31bは磁性材料である金属製の切断フレーム11の縦枠片12a、12bに磁気吸着され、洗浄用治具20は切断フレーム11に固定される。洗浄用治具20を切断フレーム11に固定するための固定部材としては、マグネット31a、31bに限られることはなく、洗浄用治具20を切断フレーム11に係合させる係合部材、あるいは挟み込む挟持部材等を用いることができる。ただし、マグネット31a、31bを用いることにより、作業者は、洗浄用治具20を切断フレーム11に装着し、装着後に取り外すことを容易に行うことができる。
【0039】
ガード板21には多数の貫通孔32が設けられている。図4図6に示すように、貫通孔32は正六角形であり、隣り合う貫通孔32相互間の間隔が全体的に均一に設定されている。これにより、ハニカム形状に多数の貫通孔32がガード板21に形成されており、ハニカム形状の貫通孔群は、全ての切断刃17の刃先18を覆うように、切断刃17に対向している。それぞれの貫通孔32の形状としては、正六角形に限られず、丸形あるいは様々な多角形とすることが可能であるが、正六角形としてガード板21にハニカム形状の貫通孔群を形成すると、貫通孔32相互の間隔を細くしてもガード板21の強度を保つことができる。
【0040】
図8および図9に示すように、洗浄用治具20を切断フレーム11に装着すると、切断刃17はガード板21や補強フランジ28a、28bにより覆われる部分が僅かであり、洗浄作業においては、貫通孔32を介して洗浄液が確実に切断刃17の刃先18に供給される。これにより、確実に切断刃17に付着した残渣を除去することができる。図9に示すように、切断刃17の刃先18がガード板21にほぼ接触する位置までガード板21を刃先18に接近させても、刃先18のほとんどの部分は貫通孔32に対向しており、確実に洗浄液が刃先18に案内される。刃先18とガード板21との間に、数ミリ程度の僅かな隙間を発生させても、洗浄作業時に作業者の指に刃先18が接触することを防止できるとともに、洗浄液を刃先18全体に案内することができる。
【0041】
図10は洗浄用治具が装着された切断フレームを洗浄器により洗浄している状態を示す斜視図である。
【0042】
切断フレーム11に洗浄用治具20を装着した状態として、図10に示すように、洗浄器33に注入された洗浄液34に切断フレーム11を浸す。このときには、刃枠側把手としての把手15a、15bと、治具側把手としての把手29a、29bが隣り合った状態となるので、作業者は、隣り合う2つの把手15a、29aを一方の手で同時に握り、他方の手で2つの把手15b、29bを同時に握って容易に切断フレーム11と洗浄用治具20とを洗浄液34に浸して、洗浄作業を行うことができる。
【0043】
切断フレーム11に洗浄用治具20を取り付けると、洗浄時には切断フレーム11の刃先18はガード板21により覆われるので、洗浄作業を行う作業者の手や指が刃先18に触れることが防止され、安全に洗浄作業を行うことができる。洗浄器33の底面側から洗浄液34に向けて、洗浄液34や気体を供給すると、噴流が刃先18に吹き付けられるので、より確実に切断刃17に付着した残渣を取り除くことができる。
【0044】
図4および図5に示すように、ガード板21の四隅には、貫通孔32よりも内径の大きい案内孔35が形成されており、切断フレーム11を洗浄液34に浸すと、洗浄液34は案内孔35および開口部16a、16bを通過してガード板21の正面側に流入する。これにより、切断刃17に沿って多量の洗浄液34が流れることになり、より効率的に洗浄効率を高めることができる。
【0045】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0046】
たとえば、洗浄処理を行うことができる切断フレームは、巻寿司を切断するための巻寿司切断装置のみならず、棒状食材を切断するための様々な食材切断装置の切断フレームに適用することができる。たとえば、玉子巻等の巻寿司以外に、伊達巻、棒状に成形された練り物(蒲鉾、薩摩揚げなど)、厚焼き玉子、棒状にカットした肉製品、キュウリ等の棒状の野菜などを切断するための装置を構成する切断フレームであれば、本発明の洗浄用治具を用いて洗浄処理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
洗浄用治具は、巻寿司などのように棒状の食材を切断対象とする棒状食材切断装置に設けられた切断フレームを洗浄するために使用される。洗浄用治具を切断フレームに取り付けた状態で洗浄作業を行うと、作業者が指や手を傷つけることなく、容易に切断刃を洗浄することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 筐体
2a、2b 側壁板
3 保護カバー
4 搭載口
5 開閉蓋
6 取出口
7 可動テーブル
7a 底板部
7b 起立部
8 スリット
9 規制板
10 駆動ボタン
11 切断フレーム
12a、12b 縦枠片
13a、13b 横枠片
14 刃枠体
15a、15b 把手
16a、16a 開口部
17 切断刃
18 刃先
20 洗浄用治具
21 ガード板
22 外周フランジ
23a、23b 縦フランジ
24a、24b 横フランジ
25a、25b 開口部
26a、26b 仕切り枠
27 補強フランジ
28a、28b 補強フランジ
29a、29b 把手
30a、30b 開口部
31a、31b マグネット
32 貫通孔
33 洗浄器
34 洗浄液
35 案内孔
M 巻寿司切断装置(棒状食材切断装置)
R 巻寿司(棒状食材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10