(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128749
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】エンジン用インシュレータ
(51)【国際特許分類】
F02F 7/00 20060101AFI20240913BHJP
F01N 1/24 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
F02F7/00 G
F01N1/24 F
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037924
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】田中 敦士
【テーマコード(参考)】
3G004
3G024
【Fターム(参考)】
3G004BA01
3G004BA04
3G024AA11
3G024FA01
3G024FA05
3G024FA10
3G024GA10
(57)【要約】
【課題】排気マニホールドを覆うインシュレータに関し、剛性アップと締結作業性向上とを図る。
【解決手段】インシュレータ8は、上面部21aと壁部21b~21dとからなるシェル構造を成した第1部分21と、第1部分21における上面部21aの基端から立ち上がった第2部分22と、第2部分22の上端からシリンダヘッド2の側に延出された第3部分23とで構成されている。上面部21aと第2部分22と第3部分23とが階段状に連続しているため、それらが補強し合って、インシュレータ8の剛性が格段に向上する。締結は第2部分22の左右両端部と第1部分21の先端壁部21cとで行われるが、これらはいずれも略鉛直姿勢になっているため、締結手段として左右長手のスタッドボルトを使用できると共に、種類のレンチで姿勢を変えることなく締結作業を行える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として排気マニホールドから放射される熱を遮るインシュレータであって、
上面部とこれに連続した壁部とを有して前記排気マニホールドを覆う第1部分と、前記第1部分のうちシリンダヘッドに近い基端縁から立ち上がった第2部分と、前記第2部分の上端から前記シリンダヘッドに向けて延びる第3部分とを有しており、
前記第2部分に、前記排気マニホールド又はシリンダヘッドに固定される締結部を設けている、
エンジン用インシュレータ。
【請求項2】
前記第2部分のうちクランク軸線方向に向いた両端部に、前記締結部と成した上向き突部が形成されており、前記第2部分及び第3部分は、前記第2部分における両上向き突部の間で下向きに凹んでいる、
請求項1に記載したエンジン用インシュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、自動車用等のエンジンの排気側に配置される遮熱用インシュレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンの排気ガスは排気マニホールドから排出されるが、排気マニホールドは高温になるため、金属板製のインシュレータによって遮熱していることが多い。このインシュレータは排気マニホールドを覆う形態になっているが、排気マニホールドはシリンダヘッドから横方向に向いてのち下方に向かうように曲がっているため、インシュレータも、特許文献1,2に開示されているように、排気マニホールドを上から覆う上面部と側方(外周方向)から覆う壁部とを有してシェル構造になっている。
【0003】
そして、インシュレータは、一般に、上面部と壁部とがそれぞれボルトで排気マニホールドに固定されている。このため、排気マニホールドには、インシュレータを固定するためのブラケット部が設けられている。
【0004】
さて、シリンダヘッドの排気側面には、排気マニホールドが固定されるランド部(ボス部)がクランク軸線方向に長い状態で形成されていて、ランド部に排気ポートが開口しているが、ランド部の上方に、排気ポートやウォータジャケットなどとの関係で内側に抉られたような凹部が存在することがある。
【0005】
そこで、特許文献1では、自動車用エンジンのインシュレータに関して、インシュレータの上面部に、シリンダヘッドの凹部に入り込んだ延長部を設けて、この延長部を利用して走行風をインシュレータで囲われた空間に取り込んでおり、このように構成すると、インシュレータや排気マニホールドの冷却性能が向上すると共に、インシュレータの耐久性も向上できる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-319886号公報
【特許文献2】特開2002-235554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インシュレータは排気マニホールドを包むようなシェル状の立体形状になっているため相応の剛性を備えているが、特に上面部は面積が広いため膜振動しやすくなっており、従って、更なる剛性アップの対策が要請されていると云える。また、組み付けに際しての作業性向上という要請も存在していると云える。
【0008】
本願発明は、このような要請に応える技術を開示しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、主として排気マニホールドから放射される熱を遮るインシュレータを対象にしており、このインシュレータは、
「上面部とこれに連続した壁部とを有して前記排気マニホールドを覆う第1部分と、前記第1部分のうちシリンダヘッドに近い基端縁から立ち上がった第2部分と、前記第2部分の上端から前記シリンダヘッドに向けて延びる第3部分とを有しており、
前記第2部分に、前記排気マニホールド又はシリンダヘッドに固定される締結部を設けている」
という構成になっている。
【0010】
本願発明は様々に展開できる。その例として請求項2では、
「前記第2部分のうちクランク軸線方向に向いた両端部に、前記締結部と成した上向き突部が形成されており、前記第2部分及び第3部分は、前記第2部分における両上向き突部の間で下向きに凹んでいる」
という構成を採用している。
【発明の効果】
【0011】
本願発明のインシュレータは、排気マニホールドを覆うシェル状の第1部分の上面部に第2部分と第3部分とが一体に繋がっており、第1部分の上面部と第2部分と第3部分とが階段状に曲がっているため、特許文献1,2のような単なるシェル状の構造に比べて、リブ効果によって剛性が格段に高くなっている。このため、エンジンの振動によって上面部が膜振動するような現象は発生せずに、制振効果を格段に向上できる。従って、騒音も大幅に抑制できる。
【0012】
また、第1部分の上面部は排気マニホールドの上に広がっているため、排気マニホールドから立ち上った熱及び輻射熱がダイレクトに当たって熱害も大きいが、第2部分は上向きの姿勢であって排気マニホールドからの受熱量は小さいため、締結用のボルトやナットが受ける熱の影響も小さく、従って、熱によって締結力が低下することを抑制できる利点もある。
【0013】
さて、特許文献1,2では、インシュレータの壁部と上面部とをボルトで排気マニホールドに締結しており、従って、壁部を締結するボルトは水平方向に長い姿勢になって、上面部を締結するボルトとは上下方向(鉛直方向)に長い姿勢になるが、このようにボルトの姿勢が異なっていると、締結作業に際して作業者はレンチの姿勢を変えなければならないため作業が面倒であり、また、全ての締結箇所にはスタッドボルトを使用できず通常の頭付きボルトも使用せざるを得ないため、作業性が悪いという問題がある。
【0014】
これに対して本願発明では、上面部から上向きに立ち上がった第2部分が締結部になっているため、壁部と第2部分とは水平方向に長い姿勢のボルトで締結可能であり、従って、作業者はレンチの姿勢を変えることなく締結作業を行える。また、各ボルトが同じ姿勢であるため、全てのボルトをスタッドボルトにしてナットの締め込みで締結可能であり、このため、インシュレータを各スタッドボルトにワンタッチ的に仮り保持できると共に、ナット用のレンチのみで各箇所を締結できる。従って、インシュレータの締結の作業性も大きく向上できる。
【0015】
請求項2のように第2部分及び第3部分を下向きに凹ませた形状に形成すると、第2部分及び第3部分は更に複雑な形状になって当該第2部分と第3部分との剛性が更に高くなるため、第2部分及び第3部分による第1部分の補強効果が更に向上して、インシュレータ全体としての剛性を更に向上できる。
【0016】
また、自動車用エンジンに適用すると、特許文献1と同様に、第2部分の凹部の箇所から走行風をインシュレータで囲われた空間に取り込むことができるため、排気マニホールド及びインシュレータ自身の冷却性能を向上できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4】排気マニホールドを取り付けた状態の側面図である。
【
図5】インシュレータと排気マニホールドとの分離側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車用の3気筒エンジンに適用している。方向に関して便宜的に前後方向の文言を使用するが、前進方向を前、後進方向を後ろとしている。すなわち、運転者から見た方向である。左右方向も同様である。エンジンは横置き前排気であるので、クランク軸線方向は左右方向になる。エンジンに関しては、クランク軸線方向を前後方向と呼ぶことが多いが、本実施形態ではこの方向とは相違している。
【0019】
(1).構造の説明
図1,6に示すように、エンジンは、シリンダブロック1とその上面に固定されたシリンダヘッド2、及び、シリンダヘッド2の上面に固定されたヘッドカバー3を備えている。
図3に示すように、シリンダヘッド2の排気側面には左右長手のランド部4が形成されて、ランド部4に3つの排気ポート5が左右に並んで開口している。ランド部4の表面は平坦な排気マニホールド取り付け面になっている。
【0020】
そして、ランド部4に、金属製又は無機材製のガスケット6(
図6参照)を介して排気マニホールド7が固定されて、排気マニホールド7は金属板製のインシュレータ(遮熱板)8で覆われている。エンジンの幅方向が前後方向になるが、
図2に表示したように、前後方向(排気側面と直交した方向)については、シリンダヘッド2に近い側を基端側(内側)、シリンダヘッド2から遠い側を先端側(外側)としている。
【0021】
図4,5に示すように、排気マニホールド7は、ガスケット6に重なるフランジ板9と、これに接合された3本の枝管10a~10cとを有しており、3本の枝管10a~10cは1つの集合管11に集合して、集合管11に触媒ケース12の上コーン部が接合されている。
図6に示すように、フランジ板9の外周には外向きに突出した補強片9aを設けている。
【0022】
図6から理解できるように、排気マニホールド7を構成する枝管10a~10c及び集合管11は、半割状の表裏2枚の板材を重ね合わせて中空に作られており、2枚の板材は、フランジ状の縁片13が溶接によって固定されている。なお、触媒ケース12の上コーン部には、O2センサーを取り付けるためのボス部14を設けている。
【0023】
図4から理解できるように、排気マニホールド7のフランジ板9は、上部3箇所と下部2箇所の合計5カ所においてボルト15でシリンダヘッド2の排気側面に固定されている。そこで、シリンダヘッド2の排気側面には、ランド部4の表面と同一面を成した5カ所のボス部16が上下方向にはみ出た状態に形成されており、各ボス部16にタップ穴17を形成している。
【0024】
例えば
図6に明示するように、排気マニホールド7の締結用ボルト15はスタッドボルトが使用されており、排気マニホールド7のフランジ板9は、スタッドボルト15にねじ込んだナット18によってランド部4に固定されている。
【0025】
図4に示すように、排気マニホールド7を構成する各枝管10a~10cは、シリンダヘッド2から外向きに突出して下方に曲がりながら集合管11に収束している。また、集合管11がシリンダヘッド2の後ろ側にずれて配置されているため、手前に位置した枝管(第1枝管)10aが長くて、中間部に位置した枝管(第2枝管)10bと後部に位置した枝管(第3枝管)10cとは同じ程度の長さになっている。
【0026】
複数の枝管10a~10cと集合管11とで排気マニホールド7が構成されていることにより、排気マニホールド7は、平面視で台形に近い形態を成している。このため、インシュレータ8も、排気マニホールド7に近い台形の基本形態になっている。
【0027】
正確に述べると、インシュレータ8は、基本部分として、排気マニホールド7を上から覆う上面部21aと、排気マニホールド7を左右方向及び外側から囲う壁部21b,21c,21dとを有して、両者により、シェル構造の第1部分(本体部)21が構成されている。符号21bは右壁部を示し、符号21cは左壁部を示し、符号21dはシリンダヘッド2から遠くに位置した先端壁部を示している。
【0028】
上面部21aは、シリンダヘッド2から離れるに従って低くなるように湾曲して先端壁部21dに連続している。従って、上面部21aと先端壁部21dとの境界は曖昧であり、正確には、インシュレータ8のうち平面視で見える部分は、シリンダヘッド2から離れるに従って低くなる湾曲部になっているということもできる。
【0029】
上面部21aのうちシリンダヘッド2に近い基端から第2部分22を上向きに立ち上げて、第2部分22の上端からシリンダヘッド2に向けて第3部分23を延出している。第3部分23は、全長に亙ってほぼ等幅になっている。
【0030】
インシュレータ8の第2部分22は、左右両端部にツノ状の上向き突部22aを形成しており、左右の上向き突部22aの間は凹部(谷部)22bになっている。従って、第3部分23も、第2部分22の形態に倣って、左右両端部が上段部23aになってその間の部分は下段部23bになっている。
図2に示すように、第2部分22の左右両端には、第1部分21における左右壁部21b,21c及び第3部分23の左右端に繋がった側板23cが一体に形成されている。
【0031】
インシュレータ8は、第2部分22に設けた左右の上向き突部22aと、第1部分21を構成する先端壁部21dとの3カ所において排気マニホールド7に固定されている。そこで、
図5から明瞭に理解できるように、まず、排気マニホールド7のフランジ板9のうちその上端でかつ左右端部には、上に行くに従って左右外側にずれるように傾斜した本体側ブラケット24を溶接によって固定している。
【0032】
更に、排気マニホールド7における集合管11の外側面には台座状の先端側ブラケット25を溶接によって固定して、これらブラケット24,25にスタッドボルト26を横向きに突設して、インシュレータ8における第2部分22の上向き突部22aと、第1部分21における先端壁部21dとをナット27(
図1参照)で固定している。従って、
図5に示すように、インシュレータ8における第2部分22の上向き突部22aと、第1部分21における先端壁部21dとには、ボルト挿通穴28が空いている。
【0033】
図2,5に示すように、インシュレータ8のうち上面部21aと第2部分22の左右両端部とが繋がっている部位には、左右一対ずつの補強リブ29が外向きに膨出形成されている。すなわち、第2部分22の上向き突部22aと上面部21aとの両方に跨がる補強リブ29が形成されている。先端壁部21dにも膨出部30が形成されており、膨出部30にボルト挿通穴28が空いている。更に、第1部分21を構成する上面部21aのうち第2部分22に寄った部位でかつやや手前寄りの部位にも、角形の膨出部31を上向きに突設している。
【0034】
更に、第1部分21を構成する上面部21aのうち第2部分22に近い部位でかつ右に寄った部位に、左右長手の第1通風用開口32を設け、上面部21aのうち第2部分22に近い部位でかつ左に寄った部位に左右長手の第2通風用開口33を設け、上面部21aのうち先端壁部21dに寄った部位でかつ右に寄った部位に左右長手の第3通風用開口34を空けている。また、先端壁部21dのうち膨出部30の上に位置した部位にも左右長手の第4通風用開口35を開口している。
【0035】
図6に示すように、シリンダヘッド2の排気側面のうちランド部4よりも上の部分は内側に凹んだ凹部38になっており、上端は、ランド部4よりも外側にはみ出た庇状部2aになっている。更に、シリンダヘッド2のうちランド部4の側方には、排気ポート5の群を挟んだ上下にウォータジャケット36,37が形成されており、隣り合った排気ポート5の間の箇所では、ウォータジャケット36,37は表面側まで延びている。このような関係により、シリンダヘッド2の凹部38には、更にシリンダヘッド2の内部側に入り込んだ深奥部38aが形成されている。
【0036】
他方、インシュレータ8における第3部分23の基端は排気マニホールド7におけるフランジ板9を上から覆うように配置されており、第3部分23の基端とシリンダヘッド2との間に、凹部38に向けて走行風を取り込む通風路(隙間)39が空いている。
【0037】
(2).まとめ
本実施形態において、排気マニホールド7はその全体がインシュレータ8で前から覆われているため、ハーネスなどが排気マニホールド7の熱によって損傷することを防止できる。エンジンを運転しながらの点検においても、人の安全性を向上できる。更に、放熱が抑制されることにより、特に冷機運転時の触媒の早期昇温を促進できる利点もある。
【0038】
そして、本実施形態では、第1部分21はシェル構造になっていてある程度の剛性を有するが、第1部分21の上面部21aと第2部分22と第3部分23とが階段状に曲がっているため、インシュレータ8の剛性は著しく向上する。
【0039】
すなわち、まず、上面部21aと第2部分22が曲がった状態で繋がっていることにより、上面部21aの上下方向の曲がり変形が防止される、次に、第2部分22に第3部分23が曲がった状態で繋がっていることにより、第2部分22が前後方向に曲がることと第3部分23が上下方向に曲がることとが抑止され、結果として、上面部21aと第2部分22と第3部分23とは、上下方向と前後方向とのいずれの方向にも曲がらない状態に保持される。
【0040】
従って、インシュレータ8は全体として、上下・左右・前後のいずれの方向にも極めて曲がり変形しにくい立体構造になっている。これにより、極めて高い剛性を発揮して振動や騒音を著しく抑制できる。
【0041】
実施形態のように、第2部分22に左右の上向き突部22aを形成すると、第3部分23が上下方向に更に曲がり変形しにくくなるため、剛性は更に向上する。また、第2部分22の左右両端に側板22bを設けて、これと第3部分23及び第1部分21の左右壁部21b,21cとを連続させると、排気マニホールド7は全周が壁で囲われた状態になるため、剛性を更に向上できる。第2部分22の上向き突部22aと第1部分21の上面部21aとを補強リブ29で繋ぐと、上向き突部22aと上面部21aとの間の曲がり変形を無くせるため、3箇所のみの締結であっても、インシュレータ8を排気マニホールド7に対して極めて強固に固定できる。
【0042】
更に、インシュレータ8に第1~第4の通風穴32~35を空けると、自動車の走行状態では走行風を取り込んで、排気マニホールド7を冷却できると共にインシュレータ8を内側から冷却できる。停車状態では、熱気を通風穴32~35から放散させて、熱の籠もりを抑制できる。従って、インシュレータ8や排気マニホールド7の過剰昇温を防止してその寿命を向上できる。
【0043】
第3部分23とシリンダヘッド2との間に通風路39を設けると、特許文献1と同様に、凹部38を利用して走行風をインシュレータ8の内部に取り込むことができるため、インシュレータ8及び排気マニホールド7の冷却性能を更に向上できる利点がある。
【0044】
本実施形態では、インシュレータ8の先端壁部21dと第2部分22とが締結されるが、これらの部分はいずれも概ね鉛直方向に広がる面になっているため、締結手段として左右長手のスタッドボルト26を使用できる。従って、インシュレータ8の締結に際しては、インシュレータ8を3本のスタッドボルト26に嵌め入れてからナット27をスタッドボルト26にねじ込んだらよい。従って、頭付きのボルトを使用する必要がなくて一種類のレンチで締結作業できることと、レンチは姿勢を変えることなく水平方向に向けた姿勢のままで締結作業できることとにより、インシュレータ8の組み付け作業を能率良く行える。
【0045】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、排気マニホールドは気筒の数や集合管の位置などに応じて様々な形態を採用可能であり、これに伴ってインシュレータの形態も様々に具体できる。
【0046】
実施形態では、第2部分の左右2箇所に上向き突部を設けたが、直列4気筒エンジンや直列6気筒エンジンのようにインシュレータの左右長さが長くなる場合は、左右中間部に上向き突部を追加することか可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本願発明は、エンジンのインシュレータに具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0048】
2 シリンダヘッド
4 ランド部(排気マニホールド取り付け面)
5 排気ポート
7 排気マニホールド
8 インシュレータ
10a~10c 枝管
11 集合管
21 第1部分
21a 上面部
21b~21d 第1部分の壁部
22 第2部分
22a 上向き突部
22b 凹部
23 第3部分
23a 上段部
23b 下段部
24,25 ブラケット
26 スタッドボルト
27 ナット
29 補強リブ
32~35 通風穴
38 シリンダヘッドの凹部
39 通風路