(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012876
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20240124BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20240124BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20240124BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240124BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20240124BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20240124BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240124BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240124BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/27
A61K8/29
A61K8/19
A61K8/894
A61K8/92
A61K8/891
A61K8/06
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114652
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 達司
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB362
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC102
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC442
4C083AC912
4C083AD152
4C083AD162
4C083BB04
4C083BB14
4C083BB25
4C083CC12
4C083DD31
4C083DD32
4C083EE06
4C083EE07
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】塗布時の伸びが良く、みずみずしい感触で、トーンアップ効果に優れ、毛穴目立ちを抑制し、透明感のある仕上がりが得られる乳化化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)鱗片状シリカ、
(B)疎水化処理された着色顔料、
(C)非イオン性界面活性剤、
(D)揮発性油
を含有する乳化化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)鱗片状シリカ、
(B)疎水化処理された着色顔料、
(C)非イオン性界面活性剤、
(D)揮発性油
を含有する乳化化粧料。
【請求項2】
成分(A)に対する成分(B)の質量割合(B)/(A)が、1~500である請求項1記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
成分(A)の含有量が、0.01~10質量%であり、成分(B)の含有量が、0.1~40質量%である請求項1又は2記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
成分(A)に対する成分(D)の質量割合(D)/(A)が、2~800である請求項1~3のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項5】
油中水型乳化化粧料である請求項1~4のいずれか1項記載の乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油中水型乳化化粧料は外相が油剤であるため、耐水性を付与しやすく、乳化タイプのファンデーションや、サンスクリーン等に多く用いられている。また、カバー力や持続性に優れ、綺麗な仕上がりが得られるものが検討されている。
例えば、特許文献1には、トリメチルシロキシケイ酸、フッ素化合物で表面処理した粉体、微粒子酸化亜鉛、球状シリカを含有する油中水型乳化化粧料が、化粧塗膜がムラづきせず、塗布から肌になじむまでの時間が早く、化粧崩れやべたつきが抑制され、サラサラの使用感が持続することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、疎水化処理された着色顔料、非イオン性界面活性剤、揮発性油を含有する乳化化粧料は、カバー力に優れるものの、仕上がりが不自然に見え、肌がくすんで見えるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、疎水化処理された着色顔料、非イオン性界面活性剤、揮発性油とともに、鱗片状シリカを組合わせて用いた乳化化粧料が、塗布時の伸びが良く、みずみずしい感触で、トーンアップ効果に優れ、毛穴目立ちを抑制し、透明感のある仕上がりが得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)鱗片状シリカ、
(B)疎水化処理された着色顔料、
(C)非イオン性界面活性剤、
(D)揮発性油
を含有する乳化化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の乳化化粧料は、塗布時の伸びが良く、みずみずしい感触で、トーンアップ効果に優れ、毛穴目立ちを抑制し、透明感のある仕上がりを得ることができる。
トーンアップとは、色彩的な明度が高く、彩度が高い領域であり、化粧肌の血色が良く、明るく見えることである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
成分(A)の鱗片状シリカは、シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向して複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子から実質的になる積層構造の粒子形態を有するものである。
鱗片状とは、粒子が実質的に薄い板状の形態を有しているものであればよく、これがさらに、部分的又は全体的に曲がったり、ねじれていてもよい
【0009】
薄片1次粒子は、その厚さが0.001~0.1μmであるのが好ましい。このような薄片1次粒子は、互いに面間が平行的に配向して1枚又は複数枚重なった葉状シリカ2次粒子を形成するが、当該2次粒子の厚さは、0.001~3μmであるのが好ましく、0.005~2μmがより好ましい。また、厚さに対する葉状2次粒子(板)の最長長さの比(アスペクト比)は、少なくとも10であるのが好ましく、30以上がより好ましく、50以上がさらに好ましい。厚さに対する葉状2次粒子(板)の最小長さの比は、少なくとも2であるのが好ましく、5以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。当該2次粒子は、融着することもなく互いに独立に存在している。
なお、葉状2次粒子の厚さに対する最長長さの比及び最小長さの比の上限は、制限されないが、前者は300以下が好ましく、200以下がより好ましく、後者は150以下が好ましく、100以下がより好ましい。
これらの葉状2次粒子の厚さ及び長さは、2次粒子についての平均値を意味する。
【0010】
このような鱗片状シリカは、例えば、特開2001-163613号公報に記載の方法に従って、製造することができる。
得られる鱗片状シリカ(2次粒子)は、平均粒子径1~10μmであるのが好ましく、4~6μmがより好ましい。
また、吸油量は、60~130mL/100gであるのが好ましく、80~110mL/100gがより好ましい。
【0011】
また、成分(A)の鱗片状シリカとしては、鱗片状シリカ一次粒子が不規則に重なりあって形成される間隙を有するシリカ凝集体粒子の表面上及び間隙内表面上に、金属酸化物微粒子が担持されているシリカ-金属酸化物微粒子複合体を用いることもできる。
ここで、金属酸化物微粒子は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄及び酸化ジルコニウムから選ばれる1種又は2種以上の微粒子が好ましく、複合体総質量中の金属酸化物微粒子の質量割合が、1~80質量%であるのが好ましく、2~70質量%がより好ましい。
【0012】
鱗片状シリカ一次粒子としては、その厚さが0.001~1μmであるのが好ましく、0.01~0.5μmがより好ましい。厚さに対する鱗片状板の最長長さの比(アスペクト比)は、少なくとも10であるのが好ましく、30以上がより好ましく、50以上がさらに好ましく、厚さに対する鱗片状板の最小長さの比は、少なくとも3であるのが好ましく、10以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。
厚さに対する最長長さの比及び最小長さの比の上限は制限されないが、前者は300以下が好ましく、200以下がより好ましく、後者は150以下が好ましく、100以下がより好ましい。
これらの鱗片状シリカの厚さ、長さは、その一次粒子についての平均値を意味する。
【0013】
また、金属酸化物微粒子は、一次粒子の大きさ(粒径)が、0.002~0.5μmであるのが好ましく、0.01~0.5μmがより好ましく、0.03~0.3μmがさらに好ましい。
これらの金属酸化物微粒子の粒子形態は、基本的には球形であるものが好ましいが、不定型や針状形のような非球形の粒子の場合であってもよい。
【0014】
このようなシリカ-金属酸化物微粒子複合体は、例えば、特開平11-343222号公報に記載の方法に従って製造することができる。
【0015】
また、成分(A)の鱗片状シリカとしては、例えば、サンラブリーC(AGC社製)等の市販品を用いることができる。
【0016】
成分(A)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、塗布時の伸びが良く、毛穴目立ちを抑制し、透明感のある仕上がりを得る観点から、全組成中に0.01質量%以上であるのが好ましく、0.04質量%以上がより好ましく、0.08質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.01~10質量%であるのが好ましく、0.04~8質量%がより好ましく、0.08~6質量%がさらに好ましい。
【0017】
成分(B)は、疎水化処理された着色顔料である。
着色顔料としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物、マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体、さらに、カーボンブラック等の無機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の合成有機顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の天然有機色素等が挙げられ、これらの着色顔料の複合体、これらの着色顔料とパール顔料とを組み合わせた複合顔料などが挙げられる。処理されるパール顔料としては、例えば、雲母、金雲母、タルク、シリカ、セリサイト、ガラス、カオリン、オキシ塩化ビスマス、酸化セリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、板状アルミナ粉末等の天然又は合成の無機粉体が挙げられる。複合顔料の具体例としては、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化鉄被覆合成金雲母、酸化クロム被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄被覆ガラス末、酸化チタン内包ガラス末、酸化鉄内包ガラス末等が挙げられる。
これらのうち、金属酸化物が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含むのがより好ましい。
【0018】
これらの着色顔料は、通常の方法により、疎水化処理される。
疎水化処理としては、例えば、フッ素化合物処理、シリコーン処理、アルキル処理、アルキルシラン処理、金属石鹸処理、水溶性高分子処理、アミノ酸処理、アシル化アミノ酸処理、レシチン処理、有機チタネート処理、ポリオール処理、アクリル樹脂処理、メタクリ樹脂処理、ウレタン樹脂処理等の表面処理が挙げられる。
これらのうち、トーンアップ効果に優れ、メイクアップ効果に優れる観点から、シリコーン処理、アミノ酸処理、アシル化アミノ酸処理から選ばれる少なくとも1種又は2種以上による疎水化処理が好ましく、シリコーン処理がより好ましい。
なお、疎水化処理された着色顔料の含有量は、疎水化処理した剤を含めての質量を意味する。
【0019】
成分(B)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、トーンアップ効果に優れ、メイクアップ効果に優れる観点から、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.1~40質量%であるのが好ましく、1~30質量%がより好ましく、5~20質量%がさらに好ましい。
【0020】
本発明において、成分(A)に対する成分(B)の質量割合(B)/(A)は、塗布時の伸びが良く、みずみずしい感触で、トーンアップ効果に優れ、毛穴目立ちを抑制し、透明感のある仕上がりを得る観点から、1以上であるのが好ましく、2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましく、500以下が好ましく、300以下がより好ましく、160以下がさらに好ましい。また、成分(A)に対する成分(B)の質量割合(B)/(A)は、1~500であるのが好ましく、2~300がより好ましく、3~160がさらに好ましい。
【0021】
成分(C)の非イオン性界面活性剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば良く、例えば、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、アルキルポリグリセリルエーテル、ポリオキシエチレアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンや、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体等のポリエーテル変性シリコーン;ポリグリセリン変性シリコーン、アルキル変性ポリエーテル変性シリコーン、アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
これらのうち、水並びに水溶性成分の油中への分散性を高める観点から、25℃で液状のソルビタン脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましい。
【0022】
また、成分(C)の非イオン性界面活性剤は、水並びに水溶性成分の油中への分散性を高める観点から、親油性非イオン性界面活性剤が好ましく、HLB2以上7以下であるのが好ましく、HLB3以上6以下がより好ましい。
ここで、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lipophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。また、2種以上の非イオン性界面活性剤から構成される場合、混合界面活性剤のHLBは、次のようにして求められる。混合界面活性剤のHLBは、各非イオン性界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、非イオン性界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有する非イオン性界面活性剤Xの質量(g)を示す。
【0023】
成分(C)の非イオン性界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、モノイソステアリン酸ソルビタンとしては、スパン120-LQ(HLB4.7)(クローダ社製)等;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体としては、KF-6015(HLB4.5)、KF-6017(HLB4.5)、KF-6028(HLB4)(以上、信越化学工業社製)、SH3775M(HLB5)(東レ・ダウコーニング社製)等;ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体としては、KF-6012(HLB7)(信越化学工業社製)、DOWSIL BY 22-008 M(HLB2)、DOWSIL BY 25-337(HLB3)、DOWSIL ES-5226(HLB2)、DOWSIL ES-5227(HLB2)(以上、東レ・ダウコーニング社製)等;アルキル変性ポリエーテル変性シリコーンとしては、KF-6038(HLB3)(信越化学工業社製)、ABIL EM 90(HLB5)(エボニック社製)等が挙げられる。
【0024】
成分(C)の非イオン性界面活性剤は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、水並びに水溶性成分の油中への分散性を高める観点から、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.1~10質量%であるのが好ましく、0.3~5質量%がより好ましく、0.5~3質量%がさらに好ましい。
【0025】
成分(D)の揮発性油において、揮発性とは、35~87℃の引火点を有するものである。
揮発性油としては、揮発性シリコーン油、揮発性炭化水素油が挙げられる。
揮発性シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(1cs)、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等の直鎖状ジメチルポリシロキサン;メチルトリメチコン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の分岐状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシロキサンなどが挙げられる。
これらのうち、ジメチルポリシロキサン(1cs)、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)、メチルトリメチコンが好ましい。
【0026】
揮発性炭化水素油としては、例えば、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン等のパラフィン系炭化水素油;イソデカン、イソドデカン、水添ポリイソブテン等のイソパラフィン系炭化水素油;シクロデカン、シクロドデカン等の環状パラフィン炭化水素油が挙げられる。これらのうち、炭素数8~16の炭化水素油が好ましく、炭素数10~16の炭化水素油がより好ましく、炭素数12の炭化水素油がさらに好ましい。なかでも、イソパラフィン系炭化水素油が好ましく、イソドデカン、炭素数12の水添ポリイソブテンがより好ましい。
【0027】
成分(D)の揮発性油としては、塗布時の伸びが良く、毛穴目立ちを抑制する観点から、揮発性シリコーン油が好ましい。
成分(D)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、塗布時の伸びが良く、毛穴目立ちを抑制する観点から、全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましく、50質量%以下が好ましく、45質量%以下が好ましく、38質量%以下がさらに好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に1~50質量%であるのが好ましく、20~45質量%がより好ましく、25~38質量%がさらに好ましい。
【0028】
本発明において、成分(A)に対する成分(D)の質量割合(D)/(A)は、塗布時の伸びが良く、みずみずしい感触で、トーンアップ効果に優れ、毛穴目立ちを抑制し、透明感のある仕上がりを得る観点から、2以上であるのが好ましく、4以上がより好ましく、6以上がさらに好ましく、800以下が好ましく、500以下がより好ましく、340以下がさらに好ましい。また、成分(A)に対する成分(D)の質量割合(D)/(A)は、2~800であるのが好ましく、4~500がより好ましく、6~340がさらに好ましい。
【0029】
本発明の乳化化粧料は、さらに、疎水化処理された体質顔料を含有することができ、塗布時の伸びが良く、トーンアップ効果により優れる。
体質顔料としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、セリサイト、マイカ、合成フルオロフロゴパイト、ガラス末、金雲母、カオリン、クレー、ベントナイト、ヘクトライト、ゼオライト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機体質顔料及びこれらの複合粉体などが挙げられる。
これらのうち、トーンアップ効果に優れる観点から、タルクを含むのが好ましい。
【0030】
体質顔料は、通常の方法により、疎水化処理される。
疎水化処理は、成分(B)と同様であり、トーンアップ効果に優れる観点から、シリコーン処理、アミノ酸処理、アシル化アミノ酸処理から選ばれる少なくとも1種又は2種以上による疎水化処理が好ましく、アミノ酸処理、アシル化アミノ酸処理から選ばれる少なくとも1種又は2種以上による疎水化処理がより好ましい。
アミノ酸としては、例えば、プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン、グリシン、サルコシン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられ、これらの塩が含まれる。また、アシル化アミノ酸のアシル基を構成する脂肪酸は、炭素数1~23の脂肪酸が好ましく、炭素数8~20の脂肪酸がより好ましく、なかでも、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシン、ラウロイルリジンがさらに好ましい。これらの塩としては、Na、Ca、Al、Mg、Zn、Zr、Ti塩が挙げられる。
具体的には、トーンアップ効果に優れる観点から、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Na等で処理されたものが好ましく、なかでも、ステアロイルグルタミン酸2Naで処理されたものがより好ましい。
なお、成分(D)の粉体を疎水化処理して用いる場合、成分(D)の含有量は、疎水化処理した剤を含めての質量を意味する。
なお、疎水化処理された体質顔料の含有量は、疎水化処理した剤を含めての質量を意味する。
【0031】
疎水化処理された体質顔料は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、トーンアップ効果に優れる観点から、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。また、疎水化処理された体質顔料の含有量は、全組成中に0.1~20質量%であるのが好ましく、0.2~10質量%がより好ましく、0.3~6質量%がさらに好ましい。
【0032】
本発明の乳化化粧料において、水の含有量は、乳化形態を維持しつつ、使用感に優れる観点から、全組成中に5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、60質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。また、水の含有量は、全組成中に5~60質量%であるのが好ましく、10~45質量%がより好ましく、15~35質量%がさらに好ましい。
【0033】
本発明の油中水型乳化化粧料は、前記成分以外に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の油成分、前記以外の界面活性剤、前記以外の粉体、高分子化合物、酸化防止剤、香料、防腐剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、保湿剤、清涼剤等を含有することができる。
【0034】
本発明の乳化化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、液状、乳液、ペースト状、クリーム状、ジェル状、固形状等の剤型にすることができる。
【0035】
本発明の乳化化粧料は、油中水型乳化化粧料、水中油型乳化化粧料のいずれでも良く、油中水型乳化化粧料として好適である。
また、本発明の乳化化粧料は、例えば、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料などとして適用することができ、メイクアップ化粧料として好適である。
【実施例0036】
製造例1(ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーン(ポリシリコーン9)の製造)
2-エチル-2-オキサゾリン12.9g(0.13モル)と酢酸エチル27.7gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ(ゼオラムA-4、東ソー社製)2.0gで、28℃15時間脱水を行った。
また、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(KF-8015、信越シリコーン社製、重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gと酢酸エチル203gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ15.2gで、28℃15時間脱水を行った。
上記の脱水2-エチル-2-オキサゾリンの酢酸エチル溶液に硫酸ジエチル0.77g(0.005モル)を加え、窒素雰囲気下8時間、80℃で加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。GPCにより測定した数平均分子量は2700であった。
この末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)溶液を、上記の脱水した側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン溶液を一括して加え、10時間、80℃で加熱還流した。
反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン-ジメチルシロキサン共重合体を白色ゴム状固体(108g)として得た。最終生成物におけるオルガノポリシロキサンセグメントの質量比は0.87、最終生成物の重量平均分子量は115000であった。
【0037】
実施例1~7及び比較例1~3
表1に示す組成の油中水型乳化化粧料(ファンデーション)を製造し、塗布時の伸びの良さ、みずみずしい感触、トーンアップ効果、毛穴の目立ちにくさ、透明感のある仕上がりを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0038】
(製法)
成分(A)及び(B)を含む粉体相成分を、別途混合した成分(C)及び(D)を含む油相成分に添加して、ディスパーで分散した。その後、水相成分を添加し、ディスパーで分散後、ホモミキサーで撹拌することにより、油中水型乳化化粧料(ファンデーション)を得た。
【0039】
(評価方法)
(1)塗布時の伸びの良さ:
専門パネラー3名により、各油中水型乳化化粧料(ファンデーション)を肌に伸ばした際の伸びの良さを、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;非常に伸びが良い。
4;伸びが良い。
3;やや伸びが良い。
2;あまり伸びが良くない。
1;伸びが良くない。
【0040】
(2)みずみずしい感触:
専門パネラー3名により、各油中水型乳化化粧料(ファンデーション)を肌に伸ばした直後のみずみずしさを、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;非常にみずみずしい感触。
4;みずみずしい感触。
3;ややみずみずしい感触。
2;あまりみずみずしい感触でない。
1;みずみずしい感触でない。
【0041】
(3)トーンアップ効果:
専門パネラー3名により、各油中水型乳化化粧料(ファンデーション)を肌に伸ばした後の仕上がりのトーンアップ効果を、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
なお、トーンアップとは、色彩的な明度が高く、彩度が高い領域であり、化粧肌の血色が良く、明るく見えることである。
5;非常に優れる。
4;優れる。
3;やや優れる。
2;あまり優れない。
1;優れない。
【0042】
(4)毛穴の目立ちにくさ:
専門パネラー3名により、各油中水型乳化化粧料(ファンデーション)を肌に伸ばした後の毛穴の目立ちにくさを、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;毛穴がまったく目立たない。
4;毛穴が目立たない。
3;毛穴があまり目立たない。
2;毛穴がやや目立つ。
1;毛穴が目立つ。
【0043】
(5)透明感のある仕上がり:
専門パネラー3名により、各油中水型乳化化粧料(ファンデーション)を肌に伸ばした後の仕上がりの透明感を、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;非常に透明感がある。
4;透明感がある。
3;やや透明感がある。
2;あまり透明感がない。
1;透明感がない。
【0044】