(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128761
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】ベルトコンベア、及びベルトコンベア用のローラ
(51)【国際特許分類】
B65G 23/04 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
B65G23/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037943
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】504134759
【氏名又は名称】SKマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 純雄
(72)【発明者】
【氏名】菅原 慶和
(57)【要約】
【課題】ベルトコンベアの高さ寸法を小さくする。
【解決手段】第1のローラと、第2のローラと、前記第1のローラと前記第2のローラとに掛けられたベルトとを有し、前記第1のローラと前記第2のローラの一方の外周部材は、ローラ回転軸に沿って互いに間隔がおかれた第1の端部及び第2の端部と、前記第1の端部に向かって外径が小さくなる第1のテーパ部と、前記第2の端部に向かって外径が小さくなる第2のテーパ部とを有する、ベルトコンベア。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のローラと、
第2のローラと、
前記第1のローラと前記第2のローラとに掛けられたベルトとを有し、
前記第1のローラと前記第2のローラの一方の外周部材は、
ローラ回転軸に沿って互いに間隔がおかれた第1の端部及び第2の端部と、
前記第1の端部に向かって外径が小さくなる第1のテーパ部と、
前記第2の端部に向かって外径が小さくなる第2のテーパ部とを有する、
ベルトコンベア。
【請求項2】
第1のローラと、
第2のローラと、
前記第1のローラと前記第2のローラとに掛けられたベルトとを有し、
前記第1のローラと前記第2のローラの一方の外周部材は、
ローラ回転軸に沿って互いに間隔がおかれた第1の端部及び第2の端部と、
前記第1の端部に向かって外径が大きくなる第1のテーパ部と、
前記第2の端部に向かって外径が大きくなる第2のテーパ部とを有する、
ベルトコンベア。
【請求項3】
第1のローラと、
第2のローラと、
前記第1のローラと前記第2のローラとに掛けられたベルトとを有し、
前記第1のローラと前記第2のローラの一方の外周部材は、
ローラ回転軸に沿って互いに間隔がおかれた第1の端部及び第2の端部と、
前記第1の端部から前記第2の端部まで外径が同一であり、前記ベルトの裏面に設けられたベルト送り方向に延びる桟部が嵌るガイド溝が形成されたストレート部とを有する
ベルトコンベア。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のベルトコンベアであって、
前記外周部材は、前記ローラ回転軸に沿って外径が同一のストレート部を有し、前記ストレート部の一方の端に前記第1のテーパ部が設けられ、前記ストレート部の他方の端に前記第2のテーパ部が設けられた、
ベルトコンベア。
【請求項5】
請求項4に記載のベルトコンベアであって、
前記ベルトは、ベルト送り方向に延びる桟部を裏面に備え、
前記ストレート部に、前記桟部が嵌るガイド溝が形成された、
ベルトコンベア。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載のベルトコンベアであって、
前記第1のローラと前記第2のローラの一方は、前記ローラ回転軸を中心に回転可能な筒状の筐体として、前記外周部材を有する、
ベルトコンベア。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一項に記載のベルトコンベアであって、
前記第1のローラと前記第2のローラの一方は、前記ローラ回転軸を中心に回転可能なローラ本体を有し、
前記外周部材は、前記ローラ本体の外周面に装着された筒状部材である、
ベルトコンベア。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載のベルトコンベアであって、
前記外周部材は、複数の筒状部品から構成される、
ベルトコンベア。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか一項に記載のベルトコンベアであって、
前記第1のローラと前記第2のローラの少なくとも一方は、当該ローラを回転駆動させるモータを内蔵する、
ベルトコンベア。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか一項に記載のベルトコンベアであって、
前記第1のローラと前記第2のローラとの間に設けられ、前記ベルトの動きに追従して回転すると共に、前記ベルトをその裏面から支持するフリーローラを複数有する、
ベルトコンベア。
【請求項11】
請求項1~3のいずれか一項に記載のベルトコンベアであって、
前記ベルトは、ワークが搭載される上部走行部と、前記上部走行部とは逆方向に走行する下部走行部とを備え、
前記第1のローラと前記第2のローラとの間に設けられ、前記下部走行部における前記ベルトの表面に当接して、前記下部走行部と前記上部走行部との間隔を狭める方向に前記下部走行部を押圧する補助ローラを更に有する、
ベルトコンベア。
【請求項12】
ベルトコンベア用のローラであって、
ローラ回転軸に沿って互いに間隔がおかれた第1の端部及び第2の端部と、
前記第1の端部に向かって外径が小さくなる第1のテーパ部と、
前記第2の端部に向かって外径が小さくなる第2のテーパ部とを有する、
ローラ。
【請求項13】
ベルトコンベア用のローラであって、
ローラ回転軸に沿って互いに間隔がおかれた第1の端部及び第2の端部と、
前記第1の端部に向かって外径が大きくなる第1のテーパ部と、
前記第2の端部に向かって外径が大きくなる第2のテーパ部とを有する、
ローラ。
【請求項14】
ベルトコンベア用のローラであって、
ローラ回転軸に沿って互いに間隔がおかれた第1の端部及び第2の端部と、
前記第1の端部から前記第2の端部まで外径が同一であり、ベルトの裏面に設けられたベルト送り方向に延びる桟部が嵌るガイド溝が形成されたストレート部とを有する
ローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベア、及びベルトコンベア用のローラに関する。
【背景技術】
【0002】
工場、店舗、及び病院等においては、ワークの搬送を自動で行う無人搬送車(AGV: Automatic Guided Vehicle)が使用されることがある。無人搬送車は、作業者の代わりに床の上を自動で走行して目的の場所にワークを搬送する自律型の台車であり、作業者の作業負担を軽減することができる。無人搬送車にワークを搭載する方法としては、例えばロボット又は人手で搭載する方法がある。更に、近年では、台車の上部にベルトコンベアが設けられた無人搬送車も実現されている(例えば特許文献1)。この無人搬送車では、ロボット及び人手に頼らずに、ベルトコンベアを利用して台車にワークを搭載することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無人搬送車に設けるベルトコンベアには様々な制約がある。例えば、無人搬送車の高さを低く抑えるために、ベルトコンベアの高さ寸法はなるべく小さいのが好ましい。
【0005】
本願発明は、ベルトコンベアの高さ寸法を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明の一態様に係るベルトコンベアは、第1のローラと、第2のローラと、前記第1のローラと前記第2のローラとに掛けられたベルトとを有し、前記第1のローラと前記第2のローラの一方の外周部材は、ローラ回転軸に沿って互いに間隔がおかれた第1の端部及び第2の端部と、前記第1の端部に向かって外径が小さくなる第1のテーパ部と、前記第2の端部に向かって外径が小さくなる第2のテーパ部とを有する。
【0008】
本発明の別の態様に係るベルトコンベアは、第1のローラと、第2のローラと、前記第1のローラと前記第2のローラとに掛けられたベルトとを有し、前記第1のローラと前記第2のローラの一方の外周部材は、ローラ回転軸に沿って互いに間隔がおかれた第1の端部及び第2の端部と、前記第1の端部に向かって外径が大きくなる第1のテーパ部と、前記第2の端部に向かって外径が大きくなる第2のテーパ部とを有する。
【0009】
本発明の他の態様に係るベルトコンベアは、第1のローラと、第2のローラと、前記第1のローラと前記第2のローラとに掛けられたベルトとを有し、前記第1のローラと前記第2のローラの一方の外周部材は、ローラ回転軸に沿って互いに間隔がおかれた第1の端部及び第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで外径が同一であり、前記ベルトの裏面に設けられたベルト送り方向に延びる桟部が嵌るガイド溝が形成されたストレート部とを有する。
【0010】
上記ベルトコンベアにおいて、前記外周部材は、前記ローラ回転軸に沿って外径が同一のストレート部を有し、前記ストレート部の一方の端に前記第1のテーパ部が設けられ、前記ストレート部の他方の端に前記第2のテーパ部が設けられてもよい。
【0011】
上記ベルトコンベアにおいて、前記ベルトは、ベルト送り方向に延びる桟部を裏面に備え、前記ストレート部に、前記桟部が嵌るガイド溝が形成されてもよい。
【0012】
上記ベルトコンベアにおいて、前記第1のローラと前記第2のローラの一方は、前記ローラ回転軸を中心に回転可能な筒状の筐体として、前記外周部材を有してもよい。
【0013】
上記ベルトコンベアにおいて、前記第1のローラと前記第2のローラの一方は、前記ローラ回転軸を中心に回転可能なローラ本体を有し、前記外周部材は、前記ローラ本体の外周面に装着された筒状部材でもよい。
【0014】
上記ベルトコンベアにおいて、前記外周部材は、複数の筒状部品から構成されてもよい。
【0015】
上記ベルトコンベアにおいて、前記第1のローラと前記第2のローラの少なくとも一方は、当該ローラを回転駆動させるモータを内蔵してもよい。
【0016】
上記ベルトコンベアにおいて、前記第1のローラと前記第2のローラとの間に設けられ、前記ベルトの動きに追従して回転すると共に、前記ベルトをその裏面から支持するフリーローラを複数有してもよい。
【0017】
上記ベルトコンベアにおいて、前記ベルトは、ワークが搭載される上部走行部と、前記上部走行部とは逆方向に走行する下部走行部とを備え、前記第1のローラと前記第2のローラとの間に設けられ、前記下部走行部における前記ベルトの表面に当接して、前記下部走行部と前記上部走行部との間隔を狭める方向に前記下部走行部を押圧する補助ローラを更に有してもよい。
【0018】
上記ベルトコンベアにおいて、ローラ回転軸に沿って互いに間隔がおかれた第1の端部及び第2の端部と、前記第1の端部に向かって外径が小さくなる第1のテーパ部と、前記第2の端部に向かって外径が小さくなる第2のテーパ部とを有してもよい。
【0019】
本発明の他の態様に係るベルトコンベア用のローラは、ローラ回転軸に沿って互いに間隔がおかれた第1の端部及び第2の端部と、前記第1の端部に向かって外径が小さくなる第1のテーパ部と、前記第2の端部に向かって外径が小さくなる第2のテーパ部とを有する。
【0020】
本発明の更に他の態様に係るベルトコンベア用のローラは、ローラ回転軸に沿って互いに間隔がおかれた第1の端部及び第2の端部と、前記第1の端部に向かって外径が大きくなる第1のテーパ部と、前記第2の端部に向かって外径が大きくなる第2のテーパ部とを有する。
【0021】
本発明の別の態様に係るベルトコンベア用のローラは、ローラ回転軸に沿って互いに間隔がおかれた第1の端部及び第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで外径が同一であり、ベルトの裏面に設けられたベルト送り方向に延びる桟部が嵌るガイド溝が形成されたストレート部とを有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ベルトコンベアの高さ寸法を小さくすることができる。
【0023】
上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1(a)は、第1実施形態に係るベルトコンベアの一部断面上面図の一例であり、
図1(b)は、
図1(a)のZ方向から見た第1実施形態に係るベルトコンベアの側面図の一例である。
【
図2】
図2(a)は、第1実施形態に係る第1のローラの一部断面側面図の一例であり、
図2(b)は、第1実施形態に係る第2のローラの断面図の一例である。
【
図3】
図3(a)は、第1実施形態に係るモータの断面図の一例であり、
図3(b)は、
図3(a)のE方向から第1実施形態に係るモータの正面図の一例である。
【
図4】
図4(a)は、第1実施形態に係るベルトの上面図の一例であり、
図4(b)は、
図4(a)のF-F線に沿う断面図の一例である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る筐体の各部の寸法の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図1(a)のC-C線に沿った第1実施形態に係るベルトコンベアの一部断面側面図の一例である。
【
図7】
図7は、フリーローラに代えて支持部材を用いた第1実施形態に係るベルトコンベアの側面図の一例である。
【
図8】
図8(a)は、第2実施形態に係るベルトコンベアの側面図の一例であり、
図8(b)は、
図8(a)の方向Gから見た第2実施形態に係るベルトコンベアの一部断面正面図の一例を示す図である。
【
図9】
図9(a)は、第3実施形態に係る第1のローラの一部断面側面図の一例であり、
図9(b)は、第3実施形態に係る第2のローラの断面図の一例である。
【
図10】
図10(a)は、第3実施形態に係るベルトの上面図の一例であり、
図10(b)は、
図10(a)のG-G線に沿う断面図の一例である。
【
図11】
図11(a)は、第5実施形態に係る第1のローラの一部断面側面図の一例であり、
図11(b)は、第5実施形態に係る第2のローラの断面図の一例である。
【
図12】
図12(a)は、第6実施形態に係るベルトコンベアの一部断面上面図の一例であり、
図12(b)は、
図12(a)のZ方向から見たベルトコンベア1の側面図の一例である。
【
図13】
図13(a)は、第7実施形態に係るベルトコンベアの一部断面上面図の一例であり、
図13(b)は、第7実施形態に係る第2のローラの断面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態の例について、図面を参照して説明する。なお、下記実施形態(及び変形例)において共通する構成要素については、前出の符号と同様な符号を付し説明を省略することがある。また、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0026】
<第1実施形態>
図1(a)は、本実施形態に係るベルトコンベアの一部断面上面図の一例である。このベルトコンベア1は、無人搬送車用のベルトコンベアであって、第1のローラ2、第2のローラ3、及びベルト4を備える。なお、
図1(a)ではベルト4を破線で表すことでベルトコンベア1の内部構造が分かるようにしている。また、ベルトコンベア1の使用用途は無人搬送車に限定されず、一般の工場内で薄型コンベアを要求される所にベルトコンベア1を使用してもよい。
【0027】
第1のローラ2は、モータが内蔵された駆動ローラであって、第1のブラケット11と第2のブラケット12により両端が支持される。第1のブラケット11と第2のブラケット12は、第1のフレーム7と第2のフレーム8の各々に固定されたアングルブラケットである。第1のフレーム7と第2のフレーム8は、ベルト送り方向Xに沿って略平行に延びる金属板である。
【0028】
第2のローラ3は、モータが内蔵されていない従動ローラであって、第3のブラケット13と第4のブラケット14によって回転可能な状態で支持される。第3のブラケット13と第4のブラケット14は、第1のフレーム7と第2のフレーム8の各々に固定されたアングルブラケットである。
【0029】
ベルト4は、第1のローラ2と第2のローラ3とに掛けられた無端ベルトである。ベルト4の材料は、例えば布、樹脂、及びゴム等の可撓性材料である。ベルト4の幅は、例えば20cm~60cmである。また、第1のローラ2と第2のローラ3との間隔は、例えば30cm~300cmである。
【0030】
このベルトコンベア1においては、駆動された第1のローラ2の回転運動に追従してベルト4がベルト送り方向Xに沿って送られると共に、そのベルト4の動きに追従して第2のローラ3が回転する。これにより、ベルト4の表面上に載置されたワークWが、ベルト送り方向Xに搬送されることになる。この例では、2kg~50kg程度の重量のワークWを搬送することができる。
【0031】
第1のフレーム7と第2のフレーム8の各々には、ベルト送り方向Xに直行する方向に延びる連結部材37が固定される。更に、その連結部材37には、ベルト送り方向Xに沿って延びる支持板18が二枚一組となって固定される。そして、一組の支持板18は、ベルト送り方向Xに沿って複数配列されたフリーローラ6を支持する。
【0032】
図1(b)は、
図1(a)のZ方向から見たベルトコンベア1の側面図の一例である。
図1(b)に示すように、支持板18は、複数のフリーローラ6を回転可能な状態で支持する。各フリーローラ6は、第1のローラ2と第2のローラ3との間に設けられており、ベルト送り方向Xに沿って移動するベルト4の動きに追従して回転すると共に、ベルト4をその裏面4b側から支持する。なお、裏面4bはフリーローラ6の上側と下側を走行するが、上側を走行する裏面4bがフリーローラ6で支持される。
【0033】
このようにフリーローラ6が回転することで、ワークWの自重でベルト4が撓むのを抑制しながらベルト4が受ける摩擦を低減することができ、第1のローラ2を回転駆動する際の消費電力を低減できる。一例として、本実施形態ではフリーローラ6の転がり摩擦係数μ1が0.05~0.1となる。一方、フリーローラ6の替わりにすべり板を用いた場合(
図7で後述)、裏面4bと擦接するすべり板の摩擦係数μ2は0.2~0.3程度となるから、本実施形態ではμ2/μ1 = 2~6倍の重さのワークWを搬送することができる。
【0034】
特に、無人搬送車は二次電池で駆動するため、低消費電力化により二次電池の持ちを長くすることもできる。
【0035】
また、フリーローラ6はベルト4の移動に連動して回転するため、ベルト4とフリーローラ6とが擦接する部分はほとんどない。そのため、ワークWの搬送時に発塵がほとんど発生せず、周囲の環境をクリーンに維持できる。特に、ワークWが食品の場合には塵が食品に付着し難くなり、食品の衛生状態を良好に保つことができる。
【0036】
本実施形態では、無人搬送車にベルトコンベア1を搭載できるようにするために、ベルトコンベア1の高さ寸法Hをなるべく小さくする。一例として、高さ寸法Hは、6cm~13cmである。
【0037】
図2(a)は、
図1(a)のA-A線に沿った第1のローラ2の一部断面側面図の一例である。
【0038】
第1のローラ2は、ローラ回転軸Kを中心にして回転可能な筐体21を備える。筐体21の材料は特に限定されないが、本実施形態では金属製の筐体21を採用する。筐体21は、ローラ回転軸Kに沿って延びる円筒状の外周部材として一体的に形成されており、その内部にモータ25を収容する。なお、
図2(a)では、図が煩雑になるのを防ぐために、モータ25については断面ではなく側面を図示している。モータ25は、第2のブラケット12に固定された固定軸30と、ローラ回転軸Kを中心にして回転する外筒とを有する。筐体21は、その外筒に固定されており、ローラ回転軸Kを中心にして回転する。
【0039】
このように第1のローラ2の内部にモータ25を収容することで、モータ25の回転駆動力を第1のローラ2に伝達するための複雑な機構が不要となり、ベルトコンベア1の小型化を実現することができる。
【0040】
また、筐体21の固定軸30と反対側の端には、ベアリング等の軸受け19が収容される。その軸受け19には、先端が第1のブラケット11に固定された軸部材19aが装着される。これにより、筐体21は、軸受け19を介して第1のブラケット11に回転可能な状態で取り付けられる。
【0041】
また、外周部材である筐体21の外周面は、ローラ回転軸Kに沿って互いに間隔がおかれた第1の端部21e及び第2の端部21fを備える。更に、筐体21の外周面は、第1のテーパ部21a、第2のテーパ部21b、及びストレート部21cを備える。
【0042】
第1のテーパ部21aは、ローラ回転軸Kの中央側から第1の端部21eに向かって外径が小さくなる部分であり、第2のテーパ部21bは、ローラ回転軸Kの中央側から第2の端部21fに向かって外径が小さくなる部分である。また、ストレート部21cは、ローラ回転軸Kに沿って外径が同一の部分であり、その一方の端に第1のテーパ部21aが設けられ、他方の端に第2のテーパ部21bが設けられる。
【0043】
なお、
図2(a)の例では、ローラ回転軸Kに沿ったモータ25の長さが第1のローラ2の全長よりも短いが、ローラ回転軸Kに沿ったモータ25の長さを第1のローラ2の全長と同程度としてもよい。この場合は、固定軸30の一端を第1のブラケット11に固定し、かつ固定軸30の他端を第2のブラケット12に固定すればよく、軸受け19と軸部材19aは不要となる。
【0044】
図2(b)は、第2のローラ3の断面図の一例であって、
図1(a)のB-B線に沿う断面図である。
【0045】
第2のローラ3は、第1のローラ2と同様に、テーパ部21a、21bとストレート部21cとを備えた筐体21を有する。筐体21の一方の端にはベアリング等の軸受け41が収容される。その軸受け41には、先端が第4のブラケット14に固定された軸部材41aが装着される。同様に、筐体21の他方の端にはベアリング等の軸受け42が収容される。その軸受け42には、先端が第3のブラケット13に固定された軸部材42aが装着される。これにより、筐体21はローラ回転軸Kを中心にして回転可能となる。
【0046】
図3(a)は、モータ25の断面図の一例であって、
図2(a)のD-D線に沿う断面図に相当する。
図3(a)に示すように、モータ25は、固定軸30、電磁石31、永久磁石32、及び外筒33を備える。
【0047】
固定軸30は、ローラ回転軸Kに沿って延びており、前述の第2のブラケット12(
図2(a)参照)に固定される。電磁石31は、固定軸30の外周面に固定されており、リード線35から供給される直流電流によって励磁する。また、外筒33は、ベアリング等の軸受け26、27を介して固定軸30に取り付けられており、ローラ回転軸Kを中心にして回転可能である。一例として、外筒33は、金属製の円筒であって、その外周面が筐体21の内周面に装着される。なお、外筒33の外周面と筐体21の内周面の形状は、筐体21に外筒33を収容できれば円筒に限定されない。
【0048】
外筒33の外周面は、金属用の接着剤で筐体21の内周面に固定されてもよいし、ネジ等によって筐体21に機械的に固定されてもよい。更に、筐体21に外筒33を圧入することで、筐体21に外筒33を機械的に固定してもよい。その外筒33の内面には、電磁石31から間隔をおいて永久磁石32が固定される。
【0049】
これによれば、リード線35に直流電流を供給することで、電磁石31と永久磁石32との間に作用する磁力によって外筒33が回転する。
【0050】
第1のローラ2のトルクを増加させるために、外筒33に減速ギア(不図示)を接続してもよい。この場合、外筒33の外周面に筐体21の内周面を装着するのではなく、当該内周面に固定された出力プレート(不図示)を減速ギアの出力軸に接続すればよい。更に、この例のように固定軸30が第2のブラケット12に固定されたモータ25に代えて、外筒が第2のブラケット12に固定されたモータを採用し、そのモータの回転軸に減速ギア(不図示)を接続してもよい。その場合、モータの回転軸に減速ギア(不図示)を接続し、筐体21の内周面に固定された出力プレート(不図示)を減速ギアの出力軸に接続して、第1のローラ2のトルクを増加させてもよい。
【0051】
この例のようにモータ25が直流モータの場合は、モータ25への供給電力は、無人搬送車に設けられた不図示の二次電池から供給される。そして、モータ25の回転は、無人搬送車に設けられた不図示のコントローラにより制御される。なお、直流モータに代えて交流モータをモータ25として用いてもよい。
【0052】
図3(b)は、
図3(a)のE方向から見たモータ25の正面図の一例である。
図3(b)に示すように、外筒33は正面視で円形である。
【0053】
図4(a)は、本実施形態に係るベルト4の上面図の一例である。
図4(a)に示すように、モータ25の駆動力で第1のローラ2を回転させると、これに追従して上面側のベルト4がベルト送り方向Xに向かって送られ、更にベルト4の動きに追従して第2のローラ3が回転する。
【0054】
このとき、本実施形態では第2のローラ3にテーパ部21a、21bを設けたため、第2のローラ3の各端部21e、21fにおける外周面の回転速度v1と比較して、中央部付近における外周面の回転速度v2が速くなる。このような速度差に起因して、ベルト4においてその縁部4eを含む各テーパ部21a、21bを走行する部分が中央部4dに引き付けられるようになる。その結果、ベルト4の蛇行が防止されて、ベルト4が安定して走行するようになる。
【0055】
これと同じ理由によって第1のローラ2側でも各速度v1、v2に差が生じ、これによりベルト4の蛇行を防止することができる。
【0056】
図4(b)は、
図4(a)のF-F線に沿う断面図の一例である。
図4(b)に示すように、ベルト4は、各ローラ2、3の回転に追従して走行する。
【0057】
次に、筐体21の各部の寸法の一例について説明する。
【0058】
図5は、筐体21の各部の寸法の一例を示す断面図である。
図5では、ローラ回転軸Kに沿った第1のテーパ部21a、第2のテーパ部21b、及びストレート部21cのそれぞれの長さをa、b、cとしている。また、ローラ回転軸Kに沿った筐体21の長さをdとし、ストレート部21cの外径をMとしている。更に、各テーパ部21a、21bの外径の最大値と最小値との差をhとしている。
【0059】
この場合、一例として、cはdの25%以上50%以下である。好ましくは、cはdの50%程度であり、d=300mmの場合はc=150mmである。
【0060】
なお、aとbが異なると、ベルト4をその中央部4dに引き付ける作用の大きさが第1のテーパ部21aと第2のテーパ部21bとで異なってしまう。そのため、a=bとするのが好ましい。
【0061】
また、一例として、hはMの0.2%以上0.5%以下である。好ましくは、hはMの0.5%程度であり、M=50mmの場合はh=0.25mmである。
【0062】
更に、
図5に示すように、第1のテーパ部21a、第2のテーパ部21b、及びストレート部21cのそれぞれを複数の別々の筒状部品としてもよい。これにより、一つの筐体21にテーパ部21a、21bとストレート部21cの全てを一体的に加工により形成する場合と比較して加工の難易度が低下し、筐体21のコストダウンを図ることができる。また、部品点数も3つに限定されず、2つの部品や4つ以上の部品から筐体21を構成してもよい。
【0063】
このように第1のテーパ部21a、第2のテーパ部21b、及びストレート部21cのそれぞれを別部品とする場合は、それぞれの部品を、接着、溶着、溶接等により連結し、円筒状の外周面を備えたモータ25の当該外周面に装着し、固定すればよい。
【0064】
図6は、
図1(a)のC-C線に沿ったベルトコンベア1の一部断面側面図の一例である。
図6では、図が煩雑になるのを防ぐために、フリーローラ6については断面ではなく側面を示している。
図6に示すように、前述の複数のフリーローラ6の各々は、二枚一組の支持板18によって回転可能な状態で支持される。更に、複数の支持板18の各々は、連結部材37を介して各フレーム8、7に固定される。
【0065】
フリーローラ6の材料としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス等の金属や樹脂等がある。フリーローラ6はベルト4をその裏面から支持するように機能するが、フリーローラに代えて以下のような支持部材(
図7)を用いてもよい。
【0066】
なお、
図6の例では5個のフリーローラ6が設けられているが、これらのフリーローラ6を一つにまとめてもよい。この場合、第1のフレーム7から第2のフレーム8に向かう方向に延びる1本のフリーローラ6が、ベルト送り方向X(
図1参照)に間隔をおいて複数配列される。
【0067】
図7は、フリーローラに代えて支持部材を用いたベルトコンベア1の側面図の一例である。
図7に示すように、支持部材38は、第2のフレーム8に固定されており、ベルト4をその裏面4bの下方側から支持する。また、支持部材38は、送り方向Xに沿って走行するベルト4の裏面4bに擦接する擦接面38aを備える。
【0068】
このように支持部材38を設けることで、ベルトコンベア1の高さ寸法Hを小さく維持しながら、可撓性材料からなるベルト4がワークWの自重によって撓むのを防止でき、ワークWを安定して搬送することが可能となる。しかも、フリーローラ6が不要となるため、フリーローラ6のコストだけベルトコンベア1の低廉化を実現できる。
【0069】
以上説明した本実施形態によれば、
図2(a)に示したように、筐体21の内部にモータ25を収容することができるため、ベルトコンベア1の高さ寸法を小さくすることができる。しかも、各ローラ2、3の外周面にテーパ部21a、21bを設けるため、ベルト4の蛇行も防止できる。
【0070】
なお、上記では第1のローラ2と第2のローラ3の両方にテーパ部21a、21bを設けたが、第1のローラ2と第2のローラ3のいずれか一方のみにテーパ部21a、21bを設けてもベルト4の蛇行を防止することができる。これにつては後述の各実施形態でも同様である。
【0071】
<第2実施形態>
本実施形態では、以下のようにしてベルト4の弛みを防止する。
【0072】
図8(a)は、本実施形態に係るベルトコンベア1の側面図の一例であって、
図1(a)のZ方向から見た側面図に相当する。また、
図8(b)は、
図8(a)の方向Gから見たベルトコンベア1の一部断面正面図の一例を示す図である。
【0073】
本実施形態では、各ローラ2、3のローラ回転軸Kと同じ方向に延びた軸棒52を設け、その軸棒52の両端を各フレーム7、8に固定する。第2のフレーム8に軸棒52を固定する方法は特に限定されず、
図8(a)のようにストッパ51で第2のフレーム8に軸棒52を固定し得る。第1のフレーム7についても同様である。また、軸棒52は、第1のローラ2と第2のローラ3の間に設けられる。
【0074】
軸棒52は、例えば鉄やステンレス等の金属製の丸棒である。そして、軸棒52の外周面に補助ローラ53を装着する。なお、
図8(b)においては、図が煩雑になるのを防ぐために、ベルト4と補助ローラ53についてはそれらの断面を示し、これ以外の要素については正面図を示している。補助ローラ53は、軸棒52の直径と同程度の内径を有する円筒であって、軸棒52を中心にして回転可能である。補助ローラ53の材料としては、例えばアルミニウム等の金属や樹脂等がある。
【0075】
この例では一つの軸棒52に補助ローラ53が複数装着される。なお、一つの軸棒52に補助ローラ53を一つのみ装着してもよい。この例では
図8(a)のように軸棒52の本数を2本としたが、軸棒52を3本以上設けてもよいし、軸棒52を1本のみ設けてもよい。
【0076】
ベルト4は、上部走行部4xと下部走行部4yとを備える。上部走行部4xは、ワークWを搭載したベルト4がベルト送り方向Xに沿って走行する部分である。一方、下部走行部4yは、上部走行部4xと相対するベルト4の部分であって、ベルト送り方向Xとは逆方向の方向Yに沿ってベルト4が走行する部分である。
【0077】
補助ローラ53は、下部走行部4yにおけるベルト4の表面4cに当接し、上部走行部4xと下部走行部4yとの間隔Pを狭める方向に下部走行部4yを押圧する。これにより、ベルト4の張力が増大するためベルト4の弛みを防止できる。その結果、例えばベルト4が弛んで床面に接し、ベルト4が汚染されたりベルトが摩耗したりするのを防止できる。
【0078】
<第3実施形態>
本実施形態では、以下のようにして各テーパ部21a、21bによるベルト4の蛇行防止を補助する。
【0079】
図9(a)は、本実施形態に係る第1のローラの一部断面側面図の一例であり、
図9(b)は、本実施形態に係る第2のローラの断面図の一例である。なお、
図9(a)では、図が煩雑になるのを防ぐために、モータ25については断面ではなく側面を図示している。
【0080】
図9(a)、(b)に示すように、本実施形態では、ローラ回転軸Kを中心にして回転可能なローラ本体22を各ローラ2、3に設ける。そして、筐体21の各テーパ部21a、21bとストレート部21cの各々を筒状部材としてローラ本体22の外周面に装着して固定する。
【0081】
ローラ本体22は例えば円筒状である。ローラ本体22の材料は特に限定されないが、本実施形態では金属管をローラ本体22として採用する。第1のローラ2(
図9(a))においては、ローラ本体22の内部にモータ25が収容される。モータ25の外筒33(
図3参照)の外周面は、金属用の接着剤でローラ本体22の内周面に固定されてもよいし、ネジによってローラ本体22の内周面に固定されてもよい。更に、ローラ本体22にモータ25を圧入して両者を固定してもよい。
【0082】
ローラ本体22の固定軸30と反対側の端には、ベアリング等の軸受け19が収容されており、これによりローラ本体22が軸受け19を介して第1のブラケット11に回転可能な状態で取り付けられる。
【0083】
一方、第2のローラ3(
図9(b))においては、ローラ本体22の一方の端にベアリング等の軸受け41が収容される。同様に、ローラ本体22の他方の端にはベアリング等の軸受け42が収容される。これにより、ローラ本体22はローラ回転軸Kを中心にして回転可能となる。
【0084】
また、第1のローラ2と第2のローラ3のいずれにおいても、ストレート部21cにガイド溝23が形成される。ガイド溝23は、後述のベルト4の桟部が嵌る溝である。一例として、ベルト4の桟部の形状に合うようにガイド溝23をテーパ状にしてもよい。
【0085】
この例では、ローラ本体22に至る深さにガイド溝23を形成する。この場合、筐体21はガイド溝23を境にして二つに分割され、分割された各々の筐体21の開口端によってガイド溝23が確定される。これに代えて、ストレート部21cの厚さよりも浅くガイド溝23を形成してもよい。この場合は筐体21は二つに分割されない。
【0086】
また、ガイド溝23を形成する部位はストレート部21cに限定されず、第1のテーパ部21aや第2のテーパ部21bにガイド溝23を形成してもよい。
【0087】
図10(a)は、本実施形態に係るベルト4の上面図の一例である。
図10(a)に示すように、ベルト4の裏面4bには、ベルト送り方向Xに沿って延びる桟部4aが設けられる。桟部4aは、各ローラ2、3のガイド溝23に嵌る突形状を有し、接着剤等によって裏面4bに接着される。これに代えて桟部4aをベルト4と一体成型してもよい。なお、ガイド溝23(
図9(a)、(b)参照)に桟部4aが嵌るのであれば、ガイド溝23の表面を金属や樹脂等の部材で被覆してもよい。
【0088】
図10(b)は、
図10(a)のG-G線に沿う断面図の一例である。
図10(b)に示すように、ベルト4は、ベルト送り方向Xに沿って走行する。このとき、上記のように桟部4aがガイド溝23(
図9(a)、(b)参照)に嵌ることで、各テーパ部21a、21bによるベルト4の蛇行防止を補助することができる。
【0089】
<第4実施形態>
第3実施形態では、
図9(a)、(b)に示したように、ローラ本体22に筐体21を装着し、筐体21にガイド溝23を設けた。これに対し、本実施形態では、ローラ本体22に筐体21を装着するものの、筐体21にガイド溝23を設けない。これにより各ローラ2、3が筐体21とローラ本体22との二重構造となるため、各ローラ2、3の強度を補強することができる。
【0090】
更に、筐体21の第1のテーパ部21a、第2のテーパ部21b、及びストレート部21cをそれぞれ別部品にしてもよい。また、部品点数も3つに限定されず、2つの部品や4つ以上の部品から筐体21を構成してもよい。この場合は、各部品同士を接着等により連結してもよいし、連結を省いて各部品をローラ本体22に装着して固定してもよい。
【0091】
<第5実施形態>
本実施形態では、第1及び第2実施形態と同様に各ローラ2、3にローラ本体22を設けない。更に、本実施形態では第1及び第2実施形態で設けられていたストレート部21cを設けない。
【0092】
図11(a)は、本実施形態に係る第1のローラの一部断面側面図の一例であり、
図11(b)は、本実施形態に係る第2のローラの断面図の一例である。なお、
図11(a)では、図が煩雑になるのを防ぐために、モータ25については断面ではなく側面を図示している。
【0093】
図11(a)、(b)に示すように、本実施形態では、各テーパ部21a、21bの外周面を断面視で曲線状にする。また、ローラ回転軸Kに沿ったテーパ部21a、21bのそれぞれの長さを略同一にして、ローラ回転軸Kに沿った全長の中央付近で筐体21の外径が最大となるようにする。
【0094】
このような構造では第1及び第2実施形態のストレート部21cが筐体21に存在しないが、第1及び第2実施形態と同様に端部21e、21fと中央部付近での筐体21の回転速度の差を利用してベルト4の蛇行を防止することができる。なお、第3及び第4実施形態に本実施形態を適用し、上記のようにストレート部21cが存在しない筐体21をローラ本体22(
図9(a)、(b)参照)に装着しても、上記と同様にしてベルト4の蛇行を防止することができる。
【0095】
<第6実施形態>
図12(a)は、本実施形態に係るベルトコンベアの一部断面上面図の一例であり、
図12(b)は、
図12(a)のZ方向から見たベルトコンベア1の側面図の一例である。なお、
図12(a)ではベルト4を破線で表すことでベルトコンベア1の内部構造が分かるようにしている。
【0096】
図12(a)に示すように、本実施形態では、ベルト4の張力を調整するための第1の調整機構61と第2の調整機構62をベルトコンベア1に設ける。
【0097】
第1の調整機構61は、第1のフレーム7に固定された第5のブラケット61aと第1の調整ネジ61bとを備える。第1の調整ネジ61bは、第5のブラケット61aに形成されたネジ穴に螺入されており、回転させることでベルト送り方向Xに平行な方向に移動可能である。
【0098】
また、第3のブラケット13には、第1の調整ネジ61bの先端に当接する第1の当接板13aが設けられる。第3のブラケット13には、ベルト送り方向Xに沿って延びる長穴(不図示)が形成されており、その長穴に通された固定ネジ(不図示)を締め付けることにより第1のフレーム7に固定される。
【0099】
同様に、第2の調整機構62は、第2のフレーム8に固定された第6のブラケット62aと第2の調整ネジ62bとを備える。第2の調整ネジ62bは、第6のブラケット62aに形成されたネジ穴に螺入されており、回転させることでベルト送り方向Xに平行な方向に移動可能である。
【0100】
また、第4のブラケット14には、第2の調整ネジ62bの先端に当接する第2の当接板14aが設けられる。第4のブラケット14には、ベルト送り方向Xに沿って延びる長穴(不図示)が形成されており、その長穴に通された固定ネジ(不図示)を締め付けることにより第2のフレーム8に固定される。
【0101】
本実施形態においてベルト4の張力を調整する場合は、まず第1のフレーム7に第3のブラケット13を固定している固定ネジを緩める。同様に、第2のフレーム8に第4のブラケット14を固定している固定ネジを緩める。これにより、第3のブラケット13と第4のブラケット14の各々が、ベルト送り方向Xに平行な方向に沿って移動可能となる。また、ベルト4の収縮力によって第2のローラ3が第1のローラ2に近づく方向に付勢されるため、第1の調整ネジ61bと第2の調整ネジ62bの各々の先端が第1の当接板13aと第2の当接板14aに当接した状態が維持される。
【0102】
次いで、第1の調整ネジ61bと第2の調整ネジ62bの各々を回転させる。これにより、第3のブラケット13と第4のブラケット14の各々が、ベルト送り方向Xに平行な方向に沿って移動する。そして、所定の張力でベルト4が張られたときに各調整ネジ61b、62bの回転を停止する。更に、第1のフレーム7に第3のブラケット13を固定している固定ネジを締め付けると共に、第2のフレーム8に第4のブラケット14を固定している固定ネジを締め付ける。以上により、ベルト4の張力の調整を終える。
【0103】
本実施形態によれば、各調整機構61、62によってベルト4の張力を簡単に調整することが可能となる。
【0104】
なお、ベルト送り方向Xに沿って延びるガイド溝(不図示)を各フレーム7、8に形成し、そのガイド溝に各ブラケット13、14を方向Xに沿って移動可能に装着し、所定の位置で固定ネジにより固定できるようにしてもよい。調整機構61、62の各ブラケット61a、62aについても各フレーム7、8のガイド溝に方向Xに沿って移動可能に装着し、所定の位置でネジにより各フレーム7、8に固定してもよい。
【0105】
ベルト4の張力を調整する場合は、各ブラケット13、14の固定ネジを緩めた状態で、第1の調整ネジ61bと第2の調整ネジ62bの各々を回転させる。このようにフレームに形成されたガイド溝を用いた構成では、上述の本実施形態のように長穴の長手方向の長さで各ブラケット13、14の移動量が規定されなくなるため、ベルト4の張力の調整量を増やすことができる。
【0106】
なお、
図12(a)、(b)の例では、各調整機構61、62で第2のローラ3を移動させることでベルト4の張力を調整したが、同様の調整機構を第1のローラ2にも設けることで、第1のローラ2を移動させてベルト4の張力を調整してもよい。また、第2のローラ3側の調整機構61、62を省き、第1のローラ2側の調整機構のみでベルト4の張力を調整してもよい。フレームに形成されたガイド溝を用いた例についても同様に、第1のローラ2側と第2のローラ3側の両方に適用してもよいし、第1のローラ2側のみに適用してもよい。
【0107】
<第7実施形態>
図13(a)は、本実施形態に係るベルトコンベアの一部断面上面図の一例である。なお、
図13(a)ではベルト4を破線で表すことでベルトコンベア1の内部構造が分かるようにしている。
【0108】
図13(b)は、本実施形態に係る第2のローラ3の断面図の一例であって、
図13(a)のB-B線に沿う断面図である。
【0109】
図13(b)に示すように、本実施形態に係る筐体21の外周部材の外周面は、ストレート部21cと、第1のテーパ部21gと、第2のテーパ部21hとを有する。
【0110】
第1のテーパ部21gは第1の端部21eに向かって外径が大きくなる部分であり、第2のテーパ部21hは第2の端部21fに向かって外径が大きくなる部分である。
【0111】
このように第2のローラ3を第1のローラ2とは逆の逆テーパ状とすることで、両ローラ2、3の対向するストレート部21c、及び両ローラ2、3の対向するテーパ部の各々のベルト4の周長(巻き付き展開長さ)が略同一となる。その結果、ベルト4に無理な応力が作用せず、ベルト4が蛇行し難くなる。
【0112】
なお、第1のローラ2と第2のローラ3の各々の外周面は対称である必要はない。第1のローラ2と第2のローラ3の各々の外周面は、断面視でそれぞれが緩やかな円弧状でもよいし、断面視で複数の直線から構成されてもよい。
【0113】
更に、第3実施形態のように、ローラ本体22(
図9(a)、(b)参照)に、第7実施形態の筐体21を装着してもよいし、ベルト4の桟部4aが嵌るガイド溝23を、第7実施形態の筐体21に形成してもよい。
【0114】
また、
図13(a)、(b)の例では第2のローラ3に第1のテーパ部21gと第2のテーパ部21hを設けたが、第1のローラ2と第2のローラ3の両方に、又は第1のローラ2にのみ、第1のテーパ部21gと第2のテーパ部21hとを設けてもよい。
【0115】
<第8実施形態>
本実施形態では、第1のローラ2と第2のローラ3の一方又は両方において、
図9(a)、(b)のテーパ部21a、21bを筐体21から省き、第1の端部21eから第2の端部21fまで外径が同一のストレート部21cのみで筐体21を構成する。そして、
図9(a)、(b)と同様にローラ本体22にストレート部21cを装着し、ストレート部21cにガイド溝23を形成する。これにより、ベルト4の桟部4aがそのガイド溝23に嵌ることでベルト4の蛇行を防止することができる。
【0116】
ガイド溝23の深さは特に限定されず、
図9(a)、(b)のようにローラ本体22に至る深さにガイド溝23を形成してもよいし、ストレート部21cの厚さよりも浅くガイド溝23を形成してもよい。
【0117】
ローラ2、3の一方又は両方からローラ本体22を省略し、当該ローラを筐体21のストレート部21cのみで構成してもよい。その場合、ガイド溝23は、ストレート部21cの厚さより浅く形成すればよい。
【0118】
更に、ガイド溝23に桟部4aが嵌るのであれば、ガイド溝23の表面を金属や樹脂等の部材で被覆してもよい。
【0119】
以上、本発明に係るベルトコンベアの各実施形態について説明したが、これらは本発明の一例に過ぎず、本発明はこれらに限定されない。本発明には、以上の各実施形態やその変形例を組み合わせた形態や、さらに様々な変形例が含まれる。請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【0120】
例えば、第1~第7実施形態では第1のローラ2と第2のローラ3の両方に各テーパ部21a(21g)、21b(21h)を設けたが、各ローラ2、3の一方のみに各テーパ部21a(21g)、21b(21h)を設け、他方のローラは第8実施形態のようにテーパ部がないストレート部21cのみから構成してもよい。
【0121】
また、上記各実施形態では第1のローラ2を駆動ローラ、第2のローラ3を従動ローラとしたが、第1のローラ2と第2のローラ3の両方を駆動ローラとしてもよい。また、第1のローラ2と第2のローラ3の両方を従動ローラとしてもよい。この場合、ベルト4を手で移動させることで各ローラ2、3を回してもよいし、各ローラ2、3の外に設けた駆動機構(例えばチェーンとモータを用いた駆動機構)で各ローラ2、3を回してもよい。
【0122】
また、第1のローラ2と第2のローラ3のいずれかと同じ構造を有するローラを設けることで、3個以上のローラでベルト4を搬送するようにしてもよい。
【0123】
本発明に係るベルトコンベアは、無人搬送車に限らず、ベルトコンベアが必要とされる様々な設備、装置、機器に使用できることは言うまでもない。また、第1のローラ2及び第2のローラ3は、ベルトコンベア用の部品として提供できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0124】
1…ベルトコンベア、2…第1のローラ、3…第2のローラ、4…ベルト、4a…桟部、4b…裏面、4c…表面、4d…中央部、4e…縁部、4x…上部走行部、4y…下部走行部、6…フリーローラ、7…第1のフレーム、8…第2のフレーム、11~14…第1~第4のブラケット、13a…第1の当接板、14a…第2の当接板、18…支持板、19、41、42…軸受け、19a、41a、42a…軸部材、21…筐体、21a…第1のテーパ部、21b…第2のテーパ部、21c…ストレート部、21e…第1の端部、21f…第2の端部、21g…第1のテーパ部、21h…第2のテーパ部、22…ローラ本体、23…ガイド溝、25…モータ、30…固定軸、31…電磁石、32…永久磁石、33…外筒、35…リード線、37…連結部材、38…支持部材、38a…擦接面、51…ストッパ、52…軸棒、53…補助ローラ、61…第1の調整機構、61a…第5のブラケット、61b…第1の調整ネジ、62…第2の調整機構、62a…第6のブラケット、62b…第2の調整ネジ。