(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128769
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】リフォームカバー材、リフォーム棟構造、及びリフォームカバー材の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04D 3/40 20060101AFI20240913BHJP
E04D 3/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
E04D3/40 A
E04D3/00 M
E04D3/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037958
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】中松 保二
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 俊之
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AA02
2E108AA04
2E108AZ02
2E108BN02
2E108CV00
2E108CV09
2E108GG09
2E108GG20
(57)【要約】
【課題】重ね葺きリフォームする際に、屋根勾配、リフォーム屋根材の種類等の屋根環境に関係なく、逆勾配が生じず適切な水切勾配が得られる屋根のリフォームカバー材、リフォーム棟構造、リフォームカバー材の施工方法を提供すること。
【解決手段】上記課題を解決するために、重ね葺きリフォームをする際、屋根の既存棟80に設けられるリフォームカバー材100であって、既存棟80周りを覆う棟カバー材10と、棟カバー材10に接続され屋根と略平行して軒先側に延びる延長カバー材20と、を具備し、棟カバー材10は、棟包11と、棟包11から軒先側に屈曲して延びる水切材12と、を有し、棟カバー材10と延長カバー材20とは、延長カバー材20が下側となるように、延長カバー材20と水切材12とが重複して接続され、重複箇所の長さが調整可能であることを特徴としたこと。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね葺きリフォームをする際、屋根の既存棟に設けられるリフォームカバー材であって、
前記既存棟周りを覆う棟カバー材と、
前記棟カバー材に接続され前記屋根と略平行して軒先側に延びる延長カバー材と、を具備し、
前記棟カバー材は、棟包と、前記棟包から軒先側に屈曲して延びる水切材と、を有し、
前記棟カバー材と前記延長カバー材とは、前記延長カバー材が下側となるように、前記延長カバー材と前記水切材とが重複して接続され、重複箇所の重ねしろの長さが調整可能であることを特徴とするリフォームカバー材。
【請求項2】
前記既存棟は、既存棟木と、既存棟板材と、を有しており、
前記既存棟板材は、前記既存棟木に固定された既存棟固定板材と、前記既存棟固定板材から軒先側に屈曲して延びる既存水切材と、を有しており、
前記既存水切材から軒先側に延びるように接続され、前記重ねしろと被るように配置されるリフォーム水切材をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のリフォームカバー材。
【請求項3】
請求項2に記載のリフォームカバー材を用いた棟のリフォーム構造であって、
前記既存棟固定板材上に配置されるリフォーム下地木と、
前記棟カバー材が前記リフォーム下地木及び前記既存棟木を覆うように配置されており、前記棟カバー材上から前記棟カバー材を前記リフォーム下地木に固定する締結部材と、
軒先側から葺き上げられ、最上段に位置するリフォーム屋根材上に配置される面戸と、を有し、
前記延長カバー材の前記一端部が、前記面戸上に配置され、
前記リフォーム水切材の棟側の他端部が前記既存水切材に接続され、
前記リフォーム水切材の軒先側の一端部が前記リフォーム屋根材上に配置されることを特徴とするリフォーム棟構造。
【請求項4】
請求項2に記載のリフォームカバー材を用いた棟のリフォーム施工方法であって、
前記既存棟固定板材上にリフォーム下地木を配置する工程と、
前記棟カバー材が前記リフォーム下地木及び前記既存棟木を覆うように配置する工程と、
前記重ねしろの長さを調整する工程と、
前記延長カバー材と前記水切材とを重複して接続する工程と、
前記棟カバー材上から前記棟カバー材を前記リフォーム下地木に締結部材で固定する工程と、
を含むことを特徴とするリフォームカバー材の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根の重ね葺きリフォームにおいて、棟に使用されるリフォームカバー材、リフォーム棟構造、及びリフォームカバー材の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根の重ね葺きリフォームは、リフォーム屋根材50を軒側から順に棟付近まで葺き上げた後、棟に棟カバー材10を取りつけるが、
図1に示すように、最上段に位置するリフォーム屋根材52から棟まで一定以上の距離L0が生じて、棟カバー材10がリフォーム屋根材52まで届かないような場合、
図2に示すように、その一定以上の距離L0に応じた小さいサイズのリフォーム屋根材51を配置して、小さいサイズのリフォーム屋根材51上に棟用の棟カバー材10を配置していた。
【0003】
そうすると、棟カバー材10の軒側の一端部を屋根の高い位置で受けることになるため、棟カバー材10の先端が上方向を向き、適切な水勾配が得られず(逆勾配)、雨水がスムーズに流されなくなっていた。雨水が流されないと、水が矢印方向に流れ、棟カバー材10の屈曲する箇所に水溜まりDが生じ、水が滞留することで滞留部において鋼板の早期腐食、漏水などの不具合が生ずる可能性があった。
【0004】
また、リフォーム屋根材50から棟まで一定以上の距離L0が生じない場合であっても、屋根勾配θ、リフォーム屋根材50の種類、リフォーム屋根材50の高さ、リフォーム屋根材50の割付位置、または面戸70等といった様々な屋根環境が起因して、逆勾配が生じて、適切な水勾配が得られない場合がある。
【0005】
また、屋根環境は現場毎に異なるため、別の逆勾配が生じないようなリフォーム屋根材50を別で用意したり、割付位置等をその都度調したりするのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、特許文献1では、逆勾配が生じないように、既存の屋根上に嵩上げのためのトラスユニットを所定の間隔で複数個を平行に取り付けて、その後、これらのトラスユニットの上に屋根の構成材を設けて屋根の改修を行うことで、適度な水勾配が得られることが記載されている。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の屋根の改修方法は、トラスユニットを設置する家によって、屋根の勾配や屋根の大きさが変わるため、家毎に異なるトラスユニットを作成する必要があり、コストや施工日数が掛かり問題であった。
【0009】
そこで、本発明は上記事情を鑑みたものであって、重ね葺きリフォームをする際に、屋根勾配、リフォーム屋根材の種類等といった屋根環境に関係することなく逆勾配が生じず、適切な水切勾配が得られる屋根のリフォームカバー材、リフォーム棟構造、リフォームカバー材の施工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るリフォームカバー材は、重ね葺きリフォームをする際、屋根の既存棟に設けられるリフォームカバー材であって、前記既存棟周りを覆う棟カバー材と、前記棟カバー材に接続され前記屋根と略平行して軒先側に延びる延長カバー材と、を具備し、前記棟カバー材は、棟包と、前記棟包から軒先側に屈曲して延びる水切材と、を有し、前記棟カバー材と前記延長カバー材とは、前記延長カバー材が下側となるように、前記延長カバー材と前記水切材とが重複して接続され、重複箇所の重ねしろの長さが調整可能であることを特徴としたことにある。
【0011】
さらに、本発明に係るリフォームカバー材は、前記既存棟は、既存棟木と、既存棟板材と、を有しており、前記既存棟板材は、前記既存棟木に固定された既存棟固定板材と、前記既存棟固定板材から軒先側に屈曲して延びる既存水切材と、を有しており前記既存水切材から軒先側に延びるように接続され、前記重ねしろと被るように配置されるリフォーム水切材をさらに具備することを特徴とことを特徴としたことにある。
【0012】
さらに、本発明に係るリフォーム棟構造は、請求項2に記載のリフォームカバー材を用いた棟のリフォーム構造であって、前記既存棟固定板材上に配置されるリフォーム下地木と、前記棟カバー材が前記リフォーム下地木及び前記既存棟木を覆うように配置されており、前記棟カバー材上から前記棟カバー材を前記リフォーム下地木に固定する締結部材と、軒先側から葺き上げられ、最上段に位置するリフォーム屋根材上に配置される面戸と、を有し、前記延長カバー材の前記一端部が、前記面戸上に配置され、前記リフォーム水切材の棟側の他一端部が前記既存水切材に接続され、前記リフォーム水切材の軒先側の一端部が前記リフォーム屋根材上に配置されることを特徴としたことにある。
【0013】
さらに、本発明に係る棟のリフォームの施工方法は、請求項2に記載のリフォームカバー材を用いた棟のリフォーム施工方法であって、前記既存棟固定板材上にリフォーム下地木を配置する工程と、前記棟カバー材が前記リフォーム下地木及び前記既存棟木を覆うように配置する工程と、前記棟カバー材上から前記棟カバー材を前記リフォーム下地木に締結部材で固定する工程と、前記重ねしろの長さを調整しながら前記延長カバー材と前記水切材とを重複して接続する工程と、を含むことを特徴としたことにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、延長カバー材と水切材とが重複して接続され、重複箇所の長さが調整可能であるので、水切材を屋根の低い位置で受けることができるため、屋根勾配やリフォーム屋根材の種類等の屋根環境に関わらず、どの現場においても逆勾配が生じず適切な水切勾配を得るリフォームカバー材とすることができる。
ができる。
【0015】
また、延長カバー材と水切材との重複箇所に被るように配置されるリフォーム水切材をさらに具備することで、二重防水となるリフォームカバー材とすることができる。
【0016】
また、請求項2に記載のリフォームカバー材を用いることで、屋根勾配やリフォーム屋根材の種類等の屋根環境に関わらず、どの現場においても逆勾配が生じず適切な水切勾配を得るリフォーム棟構造とすることができる。
【0017】
また、請求項2に記載のリフォームカバー材を用いることで、屋根勾配やリフォーム屋根材の種類等の屋根環境に関わらず、どの現場においても逆勾配が生じず適切な水切勾配を得る棟のリフォームの施工方法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】最上段のリフォーム屋根材と既存の水切材との間に一定の距離が生じる場合の重ね葺きリフォームの棟付近における棟構造を示す断面図である。
【
図2】小さいサイズのリフォーム屋根材を用いて逆勾配が生じたケースの棟構造を示す断面図である。
【
図3】本発明に係る延長カバー材を用いて逆勾配を解消した棟構造を示す断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係るリフォームカバー材を用いた棟構造を示す断面図である。
【
図5】延長カバー材を用いない場合の棟構造を示す断面図である。
【
図6】屋根勾配が緩くて逆勾配が生じるケースの棟構造を示す断面図である。
【
図7】本発明に係る延長カバー材を用いて逆勾配を解消した棟構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係るリフォームカバー材100,200、リフォーム棟構造300、及びリフォームカバー材100,200の施工方法について詳細に説明する。本明細書において、リフォームカバー材100,200、リフォーム棟構造300、及びリフォームカバー材100,200の施工方法は、片流れにおける片棟屋根のケースのみを記載しているが、両流れの切妻屋根、寄棟屋根、方形屋根についても同様に適用することができ、片棟屋根に限定されるものでない。
【0020】
リフォームカバー材100は、既存屋根材86によって形成された既存屋面の上にリフォーム屋根材50を葺くことでリフォーム屋根面を形成する重ね葺き工法によって、既設屋根面から新設屋根面へリフォームされる際に棟周りのカバーに用いられる。
【0021】
[第1実施形態に係るリフォームカバー材100とリフォーム棟構造300]
本発明の第1実施形態に係るリフォームカバー材100は、屋根の重ね葺きリフォームをする際に、既存棟80に設けられ、
図3に示すように、既存棟80を覆う棟カバー材10と、棟カバー材10の軒先側に接続される延長カバー材20と、リフォーム水切材30と、を具備している。棟カバー材10及び延長カバー材20は、ルバリウム鋼板、ステンレス鋼板、銅板等で形成されている。
【0022】
既存棟80は、
図1に示すように、既存棟木81と、既存棟板材82と、を有しており、既存棟木81は、壁Wの上部に位置しており、既存棟板材82は、断面視略Z字型であり、既存棟木81に固定された既存棟固定板材83と、既存棟固定板材83から軒先側に屈曲して延びる既存水切材84と、を有している。
【0023】
リフォーム棟構造300は、
図3,
図4に示すように、リフォームカバー材100,200が用いられ、既存棟固定板材83上に配置されるリフォーム下地木40と、棟カバー材10がリフォーム下地木40及び既存棟木81を覆うように配置され、棟カバー材10上から棟カバー材10をリフォーム下地木40に固定する締結部材41と、軒先側から葺き上げられ、最上段に位置するリフォーム屋根材52上に配置される面戸70と、を有し、延長カバー材20の一端部21が、面戸70上に配置され、リフォーム水切材30の棟側の他端部32が既存水切材84に接続され、リフォーム水切材30の軒先側の一端部31がリフォーム屋根材50上に配置されている構造である。
【0024】
(棟カバー材10について)
棟カバー材10は、既存棟80周りを包んでいる棟包11と、棟包11から軒先側に屈曲して延びる水切材12と、を有している。
図3に示すように、既存棟木81上には、既存棟固定板材83が配置され、既存棟固定板材83上にリフォーム下地木40が配置されている。棟包11は、リフォーム下地木40及び既存棟木81の周りを覆うように配置され、ビスなどの締結部材41が、棟カバー材10の上方から棟カバー材10を挿通して、リフォーム下地木40に固定している。
【0025】
(延長カバー材20について)
延長カバー材20は、延長カバー材20が下側になるように重複して、棟カバー材10の水切材12に接続されている。延長カバー材20及び水切材12の重複箇所は、重ねしろの長さL2の調整が可能である。延長カバー材20を用いて水切材12との重複箇所の重ねしろの長さL2を調整することで、水切りのカバーできる長さを調整することができる。
【0026】
したがって、
図2に示すように、水切りできる範囲が短い結果、基点となる折曲部23よりも屋根の高い位置で棟カバー材10の水切材12を受けることで、逆勾配が生ずるような場合であっても、
図3に示すように、重複箇所の重ねしろの長さL2を調整して水切りのカバーの長さが延長されることで、小さいサイズのリフォーム屋根材51を用いる必要がなくなり、通常のサイズのリフォーム屋根材50の1種類のみで施工可能となると同時に、屋根の低い位置で延長カバー材20の一端部21を受けることができ、適切な水切勾配を得ることができる。本実施形態において、接続方法は、リベットカシメ71を用いて、水切材12と延長カバー材20とが接続されているが、接続できれば、接続方法はこれに限定されない。
【0027】
また、延長カバー材20の中央付近には、屋根側に折れ曲がる折曲部23と、軒先側の一端部21にかえし24と、を有している。折曲部23は屋根方向に屈曲しており、折曲部23を有することで、延長カバー材20の一端部21が、リフォーム屋根材50上の面戸70上に当接できるようにし、また水切りの角度を急にすることで、水切りをしやすくしている。そして、かえし24は、内部に水の侵入を防ぐ役割を有する。
【0028】
(リフォーム下地木40について)
リフォーム下地木40は、既存棟80に棟カバー材10を固定するための下地材である。リフォーム下地木40は、前述したように、既存棟木81上に配置され、現場で加工して作成される。リフォーム下地木40の幅は、既存棟木81の幅と同一のものが好適に用いられる。
【0029】
(リフォーム水切材30について)
リフォーム水切材30は、既存水切材84の軒下側に延びるように接続されており、重複箇所の重ねしろに被るように配置されている。リフォーム水切材30の棟側の他端部32は、既存水切材84に接続されており、リフォーム水切材30の軒先側の一端部31は、軒先側から葺き上げられ、最上段に位置するリフォーム屋根材50上に配置されている。棟カバー材10に加えてリフォーム水切材30を用いることで、重複箇所からの漏水を防ぎ、二重防水としている。
【0030】
リフォーム水切材30の長さは、重ねしろの長さL2がほとんどない場合にも対応できるように、水切材12と、延長カバー材20と、の合計の長さから既存水切材84の長さを差し引いた長さ程度としている。本実施形態において、他端部32と、既存水切材84と、の接続方法は、リベットカシメ71を用いて接続されているが、接続できれば接続方法はこれに限定されない。
【0031】
[第2実施形態に係るリフォームカバー材200]
図4に示すように、第2実施形態に係るリフォームカバー材200は、第1実施形態に係るリフォームカバー材100に加えて、水切材12及び延長カバー材20の下部にシート材210が具備されたものであり、他の構成は、第1実施形態に係るリフォームカバー材100と同一である。
【0032】
下部の空間Sは、水切材12と、延長カバー材20と、面戸70と、リフォーム屋根材50と、既存屋根材85と、で形成された空間である。延長カバー材20を用いる分、延長カバー材20の下部の空間が増える。したがって、延長カバー材20の下部にも、断熱性、遮音性、または防水性を兼ね備えるシート材210を設けることで、断熱性等の機能を高めた棟構造とすることができ、空間Sを有意に利用することができる。シート材210は、例えば、板紙やフェルト等の基材にアスファルトをしみ込ませたアスファルトルーフィング等である。また、必要であれば、リフォーム水切材30の下部にもシート材210を設けてもよい。
【0033】
[施工方法について]
リフォームカバー材100,200の施工方法は、以下の(A)~(F)の工程を順に行う。(A)リフォーム屋根材50を軒側から順に葺き上げていき、最上段のリフォーム屋根材52上に面戸70を配置する工程、(B)既存棟木81上にリフォーム下地木40を配置する工程、(C)棟カバー材10を取り付ける前に、屋根環境に応じて延長カバー材20と水切材12との重複箇所の重ねしろの長さL2を調整する工程、(D)延長カバー材20と、水切材12と、を接続する工程、(E)リフォーム下地木40及び既存棟80を覆うように、棟カバー材10を取り付ける工程、(F)締結部材41で棟包11及びリフォーム下地木40を固定する工程。
【0034】
(工程(C)について)
図3に示すように、最上段のリフォーム屋根材52から既存水切材84まで一定の距離L1がある場合、リフォーム水切材30の軒先側の一端部31を、リフォーム屋根材50上に、延長カバー材20及び水切材12が逆勾配とならないように位置に配置させることで、重ねしろの長さL2が自動的に定まる。また、一定の距離L1とは、既存水切材84のみでは最上段のリフォーム屋根材52に届かなくなる距離以上であって、1枚のリフォーム屋根材50の長さ未満の距離のことである。
【0035】
また、
図5に示すように、最上段のリフォーム屋根材52から既存水切材84までが一定の距離L1以下、すなわち水切材12のみで最上段のリフォーム屋根材52に届く距離以下の短い距離L3の場合であって、小さいサイズのリフォーム屋根材51で隙間を埋める必要がない場合、延長カバー材20を用いることなく重ね葺きをすることができる。
【0036】
しかし、最上段のリフォーム屋根材52から既存水切材84までが短い距離L3で、一定の距離L1以下の場合であっても、屋根勾配θが緩い場合は、水切材12の受ける位置が折曲部23より高くなり、水切材12の
図6に示すように、逆勾配が生じる可能性がある。
【0037】
このような場合でも
図7に示すように、最上段のリフォーム屋根材52を取り外して、延長カバー材20を取り付け、水切材12を受ける位置を低くすることで逆勾配が生じず、適切な水切勾配を得ることができる。
【0038】
以上のように、最上段のリフォーム屋根材52から既存水切材84まで一定の距離L1がある場合や、屋根勾配が緩い場合の屋根環境であっても、重ねしろの長さL2を調整して水切材12に延長カバー材20を接続することで、リフォームカバー材100,200に延長カバー材20を設けて、重ねしろの長さL2を調整することで、上記の逆勾配となる要因を排除して、どのような環境下においても適切な水勾配を得ることができる。
【0039】
また、従来では、小さいサイズのリフォーム屋根材51を用いる必要があったが、延長カバー材20を用いることで小さいサイズのリフォーム屋根材51を用いる必要がなくなり、1種類のみのリフォーム屋根材50のみで重ね葺きリフォームをすることができる。
【0040】
本発明の実施形態は、上述の形態に限られず、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0041】
[第一の特徴]
本実施形態のリフォームカバー材の第一の特徴は、重ね葺きリフォームをする際、屋根の既存棟に設けられるリフォームカバー材であって、既存棟周りを覆う棟カバー材と、棟カバー材に接続され屋根と略平行して軒先側に延びる延長カバー材と、を具備し、棟カバー材は、棟包と、棟包から軒先側に屈曲して延びる水切材と、を有し、棟カバー材と延長カバー材とは、延長カバー材が下側となるように、延長カバー材と水切材とが重複して接続され、重複箇所の重ねしろの長さが調整可能なことである。
【0042】
第一の特徴によれば、延長カバー材と水切材とが重複して接続され、重複箇所の重ねしろの長さが調整可能なので、カバーできる範囲を定めることができ、延長カバー材の一端部21を屋根の下側で受け止めることができるので、逆勾配にならず、適切な水切勾配を得ることができる。
【0043】
[第二の特徴]
本実施形態のリフォームカバー材の特徴は、既存棟は、既存棟木と、既存棟板材と、を有しており、既存棟板材は、既存棟木に固定された既存棟固定板材と、既存棟固定板材から軒先側に屈曲して延びる既存水切材と、を有しており、既存水切材から軒先側に延びるように接続され、重ねしろと被るように配置されるリフォーム水切材をさらに具備したことである。
【0044】
第二の特徴によれば、重ねしろと被るように配置されるリフォーム水切材をさらに具備しているため、水切材及び延長カバー材に加えて水切りすることで二重防水とすることができる。また、水切材及び延長カバー材の下部の空間を有意に利用することができる。
【0045】
[第三の特徴]
本実施形態のリフォーム棟構造は、請求項2に記載のリフォームカバー材を用いた棟のリフォーム構造であって、既存棟固定板材上に配置されるリフォーム下地木と、棟カバー材がリフォーム下地木及び既存棟木を覆うように配置されており、棟カバー材上から棟カバー材をリフォーム下地木に固定する締結部材と、軒先側から葺き上げられ、最上段に位置するリフォーム屋根材上に配置される面戸と、を有し、延長カバー材の一端部が、面戸上に配置され、リフォーム水切材の棟側の他端部が既存水切材に接続され、リフォーム水切材の軒先側の一端部がリフォーム屋根材上に配置されたことである。
【0046】
第三の特徴によれば、延長カバー材と水切材とが重複して接続され、重複箇所の重ねしろの長さが調整可能な請求項2に記載のリフォームカバー材を用いているので、水切りできるカバーの範囲を定めることができ、延長カバー材の一端部を屋根の下側で受け止めることができるので、逆勾配にならず、適切な水切勾配を得ることができる。
【0047】
[第四の特徴]
本実施形態のリフォームカバー材の施工方法は、請求項2に記載のリフォームカバー材を用いた棟のリフォーム施工方法であって、既存棟固定板材上にリフォーム下地木を配置する工程と、棟カバー材がリフォーム下地木及び既存棟木を覆うように配置する工程と、重ねしろの長さを調整する工程と、延長カバー材と水切材とを重複して接続する工程と、棟カバー材上から棟カバー材をリフォーム下地木に締結部材で固定する工程と、を含むことである。
【0048】
第四の特徴によれば、延長カバー材と水切材とが重複して接続され、重複箇所の重ねしろの長さが調整可能な請求項2に記載のリフォームカバー材を用いているので、重ねしろの長さを調整する工程を踏むことで、逆勾配にならず、適切な水切勾配を得ることができる。
【符号の説明】
【0049】
100 リフォームカバー材
10 棟カバー材
11 棟包
12 水切材
20 延長カバー材
21 一端部
22 他端部
23 折曲部
24 かえし
30 リフォーム水切材
31 一端部
32 他端部
40 リフォーム下地木
41 締結部材
50 リフォーム屋根材
51 小さいサイズのリフォーム屋根材
52 最上段のリフォーム屋根材
70 面戸
71 リベットカシメ
80 既存棟
81 既存棟木
82 既存棟板材
83 既存棟固定板材
84 既存水切材
85 既存屋根材
200 リフォームカバー材
210 シート材
300 リフォーム棟構造
L0 一定以上の距離
L1 一定の距離
L2 重ねしろの長さ
L3 短い距離
D 水溜まり
W 壁
S 空間
θ 屋根勾配