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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128791
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】包装用紙箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/50 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
B65D5/50 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037997
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391019500
【氏名又は名称】朝日印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高林 哲也
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 勲
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 浩史
(72)【発明者】
【氏名】残間 靖
(72)【発明者】
【氏名】伊沢 匠
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 信介
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060CC07
3E060CC18
3E060CC19
3E060CC43
3E060DA23
3E060DA25
3E060DA26
3E060EA09
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で製造組み立てが容易な衝撃保護機能付きの包装用紙箱を得ること。
【解決手段】本発明の包装用紙箱1は、4枚の側板(12、14、16、18)と底板(66)と蓋板(62)とを有する。そして、箱内には、底板(66)側から蓋板(62)側に移行するにしたがって一方の側板(16)側から対向する他方の側板(12)側に向かって移行し、他方の側板(12)に接近した位置から更に蓋板(62)側に移行するにしたがって他方の側板(12)側から一方の側板(16)側に移行するように凸状に湾曲した状態に配置され、蓋板(62)に対向する蓋板側湾曲面(fb)と蓋板(62)との間に収容物(S1)を挟み込んで保持する保持板(72)が設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4枚の側板と底板と蓋板とを有する包装用紙箱であって、
箱内において底板側から蓋板側に移行するにしたがって一方の側板側から対向する他方の側板側に向かって移行し、前記他方の側板に接近した位置から更に前記蓋板側に移行するにしたがって前記他方の側板側から前記一方の側板側に移行するように凸状に湾曲した状態に配置され、前記蓋板に対向する蓋板側湾曲面と前記蓋板との間に収容物を挟み込んで保持する保持板を有することを特徴とする包装用紙箱。
【請求項2】
前記保持板は、
前記底板に対向する底板側湾曲面と、該底板側湾曲面と前記蓋板側湾曲面との境界部分に形成される湾曲頭頂面と、を有しており、
前記湾曲頭頂面が前記他方の側板との間に隙間を形成する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の包装用紙箱。
【請求項3】
前記一方の側板の底板側の端部において折り曲げられて前記底板に重ね合わされるフラップを有しており、
前記保持板は、前記フラップの先端から前記蓋板側に向かって延在する基端部と、該基端部の先端に連続して前記一方の側板の蓋板側に接着される先端部とを有することを特徴とする請求項1に記載の包装用紙箱。
【請求項4】
前記保持板は、前記先端部と前記基端部との境界部分に切り込みが設けられており、
該切り込みは、前記保持板の前記基端部側に突出する凸形状の第1切り込み部と、該第1切り込み部の凸形状の任意の接点から前記保持板の基端部側に向かって切り込まれた第2切り込み部とを有していることを特徴とする請求項3に記載の包装用紙箱。
【請求項5】
前記第1切り込み部は、前記保持板の先端部側から前記保持板の基端部側に向かって円弧状に突出するように切り込まれて形成されており、
前記第2切り込み部は、前記第1切り込み部の円弧状の頂点から前記保持板の基端部側に向かって直線状に切り込まれて形成されていることを特徴とする請求項4に記載の包装用紙箱。
【請求項6】
前記保持板の前記基端部には、前記底板側から前記蓋板側に向かって延在する少なくとも1本以上の押罫線が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の包装用紙箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用紙箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、薬剤入りのバイアル瓶を包装する包装箱の技術が示されている。特許文献1に示されるように、従来は、包装箱の内部でバイアル瓶などの収容物が動かないようにするために、包装箱の内部に別個に組み立てた収容物ホルダを挿入してバイアル瓶を保持させることが行われており、また、所定の厚さに折り畳んだ使用説明書をバイアル瓶と一緒に入れて保持するとともに外部からの衝撃から保護するクッション代わりにもすることが行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3218045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の収容物ホルダの構造は複雑で、製造組み立てが煩雑であり、コストがかかっていた。また、使用説明書などの添付書類は紙資源の無駄であり、昨今のSDGs(Sustainable Development Goals)に反するものとなる。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で製造組み立ても容易な衝撃保護機能付きの包装用紙箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の包装用紙箱は、4枚の側板と底板と蓋板とを有する包装用紙箱であって、箱内において底板側から蓋板側に移行するにしたがって一方の側板側から対向する他方の側板側に向かって移行し、前記他方の側板に接近した位置から更に前記蓋板側に移行するにしたがって前記他方の側板側から前記一方の側板側に移行するように凸状に湾曲した状態に配置され、前記蓋板に対向する蓋板側湾曲面と前記蓋板との間に収容物を挟み込んで保持する保持板を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な構成で製造組み立ても容易な衝撃保護機能付きの包装用紙箱を得ることができる。本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の包装用紙箱の一実施形態に係わる包装用紙箱の全体斜視図。
図2】本実施形態の包装用紙箱を形成する箱体形成片を表面側から見た展開図。
図3】本実施形態の包装用紙箱の一部を折り返した状態を示す展開図。
図4】本実施形態の包装用紙箱の折り畳み状態を示す図。
図5】本実施形態の包装用紙箱の組み立て工程を順に示す図。
図6】本実施形態の包装用紙箱の要部を拡大して示す図。
図7】本実施形態の包装用紙箱に収容物を収容した状態を示す図。
図8】本実施形態の包装用紙箱を開封した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の包装用紙箱の一実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の説明では、便宜上、底板を下側、蓋板を上側として説明するが、包装用紙箱の実際の使用における姿勢状態を限定するものではない。
【0010】
図1は、本発明の包装用紙箱の一実施形態に係わる包装用紙箱の全体斜視図である。
包装用紙箱1は、図1に示すように、外形が略直方体の箱であり、例えば、薬剤入りのバイアル(収容物S1)の包装に使用される。本実施形態では、包装用紙箱1は、高さh1、幅w1を有しており、円筒形状を有する収容物S1の高さh2、幅w2に対して約2倍の大きさを有している。包装用紙箱1の幅w1は、収容物S1の高さh2よりも短く、本実施形態では、高さh2の約3分の2の大きさを有している。
【0011】
図2は、本実施形態の包装用紙箱を形成する箱体形成片を表面側から見た展開図である。
包装用紙箱1は、厚紙等でなる1枚の箱体形成片10を組み立てることによって形成される。
【0012】
箱体形成片10は、図2に示すように、互いに平行に並んで横方向に連続する4枚の側板12、14、16、18を有している。側板12、14、16、18は、連続する方向と直交する縦方向の長さ(高さ)が互いにほぼ等しく、また、横方向の長さ(幅)も互いにほぼ等しい。そして、横方向一方側となる側板18側の端部には、組立状態で側板12の端部の裏面にのり付けされるのり付け片20が延設されている。これら4枚の側板12、14、16、18およびのり付け片20は、各々折罫線22、24、26、28によって互いに区切られている。
【0013】
側板12、14、16の縦方向一方側の端部には、フラップ32、42、52が延設され、折罫線34、44、54によって側板12、14、16との間が区切られている。フラップ32、42、52の長さは、互いにほぼ同じ長さを有しており、側板18の幅よりも短く、本実施形態では、側板18の幅の約3分の2の長さを有している。そして、側板18の縦方向一方側の端部には、蓋板62が延設され、折罫線64によって側板18との間が区切られている。蓋板62の延出長さは、側板16、12の幅とほぼ同じである。フラップ32、52は、後述する押圧部43を押圧して破断線40から蓋板62を開封した際に指が引っかからないようにするために、フラップ42に対向する側の端部が凹状に切り欠かれた形状を有している。
【0014】
側板12、14、16の縦方向他方側の端部には、フラップ36、46、56が延設され、折罫線38、48、58によって側板12、14、16との間が区切られている。フラップ46の長さは、側板14の縦方向一方側の端部のフラップ42の長さとほぼ同じになっている。フラップ36、56の長さは、フラップ46よりも若干短くなっており、本実施形態では、側板18の幅の約2分の1の長さを有している。そして、側板18の縦方向他方側の端部には、底板66が延設され、折罫線68によって側板18との間が区切られている。底板66の延出長さは、側板16、12の幅とほぼ同じである。
【0015】
側板14の縦方向一方側の端部には、折罫線44から側板14の縦方向他方側に向かって突出する円弧状の破断線40が設けられており、折罫線44と破断線40との間に囲まれた部分に押圧部43が形成されている。この破断線40は、包装用紙箱を開封する際に、押圧部43を押圧して、側板14から分離させるのに用いられる。
【0016】
側板16のフラップ56の縦方向他方側の先端部には、包装用紙箱1内において収容物S1を保持するための保持板72が延設され、折罫線74によってフラップ56との間が区切られている。
【0017】
図3は、本実施形態の包装用紙箱の一部を折り返した状態を示す展開図である。図3(1)は、保持板72を折り返した状態を示す図、図3(2)は、図3(1)のX-X線断面図である。
【0018】
保持板72は、折罫線74で折り返され、基端部72bがフラップ56の裏面と側板16の裏面に沿って延在し、先端部72aが接着剤82によって側板16の裏面に接着される。保持板72の縦方向の長さは、側板16の縦方向の長さとフラップ56の縦方向の長さとを加えた長さにほぼ等しい。保持板72の横方向の長さ(幅)は、側板14、18との間に隙間を形成する長さ(幅)に設定されており、本実施形態では、側板16の横方向の長さの約3分の2程度の長さ(幅)に設定されている。
【0019】
保持板72の基端部72bには、底板66側から蓋板62側に向かって延在する押罫線76が設けられている。押罫線76は、基端部72bの延在方向に亘って設けられている。押罫線76は、箱内で保持板72を湾曲させた際に保持板72に元の平面状に復元させる弾性力を与えるものである。本実施形態では、2本の押罫線76a、76bが平行に延在するように設けられているが、1本以上であればよい。押罫線76a、76bは、基端部72bに形成された凹溝によって構成されている。
【0020】
図4は、本実施形態の包装用紙箱の折り畳み状態を示す図である。
箱体形成片10は、折罫線26と折罫線22を2つ折りに折り畳み、のり付け片20が側板12の端部の裏面にのり付けされる。これにより、図4に示す折り畳み状態となり、複数枚を積層した状態で、箱体形成片10を製造する工場等から出荷される。
【0021】
図5は、本実施形態の包装用紙箱の組み立て工程を順に示す図である。
箱体形成片10は、図5(1)に示すように、工場出荷時の折り畳み状態から、折罫線28で側板12と側板18との間を折り曲げるとともに、折罫線24で側板14と側板16との間を折り曲げることで、図5(2)に示すように、側板12、14、16、18が筒状にされる。
そして、図5(3)に示すように、フラップ56を側板16の裏面側に折り曲げて、側板16に対してほぼ直角の位置に保持する。これにより、保持板72の基端部72bは、側板16から離れて、保持板72の基端側から先端側に向かって突き上げるように持ち上げられ、側板16から側板12に向かって凸状に湾曲するベロ形状となる。
【0022】
図6は、本実施形態の包装用紙箱の要部を拡大して示す図である。図6には、保持板72の先端部72aと基端部72bとの境界部分が拡大して示されている。
【0023】
図6に示すように、保持板72には、先端部72aと基端部72bとの境界部分に切り込み78が設けられている。
切り込み78は、保持板72の基端部72b側に突出する凸形状の第1切り込み部78aと、第1切り込み部の凸形状の任意の接点から保持板72の基端部72b側に向かって切り込まれた第2切り込み部78bとを有している。本実施形態では、第1切り込み部78aは、保持板72の先端部72a側から保持板72の基端部72b側に向かって円弧状に突出するように切り込まれて形成されており、第2切り込み部78bは、第1切り込み部78aの円弧状の頂点から保持板72の基端部72b側に向かって直線状に切り込まれて形成されている。
【0024】
保持板72は、フラップ56を側板16の裏面側に折り曲げることによって基端部72bが先端部72a側に持ち上げられ、保持板72の基端部72bが側板16の背面から離間して湾曲するベロ形状となり、その際、先端部72aと基端部72bとの境界部分で折り曲げられる。切り込み78は、保持板72の先端部72aと基端部72bとの境界部分に脆弱な箇所を形成し、かかる位置で保持板72を確実に折り曲げることができるようにしている。
【0025】
切り込み78は、第1切り込み部78aを有することによって、フラップ56を折り曲げて基端部72bを先端部72a側に持ち上げた際に、第1切り込み部78aの両端部から保持板72の横方向に互いに離反する方向に延びる折り曲げ線73を形成し、折り曲げ線73で保持板72を先端部72aと基端部72bとに積極的に折り曲げることができる。
【0026】
本実施形態では、切り込み78は、第1切り込み部78aに加えて、第2切り込み部78bも有している。例えば、切り込み78に第2切り込み部78bを設けなかった場合、つまり、切り込み78を第1切り込み部78aのみで構成した場合、第1切り込み部78aで保持板72の先端部72a側(第1切り込み部78aの上辺)と基端部72b側(第1切り込み部78aの下辺)とが引っ掛かり、保持板72の先端部72aにおいて、接着層との間で層間剥離を起こす、或いは、境界部分で折り曲がらず、保持板72の基端部72bが綺麗な湾曲形状とならないなどの問題が発生する可能性がある。
【0027】
これに対し、本実施形態では、第2切り込み部78bを設けているので、第2切り込み部78bの幅方向両側が拘束されずにフリーとなり、余計な力を逃がすことができる。つまり、第1切り込み部78aの上辺と下辺で紙の端同士が引っかかっても、第2切り込み部78bによって、切り込み78の箇所における紙のコシがなくなっているので、第1切り込み部78aの上辺と下辺同士の干渉が軽減される。したがって、フラップ56を折り曲げて基端部72bを先端部72a側に持ち上げた際に、保持板72を先端部72aと基端部72bの境界部分に沿う折り曲げ線73で確実に折り曲げることができる。
【0028】
このフラップ56の折り曲げによって、保持板72は、基端部72bが側板16から離間して、対向する側板18に向かって凸状に湾曲するベロ形状となる。より詳しくは、保持板72の基端部72bは、フラップ56の折罫線74から箱内を蓋板62側に向かって縦方向に移行するにしたがって、一方の側板16側から対向する他方の側板12側に向かって接近する方向に移行するように湾曲する。そして、縦方向の途中位置で側板12に最も接近した部分を湾曲頭頂点とし、そこから更に蓋板62側に向かって縦方向に移行するにしたがって今度は側板12側から側板16側に向かって反対向きに移行するように湾曲し、側板16の上部で先端部72aに連続する形状となる。
【0029】
図5(3)に示すように、保持板72の基端部72bが湾曲形状に変形されると、フラップ36、46、底板66の順序で重ねられ、フラップ46の表面と底板66の裏面がのり付けされて箱下部が閉塞される。そして、図5(4)に示すように、上方から箱内に収容物S1が挿入され、フラップ32、52、42の順番で重ねられ、図5(5)に示すように、フラップ42の表面と蓋板62の裏面がのり付けされて箱上部が閉塞される。
【0030】
図7は、本実施形態の包装用紙箱に収容物を収容した状態を示す図である。
保持板72の基端部72bは、箱内において底板66側から蓋板62側に移行するにしたがって一方の側板16側から対向する他方の側板12側に向かって移行し、他方の側板12に接近した位置から更に蓋板62側に向かって縦方向に移行するにしたがって他方の側板12側から一方の側板16側に移行するように凸状に湾曲した状態に配置されている。このように配置された状態で、保持板72の基端部72bは、底板66に対向する底板側湾曲面faと、蓋板62に対向する蓋板側湾曲面fbと、底板側湾曲面faと蓋板側湾曲面fbとの境界部分に形成される湾曲頭頂面fcと、を有する。保持板72の基端部72bの湾曲頭頂面fcは、他方の側板12との間に隙間δ1を形成する位置に配置されている。
【0031】
保持板72の湾曲した基端部72bと蓋板62との間には、収容物S1を収容する収容室R1が形成される。保持板72の基端部72bは、収容室R1内において、蓋板側湾曲面fbと蓋板62との間に収容物S1を挟み込んで保持している。収容室R1内では、収容物S1の上端部が蓋板62に当接し、収容物S1の下端部が基端部72bの蓋板側湾曲面fbと側板12に当接している。収容室R1内では、収容物S1の少なくとも3点が包装用紙箱1に当接して支持されていればよく、図7に示す例では、収容物S1の下端部が基端部72bの蓋板側湾曲面fbと側板12に当接し、収容物S1の上端部が、蓋板62に加えて保持板72の先端部72aまたは側板16にも当接しており、合計で4箇所が包装用紙箱1に当接して支持されている。
【0032】
保持板72は、基端部72bの湾曲形状によって奏される弾性力によって蓋板側湾曲面fbが収容物S1を蓋板62に向かって所定の押圧力で押し付けて、蓋板側湾曲面fbと蓋板62との間に収容物S1を挟み込んで保持することができる。
【0033】
保持板72は、例えば包装用紙箱1の落下などにより、収容物S1によって蓋板62側から底板66側に向かって押される力が作用した場合には、湾曲した形状部分が拉げるように弾性変形して、その押される力を吸収することができる。そして、弾性復元力によって所定の押圧力で底板66側から蓋板62側に向かって収容物S1を押し返すことができ、蓋板側湾曲面fbと蓋板62との間に収容物S1を保持した状態を維持することができる。このように、保持板72の基端部72bは、底板66側に向かって押される力が作用した場合に弾性変形して収容物S1を積極的に移動させることができ、高いクッション性を発揮することができ、また、弾性復元力によって高い保持性を発揮することができる。特に、本実施形態では、湾曲頭頂面fcと他方の側板12との間に隙間δ1を有しているので、弾性変形した際に、縦方向に比較的長いストロークで収容物S1を積極的に移動させることができ、より高いクッション性を発揮することができる。
【0034】
図8は、本実施形態の包装用紙箱を開封した状態を示す斜視図である。
包装用紙箱1は、図1に示す包装状態から開封する場合に、押圧部43を押圧して、側板14を破断線40で分離させ、蓋板62を上方に持ち上げることによって開封される。その際にフラップ32、52に指が引っかからないように、フラップ32、52の側板14に対向する側の端部が凹状に切り欠かれている。収容物S1は、湾曲した基端部72bの上に乗った状態で露出され、包装用紙箱1の上方から容易に取り出すことができる。
【0035】
上記した本実施形態の包装用紙箱1によれば、保持板72の湾曲した基端部72bによって蓋板側湾曲面fbと蓋板62との間に収容物S1を挟み込んで保持し、包装用紙箱1に衝撃が加えられた場合に、その衝撃から収容物S1を保護する保護機能を有する。
【0036】
保持板72は、湾曲頭頂面fcと他方の側板12との間に隙間δ1を有しているので、隙間δ1がない構成と比較して、基端部72bを底板66側に変形させる力が作用した場合に、変形代を大きく確保することができ、収容物S1を積極的に移動させることができ、より大きなクッション性を得ることができる。したがって、例えば包装用紙箱1に外部から衝撃が加えられた場合に、収容物S1への衝撃の伝達を緩衝することができる。
【0037】
本実施形態の包装用紙箱1によれば、湾曲した保持板という極めて簡単な構造で収容物S1を箱内に保持することができる。そして、フラップ56の先端に連続して保持板72を設けるだけでよく、箱体形成片10の構成も簡単なものとすることができる。また、製造組み立てにおいても、4枚の側板12、14、16、18を筒状に変形させて、フラップ56を折罫線74で折り曲げて蓋板62側に向かって持ち上げるだけで、保持板72の基端部72bを凸状に湾曲した状態にすることができ、容易に組み立てることができる。そして、凸状に湾曲した保持板72の基端部72bと蓋板62との間に収容物S1を挟み込んだ状態で収容室R1内に保持することができ、包装用紙箱1に衝撃が加えられた場合に、その衝撃から収容物S1を保護することができる。また、切り込み78によって、いずれの箱体形成片10においても、保持板72を全て同じ凸状に湾曲した形状にすることができ、所期の同一の性能を得ることができる。したがって、簡単な構成で製造組み立ても容易な衝撃保護機能付きの包装用紙箱を得ることができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。つまり、組み立てる順番や収容物の収容方向なども自由に選択可能であり蓋板と底板の位置関係が逆になっていても良い。
【符号の説明】
【0039】
1:包装用紙箱、10:箱体形成片、12:側板(他方の側板)、16:側板(一方の側板)、56:フラップ、62:蓋板、66:底板、72:保持板、72a:先端部、72b:基端部、78:切り込み、78a:第1切り込み部、78b:第2切り込み部、82:接着剤、R1:収容室、S1:収容物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8