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▶ オートリブ ディベロップメント エービーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128792
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】シートベルト用リトラクタ
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/36 20060101AFI20240913BHJP
   B60R 22/405 20060101ALI20240913BHJP
   B60R 22/34 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B60R22/36
B60R22/405
B60R22/34 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037999
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】新屋 祐介
(72)【発明者】
【氏名】日端 岩太
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018HB03
3D018HC01
3D018HC04
3D018HD05
3D018HE01
3D018HE04
(57)【要約】
【課題】ベルト格納時にエンドロックを確実に防止し、ベルト装着時に不用意なエンドロックを抑制することができるシートベルト用リトラクタを提供すること。
【解決手段】ベルト装着時のベルト引出し時に、スピンドル10の回転に伴ってフリクションレバー120を介してスイッチレバー90を第1の方向に回動させ、スイッチレバー90をラッチリング50に係合可能な位置に移動させ、WSが作動可能な状況とする。一方、ベルト装着時のベルト巻取り時に、スピンドル10の回転に伴ってフリクションレバー120を介してスイッチレバー90を第2の方向に回動させ、スイッチレバー90をラッチリング50に非係合の位置に移動させる。ベルト格納時には、スピンドル10の回転に伴ってコントロールプレート110のカムを介してスイッチレバー90を第2の方向に回動させ、スイッチレバー90をラッチリング50に非係合の位置に移動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに回転自在に支持され、シートベルトが巻装されるスピンドルと、
前記フレームに係合することで前記スピンドルのシートベルト引き出し方向の回転をロックするロック部材と、
前記スピンドルに相対回転可能に支持されると共に、前記スピンドルに対して回転遅れを生じることにより前記ロック部材を作動するステアリングホイールと、
内外周面にそれぞれ内歯及び外歯が形成され、前記フレームに固定されるベアリングプレートに回転自在に配設されたラッチリングと、
前記ラッチリングの内歯と係脱可能な位置で、前記ステアリングホイールに揺動自在に軸支され、前記ステアリングホイールのシートベルト引き出し方向の回転を阻止する作動位置と、前記ステアリングホイールのシートベルト引き出し方向の回転が阻止されない非作動位置との間を変位するウェビングセンサレバーと、
前記スピンドルの回転に応じて前記スピンドルと異なる回転数で回転するコントロールプレートと、を備えたシートベルト用リトラクタにおいて、
係合ギア部を有し、前記スピンドルの回転に伴って前記スピンドルと共回り可能なフリクションレバーと、
前記ベアリングプレートに回動自在に軸支されたスイッチレバーであって、前記ラッチリングの前記外歯と係脱可能な係合部と、前記コントロールプレートに形成されたカム部に案内されるカムフォロアと、前記フリクションレバーの前記係合ギア部に係合する係合ギア受け部と、を有するスイッチレバーと、
をさらに備え、
(1)ベルト装着時においては、
ベルト静止状態から第1の巻取り量までのベルト巻取り時に、前記スピンドルの巻取り回転に伴って前記フリクションレバーが第1回転方向に回転し、それにより前記フリクションレバーの前記係合ギア部と前記スイッチレバーの前記係合ギア受け部との係合を介して前記スイッチレバーを前記第1回転方向と反対方向の第2回転方向に回動させ、前記スイッチレバーの前記係合部を前記ラッチリングの前記外歯に係合しない位置に移動させる一方、
ベルト静止状態から第1の引出し量までのベルト引出し時に、前記スピンドルの繰出し回転に伴って前記フリクションレバーが前記第2回転方向に回転し、それにより前記フリクションレバーの前記係合ギア部と前記スイッチレバーの前記係合ギア受け部との係合を介して前記スイッチレバーを前記第1回転方向に回動させ、前記スイッチレバーの前記係合部を前記ラッチリングの前記外歯に係合可能な位置に移動させ、
また、
(2)前記シートベルトが格納場所に巻き取られるベルト格納時においては、
前記スピンドルの巻取り回転に伴って前記コントロールプレートが回転し、それにより前記コントロールプレートの前記カム部と前記スイッチレバーの前記カムフォロアとによるカム機構を介して前記スイッチレバーを前記第2回転方向に回動させ、前記スイッチレバーの前記係合部を前記ラッチリングの前記外歯に係合しない位置に移動させる、シートベルト用リトラクタ。
【請求項2】
前記スイッチレバーを前記第2回転方向に付勢するリターンスプリングをさらに備えた、請求項1に記載のシートベルト用リトラクタ。
【請求項3】
前記ステアリングホイールの外周に形成された歯部と係止可能な加速度センサレバーを有する加速度センサをさらに備え、
前記スイッチレバーは、前記加速度センサレバーに対して離接可能な爪部をさらに有し、
前記ベルト装着時における前記ベルト静止状態において、
前記リターンスプリングによって前記スイッチレバーの前記爪部を前記加速度センサレバーに当接させ、前記加速度センサレバーを前記歯部に係止しない方向へと付勢する、請求項2に記載のシートベルト用リトラクタ。
【請求項4】
前記ベルト装着時における前記ベルト巻取り時において、
前記スイッチレバーの前記第2回転方向への回動によって、前記ベルト静止状態よりも、前記スイッチレバーの前記爪部を前記加速度センサレバーに強く当接させ、前記加速度センサレバーを前記歯部に係止しない方向へと付勢する、請求項3に記載のシートベルト用リトラクタ。
【請求項5】
前記ベルト装着時における前記ベルト引出し時において、
前記スピンドルの繰出し回転に伴って前記フリクションレバーが前記第2回転方向に回転し、それにより前記フリクションレバーの前記係合ギア部と前記スイッチレバーの前記係合ギア受け部との係合を介して前記スイッチレバーを前記リターンスプリングによる付勢力に抗して前記第1回転方向に回動させ、前記スイッチレバーの前記爪部を前記加速度センサレバーから離間させ、前記加速度センサレバーが前記歯部に係止する方向へと移動することを許容する、請求項3に記載のシートベルト用リトラクタ。
【請求項6】
前記ベルト格納時において、
前記カム機構を介した前記スイッチレバーの前記第2回転方向への回動及び前記リターンスプリングによって、前記スイッチレバーの前記爪部を前記加速度センサレバーに当接させ、前記加速度センサレバーを前記歯部に係止しない方向へと付勢する、請求項3に記載のシートベルト用リトラクタ。
【請求項7】
前記スピンドルの回転が前記フリクションレバーに伝達されるための摩擦力を前記フリクションレバーに提供するフリクションスプリングをさらに備え、
前記ベルト装着時においては、前記フリクションレバーは、前記フリクションスプリングによる摩擦力によって、前記スピンドルの回転に伴って前記スピンドルと共回りし、
前記ベルト格納時においては、前記スピンドルの巻取り回転による伝達トルクが前記フリクションスプリングによる摩擦力を上回り、前記スピンドルが前記フリクションレバーに対して相対的に回転する、請求項1から6のいずれか一項に記載のシートベルト用リトラクタ。
【請求項8】
前記スピンドルの軸に固定され、前記スピンドルと一体回転するハブをさらに備え、
前記フリクションスプリングは、前記ハブと前記フリクションレバーとを摩擦力により結合しており、
前記ベルト装着時においては、前記フリクションレバーは、前記フリクションスプリングによる摩擦力によって、前記スピンドルの回転に伴って前記ハブと一緒に回転し、
前記ベルト格納時においては、前記スピンドルの巻取り回転による伝達トルクが前記フリクションスプリングによる摩擦力を上回り、前記スピンドルが、前記フリクションスプリングによる摩擦力に抗して前記ハブを前記フリクションレバーに摺動させながら、前記フリクションレバーに対して相対的に回転する、請求項7に記載のシートベルト用リトラクタ。
【請求項9】
前記フリクションレバーは、
略C字状の基部と、
前記基部の外周部に形成され、前記フリクションスプリングが装着される装着部と、
前記基部の内周部に形成され、前記ハブに摺動可能に結合される摺動部と、を有し、
前記基部は、前記装着部に装着された前記フリクションスプリングによって縮径され、それにより前記ハブと前記摺動部とが摩擦力により結合される、請求項8に記載のシートベルト用リトラクタ。
【請求項10】
前記フリクションレバーの前記係合ギア部は、前記基部の外周部から突出するように形成されている、請求項9に記載のシートベルト用リトラクタ。
【請求項11】
前記ハブと前記コントロールプレートとは、1つ以上の歯車を介してギア結合されている、請求項8から10のいずれか一項に記載のシートベルト用リトラクタ。
【請求項12】
前記スイッチレバーは、第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とをつなぐ側面部と、を有し、
前記係合部は、前記第1の面に形成され、
前記カムフォロアは、前記第2の面に形成され、
前記係合ギア受け部は、前記側面部に形成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のシートベルト用リトラクタ。
【請求項13】
前記係合部及び/又は前記カムフォロアは、突起である、請求項12に記載のシートベルト用リトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートベルト用リトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の乗員等を座席に安全に保持するためのシートベルト用リトラクタとして、急な加速、衝突又は減速に反応する車体加速度感知手段によってウェビング(シートベルト)の引き出しを物理的にロックする緊急ロック機構を備えて、乗員を効果的及び安全に拘束する緊急ロック式リトラクタが用いられている。
【0003】
ところで、緊急ロック機構を備えたシートベルト用リトラクタでは、車両緊急時ではない不必要な時にも、スピンドル(巻取軸)のウェビング引き出し方向の回転がロックされることがある。すなわち、車両取付け状態において、ウェビング引き出し状態から巻き取りバネのバネ力に従って急激にウェビングが全量巻き取られたとき、その衝撃で緊急ロック機構が作動して、スピンドルのウェビング引き出し方向の回転がロックされてしまうことがあり、この場合には、ウェビングの引き出しができなくなる。しかもこのとき、ウェビングは全量巻き取り状態にあるので、スピンドルはウェビング巻き取り方向にも回転できず、リトラクタはいわゆるエンドロック状態に陥るという問題がある。
【0004】
例えば、緊急ロック機構としては、次のようなものがある。一つは、ウェビングの急激な引き出しを感知してスピンドルのウェビング引き出し方向の回転を阻止するもの(ウェビング加速度感知手段:WS)、もう一つは車両の急減速状態を感知してスピンドルのウェビング引き出し方向の回転を阻止するもの(車体加速度感知手段:CS)である。いずれの場合も、スピンドルと一体回転するロック部材の揺動により、ロック部材の爪を、スピンドルを支持するフレームの内歯に噛み合わせて、スピンドルをロックするようにしている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0005】
このようなリトラクタにおいて、エンドロックが起きるケースとしては、次の3つの場合がある。
(1)ウェビング加速度感知手段(WS)の不用意な作動によるもの。
一般的に、ウェビング加速度感知手段は、急速にベルトを引き出すと、マスの慣性でマス側の回転がスピンドルより遅れることで、ロック部材が外に飛び出して、フレームの内歯に噛み込む、という原理を用いている。ところが、急激なウェビング巻き取り後にウェビングが突っ張ると、勢いでマスがスピンドルに対して相対移動してしまい、ロック部材がフレームの内歯に噛んでしまう場合である。
(2)車体加速度感知手段(CS)の不用意な作動によるもの。
ウェビングの急速な巻き取り等に伴うリトラクタの振動により車体加速度感知手段に加速度が入力した際に、慣性部材であるボールが動き、レバーが揺動して、ラッチ部材に噛んでロックする場合である。
(3)ロック部材自体の不用意な作動によるもの。
ウェビングを巻き取った勢いで、ロック部材自体がフレームの内歯に噛んでしまう場合である。
【0006】
特許文献3には、簡単な構成で、ウェビング加速度感知手段と車体加速度感知手段の両方のエンドロックを防止することができるシートベルト用リトラクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9-58410号公報
【特許文献2】特開平10-129417号公報
【特許文献3】特許第5748712号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3に記載のロックキャンセラーの機構においては、1つのスイッチレバーを制御することで、ベルト格納時にエンドロック防止機構を作動させてエンドロックを防止している。他方、ベルト装着時(ウェビングが所定量引き出された状態)においては、エンドロック防止機構を非作動へと切り替えている。ベルト装着時に不用意なエンドロック(特にWSの不用意な作動によるエンドロック)が起き得ることを抑制することができれば、より一層、技術的に優位なものとなる。
【0009】
また、ベルト装着時に、CSのレバーは自由状態にあるため、路面状況によっては車両走行中に他の部材に不用意に接触し、雑音を発生し得るおそれがある。
【0010】
本発明は、ベルト格納時におけるエンドロックの確実な防止と、ベルト装着時における不用意なエンドロックの抑制とを図ることができ、また、構造上、雑音の発生の抑制に貢献し得るシートベルト用リトラクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係るシートベルト用リトラクタは、フレームに回転自在に支持され、シートベルトが巻装されるスピンドルと、フレームに係合することでスピンドルのシートベルト引き出し方向の回転をロックするロック部材と、スピンドルに相対回転可能に支持されると共に、スピンドルに対して回転遅れを生じることによりロック部材を作動するステアリングホイールと、内外周面にそれぞれ内歯及び外歯が形成され、フレームに固定されるベアリングプレートに回転自在に配設されたラッチリングと、ラッチリングの内歯と係脱可能な位置で、ステアリングホイールに揺動自在に軸支され、ステアリングホイールのシートベルト引き出し方向の回転を阻止する作動位置と、ステアリングホイールのシートベルト引き出し方向の回転が阻止されない非作動位置との間を変位するウェビングセンサレバーと、スピンドルの回転に応じてスピンドルと異なる回転数で回転するコントロールプレートと、を備えたシートベルト用リトラクタにおいて、係合ギア部を有し、スピンドルの回転に伴ってスピンドルと共回り可能なフリクションレバーと、ベアリングプレートに回動自在に軸支され、ラッチリングの外歯と係脱可能な係合部と、コントロールプレートに形成されたカム部に案内されるカムフォロアと、フリクションレバーの係合ギア部に係合する係合ギア受け部と、を有するスイッチレバーと、をさらに備える。そして、(1)ベルト装着時においては、(ア)ベルト静止状態から第1の巻取り量までのベルト巻取り時に、スピンドルの巻取り回転に伴ってフリクションレバーが第1回転方向に回転し、それによりフリクションレバーの係合ギア部とスイッチレバーの係合ギア受け部との係合を介してスイッチレバーを第2回転方向に回動させ、スイッチレバーの係合部をラッチリングの外歯に係合しない位置に移動させる一方、(イ)ベルト静止状態から第1の引出し量までのベルト引出し時に、スピンドルの繰出し回転に伴ってフリクションレバーが第2回転方向に回転し、それによりフリクションレバーの係合ギア部とスイッチレバーの係合ギア受け部との係合を介してスイッチレバーを第1回転方向に回動させ、スイッチレバーの係合部をラッチリングの外歯に係合可能な位置に移動させる。また、(2)シートベルトが格納場所に巻き取られるベルト格納時においては、スピンドルの巻取り回転に伴ってコントロールプレートが回転し、それによりコントロールプレートのカム部とスイッチレバーのカムフォロアとによるカム機構を介してスイッチレバーを第2回転方向に回動させ、スイッチレバーの係合部をラッチリングの外歯に係合しない位置に移動させる。
【0012】
この態様によれば、ベルト装着時のベルト引出し時に、フリクションレバーを介してスイッチレバーを第1の方向に回動させ、ラッチリングに係合可能な位置に移動させる。これにより、ウェビング加速度感知手段(WS)が作動可能な状況とすることができる。すなわち、シートベルトが急激に引き出されたときのウェビングセンサレバーの慣性による作動位置への変位によって、ステアリングホイールのシートベルト引き出し方向の回転を阻止することができる。
【0013】
一方、ベルト装着時のベルト巻取り時に、フリクションレバーを介してスイッチレバーを第2の方向に回動させ、スイッチレバーをラッチリングに非係合の位置に移動させる。これにより、ウェビング加速度感知手段(WS)の不用意な作動によるエンドロックが抑制される。すなわち、ベルト巻取り時に、ウェビングセンサレバーと係合するラッチリングの回転阻止が解除されるため、不用意なエンドロックが抑制される。
【0014】
また、ベルト格納時においては、コントロールプレートを介してスイッチレバーを第2の方向に回動させ、スイッチレバーをラッチリングに非係合の位置に移動させる。これにより、上記同様に、ウェビング加速度感知手段(WS)の不用意な作動によるエンドロックが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るシートベルト用リトラクタの分解斜視図である。
図2A】ハブとコントロールプレートとがギア結合された様子を示すベアリングプレートの正面図である。
図2B】コントロールプレート、第1アイドルギア及び第2アイドルの正面図である。
図3A】加速度センサの斜視図である。
図3B】加速度センサの加速度センサレバーの斜視図である。
図4A】スイッチレバー及びリターンスプリングの分解斜視図である。
図4B】スイッチレバーの正面図である。
図5A】コントロールプレートの斜視図である。
図5B】コントロールプレートの正面図である。
図5C】コントロールプレートとスイッチレバーとの関係を示す図であり、(A)はベルト装着時にスイッチレバーの突起部がコントロールプレートの第1カム部内に位置する状態を示す正面図であり、(B)は(A)とは別のタイミングにおけるベルト装着時にスイッチレバーの突起部がコントロールプレートの第1カム部内に位置する状態を示す正面図であり、(C)はベルト格納時にスイッチレバーの突起部がコントロールプレートの第2カム部内に位置する状態を示す正面図である。
図6A】ハブ、フリクションレバー及びフリクションスプリングの分解斜視図である。
図6B】ハブ、フリクションレバー及びフリクションスプリングを組み付けた状態を示す正面図である。
図6C】フリクションレバーとスイッチレバーとの関係を示す図であり、(A)はベルト装着時におけるベルト引出し時に、フリクションレバーによってスイッチレバーが時計回り方向に回動することを示す正面図であり、(B)はベルト装着時におけるベルト巻取り時に、フリクションレバーによってスイッチレバーが反時計回り方向に回動することを示す正面図である。
図7】スイッチレバー、ラッチンリング及び加速度センサレバーとの関係を示す図であり、(A)はベルト装着時におけるベルト引出し時に、フリクションレバーによってスイッチレバーが時計回り方向に回動して、スイッチレバーの係合部がラッチリングの外歯に係合可能な位置に移動し、かつ、スイッチレバーの爪部が加速度センサレバーの係止片から離間した位置に移動した状態を示す正面図であり、(B)はベルト装着時におけるベルト巻出し時に、フリクションレバーによってスイッチレバーが反時計回り方向に回動して、スイッチレバーの係合部がラッチリングの外歯に係合しない位置に移動し、かつ、スイッチレバーの爪部が加速度センサレバーの係止片に当接する位置に移動した状態を示す正面図である。
図8】ベルト装着時の作動を説明する図であり、(A)はベルト静止状態からベルト巻取り時に移行するときの状態、(B)はベルト引出し時の初期の状態、(C)はベルト引出し時の後期の状態を示す。
図9】ベルト格納時の作動を経時的に説明する図であり、(A)はベルト巻取りの初期において、スイッチレバーの係合部がラッチリングの外歯に係合しない位置に移動した状態、(B)はベルト巻取りが完了した状態(ベルト格納状態)を示す。
図10】WSロック時の作動を経時的に説明する図であり、(A)はベルト静止状態からからベルト引出し時に移行するときの状態、(B)はベルト引出しの初期において、スイッチレバーの係合部がラッチリングの外歯に係合可能な位置に移動し、ウェビングセンサレバーの爪がラッチリングの内歯と係合した状態、(C)はベルト引出しをロックした状態(WSが作動した状態)を示す。
図11】CSロック時の作動を説明する図であり、ベルト引出しをロックした状態(CSが作動した状態)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本書において、上下、左右及び前後を以下のとおり定義する。乗員が正規の姿勢で車両シートに着座した際に、乗員が正面を向く方向を前方、その反対方向を後方と称する。同様に、左右及び上下についても、乗員が正規の姿勢で車両シートに着座した際を基準とする。時計回り方向及び反時計回り方向とは、各図における回転の方向をいい、例えば図6Cにおいて、(A)はスイッチレバーが時計回り方向に回転することを意味し、(B)はスイッチレバーが反時計回り方向に回転することを意味する。
【0017】
まず、図1を参照して、シートベルト用リトラクタ1の主要な構成を説明する。
【0018】
シートベルト用リトラクタ1は、シートベルト(図示略)が巻装される金属製のスピンドル10と、カバー12に収容されてスピンドル10を巻き取り方向に回転付勢するバネ式の巻取装置11と、スピンドル10を回転自在に支持する金属製のコ字状のフレーム13と、ロック部材としての金属製のロックドック20と、樹脂製のステアリングホイール30と、慣性体としての機能を併せ持つ樹脂製のウェビングセンサレバー40と、フレーム13に固定されるベアリングプレート60と、ベアリングプレート60に回動自在に配設されるラッチリング50と、車体の加速度を感知する車体加速度感知手段(CS)としての加速度センサ70と、ベアリングプレート60を覆うようにフレーム13に固定されるカバー部材15と、を備えている。また、シートベルト用リトラクタ1は、スイッチレバー90、リターンスプリング100、コントロールプレート110と、フリクションレバー120、フリクションスプリング130及びハブ140を備えている。
【0019】
フレーム13は、スピンドル10の軸方向の中央部分を挟んで対向する左右側板13A、13Bを有し、一方の側板13Aの外側にシートベルトの引出しを物理的にロックする緊急ロック機構(ロックドック20、ステアリングホイール30、ウェビングセンサレバー40、ラッチリング50、加速度センサ70などにより構成される。)が配置され、他方の側板13Bの外側に巻取装置11が配置されている。スピンドル10の一端側の軸14は、ステアリングホイール30及びベアリングプレート60を貫通し、その先端にハブ140が一体回転するように固定されている。そして、ハブ140とコントロールプレート110とが、1つ以上の歯車(アイドルギア82、83)を介してギア結合されている(参照:図2)。
【0020】
フレーム13の側板13Aの円形開口の内周には、ロックドック20の爪22が係合可能な多数の内歯17が形成されている。ロックドック20は、スピンドル10の一方の端面と該端面に固着された金属製のセーフティプレート25との間に確保された空間に変位自在に収容され、オメガスプリング26によって爪22がフレーム13の内歯17から離れるロック解除方向に保持されている。また、ロックドック20は、ステアリングホイール30に形成されたカム孔31に挿入されるカムピン21を備える。
【0021】
ステアリングホイール30は、スピンドル10に相対回転可能に支持され、ロックドック20のカムピン21が係合するカム孔31と、ウェビングセンサレバー40の軸孔に嵌合してウェビングセンサレバー40を揺動自在に支持する凸軸32と、外周面に形成された歯部34と、を有している。
【0022】
カム孔31は、スピンドル10に対してステアリングホイール30が相対回転するときに、カムピン21を介してロックドック20の爪22を外方に押し出す。例えば、シートベルト引き出し時に、スピンドル10に対してステアリングホイール30が回転遅れを生じた場合に、スピンドル10とステアリングホイール30の相対回転により、ロックドック20をロック側へ作動させる。そして、外に飛び出させた爪22を、フレーム13の内歯17に噛み合わせることにより、スピンドル10をフレーム13の内歯17にロックさせ、シートベルト引き出し方向の回転を機械的にロックする。
【0023】
ウェビングセンサレバー40は、ラッチリング50の内歯52に係合可能な爪42を備え、ステアリングホイール30の凸軸32に揺動自在に嵌合している。ウェビングセンサレバー40には、図示省略したウェビングセンサスプリング48が装着されて爪42を内方に引っ込める方向(ラッチリング50の内歯52から離間する方向)にウェビングセンサレバー40を回転付勢している。したがって、通常時には、爪42がラッチリング50の内歯52と係合しない非作動位置に保持される。すなわち、ステアリングホイール30、ウェビングセンサレバー40及びウェビングセンサスプリング48は、ウェビング加速度感知手段(WS)を構成する。
【0024】
これにより、乗員の急な移動によりシートベルトが引き出され、ウェビングセンサレバー40が慣性力によって回動し、ウェビングセンサレバー40の爪42が外方に突き出されて、ラッチリング50の内歯52に噛合する。すなわち、ウェビングセンサレバー40は、ステアリングホイール30のウェビング引き出し方向の回転を阻止する作動位置に変位する。
【0025】
ラッチリング50は、外周面及び内周面にそれぞれ複数の外歯51及び内歯52が設けられたリング状に形成され、フレーム13に固定されるベアリングプレート60に回転自在に配設されている。
【0026】
次に、図2A及び2Bを参照して、ベアリングプレート60について説明する。
【0027】
ベアリングプレート60には、軸部61、62、63及び64が突出して設けられている。軸部61には、第1アイドルギア82が回転自在に支持され、軸部62には、第2アイドルギア83が回転自在に支持され、軸部63には、コントロールプレート110が回転自在に支持されている。軸部64には、スイッチレバー90が回動自在に支持されている(参照:図7)。また、ベアリングプレート60には、リターンスプリング100の一端部101を受けるばね受け部65が設けられている(参照:図7)。
【0028】
そして、ハブ140の歯車141と第1アイドルギア82の大歯車が噛合し、第1アイドルギア82の小歯車と第2アイドルギア83の大歯車が噛合し、さらに、第2アイドルギア83の小歯車とコントロールプレート110の歯車112とが噛合している。したがって、スピンドル10の軸14の回転が、ハブ140から第1、第2アイドルギア82、83を介してコントロールプレート110に伝えられ、コントロールプレート110が、スピンドル10と連動して減速回転するようになっている。
【0029】
ここで、ハブ140、アイドルギア82、83及びコントロールプレート110よりなるギア列の減速比は、シートベルトを全量引き出した状態から全量巻き取った状態にするときのスピンドル10の回転が、コントロールプレート110の1回転に変換されるように設定されている。
【0030】
次に、図3A及び3Bを参照して、加速度センサ70(車体加速度感知手段:CS)について説明する。
【0031】
加速度センサ70は、ベアリングプレート60とカバー部材15との間に配置されるセンサホルダ71と、センサホルダ71内に格納され、水平方向(車両前後方向)の加速度に応じて変位する慣性体(ボール)72と、ステアリングホイール30の歯部34に係止可能な加速度センサレバー73と、を備える。
【0032】
加速度センサレバー73は、一端側の軸部75を回動自在に支持され、当該一端とは反対側の他端側に歯先74を有する。歯先74は、ステアリングホイール30の歯部34に係脱可能に構成される。歯先74から軸部75側に向かって係止片77が延設されており、係止片77には、スイッチレバー90の爪部96が対向して配置されている(参照:図7)。
【0033】
そして、車体加速度に応じてボール72が移動することにより、加速度センサレバー73が回動して歯先74がステアリングホイール30の歯部34に係合して、ステアリングホイール30をロックする(参照:図11)。これにより、ロックドック20が作動して、ロックドック20の爪22をフレーム13の内歯17に噛み合わせることにより、スピンドル10をロックし、シートベルト引き出し方向の回転を機械的にロックする。
【0034】
次に、図4A及び4Bを参照して、スイッチレバー90及びリターンスプリング100について説明する。スイッチレバー90は、緊急ロック機構を作動状態と非作動状態とに切り換える。
【0035】
スイッチレバー90は、長手方向の一端側の下部に形成された孔部91と、第1の面92aから突出する略断面3角形状の突起である係合部93と、第1の面92aと反対側の第2の面92bから突出する円柱状の突起部94と、長手方向の中央上部に形成された係合ギア受け部95と、長手方向の他端側に形成された爪部96と、孔部91の周辺に形成されたバネ装着部97と、を有している。
【0036】
スイッチレバー90は、孔部91がベアリングプレート60の軸部64に嵌合することで、ベアリングプレート60に回動自在に軸支される(参照:図7)。係合部93は、ラッチリング50の外歯51と係脱可能に構成される(参照:図10)。爪部96は、係合部93と同様に第1の面92aから突出しており、加速度センサレバー73の係止片77に離接可能に構成される(参照:図7)。
【0037】
突起部94は、コントロールプレート110に形成されたカム溝113(参照:図2)に案内されるカムフォロアであり、コントロールプレート110の回転に伴ってカム溝113内を移動する。係合ギア受け部95は、第1の面92aと第2の面92bとをつなぐ側面部92cに形成されており、フリクションレバー120の後述する係合ギア部124に係合する(参照:図6C)。
【0038】
スイッチレバー90は、コントロールプレート110及びフリクションレバー120からそれぞれ回転力を入力されることで、孔部91を中心に回動する。すなわち、スイッチレバー90の突起部94とコントロールプレート110のカム溝113とによるカム機構を介して、スイッチレバー90は、コントロールプレート110から回転力を入力されて回動する(参照:図5(C))。また、スイッチレバー90の係合ギア受け部95とフリクションレバー120の係合ギア部124との係合を介して、スイッチレバー90は、フリクションレバー120から回転力を入力されて回動する(参照:図6(C))。詳細は後述する。
【0039】
リターンスプリング100は、例えば、一端部101及び他端部102の間にコイル部103を有する捻りコイルバネで構成される。コイル部103がスイッチレバー90のバネ装着部97に装着され、他端部102がバネ装着部97周辺のスイッチレバー90の部位に係止されると共に、一端部101がベアリングプレート60のばね受け部65に係止される(参照:図7)。
【0040】
これにより、リターンスプリング100は、スイッチレバー90を反時計回り方向に付勢している。換言すると、スイッチレバー90は、係合部93をラッチリング50の外歯51から離間させる方向であり、かつ、爪部96を加速度センサレバー73の係止片77に当接させる方向に向かって、リターンスプリング100によって付勢されている(参照:図7)。
【0041】
次に、図5A、5B及び5Cを参照して、コントロールプレート110について説明する。
【0042】
コントロールプレート110は、スピンドル10の回転に応じてスピンドル10と異なる回転数で回転するように構成されている。ここでは、上記のとおり、シートベルトを全量引き出した状態から全量巻き取った状態にするときのスピンドル10の回転が、コントロールプレート110の1回転に変換されるように設定されている。
【0043】
コントロールプレート110は、中心に軸孔111を有する円盤状に形成されており、第2アイドルギア83の小歯車と噛合する歯車112と、一方の側面に形成されたカム溝113と、を有している。コントロールプレート110は、軸孔111がベアリングプレート60の軸部63に篏合することで、ベアリングプレート60に回転自在に支持される。
【0044】
カム溝113には、スイッチレバー90の突起部94が収容される。カム溝113は、軸孔111を中心とする円弧状に形成された第1カム部113aと、第1カム部113aより大きな半径で軸孔111を中心とする円弧状に形成された第2カム部113bと、第1カム部113aと第2カム部113bとを滑らかに接続する切替部113cと、を有する。切替部113cは、シートベルトがスピンドル10に巻き取られたベルト格納状態と、無着座でバックルをラッチさせたベルト状態との間で切換えが行われるように位相が設定されている。
【0045】
ここで、シートベルトを全量引き出した状態から全量巻き取った状態にするときにコントロールプレート110が反時計回り方向に1回転する際、突起部94は、第1カム部113a、切替部113c及び第2カム部113bの順に案内される。第2カム部113bに案内されるときに、突起部94は第2カム部113bによって押され、それによりスイッチレバー90が反時計回り方向に回動する。
【0046】
具体的には、図5C(A)に示すように、ベルト装着状態(シートベルトを全量又は所定量を引き出した状態)においては、突起部94は第1カム部113a内に位置する。このとき、突起部94は、第1カム部113aに対して自由状態となっており、第1カム部113aのカム領域内でコントロールプレート110が正方向又は逆方向に回転したとしても、コントロールプレート110からの回転力は入力されない(参照:図5C(B))。
【0047】
一方、図5C(C)に示すように、ベルト格納時においては、突起部94は、切替部113cを通過して第1カム部113aから第2カム部113bに移動し、第2カム部113bによって押されてコントロールプレート110からの回転力を入力される。これにより、スイッチレバー90が反時計回り方向に回動する。そして、ベルト格納状態(シートベルトを格納場所に全量巻き取った状態)においては、突起部94は第2カム部113bに保持され、スイッチレバー90は、時計回り方向に自由回転することを規制される。
【0048】
なお、逆の作動のとき(シートベルトを全量巻き取った状態から全量引き出した状態にするとき)も同様であることは言うまでもない。
【0049】
次に、図6A、6B及び6Cを参照して、フリクションレバー120、フリクションスプリング130及びハブ140について説明する。
【0050】
ハブ140は、スピンドル10の一端側の軸14に固定され、スピンドル10と一体回転するものである。ハブ140は、歯車141と、歯車141と同軸に形成された円筒部142と、を有する。歯車141は、第1、第2アイドルギア82、83及びコントロールプレート110の歯車112とともにギア列を構成する。
【0051】
フリクションスプリング130は、フリクションレバー120とハブ140とを摩擦力により結合する。すなわち、フリクションスプリング130は、スピンドル10の回転がフリクションレバー120に伝達されるための摩擦力をフリクションレバー120に提供する。
【0052】
フリクションレバー120は、スピンドル10の回転に伴ってスピンドル10と共回り可能に構成されている。フリクションレバー120は、略C字状の基部121と、基部121の外周部に形成され、フリクションスプリング130が装着される装着部122と、基部121の内周部に形成され、ハブ140の円筒部142に摺動可能に結合(篏合)される摺動部123と、基部121の外周部から径方向外方に突出するように形成され、スイッチレバー90の係合ギア受け部95に係合する係合ギア部124と、を有する。
【0053】
基部121は、略C字状における切欠きの反対側に、径方向に延びる切欠き溝121aが形成されている。これにより、基部121は、径方向に弾性変形(縮径)可能となっている。基部121は、装着部122に装着されたフリクションスプリング130の弾性力により縮径され、それにより摺動部123とハブ140の円筒部142とが摩擦力により結合される。この摩擦力の大きさは、フリクションスプリング130の弾性力にほぼ比例する。
【0054】
ここで、ベルト装着時においては、フリクションレバー120は、フリクションスプリング130による摩擦力によって、スピンドル10の回転に伴ってハブ140と一緒に回転し、スピンドル10と共回りする。
【0055】
具体的には、図6C(A)に示すように、スピンドル10がシートベルトを引き出す方向に回転すると、フリクションレバー120は、フリクションスプリング130の摩擦作用により、ハブ140と一緒に反時計回り方向に回転する。それによりフリクションレバー120は、係合ギア部124から係合ギア受け部95に回転力を入力し、スイッチレバー90を時計回り方向に回動させる。
【0056】
逆も同様に、図6C(B)に示すように、スピンドル10がシートベルトを巻き取る方向に回転すると、フリクションレバー120は、フリクションスプリング130の摩擦作用により、ハブ140と一緒に時計回り方向に回転する。それによりフリクションレバー120は、係合ギア部124から係合ギア受け部95に回転力を入力し、スイッチレバー90を反時計回り方向に回動させる。
【0057】
一方、ベルト格納時においては、スピンドル10の巻取り回転による伝達トルクが、フリクションスプリング130による摩擦力を上回り、その結果、スピンドル10が、フリクションレバー120に対して相対的に回転する。すなわち、フリクションレバー120は、スピンドル10と共回りせず、スピンドル10が、フリクションスプリング130による摩擦力に抗して、ハブ140を摺動部123に摺動させながら、巻取り方向に回転する。したがって、スイッチレバー90は、フリクションレバー120からは回転力を入力されない。なお、この場合、上述したように、スイッチレバー90は、カム機構を介してコントロールプレート110から回転力を入力され、反時計回り方向に回動する(参照:図9)。
【0058】
次に、図8~11を参照して、シートベルト用リトラクタ1の具体的な作動を説明する。
【0059】
1.ベルト装着時の作動(図8
ベルト装着時とは、シートベルト用リトラクタ1からシートベルトが全量又は所定量引き出されて、乗員がシートベルトを装着した状態のときをいう。
【0060】
ここで、以下の説明において、「ベルト静止状態」とは、ベルト装着時において、シートベルトが動いていない状態(すなわち巻き取り及び引き出しがなされていない状態)をいう。
【0061】
また、ベルト装着時における「ベルト巻取り時」とは、ベルト静止状態から第1の巻取り量まで、シートベルトがスピンドル10に巻き取られるときをいう。「第1の巻取り量」とは、乗員の移動等に伴って装着状態のシートベルトがわずかに動いたときの巻取り量(ベルト静止状態付近巻き量)をいう。したがって、「第1の巻取り量」とは、タングがバックルから外されて、シートベルトが格納場所に巻き取られるときのシートベルト全量を意味しない。
【0062】
さらに、ベルト装着時における「ベルト引出し時」とは、ベルト静止状態から第1の引出し量まで、シートベルトがスピンドル10から引き出されるときをいう。「第1の引出し量」とは、乗員の移動等に伴って装着状態のシートベルトがわずかに動いたときの引出し量(ベルト静止状態付近引出し量)をいう。
【0063】
(ア)ベルト静止状態
図8(A)に示すように、ベルト静止状態では、スイッチレバー90は、リターンスプリング100によって、反時計回り方向に付勢されている。このため、スイッチレバー90の係合部93は、ラッチリング50の外歯51から離間している。
【0064】
また、リターンスプリング100によって、スイッチレバー90の爪部96は、加速度センサレバー73の係止片77に当接し、加速度センサレバー73をステアリングホイール30の歯部34に係合しない方向へと付勢している。これによって、加速度センサレバー73の雑音が防止される。
【0065】
(イ)ベルト巻取り時
ベルト巻取り時に、スピンドル10の巻取り回転に伴ってフリクションレバー120が時計回り方向(参照:図8(A)の符号200)に回転する。これは、上述したように、フリクションスプリング130による摩擦力によって、スピンドル10及びハブ140と一緒にフリクションレバー120が時計回り方向に回転するからである。フリクションレバー120が時計回り方向に回転すると、係合ギア部124と係合ギア受け部95との係合を介して、スイッチレバー90が反時計回り方向に回動する。これにより、スイッチレバー90の係合部93は、ラッチリング50の外歯51に対してより一層係合しない位置に移動する。
【0066】
したがって、ベルト巻取り時において、ラッチリング50は自由回転可能であるため、不用意なエンドロックが抑制される。より詳細には、ウェビングセンサレバー40と係合し得るラッチリング50の固定(回転阻止)がベルト巻取り時に解除されているため、ベルト巻取り時において、ウェビング加速度感知手段(WS)の不用意な作動によるエンドロックが抑制される。
【0067】
また、ベルト巻取り時では、スイッチレバー90の反時計回り方向への回動によって、ベルト静止状態よりも、スイッチレバー90の爪部96を加速度センサレバー73の係止片77に強く当接させ、加速度センサレバー73をステアリングホイール30の歯部34に係合しない方向へと付勢する。これによって、加速度センサレバー73の雑音防止が継続される。
【0068】
(ウ)ベルト引出し時
図8(B)に示すように、ベルト引出し時に、スピンドル10の繰出し回転に伴ってフリクションレバー120が反時計回り方向(参照:図8(B)の符号210)に回転する。これは、上述したように、フリクションスプリング130による摩擦力によって、スピンドル10及びハブ140と一緒にフリクションレバー120が反時計回り方向に回転するからである。フリクションレバー120が反時計回り方向に回転すると、係合ギア部124と係合ギア受け部95との係合を介して、スイッチレバー90がリターンスプリング100の付勢力に抗して時計回り方向に回動する。これにより、図8(C)に示すように、スイッチレバー90の係合部93が、ラッチリング50の外歯51に係合可能な位置に移動する。
【0069】
したがって、ベルト引出し時において、ラッチリング50の固定(回転阻止)が可能となるため、ウェビング加速度感知手段(WS)の作動が可能となる。すなわち、乗員な急な移動によりシートベルトが引き出された場合に、ウェビング加速度感知手段(WS)の作動によって、シートベルトのさらなる引出しを阻止することが可能となる。この点、下記3で後述する。
【0070】
また、ベルト引出し時では、スイッチレバー90の時計回り方向への回動によって、スイッチレバー90の爪部96が加速度センサレバー73の係止片77から離間する。これにより、加速度センサレバー73がステアリングホイール30の歯部34に係止する方向へと移動することが許容されるようになる。すなわち、加速度センサ70(車体加速度感知手段:CS)のロックがキャンセルされる。したがって、所定以上の車体加速度があった場合に、加速度センサレバー73の作動によって、シートベルトの引出しを阻止することが可能となる。この点、下記4で後述する。
【0071】
なお、ベルト装着時におけるベルト巻取り時及びベルト引出し時においては、スイッチレバー90の突起部94は、コントロールプレート110の第1カム部113a内を移動する。したがって、スイッチレバー90の反時計回り方向及び時計回り方向の回動は、コントロールプレート110によって妨げられない。
【0072】
2.ベルト格納時の作動(図9
ベルト格納時とは、上記の第1の巻取り量を超えてシートベルトが格納場所に巻き取られるときをいう。例えば、タングがバックルから外されて、シートベルトがスピンドル10に巻き取られるときをいう。
【0073】
図9に示すように、ベルト格納時において、スピンドル10の巻取り回転に伴ってシートベルトが急速に巻き取られて格納場所の付近まで巻き取られる。すると、スピンドル10の巻取り回転に伴うコントロールプレート110の回転により、コントロールプレート110のカム部(第2カム部113b)とスイッチレバー90のカムフォロア(突起部94)とによるカム機構を介してスイッチレバー90に回転力が入力され、スイッチレバー90が反時計回り方向に回動する。
【0074】
これは、上述したように、スピンドル10の巻取り回転による伝達トルクが、フリクションスプリング130による摩擦力を上回り、その結果、スピンドル10が、フリクションレバー120に対して相対的に回転し、その回転がギア列を介してコントロールプレート110を反時計回り方向に一回転させるからである。このとき、カム機構によってコントロールプレート110がスイッチレバー90を反時計回り方向に回動させる。これにより、スイッチレバー90の係合部93は、ラッチリング50の外歯51に係合しない位置に移動する。また、このとき、突起部94が第2カム部113bに保持されるため、スイッチレバー90は、時計回り方向に自由回転することを規制される。
【0075】
したがって、ベルト格納時においても、ラッチリング50がスイッチレバー90に非係合であるため、エンドロックが防止される。
【0076】
より詳細には、ベルト格納時において、ウェビングセンサレバー40は加速度によりラッチリング50の内歯52と係合可能な位置に回動し、さらにシートベルトが巻き取られて回転軸が急停止すると、その反動(慣性)により、ウェビングセンサレバー40の爪42がラッチリング50の内歯52と係合し、ステアリングホイール30と一緒に反時計回り方向に回転する。このとき、ラッチリング50の外歯51とスイッチレバー90の係合部93とが非係合状態であるため、ウェビングセンサレバー40の爪42がラッチリング50の内歯52に係合しても、ロックドック20が外方に飛び出ず、フレーム13の内歯17にロックされない(ウェビング加速度感知手段(WS)は作動しない)。よって、ウェビング加速度感知手段(WS)に起因するエンドロックが防止される。
【0077】
また、ベルト格納時においては、カム機構を介したスイッチレバー90の反時計回り方向への回動及びリターンスプリング100によって、スイッチレバー90の爪部96を加速度センサレバー73の係止片77に当接させ、加速度センサレバー73をステアリングホイール30の歯部34に係合しない方向へと付勢している。したがって、車両の急減速があっても、加速度センサレバー73は動かず、加速度センサ70(車体加速度感知手段:CS)に起因するエンドロックが防止される。
【0078】
3.WSロック時の作動(図10
WSロック時とは、緊急ロック機構の一つであるウェビング加速度感知手段(WS)の作動時をいう。例えば乗員の急な移動によりシートベルトが急激に引き出された場合に、ウェビングセンサレバー40の回動等を利用してシートベルトの引き出し方向の回転を阻止するときをいう。
【0079】
図10に示すように、シートベルトが急激に引き出されると、スピンドル10の繰出し回転に伴ってフリクションレバー120が反時計回り方向に回転し、係合ギア部124と係合ギア受け部95との係合を介して、スイッチレバー90がリターンスプリング100の付勢力に抗して時計回り方向に回動し、スイッチレバー90の係合部93が、ラッチリング50の外歯51に係合可能な位置に移動する(参照:図10(B)。上記1(ウ)と同様である)。
【0080】
そして、図10(C)に示すように、シートベルトがさらに引き出されると、ウェビングセンサレバー40が慣性力によって回動し、ウェビングセンサレバー40の爪42がラッチリング50の内歯52と係合し、ステアリングホイール30と一緒に反時計回り方向に回転する。ラッチリング50がウェビングセンサレバー40及びステアリングホイール30とともに反時計回り方向に回転すると、ラッチリング50の外歯51がスイッチレバー90の係合部93に係合する。これにより、スピンドル10に対してステアリングホイール30の回転遅れが生じ、ロックドック20が外方に飛び出て、フレーム13の内歯17にロックされる。すなわち、ウェビング加速度感知手段(WS)が作動する。
【0081】
4.CSロック時の作動(図11
CSロック時とは、緊急ロック機構の一つである加速度センサ70(車体加速度感知手段:CS)の作動時をいう。例えば車両の急減速があった場合に、慣性体(ボール)72の移動を利用してシートベルトの引き出し方向の回転を阻止するときをいう。
【0082】
図11に示すように、上記1(ウ)で述べたように、ベルト引出し時では、スイッチレバー90は、フリクションレバー120により、時計回り方向に回動するので、加速度センサレバー73から離間する。これにより、加速度センサレバー73がステアリングホイール30に係止する方向へと移動することが許容される。
【0083】
そして、車両の急減速によりボール72が移動すると、加速度センサレバー73が反時計回り方向に回動し、加速度センサレバー73の歯先74がステアリングホイール30の歯部34に係合して、ステアリングホイール30をロックする。これにより、スピンドル10に対してステアリングホイール30の回転遅れが生じ、ロックドック20が外方に飛び出て、フレーム13の内歯17にロックされる。すなわち、加速度センサ70(車体加速度感知手段:CS)が作動する。
【0084】
以上説明したとおり、本実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1によれば、ベルト格納時におけるエンドロックの確実な防止と、ベルト装着時における不用意なエンドロックの抑制とを図ることができる。
【0085】
とりわけ、シートベルトの引き出しにより(例えばベルト装着時におけるベルト引出し時に)、フリクションレバー120を介してスイッチレバー90をラッチリング50に係合可能な位置に移動させて、ウェビング加速度感知手段(WS)を作動可能とする。一方、シートベルトの巻き取りにより(例えばベルト格納時又はベルト装着時におけるベルト巻取り時に)、フリクションレバー120又はコントロールプレート110を介してスイッチレバー90をラッチリング50に非係合の位置に移動させて、ウェビング加速度感知手段(WS)の不用意な作動によるエンドロックを防止する。
【0086】
また、本実施形態によれば、ベルト装着時における、ベルト静止状態及びベルト巻取り時において、加速度センサレバー73をスイッチレバー90で付勢するので、加速度センサレバー73の雑音の発生を抑制することができる。また、ベルト格納時においても、加速度センサレバー73をスイッチレバー90で非ロック側に付勢するので、例えば、シートベルト用リトラクタ1を車両シートに内蔵し、車両シートの前倒しも可能となる(車両シートを前倒ししても、車体加速度感知手段(CS)が作動しない。)
【0087】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0088】
例えば、カム機構に関し、スイッチレバー90のカムフォロアを突起部94とし、コントロールプレート110のカム部をカム溝113としたが、突起と溝との関係は逆であってもよい。
【0089】
また、ベルト引出し時にスイッチレバー90が回転する方向を時計回り方向(第1方向)とし、ベルト巻取り時にスイッチレバー90が回転する方向を反時計回り方向(第1方向と反対方向の第2方向)としたが、回転方向の関係は逆であってもよい。
【0090】
<さまざまな実施態様に関する追加の考察>
[実施態様1]
フレーム13に回転自在に支持され、シートベルトが巻装されるスピンドル10と、
前記フレーム13に係合することで前記スピンドル10のシートベルト引き出し方向の回転をロックするロック部材(ロックドック20)と、
前記スピンドル10に相対回転可能に支持されると共に、前記スピンドル10に対して回転遅れを生じることにより前記ロック部材(ロックドック20)を作動するステアリングホイール30と、
内外周面にそれぞれ内歯52及び外歯51が形成され、前記フレーム13に固定されるベアリングプレート60に回転自在に配設されたラッチリング50と、
前記ラッチリング50の内歯52と係脱可能な位置で、前記ステアリングホイール30に揺動自在に軸支され、前記ステアリングホイール30のシートベルト引き出し方向の回転を阻止する作動位置と、前記ステアリングホイール30のシートベルト引き出し方向の回転が阻止されない非作動位置との間を変位するウェビングセンサレバー40と、
前記スピンドル10の回転に応じて前記スピンドル10と異なる回転数で回転するコントロールプレート110と、を備えたシートベルト用リトラクタ1において、
係合ギア部124を有し、前記スピンドル10の回転に伴って前記スピンドル10と共回り可能なフリクションレバー120と、
前記ベアリングプレート60に回動自在に軸支され、前記ラッチリング50の前記外歯51と係脱可能な係合部93と、前記コントロールプレート110に形成されたカム部(カム溝113)に案内されるカムフォロア(突起部94)と、前記フリクションレバー120の前記係合ギア部124に係合する係合ギア受け部95と、を有するスイッチレバー90と、
をさらに備え、
(1)ベルト装着時においては、
ベルト静止状態から第1の巻取り量までのベルト巻取り時に、前記スピンドル10の巻取り回転に伴って前記フリクションレバー120が第1回転方向(時計回り方向)に回転し、それにより前記フリクションレバー120の前記係合ギア部124と前記スイッチレバー90の前記係合ギア受け部95との係合を介して前記スイッチレバー90を前記第1回転方向と反対方向の第2回転方向(反時計回り方向)に回動させ、前記スイッチレバー90の前記係合部93を前記ラッチリング50の前記外歯51に係合しない位置に移動させる一方、
ベルト静止状態から第1の引出し量までのベルト引出し時に、前記スピンドル10の繰出し回転に伴って前記フリクションレバー120が第2回転方向に回転し、それにより前記フリクションレバー120の前記係合ギア部124と前記スイッチレバー90の前記係合ギア受け部95との係合を介して前記スイッチレバー90を前記第1回転方向に回動させ、前記スイッチレバー90の前記係合部93を前記ラッチリング50の前記外歯51に係合可能な位置に移動させ、
また、
(2)前記シートベルトが格納場所に巻き取られるベルト格納時においては、
前記スピンドル10の巻取り回転に伴って前記コントロールプレート110が回転し、それにより前記コントロールプレート110の前記カム部と前記スイッチレバー90の前記カムフォロアとによるカム機構を介して前記スイッチレバー90を前記第2回転方向に回動させ、前記スイッチレバー90の前記係合部93を前記ラッチリング50の前記外歯51に係合しない位置に移動させる、シートベルト用リトラクタ1。
【0091】
[実施態様2]
前記スイッチレバー90を前記第2回転方向に付勢するリターンスプリング100をさらに備えた、実施態様1に記載のシートベルト用リトラクタ1。
【0092】
[実施態様3]
前記ステアリングホイール30の外周に形成された歯部34と係止可能な加速度センサレバー73を有する加速度センサ70をさらに備え、
前記スイッチレバー90は、前記加速度センサレバー73に対して離接可能な爪部96をさらに有し、
前記ベルト装着時における前記ベルト静止状態において、
前記リターンスプリング100によって前記スイッチレバー90の前記爪部96を前記加速度センサレバー73に当接させ、前記加速度センサレバー73を前記歯部34に係止しない方向へと付勢する、実施態様2に記載のシートベルト用リトラクタ1。
【0093】
[実施態様4]
前記ベルト装着時における前記ベルト巻取り時において、
前記スイッチレバー90の前記第2回転方向への回動によって、前記ベルト静止状態よりも、前記スイッチレバー90の前記爪部96を前記加速度センサレバー73に強く当接させ、前記加速度センサレバー73を前記歯部34に係止しない方向へと付勢する、実施態様3に記載のシートベルト用リトラクタ1。
【0094】
[実施態様5]
前記ベルト装着時における前記ベルト引出し時において、
前記スピンドル10の繰出し回転に伴って前記フリクションレバー120が前記第2回転方向に回転し、それにより前記フリクションレバー120の前記係合ギア部124と前記スイッチレバー90の前記係合ギア受け部95との係合を介して前記スイッチレバー90を前記リターンスプリング100による付勢力に抗して前記第1回転方向に回動させ、前記スイッチレバー90の前記爪部96を前記加速度センサレバー73から離間させ、前記加速度センサレバー73が前記歯部34に係止する方向へと移動することを許容する、実施態様3又は4に記載のシートベルト用リトラクタ1。
【0095】
[実施態様6]
前記ベルト格納時において、
前記カム機構(突起部94、カム溝113)を介した前記スイッチレバー90の前記第2回転方向への回動及び前記リターンスプリング100によって、前記スイッチレバー90の前記爪部96を前記加速度センサレバー73に当接させ、前記加速度センサレバー73を前記歯部34に係止しない方向へと付勢する、実施態様3から5のいずれか一つに記載のシートベルト用リトラクタ1。
【0096】
[実施態様7]
前記スピンドル10の回転が前記フリクションレバー120に伝達されるための摩擦力を前記フリクションレバー120に提供するフリクションスプリング130をさらに備え、
前記ベルト装着時においては、前記フリクションレバー120は、前記フリクションスプリング130による摩擦力によって、前記スピンドル10の回転に伴って前記スピンドル10と共回りし、
前記ベルト格納時においては、前記スピンドル10の巻取り回転による伝達トルクが前記フリクションスプリング130による摩擦力を上回り、前記スピンドル10が前記フリクションレバー120に対して相対的に回転する、実施態様1から6のいずれかに記載のシートベルト用リトラクタ1。
【0097】
[実施態様8]
前記スピンドル10の軸に固定され、前記スピンドル10と一体回転するハブ140をさらに備え、
前記フリクションスプリング130は、前記ハブ140と前記フリクションレバー120とを摩擦力により結合しており、
前記ベルト装着時においては、前記フリクションレバー120は、前記フリクションスプリング130による摩擦力によって、前記スピンドル10の回転に伴って前記ハブ140と一緒に回転し、
前記ベルト格納時においては、前記スピンドル10の巻取り回転による伝達トルクが前記フリクションスプリング130による摩擦力を上回り、前記スピンドル10が、前記フリクションスプリング130による摩擦力に抗して前記ハブ140を前記フリクションレバー120に摺動させながら、前記フリクションレバー120に対して相対的に回転する、実施態様7に記載のシートベルト用リトラクタ1。
【0098】
[実施態様9]
前記フリクションレバー120は、
略C字状の基部121と、
前記基部121の外周部に形成され、前記フリクションスプリング130が装着される装着部122と、
前記基部121の内周部に形成され、前記ハブ140に摺動可能に結合される摺動部123と、を有し、
前記基部121は、前記装着部122に装着された前記フリクションスプリング130によって縮径され、それにより前記ハブ140と前記摺動部123とが摩擦力により結合される、実施態様8に記載のシートベルト用リトラクタ1。
【0099】
[実施態様10]
前記フリクションレバー120の前記係合ギア部124は、前記基部121の外周部から突出するように形成されている、実施態様9に記載のシートベルト用リトラクタ1。
【0100】
[実施態様11]
前記ハブ140と前記コントロールプレート110とは、1つ以上の歯車(第1アイドルギア82、第2アイドルギア83)を介してギア結合されている、実施態様8から10のいずれかに記載のシートベルト用リトラクタ1。
【0101】
[実施態様12]
前記スイッチレバー90は、第1の面92aと、前記第1の面92aと反対側の第2の面92bと、前記第1の面92aと前記第2の面92bとをつなぐ側面部92cと、を有し、
前記係合部93は、前記第1の面92aに形成され、
前記カムフォロア(突起部94)は、前記第2の面92bに形成され、
前記係合ギア受け部95は、前記側面部92cに形成されている、実施態様1から11のいずれかに記載のシートベルト用リトラクタ1。
【0102】
[実施態様13]
前記係合部93及び/又は前記カムフォロア(突起部94)は、突起である、実施態様12に記載のシートベルト用リトラクタ1。
【符号の説明】
【0103】
1…シートベルト用リトラクタ、10…スピンドル、11…巻取装置、12…カバー、13…フレーム、13A、13B…側板、14…軸、15…カバー部材、17…内歯、20…ロックドック、21…カムピン、22…爪、25…セーフティプレート、26…オメガスプリング、30…ステアリングホイール、31…カム孔、32…凸軸、34…歯部、40…ウェビングセンサレバー、42…爪、48…ウェビングセンサスプリング、50…ラッチリング、51…外歯、52…内歯、60…ベアリングプレート、61、62、63、64…軸部、65…受け部、70…加速度センサ(CS)、71…センサホルダ、72…慣性体(ボール)、73…加速度センサレバー、74…歯先、75…軸部、77…係止片、82…第1アイドルギア、83…第2アイドルギア、90…スイッチレバー、91…孔部、92a…第1の面、92b…第2の面、92c…側面部、93…係合部、94…突起部、95…係合ギア受け部、96…爪部、97…バネ装着部、100…リターンスプリング、101…一端部、102…他端部、103…コイル部、110…コントロールプレート、111…軸孔、112…歯車、113…カム溝、113a…第1カム部、113b…第2カム部、113c…切替部、120…フリクションレバー、121…基部、121a…切欠き溝、122…装着部、123…摺動部、124…係合ギア部、130…フリクションスプリング、140…ハブ、141…歯車、142…円筒部、
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11