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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128794
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 47/02 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
F25B47/02 510H
F25B47/02 510J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038004
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 徹
(72)【発明者】
【氏名】三原 一彦
(57)【要約】
【課題】本開示は、冷設機器の除霜を暖かい冷媒を流すことで行うことで、省エネを図ることができる冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】低段圧縮機11および高段圧縮機12、室外熱交換器15、冷媒戻り用膨張機構58、室外ファン17を有する室外機10と、室内熱交換器22、室内用膨張機構21、室内ファン24を有する室内機20と、冷設熱交換器31、冷設用入口側膨張機構32を有する冷設機器30と、を接続した冷凍サイクル回路と、を備える。冷設熱交換器31と低段圧縮機11との間の配管と、室内用膨張機構21と冷媒戻り用膨張機構58との間の配管とを接続する除霜用配管62を備え、除霜用配管62の中途部には、除霜運転時に開とされる除霜用開閉弁63が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、室外熱交換器、室外用膨張機構、室外ファンを有する室外機と、室内熱交換器、室内用膨張機構、室内ファンを有する室内機と、冷設熱交換器、冷設膨張機構を有する冷設機器と、を接続した冷凍サイクル回路と、を備え、
前記冷設熱交換器と前記圧縮機との間の配管と、前記室内用膨張機構と前記室外用膨張機構との間の配管とを接続する除霜用配管を備え、前記除霜用配管の中途部には、除霜運転時に開とされる除霜用開閉弁が設けられている、
ことを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記冷設熱交換器の除霜時に、除霜に必要な熱量が大きい時と、除霜に必要な熱量が小さい時とで、前記室外ファンまたは前記室内ファンによる送風量を変化させ、前記冷設熱交換器に流入する冷媒の温度調整を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記冷設熱交換器の除霜時に、除霜に必要な熱量が大きい時と、除霜に必要な熱量が小さい時とで、前記室外用膨張機構、前記室内用膨張機構、前記冷設膨張機構のいずれかによる冷媒の膨張量を変化させ、前記冷設熱交換器に流入する冷媒の温度調整を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記室外熱交換器と、前記室内熱交換器および前記冷設熱交換器との間に気液分離器を設け、
前記冷設熱交換器の除霜時に、除霜に必要な熱量が大きい時と、除霜に必要な熱量が小さい時とで、前記室外熱交換器から前記冷設熱交換器に直接冷媒を送る冷媒流路と、前記室外熱交換器から前記気液分離器を介して前記冷設熱交換器に冷媒を送る冷媒流路とを切り替え、前記冷設熱交換器に流入する冷媒の温度調整を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、空調用冷媒回路の低圧側と冷却貯蔵設備用冷媒回路の高圧側とを熱交換させるカスケード熱交換器を備え、空調用冷媒回路の冷房運転時に、冷却貯蔵設備用冷媒回路の高圧側の冷媒を、凝縮器を介してカスケード熱交換器に流すと共に、空調用冷媒回路の暖房運転時には、冷却貯蔵設備用冷媒回路の高圧側の冷媒を、カスケード熱交換器に流した後、凝縮器に流すようにした冷凍サイクル装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4169638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、冷設機器の除霜を暖かい冷媒を流すことで行うことで、省エネを図ることができる冷凍サイクル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における冷凍サイクル装置は、圧縮機、室外熱交換器、室外用膨張機構、室外ファンを有する室外機と、室内熱交換器、室内用膨張機構、室内ファンを有する室内機と、冷設熱交換器、冷設膨張機構を有する冷設機器と、を接続した冷凍サイクル回路と、を備え、 前記冷設熱交換器と前記圧縮機との間の配管と、前記室内用膨張機構と前記室外用膨張機構との間の配管とを接続する除霜用配管を備え、前記除霜用配管の中途部には、除霜運転時に開とされる除霜用開閉弁が設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、冷房運転時における除霜運転時には、室外熱交換器から送られる比較的暖かい冷媒により冷設熱交換器の除霜を行うことができ、冷房運転時には、室内熱交換器を蒸発器として利用することで、圧縮機への液戻りを抑制することができる。一方、暖房運転時における除霜運転時では、室内熱交換器から送られる比較的暖かい冷媒により、冷設熱交換器の除霜を行うことができ、室外熱交換器を蒸発器として利用することで、低段圧縮機11への液戻りを抑制することができる。そのため、従来のように電気ヒータが不要となり、省エネ性を向上させることができ、冷媒の液戻りを抑制することで圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1における冷房運転時の動作を示す冷凍サイクル装置の回路図
図2】実施の形態1における制御構成を示すブロック図
図3】実施の形態1における冷房運転時の除霜動作を示す冷凍サイクル装置の回路図
図4】実施の形態1における冷房運転時の除霜動作を示すフローチャート
図5】実施の形態1における暖房運転時の動作を示す冷凍サイクル装置の回路図
図6】実施の形態1における暖房運転時の除霜動作を示す冷凍サイクル装置の回路図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、コンビニエンスストアなどの店舗において、冷凍冷蔵設備と空調設備とを1つの冷凍回路とし、冬期の暖房に冷凍冷蔵設備の排熱を利用し、省エネを図るようにした冷凍サイクル装置があった。
【0009】
このような従来の技術においては、一般に、冷設機器の除霜を行う場合、冷蔵ケースではサーモオフデフロスト方式、冷凍ケースでは電気ヒータデフロスト方式が多く用いられている。
しかしながら、冷凍ケースの除霜に用いられる電気ヒーターデフロスト方式では、電気ヒータの消費電力が必要となり、システム効率を低下させ省エネを図ることができないという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
本開示は、冷設機器の除霜を暖かい冷媒を流すことで行うことで、省エネを図ることができる冷凍サイクル装置を提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1-1.冷凍サイクル装置の構成]
図1は、実施の形態1における冷凍サイクル装置1の冷凍サイクル回路を示す図である。
図1に示すように、冷凍サイクル装置1は、室外機10と、室内機20と、冷設機器30とを備えている。
室内機20は、例えば、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗における店内の空調を行うものであり、冷設機器30は、店内に設置されている冷却貯蔵設備としての冷蔵ショーケースや冷凍ショーケースの庫内冷却を行うものである。
【0012】
室外機10は、低段圧縮機11と、2つの高段圧縮機12,12とを備えている。低段圧縮機11に対して、2つの高段圧縮機12は、並列に接続されている。
低段圧縮機11と、高段圧縮機12との間には、アキュームレータ13が配置されている。
すなわち、低段圧縮機11から吐出させた冷媒は、アキュームレータ13により気体と液体とに分離され、気体冷媒のみが高段圧縮機12に送られる。
【0013】
高段圧縮機12の吐出側には、オイルセパレータ14が接続されている。オイルセパレータ14には、冷媒配管40を介して室外熱交換器15が接続されている。室外熱交換器15の近傍には、室外ファン17が設けられている。
オイルセパレータ14と室外熱交換器15との間の冷媒配管40には、室内機20とアキュームレータ13との間の冷媒配管40に接続される第1の暖房用配管41が接続されている。
また、オイルセパレータ14と室外熱交換器15との間の冷媒配管40には、冷設機器30と低段圧縮機11との間の冷媒配管40に接続される第1の室外戻り用配管42が接続されている。
【0014】
オイルセパレータ14と室外熱交換器15との間には、第1の切替機構50が設けられている。第1の切替機構50は、オイルセパレータ14と室外熱交換器15との間の冷媒配管40の開閉を行う第1の冷房用弁51と、第1の暖房用配管41の中途部に設けられ第1の暖房用配管41の開閉を行う第1の暖房用弁52と、第1の室外戻り用配管42の中途部に設けられ第1の室外戻り用配管42の開閉を行う室外冷媒戻り用弁53と、を備えている。
【0015】
室外熱交換器15には、冷媒配管40を介して気液分離器16が接続されている。気液分離器16には、冷媒配管40および冷設用入口側膨張機構32を介して冷設機器30の冷設熱交換器31が接続されている。冷設熱交換器21の近傍には、冷設ファン34が設けられている。
冷設熱交換器31は、冷設用出口側圧力調整機構33を介して低段圧縮機11に接続されている。
室外熱交換器15と気液分離器16との間の冷媒配管40には、室内用膨張機構21を介して室内熱交換器22に接続される第2の冷房用配管43が接続されている。
室外熱交換器15と気液分離器16との間の冷媒配管40には、室内熱交換器22に接続される第2の暖房用配管44が接続されている。
室外熱交換器15と気液分離器16との間の冷媒配管40には、冷設熱交換器31と気液分離器16との間の冷媒配管40に接続される第2の室外戻り用配管45が接続されている。
【0016】
室外熱交換器15と気液分離器16との間には、第2の切替機構54が設けられている。第2の切替機構54は、室外熱交換器15と気液分離器16との間の冷媒配管40の開閉を行う第2の冷房用弁55と、第2の冷房用配管43の中途部に設けられ第2の冷房用配管43の開閉を行う第3の冷房用弁56と、第2の暖房用配管44の中途部に設けられ第2の暖房用配管44の開閉を行う第2の暖房用弁57と、を備えている。
第2の室外戻り用配管45の中途部には、第2の室外戻り用配管45の流量を制御する室概要膨張機構としての冷媒戻り用膨張機構58が設けられている。
第2の冷房用弁55、第3の冷房用弁56および第2の暖房用弁57の下流側には、それぞれ逆止弁59が設けられている。
【0017】
室内熱交換器22は、冷媒配管40、開閉弁23およびアキュームレータ13を介して高段圧縮機12に接続されている。室内熱交換器22の近傍には、室内ファン24が設けられている。
また、本実施の形態においては、気液分離器16のガス冷媒をアキュームレータ13の吸込側に送るガス冷媒戻り配管60が設けられている。ガス冷媒戻り配管60の中途部には、ガス冷媒流量制御弁61が設けられている。
【0018】
冷設熱交換器31と低段圧縮機11との間の配管と、室内熱交換器22、室内用膨張機構21と第2の切替機構54との間の配管とは、除霜用配管62で接続されている。除霜用配管62の中途部には、除霜用開閉弁63が設けられている。
除霜用開閉弁63は、冷房運転時および暖房運転時には閉とされ、除霜運転時には開とされる。
【0019】
また、本実施の形態においては、冷設熱交換器の近傍には、除霜センサ64(図2を参照)が設けられている。
【0020】
[1-1-2.制御構成]
次に、空気調和装置1の制御構成について説明する。
図2は、実施の形態1の制御構成を示すブロック図である。
図2に示すように、冷凍サイクル装置は、制御部70を備えている。制御部70は、室外機10に設けられていてもよいし、室内機20に設けられていてもよい。
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサ、及び、記憶部を備える。制御部70の記憶部は、揮発性のメモリ、及び、不揮発性記憶部を有する。揮発性のメモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)である。不揮発性記憶部は、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリー等で構成される。また、制御部70は、空気調和装置1の各種装置に対し、信号線等の有線の通信手段、または、無線通信回路等による無線の通信手段によって通信接続される。
制御部70は、記憶部が記憶するプログラムを実行することにより、低段圧縮機11、高段圧縮機12、室外ファン17、室内ファン24、冷設ファン34、各種膨張機構21,2,33,58、各種弁23,51,52,53,55,56,57動作の制御を行う。
【0021】
[1-2.動作]
次に、本実施の形態の動作について説明する。
まず、冷房運転を行う動作について説明する。
冷房運転を行う場合は、図1に示すように、第1の冷房用弁51を開とし、第2の冷房用弁55、第3の冷房用弁56をそれぞれ開とする。第1の暖房用弁52、室外冷媒戻り用弁53、冷媒戻り用膨張機構57をそれぞれ閉とする。
この状態で、低段圧縮機11および各高段圧縮機12を駆動することで、低段圧縮機11により圧縮された冷媒は、アキュームレータ13を介して各高段圧縮機12に送られ、各高段圧縮機12によりさらに圧縮されてオイルセパレータ14にむけて吐出される。
【0022】
オイルセパレータ14を経た冷媒は、第1の冷房用弁51を通って室外熱交換器15に送られ、室外熱交換器15において外気と熱交換を行う。
熱交換後の冷媒は、第2の冷房用弁55を介して気液分離器16に送られ、第3の冷房用弁56を介して室内熱交換器22に送られる。
室内熱交換器22において、冷媒は室内空気と熱交換し、室内空気の冷却を行う。室内空気と熱交換した冷媒は、アキュームレータ13を介して各高段圧縮機12に戻される。
【0023】
一方、気液分離器16からの冷媒の一部は、冷設用入口側膨張機構32を介して冷設熱交換器31に送られ、冷設熱交換器31において熱交換を行い、冷設機器30の冷却を行う。冷設熱交換器31において熱交換した冷媒は、冷設用出口側圧力調整機構33を介して低段圧縮機11に戻される。
【0024】
次に、冷房運転時における除霜運転の動作について説明する。
図3は、冷房運転時における除霜運転の動作を示す冷凍サイクル装置1の回路図である。なお、冷媒の流れを図中矢印で示している。
図3に示すように、冷房運転中に冷設機器の除霜を行う場合は、まず、除霜用開閉弁63を開とし、冷設用出口側圧力調整機構33を閉とする。
そして、冷凍サイクル装置を動作させると、図中矢印に示すように、低段圧縮機11および高段圧縮機12により圧縮された吐出された冷媒は、オイルセパレータ14、室外熱交換器15、冷媒戻り用膨張機構58を介して冷設熱交換器31に送られる。
この冷媒により、室外熱交換器15から送られる比較的暖かい冷媒により、冷設熱交換器31の除霜を行うことができる。
【0025】
そして、冷設熱交換器31から吐出した冷媒は、除霜用配管62を介して室内熱交換器22に流入する。室内熱交換器22において、蒸発器として使用してガス化して、アキュームレータ13に戻される。
これにより、室内熱交換器22が蒸発器として機能することで、冷媒が完全にガス化され、高段圧縮機12の液戻りを抑制することができる。
【0026】
図4は、除霜運転の動作を示すフローチャートである。
図4に示すように、制御部70は、除霜運転が終了したら、タイマーカンウタンをセットして除霜運転終了からの時間を計測する(SA1)。制御部70は、除霜運転終了から所定時間D0が経過したか否かを判断する(SA2)。除霜運転終了からの所定時間D0は、冷設熱交換器31に着霜すると考えられる時間であり、例えば、6時間とされる。
制御部70は、除霜運転終了から所定時間経過したと判断した場合(SA2:YES)、除霜延長モードを行うか否かを判断する(SA3)。除霜延長モードは、例えば、外気温度などの条件に基づいて所定時間では着霜が発生していないと考えられる場合に行われるモードである。
【0027】
除霜延長モードを行うと判断した場合(SA3:YES)、制御部70は、延長タイマーカウンタをセットし、除霜の延長時間の計測を開始する(SA4)。一方、延長モードを行わないと判断した場合は(SA3:NO)、直ちに除霜運転を開始する(SA9)。
続いて、制御部70は、所定の時間DA内(例えば、30分以内)にサーモオフ動作が行われたか否かを判断する(SA5)。
制御部70は、サーモオフ動作が行われたと判断した場合は(SA5:YES)、冷設熱交換器31による熱交換が正常に行われていると判断し、除霜延長モードを継続する。一方、所定時間DA内にサーモオフ動作が行われていないと判断した場合は(SA5:NO)、制御部70は、冷設機器30の動作延長タイマーカウンタをリセットして(SA8)、除霜運転を開始する(SA9)。
【0028】
また、除霜延長モードを継続した場合は、制御部70は、冷設機器30の庫内温度が所定温度DB(例えば、-15℃)未満か否かを判断する(SA6)。冷設機器30の庫内温度が所定温度DB未満であると判断した場合は(SA6:YES)、制御部70は、除霜延長モードを継続する。一方、冷設機器30の庫内温度が所定温度以上であると判断した場合は(SA6:NO)、制御部70は、冷設機器30の動作延長タイマーカウンタをリセットして(SA8)、除霜運転を開始する(SA9)。
【0029】
続いて、制御部70は、延長モードを開始した後、所定時間DC(例えば、4時間)経過したか否か判断し(SA7)、所定時間DCを経過したと判断した場合には(SA7:YES)、冷設機器30の動作延長タイマーカウンタをリセットして(SA8)、除霜運転を開始する(SA9)。
【0030】
除霜運転を開始した場合(SA9)、前述のように、除霜用開閉弁63を開とし、冷設用出口側圧力調整機構33を閉とし、冷設ファン34の動作を停止する(SA10)。
そして、制御部70は、除霜センサ64により検出される温度が所定温度DD(例えば、10℃)以上か否か判断する(SA11)。除霜センサ64による検出温度が所定温度DD以上であると判断した場合(SA11:YES)、制御部70は、除霜運転を終了する(SA12)。
【0031】
除霜運転が終了したら、水切り運転を開始する(SA13)。水切り運転は、冷設ファン34の動作を停止した状態を保持することで、冷設熱交換器31の冷却フィンに付着した結露水の滴下を行う。
そして、制御部70は、除霜運転終了後所定時間DE(例えば、5分)経過したか否か判断する(SA14)。所定時間DEを経過したと判断した場合は(SA14:YES)、制御部70は、除霜用開閉弁63を閉とし、冷設用出口側圧力調整機構33を開とすることで、冷房運転を開始する(SA15)。
【0032】
この場合に、除霜に必要な熱量が大きい時(潜熱変化の除霜開始時など)と、除霜に必要な熱量が小さい時(顕熱変化となる除霜終了時や、水切り運転時など)とで、冷設熱交換器31に流入する冷媒の温度調整を行うようにしてもよい。
例えば、室外ファン17による送風量を変化させることで、冷設熱交換器31に流入する冷媒の温度調整を行う。この場合、除霜に必要な熱量が大きいときには、室外ファン17の送風量を低減させ、比較的高い温度の冷媒を冷設熱交換器に送り、除霜に必要な熱量が小さいときには、室外ファン17の送風量を高め、比較的低い温度の冷媒を冷設熱交換器31に送るようにすればよい。
【0033】
また、冷設用入口側膨張機構32および冷媒戻り用膨張機構58による冷媒の膨張量を調整することで、冷設熱交換器31に流入する冷媒の温度調整を行うようにしてもよい。
例えば、除霜に必要な熱量が大きいときには、冷設用入口側膨張機構32および冷媒戻り用膨張機構58による冷媒の膨張量を低減させ、比較的高い温度の冷媒を冷設熱交換器に送り、除霜に必要な熱量が小さいときには、冷設用入口側膨張機構32および冷媒戻り用膨張機構58による冷媒の膨張量を高め、比較的低い温度の冷媒を冷設熱交換器31に送るようにすればよい。
このように除霜に必要な熱量に応じて冷媒の温度を調整することで、除霜に必要な熱量に応じた温度の冷媒を冷設熱交換器31に送ることができ、除霜完了時に低い温度での冷媒により、冷房運転に復帰することができる。
【0034】
さらに、除霜運転時に、除霜に必要な熱量が大きい時と、除霜に必要な熱量が小さい時とで、冷媒流路を切り替えるようにしてもよい。
具体的には、第2の冷房用弁55を開き、室外熱交換器15からの冷媒が気液分離器16を介して冷設熱交換器31に送られるように切り替える。
このように室外熱交換器15からの冷媒を気液分離器16を介して循環させることで、除霜に必要な熱量に応じた温度の冷媒を冷設熱交換器31に送ることができ、除霜完了時に低い温度での冷媒により、冷房運転に復帰することができる。
【0035】
次に、暖房運転を行う場合の動作について説明する。
図5は、暖房運転の動作を示す冷凍サイクル装置1の回路図である。なお、冷媒の流れを図中矢印で示している。
図5に示すように、暖房運転を行う場合は、第1の暖房用弁52、第2の暖房用弁57をそれぞれ開とし、第1の冷房用弁51、第2の冷房用弁55、第3の冷房用弁56および室外冷媒戻り用弁53をそれぞれ閉とする。
【0036】
低段圧縮機11および各高段圧縮機12を駆動することで、低段圧縮機11により圧縮された冷媒が、アキュームレータ13を介して各高段圧縮機12に送られ、各高段圧縮機12によりさらに圧縮されてオイルセパレータ14にむけて吐出される。
オイルセパレータ14を経た冷媒は、第1の暖房用弁52を通って室内熱交換器22に送られ、室内熱交換器22において室内空気と熱交換を行い、室内空気の暖房を行う。
【0037】
室内熱交換器22で熱交換を行った冷媒は、第2の暖房用弁57を介して気液分離器16に送られた後、冷設用入口側膨張機構32を介して冷設熱交換器31に送られ、冷設熱交換器31において熱交換を行い、冷設機器30の冷却を行う。
冷設熱交換器31において熱交換した冷媒は、冷設用出口側圧力調整機構33を介して低段圧縮機11に戻される。
すなわち、本開示の冷凍サイクル装置1は、暖房時には、室内熱交換器22がガスクーラまたは放熱器として機能するように構成され、室外熱交換器15は使用されない。
【0038】
また、本実施の形態においては、気液分離器16のガス冷媒をアキュームレータ13の吸込側に送るガス冷媒戻り配管60が設けられている。そして、冷房運転時に、ガス冷媒流量制御弁61の開度を制御して、気液分離器16のガス冷媒の戻り量を制御することで、室内熱交換器22に送られる冷媒の差圧を生成することができる。
これにより、蒸発温度が高い室内熱交換器22の蒸発温度に規定の値を加算した圧力で制御することが可能となる。そのため、環境保全性が高い自然冷媒の二酸化炭素(R744)を使用し、弱点である空調温度帯の効率を改善することができ、冷凍サイクル装置全体としての効率を改善することができる。
【0039】
次に、暖房運転時における除霜運転の動作について説明する。
図6は、暖房運転時における除霜運転の動作を示す冷凍サイクル装置1の回路図である。なお、冷媒の流れを図中矢印で示している。
図6に示すように、暖房運転中に冷設機器30の除霜を行う場合は、まず、除霜用開閉弁63を開とし、冷設用出口側圧力調整機構33を閉とする。
そして、冷凍サイクル装置1を動作させると、図中矢印に示すように、低段圧縮機11および高段圧縮機12により圧縮された吐出された冷媒は、オイルセパレータ14、室内熱交換器22、除霜用配管62を介して冷設熱交換器31に送られる。
これにより、室内熱交換器22から送られる比較的暖かい冷媒により、冷設熱交換器31の除霜を行うことができる。
【0040】
そして、冷設熱交換器31から吐出した冷媒は、室外熱交換器15に送られ室外熱交換器15において、蒸発器として使用してガス化して、低段圧縮機11に戻される。
これにより、室外熱交換器15が蒸発器として機能することで、冷媒が完全にガス化され、低段圧縮機11の液戻りを抑制することができる。
【0041】
この場合に、暖房運転時においても、冷房運転時と同様に、除霜に必要な熱量が大きい時と、除霜に必要な熱量が小さい時とで、冷設熱交換器31に流入する冷媒の温度調整を行うようにしてもよい。
ただし、この場合、例えば、室内ファン24による送風量を変化させることが考えられるが、室内ファン24の暖房効率をある程度優先させる必要があるため、室内ファン24による送風量の変化には一定の限界がある。
【0042】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態においては、低段圧縮機11および高段圧縮機12(圧縮機)、室外熱交換器15、冷媒戻り用膨張機構58(室外用膨張機構)、室外ファン17を有する室外機10と、室内熱交換器22、室内用膨張機構21、室内ファン24を有する室内機20と、冷設熱交換器31、冷設用入口側膨張機構32(冷設膨張機構)を有する冷設機器30と、を接続した冷凍サイクル回路と、を備える。冷設熱交換器31と低段圧縮機11との間の配管と、室内用膨張機構21と冷媒戻り用膨張機構58との間の配管とを接続する除霜用配管62を備え、除霜用配管62の中途部には、除霜運転時に開とされる除霜用開閉弁63が設けられている。
【0043】
これにより、冷房運転時における除霜運転では、室外熱交換器15から送られる比較的暖かい冷媒により、冷設熱交換器31の除霜を行うことができ、室内熱交換器22を蒸発器として利用することで、高段圧縮機12への液戻りを抑制することができる。一方、暖房運転時における除霜運転時では、室内熱交換器22から送られる比較的暖かい冷媒により、冷設熱交換器31の除霜を行うことができ、室外熱交換器15を蒸発器として利用することで、低段圧縮機11への液戻りを抑制することができる。
そのため、従来のように電気ヒータが不要となり、省エネ性を向上させることができ、冷媒の液戻りを抑制することで低段圧縮機11または高段圧縮機12の信頼性を向上させることができる。
【0044】
また、本実施の形態においては、冷設熱交換器31の除霜時に、除霜に必要な熱量が大きい時と、除霜に必要な熱量が小さい時とで、室外ファン17または室内ファン24による送風量を変化させ、冷設熱交換器31に流入する冷媒の温度調整を行う。
これにより、室外ファン17または室内ファン24により送風量を変化させることで、除霜に必要な熱量に応じた温度の冷媒を冷設熱交換器31に送ることができ、除霜完了時に低い温度での冷媒により、冷房運転に復帰することができる。
【0045】
また、本実施の形態においては、冷設熱交換器31の除霜時に、除霜に必要な熱量が大きい時と、除霜に必要な熱量が小さい時とで、冷媒戻り用膨張機構58(室外用膨張機構)、室内用膨張機構21、冷設用入口側膨張機構32(冷設膨張機構)のいずれかによる冷媒の膨張量を変化させ、冷設熱交換器31に流入する冷媒の温度調整を行う。
これにより、冷媒戻り用膨張機構58、室内用膨張機構21、冷設用入口側膨張機構32のいずれかによる冷媒の膨張量を変化させることで、除霜に必要な熱量に応じた温度の冷媒を冷設熱交換器31に送ることができ、除霜完了時に低い温度での冷媒により、冷房運転に復帰することができる。
【0046】
また、本実施の形態においては、室外熱交換器15と室内熱交換器および冷設熱交換器との間に気液分離器16を設け、冷設熱交換器の除霜時に、除霜に必要な熱量が大きい時と、除霜に必要な熱量が小さい時とで、室外熱交換器15から冷設熱交換器31に直接冷媒を送る冷媒流路と、室外熱交換器15から気液分離器16を介して冷設熱交換器31に冷媒を送る冷媒流路とを切り替え、冷設熱交換器31に流入する冷媒の温度調整を行う。
これにより、除霜に必要な熱量が大きいときには、室外熱交換器15からの冷媒を気液分離器16を介して循環させることで、除霜に必要な熱量に応じた温度の冷媒を冷設熱交換器31に送ることができ、除霜完了時に低い温度での冷媒により、冷房運転に復帰することができる。
【0047】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0048】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
(技術1)圧縮機、室外熱交換器、室外用膨張機構、室外ファンを有する室外機と、室内熱交換器、室内用膨張機構、室内ファンを有する室内機と、冷設熱交換器、冷設膨張機構を有する冷設機器と、を接続した冷凍サイクル回路と、を備え、前記冷設熱交換器と前記圧縮機との間の配管と、前記室内用膨張機構と前記室外用膨張機構との間の配管とを接続する除霜用配管を備え、前記除霜用配管の中途部には、除霜運転時に開とされる除霜用開閉弁が設けられている、ことを特徴とする冷凍サイクル装置。
この構成により、冷房運転時における除霜運転では、室外熱交換器から送られる比較的暖かい冷媒により、冷設熱交換器の除霜を行うことができ、室外熱交換器を蒸発器として利用することで、圧縮機への液戻りを抑制することができる。一方、暖房運転時における除霜運転時では、室内熱交換器から送られる比較的暖かい冷媒により、冷設熱交換器の除霜を行うことができ、室内熱交換器を蒸発器として利用することで、圧縮機への液戻りを抑制することができる。
そのため、従来のように電気ヒータが不要となり、省エネ性を向上させることができ、冷媒の液戻りを抑制することで圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【0049】
(技術2)前記冷設熱交換器の除霜時に、除霜に必要な熱量が大きい時と、除霜に必要な熱量が小さい時とで、前記室外ファンまたは前記室内ファンによる送風量を変化させ、前記冷設熱交換器に流入する冷媒の温度調整を行う、ことを特徴とする技術1に記載の冷凍サイクル装置。
この構成により、室外ファンまたは室内ファンにより送風量を変化させることで、除霜に必要な熱量に応じた温度の冷媒を冷設熱交換器に送ることができ、除霜完了時に低い温度での冷媒により、冷房運転に復帰することができる。
【0050】
(技術3)前記冷設熱交換器の除霜時に、除霜に必要な熱量が大きい時と、除霜に必要な熱量が小さい時とで、前記室外用膨張機構、前記室内用膨張機構、前記冷設膨張機構のいずれかによる冷媒の膨張量を変化させ、前記冷設熱交換器に流入する冷媒の温度調整を行う、ことを特徴とする技術1に記載の冷凍サイクル装置。
この構成により、室外用膨張機構、室内用膨張機構、冷設膨張機構のいずれかによる冷媒の膨張量を変化させることで、除霜に必要な熱量に応じた温度の冷媒を冷設熱交換器に送ることができ、除霜完了時に低い温度での冷媒により、冷房運転に復帰することができる。
【0051】
(技術4)前記室外熱交換器と前記室内熱交換器および前記冷設熱交換器との間に気液分離器を設け、前記冷設熱交換器の除霜時に、除霜に必要な熱量が大きい時と、除霜に必要な熱量が小さい時とで、前記室外熱交換器から前記冷設熱交換器に直接冷媒を送る冷媒流路と、前記室外熱交換器から前記気液分離器を介して前記冷設熱交換器に冷媒を送る冷媒流路とを切り替え、前記冷設熱交換器に流入する冷媒の温度調整を行う、ことを特徴とする技術1の冷凍サイクル装置。
この構成により、除霜に必要な熱量が大きいときには、室外熱交換器からの冷媒を気液分離器を介して循環させることで、除霜に必要な熱量に応じた温度の冷媒を冷設熱交換器に送ることができ、除霜完了時に低い温度での冷媒により、冷房運転に復帰することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本開示は、冷設機器の除霜を暖かい冷媒を流すことで行うことで、省エネを図ることができる冷凍サイクル装置として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 冷凍サイクル装置
10 室外機
11 低段圧縮機
12 高段圧縮機
13 アキュームレータ
14 オイルセパレータ
15 室外熱交換器
16 気液分離器
17 室外ファン
20 室内機
21 室内用膨張機構
22 室内熱交換器
23 開閉弁
24 室内ファン
30 冷設機器
31 冷設熱交換器
32 冷設用入口側膨張機構
33 冷設用出口側圧力調整機構
34 冷設ファン
40 冷媒配管
41 暖房用配管
42 第1の室外戻り用配管
43 第2の冷房用配管
44 第2の暖房用配管
45 第2の室外戻り用配管
50 第1の切替機構
51 第1の冷房用弁
52 第1の暖房用弁
53 室外冷媒戻り用弁
54 第2の切替機構
55 第2の冷房用弁
56 第2の冷房用弁
57 第2の暖房用弁
58 冷媒戻り用膨張機構
59 逆止弁
60 ガス冷媒戻り配管
61 ガス冷媒流量制御弁
62 除霜用配管
63 除霜用開閉弁
64 除霜センサ
70 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6