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  • 特開-地図の表示方法 図1
  • 特開-地図の表示方法 図2
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  • 特開-地図の表示方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128795
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】地図の表示方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20240913BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20240913BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20240913BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G06T11/60 300
G09G5/36 200
G09G5/377 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038007
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】504192911
【氏名又は名称】株式会社トーラス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】木村 幹夫
【テーマコード(参考)】
2C032
5B050
5C182
【Fターム(参考)】
2C032HC27
5B050BA07
5B050BA17
5B050DA10
5B050EA05
5B050EA07
5B050EA13
5B050EA18
5B050EA19
5B050FA02
5B050FA09
5B050GA08
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB08
5C182AC03
5C182AC35
5C182BC01
5C182BC26
5C182CB54
(57)【要約】
【課題】ユーザによって指定された公図ポリゴンと住宅表示地図を高精度かつ容易に重ね合わせて表示する。
【解決手段】公図ポリゴン群と、住宅地図を重ね合わせて表示する地図の表示方法であって、ユーザによって指定された住居表示情報に基づいて、住居表示情報に紐づいた指定公図ポリゴンを含む公図ポリゴン群を取得し、指定公図ポリゴンを含む公図ポリゴン群と、住宅地図にそれぞれ少なくとも3つの基準点を生成し、基準点を用いて住宅地図に公図ポリゴン群を重ね合わせる。そして、指定公図ポリゴンと住宅地図の位置ずれが閾値以下となるように、住宅地図上に公図ポリゴン群を表示する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公図ポリゴン群と、住宅地図を重ね合わせて表示する地図の表示方法であって、
ユーザによって指定された住居表示情報に基づいて、前記住居表示情報に紐づいた指定公図ポリゴンを含む前記公図ポリゴン群を取得し、
前記指定公図ポリゴンを含む前記公図ポリゴン群と、前記住宅地図にそれぞれ少なくとも3つの基準点を生成し、前記基準点を用いて前記住宅地図に前記公図ポリゴン群を重ね合わせ、
前記指定公図ポリゴンと前記住宅地図の位置ずれが閾値以下となるように、前記住宅地図上に前記公図ポリゴン群を表示することを特徴とする表示方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公図ポリゴンと、住宅地図を重ね合わせて表示する地図の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国には、公図とよばれる土地台帳付属地図が存在する。公図は、土地の区画を明確にするための資料であり、住居表示とは異なる地番とよばれる一筆の土地ごとに登記所が付する番号が記載されている。不動産登記においては、この地番や土地の区画を明確にする必要があるため、公図は現在も土地取引の際に用いられている。この地番を調べるのを容易にする技術として、特許文献1が存在する。
【0003】
特許文献1では、ユーザが住居表示の地図上で基準となる2点、および地番表示の地図上で基準となる2点を指示し、該指示された基準点をもとに、住居表示および地番表示の地図の座標系および単位を変換して重ね合わせて表示する。これにより住居表示と地番表示を分かりやすくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-139993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公図の多くは明治時代に作成されたものであり、当時の技術では正確な測量が難しく、現状の土地の位置や形状とは大きく誤差があることが多い。このため、特許文献1のようにユーザが住居表示の地図と地番表示の地図を目視して、手作業により基準点を指示して、住居表示の地図と地番表示の地図を重ね合わせねばならず、非常に手間がかかっていた。
【0006】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、ユーザによって指定された公図ポリゴンと住宅表示地図を高精度かつ容易に重ね合わせて表示する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は 図ポリゴン群と、住宅地図を重ね合わせて表示する地図の表示方法であって、ユーザによって指定された住居表示情報に基づいて、前記住居表示情報に紐づいた指定公図ポリゴンを含む前記公図ポリゴン群を取得し、前記指定公図ポリゴンを含む前記公図ポリゴン群と、前記住宅地図にそれぞれ少なくとも3つの基準点を生成し、前記基準点を用いて前記住宅地図に前記公図ポリゴン群を重ね合わせ、前記指定公図ポリゴンと前記住宅地図の位置ずれが閾値以下となるように、前記住宅地図上に前記公図ポリゴン群を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザによって指定された公図ポリゴンと住宅表示地図を高精度かつ容易に重ね合わせて表示する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る地図表示システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る地図データ生成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る地図データの作成処理を示すフロー図である。
図4】地図データ生成装置で生成される地図データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の具体例は本発明に係る実施形態の一例ではあるが、本発明は以下の具体的形態に限定されるものではない。
【0011】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る地図表示システム1の概略構成を示すブロック図である。地図表示システム1は、複数の筆ポリゴンを含む公図ポリゴン群データを処理して、住宅表示地図に重ね合わせた地図データ50を作成する。地図表示システム1は、クライアント装置10と、地図データ生成装置20とを含む。クライアント装置10と地図データ生成装置20は、ネットワーク40を介して通信可能に接続されている。ネットワーク40は、例えば、インターネットやWAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、WiFiなどの無線基地局、プロバイダ装置、専用回線などを含む。なお、ここで、筆ポリゴンとは、公図ポリゴン群データに含まれる一筆(土地登記簿上の一区画)を示すポリゴンデータである。
【0012】
クライアント装置10は、ユーザからの指示に基づいて、後述する地図データ生成装置20によって生成された地図データ50を表示するコンピュータである。クライアント装置10は、例えば、PC(Personal Computer)、タブレットPC、スマートフォン等である。クライアント装置10は、ユーザからの操作入力を受け付けるタッチパネルやキーボード、マウス等の入力部を含む。また、クライアント装置10は、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等の表示部も含む。表示部は、地図データ生成装置20によって生成された地図データ50を表示する。また、クライアント装置10は、プログラム等を実行するための制御部としてのCPUを含む。
【0013】
地図データ生成装置20は、取得部21、生成部22、作成部23、および出力部24を含む。地図データ生成装置20は、例えば、サーバである。
【0014】
取得部21は、例えば、ユーザがクライアント装置10を用いて入力した、住居表示情報を取得する。ここで、ユーザによって入力された住居表示情報は、ユーザによって指定された住居表示であるといえる。取得部21は、入力された住居表示情報に基づいて、住居表示情報に紐づいた筆ポリゴンを含む公図ポリゴン群をデータベース30から取得する。なお、ここで、データベース30は、地図データ生成装置20の外部装置としたが、地図データ生成装置20がデータベース30の機能を有していてもよい。
【0015】
生成部22は、公図ポリゴン群と住宅地図対して対応する基準点を生成する。なお、このとき、指定された住居表示情報に紐づいた筆ポリゴン内に少なくとも1つの基準点を生成する。基準点の生成方法については後述する。そして、生成部22は、公図ポリゴン群と住宅地図のそれぞれに生成された、対応関係にある基準点の位置ずれが閾値以下となるように、好ましくは対応関係にある基準点が合うように、公図ポリゴン群と住宅地図を重ね合わせて、公図ポリゴン群と住宅地図を含む地図データ50を作成する。
【0016】
出力部24は、例えば、生成部22で生成した地図データ50をクライアント装置10に出力し、クライアント装置10の表示部に地図データ50を表示させる。
【0017】
次に、図2を用いて、地図データ生成装置20のハードウェア構成について説明する。図2は、地図データ生成装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。地図データ生成装置20は、記憶部61、RAM62、ROM63、CPU64、および通信部65を備える。
【0018】
記憶部61は、後述のCPU64によって実行されるプログラム、および、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。また、記憶部61は、処理に用いる各種データや、作成された地図データ等を記憶しうる。なお、記憶部61は、データベース30として機能してもよい。
【0019】
CPU64は、ROM63又は記憶部61に格納されたプログラムに基づいて動作し、地図データ生成装置20の各部の制御を行う。ROM63は、地図データ生成装置20の起動時にCPU64によって実行されるブートプログラムや、地図データ生成装置20のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。CPU64は、例えば、RAM62上にロードされたプログラムを実行することにより、後述するフローを実現する。
【0020】
通信部65は、例えば、ネットワークを介して、クライアント装置10等の外部からデータまたは指示を受信してCPU64へ送り、CPU64が生成したデータや指示を他の機器へ送信しうる。
【0021】
なお、地図データ生成装置20は、入力装置および表示装置と接続されていてもよい。入力装置は、例えば、タッチパネルやキーボード、マウス等である。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等である。
【0022】
クライアント装置10も、同様のハードウェア構成であってよいため、クライアント装置10のハードウェア構成の説明は省略する。
【0023】
次に、図3を用いて、実施形態に係る地図データ50の作成処理の全体の流れについて説明する。図3は、実施形態に係る地図データ50の作成処理を示すフロー図である。このフローチャートで示す各動作(ステップ)は、地図データ生成装置20のCPU64の制御によって実行されうる。
【0024】
S101では、取得部21は、クライアント装置10からユーザが指定した住居表示情報を取得する。ここで、住居表示情報とは、ユーザがクライアント装置10に住居表示を入力した場合には、その住居表示を含む。また、ユーザがクライアント装置10に表示された住宅地図上において、位置を指定した場合には、その緯度経度を含む。すなわち、住居表示情報には、住居表示と緯度経度が含まれる。
【0025】
S102では、取得部21は、指定された住居表示情報に基づいて、指定された住居表示情報に紐づいた筆ポリゴンを含む公図ポリゴン群データをデータベース30から取得する。以降、指定された住居表示情報に紐づいた筆ポリゴンを指定ポリゴンという。公図ポリゴン群は、指定ポリゴンの周辺に位置する筆ポリゴンのグループである。公図ポリゴン群は、指定ポリゴンから所定の範囲内に位置する筆ポリゴンのグループである。いいかえると、データベース30には、筆ポリゴンの区画の所在地の地番(地番住所)、および筆ポリゴンの地番に紐づいた住居表示情報が格納されている。すなわち、取得部21は、指定された住居表示情報に紐づいた筆ポリゴン(指定ポリゴン)、該筆ポリゴンの地番住所、および、指定ポリゴンの周辺に位置する複数の筆ポリゴン(公図ポリゴン群)をデータベース30から取得する。なお、公図ポリゴン群データに含まれる、複数の筆ポリゴンにも、各筆ポリゴンの区画の所在地の地番、および各筆ポリゴンの地番に紐づいた住居表示情報が含まれる。
【0026】
S103では、生成部22は、公図ポリゴン群と住宅地図対して対応する基準点を生成する。生成部22は、指定ポリゴンに少なくとも1つの基準点を生成する。生成部22は、例えば、指定ポリゴンの中心点を指定ポリゴンの基準点とする。そして、生成部22は、指定ポリゴンに紐づいた住宅地図上の住居表示に対応する位置にも基準点を生成する。住宅地図上に生成される基準点は、例えば、指定ポリゴンに紐づいた緯度経度の位置に指定ポリゴンが配置されるように生成される。
【0027】
さらに、生成部22は、公図ポリゴン群にも基準点を生成し、公図ポリゴン群に紐づいた住居表示に対応する位置にも基準点を生成する。具体的には、生成部22は、公図ポリゴン群に含まれる筆ポリゴンのうち、閾値よりも小さい面積を有する筆ポリゴンを少なくとも2つ抽出する。そして、生成部22は、抽出した筆ポリゴン(以降、「抽出ポリゴン」という。)の、例えば、中心点を基準点とする。生成部22は、抽出ポリゴンに紐づいた住居表示に対応する住宅地図上の位置にも基準点を生成する。住宅地図上に生成される基準点は、例えば、抽出ポリゴンに紐づいた緯度経度の位置に抽出ポリゴンが配置されるように生成される。
【0028】
本工程において、面積の閾値を小さくするほど後工程における重ね合わせ精度を向上させることができる。言い換えると、面積がより小さい抽出ポリゴンの基準点を用いるほど重ね合わせ精度が向上する。また、ここでは、指定ポリゴンに生成される基準点を含めて公図ポリゴン群少なくとも3点の基準点が生成される。指定ポリゴンにより近い位置の基準点を用いるほど重ね合わせの精度が向上する。
【0029】
S104では、作成部23は、指定ポリゴンを含む公図ポリゴン群に生成された基準点と、対応する住宅地図上に生成された基準点との位置ずれが閾値以下となるように、公図ポリゴン群を住宅地図に重ね合わせて、地図データ50を作成する。なお、ここで、指定ポリゴンを含む公図ポリゴン群に生成された基準点と、対応する住宅地図上に生成された基準点とが重なるように、公図ポリゴン群を住宅地図に重ね合わせるとさらに好ましい。
【0030】
S105では、作成部23は、指定ポリゴンの住宅地図における位置がずれが閾値以下か否かを判定する。ずれが閾値を超える場合(No)、地図データ生成装置20は、S103~S104の処理を繰り返す。このとき、S103では、例えば、ずれが閾値以下になるように新たな基準点を生成する。一方、ずれが閾値以下である場合(Yes)、処理をS106に進める。
【0031】
S106では、出力部24は、作成された地図データ50を作成部23から取得し、地図データ50をクライアント装置10に出力する。そして、クライアント装置10の表示部等に地図データ50が表示される。
【0032】
S107では、取得部21がクライアント装置10において新たに住居表示情報が入力される等再計算情報の入力があったか否かを確認する。ここで、再計算情報の入力があった場合(Yes)は、地図データ生成装置20はS101~S107の処理を繰り返す。一方、再計算情報の入力がない場合(No)は、地図データ生成装置20は処理を終了する。
【0033】
図4は、地図データ生成装置20で生成される地図データ50の一例を示す図である。地図データ50は、クライアント装置10の表示部に表示される。本図は、アイコン51の位置がユーザによって指定された場合に表示される地図データ50を示している。ここで、「105-12」と示される筆ポリゴンが指定ポリゴン52となる。すなわち、ユーザは指定された位置の地番が「105-12」であることを一見して確認することができる。また、ここで、指定ポリゴン52の他に住宅地図上に示されている複数の筆ポリゴンが公図ポリゴン群53である。
【0034】
なお、地図データ50上に、例えば、住居表示情報(住所)、地番住所(地番)、面積、用途地域、建ぺい率、容積率、建物名、構造、階数、土地所有者、土地所有者の居住地等の情報を表示させてもよい。これらの全てを表示させても良いし、一部を表示させてもよい。
【0035】
以上、本実施形態によれば、高精度かつ容易にユーザによって指定された公図ポリゴンと住宅表示地図を重ね合わせて表示することが可能となり、ユーザは指定した位置または住所の地番を一見して確認することが可能となる。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施形態あについて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0037】
なお、上述の本実施形態では、地図データ生成装置20が上述のフローを実施する例について述べたが、クライアント装置10のCPU上述のフローを実施してもよい。この際これらのプログラムを他の装置から、例えば、ネットワークを介して取得して、実行してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 地図表示システム
10 クライアント装置
20 地図データ生成装置
21 取得部
22 生成部
23 作成部
24 出力部
30 データベース
40 ネットワーク
50 地図データ
51 アイコン
52 指定ポリゴン
53 公図ポリゴン群

図1
図2
図3
図4